(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-513761(P2017-513761A)
(43)【公表日】2017年6月1日
(54)【発明の名称】実質的四角形状のセルおよびイニシエータを備えた乗り物クラッシュレール
(51)【国際特許分類】
B60R 19/24 20060101AFI20170428BHJP
B60R 19/34 20060101ALI20170428BHJP
F16F 7/00 20060101ALI20170428BHJP
【FI】
B60R19/24 Z
B60R19/34
F16F7/00 K
F16F7/00 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2016-562992(P2016-562992)
(86)(22)【出願日】2015年4月17日
(85)【翻訳文提出日】2016年11月14日
(86)【国際出願番号】US2015026310
(87)【国際公開番号】WO2015161160
(87)【国際公開日】20151022
(31)【優先権主張番号】14/255,871
(32)【優先日】2014年4月17日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】
AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】509316442
【氏名又は名称】テスラ・モーターズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】ウィンバーグ,エヌ.ペッター
(72)【発明者】
【氏名】シェルダン,ティモシー エル.
(72)【発明者】
【氏名】サワント,サチン シリマント
【テーマコード(参考)】
3J066
【Fターム(参考)】
3J066AA02
3J066AA23
3J066BA03
3J066BB01
3J066BC01
3J066BD07
3J066BE01
3J066BE03
(57)【要約】
乗り物クラッシュレールは、第1エンドと第2エンドとの間の軸に沿って少なくとも部分的に押しつぶされるように構成されるボディを備え、ボディが、実質的に四角形状の第1、第2、第3セルを備える断面プロファイルを有し、第1、第2、第3セルの少なくとも1つが、第1エンドから第2エンドまで延び、第1、第2、第3セルが、それぞれ、クラッシュエールのクラッシュパターンに従って配置されたイニシエータを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1エンドと第2エンドとの間の軸に沿って少なくとも部分的に押しつぶされるように構成されるボディを備え、
前記ボディが、実質的に四角形状の第1、第2、第3セルを備える断面プロファイルを有し、
前記第1、第2、第3セルの少なくとも1つが、第1エンドから第2エンドまで延び、
前記第1、第2、第3セルが、それぞれ、クラッシュレールのクラッシュパターンに従って配置されたイニシエータを備えることを特徴とする乗り物クラッシュレール。
【請求項2】
前記イニシエータが、前記ボディにくぼみ(indentation)を備えることを特徴とする請求項1に記載の乗り物クラッシュレール。
【請求項3】
前記くぼみの少なくとも1つが、丸められた部分で結合する2つの平行な側を有することを特徴とする請求項2に記載の乗り物クラッシュレール。
【請求項4】
前記くぼみの少なくとも1つが、前記ボディの外面に配置されていることを特徴とする請求項2に記載の乗り物クラッシュレール。
【請求項5】
前記くぼみの少なくとも1つが、圧による変形部(swage)を有することを特徴とする請求項2に記載の乗り物クラッシュレール。
【請求項6】
前記イニシエータの少なくともいくつかは、互いに相対的にずれていることを特徴とする請求項1に記載の乗り物クラッシュレール。
【請求項7】
前記クラッシュパターンが、セルそれぞれの面に渡って延び、
前記ずれが、互いに隣り合う面にあるイニシエータが軸に沿ってずれているようなずれを含むことを特徴とする請求項6に記載の乗り物クラッシュレール。
【請求項8】
前記断面プロファイルが、列状に位置が定められる前記第1、第2、第3セルを有し、
前記第1セルが、前記第1セルの対向面に第1イニシエータを有するとともに、その対向面の間の面に第2イニシエータを有し、前記第1イニシエータは前記第1エンドと隣り合い、前記第2イニシエータは前記第1エンドから離れていて、
前記第2セルが、前記第2セルの対向面に第3イニシエータを有し、前記第3イニシエータは前記第1エンドと隣り合い、そして、
前記第3セルが、前記第1セルの対向面に第4イニシエータを有するとともに、その対向面の間の面に第5のイニシエータを有し、前記第4イニシエータは前記第1エンドに隣り合い、前記第5イニシエータが前記第1エンドから離れていることを特徴とする請求項7に記載の乗り物クラッシュレール。
【請求項9】
乗り物のフロントエンドに装着されていることを特徴とする請求項1に記載の乗り物クラッシュレール。
【請求項10】
前記フロントエンドが、少なくとも2つのクラッシュレールに装着されたバンパーシステムを備えることを特徴とする請求項9に記載の乗り物クラッシュレール。
【請求項11】
前記バンパーシステムが、前記乗り物クラッシュレールそれぞれの端部板に装着されており、前記端部板が、前記バンパーシステムを運転面から特定高さに位置決め可能にすることを特徴とする請求項10に記載の乗り物クラッシュレール。
【請求項12】
前記フロントエンドにおいて直上に装着されていて、ドライブシャフトが通る開口部を有することを特徴とする請求項9に記載の乗り物クラッシュレール。
【請求項13】
乗り物サブフレームを保持するように構成されていることを特徴とする請求項9に記載の乗り物クラッシュレール。
【請求項14】
前記ボディが、アルミ押出し成形部を有することを特徴とする請求項1に記載の乗り物クラッシュレール。
【請求項15】
前記断面プロファイルが、列状に位置が定められる前記第1、第2、第3セルを有することを特徴とする請求項1に記載の乗り物クラッシュレール。
【請求項16】
前記クラッシュパターンが、前記乗り物クラッシュレールの長さを通じて共通の変形モードを備えることを特徴とする請求項1に記載の乗り物クラッシュレール。
【請求項17】
前記変形モードが、前記ボディにおいて内側変形と外側変形の交互部分を有することを特徴とする請求項16に記載の乗り物クラッシュレール。
【請求項18】
前記内側変形と前記外側変形が、クラッシュセクションにおいて現れ、
第1のクラッシュセクションが、前記乗り物クラッシュレールの各側面に、2つの内側変形とその間に1つの外側変形とを有し、
前記第1のクラッシュセクションの隣の第2のクラッシュセクションが、前記乗り物クラッシュレールの各側面に、2つの外側変形とその間に1つの内側変形とを有することを特徴とする請求項17に記載の乗り物クラッシュレール。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
一般的に乗り物は、静止している物あるいは動いている物に乗り物がぶつかる結果、あるいは、何か(例えば他の乗り物)との出会い頭事故によって、大きな衝突の可能性という方向に目を向けて、設計されている。この理由から、クラッシュ吸収構造が、乗り物のフロントエンドおよびリアエンドに設けられる。
【発明の概要】
【0002】
第1の側面では、乗り物クラッシュレールは、第1エンドと第2エンドとの間の軸に沿って少なくとも部分的に押しつぶされるように構成されるボディを備え、ボディが、実質的に四角形状の第1、第2、第3セルを備える断面プロファイルを有し、第1、第2、第3セルの少なくとも1つが、第1エンドから第2エンドまで延び、第1、第2、第3セルが、それぞれ、乗り物クラッシュレールに対するクラッシュパターンに従って配置されたイニシエータを備える。
【0003】
実施は、以下の任意あるいはすべての特徴を備えることできる。イニシエータは、ボディにくぼみ(indentation)を備える。くぼみの少なくとも1つが、丸められた部分で結合する2つの平行な側を有する。くぼみの少なくとも1つは、ボディの外面に配置されている。くぼみの少なくとも1つが、圧による変形部(swage)を有する。イニシエータの少なくともいくつかは、互いに相対的にずれている。クラッシュパターンが、セルそれぞれの面に渡って延び、ずれが、互いに隣り合う面にあるイニシエータが軸に沿ってずれているようなずれを含む。断面プロファイルが、列状に位置が定められる第1、第2、第3セルを有し、第1セルが、第1セルの対向面に第1イニシエータを有するとともに、その対向面の間の面に第2イニシエータを有し、第1イニシエータは第1エンドと隣り合い、第2イニシエータは第1エンドから離れていて、第2セルが、第2セルの対向面に第3イニシエータを有し、第3イニシエータは第1エンドと隣り合い、そして、第3セルが、第1セルの対向面に第4イニシエータを有するとともに、その対向面の間の面に第5のイニシエータを有し、第4イニシエータは第1エンドに隣り合い、第5イニシエータが第1エンドから離れている。乗り物クラッシュレールは、乗り物のフロントエンドに装着されている。フロントエンドは、少なくとも2つの乗り物クラッシュレールに装着されたバンパーシステムを備える。バンパーシステムは、乗り物クラッシュレールそれぞれの端部板に装着されており、端部板が、バンパーシステムを運転面から特定高さに位置決め可能にする。乗り物クラッシュレールは、フロントエンドにおいて直上に装着されていて、ドライブシャフトが通る開口部を有する。乗り物クラッシュレールは、乗り物サブフレームを保持するように構成されている。ボディは、アルミ押出し成形部を有する。断面プロファイルは、列状に位置が定められる第1、第2、第3セルを有する。クラッシュパターンは、乗り物クラッシュレールの長さを通じて共通の変形モードを備える。変形モードは、ボディにおいて内側変形と外側変形の交互部分を有する。内側変形と外側変形が、クラッシュセクションにおいて現れ、第1のクラッシュセクションが、乗り物クラッシュレールの各側面に、2つの内側変形とその間に1つの外側変形とを有し、第1のクラッシュセクションの隣の第2のクラッシュセクションが、乗り物クラッシュレールの各側面に、2つの外側変形とその間に1つの内側変形とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】乗り物クラッシュレールの一例を示した図である。
【
図2】
図1のクラッシュレールの2つの実例をもつ乗り物フロントエンドの一例を示した図である。
【
図3】
図1からクラッシュ状態になったときの乗り物クラッシュレールの一例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本文は、乗り物内のクラッシュレールセクションを提供するシステムおよび技術の一例を述べている。クラッシュレールは、3つの実質的四角形状であるセルをもつ断面プロファイルを備えることができ、衝突が生じたときに部分的あるいは全体的にレールを崩壊させるクラッシュパターンを提供する1つもしくは複数のイニシエータ(惹起部)を備えるように構成することができる。
【0006】
図1は、乗り物のクラッシュレール100の一例を示す。クラッシュレールは、この例では、限定の意図はないがアルミニウム押出しを含む押し出し成型によって製造された細長いボディ102を備えている。本実施では、クラッシュレールは、乗り物のフロントエンドに装着することが意図されており、そこではクラッシュレールがフロントの衝撃保護システムの一部を形成する。例えばそのようなシステムは、乗り物のフロントエンドがものとぶつかる、あるいは何かがフロント側から乗り物に当たるときの保護を提供する。
【0007】
他の実施では、乗り物のクラッシュレールは、乗り物のフロントエンド以外の部分も加えて、あるいはフロントエンドの代わりに使用することができる。例えば、限定しない意図で、クラッシュレールは、後方そして/あるいは1つもしくは複数のサイドに配置することができる。
【0008】
乗り物のクラッシュレール100は、少なくともその長さに対して断面プロファイル104を有する。本例では、断面プロファイルは、3つの内部セル106A−106Cを備えたクラッシュレールを提供する。すなわち、本実施のクラッシュレールは、セルによって特有の構造を備えた部分的中空状内部を備える。本実施では、各セルが実質的に四角形状になっている。例えば、セル106Aは、ここでは4つの内側に向かい合った面108A−108Dによって規定され、各面は実質的に互いに同じ幅をもつ。対向面108A、108Cは、ここでは実質的に互いに平行であって、対向面108B、108Dが実質的に互いに平行である。対向面108A−108Dの任意の隣り合うコーナー部分は、より堅固で耐久性のある構造を提供するように、丸められた形状を有する。
【0009】
クラッシュレールに3つのセル106A−106Cをもつことは、折り曲げられるときの横方向曲げ軸周りの安定性に役立ち、また、クラッシュ保護システムの一部である他のコンポーネントの柔軟な配置を可能とする。それらの例を以下で述べる。他の例として、断面プロファイル104における壁の厚さを、乗り物の重量および/またはエネルギー吸収に必要な条件などに基づき、特定の実装に対して選択することができる。
【0010】
本実施では、乗り物クラッシュレール100はリアエンド110およびフロントエンド112を備える。一般的に、フロントエンドとリアエンド間の長手軸は、衝突があるとクラッシュレールが部分的あるいは全体的に崩壊する方向に対応する。ここでは、乗り物内でクラッシュレールが隣接する他の構造物の形状を確保するように、リアエンドが切り抜き部分114を備える。
【0011】
乗り物クラッシュレール100のライン116は、ここでは単に例示目的のために設けられている。ラインは、クラッシュレールの外部の特徴(ここではフロントエンド112)と内部の特徴(ここでは断面プロファイル104)との例示部分の境界を印す。乗り物クラッシュレール100が実装された場合、フロントエンドにここで示される外観は、残りのクラッシュレールの途中部分まであるいは全部に渡って続いている。
【0012】
乗り物クラッシュレール100は、フロントエンド112に端部板118を備えている。いくつかの実装では、端部板は、3つのセル106A−106Cによって形成される開口部に装着されるように、概して平らな部材で構成することができる。例えば端部板は、少なくとも1つのセルの開口部の内部に適合するように構成された少なくとも1つのフランジを備えている。端部板は、ボルトあるいは他の固定具用の1つもしくは複数の穴120などによって、端部板に装着される他の乗り物コンポーネントを備えるように構成することができる。
【0013】
乗り物クラッシュレール100は、クラッシュレールに対し特定のクラッシュパターンを開始させるように構成された1つもしくは複数のイニシエータ122を備えている。イニシエータは、クラッシュレール内のクラックを発生させるリスクを抑えながら、折り曲げの自然周波数を引き起こすことによってそうすることができる。折り曲げの自然周波数、すなわち、一つの折り曲げの波長は、セル壁の厚さ、セル壁の幅そして素材パラメータの間の関係によって与えられる。例えば、1つもしくは複数のイニシエータの存在は、イニシエータがないときと比べより小さな力のレベルでクラッシュ/折り曲げを開始させることができる。イニシエータは、クラッシュが開始すると予想される箇所(ここではフロントエンド)において、クラッシュレールの端近くに位置決めされている。
【0014】
いくつかの実装では、1つもしくは複数のイニシエータは、圧力によるへこみ部分(swage)あるいは他のくぼみ部(indentation)を、クラッシュレール本体に備えている。例えば、そのようなくぼみ部は、クラッシュレールの外側および/または内側に設けることが可能である。本実装では、くぼみ部は概ね楕円形状をもつ。例えば、くぼみ部の2つの側は、互いに実質平行であり、丸められた部分によって結ばれている。
【0015】
イニシエータ122は、ずらした状態で配置することができる。例えば、イニシエータ122A、122Bは、セル106Aの2つの隣り合う外面上に配置されている。さらに、イニシエータ122A、122Bは、互いにずれており、イニシエータ122Aはイニシエータ122Bよりも端部板118から離れている。
【0016】
同様に、イニシエータ122Cは、イニシエータ122Dが位置するセル106Cの外面に隣接するセル106Bの外面に位置している。例えば、クラッシュレールに沿ってずれているイニシエータの相対的位置は、自然な折り曲げの波長の半分から導かられる距離によって与えられる。またイニシエータ122C、122Dは、互いに他のイニシエータに関してずれており、イニシエータ122Cは、イニシエータ122Dよりも端部板118から離れている。本例では、イニシエータ122A、122Cは、端部板からおよそ同じ(より長い)距離に位置し、イニシエータ122B、122Dは、端部板からおよそ同じ(より短い)距離に位置している。
【0017】
この図では見えない乗り物クラッシュレール100の外面部分にも、1つあるいは複数のイニシエータをもつことができる。例えば、イニシエータ122Bに応じたイニシエータを、セル106Aの反対側に位置する外面に配置することができる。そのようなイニシエータは、イニシエータ122Bと同じずれをもつもことが可能であり、ここでは端部板118に対してより近い。他の例では、イニシエータ122Cに応じたイニシエータを、セル106Bの反対側外面に配置することが可能である。そのようなイニシエータは、イニシエータ122Cと同じずれをもつことが可能であり、ここでは端部板に対してより遠い。似たようにして、イニシエータ122Aと122Dに応じたイニシエータを、それぞれの面に対向する面に追加で、あるいは代わりに配置することができる。
【0018】
図2は、
図1のクラッシュレール100の2つの実例を備えた乗り物フロントエンド200の一例を示す。本実施では、クラッシュレールは、乗り物フレームシステムの前方拡張部分としての役割を果たす。例えばクラッシュレールは、システム上に装備されるバンパーシステム202を備える。ここでは、バンパーシステムは、各クラッシュレールに装着されるクラッシュ缶(cans)204と、クラッシュ缶に装着されるバンパービーム206をそれぞれ備えている。乗り物のボディ色および/または表面装飾にマッチするバンド(fascia)あるいはその他の外観要素など、ここでは図示しない不随的な要素が、適宜パンパ―システムの一部となることができる。
【0019】
乗り物クラッシュレール100は、バンパーシステム202などバンパー要素の柔軟な配置を提供することができる。いくつかの実施では、端部板118はクラッシュ缶204あるいは他の要素の代替的な位置決め方法をいくつか提供することができる。例えば、2つの異なる車両モデル(例えば、セダンとSUV)は、フロントエンドの前輪および/または他の面において異なったサイズをもち、他のモデルよりも地面からより高いあるいはより低いクラッシュレールをもつモデルの一方に導くことができる。しかしながら、前方を向くバンパー(ここではバンパービーム206)は、例えば規則あるいは他の安全様式のため、両モデルにおいて同じ地面からの高さに位置決めする必要がある。それに応じて、(例えば、端部板118の異なった位置決め方法による)クラッシュレール上のクラッシュ缶は、役に立つ柔軟性を提供することができる。
【0020】
本例では、乗り物フロントエンド200はまた、1つはまた複数のドライブシャフト210によって乗り物前輪のけん引力を与えるフロントモータ208を特徴としている。フロントモータは、任意の適当な技術によって動作することができる。いくつかの実施では、フロントモータは、再充電可能な電池(例えばリチウムイオン電池)のバッテリーパックなど、乗り物内のエネルギー貯蔵部によって電力供給される電気モータである。例えば、フロントモータは、乗り物後輪を駆動するように構成された他のモータとペアにすることができる。
【0021】
ここで簡潔に
図1、2両方を参照すると、乗り物クラッシュレール100は、衝突が発生したときに生じる力の経路をドライブシャフト210が通ることを可能にし、これによって通常の乗り物運転とクラッシュに対する安全性を両方収容することができる。いくつかの実施では、クラッシュレールの切り抜き部114は、ドライブシャフトが通る開口部212の形成を容易にする。例えばこれは、クラッシュレールに隣接し、押しつぶされる時の力がドライブシャフト周りを通って、乗り物のより後方にある指定された構造物(例えば、トルクボックス)に衝撃を与えることを可能にするアダプターコンポーネント214によって実現することができる。クラッシュレールは、セル106A−106Cの少なくとも1つ(例えばセル106A)がクラッシュレールの端(例えば、開口部212を超えたところ)まで延び、セルの少なくとも他の1つ(例えば、セル106B、106C)が開口部よりも前で終端となっている(例えば、アダプターコンポーネント214の前)。
【0022】
乗り物クラッシュレール100の他の面は、サブフレーム216に対する1つの取り付け箇所として機能することである。例えば、サブフレームを、限定する意図なく、ステアリングコンポーネント(例えばステアリングラック)、ポンプおよび/またはコンプレッサーを含む乗り物の運転に必要とされるコンポーネントを保持するように構成することができる。通常の乗り物運転のとき、サブフレームの少なくとも1つの部分(例えばフロント)を、クラッシュレールによって所定の位置に保持することが可能である。衝突の際、クラッシュレールは、制御された押しつぶしを受けるだけでなく、そこに装着されるコンポーネントのクラッシュ時の衝撃を抑えるように、サブフレームの望ましい変形を容易にすることができる。例えば、クラッシュレールは、サブフレームがクラッシュレールへの取り付けから自由になることでそうすることが可能であり、これによってサブフレームの下方への変形を許す。
【0023】
図3は、
図1の乗り物クラッシュレール100が押しつぶされた状態での一例を示す。ここではクラッシュレールはフロントエンド112の端部板なしで図示し、クラッシュレール内部の一部が見えている。押しつぶされた状態は、フロントエンドで衝突した後のクラッシュレールの様子を例示している。
【0024】
この例示において、フロントからの衝突力は、乗り物クラッシュレール100の一部にクラッシュパターン300を生じさせる。この例でのクラッシュパターンは、相対的に短い波長の折り畳みを見せている。例えばこれは、受けた力の振動を減少させ、および/または力のピークに対する吸収エネルギーの相対的に高い割合を提供するのに役立つ。さらに、クラッシュパターンは、フロントエンド112から始まってリアエンド110に向けて途中まで延びる部分全体を通じて本質的に同じように見える。すなわち、ここでのクラッシュレールは、連続的な力を受けたならばクラッシュパターンがクラッシュレールの端まで実質的にずっと続くように、構成されている。
【0025】
クラッシュパターンは、上述した物理的次元および材料によって与えられる。イニシエータは、折り畳みがロバストな方法でこの一次折り畳みモードで開始されることを確実にする。すなわち、イニシエータの形状、向きおよび/または配置パターンが、クラッシュパターンによる変形をクラッシュレールに生じさせることができる。これは、破損のリスクを低減するとともに、折り畳み過程によって導かれる振動力において力のピークにより近い、折り畳みを開始させるための最初のピーク力を下げることができる。
【0026】
本例では、クラッシュパターンは、内部変形302と外部変形304とが交互に現れる部分を含む。すなわち、クラッシュパターンは、互いに隣接して生じる多数のクラッシュセクション306をもつように現れる。クラッシュレールの側(すなわち、イニシエータ122B−122Dが位置する
図1の外面)を参照すると、クラックセクションの1つは、2つの外部変形をもちながらその間に1つの内部変形をもつことができる。他の例(再び、クラッシュレールの側に関して挙げる)では、クラッシュセクションの1つは、2つの内部変形をもちながらその間に1つの外部変形をもつことができる。
【0027】
他の実施では、イニシエータの形状、向きおよび/または配置パターンが、他のクラッシュパターンを伴うクラッシュレールを提供することができる。例えば、イニシエータの数、サイズあるいは深さ、および/またはイニシエータ間の相対的ずれを変えることができる。
【0028】
数々の実施は例として記載してきた。にもかかわらず、他の実装は以下のクレームによってカバーされる。
【国際調査報告】