(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】5680411
(24)【登録日】2015年1月16日
(45)【発行日】2015年3月4日
(54)【発明の名称】故障したバッテリセルを非活性化する方法
(51)【国際特許分類】
H01M 2/34 20060101AFI20150212BHJP
H01M 2/10 20060101ALI20150212BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20150212BHJP
H01M 10/42 20060101ALI20150212BHJP
【FI】
H01M2/34 A
H01M2/10 E
H01M10/48 P
H01M10/42 P
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2010-516979(P2010-516979)
(86)(22)【出願日】2008年6月20日
(65)【公表番号】特表2010-533361(P2010-533361A)
(43)【公表日】2010年10月21日
(86)【国際出願番号】US2008007756
(87)【国際公開番号】WO2009011748
(87)【国際公開日】20090122
【審査請求日】2010年1月13日
(31)【優先権主張番号】11/779,620
(32)【優先日】2007年7月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509316442
【氏名又は名称】テスラ・モーターズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100129746
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 滋郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147762
【弁理士】
【氏名又は名称】藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】ユージン・マイケル・ベルディチェフスキー
(72)【発明者】
【氏名】カート・ラッセル・ケルティ
(72)【発明者】
【氏名】スコット・イラ・コーン
【審査官】
佐藤 知絵
(56)【参考文献】
【文献】
特開2000−133318(JP,A)
【文献】
米国特許第05227259(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/42
H01M 10/48
H01M 2/34
H01M 2/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列に接続される複数のバッテリセルで構成されるバッテリセル群を複数備えたバッテリパック内から短絡したバッテリセルを識別し、選択的に電気的に切り離す方法であって、
前記方法は、
前記バッテリセル群の少なくとも1つの性能パラメータを監視して前記バッテリセル群に短絡が存在するか否かを判定するステップと、
前記短絡が存在すると判定された前記バッテリセル群の中において前記短絡が存在するバッテリセルを特定するため、前記バッテリセル群の各バッテリセルに対応して各バッテリセルと共通コレクタプレートとの間にそれぞれ設けられるスイッチをひとつずつ操作して、前記バッテリセル群の各バッテリセルを前記バッテリセル群からひとつずつ一時的に電気的に切り離し、前記バッテリセル群の前記少なくとも1つの性能パラメータを監視するステップと、
前記各バッテリセルをひとつずつ前記バッテリセル群から一時的に切り離すときの前記少なくとも1つの性能パラメータの値から、前記バッテリセル群内において短絡したバッテリセルを識別するステップと、
前記バッテリセル群から短絡したと識別されるバッテリセルを恒久的に切り離すように、前記短絡したと識別されるバッテリセルに対応する特定のスイッチを操作するステップと
を備えることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記少なくとも1つの性能パラメータに、前記バッテリセル群に対する自己放電率が含まれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つの性能パラメータに、前記バッテリセル群における抵抗を用いた電圧のバランス調整に掛かる時間が含まれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つの性能パラメータに、電圧のバランス調整に必要とされるエネルギー量が含まれることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記スイッチの操作は、前記スイッチを、閉じられた状態から開かれた状態へ変化させることであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記スイッチは、トランジスタであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
並列に接続される複数のバッテリセルで構成されるバッテリセル群を複数備えたバッテリパック内から短絡したバッテリセルを識別し、選択的に電気的に切り離す装置であって、
前記装置は、
共通コレクタプレートと、
前記コレクタプレートと、前記複数のバッテリセルの各々に接続され、電子制御される複数のスイッチと、
前記バッテリセル群に短絡が存在するか否かを判定する手段と、
前記短絡が存在すると判定された前記バッテリセル群の中において、前記短絡が存在するバッテリセルを特定するために、前記複数のスイッチを順次操作して前記バッテリセル群の各バッテリセルを一つずつ一時的に共通コレクタプレートから電気的に切り離し、これにより短絡が存在するバッテリセルを特定する手段と、
前記グループの中の前記短絡したバッテリセルに対応する特定のスイッチを操作して前記短絡したバッテリセルを前記共通コレクタプレートから恒久的に切り離す手段と
を備えることを特徴とする装置。
【請求項8】
プリント回路基板をさらに備え、前記複数のスイッチは、前記プリント回路基板に取り付けられることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記複数のスイッチの操作は、前記スイッチを、閉じられた状態から開かれた状態へ変化させることであることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、バッテリパックの中のセルに関連し、特に、電気車両又は他の工業設備における使用のために、バッテリパックから故障したか又は不良なバッテリセルを非活性化する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリパックは、長年にわたり電気車両(例えば、自動車、ボート、航空宇宙機)及び他の工業設備アプリケーションの中で使用されている。これらの従来技術の車両及び設備で使用された電気システムの大部分が、短絡する可能性を最小にし、かつ、緊急要員及び他の一般の人々への電圧露出の可能性を減少させるように設計されている。そのような予防措置は、高電圧遭遇及び状況による感電死又は他の負傷の可能性を減少させるのを促進する。車両のクラッシュ、高温状況又は他の短絡(車両か工業設備で発生する)のため、電気回路を切断する電気システムを提供する多くの異なった試みがある。これらの従来技術システムの大部分が回路からバッテリを切断し、したがって、開回路を作成し、かつ、危険な高電圧状況から応答者及び他の人々を保護する。一般に、所定の力が車両又は設備に作用するとき、又は、所定の熱イベントがバッテリの回路及び/又は電気システムの中で発生したとき、これらの従来技術システムはバッテリパックを切断する。
【0003】
バッテリセルを切断するための従来技術方法の1つは、バッテリセルに溶接又は接合され、かつ、機械的な力がそれに作用された場合に壊れることが可能な導線を使用することである。従来技術において、これらの従来技術システムに関する1つの問題は、それが車両又は設備との関連で極限力又は状況にさらされない場合、壊れることのできる導体の機械的な強さが、過度であり、かつ、導体が壊れるのを許容しないことである。したがって、電気車両の供給からの電力の切断は、元々設計されているとしてすべての緊急事態中に発生するとは限らず、かつ、短絡(バッテリセルの記憶容量、及び、充電を保持するためのバッテリセルの寿命及び耐久性に影響のある)に対して発生しない。その上、セルへのワイヤ接合導体の従来技術方法の大部分が一貫した接続を提供していない。高熱イベントなどの現在のメカニズムは、導体を壊さず、その結果、設備が回路電力(事故現場の第1応答者に感電死と負傷をもたらす)に接続された状態のままにさせておく。また、これらの従来技術方法の一部は、ブスバー(bus bar)又はコネクタプレートにバッテリセルを接続するために絶縁除去導体(insulation displacement conductor)を試み、また、機械的なクリンピング又は圧力クリンピングは、ブスバーにバッテリセルを接続するのに使用される。その上、これらの従来技術システムの大部分は、単に、車両事故又は全体的な短絡(hard short circuit)の間に切断するが、バッテリパック環境内で充電又は使用中に、内部の部分的な短絡(internal weak short)又は部分的な問題となる短絡(problematic weak short)を受けているバッテリセルを切断しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、電気車両又は工業設備のバッテリパックから、故障したか又は不良なバッテリセルを非活性化する改善された方法のための技術が必要とされている。その上、どの個別セルが部分的な短絡、部分的な問題となる短絡を有するかを検出することができ、その結果、電気回路から不良なセルを分離するか又は取り除く方法のための技術が必要とされている。また、低コスト製造方法、及び、電気車両のバッテリパックから故障したか又は不良なセルを非活性化するための装置のための技術が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの目的は、バッテリパックから不良なバッテリセルを非活性化する改良方法を提供することである。
【0006】
本発明の別の目的は、電気車両又は工業設備における使用のため、バッテリパックから不良なバッテリセルを非活性化する方法を提供することである。
【0007】
本発明の別の目的は、バッテリパックシステム内で部分的な短絡を有するセルを見つけ、かつ、切断することができるインテリジェントアーキテクチャを提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、スイッチのすべてを制御するために、電子制御されたスイッチ及び埋め込みされたプロセッサに、すべてのセルを直列で電気的に接続する方法を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、長い電気的な休止期間中に、どの
並列なセル群が最も多く自己放電するかをトラッキングすることによって、部分的な短絡を検出するための方法を提供することである。
【0010】
本発明のさらに別の目的は、各セル群又はセルのブリック(brick of cells)が抵抗性電圧平衡(resistant voltage balancing)を必要とする時間をトラッキングすることによって、どのセルに部分的な短絡があるかを検出する方法を提供することである。一般に、最少の平衡を必要とするそれらは、最も低い容量を有し、かつ、その中に部分的な短絡があるセルを有する。
【0011】
本発明の別の目的は、セル中に直接一体化されたスイッチを備えたバッテリパックにおいて使用するためのバッテリセルを提供し、その結果、パッケージ、及び、バッテリパックシステム内の故障したバッテリセルを検出する複雑さを減少させることである。
【0012】
上記した目的を達成するために、電気車両のエネルギーストレージシステムのセルのバッテリパックから、不良なバッテリセルを非活性化するための装置及び方法が開示されている。前記装置は、前記セルの端部に配置されたクラムシェル部材と、前記クラムシェル部材に隣接して配置されたプリント回路基板とを備えている。コレクタプレートは、前記プリント回路基板に隣接して配置されている。スイッチは、プリント回路基板と、前記スイッチ及び前記セルのうちの1つの間に配置されたワイヤボンドと、前記スイッチ及び前記コレクタプレートの間に配置された第2ワイヤボンドとの上に配置される。前記システムは、どのセルがその中に部分的な短絡回路を有するかを識別し、かつ、それに接続された前記スイッチを開くことによって、前記バッテリパックシステムから、そのセルを分離するか、又は、取り除くことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の1つの利点は、電気車両又は他の工業設備における使用のため、バッテリパックシステムから故障したか又は不良なバッテリセルを非活性化するための新規かつ改善された方法及び装置を提供することである。
【0014】
本発明のまだ更なる利点は、不良なバッテリセルを非活性化する方法の使用を可能にして、どのセルが部分的な短絡、部分的な問題となる短絡、又は、全体的な短絡をそれに発生させるかを識別することができることである。
【0015】
本発明の別の利点は、バッテリパックシステム内で部分的な短絡を有するセルを見つけ、かつ、切断することができるインテリジェントアーキテクチャを提供することである。
【0016】
本発明の別の利点は、スイッチのすべてを制御するのに使用するために、電子制御されたスイッチ及び埋め込みされたプロセッサに、バッテリパック内のすべてのセルを電気的に直列で接続することである。
【0017】
本発明のさらに別の利点は、その上のスイッチを開くとき、開放回路を設けることによって、部分的な短絡回路を有すると検出される1つのセルをオフにする方法を提供することである。
【0018】
本発明の別の利点は、長い車両の休止期間中に、どの
並列なセル群が最も多く自己放電するかをトラッキングすることができ、その結果、部分的な短絡を有するセルの位置を識別することである。
【0019】
本発明のさらに別の利点は、セルの各ブリックが抵抗性平衡を必要とする時間をトラッキングする方法を提供することである(したがって、最少を必要とするそれらが、最も少ない容量を有し、かつ、その中に部分的な短絡又は問題となる短絡のあるセルを有する)。
【0020】
その上、どのセルが、バッテリパック電圧の平衡中に、ブリーダー(bleeder)セルが提供することができるよりも、より多くのエネルギーを必要とするかを検出することも本発明の利点である。
【0021】
本発明の目的、特徴、及び利点は、添付図面に伴う以下の説明及び添付の特許請求の範囲から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明による不良なバッテリセルを非活性化するための装置の側面図を示している。
【
図2】本発明による不良なバッテリセルを非活性化するための装置の平面図を示している。
【
図3】本発明による故障したか又は不良なバッテリセルを非活性化する1つの方法のフローチャートを示している。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図には、電気車両又は他の工業設備における使用のため、バッテリパックから故障したか又は不良なバッテリセルを非活性化するための方法10および装置が示されている。図に示されたバッテリパック又はエネルギーストレージシステムは、電気車両において使用するためのものであるが、バッテリパック及びバッテリセル12は、多数の産業(どのようなタイプの車両でも、又は、エアロスペース、海洋、航空、工業設備に対処する技術、及び、非活性化させることを介して、電気システム内の故障したか又は不良なセルを分離するか、又は、取り除く必要のある他の設備及び他の電気システムを含んでいるが、これに限定されない)において使用される既知の組み合わせ及び設計で使用してもよいことに注意しなければならない。
【0024】
一般に、本発明のエネルギーストレージシステム又はバッテリパックは、所定数のバッテリモジュール又はシートと、メインコントロールと、論理PCBと、12ボルトの電源とを具備している。1つの熟考された実施例では、エネルギーストレージシステムは、11個のバッテリモジュール又はシート(略375ボルトのDCを発生することができる)を備える。本発明は、リチウムイオンセルで作られているバッテリ又はセル12を使用してもよく、特に、1実施例では、電気車両のために、商品18650フォームファクタ(commodity 18650 form factor)リチウムイオンセルを使用する。本発明のバッテリパックは、公称375ボルトでオペレーションし、かつ、エンジンのモーターに略240馬力を供給する。1つの熟考された実施例におけるエネルギーストレージシステムは、6831個の個別リチウムイオンセル12を備え、これらのセル12は、
並列な69個のセル12群で電気的に接続され、これらの69個のセル群のそれぞれは、ブリック(brick)と呼ばれる電気モジュールを構成する。次いで、ブリックは、シート(sheets)と呼ばれるエネルギーストレージシステムの個別のバッテリモジュールの中で直列に接続される。各シート又はバッテリモジュールは、単一の機械的なアセンブリであり、かつ、電気的に直列で接続された9個のブリックからなる。一般に、各シートは、略35ボルトDCの公称電圧を有する。その上、各シートは、機械的なマウントシステム、バッテリ監視ハードウェアエレクトロニクス、及び、熱管理システム又は冷却システム、及び、車両及びその車両の乗員に対して適切な保護を確実にするための様々な安全システムを含んでもよい。これらのシートのそれぞれは、ESSエンクロージャの中に固定して取り付けられ、かつ、相互に直列で電気的に接続される。また、エネルギーストレージシステムは、エネルギーストレージシステムの各シートに関連付けられ、かつ、そのシートの中のすべてのブリックの電圧レベル、温度、及び他のパラメータを監視するバッテリ監視ボードを含んでもよい。
【0025】
エネルギーストレージシステム(ESS)の中の各セル12は、部分的な短絡、部分的な問題となる短絡、又は全体的な短絡に影響されやすい。一般に、部分的な短絡は個別セル12に対して内部にある。これらの部分的な短絡は、バッテリ12の平衡中に、バッテリ監視ボードを通して検出してもよい(バッテリ監視ボードによって平衡能力が減少され、したがって、ESSが使用中でないとき、各ブリックが平衡をとる時間の割合がトラッキング及び監視されて、どのセル12が部分的な短絡を有するかを決定する)。部分的な問題となる短絡は、単一のセルが平衡中に必要とするエネルギー量が、ブリーダーブリック又はセル12がそれに供給可能であるエネルギーよりも多いことを通して識別してもよい。これによって、セル12は部分的な短絡をおそらく有し、かつ、バッテリパックから取り除くか、又は分離しなければならないことを、車両管理システム及び電気車両の関連したオンボードコンピュータに信号を送る。ワイヤボンドの形態のヒューズが、高電圧、大電流、又は高温状況の間に、又は、車両事故又は他の異常な状況(電気車両及びエネルギーストレージシステムに影響する)の間に、トリップ又は切れるとき、全体的な短絡は発生する。
【0026】
本発明の方法10は、
図1〜3に示されているように、部分的な短絡、部分的な問題となる短絡、及び全体的な短絡を検出することができる。1つの熟考された実施例における方法10は、バッテリ監視ボード(セル12の電圧の平衡をとるためのエネルギーストレージシステムの各シートに取り付けられている)をチェックしてもよく(ステップ14)、したがって、セル18の必要な電圧平衡が車両管理システムに報告され、したがって、部分的な短絡セル12が特定され(ステップ18)、かつ、顧客への配達時点の前か、又は、電気車両エネルギーストレージシステム内に設置する前に、バッテリパックから分離されるか、又は取り除かれる(ステップ20)。本発明に従って、どの個別セル12がそこに部分的な短絡を有するかを検出するためのどのような方法(ステップ16)でも使用してもよい。
【0027】
1つの熟考された方法10では、部分的な短絡は、バッテリ監視ボード(バッテリ監視ボードが、車両の長い休止期間中に、どの
並列なセル群12が最も多く自己放電するかをトラッキングする)を通して検出してもよい。セル12群(この期間中に、最も自己放電する)によって、方法は、セル12が部分的な短絡を有し、かつ、電気車両の非使用中に、セル12から常に電圧を流出しているものを分離することができる。どのセルが部分的な短絡を有するかを識別するために熟考された別の方法は、エネルギーストレージシステムの各ブリックが抵抗性平衡を必要とする時間をトラッキングする。それらのブリック(電圧平衡方法の間に、最小量の抵抗性平衡を必要とする)は、最も低い容量を有し、したがって、そこに部分的な短絡のあるセル12を有する。したがって、次いで、そのブリックは、方法(どのセル12がブリックの中に部分的な短絡を有するかを識別する)によって、さらに調べられる。
【0028】
また、部分的な問題となる短絡が発生するとき、方法10が、バッテリパックの熱管理を通して、バッテリパック全体及び個別セル12に影響する部分的な短絡を有する可能性を減少させて、個別セルが熱くなり過ぎるか、又は、冷たくなり過ぎないこと(個別バッテリセルの中で発生する部分的な短絡回路に導く)を確実にすることが熟考される。その上、充電管理方法(エネルギーストレージシステムの個別バッテリセル12のいずれも、バッテリパックの充電中に、過度に充電されないことを確実にする)を使用することも熟考される。セルの過度な充電は、熱衝撃をセルに作成し、かつ、その中でセルカソード又はアノードへの内部の部分的な短絡となる。したがって、本発明の方法か、又は、本発明の電気車両に関連付けられたサービスマニュアルの使用を通した訓練されたサービス技術者による調査は、顧客への配達時点の前か、又は、消費者のためにエネルギーストレージシステムを電気車両内に配置する前に、電気車両が部分的な短絡セル12をチェックされるのを確実にする。この初期調査中に、部分的な回路が検出された場合、バッテリセル12をバッテリパックシステムから分離するか又は取り除いてもよく、又は、部分的な短絡セルが位置しているシート全体を、車両に挿入するか又は顧客への配達の前に、交換してもよい。
【0029】
マルチセルバッテリパックから、不良なバッテリセル12を検出し、かつ、分離するか、又は取り除くための1つの熟考された実施例は、本発明のインテリジェントアーキテクチャを使用する(そのアーキテクチャは、その中に部分的な短絡を有するセル12を見つけ、かつ、切断することができる)。本発明は、より大規模なフォームファクタのセルと共に使用してもよく、かつ、スイッチ、プリント回路基板アセンブリ(PCB)、製造、及び同様のもの(スイッチの数がエネルギーストレージシステムの中で減少するので減る)の費用として、そのようなセルに、大きな利点を提供してもよいことに注意しなければならない。一般に、現在のバッテリアーキテクチャには、バッテリパックからモジュールを取り除き、かつ、物理的に電気的な接触を壊すことなく、
並列なセル群の残りから、部分的な短絡を有するセルを切断する方法が全くないことに注意しなければならない。これは、電気車両のサービス(電気車両のメーカーに対して不便で、高価で時間のかかる)を必要とする。
【0030】
インテリジェントアーキテクチャをオペレーションする1つの方法及び装置は、スイッチ22のすべてを制御するために、すべてのセル12と、電子制御されたスイッチ22及び埋め込みされたプロセッサ24とを直列で電気的に接続する。1つの熟考された実施例では、電子制御されたスイッチ22はPCB26上に配置されている。スイッチ22は、トランジスタ、MOSFET、JFETなどの形態であってもよい。別の熟考された実施例では、埋め込みされたプロセッサ24が、PIC又は他の既知のプロセッサの形態で、PCB26上に配置されることに注意しなければならない。また、埋め込みされたプロセッサ24が、バッテリパックから離れて配置してもよく、かつ、バッテリ監視ボード、車両管理システム、又は電気車両の中の他のオンボードコンピュータ上に配置してもよいことに注意しなければならない。装置は、全体のエネルギーストレージシステムのために、スイッチの電気ネットワークを形成する。
【0031】
図1〜3に示されているように、エネルギーストレージシステムのセル12は、クラムシェル部材28の中に配置され、クラムシェル部材28は、エネルギーストレージシステムの各セル12を受け、かつ、保つためにカウンタボアを備えている。クラムシェル部材28に直接隣接して配置されているのは、プリント回路基板(PCB)26である。次いで、コレクタプレート30はPCB26の上面に取り付けられている。したがって、PCB26は、クラムシェル部材28の表面とコレクタプレート30の表面との間に挟まれている。PCB26は、その上に少なくとも1つのスイッチ22を配置してもよく、かつ、1つの熟考された実施例では、また、その上に配置される埋め込みされたプロセッサ又はマイクロプロセッサ24を備えてもよい。どんな方法も、クラムシェル部材28のカウンタボアにバッテリセル12、PCB26にクラムシェル28、及び、コレクタプレート30にPCB26を接続するのに使用してもよいことに注意しなければならない。次いで、電気的接続32が、セル12と、PCB26上のスイッチ22の片側との間に設けられる。第2の電気的接続34は、スイッチ22の反対側及びコレクタプレート30の表面から設けられる。1つの熟考された実施例では、超音波で接合した(ultrasonically bonded)アルミワイヤは、コレクタプレート30と、スイッチ22と、スイッチ22と、バッテリセル12との間に電気的接続32、34を設けるのに使用される。しかしながら、既知の他の方法又は他の材料が、セル12と、スイッチ22と、スイッチ22と、コレクタプレート30との間に電気的接続を設けるのに使用してもよいことに注意しなければならない。また、装置は、スイッチ22を制御するために、PCB26と埋め込みされたプロセッサ24との間に配置されたPCBトレース(trace)36を備えてもよい。
【0032】
電気のスイッチ22を、エネルギーストレージシステムのありとあらゆるセル12に接続してもよいことに注意しなければならない。これによって、埋め込みされたプロセッサ22、車両管理システム又は他のオンボードコンピュータシステムからの命令によって、電気車両の電気システムから、ありとあらゆるセル12を個別に取り除くか、又は、非活性化することができる。また、トランジスタなどの形態でスイッチ22を備え、かつ、セル12に直接一体化されるように熟考され、その結果、PCBボードが、本発明のエネルギーストレージシステムの中に配置される必要性を取り除くことに注意しなければならない。
【0033】
オペレーション中、本発明の装置は、上で説明されたどの方法とも共に使用することができるか、又は、以下に説明される方法と共に使用してもよい。そのような方法の熟考された1つでは、エネルギーストレージシステムの通常オペレーション中に、スイッチ22のすべてが閉じられ、その結果、バッテリパック内のすべてのセル12を相互に接続する。この方法は、バッテリパックの全群で各セル12をひとつずつスイッチオフすることで、どのセル12が部分的な短絡を有するかをプロセッサ24に検出させることによって、部分的な短絡がバッテリパック内のどこかにあるか否かを検出することができる。埋め込みされたプロセッサ24は、短絡がシステムに存続するか否か決定するために、このスイッチオフの間に各セル12を監視する。短絡が存続する場合、プロセッサ24は、まさにどのセル12が、短絡をバッテリパックシステム内で停止させるために、スイッチオフされる必要があるかを識別することができる。このセル12(部分的な短絡を有するとして識別される)は、マイクロプロセッサ22によってタグ付けをされ、次いで、マイクロプロセッサ22は、不良なセル12へのスイッチ22を恒常的にオフにし、その結果、エネルギーストレージシステムの電気回路から部分的な短絡を除去する。
【0034】
代替的な方法は、エネルギーストレージシステムのオフの状態が電力を全く必要としないように、ノーマルオープンポジション(normally open position)で、セル12のすべてを有する。次いで、方法は、車両が充電又は駆動されるとき、小規模な補助バッテリを通して、PCB26に埋め込まれたプロセッサ24に電力を供給して、スイッチ22のすべてを閉じ、その結果、セル12のすべてを相互に接続させる。次いで、電気車両は、駆動、充電され、かつ、同時に、外部バッテリが再充電される。また、この方法は、部分的な短絡がバッテリパック内のどこかに発生するか否かを検出するために、各セルの同じスイッチオフ(ひとつずつの)を使用する。そのようなセル12が部分的な短絡を有すると検出され、かつ、識別されるとき、そのセル12は、マイクロプロセッサ22によって、オフ状態のままにしておかれ、その結果、バッテリパックシステムから、そのセル12及び関連する部分的な短絡を、取り除くか、非活性化するか、又は除去する。この方法の別の利点は、オフ状態は伝送される電力を全く必要としないので、不活性な状態では、バッテリパック及びエネルギーストレージシステムが本来より安全になることであることに注意しなければならない。
【0035】
また、本発明による他の方法及び装置を、マルチセルバッテリパックから、不良なバッテリセルを分離し、識別し、かつ、取り除くのに使用してもよいことに注意しなければならない。また、方法によって、車両のユーザに可聴か又は可視の確認を介して、バッテリの重放電を防ごうとすることが熟考されている。また、車両管理システムは、内部の部分的な短絡がバッテリセルのいずれにも発生しないのを確実にするのを促進してもよい。したがって、部分的な短絡か、部分的な問題となる短絡か、又は全体的な短絡を有する不良なバッテリセルを識別し、かつ、切断することができる他の方法又は装置が、本発明に従って使用されることが可能である。
【0036】
本発明は実例となる方法で説明されている。使用された用語は、制限よりもむしろ、性質上説明することを意図することが理解されなければならない。
【0037】
本発明の多くの変形例及びバリエーションは上記の教示の観点から可能である。したがって、添付された特許請求の範囲の中で本発明は実施される(具体的に説明されたものとは異なる)。
【符号の説明】
【0038】
12 セル
28 クラムシェル部材
26 プリント回路基板(PCB)
30 コレクタプレート
22 スイッチ
24 埋め込みされたプロセッサ
32,34 電気的接続