特表2017-517889(P2017-517889A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特表2017-517889液体冷却用の内部空洞を備えるヒートシンク
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】特表2017-517889(P2017-517889A)
(43)【公表日】2017年6月29日
(54)【発明の名称】液体冷却用の内部空洞を備えるヒートシンク
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/473 20060101AFI20170602BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20170602BHJP
【FI】
   H01L23/46 Z
   H05K7/20 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-569372(P2016-569372)
(86)(22)【出願日】2015年5月18日
(85)【翻訳文提出日】2016年11月24日
(86)【国際出願番号】US2015031396
(87)【国際公開番号】WO2015179306
(87)【国際公開日】20151126
(31)【優先権主張番号】14/286,670
(32)【優先日】2014年5月23日
(33)【優先権主張国】US
(81)【指定国】 AP(BW,GH,GM,KE,LR,LS,MW,MZ,NA,RW,SD,SL,ST,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,RU,TJ,TM),EP(AL,AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,MK,MT,NL,NO,PL,PT,RO,RS,SE,SI,SK,SM,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,KM,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AO,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BH,BN,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CL,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DO,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,GT,HN,HR,HU,ID,IL,IN,IR,IS,JP,KE,KG,KN,KP,KR,KZ,LA,LC,LK,LR,LS,LU,LY,MA,MD,ME,MG,MK,MN,MW,MX,MY,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PA,PE,PG,PH,PL,PT,QA,RO,RS,RU,RW,SA,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,ST,SV,SY,TH,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US
(71)【出願人】
【識別番号】509316442
【氏名又は名称】テスラ・モーターズ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】ラム,ロバート,ジェイムズ
(72)【発明者】
【氏名】リュー,ウェンジュン
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル,コリン
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA07
5E322AB03
5E322AB04
5E322AB06
5E322FA04
5F136CB07
5F136EA32
5F136EA40
5F136FA02
5F136GA14
(57)【要約】
液体冷却のための内部空洞を備えるヒートシンクであって、内部空洞内に延びるフィンの第1のグループを有する第1の部分と、内部空洞内に延び、かつフィンの第1のグループの間に適合するように構成される、フィンの第2のグループを有する第2の部分であって、内部空洞が形成されるような第1の部分に取り付けられる第2の部分と、第1および第2の部分の少なくとも一方の内部空洞内への注入口と、第1および第2の部分の少なくとも一方の内部空洞からの排出口とを備えるヒートシンク。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体冷却用の内部空洞を備えるヒートシンクであって、
内部空洞内に延びるフィンの第1のグループを有する第1の部分と、
内部空洞内に延び、かつ前記フィンの第1のグループの間に適合するように構成される、フィンの第2のグループを有する第2の部分であって、内部空洞が形成されるような前記第1の部分に取り付けられる第2の部分と、
第1および第2の部分の少なくとも一方の内部空洞内への注入口と、
第1および第2の部分の少なくとも一方の内部空洞からの排出口と
を備えるヒートシンク。
【請求項2】
前記フィンの第1のグループは第1のアレイに配置された第1のピンを備え、
前記フィンの第2のグループは第2のアレイに配置された第2のピンを備える請求項1に記載のヒートシンク。
【請求項3】
第1のアレイは、第2のアレイ内の列からずらして配置された列を有し、かつ前記第1のアレイは前記第2のアレイのカラムからずれているカラムを有する請求項2に記載のヒートシンク。
【請求項4】
前記第1のアレイ内のカラムのうちの1つがN個の完全なピンを有し、前記第2のアレイ内の対応するカラムはN−1個の完全なピンおよび2つのハーフピンを有し、前記2つのハーフピンは前記N−1個の完全なピンの上方および下方にそれぞれ位置する請求項3に記載のヒートシンク。
【請求項5】
前記第1の部分は内部空洞を有し、かつ、前記第2の部分が前記第1の部分に取り付けられるとき内部空洞を閉じるように前記第2の部分は実質的に平らな蓋である請求項1に記載のヒートシンク。
【請求項6】
前記注入口と前記排出口が前記第1の部分上に配置されている請求項5に記載のヒートシンク。
【請求項7】
前記注入口は、内部空洞に到達する前に旋回し、かつ前記ヒートシンクが前記旋回においてフィンを有する請求項1に記載のヒートシンク。
【請求項8】
前記排出口は、前記内部空洞の後に旋回し、かつ前記ヒートシンクが前記旋回においてフィンを有する請求項1に記載のヒートシンク。
【請求項9】
実質的に平坦であって第1および第2の部分によって形成されるハウジングを備え、前記ヒートシンクは、前記ハウジングの端のタブをさらに備え、前記タブは、電気部品を保持するためのハウジング上にばねを位置決めするために備えられる請求項1に記載のヒートシンク。
【請求項10】
各ばねが、ハウジングの各側に1つずつ一対の電気部品を保持するためのクリップを備える請求項9に記載のヒートシンク。
【請求項11】
前記フィンの第1のグループは前記ピンの第2のグループに対して反対の位置に向けられる請求項1に記載のヒートシンク。
【請求項12】
前記フィンの第1のグループおよび前記フィンの第2のグループは、互いに完全に重なる請求項11に記載のヒートシンク。
【請求項13】
前記フィンの第1および第2のグループは同一の形状を有する請求項1に記載のヒートシンク。
【請求項14】
前記フィンがピンであって、かつ同一の形状が楕円形の外形を備える請求項13のヒートシンク。
【請求項15】
前記フィンの第1および第2のグループの各々はピンであって、かつ前記ピンの各々がドラフトを有する請求項1に記載のヒートシンク。
【請求項16】
注入口は、少なくとも取り付けられたもう一方のヒートシンクを有する第1のマニホールドに接続するように構成されており、排出口もまた、少なくとも取り付けられた他のヒートシンクを有する第2のマニホールドに接続するように構成され、前記第1および第2のマニホールドは、前記ヒートシンクおよび前記他のヒートシンクを通して冷却剤のパラレルフローを提供する請求項1に記載のヒートシンク。
【請求項17】
第1及び第2の部分は、各々第1および第2の鋳造部品からなる請求項1に記載のヒートシンク。
【請求項18】
第1および第2の部分は、アルミニウムで作られる請求項1に記載のヒートシンク。
【請求項19】
内部空洞内に延びるフィンの第1のグループを有する第1の部分を鋳造し、
前記内部空洞が形成されるように、前記第1の部分に取り付けられるように構成された第2の部分を鋳造し、前記第2の部分は、内部空洞内に延びるフィンの第2のグループを有し、かつ前記フィンの第1のグループの間に適合するように構成されており、内部空洞への注入口は、少なくとも第1および第2の部分の一方上に位置され、内部空洞からの排出口は、少なくとも第1および第2の部分の一方上に位置され、
そして、前記第1の部分に前記第2の部分を取り付ける、液体冷却用の内部空洞を備えるヒートシンクを製造する方法。
【請求項20】
前記フィンの第1のグループは、第1のアレイ内に配置された第1のピンを備え、
前記フィンの第2のグループは、第2のアレイ内に配置された第2のピンを備え、
前記第1のアレイは、前記第2のアレイ内の列からずれた列を有し、
前記第1のアレイは、前記第2のアレイ内のカラムからずれたカラムを有する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第1のアレイ内のカラムのうちのひとつがN個の完全なピンを有し、かつ前記第2のアレイ内の対応するカラムがN−1個の完全なピンと前記N−1個の完全なピンの上下にそれぞれ2つのハーフピンを有する、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記第1および第2の部分がアルミニウムから鋳造される、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
この出願は、2014年5月23日に提出された液体冷却用の内部空洞を備えるヒートシンクと題される米国シリアル番号14/286,670の出願日の利益を主張し、これらの内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
電気及び電子部品によっては、使用時に何らかの冷却が必要なものがある。いくつかのシナリオでは、能動冷却は空気流または液体流(すなわち、冷却剤)を発熱装置と熱的に接触させることによって提供される。熱は、加熱された領域を通過する際に空気/冷却剤によって吸収され、その後ラジエータを使用するなどの何らかの方法で冷却媒体から熱エネルギーが散逸される。
【0003】
液体冷却システムでは、通常冷却剤は生成された熱を吸収し、内部を流れる媒体にそれを移すように設計された1つ以上の導管を通って循環される。そのような導管の中には、冷却剤への熱伝達を改善するように設計された内部構造を有するものがある。しかしながら、そのような内部構造を有する導管を製造することは困難である。
【発明の概要】
【0004】
第一の側面において、液体冷却用の内部空洞を備えるヒートシンクは、内部空洞内に延びるフィンの第1のグループを有する第1の部分と、内部空洞内に延び、かつフィンの第1のグループの間に適合するように構成される、フィンの第2のグループを有する第2の部分であって、内部空洞が形成されるような第1の部分に取り付けられる第2の部分と、第1および第2の部分の少なくとも一方の内部空洞内への注入口と、第1および第2の部分の少なくとも一方の内部空洞からの排出口とを備える。
【0005】
複数の実施形態は以下の特徴のいずれかまたはすべてを含んでもよい。フィンの第1のグループは第1のアレイに配置された第1のピンを備え、フィンの第2のグループは第2のアレイに配置された第2のピンを備える。第1のアレイは、第2のアレイ内の列からずらして配置された列を有し、かつ第1のアレイは第2のアレイのカラムからずれているカラムを有する。第1のアレイ内のカラムのうちの1つがN個の完全なピンを有し、第2のアレイ内の対応するカラムはN−1個の完全なピンおよび2つのハーフピンを有し、2つのハーフピンはN−1個の完全なピンの上方および下方にそれぞれ位置する。第1の部分は内部空洞を有し、かつ、第2の部分が第1の部分に取り付けられるとき内部空洞を閉じるように第2の部分は実質的に平らな蓋である。注入口と排出口が第1の部分上に配置されている。注入口は、内部空洞に到達する前に旋回し、かつヒートシンクが旋回においてフィンを有する。排出口は、内部空洞の後に旋回し、かつヒートシンクが旋回においてフィンを有する。ヒートシンクは、実質的に平坦であって第1および第2の部分によって形成されるハウジングを備え、ヒートシンクは、ハウジングの端のタブをさらに備え、タブは、電気部品を保持するためのハウジング上にばねを位置決めするために備えられる。各ばねが、ハウジングの各側に1つずつ一対の電気部品を保持するためのクリップを備える。フィンの第1のグループはピンの第2のグループに対して反対の位置に向けられる。フィンの第1のグループおよびフィンの第2のグループは、互いに完全に重なる。フィンの第1および第2のグループは同一の形状を有する。フィンがピンであって、かつ同一の形状が楕円形の外形を備える。フィンの第1および第2のグループの各々はピンであって、かつピンの各々がドラフトを有する。注入口は、少なくとも取り付けられたもう一方のヒートシンクを有する第1のマニホールドに接続するように構成されており、排出口もまた、少なくとも取り付けられた他のヒートシンクを有する第2のマニホールドに接続するように構成され、第1および第2のマニホールドは、ヒートシンクおよび他のヒートシンクを通して冷却剤のパラレルフローを提供する。第1及び第2の部分は、各々第1および第2の鋳造部品からなる。第1および第2の部分は、アルミニウムで作られる。
【0006】
第2の側面において、液体冷却用の内部空洞を備えるヒートシンクを製造する方法は、内部空洞内に延びるフィンの第1のグループを有する第1の部分を鋳造し、内部空洞が形成されるように、第1の部分に取り付けられるように構成された第2の部分を鋳造し、第2の部分は、内部空洞内に延びるフィンの第2のグループを有し、かつフィンの第1のグループの間に適合するように構成されており、内部空洞への注入口は、少なくとも第1および第2の部分の一方上に位置され、内部空洞からの排出口は、少なくとも第1および第2の部分の一方上に位置され、そして、第1の部分に第2の部分を取り付ける。
【0007】
複数の実施形態は以下の特徴のいずれかまたはすべてを含んでもよい。フィンの第1のグループは、第1のアレイ内に配置された第1のピンを備え、フィンの第2のグループは、第2のアレイ内に配置された第2のピンを備え、第1のアレイは、第2のアレイ内の列からずれた列を有し、第1のアレイは、第2のアレイ内のカラムからずれたカラムを有する。第1のアレイ内のカラムのうちのひとつがN個の完全なピンを有し、かつ第2のアレイ内の対応するカラムがN−1個の完全なピンとN−1個の完全なピンの上下にそれぞれ2つのハーフピンを有する。第1および第2の部分がアルミニウムから鋳造される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本体と蓋とを含むヒートシンクの一例を示す図である。
図2図1の本体の一例を示している。
図3】ヒートシンクを形成するように組み立てられる、図1の本体と蓋の一例を示す図である。
図4】ばねによって取り付けられた構成要素を有するヒートシンクの一例を示す図である。
図5】マニホールドに接続される3つのヒートシンクのアセンブリを示している。
図6図1の組み立て後のヒートシンクの一例の断面図を示す。
図7】ヒートシンクの製造工程の一例を示す図である。
図8】本体と蓋とを含むヒートシンクの他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
この文書では、ヒートシンクを用いた電気または電子部品を効果的に冷却するためのシステムおよび技術の例を説明する。フィンの内部パターンが長所となるようなヒートシンクを製造するプロセスもまた記載されている。例えば、一つ以上のヒートシンクが、電気パワートレインの構成要素から熱を除去するために電動車両に搭載することができる。
【0010】
図1は、フィン本体102と蓋104を含むヒートシンク100の一例を示す。本体は、複数のフィン、ここではフィン108が冷却剤の流れを促進するように構成された中空部106を有する。フィンは規則的なパターンで配列され(例えば、アレイ)、ここではフィンの列で、各フィンはまた対応するフィンのカラムの一部である。例えば、特定のカラムは、中間フィン108B、C、およびD、ならびに、そのカラムの上下にそれぞれ対応するハーフフィン108Aおよび108Eを有する。
【0011】
本体102はまた、注入口110と排気口112とを有する。この注入口および排気口は、蓋104が本体に装着されたときに、中空部106によって形成される内部空洞への流体のアクセスを提供している。この例における、注入口および排気口の位置は、単なる例示であり、他の実施態様では、注入口および/または排出口は、別の場所にあってもよい。別の例として、ヒートシンクは、複数の注入口および/または排出口を有することができる。注入口および排出口の各々は、対応するフィン114または116を有する。
【0012】
蓋104はフィン118を有し、本体102のフィン108の間に適合するように構成される。本体のフィンと同様に、蓋のフィンは、規則的なパターン(例えば、アレイ)、ここではフィンの列で配置されており、各フィンはまた対応するフィンのカラムの一部である。しかし、この例では本体フィンとは異なり、蓋フィンはハーフフィンを有していない。むしろ、フィン118の第1のカラム118Aはヒートシンクが組み立てられるときフィン108A−Eの一方の側に適合するように構成されており、もう一方のカラム118Bはフィン108A−Eの他の側に適合するように構成されている。つまり、本体のフィンの列がここで蓋上のフィン列からずれていると、本体のフィンカラムはここで蓋上のフィンカラムからずれる。
【0013】
他の実施態様では、中空部106は、複数の部材間で分散させることができる。例えば、組み立て時に内部空洞を形成するように、2つの本体部分の各々が中空部の半分を個別に有することができる。また、この例では、フィンの数は単なる例示であり、他の実施形態では、ヒートシンクは異なる数のフィンおよび/またはハーフフィンを有することができる。別の例として、ハーフフィンを持つカラムは代わりに蓋上にあってもよく、または本体と蓋との間に分配することができる。
【0014】
図2は、図1の本体102の一例を示している。この図は、注入口110と排気口112の例を示し、各々がヒートシンクの基部表面から内部空洞へのアクセスを提供する。図1を再び参照すると、注入口110は、内部の空洞に到達する前に旋回する。同様に、排出口端部において、排出口112は基部表面に出る前に旋回する。フィン114、116は、個々の曲がり角に配置されている。
【0015】
本体102は、組み立てられたとき(例えば、蓋が取り付けられた後)ヒートシンクは、実質的に平坦になるような形状を有している。特に、平坦な本体は、この例では、注入口および排出口と同じ方向を向いているエッジ200を有する。ヒートシンクは、エッジ上に1つ以上のタブ202(ここでは7つのタブ)を有する。タブはヒートシンク自体または(例えば、クリップまたはバネを介して)それに取り付けられた部材を配置するように、位置決めのために使用することができる。
【0016】
図3は、ヒートシンクを形成するように組み立てられた、図1の本体102および蓋104の一例を示している。蓋は本体に対して現在ある角度であり、組立工程において本体に対して平らに置かれる。特に、蓋は内部空洞を形成することができるように、かつ冷却水用の耐漏洩性を成すように、本体のエッジ302に対応するエッジ300を有している。
【0017】
図4は、ばね406によって取り付けられる、部材402、404を有するヒートシンク400の一例を示す図である。ここでは、ばねの各々は、ヒートシンクの両側に1つずつある、2つの部材を保持するクリップの形状である。タブは、ばねの位置決めのために使用することができる。例えば、ばね406によって保持される対応する部材(複数可)の変位に対抗するように、ここではタブ202Aおよび202Bは配置を補助する。簡単のために、ここでは部材は概略的に示されている。すなわち、ピン、配線、または他の接続は、明確にするために省略されている。
【0018】
図5はマニホールド504A−Bに接続された、3つのヒートシンク502のアセンブリ500を示す。その注入口とマニホールドのひとつとの間、およびその排出口ともうひとつのマニホールドとの間の流体接続を提供するように、各ヒートシンクが取り付けられる。マニホールドは、それぞれの中空内部へ個別の開口部506A−Bを有している。例えば、それぞれの並列冷却剤の流れがヒートシンク502を通って提供するように、開口部506Bを通してマニホールド504Bを出る前に冷却剤がマニホールド504Aに導入され得る。アセンブリ500は、冷却剤の特定の循環によって冷却されている唯一のユニットであるか、またはアセンブリがその循環における冷却剤の流れによって提供される複数のアセンブリまたは部材のうちのひとつであってもよい。
【0019】
図6は、組み立て後の図1のヒートシンクの断面図600の一例を示す。ここでは内部空洞が形成されるように、本体102と蓋104は互いに接続されている。ピンおよびハーフピンは内部空洞の内側にある。特に、ここでは完全なピン108B−D、同様にハーフピン108Aおよび108Eが表示されている。同様に、ここでは(この例では蓋上の)フィン602A−Dは断面で表示されている。例えば、フィン602A−Dは、カラム118AまたはB(図1)を形成することができる。フィン118A−Eは、ここではフィン602A−Dに比べて反対に位置づけられている。特に、それらは、ここでは逆方向に位置づけられている。また、一方のフィン18A−Eと、他方のフィン602A−Dとの間の重なり量は、ヒートシンクの部分を設計するプロセスで選択することができる。例えば、ここではフィン118A−Eおよび602A−Dとの間の完全な重なりがある。
【0020】
フィン118A−Eおよび602A−Dは、任意の適切な形状を有することができる。ある実施形態では、フィンは本体と蓋からそれぞれ延びるピンの形状をとる。例えば、ピンが楕円形の完全なピン、および対応している半楕円形のハーフピンを含んでもよい。ピンの形状は、流動条件に依存し得る。例えば、ダイヤモンド形状または円形状は、非常に低流量の状況に対して機能し得る。
【0021】
フィン602A−Dは、フィン118A−Eに関してオフセットされている。例えば、ここで、フィン602A−Dは、フィン108A−Eよりも(表示方向)に深く配置することができる。これは、内部空洞内の冷却剤にとって有利なフローパターンを提供することができる。例えば、かなりの量の乱流が達成され得るが、これはフィンから(すなわち、ヒートシンクに取り付けられた部材から)冷却剤に良好な熱伝達を提供する助けとなる。逆に、フィン114、116(図1)は、注入口および排出口付近の乱流を回避することができる。例えば、これらの領域における流れが乱流よりむしろ層状であることにより、冷却剤中の望ましくない圧力低下を避けることの助けとなる。
【0022】
図7は、ヒートシンクを製造するためのプロセス700の一例を示す。702では、装置の各部品が設計される。例えば、図1に示す本体と蓋の形状を、それらが意図された設置スペース内に収まるように、物理的な冷却を必要とする意図された部品を収容するように、およびヒートシンクの熱除去能力が使用目的に適するように、定義することができる。
【0023】
704では、複数のフィン(例えば、ピン)が設計された部品の間に割り当てられている。ピンは、個々の部品上のそれぞれのアレイ上に配置され得る。ある実施形態において、部品のうちの1つのカラムに並んだピンがN個のピンを有するように、また対応するもうひとつの部品上のカラムがN個のピンと機能的に等価であるように、ピンが配置されてもよい。例えば、他の部品はN−1の完全なピンを有し、またカラムの両端には2つのハーフピンが配置されてもよい。例えば、部材がその各側に取り付けられているとき、これはヒートシンクの各部品からより均等な熱の流れを可能にすることができる。形状の構造は、製造工程のいかなる要求も考慮するだろう。例えば、ヒートシンクの部品を鋳造する場合、鋳造部品を鋳型から取り出すことができるように、ピン108、118(図1)の各々は、ドラフトを設けることができる。
【0024】
706では、それぞれの部品の鋳型を作成することができる。例えば、鋳型は、図1に示す本体と蓋に対応する逆の形状を備えることができる。鋳型は、任意の適切な材料から作られてもよいが、砂を含み、これに限定されなくてもよい。
【0025】
鋳型はその後工場のような適切な製造環境に導入することができる。一定量鋳型を使用した後に改装または交換を必要とする可能性があるならば、作成された鋳型を使用する部品の鋳造工程は、その後必要に応じて何度でも行うことができる。708では、適切な金属が液化されてもよい。鋳造に対して適切な任意の金属または合金が使用され得るが、これに関してアルミニウムを含むがこれに限定されなくてもよい。710では、液化した金属は、例えば、重力送り法によって鋳型内に配置される。712では、金型は冷却することができるが、受動的な冷却、または温度が低下すると積極的に温度を制御することを含んでもよい。714では、それぞれ鋳型から鋳造片が取り出され、そして716では必要に応じて良好なかみ合いを確保して終了する。
【0026】
718では、設計されたピンのグループを有する内部空洞を形成するように、部品をヒートシンク内に組み立てることができる。任意の好適な取り付け技術が使用され得るが、部品を溶接もしくはろう付けすること、または接着剤を塗布することを含みこれらに限定されない。溶接またはろう付けの利点のひとつは、2つのピースが熱的に1つになることである。その結果、最終的なヒートシンクは、その二等分は大いに異なるサイズであっても、それぞれの側の熱質量の点で十分にバランスを取り得る。
【0027】
上記の例では、プロセス700は、鋳造によるヒートシンクの製造に向けられている。これは、いくつかの利点を提供することができるが、例えば、本質的に内部空洞内の各フィン間に任意の所望の分離を得ることができる。対照的に、内部空洞内におけるフィンのみ、個々の部品のいずれかの上にのみフィンを有し、反対側の部品上にフィンが無い場合、その結果フィンの分離は製造プロセスによって制限される。
【0028】
他の実施態様では、鋳造以外の製造技術を使用することができる。例えば、個々の部品(例えば、図1の本体および蓋)は、アルミニウムを含むがこれに限定されない任意の適切な材料から機械加工することができる。
【0029】
図8は、本体802および蓋804を含むヒートシンク800の別の例を示している。本体は、複数のフィン808を有する中空部806を有する。フィンは、規則的なパターン、ここでは列で配置されている。図1の例と同様に、本体802もまた、ここでは対応するフィン814または816をそれぞれ有する、注入口810および排出口812を有する。
【0030】
蓋804は、本体802のフィン808に従って構成されたフィン818を有する。本体のフィンと同様に、蓋のフィンは規則的なパターン、ここでは列で配置されている。フィン818は、フィン808の間に適合するようにずれている。例えば、フィン818の特定の一つは、ヒートシンクが組み立てられるときフィン808Aと808Bとの間に適合するように構成される。次に、フィン818のうちの別の1つは、ヒートシンクが組み立てられるとき、フィン808Bと808Cとの間に適合するように構成される。組み立てたられたときいくつかのスペースがそれらの間に存在するようにフィン808と818が設計され、これにより冷却剤の通路が提供される。
【0031】
複数の実施形態は例として記載されている。それにもかかわらず、他の実施形態は以下の特許請求の範囲によってカバーされる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【国際調査報告】