特開2015-100459(P2015-100459A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-100459(P2015-100459A)
(43)【公開日】2015年6月4日
(54)【発明の名称】遊技場用管理システム
(51)【国際特許分類】
   A63F 7/02 20060101AFI20150508BHJP
【FI】
   A63F7/02 328
   A63F7/02 329
   A63F7/02 352F
   A63F7/02 352L
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-241917(P2013-241917)
(22)【出願日】2013年11月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000108937
【氏名又は名称】ダイコク電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】向山 幸治
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088BA88
2C088BA90
2C088BB03
2C088BB06
2C088BB07
2C088BB29
2C088BB30
2C088BB32
2C088CA02
2C088CA31
2C088CA35
(57)【要約】
【課題】遊技者に手間を取らせることなく即時に会員登録して会員記録媒体を発行して利用できるようにすることができる遊技場用管理システムを提供する。
【解決手段】遊技機1に付設される計数貸出ユニット2において、従業員が挿入した未登録の会員カード10を管理装置5に暫定登録することにより会員カード10として即座に使用可能とした。これにより、遊技者に手間を取らせることなく会員カード10を発行することができ、遊技者が遊技を継続しながら即時に会員カード10として使用可能となるので、遊技者が会員カード10の発行を面倒と感じることが無く、会員遊技者の増加に貢献することができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の遊技機と、
各遊技機において遊技者が遊技により獲得した遊技価値の大きさを特定する遊技価値特定手段と、
所定の個人情報を登録した遊技者に対して発行され、当該遊技者が複数日にわたって使用可能であり、当該遊技者を特定するための会員識別情報が記録されている会員記録媒体と、
発行された当日に限り有効とされ、全ての遊技者が使用可能であり、一般識別情報が記録されている一般記録媒体と、
各遊技機に付設され、前記会員記録媒体及び一般記録媒体がセット可能であり、前記遊技価値特定手段により特定された遊技価値の大きさを示す遊技価値情報を、前記会員記録媒体がセットされた状態では当該会員記録媒体の会員識別情報と対応付けて、前記一般記録媒体がセットされた状態では当該一般記録媒体の一般識別情報と対応付けて記録する記録媒体処理装置と、
前記遊技価値情報に基づいて、前記遊技価値を所定の景品と交換するための景品交換処理を実行する景品交換装置と、
前記個人情報、及び前記遊技価値情報を、前記会員識別情報または一般識別情報と対応付けて記録・管理する管理装置と、を備えた遊技場用管理システムにおいて、
前記記録媒体処理装置は、前記個人情報が未だ登録されていない未登録会員記録媒体がセットされた状態で暫定登録指令を受けたときは、前記管理装置に対して当該未登録会員記録媒体を暫定的に登録して使用可能とする旨の暫定登録要求を送信し、
前記管理装置は、前記記録媒体処理装置から暫定登録要求を受信したときは、前記個人情報の登録にかかわらず前記未登録会員記録媒体を暫定登録状態として使用可能にするとともに、前記遊技価値情報を当該未登録会員記録媒体の会員識別情報と対応付けて記録し、
前記景品交換装置は、前記未登録会員記録媒体の会員識別情報と対応付けて記録されている遊技価値情報に基づく景品交換処理の実行を抑制することを特徴とする遊技場用管理システム。
【請求項2】
前記管理装置は、前記未登録会員記録媒体に対して前記個人情報が登録されたときには、前記暫定登録状態を解除し、通常の登録状態とすることを特徴とする請求項1記載の遊技場用管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、会員記録媒体を利用して遊技可能な遊技場用管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の遊技場においては、例えば特許文献1に記載されているように、会員として登録した遊技者に対して会員カードを付与し、その会員カードを利用することを前提として貯玉などのサービスを提供するようにしている。会員登録した遊技者を増やすことが稼動率の向上に繋がるため、遊技場側は会員登録を促進するための様々な施策を試みている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−102808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、会員登録するためには所定の用紙に氏名、住所、職業などの個人情報を記入して遊技場側に提出する必要があるため、遊技者にとってはその作業が面倒であり、それが原因でなかなか会員登録を促進することができないという事情がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、遊技者に手間を取らせることなく即時に会員登録して会員記録媒体を発行して利用できるようにすることができる遊技場用管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の遊技場用管理システムは、複数の遊技機と、各遊技機において遊技者が遊技により獲得した遊技価値の大きさを特定する遊技価値特定手段と、所定の個人情報を登録した遊技者に対して発行され、当該遊技者が複数日にわたって使用可能であり、当該遊技者を特定するための会員識別情報が記録されている会員記録媒体と、発行された当日に限り有効とされ、全ての遊技者が使用可能であり、一般識別情報が記録されている一般記録媒体と、各遊技機に付設され、前記会員記録媒体及び一般記録媒体がセット可能であり、前記遊技価値特定手段により特定された遊技価値の大きさを示す遊技価値情報を、前記会員記録媒体がセットされた状態では当該会員記録媒体の会員識別情報と対応付けて、前記一般記録媒体がセットされた状態では当該一般記録媒体の一般識別情報と対応付けて記録する記録媒体処理装置と、前記遊技価値情報に基づいて、前記遊技価値を所定の景品と交換するための景品交換処理を実行する景品交換装置と、前記個人情報、及び前記遊技価値情報を、前記会員識別情報または一般識別情報と対応付けて記録・管理する管理装置と、を備え、前記記録媒体処理装置は、前記個人情報が未だ登録されていない未登録会員記録媒体がセットされた状態で暫定登録指令を受けたときは、前記管理装置に対して当該未登録会員記録媒体がセットされた状態で暫定登録指令を受けたときは、前記管理装置に対して当該未登録会員記録媒体を暫定的に登録して使用可能とする旨の暫定登録要求を送信し、前記管理装置は、前記記録媒体処理装置から暫定登録要求を受信したときは、前記個人情報の登録にかかわらず前記未登録会員記録媒体を暫定登録状態として使用可能にするとともに、前記遊技価値情報を当該未登録会員記録媒体の会員識別情報と対応付けて記録し、前記景品交換装置は、前記未登録会員記録媒体の会員識別情報と対応付けて記録されている遊技価値情報に基づく景品交換処理の実行を抑制するものである(請求項1)。
【0007】
請求項1記載の遊技場用管理システムにおいて、
前記管理装置は、前記未登録会員記録媒体に対して前記個人情報が登録されたときには、前記暫定登録状態を解除し、通常の登録状態とするようにしてもよい(請求項2)。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、遊技機に付設される記録媒体処理装置にて遊技者に手間を取らせることなく会員記録媒体を発行することができるため、遊技者が会員記録媒体の発行を面倒と感じることが無く、会員遊技者の増加に貢献することができる。
【0009】
請求項2の発明によれば、記録した遊技価値を例えば景品交換に使用する際には所定の個人情報を登録する必要があるため、遊技場側は事後的に従来と同様の個人情報を収集することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態における遊技システムの全体構成を示す概略図
図2】遊技機及び計数貸出ユニットを概略的に示す正面図
図3】計数貸出ユニットの構成を示す機能ブロック図
図4】計数貸出ユニットによる会員カード即時発行処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、遊技場用管理システムの全体構成を示す概略図である。遊技場内には複数の遊技機1が設置されており、各遊技機1に対応して計数貸出ユニット2(遊技価値特定手段、記録媒体処理装置に相当)が設置されている。これら遊技機1及び計数貸出ユニット2は、中継端末3及びLAN4を介して管理装置5と接続されている。管理装置5は、遊技機側(遊技機1、計数貸出ユニット2等)から送信される遊技信号を受信することにより遊技機1毎の遊技データを管理する共に、会員登録された会員遊技者毎の個人データも管理する。
【0012】
遊技場には景品交換端末(以下、POS)6(景品交換装置に相当)及び精算装置7も設置されており、LAN4を介して管理装置5と接続されている。POS6は、付属するカードリーダライタ8により読取った一般カード9(一般記録媒体に相当。図3参照)或いは会員カード10(会員記録媒体に相当。図3参照)により特定される遊技価値(持玉数・貯玉数)に基づいて景品交換処理を実行する。精算装置7は、一般カード9又は会員カード10がカード挿入口11に挿入されると、挿入されたカード9,10に記録されている入金残高をカードリーダ(図示せず)により読取り、その読取った入金残高に対応する紙幣や硬貨を返却口12から返却する。
尚、POS6及び精算装置7においてカード9,10に記録されている遊技価値を取扱うときは、管理装置5がカード9,10に対応して予め記憶している遊技価値と照合し、真であると判定したことを条件として遊技価値の取扱いを有効とする。
【0013】
管理装置5は、遊技場内の例えば事務室等に設置されており、遊技場の管理者が操作するキーボード13、モニタ14、図示しないプリンタ等が接続されている。尚、図1では図示を省略したが、実際には例えば数百台の遊技機1が管理装置5の管理対象となっている。管理装置5は、遊技場内に設置された遊技機1、計数貸出ユニット2、POS6等の稼動状況を管理すると共に、遊技機側からの信号に基づいて遊技者毎の遊技価値(持玉数・貯玉数)と、入金残高とを記憶管理する。尚、持玉とは当日中に計数した玉であり、貯玉とは前日以前に計数した玉である。
【0014】
図1で示す遊技機1はCRパチンコ機であり、盤面15に玉を発射する発射装置を構成する操作ハンドル16、上部受皿17、下部受皿18を有すると共に、盤面15に、液晶表示部19、始動口20、大入賞口21を有する。遊技者が操作ハンドル16を操作すると、玉(遊技媒体)が盤面15に発射され、そのパチンコ玉が始動口20に入賞すると、その入賞に応じた玉数のパチンコ玉を払出したり大当たり抽選を行ったりする。大当たり抽選では、液晶表示部19において所謂特別図柄(特図)による図柄変動を実行し、停止表示された図柄が大当たり図柄の場合に大当たりが発生する。大当たりが発生すると、例えば15ラウンド分だけ大入賞口21を開放する。
尚、遊技機1は、遊技者による遊技が進行することに応じて、打ち込んだパチンコ玉の玉数である投入媒体数を特定可能なアウト信号、払出されたパチンコ玉の玉数である払出媒体数を特定可能なセーフ信号、大当たり状態を特定可能な大当たり信号等の各種の遊技信号を出力する。
【0015】
計数貸出ユニット2は、入金残高の範囲内で玉(遊技媒体)の貸出処理を行うと共に、遊技機1の下部受皿18から払出される玉(遊技価値)を受入れて計数し、入金残高及び持玉数(計数玉数)を一般カード9又は会員カード10に記録して発行する。一般カード9を受付けたときは、入金残高及び持玉数を表示すると共にそれらの範囲内で貸出・返却処理を行う。会員カード10を受付けたときは、入金残高及び持玉数を表示すると共に暗証番号の入力を条件として貯玉数を表示し、それらの範囲内で貸出・返却処理を行う。
【0016】
図2は遊技機1及び計数貸出ユニット2を概略的に示す正面図である。計数貸出ユニット2は、現在の運用状態(正常状態、エラー状態など)を示す状態表示部22、紙幣が投入される紙幣投入口23、遊技者からの操作入力を受付けると共に遊技の進行に伴って図柄変動回数(スタート回数)や大当たり確率等の遊技データを表示するタッチパネル式の液晶表示部24、1単位分(500円相当)の玉を払出すための払出ボタン25、払出された玉が通過する払出ノズル26、従業員が携帯する従業員リモコン27(図1参照)からの光信号を受信するリモコン受信部28、一般カード9或いは会員カード10が挿入されるカード挿入口29、遊技機1の下部受皿18の下方に位置する着脱可能な計数受皿30等を備えている。
【0017】
一方、遊技機1には貸出ボタン31及び返却ボタン32が設けられており、計数貸出ユニット2は、貸出ボタン31に対する操作に応じて貸出処理を実行し、返却ボタン32に対する操作に応じてカード発行処理を実行する。
図3は、計数貸出ユニット2の構成を示す機能ブロック図である。計数貸出ユニット2は、CPU33a、ROM33b、RAM33c、I/O33dを有するマイクロコンピュータにより構成される制御部33、当該制御部33と接続された周辺部を備えて構成されている。周辺部としては、管理装置5及び遊技機1との間で各種信号や各種情報を送受信するI/F部34、紙幣投入口23に投入された紙幣の真贋を判定する紙幣処理部35、液晶表示部24、当該液晶表示部24上に設けられたタッチパネル36、カード挿入口29に挿入されたカード9,10に記録されている各種情報を読取ったり、書込んだりする所定位置としてのカードリーダライタ37、最大10枚の一般カード9をストック可能なカードストック部38、払出ボタン25、当該払出ボタン25が操作されたときに、1単位分(例えば500円分)の玉を払出ノズル26から払出す払出部39、計数受皿30から流入する玉数を計数する計数部40等である。
【0018】
一般カード9及び会員カード10にはICチップ9a,10aがそれぞれ内蔵されており、ICチップ9a,10aには一般ID、会員IDがそれぞれ記憶されている。これらのカード9,10は、計数貸出ユニット2に入金された入金金額(残高情報)や持玉数を特定するための持玉情報を特定するための記録媒体である。一般カード9は当日限り有効で、入金残高及び持玉数を記憶可能である。会員カード10は、予め設定されている有効期限(例えば3年間)まで有効であり、入金残高を記憶可能である一方、持玉数・貯玉数は管理装置5のみに記憶する。
【0019】
計数貸出ユニット2は、以下に示す機能を備えている。
(1)紙幣投入口23に投入された紙幣の金額(1000円単位)を記憶すると共に、投入金額(入金残高)を液晶表示部24に表示する。
(2)遊技機1に設けられた貸出ボタン31の操作に応じて入金残高の範囲内で1度数(500円)に相当する数の玉(125玉)を遊技機1内部の払出機構から払出す。このとき、遊技機1から計数貸出ユニット2に1度数分の玉を払出したことを示す信号が出力されるので、液晶表示部24に表示されている入金残高から1度数に相当する金額(500円)を減額すると共に売上信号を出力する。この売上信号は1度数の玉の払出し毎に1パルスが出力されるので、1パルスを500円分の売上額として特定する。
(3)遊技機1の下部受皿18から落下して計数受皿30で受けられた玉が計数部40に流入することで玉数を計数して液晶表示部24に表示する。
(4)払出ボタン25の操作に応じて計数玉数(持玉数)又は貯玉数(会員遊技者の場合)の範囲内で1度数(125玉)ずつ払出す。
【0020】
(5)遊技機1に設けられた返却ボタン32に対する操作に応じて入金残高及び持玉数をカード挿入口29に挿入されている一般カード9に記録して発行する。会員カード10が挿入されている場合は、入金残高を会員カード10に記録すると共に暗証番号の入力を条件として持玉数を管理装置5に送信してから会員カード10を発行する。カード9,10を発行する場合は、発行情報を管理装置5へ送信し、管理装置5側にも記憶する。尚、カード挿入口29に一般カード9も会員カード10も挿入されていない場合は、カードストック部38にストックしている一般カード9を図示しない記録媒体移動手段によりカードリーダライタ37に繰出(セット)して入金残高及び持玉数を記録して発行する。また、入金残高及び持玉数とも0となった場合は、カードリーダライタ37にセットされた一般カード9を記録媒体移動手段によりカードストック部38に回収する。
【0021】
(6)一般カード9がカード挿入口29に挿入された場合は、一般カード9に記録されている入金残高及び持玉数をカードリーダライタ37により読出して液晶表示部24に表示する。会員カード10が挿入された場合は、会員カード10に記録されている入金残高を読出して液晶表示部24に表示すると共に暗証番号の入力を条件として管理装置5の会員口座に記憶されている貯玉数(当日貯玉数・前日貯玉数)も表示する。当日貯玉数とは当日貯玉された貯玉数であり、前日貯玉数とは前日までの貯玉数である。営業終了後は、当日貯玉数は前日貯玉数に合算して記憶される。遊技者による払出操作に応じて貯玉数の範囲内で1度数分の玉を払出ノズル26から払出す。
(7)液晶表示部24に対する操作入力に応じて対応する遊技機1或いは指定された他の遊技機1の遊技データを表示したり、遊技場からのメッセージを表示したり、遊技者が会員遊技者であることが特定された場合は遊技機1の遊技データを表示する。
【0022】
管理装置5は、記憶しているコンピュータプログラムにしたがって作動し、遊技機1の稼動状況を示す遊技データを表示する遊技情報表示サービス、並びに遊技者が遊技により獲得した遊技媒体を一旦貯蓄し、当日或いは後日遊技に再利用できるようにする貯玉サービスを実行可能となっている。これらのサービスを実行するために、遊技機1や計数貸出ユニット2等から入出力部に入力される遊技信号に基づいて、遊技機1の稼動状態を特定して遊技機1毎に遊技データを管理するようになっている。
【0023】
遊技機1毎に管理する遊技データは次の通りである。
・アウト
・セーフ
・差玉=セーフ−アウト
・出玉率=セーフ÷アウト
・大当たり確率=大当たり回数÷スタート回数
次に、上記構成の作用について説明する。
【0024】
遊技者が計数貸出ユニット2に紙幣を投入すると、計数貸出ユニット2は、投入された紙幣の金額を記憶すると共に、貸出可能な度数(1度数=125玉)を液晶表示部24に表示する。遊技者が遊技機1の貸出ボタン31を押下げると、貸出ボタン31に対する操作に応じて1度数ずつ遊技機内部の払出機構から玉を払出す貸出処理を実行する。一方、会員遊技者が貯玉を有している場合は、払出ボタン25に対する操作により1単位分の玉を払出ノズル26から払出す払出処理を実行する。
【0025】
遊技者が遊技機1で獲得した玉を計数する場合は、遊技機1の下部受皿18から玉を落下させる。落下した玉は計数貸出ユニット2の計数受皿30で受けられて計数貸出ユニット2内に流入し、計数部40にて計数される。計数貸出ユニット2は、計数部40で玉を計数すると、計数玉数を持玉数として液晶表示部24に表示する。払出ボタン25により持玉の払出操作が行われると、持玉数の範囲内で1度数(125玉)の玉が払出ノズル26から遊技機1に払出されると共に、液晶表示部24に表示されている持玉数が更新される。尚、持玉数が1度数未満の場合には全ての持玉数が払出される。遊技者が遊技機1の返却ボタン32を操作すると、その時点の入金残高・持玉数が記録された一般カード9を発行する(会員カード10がカード挿入口29に挿入されている場合は、その会員カード10に入金残高だけ記録して発行し、持玉数は管理装置5の会員口座の当日貯玉に合算して記憶される)。そして、発行された一般カード9(会員カード10)を移動先の計数貸出ユニット2に挿入することにより当該一般カード9に記録(会員カード10の場合は当該会員カード10に対応して管理装置5に記憶)されている入金残高・持玉数(貯玉数)が表示されるので、その範囲内で玉の貸出、或いは返却を受けて遊技することができる。遊技が終了したときは、遊技機1に設けられている返却ボタン32を操作することにより一般カード9或いは会員カード10に情報を記憶して返却(発行)することができる。
【0026】
さて、会員登録していない遊技者が遊技の結果、多数の獲得玉を獲得し、計数貸出ユニット2により獲得玉を計数すると、獲得玉を持玉とすることができる。この持玉は払戻操作により遊技に使用したり、発行操作により一般カード9に記憶して台移動したり、当日中に景品と交換することも可能であるが、遊技者の中には貯玉として後日遊技に使用したり、景品と交換したりすることを希望する者もいる。
【0027】
しかしながら、持玉を貯玉とするには、本来は会員登録により会員カード10を入手して使用する必要があるが、面倒と考える遊技者が多く、会員カード10を入手していないのが実情である。また、個人情報を登録して会員カード10を入手すれば、会員カード10を利用して持玉を貯玉することが可能となるが、閉店間際に大当たりした場合のように会員カード10を作成している時間がないことも考えられる。
【0028】
そこで、本実施形態では、遊技者が貯玉を希望する場合は、従業員を呼出して貯玉を希望する旨を伝える。呼出された従業員は、従業員リモコン27を計数貸出ユニット2に向けた状態で即時発行操作を行う。すると、従業員リモコン27から計数貸出ユニット2に対して即時発行指令(暫定登録指令に相当)が送信される。
【0029】
図4は、計数貸出ユニット2による会員カード即時発行処理を示すフローチャートである。計数貸出ユニット2は、従業員リモコン27から即時発行指令を受けたかを判定している(S1:NO)。従業員リモコン27から即時発行指令を受信すると(S1:YES)、即時発行待機状態へ移行する(S2)。この即時発行待機状態では、会員カード10が挿入されるか(S:NO)、タイムアウトするか(S4:NO)を判定する。
【0030】
従業員が携帯している未登録の会員カード10(未登録会員記録媒体に相当)を計数貸出ユニット2に挿入すると(S3:YES)、計数貸出ユニット2は、管理装置5へ暫定登録要求を発する(S5)。この暫定登録要求には会員カード10のカードIDが含まれる。尚、会員カード10が挿入されることなくタイムアウトした場合は(S4:YES)、一般カード状態へ復帰する(S6)。つまり、発行操作により一般カード9が発行可能な状態となる。
【0031】
管理装置5は、計数貸出ユニット2が受付けた会員カード10が未登録かを判定する。つまり、会員カード10のカードIDに対応して個人情報が未登録であるかを判定する。個人情報が未登録の場合は、カードIDに対応して暫定登録であることを示す情報を記録し、登録したことを計数貸出ユニット2に通知する。尚、受信したカードIDに対応して個人情報が登録されていた場合は、拒絶を通知する。
【0032】
計数貸出ユニット2は、管理装置5から登録通知を受信するか(S7:NO)、拒絶通知を受信するか(S8:NO)を判定しており、管理装置5から登録通知を受信したときは(S8:YES)、表示部24に暫定登録済みであることを表示してから(S9)、暫定登録会員状態へ移行する(S10)。この暫定登録会員状態は、会員カード10を登録済みの会員カード10として取扱うもので、貯玉操作により会員カード10に対応して持玉を管理装置5に登録することができる。但し、氏名・住所など所定の個人情報を入力して本登録するまでは貯玉を再プレイ・景品交換に利用することはできない。つまり、POS6は、暫定登録された会員カード10が挿入された場合は当該会員カード10による景品交換処理の実行を抑制する。
【0033】
尚、計数貸出ユニット2は、管理装置5から拒絶を通知されたときは(S8:YES)、エラーを表示してから(S11)、会員カード10を強制排出する(S12)。
そして、遊技者が遊技を終了したときは、挿入されている会員カード10を発行操作により排出する。
また、会員カード10の発行時点で残高、或いは貯玉の対象とならなかった持玉が存在していた場合は、それらの情報は会員カード10に記録され、当日であっても使用可能な情報として扱われる。つまり、会員カード10を一般カードのように利用することにより台移動したり、残高を精算したりすることが可能となる。
【0034】
さて、上述のようにして暫定登録した会員カード10を発行した遊技者が翌日以降に再来店し、当該会員カード10を利用して貯玉で再プレイしたり、貯玉を景品交換したりする場合は、会員カード10を本登録する必要がある。会員カード10を本登録する場合は、所定の申し込み用紙に指名、住所、職業などの個人情報を記入して遊技場へ提出し、遊技場側がその個人情報を会員カード10のカードIDに対応して管理装置5へ入力することにより行われる。このような本登録により、管理装置5への会員カード10の正式な登録が終了する。これにより、管理装置5は、暫定登録状態を解除し、通常の登録状態とするので、以後においては正式の会員カード10として取扱うようになる。
【0035】
即ち、遊技者が会員カード10を計数貸出ユニット2に挿入すると、前回の来店時に貯玉した持玉を再プレイすることが可能となる。また、会員カード10をPOS6に提出すると、POS6において貯玉を景品に交換することができる。
以上のような運用により、閉店間際に会員カード10を即時発行して貯玉し、翌日以降に再来店して本登録するといった遊技者にとってフレンドリーな運用が期待される。
【0036】
このような実施形態によれば、次のような効果を奏することができる。
遊技機1に付設される計数貸出ユニット2において、従業員が挿入した未登録の会員カード10を管理装置5に暫定登録することにより会員カード10として即座に使用可能としたので、遊技者に手間を取らせることなく会員カード10を発行することができる。これにより、遊技者が遊技を継続しながら即時に会員カード10として使用可能となるので、遊技者が会員カード10の発行を面倒と感じることが無く、会員遊技者の増加に貢献することができる。
後日、氏名、住所などの個人情報を登録することにより、貯玉を使用することが可能となるので、遊技場側は事後的に従来と同様の個人情報を収集することが可能となる。
【0037】
(その他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されることなく、次のように変形または拡張したり、各変形例を上記実施形態と組合せたり、各変形例を組合せるようにしてもよい。
一般カード9には持玉数を記憶するようにしたが、識別情報のみを記憶し、その識別情報に基づいて管理装置5が記憶している持玉数を特定するようにしてもよい。
会員カード10には識別情報のみを記憶し、持玉数・貯玉数を記憶しないようにしたが、持玉数・貯玉数を会員カード10にも記憶し、管理装置5側が記憶している持玉数・貯玉数と照合した上で景品交換するようにしてもよい。
【0038】
未登録会員記録媒体を暫定登録状態とすることが可能な時間帯を予め設定し、その時間帯に限り暫定登録状態とするようにしてもよい。例えば、閉店時刻の1時間前から閉店時刻までの時間帯を設定することにより、閉店間際だけ暫定登録を許可し、本登録の手続きを行う時間が十分にある時間帯では暫定登録を禁止する運用ができる。
記録媒体の形態はカードに限定されず、コイン形状等どのような形態であってもよい。
遊技機は、遊技媒体を払い出さず、電子データとして加算記憶する封入式遊技機であってもよい。
また、パチンコ遊技機に限定されず、例えばスロットマシンであってもよい。
一般カード9は原則として当日限り有効であるが、当日中に入金残高の精算をしなかった場合には例外的に翌日以降も精算できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
図面中、1は遊技機、2は計数貸出ユニット(遊技価値特定手段、記録媒体処理装置)、5は管理装置、6は景品交換端末(景品交換装置)、9は一般カード(一般記録媒体)、10は会員カード(会員記録媒体、未登録会員記録媒体)である。
図1
図2
図3
図4