特表2017-510029(P2017-510029A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-510029ヒートパイプ熱処理部を有するエネルギー貯蔵システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-510029(P2017-510029A)
(43)【公表日】2017年4月6日
(54)【発明の名称】ヒートパイプ熱処理部を有するエネルギー貯蔵システム
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/6552 20140101AFI20170317BHJP
   F28D 15/02 20060101ALI20170317BHJP
   H01M 2/10 20060101ALI20170317BHJP
   H01M 10/6569 20140101ALI20170317BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20170317BHJP
   H01M 10/615 20140101ALI20170317BHJP
   H01M 10/6556 20140101ALI20170317BHJP
   H01M 10/643 20140101ALI20170317BHJP
   H01M 10/625 20140101ALI20170317BHJP
   H01M 10/627 20140101ALI20170317BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20170317BHJP
【FI】
   H01M10/6552
   F28D15/02 L
   F28D15/02 101H
   H01M2/10 E
   H01M10/6569
   H01M10/613
   H01M10/615
   H01M10/6556
   H01M10/643
   H01M2/10 F
   H01M10/625
   H01M10/627
   H01M2/10 S
   H05K7/20 R
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-550237(P2016-550237)
(86)(22)【出願日】2015年2月25日
(85)【翻訳文提出日】2016年8月4日
(86)【国際出願番号】US2015017453
(87)【国際公開番号】WO2015130746
(87)【国際公開日】20150903
(31)【優先権主張番号】14/189,219
(32)【優先日】2014年2月25日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】509316442
【氏名又は名称】テスラ・モーターズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レーン ロバート シー.
(72)【発明者】
【氏名】チェ ヘウォン
(72)【発明者】
【氏名】ワイントローブ ジェフ
(72)【発明者】
【氏名】アギーレ カルロス マリオ
(72)【発明者】
【氏名】リーゲル マーク
(72)【発明者】
【氏名】キング オリオン エー.
(72)【発明者】
【氏名】チディアック ネイサン
(72)【発明者】
【氏名】ワグナー ジョン
(72)【発明者】
【氏名】バートン アウグスト イー.
(72)【発明者】
【氏名】ビラヌエバ アーネスト
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンバーグ デーヴィド
【テーマコード(参考)】
5E322
5H031
5H040
【Fターム(参考)】
5E322DB06
5E322DB09
5E322DB10
5H031AA09
5H031BB03
5H031KK01
5H031KK08
5H040AA28
5H040AA29
5H040AS01
5H040AS07
5H040AT01
5H040AT06
5H040AY05
5H040AY10
5H040CC38
5H040JJ03
5H040NN03
(57)【要約】
エネルギー貯蔵システムは、アノードおよびカソード端子が設けられた第1端部、および、第1端部と対向する第2端部をそれぞれが有し、第2端部が整列するように配置された複数の電池と、複数の電池の各々に対して設けられ、第1端部のアノードおよびカソード端子に結合された電気接続部と、第2端部に面する平坦な蒸発面を有するヒートパイプとを備えている。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アノードおよびカソード端子が設けられた第1端部、および、該第1端部と対向する第2端部をそれぞれが有し、該第2端部が整列するように配置された複数の電池と、
上記複数の電池の各々に対して設けられ、上記第1端部の上記アノードおよびカソード端子に結合された電気接続部と、
上記第2端部に面する平坦な蒸発面を有するヒートパイプとを備えている
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項2】
請求項1において、
上記ヒートパイプは、上記平坦な蒸発面と平坦な凝縮面とによって形成された実質的なL字状を有している
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項3】
請求項2において、
上記平坦な凝縮面に当接する熱輸送チャネルをさらに備え、
上記熱輸送チャネルは、上記複数の電池から熱エネルギーを除去するか、または上記複数の電池に熱エネルギーを与えるように構成されている
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項4】
請求項3において、
複数の上記ヒートパイプを備え、
上記複数の電池は、少なくとも2列に構成されたモジュール内に配置され、
上記モジュールの各々は、上記ヒートパイプの少なくとも1つに配置され、
上記熱輸送チャネルは、上記2列のモジュールの間を延び、
上記ヒートパイプの平坦な蒸発面は、上記熱輸送チャネルの両側面から逆方向に延びている
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項5】
請求項2において、
上記複数の電池は、上記第2端部が鉛直面に沿うように配置され、
上記平坦な蒸発面は、上記鉛直面に沿って延び、
上記ヒートパイプは、上記平坦な蒸発面の上を水平面内で延びる平坦な凝縮面をさらに有している
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項6】
請求項1において、
上記ヒートパイプは、上記平坦な蒸発面によって結合された第1および第2平坦な凝縮面によって形成された実質的なU字状を有している
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項7】
請求項6において、
上記第1および第2平坦な凝縮面の少なくとも一方に当接する熱輸送チャネルをさらに備え、
上記熱輸送チャネルは、上記複数の電池から熱エネルギーを除去するか、または上記複数の電池に熱エネルギーを与えるように構成されている
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項8】
請求項7において、
複数の上記ヒートパイプを備え、
上記複数の電池は、少なくとも2列に構成されたモジュール内に配置され、
上記モジュールの各々は、上記ヒートパイプの少なくとも1つに配置され、
上記熱輸送チャネルは、上記2列のモジュールの間を延びている
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項9】
請求項8において、
上記ヒートパイプは、上記熱輸送チャネルの両側面から逆方向に延び、
上記ヒートパイプの各々は、対応する上記モジュールの長手方向に沿って延びている
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項10】
請求項8において、
少なくとも上記第1および第2平坦な凝縮面と反対の上記第2または第1平坦な凝縮面に当接する少なくとも1つの別の熱輸送チャネルをさらに備えている
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項11】
請求項7において、
複数の上記ヒートパイプを備え、
上記複数の電池は、少なくとも2列に構成されたモジュール内に配置され、
上記モジュールの各々は、上記ヒートパイプの少なくとも1つに配置され、
上記エネルギー貯蔵システムは、上記複数の電池から熱エネルギーを除去するか、または上記複数の電池に熱エネルギーを与えるように構成された主熱輸送チャネルおよび少なくとも1つの交差部材熱輸送チャネルをさらに備え、
上記交差部材熱輸送チャネルは、隣り合う上記モジュールの間を延びかつ該隣り合うモジュールの各平坦な蒸発面に当接している
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項12】
請求項6において、
上記ヒートパイプと実質的に交差する熱輸送チャネルをさらに備え、
各上記熱輸送チャネルは、少なくとも上記凝縮面の一方の一部および上記蒸発面の少なくとも一部に当接する実質的にL字状の輪郭を有している
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項13】
請求項6において、
上記複数の電池は、上記第2端部が鉛直面に沿うように配置され、
上記平坦な蒸発面は、上記鉛直面に沿って延び、
上記第1および第2平坦な凝縮面に設けられた実質的に平坦な熱チューブをさらに備えている
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項14】
請求項13において、
上記熱チューブは、上記エネルギー貯蔵システムを冷却するように構成された頂部熱チューブと、上記エネルギー貯蔵システムを加熱するように構成された底部熱チューブとを含んでいる
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項15】
請求項6において、
上記エネルギー貯蔵システムの対向する短辺側に配置された実質的に平行な複数のマニホールドを備え、
上記マニホールドは、該マニホールドと概して交差する熱輸送チャネルによって接続され、
上記ヒートパイプの上記凝縮面は、隣り合う上記熱輸送チャネルに当接している
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項16】
請求項6において、
上記エネルギー貯蔵システムの対向する長辺側に配置された実質的に平行な複数のマニホールドを備え、
上記マニホールドは、該マニホールドと概して交差する熱輸送チャネルによって接続され、
上記ヒートパイプの上記凝縮面は、隣り合う上記熱輸送チャネルに当接している
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項17】
請求項1において、
複数の直線状の上記ヒートパイプを備え、
上記複数の電池は、少なくとも2列に構成されたモジュール内に配置され、
上記モジュールの各々は、上記直線状のヒートパイプの少なくとも1つに配置され、
上記エネルギー貯蔵システムは、上記複数の直線状のヒートパイプに交差して配置された熱輸送チャネルをさらに備え、
上記2列のモジュールは、上記熱輸送チャネルの両側に配置されている
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項18】
請求項17において、
上記熱輸送チャネルは、上記複数の直線状のヒートパイプの両端部の間の中間部に配置されている
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項19】
請求項17において、
上記複数の直線状のヒートパイプの両端部の少なくとも一方に、少なくとも1つの側部熱輸送チャネルをさらに備えている
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項20】
請求項1において、
複数の上記ヒートパイプを備え、
上記複数の電池は、少なくとも2列に構成されたモジュール内に配置され、
上記モジュールの各々は、上記ヒートパイプの少なくとも1つに配置され、
上記エネルギー貯蔵システムは、上記複数のヒートパイプに交差して配置された熱輸送チャネルをさらに備え、
上記2列のモジュールは、上記熱輸送チャネルの両側に配置され、
上記複数のヒートパイプの各々は、該ヒートパイプが上記熱輸送チャネルに当接する箇所に直線状構造からの変形部を有し、
上記変形部は、上記熱輸送チャネルの断面プロファイルに対応している
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項21】
請求項1において、
上記平坦な蒸発面と上記第2端部との間に設けられた電気絶縁材料をさらに備えている
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項22】
請求項21において、
上記第2端部と上記電気絶縁材料との間に塗布された接着剤をさらに備えている
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項23】
請求項1において、
上記電池は、筒形状を有し、
上記第2端部は、上記筒形状の底部である
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【請求項24】
請求項23において、
上記電池は、鉛直方向に向けられかつ上記ヒートパイプ上に起立している
ことを特徴とするエネルギー貯蔵システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
エネルギー貯蔵装置はさまざまな状況において使用されている。例えば、電気自動車は、電池室の内部に収容されたいくつかの分離したエネルギー貯蔵ユニット(例えば、リチウムイオン電池)を有していてもよく、このシステムは往々にしてバッテリーパックと呼ばれる。電池および他の貯蔵ユニットは、動作中、例えば充電プロセスの間や例えば車両の推進/牽引システムにエネルギーを送るために電池が使用されるとき等に熱を発生させる。
【0002】
現在利用されている1つの冷却手法は、電池の底部のアノード端子および電池の頂部のカソード端子によって電気的に接続されたリチウムイオン電池に関係している。これらの電池は、その全てが同じ向きとなるように(例えば、「起立する」ように)、全ての隣り合う電池の間にいくらかのスペースを設けて配置される。当該スペースは、電池の間に冷却ダクトを走らせること、および当該冷却ダクトを各電池の外面の少なくとも一部に接触させることを容易にする。冷却ダクトはこれを通って流れる冷媒を有しており、当該冷媒はバッテリーパック内部から、安全に熱が放散され得る外部のいずれかの場所へと熱エネルギーを移動させる。安全な冷媒流れを提供するために、バッテリーパックの内外への流体接続を設ける必要があり、またバッテリーパック内の冷媒通路は信頼性が高くかつ十分な容量を有している必要がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
第1の側面では、エネルギー貯蔵システムは、アノードおよびカソード端子が設けられた第1端部、および、該第1端部と対向する第2端部をそれぞれが有し、該第2端部が整列するように配置された複数の電池と、上記複数の電池の各々に対して設けられ、上記第1端部の上記アノードおよびカソード端子に結合された電気接続部と、上記第2端部に面する平坦な蒸発面を有するヒートパイプとを備えている。
【0004】
実施態様は、次の特徴のいずれかまたは全てを含んでいてもよい。上記ヒートパイプは、上記平坦な蒸発面と平坦な凝縮面とによって形成された実質的なL字状を有している。エネルギー貯蔵システムは、上記平坦な凝縮面に当接する熱輸送チャネルをさらに備え、上記熱輸送チャネルは、上記複数の電池から熱エネルギーを除去するか、または上記複数の電池に熱エネルギーを与えるように構成されている。複数の上記ヒートパイプを備え、上記複数の電池は、少なくとも2列に構成されたモジュール内に配置され、上記モジュールの各々は、上記ヒートパイプの少なくとも1つに配置され、上記熱輸送チャネルは、上記2列のモジュールの間を延び、上記ヒートパイプの平坦な蒸発面は、上記熱輸送チャネルの両側面から逆方向に延びている。上記複数の電池は、上記第2端部が鉛直面に沿うように配置され、上記平坦な蒸発面は、上記鉛直面に沿って延び、上記ヒートパイプは、上記平坦な蒸発面の上を水平面内で延びる平坦な凝縮面をさらに有している。
【0005】
上記ヒートパイプは、上記平坦な蒸発面によって結合された第1および第2平坦な凝縮面によって形成された実質的なU字状を有している。エネルギー貯蔵システムは、上記第1および第2平坦な凝縮面の少なくとも一方に当接する熱輸送チャネルをさらに備え、上記熱輸送チャネルは、上記複数の電池から熱エネルギーを除去するか、または上記複数の電池に熱エネルギーを与えるように構成されている。複数の上記ヒートパイプを備え、上記複数の電池は、少なくとも2列に構成されたモジュール内に配置され、上記モジュールの各々は、上記ヒートパイプの少なくとも1つに配置され、上記熱輸送チャネルは、上記2列のモジュールの間を延びている。上記ヒートパイプは、上記熱輸送チャネルの両側面から逆方向に延び、上記ヒートパイプの各々は、対応する上記モジュールの長手方向に沿って延びている。エネルギー貯蔵システムは、少なくとも上記第1および第2平坦な凝縮面と反対の上記第2または第1平坦な凝縮面に当接する少なくとも1つの別の熱輸送チャネルをさらに備えている。複数の上記ヒートパイプを備え、上記複数の電池は、少なくとも2列に構成されたモジュール内に配置され、上記モジュールの各々は、上記ヒートパイプの少なくとも1つに配置され、上記エネルギー貯蔵システムは、上記複数の電池から熱エネルギーを除去するか、または上記複数の電池に熱エネルギーを与えるように構成された主熱輸送チャネルおよび少なくとも1つの交差部材熱輸送チャネルをさらに備え、上記交差部材熱輸送チャネルは、隣り合う上記モジュールの間を延びかつ該隣り合うモジュールの各平坦な蒸発面に当接している。エネルギー貯蔵システムは、上記ヒートパイプと実質的に交差する熱輸送チャネルをさらに備え、各上記熱輸送チャネルは、少なくとも上記凝縮面の一方の一部および上記蒸発面の少なくとも一部に当接する実質的にL字状の輪郭を有している。上記複数の電池は、上記第2端部が鉛直面に沿うように配置され、上記平坦な蒸発面は、上記鉛直面に沿って延び、上記第1および第2平坦な凝縮面に設けられた実質的に平坦な熱チューブをさらに備えている。上記熱チューブは、上記エネルギー貯蔵システムを冷却するように構成された頂部熱チューブと、上記エネルギー貯蔵システムを加熱するように構成された底部熱チューブとを含んでいる。エネルギー貯蔵システムは、上記エネルギー貯蔵システムの対向する短辺側に配置された実質的に平行な複数のマニホールドを備え、上記マニホールドは、該マニホールドと概して交差する熱輸送チャネルによって接続され、上記ヒートパイプの上記凝縮面は、隣り合う上記熱輸送チャネルに当接している。エネルギー貯蔵システムは、上記エネルギー貯蔵システムの対向する長辺側に配置された実質的に平行な複数のマニホールドを備え、上記マニホールドは、該マニホールドと概して交差する熱輸送チャネルによって接続され、上記ヒートパイプの上記凝縮面は、隣り合う上記熱輸送チャネルに当接している。
【0006】
複数の直線状の上記ヒートパイプを備え、上記複数の電池は、少なくとも2列に構成されたモジュール内に配置され、上記モジュールの各々は、上記直線状のヒートパイプの少なくとも1つに配置され、上記エネルギー貯蔵システムは、上記複数の直線状のヒートパイプに交差して配置された熱輸送チャネルをさらに備え、上記2列のモジュールは、上記熱輸送チャネルの両側に配置されている。上記熱輸送チャネルは、上記複数の直線状のヒートパイプの両端部の間の中間部に配置されている。エネルギー貯蔵システムは、上記複数の直線状のヒートパイプの両端部の少なくとも一方に、少なくとも1つの側部熱輸送チャネルをさらに備えている。
【0007】
複数の上記ヒートパイプを備え、上記複数の電池は、少なくとも2列に構成されたモジュール内に配置され、上記モジュールの各々は、上記ヒートパイプの少なくとも1つに配置され、上記エネルギー貯蔵システムは、上記複数のヒートパイプに交差して配置された熱輸送チャネルをさらに備え、上記2列のモジュールは、上記熱輸送チャネルの両側に配置され、上記複数のヒートパイプの各々は、該ヒートパイプが上記熱輸送チャネルに当接する箇所に直線状構造からの変形部を有し、上記変形部は、上記熱輸送チャネルの断面プロファイルに対応している。
【0008】
エネルギー貯蔵システムは、上記平坦な蒸発面と上記第2端部との間に設けられた電気絶縁材料をさらに備えている。エネルギー貯蔵システムは、上記第2端部と上記電気絶縁材料との間に塗布された接着剤をさらに備えている。上記電池は、鉛直方向に向けられかつ上記ヒートパイプ上に起立している。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、エネルギー貯蔵システムの一部であるアセンブリの例を示す図である。
図2図2は、L字状のヒートパイプを備えたエネルギー貯蔵システムの例を示す図である。
図3図3は、L字状のヒートパイプを備えたエネルギー貯蔵システムの別の例を示す図である。
図4図4は、U字状のヒートパイプを備えたエネルギー貯蔵システムの例を示す図である。
図5図5は、U字状のヒートパイプを備えたエネルギー貯蔵システムの別の例を示す図である。
図6図6は、1つあるいはそれ以上のU字状のヒートパイプを備え、また冷媒チューブを備えたエネルギー貯蔵システムの別の例を示す図である。
図7図7は、直線状のヒートパイプを備えたエネルギー貯蔵システムの例を示す図である。
図8図8は、直線状のヒートパイプを備えた図7とは別のエネルギー貯蔵システムの例を示す図である。
図9図9は、熱輸送チャネルの断面プロファイルに対応した変形部をヒートパイプが有するエネルギー貯蔵システムの例を示す図である。
図10図10は、U字状のヒートパイプを備え、頂部および底部に熱チューブを備えたエネルギー貯蔵システムの別の例を示す図である。
図11図11は、U字状のヒートパイプを備え、システムの短辺側に配置されたマニホールドの間を延びる熱チューブを備えたエネルギー貯蔵システムの別の例を示す図である。
図11A図11Aは、図11のエネルギー貯蔵システムの断面図である。
図12図12は、U字状のヒートパイプを備え、システムの長辺側に配置されたマニホールドの間を延びる熱チューブを備えたエネルギー貯蔵システムの別の例を示す図である。
図12A図12Aは、図12のエネルギー貯蔵システムの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書では、ヒートパイプによって電池または他のエネルギー貯蔵ユニットの表面冷却を提供するシステムおよび技術の例について記載する。これは有用な利点を提供し得る。例えば、バッテリーパックにおける内部流体接続の必要性がなくなり得、それにより漏れが回避されること、(例えば、車両における)冷却システム全体に関する圧力降下損失を低減する閉ループ冷却システムが提供され得ること、外部冷却チューブアセンブリが省かれ得ること、電池を均一温度に保つ急速な流体移動が提供され得ること、電池の列間の冷却チューブ領域が省かれ得、それにより所与のスペースにより多くの電池を詰められること、および、ヒートパイプ内腔の一部に破裂が生じたとしても、ヒートパイプ中の損傷を受けていない他の内腔によって十分な冷却/加熱が提供され得ること、といった利点が提供され得る。
【0011】
図1は、エネルギー貯蔵システムの一部であるアセンブリ100の例を示している。特に、エネルギー貯蔵システムはエネルギー貯蔵要素の相互接続されたアレイを含んでおり、その中の2つの電池102がここでは示されている。この例では、電池は、一対の対向する容器、すなわち頂部容器104と底部容器106とによって所定位置に(例えば、特定のトルク値まで)物理的に固定されて保持されている。例えば、当該容器は、各電池のそれぞれの端部を露出させる開口を有している。他の実施態様では、電池は、異なった技術によって、例えば電池の間に差し込まれた構造物によって固定されていてもよい。
【0012】
ここで、フレキシブルプリント回路108が、電池102の電気端子の上を覆いかつこれに接続している。この実施態様では、フレキシブルプリント回路は3つの層、すなわち、フレキシブル底部絶縁層112と、フレキシブル頂部絶縁層114と、これらの間に挟まれたフレキシブル導電層110とを有している。導電層は例えば銅等の金属からなる均一な層であってもよく、絶縁層はポリイミド(例えば、Kapton(登録商標)材料)からなる均一な層であってもよい。他の実施態様では、1つあるいはそれ以上の他の材料が、上述した材料の代わりにあるいは組み合わせて使用されてもよい。
【0013】
ここで、電池102は、一端部に端子を有する平坦な頂部を含む再充電可能なタイプの電池である。特に、各電池は、中央に位置する正端子116と、これを取り囲む環状の負端子118とを有している。例えば、環状の負端子は、電池の長さ方向に沿って延びかつ電池の他端部(すなわち、この例では底側端部)を形成する電池(例えば、電池缶)の主ハウジングの一部であってもよいし、当該主ハウジングに取り付けられていてもよい。
【0014】
フレキシブルプリント回路108のパターン成形は、底部絶縁層112内に、導電層110の露出部分が例えば電池の端子に選択的に接続するための電気的接触を形成することを可能とするように、ダイカット領域120を作り出す。ここで、頂部絶縁層114におけるダイカット領域122は、導電層110の露出部分が、装置であって、当該装置と相互作用する導電層の一部と結合される基底表面(例えば、電池102の一方の端子)との間の電気機械的接続を作り出す装置を受容するのを可能とする。任意のいくつかの異なるタイプの装置および技術が、電気機械的結合を形成するために使用されてもよい。例えば、スポット溶接部124が、ここで、導電層110の一部を個々の電池のそれぞれの端子に結合させている。
【0015】
エネルギー貯蔵システムは、ただ1つの例を挙げると、電気自動車における推進エネルギーの源として実装されてもよい。すなわち、複数の電池が、車両に動力を供給するアレイ(例えば、バッテリーパック)を形成するためにエネルギー貯蔵システムにおいて相互接続されてもよい。他の実施態様では、図示されたアセンブリは、加えてあるいは代わりに、他の態様の車両に動力を供給してもよいし、あるいは例えば固定貯蔵装置のような乗り物ではないものにおいて使用されてもよい。
【0016】
図示された実施形態では、電池は、鉛直方向を向いていて、ヒートパイプ126上に起立している。ヒートパイプは、エネルギー貯蔵システムの熱処理を提供するために熱処理システム(図示せず)に接続されていてもよい。電池102の冷却は、電池に面する蒸発端部126Aと、少なくとも1つの凝縮端部126Bとを用いて行われてもよい。蒸発端部は、少なくとも電池のアレイによって必要とされる長さの全体またはその一部にわたって延びていてもよい。ここで、ヒートパイプ126は、側方から見たとき、蒸発端部から上に持ち上げられた凝縮端部を有するL字状である。他の実施態様では、ヒートパイプは異なった形状を有していてもよい。例えば、これに限られるものではないが、1つよりも多くの凝縮端部が設けられていてもよい。ある実施態様では、ヒートパイプは、代替的に、電池およびエネルギー貯蔵システムの残りの部分の加熱を提供してもよい。
【0017】
この例では、アセンブリ100は、ヒートパイプ126の蒸発端部126Aと電池102の底部との間に電気絶縁層128を有している。この層は、(金属部品であり得る)ヒートパイプと電池ハウジングとの間の電気的接触を防止する。例えば、熱伝導材料(TIM)が、電池の底部のアノード端子を電気的に絶縁する一方で、同じ面を通じて電池の冷却/加熱を許容するために使用されてもよい。ある実施態様では、アセンブリは、ヒートパイプに電気絶縁層を塗布し、当該層の頂部(例えば、各電池の配置部)に接着剤を塗布し、そして電池を当該層上に配置することによって製造される。
【0018】
ヒートパイプは、任意の適当な材料から製造されてもよい。ある実施態様では、ヒートパイプは、金属から押し出し成形されかつ相変化流体のための少なくとも1つの内部チャネルを有していてもよい。内部チャネルは、液相および/または気相の流体の流れを促進する1つあるいはそれ以上の特徴を有していてもよい。例えば、溝、粉体および/またはスポンジがヒートパイプの内部に設けられていてもよい。
【0019】
図2は、L字状のヒートパイプ202を備えたエネルギー貯蔵システム200の例を示している。この例では、蒸発面202Aが(例えば、電気自動車のバッテリーパックの内部で)実質的に水平方向に向けられ、凝縮面202Bが実質的に鉛直方向に向けられている。電池(例えば、18650型のリチウムイオン電池)のモジュール204が、ここでは、ヒートパイプの一方の上に配置されて示されている。モジュールとヒートパイプとの間の境界面は、TIMを必要とする熱伝導性接触によるものである。例えば、ヒートパイプは、複数の隣り合う平行な(例えば、溶接によって)互いに取り付けられた熱区分を有していてもよい。モジュールは、この例において図示されたものよりも多くのあるいは少ない電池を有していてもよいし、および/または、電池は異なった構成で配置されていてもよい。明瞭さのために、ただ1つの電池モジュールがここでは示されている。エネルギー貯蔵システムの実施態様は、任意の数のモジュールを有していてもよい。
【0020】
エネルギー貯蔵システム200は、ヒートパイプ202と熱交換可能な少なくとも1つの熱輸送チャネル206を有している。ある実施態様では、補助的なシステムが、例えば冷媒のような流体を熱輸送チャネルの内部の1つあるいはそれ以上の流路内を循環させてもよい。例えば、ここに記載されたエネルギー貯蔵システムは、バッテリーパックとして電気(またはハイブリッド)自動車に組み込まれてもよく、そしてバッテリーパックの外部の冷却システムが熱輸送チャネルからの流体を冷却してもよく、それにより電池から熱が除去される。
【0021】
ここで、熱輸送チャネル206はエネルギー貯蔵システム200の中間部に設けられており、またモジュール204およびその他のモジュールは当該チャネルの各側方の列、例えば領域208に配置されてもよい。それぞれのヒートパイプの凝縮端部/面は、ここでは、それらが熱輸送チャネルの側面に当接するように配置されている。したがって、ヒートパイプはチャネルから逆方向へ延びている。ここで、その上にモジュール204が配置されたヒートパイプ202は、6つの平行なヒートパイプ区分を構成するように示されている。単なる例として、そのような区分の各々は、それぞれが個別にヒートパイプの原理にしたがって機能する14本の分離した内部流路を有していてもよい。
【0022】
図3は、L字状のヒートパイプ302を備えたエネルギー貯蔵システム300の別の例を示している。ヒートパイプの各々は、それに関連付けられた電池のモジュール304を有している。電池は、それらの端部の一方(例えば、底側端部または負側端部)がヒートパイプの蒸発面302Aに面するように互いに整列させられている。この実施態様では、電池が実質的に水平向きに配置され、蒸発面が鉛直向きである。ヒートパイプの凝縮面302Bは、しかしながら、この例では蒸発面から見て上に持ち上げられていて水平向きである。ある実施態様では、冷却面は、全ての凝縮面によって一まとめに形成されていてもよいし、あるいは全ての凝縮面に塗布された別個の面であってもよい。そのような冷却面は、電池モジュールの全てから熱を除去するために用いられてもよい。例えば、冷却面に共通の積極冷却チャネル(図2の熱輸送チャネル206と類似のもの)が設けられていてもよく、そして当該冷却チャネルを横切るヒートスプレッダがそれぞれの凝縮面からの熱を蓄えて当該熱を冷却チャネルに輸送してもよい。
【0023】
図4は、U字状のヒートパイプ402を備えたエネルギー貯蔵システム400の例を示している。すなわち、ヒートパイプの各々は、蒸発面402Aと、この蒸発面の両端部の一方に1つずつ配置された2つの凝縮面402Bとを有している。ヒートパイプの各々は、それに関連付けられた電池のモジュール404を有している。例えば、このシステムは車両において有用であり得る。なぜなら、U字状のヒートパイプは角度変化(例えば、車両が傾いたあるいは傾斜した面上で操縦されているとき)からの向上した独立性を提供するためである。
【0024】
エネルギー貯蔵システムは、中央熱輸送チャネル406と1つあるいはそれ以上の側部熱輸送チャネル408とを有しており、それらの各々はヒートパイプ402と熱交換可能である。ここで、側部熱輸送チャネルは、中央熱輸送チャネルとは反対側のヒートパイプの端部に設けられている。この実施態様では、ヒートパイプは、モジュール404の長さ方向に沿って向けられている。例えば、このエネルギー貯蔵システムは、蒸発領域に対する凝縮領域の有利に小さな比率を提供し得、このことは冷却チューブがバッテリーパックの比較的小さな容積を占めることを可能とする。
【0025】
図5は、U字状のヒートパイプ502を備えたエネルギー貯蔵システム500の別の例を示している。ヒートパイプの各々は、蒸発面502Aと、この蒸発面の両端部の一方に1つずつ配置された2つの凝縮面502Bとを有している。ヒートパイプの各々は、それに関連付けられた電池のモジュール504を有している。エネルギー貯蔵システムは、中央熱輸送チャネル506と1つあるいはそれ以上の交差部材熱輸送チャネル508とを有しており、それらの各々はヒートパイプ502と熱交換可能である。交差部材熱輸送チャネルは中央チャネルを横切っており、例えば、交差部材が中央チャネルの両側面から等しく離れて延びていてもよい。熱輸送媒体(例えば、冷媒)が、ヒートパイプとの熱交換を提供するために熱輸送チャネル内を流れていてもよい。ここで、ヒートパイプは、各電池モジュールの幅方向と交差するように向けられている。例えば、このエネルギー貯蔵システムは、凝縮領域の蒸発領域に対する有利に小さな比率を提供し得る。
【0026】
図6は、1つあるいはそれ以上のU字状のヒートパイプ602を備え、また冷却チューブ604を備えたエネルギー貯蔵システム600の別の例を示している。ヒートパイプの各々は、蒸発面602Aと、この蒸発面の両端部の一方に1つずつ配置された2つの凝縮面602Bとを有している。この例は、エネルギー貯蔵システム内の電池のモジュール606を示している。例えば、動作中、ヒートパイプは、各凝縮面に向かって蒸発面に沿って両方向に熱を運び得る。すなわち、ヒートパイプ内部の熱の流れは、ここでは、この図面の平面に対して平行である。
【0027】
このエネルギー貯蔵システムは、また、ヒートパイプ602と熱交換可能な冷却チューブ604を有している。この例では、冷却チューブの各々は、実質的にL字状の輪郭を有している。例えば、L字状の輪郭は、少なくとも一部がU字状のヒートパイプの外面に対応していてもよい。これにより冷却チューブとヒートパイプとの間の有利に大きな接触表面積が提供され、そのことがそれらの間の熱交換を促進する。冷却チューブ604は、ヒートパイプの可逆性(すなわち、加熱および冷却の両方を行う能力)を提供し得る。例えば、冷却チューブのL字状の輪郭は、モジュールの冷却中における蒸発面602Aからの熱の除去を促進し、また加熱中における凝縮面602Bからモジュールへの熱の輸送を促進する。別の例として、この例のシステムの形状および構成は、例えばヒートパイプの溝が効果的な毛細管力を与えるように作られていない場合等に生じるかも知れない重力に関する問題を解消するのに役立ち得る。この構成は、また、U字状のヒートパイプが、エネルギー貯蔵システムを保持するハウジングまたは他の構造体の内部に収容される方法を改善し得る。
【0028】
冷却チューブは、内部を通ってシステム内を冷媒が循環し得る1つあるいはそれ以上の内部流路を有している(すなわち、冷媒は図の平面に直交する両方向に流れ得る)。この例における2つの冷却チューブは、互いに逆のあるいは同じ方向に流れる冷媒を有していてもよい。ある実施態様では、冷却チューブは可逆性の熱輸送を提供するために使用されてもよく、そのためエネルギー貯蔵システムは必要に応じて冷却されまたは加熱されてもよい。例えば、凝縮接触部は、ここでは、ヒートパイプの平坦部分まで延びていて、したがって(例えば、外部加熱システムから)ヒートパイプ内へ熱を輸送するために使用されてもよく、そして当該ヒートパイプから個々の電池へ熱が流れ込む。
【0029】
図7は、直線状のヒートパイプ702を備えたエネルギー貯蔵システム700の例を示している。ヒートパイプの各々は、それに関連付けられた電池のモジュール704を有している。エネルギー貯蔵システムは、内部を冷媒が通って流れ得る中央熱輸送チャネル706を有している。ここで、各ヒートパイプの端部702Aは蒸発領域として機能し、ヒートパイプの中央部702B(すなわち、熱輸送チャネルの付近)は凝縮領域として機能する。ヒートパイプの内部流路は、中央熱輸送チャネルの箇所で切られていてもよいし、あるいはヒートパイプの全長にわたって延びていてもよい。このエネルギー貯蔵システムは、蒸発領域の凝縮領域に対する比較的大きな比率を提供し得、また可逆的に機能し得る(すなわち、冷却の代わりに加熱を提供し得る)。また、この実施態様は、体積エネルギー密度の観点において効果的であり得る。
【0030】
図8は、直線状のヒートパイプ702を備えた図7とは別のエネルギー貯蔵システム800の例を示している。システムは、ここでまた、電池のモジュール704および中央熱輸送チャネル706を有している。加えて、システムは、内部を冷媒が通って流れ得る1つあるいはそれ以上の側部熱輸送チャネル802を有している。例えば、側部チャネルは、ヒートパイプの端部に配置されていてもよい。このシステムは車両において有用であり得る。なぜなら、中央および側部熱輸送チャネルの配置が角度変化(例えば、車両を傾いたおよび/または傾斜した面上で操縦するとき)からの向上した独立性を提供するためである。別の例として、システムは可逆性の熱輸送、例えば電池の冷却に代えての電池の加熱を提供し得る。
【0031】
図9は、熱輸送チャネル906の断面プロファイルに対応した変形部904をヒートパイプ902が有するエネルギー貯蔵システム900の例を示している。すなわち、ヒートパイプは、ここで、電池モジュールが配置される領域では概して直線状である一方、ヒートパイプは、ここで、ヒートパイプの凝縮端部を熱輸送チャネルの形状に適合させるような変形部を有している。ヒートパイプの内部流路は、中央熱輸送チャネルの箇所で切られていてもよいし、あるいはヒートパイプの全長にわたって延びていてもよい。例えば、このシステムは、対応するL字状のヒートパイプよりも、凝縮領域の蒸発領域に対するより小さな比率を提供し得る。
【0032】
図10は、U字状のヒートパイプ1002を備え、頂部および底部に熱チューブを備えたエネルギー貯蔵システム1000の別の例を示している。各ヒートパイプは電池のモジュール1004を囲んでおり、ここでは簡略化のために当該モジュールの1つのみが示されている。ヒートパイプは、システムがその幅方向と交差して4つのヒートパイプを有するように、かつその長さ方向に沿って(4組の)3つのヒートパイプを有するように組み立てられている。ヒートパイプの他の構成および/または数が、他の実施態様において用いられてもよい。例えば、これに限られるものではないが、エネルギー貯蔵システムは1つのヒートパイプの幅を有していてもよい。さらに別の実施態様では、1つあるいはそれ以上のヒートパイプが、代替的に、エネルギー貯蔵システムの長さ方向を横切っていてもよい。
【0033】
ここで、エネルギー貯蔵システム1000は、ヒートパイプの大きい方の表面、すなわち電池の端子の無い端部に当接する面が概して鉛直向きになるように配置されている。2つの対向するヒートパイプ表面は、最外列の電池の側面に当接する面であって、概して水平向きである。
【0034】
熱チューブ1006,1008は、ヒートパイプの頂部および底部にそれぞれ配置されている。各熱チューブは、接面を通じてヒートパイプからの熱を吸収するのに、あるいはヒートパイプへ熱を輸送するのに十分な熱伝導性を有する材料から作られている。例えば、熱チューブは、内部を流れる流体(例えば、冷媒)を有するように構成された複数の内部流路を有していてもよい。このように、熱チューブは外部の冷却/加熱システム(図示せず)に接続されていてもよく、当該冷却/加熱システムはエネルギー貯蔵システムのハウジングの外部に配置されていてもよい。
【0035】
第1例として、熱チューブ1006,1008の両方が、流通する冷媒によってエネルギー貯蔵システムの電池を冷却するために使用されてもよい。ある実施態様では、冷媒は、2つの各熱チューブ内を逆方向に流れる。
【0036】
第2例として、熱チューブ1006(すなわち、頂部側の熱チューブ)が電池の冷却のために使用されてもよく、熱チューブ1008(すなわち、底部側の熱チューブ)が電池の加熱のために使用されてもよい。この構成は、ヒートパイプが重力に逆らうのではなく重力に助けられて動作する点において有利であり、また結果としてより効率的になる。通常は鉛直向きのヒートパイプ区分では、車両の向きが少なくとも90°だけ回転しない限り、蒸気は常に上方に移動するだろう。上述の利点は、したがって、車両の向きによってあまり影響を受けないかも知れない。電池が冷却されるときおよび電池が加熱されるときの両方において、密度の低い蒸気は(重力と反対に)上方に移動し、流体は(重力にしたがって)下方に移動するだろう。すなわち、動作中において、電池(および/または他のシステム内の電子機器)が熱を発生させるとき、上側の熱チューブはヒートパイプから熱エネルギーを除去することによりシステムを冷却するのに役立ち得る。対照的に、例えばシステムを寒い環境下で動作させる前等の電池(および/またはエネルギー貯蔵システムの残りの部分)を温める必要があるときには、下側の熱チューブがヒートパイプに熱エネルギーを導入することによりシステムを温めるのに役立ち得る。例えば、冷却/加熱流体の流れは、例えばソレノイド弁のような弁によって、必要に応じて上側または下側の熱チューブのいずれに向けられてもよい。
【0037】
図11は、U字状のヒートパイプ1102を備え、システムの短辺側に配置されたマニホールド1106,1108の間を延びる熱チューブ1104を備えたエネルギー貯蔵システム1100の別の例を示している。ヒートパイプは熱チューブに隣接する電池のモジュールを保持しており、明瞭さのために電池のモジュール1110,1112のみが示されている。すなわち、この例では、熱チューブはエネルギー貯蔵システム(例えば、バッテリーパック)の長さ方向に対して平行である。
【0038】
マニホールド1106,1108および熱チューブ1104は、内部にシステムのさまざまな部分への流体(例えば、冷媒)の流れを促進するための1つあるいはそれ以上の流路を有している。例えば、マニホールド1108は、少なくとも1つの流入口1114から流体を受け取る流入マニホールドであってもよく、マニホールド1106は、少なくとも1つの流出口1116を通って流体が出ていく流出マニホールドであってもよい。2つのマニホールドの間において、流体は熱チューブ1104の内部流路を流れ、それによってヒートパイプによる電池の熱交換(例えば、冷却)が提供される。
【0039】
図11Aは、図11のエネルギー貯蔵システムの断面図である。特に、電池のモジュール1110,1112が、ヒートパイプ1102A,1102B内にそれぞれ配置されて示されている。次に、ヒートパイプは、各熱チューブ1104A,1104B,1104Cの間に配置されている。例えば、動作中において、モジュール1110からの熱はヒートパイプ1102Aによって熱チューブ1104A,1104Bへ輸送され、一方、モジュール1112からの熱はヒートパイプ1102Bによって熱チューブ1104B,1104Cへ輸送される。ある構成では、ヒートパイプおよび/または熱チューブが別の方法で配置されていてもよい。
【0040】
図12は、U字状のヒートパイプ1202を備え、システムの長辺側に配置されたマニホールド1206,1208の間を延びる熱チューブ1204を備えたエネルギー貯蔵システム1200の別の例を示している。ヒートパイプは熱チューブに隣接する電池のモジュールを保持しており、明瞭さのために電池のモジュール1210,1212のみが示されている。すなわち、この例では、熱チューブはエネルギー貯蔵システム(例えば、バッテリーパック)の長さ方向に対して交差している。
【0041】
マニホールド1206,1208および熱チューブ1204は、内部にシステムのさまざまな部分への流体(例えば、冷媒)の流れを促進するための1つあるいはそれ以上の流路を有している。例えば、マニホールド1208は、少なくとも1つの流入口1214から流体を受け取る流入マニホールドであってもよく、マニホールド1206は、少なくとも1つの流出口1216を通って流体が出ていく流出マニホールドであってもよい。2つのマニホールドの間において、流体は熱チューブ1204の内部流路を流れ、それによってヒートパイプによる電池の熱交換(例えば、冷却)が提供される。
【0042】
図12Aは、図12のエネルギー貯蔵システムの断面図である。特に、電池のモジュール1210,1212が、ヒートパイプ1202A,1202B内にそれぞれ配置されて示されている。次に、ヒートパイプは、各熱チューブ1204A,1204B,1204Cの間に配置されている。例えば、動作中において、モジュール1210からの熱はヒートパイプ1202Aによって熱チューブ1204A,1204Bへ輸送され、一方、モジュール1212からの熱はヒートパイプ1202Bによって熱チューブ1204B,1204Cへ輸送される。ある構成では、ヒートパイプおよび/または熱チューブが別の方法で配置されていてもよい。
【0043】
本明細書において、「ヒートパイプ」の語は、例えば高伝導性材料を使用しかつ実質的に平坦な形状ファクタ(form factor)を有する相変化熱システムのような、複数の技術を含む広い意味で使用されている。ヒートパイプの語は、これらに限定されるものではないが、溝付きヒートパイプ、ヒートピン、蒸気チャンバ、熱分解グラファイトシート、および熱伝導および相変化によって境界面の間で熱が輸送されるその他の技術を含んでいる。
【0044】
複数の実施態様について例として記載した。それでもなお、他の実施態様が以下のクレームによって包含される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図11A
図12
図12A
【国際調査報告】