【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の要旨は以下の通りである。
(1)下記の1〜6の工程によって得られる不快な味を有する薬物を含有する経口製剤
1.不快な味を有する薬物と第一添加剤を含有した混合物を得る工程と、
2.結合剤を造粒液調製用溶媒に溶解または懸濁させて造粒液を得る工程と、
3.前記混合物に前記造粒液を添加し、撹拌造粒装置によって造粒を行い、造粒物を得る工程と、
4.コーティング剤、滑沢剤および/または低粘度の結合剤をスプレー液調製用溶媒に溶解または懸濁させてスプレー液を得る工程と、
5.前記造粒物に前記スプレー液を噴霧し、造粒物を被覆して被覆造粒物を得る工程と、
6.前記被覆造粒物に第二添加剤およびカルボキシメチル基を有する崩壊剤を混合し、打錠する工程。
(2)不快な味を有する薬物が、ドネペジル塩酸塩、ゾルピデム酒石酸塩から選ばれる1種の薬物を含有する(1)記載の経口製剤。
(3)不快な味を有する薬物が、ドネペジル塩酸塩である(1)記載の経口製剤。
(4)第一添加剤が、賦形剤である(1)記載の経口製剤。
(5)コーティング剤がアクリルポリマー系コーティング剤である(1)記載の経口製剤。
(6)コーティング剤がオイドラギットNEである(1)記載の経口製剤。
(7)カルボキシメチル基を有する崩壊剤が、カルメロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルボキシメチルエチルセルロースである(1)記載の経口製剤。
(8)下記の1〜6の工程によって示される不快な味を有する薬物を含有する経口製剤の製造方法
1.不快な味を有する薬物と第一添加剤を含有した混合物を得る工程と、
2.結合剤を造粒液調製用溶媒に溶解または懸濁させて造粒液を得る工程と、
3.前記混合物に前記造粒液を添加し、撹拌造粒装置によって造粒を行い、造粒物を得る工程と、
4.コーティング剤、滑沢剤および/または低粘度の結合剤をスプレー液調製用溶媒に溶解または懸濁させてスプレー液を得る工程と、
5.前記造粒物に前記スプレー液を噴霧し、造粒物を被覆して被覆造粒物を得る工程と、
6.前記被覆造粒物に第二添加剤およびカルボキシメチル基を有する崩壊剤を混合し、打錠する工程。
【0012】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明におけるドネペジルとは、前記(化1)によって表される化合物を指す。ドネペジルはアセチルコリンエステラーゼを阻害することにより脳内のアセチルコリンの分解を抑制する。この効果によって、脳内のコリン作動性神経系の活動低下を防止する薬理効果を示し、アルツハイマー型痴呆症治療薬として用いられている。
【0014】
本発明の経口製剤に用いることが可能な不快な味を有する薬物とは、服用時に苦味などが強く、服用が困難となる薬物が挙げられる。
具体的には、ドネペジル塩酸塩、ゾルピデム酒石酸塩、リスペリドン、アムロジピンベシル酸塩などが挙げられる。
本発明において最も好ましい不快な味を有する薬物はドネペジル塩酸塩である。
【0015】
本発明の経口製剤に用いることが可能な第一添加剤とは、賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、可塑剤、抗酸化剤、静電防止剤、pH調整剤、流動化剤、界面活性剤、および着色剤等が挙げられる。
【0016】
本発明の経口製剤に用いることが可能な第二添加剤とは、賦形剤、滑沢剤、崩壊剤、抗酸化剤、静電防止剤、pH調整剤、流動化剤、界面活性剤、および着色剤等が挙げられる。
【0017】
本発明の経口製剤に用いることが可能な賦形剤とは、糖アルコール類、糖類、デンプンまたはその誘導体などが挙げられる。
【0018】
本発明の経口製剤に用いることが可能な糖アルコール類としては、具体的にはマンニトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトールおよびソルビトール等が挙げられる。より好ましくはマンニトール、キシリトールであり、最も好ましくはマンニトールである。
【0019】
本発明の経口製剤に用いることが可能な糖類としては、具体的には乳糖、ショ糖、白糖、トレハロース、果糖、ブドウ糖等の水和物もしくは無水和物等が挙げられる。より好ましくは乳糖、ショ糖であり、最も好ましくは乳糖である。
【0020】
本発明の経口製剤に用いることが可能なデンプンまたはその誘導体としては、具体的にはトウモロコシデンプンやバレイショデンプン等が挙げられる。
【0021】
本発明の経口製剤に用いることが可能な結合剤としては、具体的にはアルギン酸ナトリウム、エチルセルロース、カラギーナン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、寒天、コポリビドン、精製セラック、デキストリン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合物、ヒプロメロース、部分アルファー化デンプン、プルラン、ペクチン、ポリビニルアルコールポリエチレングリコールグラフトコポリマー、ポビドン、ポリビニルアルコール、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーLD、メタクリル酸コポリマーSおよびメチルセルロース等が挙げられる。
本発明の造粒液調製時に好ましく用いられる結合剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒプロメロースおよびポリビニルアルコールが挙げられる。
【0022】
本発明に用いられる滑沢剤としては、例えばタルク、酸化チタン、グリセリン、グリセリン脂肪酸エステル、コムギデンプン、ショ糖脂肪酸エステル、ステアリルアルコール、ステアリン酸およびその塩、セタノール、ゼラチン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール類、ポリソルベート類、マクロゴール類、モノステアリン酸グリセリンおよびラウリル硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
本発明のスプレー液調製時に好ましく用いられる滑沢剤としては、ステアリン酸マグネシウム、タルクおよび酸化チタンが挙げられる。
【0023】
本発明に用いられる崩壊剤としては、例えばトウモロコシデンプン、デンプン、結晶セルロース、ステアリン酸およびその塩、タルク、クロスポビドンおよびセルロースまたはその誘導体などが挙げられる。
本発明において好ましく用いられる崩壊剤としては、結晶セルロースおよびトウモロコシデンプンが挙げられる。
【0024】
本発明に用いられる可塑剤としては、例えばトリアセチン、クエン酸トリエチル、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリソルベート80、セバシン酸ジエチル,セバシン酸ジブチル,ステアリン酸などが挙げられる。
【0025】
本発明に用いられる抗酸化剤としては、例えばトコフェロール、アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、エリソルビン酸、塩酸システイン、乾燥亜硫酸ナトリウム、クエン酸水和物、ジブチルヒドロキシトルエン、大豆レシチン、天然ビタミンE、トコフェロール、ピロ亜硫酸ナトリウム、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸プロピルなどが挙げられる。
【0026】
本発明に用いられる帯電防止剤としては、例えば含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ素、タルクなどが挙げられる。
【0027】
本発明に用いられるpH調製剤としては、例えばクエン酸およびその塩、リン酸およびその塩、炭酸およびその塩、酒石酸およびその塩、フマル酸およびその塩、酢酸およびその塩、アミノ酸およびその塩、コハク酸およびその塩および乳酸およびその塩などが挙げられる。
【0028】
本発明に用いられる流動化剤としては、例えば軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、酸化チタン、タルク、ステアリン酸およびその塩、および重質無水ケイ酸などが挙げられる。
本発明において好ましく用いられる流動化剤としては、軽質無水ケイ酸,酸化チタン,タルクが挙げられる。
【0029】
本発明に用いられる界面活性剤としては、例えばリン脂質、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ショ糖脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート類、リン酸水素ナトリウム類およびリン酸水素カリウム類などが挙げられる。
【0030】
本発明に用いられる着色剤としては、例えば三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、タール系色素、アルミニウムキレート、酸化チタンおよびタルクなどが挙げられる。
本発明において好ましく用いられる着色剤としては、酸化チタン、タルク、三二酸化鉄、タール系色素が挙げられる。
【0031】
本発明の経口製剤に用いることが可能な造粒液調製用溶媒としては、水、エタノール、イソプロピルアルコールなどが挙げられる。
【0032】
本発明の経口製剤に用いることが可能なコーティング剤としては、具体的にはアクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、エチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、メタクリル酸コポリマーおよびジメチルアミノエチルメタクリレート・メチルメタアクリレートコポリマー等が挙げられる。
本発明において好ましく用いられるコーティング剤としては、オイドラギットNE30D、オイドラギットL等のアクリルポリマー系コーティング剤である。
【0033】
本発明の経口製剤に用いることが可能な低粘度の結合剤としては、具体的にはアルギン酸ナトリウム、エチルセルロース、カラギーナン、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、寒天、コポリビドン、精製セラック、デキストリン、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルスターチ、ヒドロキシプロピルセルロース、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合物、ヒプロメロース、部分アルファー化デンプン、プルラン、ペクチン、ポリビニルアルコールポリエチレングリコールグラフトコポリマー、ポビドン、ポリビニルアルコール、メタクリル酸コポリマーL、メタクリル酸コポリマーLD、メタクリル酸コポリマーSおよびメチルセルロース等が挙げられる。
本発明において好ましく用いられる低粘度の結合剤としては、メチルセルロース、ヒプロメロースなどが挙げられる。
【0034】
本発明の経口製剤に用いることが可能なカルボキシメチル基を有する崩壊剤としては、具体的にはカルメロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルボキシメチルエチルセルロースが挙げられる。
本発明において好ましく用いられるカルボキシメチル基を有する崩壊剤としてはカルメロース、クロスカルメロースナトリウム,カルメロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウムである。
【0035】
本発明の経口製剤に用いることが可能なスプレー液調製用溶媒としては、水、エタノールなどが挙げられる。
【0036】
本発明における経口製剤としては、具体的には錠剤、散剤、カプセル剤、顆粒剤等が挙げられる。本発明において最も好ましく用いられる経口製剤は錠剤である。
【0037】
本発明における撹拌造粒は一般知られた撹拌造粒装置によって行うことが可能である。一般知られた撹拌造粒装置としては、例えばバーチカルグラニュレータ,ハイスピードミキサーなどが挙げられる。
【0038】
本発明により提供される錠剤の打錠方法は、その発明の効果を奏する限り特に限定されることはない。本発明における打錠方法としては、例えば乾式間接圧縮法、湿式間接圧縮法、乾式直接圧縮法等が挙げられる。
【0039】
本発明により提供される錠剤は、例えば単発錠剤機やロータリー式打錠機などが用いて成型される。打錠の際の圧力は、通常4〜20kN/cm2である。本発明の固形製剤の形状は特に制限されないが、具体的には丸形、キャプレット形、ドーナツ形、オブロング形等の形状および積層錠、有核錠などが挙げられる。また、必要に応じて識別性を有する文字、記号、マーク、さらには分割用の割線等を付すこともある。
【0040】
本発明によって低減することが可能になったドネペジル類縁物質とは、以下のように評価することが出来る。
【0041】
HPLC法により得られたクロマトグラムより、主ピークと添加物由来ピークを除いたピークの面積値の和を算出し、その値を主ピークの値で除すことにより得られた値を類縁物質量とし、比較・評価を行った。より具体的には(0055)段落に記載した試験法を用いることにより、比較・評価を行える。