【実施例】
【0033】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0034】
[合成例1]各種炭素環ヌクレオシド類の合成
(1)化合物(Ia)の合成
【化8】
【0035】
(a)THF中のN−保護体(3)(1.5mmol)、シクロペンテン誘導体(4)(1.57mmol)及びトリフェニルホスフィン(3.75mmol)の混合物に、0℃でアゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)を滴下した。反応混合物を室温に戻し、撹拌を続けた。TLCで反応が終了したことを確認した後、溶媒を減圧留去し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液;ヘキサン:酢酸エチル=100:0→70:30)で精製し、カップリング生成物(5)を収率85%で得た。
【0036】
カップリング生成物(5)の化合物名及び物性を以下に示す。
Di-Boc-protected 3-iodo-1-((4R)-2,2-dimethyl-6-((trityloxy)methyl)-4,6a-dihydro-3aH-cyclopenta[d][1,3]dioxol-4-yl)-1H-pyrazolo-[3,4-d]pyrimidin-4-amine
mp: 89-99℃; MS (ESI) (m/z): [M
++1] 872.0; UV (MeOH): λ
max=264 nm;
1H NMR (400 MHz, CDCl
3): δ=8.97 (s, 1H, 2-CH), 7.21-7.46 (m, 15H, trityl), 6.04-6.08 (m, 2H, 1’,6’-CH), 5.33-5.35 (d, J=5.8 Hz, 1H, 2’-CH), 4.88-4.90 (d, J=5.9 Hz, 1H, 3’-CH), 3.95-3.99 (d, J=15.3 Hz, 1H, 5’-CH
2), 3.80-3.84 (d, J=15.3 Hz, 1H, 5’-CH
2), 1.45 (s, 3H, CH
3), 1.42 (s, 18H, Boc-6CH
3), 1.33 ppm (s, 3H, CH
3).
【0037】
(b)カップリング生成物(5)を、10%塩酸含有メタノール中、60℃で加熱することにより、保護基を脱離させた。TLCで反応が終了したことを確認した後、溶媒を減圧留去し、得られた固形物をアセトンで洗浄して、化合物(Ia)の塩酸塩を収率81%で得た。
【0038】
化合物(Ia)の化合物名及びその塩酸塩の物性を以下に示す。
(1S,2R,5R)-5-(4-Amino-3-iodo-1H-pyrazolo[3,4-d]pyrimidin-1-yl)-3-(hydroxymethyl)cyclopent-3-ene-1,2-diol
mp:194-196℃; MS (ESI) (m/z): [M
++1] 390.0; [α]
D21=-147.88 cm
3g
-1dm
-1 (c=0.24 MeOH); UV (MeOH): λ
max=264 nm;
1H NMR (400 MHz, [D
6]DMSO): δ=9.18-9.22 (bs, 1H, NH
2), 8.49 (s, 1H, 2-CH), 8.02-8.21 (bs, 1H, NH
2), 5.64-5.65 (m, 1H, 1’-CH), 5.56-5.57 (m, 1H, 6’-CH), 4.61-5.22 (bs, 3H, 2’, 3’ & 5’-OH), 4.38-4.39 (m, 1H, 2’-CH), 4.26-4.29 (m, 1H, 3’-CH), 4.07-4.11 ppm (m, 2H, 5’-CH
2);
13C NMR (100 MHz, [D
6]DMSO): δ=153.06, 152.10, 150.23, 148.93, 123.23, 102.68, 92.39, 76.45, 71.82, 67.00, 58.39 ppm.
【0039】
(2)その他の炭素環ヌクレオシド類の合成
非特許文献1(ChemMedChem 2013, 8, 1-9)及び非特許文献2(Bioorganic & Medicinal Chemistry Letters 2012, 22, 7742-7747)に記載の方法、又はその他の公知の方法に従って、表1に示す各種炭素環ヌクレオシド類を合成した。
【0040】
[実施例1]抗HBVアッセイ
HepG2.2.15.7細胞(肝芽細胞腫(hepatoblastoma)細胞株HepG2に、HBV遺伝子がトランスフェクションされ、持続的にウイルスを産生するHepG2.2.15細胞(Journal of Virology, Aug. 1988, 62, 2836-2844)由来で、国立感染症研究所において樹立されたクローン細胞であり、親株であるHepG2.2.15細胞よりも効率良くウイルスを産生するクローン細胞)を用いて、各種炭素環ヌクレオシド類の抗HBVアッセイを以下のようにして行った。
【0041】
1)HepG2.2.15.7細胞を96穴マイクロタイタープレートに撒いた。(1×10
4細胞/well,培地100μl)(培地:DMEM/F12+glutamax(Invitrogen #10565−018)+5μg/mlインスリン+50μMヒドロコルチゾン+HEPES+ペニシリン/ストレプトマイシン+10%FBS)
2)細胞をCO
2インキュベーター内、37℃で24時間インキュベートした。
3)各試験化合物を様々な濃度で含有する新鮮な培地100μlをプレートに加えた。
4)細胞をCO
2インキュベーター内、37℃で3日間インキュベートした。
5)培地を、各化合物を含有する新たな培地で完全に置き換えた。
6)細胞をCO
2インキュベーター内、37℃で3日間インキュベートした。
7)培養上清100μlを新たな96穴マイクロタイタープレートに移した。
8)細胞をMTTアッセイにより分析し、細胞生存率を測定した。
9)各培養上清10〜20μlに同容量のSideStep
TM溶解・安定化緩衝液(Agilent Technologies #400900)を加えて、1分間ボルテックスして培地中の粗DNAを抽出した。
10)DNA溶液を使用するまで、ディープフリーザーで保存した。
11)リアルタイムPCR法を用いて、培地中のHBV DNAを定量した。
結果を表1及び
図1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】
表1及び
図1から、化合物(Ia)及び化合物(Ib)は優れた抗HBV活性を有し、かつ安全性が高いことがわかる。一方、その他の炭素環ヌクレオシド類は、抗HBV活性を示さないか、示したとしてもその活性は極めて低かった。