【解決手段】回転電機1の回転子3であって、複数の鉄心ブロック21を備えた回転子鉄心20と、複数の鉄心ブロック21の相互間に配置され、円板状のダクト板28及びダクト板28上に放射状に配置された複数のダクトピース29,30を備えたダクト部材22と、ダクト部材22を軸方向に貫通して鉄心ブロック21に埋め込まれた複数の永久磁石23と、ダクト板28に形成され、永久磁石23を挿通可能な複数の貫通孔31とを有する。
前記回転子鉄心内における前記永久磁石の外周側の領域に前記複数の鉄心ブロック及び前記ダクト部材を軸方向に貫通して配置された、導体で構成された複数の棒部材をさらに有する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の回転電機の回転子。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
【0012】
<回転電機及び空気冷却器の構成>
まず、本実施形態に係る回転電機1及び空気冷却器5の構成について説明する。
図1に示すように、回転電機1は、固定子3の内側に回転子2を備えたインナーロータ型の発電機である。回転電機1は、回転子2及び固定子3と、回転子2及び固定子3を収容した円筒状の本体フレーム4と、回転子2及び固定子3を冷却する空気冷却器5と、回転子2が固定されたシャフト10と、を備えている。
【0013】
固定子3は、本体フレーム4の内周側に配置された固定子リブ41に設けられる。固定子3と回転子2とは、半径方向に所定間隙を空けて配置されている。回転子2は回転子鉄心20を備え、固定子3は固定子鉄心40を備える。回転子2及び固定子3には、回転子鉄心20及び固定子鉄心40内を径方向に貫通する通風ダクト18が設けられている。また、回転子鉄心20の内周面側には、
図3に示すように、周方向の複数個所にシャフト10との間に軸方向の空気通路19が設けられている。シャフト10は、本体フレーム4の負荷側(
図1中右側)に設けられた負荷側ブラケット12aに外輪が嵌合された負荷側軸受13aと、本体フレーム4の反負荷側(
図1中左側)に設けられた反負荷側ブラケット12bに外輪が嵌合された反負荷側軸受13bとにより回転自在に支持されている。
【0014】
空気冷却器5は、シャフト10の反負荷側の端部に取り付けられた外部ファン14と、シャフト10の反負荷側ブラケット12bと回転子2との間に取り付けられた内部ファン15と、本体フレーム4の上部に配置された複数本の冷却パイプ16と、外部ファン14の反負荷側に空気吸入口17aを有し、外部ファン14から冷却パイプ16の負荷側端部までを覆う冷却器フレーム17とを備えている。
【0015】
空気冷却器5は、シャフト10の回転により外部ファン14及び内部ファン15を回転させる。外部ファン14は、空気吸入口17aから外部空気を取り入れて、取り入れた外部空気を冷却パイプ16内に送り込む。また、内部ファン15は、本体フレーム4内の内部空気を冷却風として空気通路19(
図3参照)内を通して負荷側から軸方向に吸引し、冷却風を遠心力によって空気通路19から通風ダクト18に送り込んで、通風ダクト18内を径方向外側に向けて流し、回転子2及び固定子3を冷却する。回転子2及び固定子3を冷却した内部空気は、固定子3の径方向外側を本体フレーム4に沿って反負荷側に流れ、内部ファン15により冷却パイプ16の設置領域に送風される。これにより、内部空気は冷却パイプ16内を流れる外部空気との熱交換により冷却されて、再び本体フレーム4内に循環される。
【0016】
以上のように、本実施形態の空気冷却器5は、外部より取り入れる外部空気と回転電機1を冷却する内部空気とを別系統とした冷却器であり、例えば屋外で使用する場合に適したものであるが、回転電機1の空気冷却器はこれに限定されるものではない。
【0017】
<回転子の構成>
図2及び
図3に示すように、回転子2は、シャフト10の軸方向に配列された複数の鉄心ブロック21を有する上記回転子鉄心20と、鉄心ブロック21の相互間に配置された複数のダクト部材22と、各鉄心ブロック21に埋め込まれた複数の永久磁石23とを備える。永久磁石23は、ダクト部材22を軸方向に貫通して鉄心ブロック21内に挿入される。
【0018】
複数の鉄心ブロック21及びダクト部材22は、シャフト10の周囲を囲む環状に形成される。
図3に示すように、シャフト10には、周方向の複数箇所(
図3に示す例では例えば90°間隔の4箇所)に軸方向のシャフトリブ24が立設される。このシャフトリブ24により、鉄心ブロック21及びダクト部材22とシャフト10との間に、軸方向の上記空気通路19が形成される。また
図2に示すように、複数の鉄心ブロック21及びダクト部材22は、シャフトリブ24の外周に設けられた2つの締め金25によって軸方向内側に押圧された状態で、シャフトリブ24を介してシャフト10に固定されている。シャフトリブ24とダクト部材22との間には、シャフト10に対しダクト部材22を周り止めするためのキー26が設けられている。
【0019】
<ダクト部材の構成>
ダクト部材22は、例えばオーステナイト系SUS等の非磁性体で構成されている。
図3に示すように、ダクト部材22は、円板状のダクト板28と、ダクト板28の一方側(負荷側又は反負荷側)の面上に放射状に配置された複数の第1ダクトピース30A,30B及び第2ダクトピース29とを備える。ダクト部材22は、複数の鉄心ブロック21の相互間に配置され、複数の鉄心ブロック21の相互間に上記通風ダクト18を形成している。
【0020】
ダクト板28の外周部には、永久磁石23を挿通可能な複数の貫通孔31が設けられている。複数の貫通孔31は、軸方向から見て実質的にV字状に配置された一対の永久磁石23を1組として複数組の永久磁石23が周方向に沿って配列されるように、ダクト板28の外周部に設けられている。
【0021】
第1ダクトピース30A,30Bは、周方向において複数の貫通孔31の相互間に位置し、ダクト板28の内周側の縁部近傍から半径方向に沿って外周側の縁部近傍まで延びるように設置される。第2ダクトピース29は、周方向において貫通孔31と同じ領域に位置し、ダクト板28の内周側の縁部近傍から半径方向に沿って貫通孔31の内周側まで延びるように設置される。つまり、第2ダクトピース29は、第1ダクトピース30A,30Bよりも短く形成される。そして、複数の第1ダクトピース30A,30Bのうち、V字状に配置された一対の貫通孔31の間に位置する第1ダクトピース30Aは、貫通孔31の外周側の領域において2つの傾斜部30aを有する。2つの傾斜部30aは、半径方向に対して周方向一方側及び他方側の各々に向けて(この例では直角以下の角度で)傾斜しており、その結果、第1ダクトピース30Aは半径方向外側が拡開してY字状に形成されている。
【0022】
なお、複数の第1ダクトピース30Aは、上記Y字状の拡開部を形成するために2つの板部材を併設して構成されているが、これに限定するものではなく、他のダクトピースと同様に1つの板部材で構成してもよい。この場合、先端の拡開部を別の板部材で形成すればよい。
【0023】
一方、複数の第1ダクトピース30A,30Bのうち、V字状に配置された一対の貫通孔31と他の一対の貫通孔31との間に位置する第1ダクトピース30Bは、傾斜部を備えておらず、ダクト板28の内周側の縁部近傍から半径方向に沿って外周側の縁部近傍まで直線的に延びるように設置される。これにより、通風抵抗の増大を抑制し、冷却風を通風ダクト18から径方向外側に向けて円滑に流出させることができる。なお、以下において第1ダクトピース30Aと30Bの区別が不要なときは、単に「第1ダクトピース30」又は「ダクトピース30」と略記する。
【0024】
なお、詳細な説明は省略するが、固定子3は、固定子鉄心40に備えられた複数の鉄心ブロックに、永久磁石の設置がなく固定子コイル42が巻回される点を除き、上述の回転子鉄心20と同様に構成されている。すなわち、固定子鉄心40は固定子リブ41に軸方向の空気通路を形成するように取り付けられており、固定子鉄心40の複数の鉄心ブロックの相互間にダクト部材が配置され、固定子鉄心40内を径方向に貫通する通風ダクト18が形成される。
【0025】
<実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態の回転電機1は、複数の永久磁石23がダクト部材22を軸方向に貫通して鉄心ブロック21に埋め込まれた、いわゆるIPM型の回転電機である。
【0026】
そして、回転電機1の回転子2は、複数の鉄心ブロック21の相互間に配置されたダクト部材22を有する。ダクト部材22は、円板状のダクト板28と、このダクト板28上に放射状に配置された複数のダクトピース29,30とを備えており、複数の鉄心ブロック21の相互間に通風ダクト18を形成する。これにより、シャフト10の外周面と回転子鉄心20の内周面との間の空気通路19を軸方向に流通した冷却風を、遠心力によって通風ダクト18内を径方向外側に向けて流通させることができる。このとき、ダクト板28やダクトピース29,30が放熱面として機能するのみならず、ダクトピース29,30のファン作用により強制的に冷却風を流通させることができるので、回転子2を効果的に冷却できる。したがって、冷却性能の優れたIPM型の回転電機1を実現することができる。
【0027】
なお、通風ダクトを有するIPM型の回転電機の構成としては、例えばダクト部材22に磁石挿入用の貫通孔が設けられておらず、ダクト部材22の配設部分で分断された複数の永久磁石を各鉄心ブロック21に埋設した構成が考えられる。このような構成では、各鉄心ブロック21ごとに永久磁石23を挿入する必要がある。これに対し、本実施形態の回転電機1では永久磁石23を挿入するための貫通孔31をダクト部材22に貫通して設けるので、複数の鉄心ブロック21を含む回転子鉄心20全体の積層後に永久磁石23を挿入することができる。したがって、回転子2の製造工程を簡略化できる。
【0028】
また、本実施形態では特に、ダクト部材22のダクト板28に複数の貫通孔31が形成されており、この貫通孔31を貫通して永久磁石23が挿入される。このため、ダクト部材22は挿入される永久磁石23とダクトピース29,30との干渉を防止する必要がある。
【0029】
そこで、本実施形態では、周方向において複数の貫通孔31の相互間に位置する第1ダクトピース30については、半径方向に沿ってダクト板28の内周側の縁部近傍から外周側の縁部近傍まで延びるように設置し、それ以外の周方向において貫通孔31と同じ領域に位置する第2ダクトピース29については、半径方向に沿ってダクト板28の内周側の縁部近傍から貫通孔31の内周側まで延びるように設置する。これにより、挿入される永久磁石23とダクトピース29,30との干渉を防止しつつ、通風ダクト18の形成に必要な最低限のダクトピースを配置することができる。
【0030】
また、本実施形態では特に、第1ダクトピース30Aは、貫通孔31の外周側の領域で半径方向に対して傾斜した傾斜部30aを有する。これにより、次の効果を得る。すなわち、前述のように、複数の鉄心ブロック21の相互間にダクト部材22が配置された回転子鉄心20は、両端部を締め金25等の押さえ部材により押圧しつつ固定される。このため、ダクト部材22を挟む両側の鉄心ブロック21は相互に近づく方向に押圧されているが、ダクト部材22のダクトピース29,30が突っ張り部材となり、各鉄心ブロック21における積層された電磁鋼板の間隔が保持される。
【0031】
しかしながら、ダクト部材22の周方向における貫通孔31と同じ領域では、第2ダクトピース29が貫通孔31の内周側までしか延ばせないので、貫通孔31の外周側はダクトピースが設置されない。このため、貫通孔31の外周側の領域では、突っ張り部材の不在により、
図4に示すように、鉄心ブロック21の端面21aが上記押圧力により通風ダクト18内に膨らむように変形する可能性がある。この場合、積層された電磁鋼板の間隔に開きが生じ、回転振動による電磁鋼板の破損を招く可能性がある。
【0032】
本実施形態では、第1ダクトピース30Aが、貫通孔31の外周側の領域で半径方向に対して傾斜した傾斜部30aを有するので、第1ダクトピース30Aの傾斜部30aを上記変形の可能性がある領域に向かって延びるように設置することができる。その結果、突っ張り部材が不在の領域を縮小できるので、上記鉄心ブロック21の端面の変形を防止することができる。つまり、第1ダクトピース30Aは、ダクト部材により形成された通風ダクトの貫通孔31の外周側の領域で両側の鉄心ブロックの端面を突っ張る手段の一例である。
【0033】
また、本実施形態では特に、第1ダクトピース30Aが、半径方向に対して周方向一方側及び他方側の各々に向けて傾斜した2つの傾斜部30aを有する。これにより、2つの傾斜部30aを、周方向において第1ダクトピース30Aの両側に位置する貫通孔31の各々の外周側の領域に向かって延びるように設置することができる。その結果、突っ張り部材が不在の領域をさらに縮小することができるので、上記鉄心ブロック21の端面の変形防止効果をより高めることができる。なお、本実施形態のように第1ダクトピース30Aの外周側の端部がY字型となるように2つの傾斜部30aを設けることにより、(例えばT字型とする場合よりも)通風抵抗を低減できる効果もある。
【0034】
また、本実施形態では特に、ダクト部材22が非磁性体で構成される。これにより、永久磁石23の漏れ磁束が発生するのを防止することができる。
【0035】
また、本実施形態では特に、軸方向から見て実質的にV字状に配置された一対の永久磁石23が、回転子鉄心20の周方向に沿って複数組配置される。複数の永久磁石23をこのようなV字状の配置とすることにより、隣接する永久磁石23の磁力を回転子2の外周部に集中させ、固定子3での鎖交磁束密度の高密度化を図ることができる。
【0036】
<変形例>
なお、開示の実施形態は、上記に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を説明する。
【0037】
(1)第1ダクトピースの傾斜部をT字状等に形成する場合
上記実施形態では、第1ダクトピース30Aを、貫通孔31の外周側の領域において半径方向に対して周方向一方側及び他方側に向けて直角以下の角度で各々傾斜した2つの傾斜部30aを有するY字状に形成したが、傾斜部30aの形状はこれに限定されない。第1ダクトピース30Aの傾斜部30aの変形例の一例を
図5(a)及び
図5(b)に示す。
【0038】
図5(a)に示す場合は、傾斜部30aが貫通孔31の外周側の領域において半径方向に対して周方向一方側及び他方側に向けて直角に傾斜されることで、第1ダクトピース30Aの外周側先端が実質的にT字状に形成されている。
図5(b)に示す場合は、傾斜部30aが貫通孔31の外周側の領域において半径方向に対して周方向一方側又は他方側に向けて直角に傾斜されることで、第1ダクトピース30Aの外周側先端が実質的にL字状に形成されている。
【0039】
第1ダクトピース30Aの外周側先端の形状が
図5(a)及び
図5(b)のいずれの場合であっても、貫通孔31の外周側の領域に傾斜部30aを延びるように設置できるので、上記実施形態と同様、鉄心ブロック21に対する突っ張り部材が不在の領域を縮小でき、鉄心ブロック21の端面の変形を防止することができる。
【0040】
(2)永久磁石の外周側に導体の棒部材を貫通して設置する場合
本変形例の一例を
図6に示す。
図6に示すように、本変形例では、回転子鉄心20内における各組の永久磁石23の外周側の領域に、複数の鉄心ブロック21及びダクト部材22を軸方向に貫通した導体で構成された複数(この例では一対の永久磁石23の各組ごとに3本。但し本数は限定されない)の棒部材33が配置されている。棒部材33は、第1ダクトピース30Aの2つの傾斜部30aの周方向両側及びその中間部近傍にそれぞれ位置している。これら複数の棒部材33は、その軸方向端部がそれぞれ図示しない短絡片によって電気的に接続されており、回転電機1の運転中に何らかの原因で回転速度が不安定となった場合に、制動トルクを発生させ、回転速度を安定化させるいわゆる制動巻線として機能する。
【0041】
棒部材33は、複数の鉄心ブロック21及びダクト部材22に対し貫通した状態で、例えば接着剤により固定される。つまり、本変形例では、ダクトピース29,30に加えて複数の棒部材33についても突っ張り部材として機能させることができるので、鉄心ブロック21の端面の変形防止効果をより高めることができる。つまり、棒部材33は、ダクト部材により形成された通風ダクトの貫通孔31の外周側の領域で両側の鉄心ブロックの端面を突っ張る手段の一例である。
【0042】
また本変形例によれば、固定子3と回転子2とのギャップ間の磁束密度に高調波成分が含まれる場合、回転子2の表面に渦電流を誘起し、発熱による渦電流損が生じる可能性があるが、電流が棒部材33に流れることにより、渦電流損を低減することが可能である。
【0043】
また、回転電機1において何らかの原因で三相突発短絡が生じた場合、定格電流の数倍の電流が流れ、その大電流により永久磁石23が減磁する可能性があるが、電流が棒部材33に流れることにより、永久磁石23の減磁を軽減することが可能である。
【0044】
(3)L字状の傾斜部と導体の棒部材とを組み合わせた場合
本変形例の一例を
図7に示す。本変形例では、
図7に示すように、ダクト部材22の第1ダクトピース30Aは、貫通孔31の外周側の領域において半径方向に対して周方向一方側に向けて直角に傾斜した傾斜部30aを有しており、外周側の先端が略L字状に形成される。また、各組の永久磁石23の外周側の領域に、複数の鉄心ブロック21及びダクト部材22を軸方向に貫通した導体で構成された1本(複数でもよい)の棒部材33が配置されている。棒部材33は、貫通孔31の外周側の領域におけるL字状の傾斜部30aの延出方向とは反対側に配置されている。
【0045】
本変形例によっても、第1ダクトピース30Aの傾斜部30a及び棒部材33が突っ張り部材となり、鉄心ブロック21の端面の変形を防止することができる。また、回転電機1の回転速度を安定化させる等の制動巻線の機能も発揮させることができる。
【0046】
(4)傾斜部を有しない第1ダクトピースと導体の棒部材とを組み合わせた場合
本変形例の一例を
図8に示す。本変形例では、
図8に示すように、ダクト部材22の第1ダクトピース30Aは、V字状に配置された一対の永久磁石23(貫通孔31)の間に位置し、傾斜部を備えずに半径方向にダクト板28の外周側の縁部近傍まで直線的に延びている。また、各組の永久磁石23の外周側の領域には、複数の鉄心ブロック21及びダクト部材22を軸方向に貫通した導体で構成された複数(この例では2本。但し3本以上としてもよい)の棒部材33が配置されている。棒部材33は、第1ダクトピース30Aの周方向両側に配置されている。
【0047】
本変形例によっても、第1ダクトピース30A及び棒部材33が突っ張り部材となり、鉄心ブロック21の端面の変形を防止することができる。また、制動巻線の機能も発揮させることができる。
【0048】
(5)屋内配置用の回転電機の場合
上記実施形態では、屋外配置に適した空気冷却器5を用いる場合を一例として説明したが、屋内配置用の空気冷却器を用いてもよい。本変形例の一例を
図9に示す。本変形例の空気冷却器5Aは、
図1に示す外部ファン14及び冷却パイプ16を具備しておらず、シャフト10に取り付けられた内部ファン15を用いて、本体フレーム4内に外部空気を直接取り入れる。そして、空気冷却器5Aは、取り入れた外部空気を冷却風として回転子2及び固定子3を冷却し、冷却後の空気は本体フレーム4から外部に排気する。
【0049】
図9に示すように、回転子2及び固定子3を収容した本体フレーム4の外周面には、負荷側及び反負荷側の位置に、空気吸入口35a及び35bが設けられている。また、本体フレーム4の上部には排気塔36が設けられている。なお、図示は省略するが、本変形例の回転電機1では、内部ファン15がシャフト10の回転子2の軸方向両側に配置されている。それ以外の回転電機1の構成は、前述の実施形態と同様である。
【0050】
空気冷却器5Aは、本体フレーム4内でシャフト10の負荷側及び反負荷側の位置に取り付けられた内部ファン15が回転することにより、空気吸入口35a及び35bから外部の空気を取り入れる。そして、空気冷却器5Aは、取り入れた空気を冷却風として空気通路19内を通して軸方向に吸引し、冷却風を遠心力によって空気通路19から通風ダクト18に送り込んで、通風ダクト18内を径方向外側に向けて流し、回転子2及び固定子3を冷却する。冷却後の空気は、通風ダクト18から排気塔36に流入し、排気塔36から外部に排気される。このように、空気冷却器5Aは、外部の空気を直接回転電機1の冷却に使用するので、例えば屋内で使用する場合に適している。
【0051】
本変形例の空気冷却器5Aは、外部の空気を直接回転電機1の冷却に使用するので、冷却器フレーム17や外部ファン14、冷却パイプ16等が不要となり、装置を小型化することができる。
【0052】
(6)通風ダクトの位置を固定子と回転子でずらす場合
上記実施形態では、
図1に示すように、通風ダクト18の位置を固定子3と回転子2とで一致させる場合を一例として説明したが、必ずしも一致させる必要はない。例えば
図10に示すように、通風ダクト18の位置を固定子3と回転子2とでずれた位置としてもよい。
【0053】
(7)導体の棒部材の外周に切り欠きを設ける場合
例えば
図11に示すように、回転子鉄心20内における各組の永久磁石23の外周側の領域に導体で構成された複数の棒部材33を設置する場合に、各棒部材33の外周側に切り欠き37を形成してもよい。この切り欠き37は、回転子鉄心20に棒部材33の挿通孔を打ち抜いて形成する際に併せて形成すればよい。
【0054】
(8)その他
以上では、回転電機が発電機である場合を一例として説明したが、本実施形態は、回転電機がモータである場合にも適用することができる。
【0055】
また、以上の説明における「直角」とは、厳密な意味での垂直ではない。すなわち、「直角」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に直角」という意味である。
【0056】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0057】
その他、一々例示はしないが、上記実施形態や各変形例は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。