【課題】 薬物としてロピニロールを用いた貼付剤の製造方法において、ロピニロールフリー体を過飽和濃度かつ溶解型で粘着剤層中に含有しており、東日本大震災後のような保存設備の無い過酷な条件下であっても長期保存可能、かつ、皮膚透過性及び製剤物性の双方を高水準で達成可能な貼付剤を製造する方法を提供すること。
前記加熱後の粘着剤層組成物を1〜20℃/時間の平均降温速度で常温まで冷却して、ロピニロールフリー体を過飽和濃度かつ溶解型で含有する前記粘着剤層を得る工程Cと、
前記粘着剤層組成物が更に、ベンジルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデカノール、ジメチルイソソルビドからなる群から選択される少なくともいずれか1種の化合物を、前記ロピニロールフリー体100質量部に対して5〜50質量部含有することを特徴とする請求項1に記載の貼付剤の製造方法。
前記粘着剤層組成物が更に、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリルアルコール、グリセリンモノオレエート、プロピレングリコールモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ラウリン酸ジエタノールアミドからなる群から選択される少なくともいずれか1種の化合物を、前記ロピニロールフリー体100質量部に対して10〜150質量部含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の貼付剤の製造方法。
前記粘着剤層組成物が更に、得られる前記粘着剤層の全質量に対して15〜35質量%となる量のゴム系粘着剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項に記載の貼付剤の製造方法。
前記粘着剤層組成物に、前記ロピニロールの薬学的に許容される塩の配合量のロピニロールフリー体換算モル数1モルに対して0.5〜1.2モルの水酸化ナトリウムを更に配合することを特徴とする請求項5に記載の貼付剤の製造方法。
工程Aの後かつ工程Bの前に、前記支持体層の少なくとも一方の面上に工程Aで得られた前記粘着剤層組成物を塗布する工程D1を更に含んでいることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の貼付剤の製造方法。
工程Bの後かつ工程Cの前に、前記支持体層の少なくとも一方の面上に工程Bで得られた前記加熱後の粘着剤層組成物を塗布する工程D2を更に含んでいることを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか一項に記載の貼付剤の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献5〜6に記載されているようなロピニロールフリー体を安定的に含有せしめた貼付剤であっても、量産化等の貼付剤の製造条件によっては経時的にロピニロールフリー体の結晶の析出がひき起こされる場合があり、より優れた長期保存性が要求されることを本発明者らは見出した。特に、先の東日本大震災の影響を受けたような寒冷地や保存設備の無い過酷な条件下においては結晶析出の問題が顕在化する傾向にあり、より高水準の長期保存性が要求される。
【0010】
そこで本発明者らが更なる改善のために検討をおこなったところ、薬物としてロピニロール及び/又はその薬学的に許容される塩を用いた場合、貼付剤の製造条件によっては製造中に微量な薬物の結晶が粘着剤層中に析出し、これが核となることで前記のような経時的な結晶の析出がひき起こされることを見出した。
【0011】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、薬物としてロピニロールを用いた貼付剤の製造方法において、ロピニロールフリー体を過飽和濃度かつ溶解型で粘着剤層中に含有しており、東日本大震災後のような保存設備の無い過酷な条件下であっても長期保存可能、かつ、皮膚透過性及び製剤物性の双方を高水準で達成可能な貼付剤を製造する方法、及びその方法により得られる貼付剤及び包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、薬物としてロピニロールを用いた貼付剤の製造方法において、特定量のロピニロールフリー体を含有する粘着剤層組成物を調製し、これを50〜76℃の範囲内の温度で加熱した後、特定の降温速度で緩やかに冷却することにより、ロピニロールフリー体の濃度を過飽和とすることができ、さらに、ロピニロールフリー体濃度が過飽和濃度であっても完全な溶解型で粘着剤層中に含有せしめることが可能となることを見出した。
【0013】
本発明者らはまた、このようにして得られた貼付剤においては、驚くべきことに、ロピニロールの薬学的に許容される塩の結晶が粘着剤層中に含有される場合であっても、高水準の皮膚透過性及び高水準の粘着性や凝集性等の製剤物性が達成されることを見出した。さらに、このような貼付剤は高水準の長期保存性をも達成することができ、東日本大震災後のような保存設備の無い過酷な条件下であっても長期保存が可能であり、長期間ロピニロールフリー体の結晶が析出されないために上記の優れた皮膚透過性及び製剤物性が維持されることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0014】
すなわち、本発明の貼付剤の製造方法は、
支持体層と前記支持体層の少なくとも一方の面上に配置された粘着剤層とを備える貼付剤の製造方法であって、
得られる粘着剤層中における含有量が5〜13.2質量%となる量のロピニロールフリー体を含有する粘着剤層組成物を得る工程Aと、
前記粘着剤層組成物を50〜76℃の範囲内の温度で5分〜24時間加熱する工程Bと、
前記加熱後の粘着剤層組成物を1〜20℃/時間の平均降温速度で常温まで冷却して、前記ロピニロールフリー体を過飽和濃度かつ溶解型で含有する前記粘着剤層を得る工程Cと、
を含むことを特徴とするものである。
【0015】
本発明の貼付剤の製造方法としては、前記粘着剤層組成物が更に、ベンジルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデカノール、ジメチルイソソルビドからなる群から選択される少なくともいずれか1種の化合物を、前記ロピニロールフリー体100質量部に対して5〜50質量部含有することが好ましい。
【0016】
また、本発明の貼付剤の製造方法としては、前記粘着剤層組成物が更に、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリルアルコール、グリセリンモノオレエート、プロピレングリコールモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ラウリン酸ジエタノールアミドからなる群から選択される少なくともいずれか1種の化合物を、前記ロピニロールフリー体100質量部に対して10〜150質量部含有することが好ましい。
【0017】
さらに、本発明の貼付剤の製造方法としては、前記粘着剤層組成物が更に、得られる前記粘着剤層の全質量に対して15〜35質量%となる量のゴム系粘着剤を含有することが好ましい。
【0018】
また、本発明の貼付剤の製造方法としては、前記粘着剤層組成物が更にロピニロールの薬学的に許容される塩を含有することが好ましく、前記粘着剤層組成物に、前記ロピニロールの薬学的に許容される塩のロピニロールフリー体換算モル数1モルに対して0.5〜1.2モルの水酸化ナトリウムを更に配合することがより好ましい。
【0019】
さらに、本発明の貼付剤の製造方法としては、工程Aの後かつ工程Bの前に、前記支持体層の少なくとも一方の面上に工程Aで得られた前記粘着剤層組成物を塗布する工程D1を更に含んでいることが好ましい。或いは、工程Bの後かつ工程Cの前に、前記支持体層の少なくとも一方の面上に工程Bで得られた前記加熱後の粘着剤層組成物を塗布する工程D2を更に含んでいることが好ましい。
【0020】
本発明の貼付剤は、前記本発明の貼付剤の製造方法により得られた貼付剤であって、
前記支持体層と前記支持体層の少なくとも一方の面上に配置された前記粘着剤層とを備えており、
前記粘着剤層が、ロピニロールフリー体を5〜13.2質量%含有しており、かつ、ロピニロールフリー体を過飽和濃度かつ溶解型で含有することを特徴とするものである。
【0021】
また、本発明の包装体は、前記本発明の貼付剤が脱酸素剤と共に包装袋内に密封されていることを特徴とするものである。
【0022】
なお、本発明により上記目的が達成される理由は必ずしも定かではないが、本発明者らは以下のように推察する。すなわち、本発明の貼付剤の製造方法においては、先ず、ロピニロールフリー体を含有する粘着剤層組成物を調製し、これを50〜76℃という特定の温度範囲内に保持して、ロピニロールフリー体の結晶や結晶化核が存在する場合であってもそれらを完全に消失せしめる。次いで、これを1〜20℃/時間という平均降温速度で緩やかに冷却せしめることにより、ロピニロールフリー体の濃度が過飽和濃度であっても完全な溶解型で粘着剤層中に含有させることができ、さらには、その状態を長期間安定して維持させることができる。また、本発明の貼付剤の製造方法によれば、このようにロピニロールフリー体を過飽和かつ溶解型で粘着剤層中に含有せしめることにより、ロピニロールの塩の結晶や結晶化核が完全に溶解されずに粘着剤層中に含有されていても、薬物の濃度平衡が維持され、また、ロピニロールの塩の結晶や結晶化核が均一に分散されるために、ロピニロールの塩の結晶や結晶化核の結晶成長も抑制され、極めて長期間、高水準の皮膚透過性及び高水準の粘着性や凝集性等の製剤物性が維持されるものと本発明者らは推察する。
【0023】
これに対して、従来の貼付剤の製造方法では薬物の溶解(融解)条件が十分に制御されていないために、薬物を粘着剤層中に過飽和濃度かつ完全な溶解型で安定に含有せしめることが困難であり、微量の薬物の結晶が残留又は析出し、これが核となって経時的に結晶が析出するものと本発明者らは推察する。また、薬物は安定性の観点から一般に塩の状態で流通されるが、ロピニロールの塩の融点は非常に高いため(例えば、塩酸ロピニロールでは244℃程度)薬物の塩の融点程度において薬物を溶解させようとしても粘着剤層に含有される他の成分が分解されて貼付剤としての物性が損なわれる。
【0024】
なお、本発明の貼付剤の製造方法においては、前記の結晶を消失せしめる工程を粘着剤層組成物中及び表面に結晶が析出した後に行うことによっても、ロピニロールフリー体を完全な溶解型で粘着剤層中に含有させることができる。
【0025】
また、本発明の貼付剤の製造方法の原理はロピニロール以外の薬物を用いた貼付剤にも適用することができ、粘着剤層中に該薬物のフリー体を過飽和濃度かつ溶解型で含有せしめることにより、該薬物の薬学的に許容される塩の結晶や結晶化核が前記粘着剤層中に含有される場合であっても、過酷な条件下であっても、長期間、高水準の皮膚透過性及び高水準の製剤物性を維持することが可能となる。このような薬物としては、例えば、後述のロピニロールフリー体以外の薬物として挙げるものが挙げられる。
【0026】
なお、本発明において、薬物が過飽和濃度であるとは、室温(25℃)において粘着剤層に対する飽和溶解度以上の薬物が前記粘着剤層中に存在していることをいい、前記薬物の濃度は、薬物が塩である場合にはその塩の質量を該薬物のフリー体に換算して求めた濃度のことをいう。例えば、本発明に係るロピニロールフリー体の場合、過飽和濃度であるとは、ロピニロールフリー体の粘着剤層に対する飽和溶解度以上のロピニロールフリー体が前記粘着剤層中に存在していることをいう。
【0027】
さらに、本発明において、薬物の溶解とは、薬物が溶媒(粘着剤層、粘着剤層組成物等)中に分子的に拡散している状態をいう。また、薬物が溶解型であることは、示差走査熱量測定(DSC)において結晶に由来する吸熱融点ピークが観測されないことで確認することができる。例えば、前記薬物がロピニロールフリー体である場合には、吸熱融点ピーク(融点)は示差走査熱量計を用いて薬物の結晶を10℃/minの昇温速度で−90℃から80℃まで加熱し、DSC測定を行うことにより得られるサーモグラムにおいて観測されるピークから求めることができる。また、例えば、前記薬物が塩酸ロピニロールである場合には、吸熱融点ピーク(融点)は示差走査熱量計を用いて薬物の結晶を10℃/minの昇温速度で−90℃から260℃まで加熱し、DSC測定を行うことにより得られるサーモグラムにおいて観測されるピークから求めることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、薬物としてロピニロールを用いた貼付剤の製造方法において、ロピニロールフリー体を過飽和濃度かつ溶解型で粘着剤層中に含有しており、東日本大震災後のような保存設備の無い過酷な条件下であっても長期保存が可能、かつ、皮膚透過性及び製剤物性の双方を高水準で達成可能な貼付剤を製造する方法、及びその方法により得られる貼付剤及び包装体を提供することが可能となる。
【0029】
また、本発明の製造方法によれば、ロピニロールの薬学的に許容される塩の結晶や結晶化核が粘着剤層中に含有される場合であっても、それらの結晶成長が十分に抑制され、長期間、高水準の皮膚透過性及び高水準の製剤物性を維持することが可能な貼付剤及びその包装体を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0032】
本発明の貼付剤の製造方法は、
支持体層と前記支持体層の少なくとも一方の面上に配置された粘着剤層とを備える貼付剤の製造方法であって、
得られる粘着剤層中における含有量が5〜13.2質量%となる量のロピニロールフリー体を含有する粘着剤層組成物を得る工程Aと、
前記粘着剤層組成物を50〜76℃の範囲内の温度で5分〜24時間加熱する工程Bと、
前記加熱後の粘着剤層組成物を1〜20℃/時間の平均降温速度で常温まで冷却して、前記ロピニロールフリー体を過飽和濃度かつ溶解型で含有する前記粘着剤層を得る工程Cと、
を含むことを特徴とする。
【0033】
本発明の貼付剤の製造方法は、支持体層と前記支持体層の少なくとも一方の面上に配置された粘着剤層とを備える貼付剤の製造方法である。本発明に係る支持体層としては、粘着剤層を支持し得るものであれば特に制限されず、伸縮性であっても非伸縮性であってもよい。前記支持体層の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ナイロン、ポリウレタン等の合成樹脂や、紙材が挙げられる。前記支持体層の形態としては、フィルム、シート、及びこれらの積層体;多孔質膜;発泡体;織布及び不織布が挙げられる。
【0034】
さらに、本発明に係る支持体層の厚みは特に制限されないが、厚みが5〜1000μmの範囲内であることが好ましい。支持体層の厚みが前記下限値未満であると得られる貼付剤を貼付する際の作業容易性が低下する傾向にあり、他方、支持体層の厚みが前記上限値を超えると貼付剤の製造工程において支持体層又は貼付剤の切断が困難となる等製造容易性が低下する傾向にある。
【0035】
また、本発明の製造方法により得られる貼付剤としては、前記粘着剤層の前記支持体層とは反対の面上に離型シートを更に備えるものであってもよい。かかる離型シートとしては、具体的には、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のフィルム;上質紙とポリオレフィンとのラミネートフィルム等が挙げられる。これらの離型シートとしては、貼付剤から離型紙を剥離する際の作業容易性が高められるという観点から、得られる粘着剤層と接触する側の面にシリコーンコート等の離型処理が施されたものであることが好ましい。
【0036】
<工程A>
本発明の貼付剤の製造方法は、工程Aとして、得られる粘着剤層中における含有量が5〜13.2質量%となる量のロピニロールフリー体を含有する粘着剤層組成物を得る工程を含む。
【0037】
本発明の貼付剤の製造方法においては、薬物としてロピニロールフリー体を用いる。本発明の貼付剤の製造方法により、ロピニロールフリー体は得られる粘着剤層中に過飽和濃度かつ溶解型で含有される。このようなロピニロールフリー体の前記粘着剤層組成物中における含有量としては、得られる貼付剤において高水準の薬物の皮膚透過性が達成されるという観点から、得られる粘着剤層中において過飽和濃度となる量であることが必要である。具体的には、粘着剤層の組成に依存するものであるため一概にはいえないが、本発明においては、得られる粘着剤層中に5〜13.2質量%となる量であることが必要である。また、前記含有量としては、得られる粘着剤層中に8〜13.2質量%となる量であることがより好ましい。ロピニロールフリー体の含有量が前記下限値未満であると、得られる貼付剤におけるロピニロールの皮膚透過性が低下し、また、十分な量の皮膚透過量を長時間維持することができず、ロピニロールの血漿中濃度を高い水準に維持することができない。他方、含有量が前記上限値を超えると、ロピニロールフリー体が粘着剤層中に溶解しきれずに結晶化して析出する可能性があり、また、ロピニロールフリー体により粘着基剤が可塑化されたりロピニロールの分解生成物(類縁物質)が生成するために粘着性等の物性及び/又は薬物の皮膚透過性が低下する傾向にある。
【0038】
なお、本発明において、得られる粘着剤層中における含有量とは、本発明の貼付剤の製造方法により得られる粘着剤層に実際に含有される化合物全量の質量を基準とした含有量をいい、前記粘着剤層に実際に含有される化合物全量の質量は、前記粘着剤層組成物の不揮発分、すなわち前記粘着剤層組成物の全質量から揮発性溶媒の質量を除いた質量に相当する。
【0039】
また、本発明に係る工程Aとしては、ロピニロールフリー体をそのまま粘着剤層組成物中に添加してもよく、原料の取り扱い性や安定性の観点からは前記粘着剤層組成物中にロピニロールの薬学的に許容される塩からロピニロールフリー体を生成せしめて含有させてもよく、両者を併用してもよい。ロピニロールの薬学的に許容される塩(以下、場合によりロピニロールの塩という)からロピニロールフリー体を生成せしめる方法としては、例えば、前記粘着剤層組成物中に前記ロピニロールの塩と金属イオン含有脱塩剤(中和剤)とを配合して前記ロピニロールの塩を脱塩させる方法が挙げられる。このようなロピニロールの塩の配合量としては、得られる粘着剤層中におけるロピニロールフリー体の含有量が上記範囲内となる量であることが好ましい。
【0040】
前記ロピニロールの塩としては、前記金属イオン含有脱塩剤により脱塩されやすいという観点から、酸付加物であることが好ましく、前記酸としては、塩酸、臭化水素酸、メタンスルホン酸等の単塩基酸;フマル酸、マレイン酸、クエン酸、酒石酸等の多塩基酸が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、前記ロピニロールの塩としては、塩酸付加物(すなわち塩酸ロピニロール)が特に好ましい。
【0041】
また、前記金属イオン含有脱塩剤としては、金属水酸化物等が挙げられ、前記金属としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、製造時に取り扱いが容易であり、かつ、ゴム系粘着剤(より好ましくはSIS)と組み合わせた場合にロピニロールフリー体の経時安定性がより向上するという観点から、前記金属イオン含有脱塩剤としては、水酸化ナトリウムが特に好ましい。
【0042】
本発明に係るロピニロールフリー体を前記ロピニロールの塩から生成せしめる場合、前記金属イオン含有脱塩剤の配合量は、前記ロピニロールの塩の酸塩基当量に対して0.5〜4当量となる量であることが好ましい。また、前記ロピニロールの塩の酸塩基当量に対して過剰の金属イオン含有脱塩剤を配合するとロピニロールフリー体の経時安定性が低下してロピニロールの類縁物質が多く生成し、粘着剤層の着色が生じる傾向があり、他方、等倍以下の当量にすると、特にゴム系粘着剤(より好ましくはSIS)と組み合わせた場合に、ロピニロール類縁物質の生成が少なくなり、粘着剤層の着色も生じなくなる傾向にあるという観点から、前記金属イオン含有脱塩剤の配合量は、前記ロピニロールの塩の酸塩基当量に対して0.5〜1.2当量となる量であることがより好ましく、0.6〜1.0当量となる量であることが更に好ましい。例えば、本発明に係る粘着剤層組成物中に前記ロピニロールの塩と前記金属イオン含有脱塩剤としての水酸化ナトリウムとを配合してロピニロールの塩を脱塩させる場合、水酸化ナトリウムの配合量としては、前記ロピニロールの塩の配合量のロピニロールフリー体換算モル数1モルに対して0.5〜1.2モルであることが好ましく、0.6〜1.0モルであることがより好ましい。
【0043】
また、本発明においては、このように前記粘着剤層組成物中に配合されてロピニロールフリー体とならずに残留したロピニロールの塩を、前記粘着剤層組成物及び/又は得られる粘着剤層中に更に含有していてもよい。本発明においては、ロピニロールフリー体を本発明の製造方法で過飽和濃度かつ溶解型で粘着剤層中に含有させることにより、ロピニロールの塩の結晶や結晶化核が溶解せずに含有されていても、これらの結晶成長が抑制され、極めて長期間高水準の皮膚透過性及び高水準の粘着性や凝集性等の製剤物性が維持される。本発明に係る粘着剤層組成物が前記ロピニロールの塩を含有する場合、その含有量としては、ロピニロールフリー体に換算して、得られる粘着剤層の全質量に対して7.0質量%以下となる量であることが好ましく、4.0質量%以下となる量であることがより好ましい。前記含有量が前記上限を超えるとロピニロールの塩の結晶及び/又は結晶化核の析出や結晶成長を十分に抑制することが困難となる傾向にある。
【0044】
また、本発明においては、前記粘着剤層組成物及び/又は得られる粘着剤層中に前記金属イオン含有脱塩剤や、前記脱塩(中和)により生成する金属塩を更に含有していてもよい。前記金属塩としては、前記ロピニロールの塩と前記金属イオン含有脱塩剤(中和剤)との組み合わせにより決定されるが、金属塩化物、金属臭化物、金属よう化物、有機酸金属塩からなる群から選択される少なくとも1種が挙げられ、より具体的には、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化アルミニウム、塩化第一スズ、塩化第二鉄、塩化マグネシウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、臭化ナトリウム、コハク酸ナトリウムが挙げられる。
【0045】
また、本発明の貼付剤の製造方法においては、本発明の効果を阻害しない範囲内において、前記粘着剤層組成物中にロピニロールフリー体以外の薬物を更に配合してもよい。かかる薬物としては、特に限定はされないが、例えば、催眠・鎮静剤(塩酸フルラゼパム、塩酸リルマザホン、フェノバルビタール、アモバルビタール、塩酸メデトミジン、塩酸デクスメデトシン等)、解熱消炎鎮痛剤(酒石酸ブトルファノール、クエン酸ペリソキサール、アセトアミノフェン、メフェナム酸、ジクロフェナックナトリウム、アスピリン、アルクロフェナク、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ナプロキセン、ピロキシカム、ペンタゾシン、インドメタシン、フェルビナク、サリチル酸グリコール、アミノピリン、ロキソプロフェン、メロキシカム、ロルノキシカム等)、ステロイド系抗炎症剤(ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン等)、興奮・覚醒剤(塩酸メタンフェタミン、塩酸アンフェタミン、塩酸メチルフェニデート等)、精神神経用剤(塩酸イミプラミン、ジアゼパム、塩酸セルトラリン、マレイン酸フルボキサミン、塩酸パロキセチン、臭化水素酸シタロプラム、塩酸フルオキセチン、アルプラゾラム、ハロペリドール、クロミプラミン、アミトリプチリン、デシプラミン、アモクサピン、マプロチリン、ミアンセリン、セチプチリン、トラゾリドン、ロフェプラミン、ミルナシプラン、デュロキセチン、ベンラフェキシン、塩酸クロルプロマジン、チオリダジン、ジアゼパム、メプロバメート、エチゾラム、リスペリドン、マレイン酸アセナピン等)、ホルモン剤(エストラジオール、エストリオール、プロゲステロン、酢酸ノルエチステロン、酢酸メテノロン、テストステロン等)、局所麻酔剤(塩酸リドカイン、塩酸プロカイン、塩酸テトラカイン、塩酸ジブカイン、塩酸プロピトカイン等)、泌尿器官用剤(塩酸オキシブチニン、塩酸タムスロシン、塩酸プロピベリン、イミダフェナシン、コハク酸ソリフェナシン、酒石酸トルテロジン等)、骨格筋弛緩剤(塩酸チザニジン、塩酸エペリゾン、メシル酸プリジノール、塩化スキサメトニウム等)、生殖器官用剤(塩酸リトドリン、酒石酸メルアドリン)、抗てんかん剤(バルプロ酸ナトリウム、クロナゼパム、カルバマゼピン等)、自律神経用剤(塩化カルプロニウム、臭化ネオスチグミン、塩化ベタネコール等)、抗パーキンソン病剤(メシル酸ペルゴリド、メシル酸ブロモクリプチン、塩酸トリヘキシフェニジル、塩酸アマンタジン、塩酸タリペキソール、カベルゴリン、ドロキシドパ、ビペリデン、塩酸セレギリン等)、利尿剤(ヒドロフルメチアジド、フロセミド等)、呼吸促進剤(塩酸ロベリン、ジモルホラミン、塩酸ナロキソン等)、抗片頭痛剤(メシル酸ジヒドロエルゴタミン、スマトリプタン、酒石酸エルゴタミン、塩酸フルナリジン、塩酸サイプロヘプタジン等)、抗ヒスタミン剤(フマル酸クレマスチン、タンニン酸ジフェンヒドラミン、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェニルピラリン、プロメタジン等)、気管支拡張剤(塩酸ツロブテロール、塩酸プロカテロール、硫酸サルブタモール、塩酸クレンブテロール、臭化水素酸フェノテロ−ル、硫酸テルブタリン、硫酸イソプレナリン、フマル酸ホルモテロール等)、強心剤(塩酸イソプレナリン、塩酸ドパミン等)、冠血管拡張剤(塩酸ジルチアゼム、塩酸ベラパミル、硝酸イソソルビド、ニトログリセリン、ニコランジル等)、末梢血管拡張剤(クエン酸ニカメタート、塩酸トラゾリン等)、禁煙補助薬(ニコチン、バレニクリン酒石酸塩等)、循環器官用剤(塩酸フルナリジン、塩酸ニカルジピン、ニトレンジピン、ニソルジピン、フェロジピン、ベシル酸アムロジピン、ニフェジピン、ニルバジピン、塩酸マニジピン、塩酸ベニジピン、マレイン酸エナラプリル、塩酸テモカプリル、アラセプリル、塩酸イミダプリル、シラザプリル、リシノプリル、カプトプリル、トランドラプリル、ペリンドプリルエルブミン、アテノロール、フマル酸ビソプロロール、酒石酸メトプロロール、塩酸ベタキソロール、塩酸アロチノロール、塩酸セリプロロール、カルベジロール、塩酸カルテオロール、塩酸ベバントロール、バルサルタン、カンデサルタンシレキセチル、ロサルタンカリウム、塩酸クロニジン等)、不整脈用剤(塩酸プロプラノロール、塩酸アルプレノロール、塩酸プロカインアミド、塩酸メキシレチン、ナドロール、ジソピラミド等)、抗悪性潰瘍剤(シクロフォスファミド、フルオロウラシル、テガフール、塩酸プロカルバジン、ラニムスチン、塩酸イリノテカン、フルリジン等)、抗脂血症剤(プラバスタチン、シンバスタチン、ベザフィブレート、プロブコール等)、血糖降下剤(グリベンクラミド、クロルプロパミド、トルブタミド、グリミジンナトリウム、グリブゾール、塩酸ブホルミン等)、消化性潰瘍治療剤(プログルミド、塩酸セトラキサート、スピゾフロン、シメチジン、臭化グリコピロニウム等)、利胆剤(ウルソデスオキシコール酸、オサルミド等)、消化管運動改善剤(ドンペリドン、シサプリド等)、肝臓疾患用剤(チオプロニン等)、抗アレルギー剤(フマル酸ケトチフェン、塩酸アゼラスチン、フマル酸エメダスチン等)、抗ウイルス剤(アシクロビル等)、鎮暈剤(メシル酸ベタヒスチン、塩酸ジフェニドール等)、抗生剤(セファロリジン、セフジニル、セフポドキシムプロキセチル、セファクロル、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、メチルエリスロマイシン、硫酸カナマイシン、サイクロセリン、テトラサイクリン、ベンジルペニシリンカリウム、プロピシリンカリウム、クロキサシリンナトリウム、アンピシリンナトリウム、塩酸バカンピシリン、カルベニシリンナトリウム、クロラムフェニコール等)、習慣性中毒用剤(シアナミド等)、食欲抑制剤(マジンドール等)、化学療法剤(イソニアジド、エチオナミド、ピラジナミド等)、血液凝固促進剤(塩酸チクロピジン、ワルファリンカリウム等)、抗アルツハイマー剤(フィゾスチグミン、塩酸ドネペジル、タクリン、アレコリン、キサノメリン、臭化水素酸ガランタミン、リバスチグミン等)、セロトニン受容体拮抗制吐剤(塩酸オンダンセトロン、塩酸グラニセトロン、塩酸ラモセトロン、塩酸アザセトロン等)、痛風治療剤(コルヒチン、プロベネシド、スルフィンピラゾン等)、麻薬系の鎮痛剤(硫酸モルヒネ、塩酸モルヒネ、リン酸コデイン、塩酸コカイン、塩酸ペチジン等)、抗真菌薬(塩酸テルビナフィン、塩酸ブテナフィン、塩酸アモロルフィン、塩酸ネチコナゾール、硝酸ミコナゾール、ルリコナゾール、イトラコナゾール、リラナフタート等)等が挙げられる。このようなロピニロールフリー体以外の薬物を更に配合する場合、その配合量としては、治療の目的により異なるものであるため一概にはいえないが、得られる粘着剤層の凝集性及びロピニロールフリー体の放出性がより優れるという観点からは、得られる粘着剤層中における含有量が20質量%以下となる量であることが好ましい。
【0046】
本発明に係る粘着剤層組成物は、前記ロピニロールフリー体と、少なくとも粘着基剤とを含有する。前記粘着基剤としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、凝集力が強く、ロピニロールフリー体による粘着基剤の可塑化作用が抑制されるという観点から、前記粘着基剤のうちの少なくともいずれか1種がゴム系粘着剤であることが好ましい。
【0047】
前記ゴム系粘着剤としては、天然ゴム、合成ゴムが挙げられ、ロピニロールの類縁物質の発生を十分に抑制することができ、さらに、ロピニロールフリー体を過飽和濃度かつ溶解型の状態でより長期間維持することができ、ロピニロールフリー体の経時安定性がより向上するという観点から、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(以下、「SIS」と略記する)、イソプレンゴム、ポリイソブチレン(以下、「PIB」と略記する)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(以下、「SBS」と略記する)、スチレン−ブタジエンゴム(以下、「SBR」と略記する)、ポリブテン等の水酸基及びカルボキシル基を有していない合成ゴムからなる群から選択される少なくともいずれか1種であることがより好ましい。また、これらのゴム系粘着剤としては、1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよいが、好ましい凝集力を有し、かつ、貼付剤において好ましい粘着力が発揮され、特に水酸化ナトリウムと組み合わせた場合にロピニロールの経時安定性がより向上するという観点から、SISを単独で用いるか、又は、SISとPIBとを質量比(SISの質量:PIBの質量)が9:1〜1:1の範囲となるように組み合わせて用いることが特に好ましい。
【0048】
本発明に係る粘着剤層組成物が前記ゴム系粘着剤を含有する場合、その含有量としては、得られる粘着剤層の全質量に対して15〜35質量%となる量であることが好ましい。前記含有量が前記下限未満であると、ロピニロールフリー体を過飽和濃度かつ溶解型で含有する粘着剤層に十分な凝集力を持たせることが困難になり、得られる貼付剤を皮膚に貼付して剥離した後に皮膚に粘着基剤が残る傾向にある。他方、前記含有量が前記上限を超えると、得られる粘着剤層が硬くなりすぎて貼付剤の粘着性が低下する傾向にある。
【0049】
前記アクリル系粘着剤としては、「医薬品添加物辞典2000(日本医薬品添加剤協会編集、2000年4月28日第1刷発行)」に粘着剤として収載されているアクリル酸・アクリル酸オクチルエステル共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル・ビニルピロリドン共重合体溶液、アクリル酸エステル・酢酸ビニルコポリマー、アクリル酸2−エチルヘキシル・メタクリル酸2−エチルヘキシル・メタクリル酸ドデシル共重合体、アクリル酸メチル・アクリル酸2−エチルヘキシル共重合樹脂エマルジョン、アクリル樹脂アルカノールアミン液に含有されるアクリル系高分子等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、前記アクリル系粘着剤としては、市販されているDURO−TAKアクリル粘着剤シリーズ(ヘンケル社製)、オイドラギットシリーズ(樋口商会社製)等を用いることが好ましい。
【0050】
前記シリコーン系粘着剤としては、オルガノポリシロキサン骨格を有するポリマーを用いることが好ましい。また、前記オルガノポリシロキサン骨格を有するポリマーが水酸基(例えばシラノール基)を有している場合は、その水酸基の少なくとも一部がトリメチルシリル基によってキャッピングされていることがより好ましい。また、前記オルガノポリシロキサン骨格を有するポリマーは粘着性を有していることが更に好ましい。なお、前記トリメチルシリル基によるキャッピングとしては、オルガノポリシロキサン骨格を有するポリマーの末端シラノール基を、トリメチルシリル基によりエンドキャッピングする態様が含まれる。このようなオルガノポリシロキサン骨格を有するポリマーとしては、ポリジメチルシロキサン(ASTMD−1418による表示ではMQと表されるポリマー等)、ポリメチルビニルシロキサン(ASTMD−1418による表示ではVMQと表されるポリマー等)、ポリメチルフェニルシロキサン(ASTMD−1418による表示ではPVMQと表されるポリマー等)等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0051】
本発明に係る粘着剤層組成物が前記アクリル系粘着剤及び/又は前記シリコーン系粘着剤を含有する場合、その合計含有量としては、粘着剤層の形成性に優れ、得られる貼付剤の有効成分の皮膚透過性が優れるという観点から、得られる粘着剤層の全質量に対して10〜90質量%となる量であることが好ましく、15〜80質量%となる量であることがより好ましく、20〜70質量%となる量であることが特に好ましい。
【0052】
また、本発明に係る粘着剤層組成物としては、ベンジルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデカノール、ジメチルイソソルビドからなる群から選択される少なくともいずれか1種の化合物(以下、場合により化合物(A)という)を更に含有することが好ましく、これらの中でも、オクチルドデカノールを更に含有することがより好ましい。このような化合物(A)(特にオクチルドデカノール)を更に含有せしめることにより、ロピニロールフリー体の結晶の析出が更に抑制され、ロピニロールフリー体を過飽和濃度かつ溶解型の状態でより長期間維持することができる傾向にある。
【0053】
このような化合物(A)が前記粘着剤層組成物中に更に含有される場合、その含有量としては、前記ロピニロールフリー体100質量部に対して1〜80質量部であることが好ましく、5〜50質量部であることがより好ましく、10〜40質量部であることが特に好ましい。前記含有量が前記下限未満であると、ロピニロールフリー体の結晶析出を更に抑制する効果が発揮されない傾向にあり、他方、前記上限を超えると、ロピニロールフリー体の十分な皮膚透過性が維持できなくなる傾向にある。
【0054】
さらに、本発明に係る粘着剤層組成物としては、得られる貼付剤においてロピニロールフリー体の皮膚透過性がより向上するという観点から、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリルアルコール、グリセリンモノオレエート(GMO)、プロピレングリコールモノラウレート(PGML)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(Tween80)、ラウリン酸ジエタノールアミド(LADA)からなる群から選択される少なくともいずれか1種の化合物(以下、場合により化合物(B)という)を更に含有することが好ましく、これらの中でも、パルミチン酸イソプロピルを更に含有することが特に好ましい。本発明において、前記化合物(A)(特にオクチルドデカノール)を前記粘着剤層組成物に含有せしめた場合には、得られる貼付剤においてロピニロールフリー体の皮膚透過性が低下する場合があるが、前記化合物(B)(特にパルミチン酸イソプロピル)を粘着剤層組成物に更に含有せしめることにより、前記皮膚透過性の低下が抑制され、ロピニロールフリー体の皮膚透過性が極めて高い水準で長時間維持される傾向にある。
【0055】
このような化合物(B)が前記粘着剤層組成物中に含有される場合、その含有量としては、前記ロピニロールフリー体質量100質量部に対して5〜200質量部であることが好ましく、10〜150質量部であることがより好ましく、15〜120質量部であることが特に好ましい。前記含有量が前記下限未満であると、ロピニロールフリー体の皮膚透過性の更なる向上効果が発揮されない傾向にあり、他方、前記上限を超えて前記化合物(B)を含有しても、それ以上の皮膚透過性の向上効果が得られず、また、前記化合物(B)が粘着剤層から染み出して得られる貼付剤の粘着力が低下する傾向にある。
【0056】
本発明においては、ロピニロールフリー体の結晶析出がより十分に抑制され、かつ、ロピニロールフリー体の皮膚透過性がより向上し、さらに、前記皮膚透過性を極めて高い水準でより長時間維持できるという観点から、前記粘着剤層組成物が、前記化合物(A)及び前記化合物(B)を含有することが更に好ましく、前記オクチルドデカノール及び前記パルミチン酸イソプロピルを含有することが特に好ましい。前記化合物(A)と前記化合物(B)との混合比(化合物(A)の質量/化合物(B)の質量)としては、1/10〜1/2であることが好ましい。前記混合比が前記範囲内にあると、ロピニロールフリー体の結晶析出が更に抑制され、かつ、十分なロピニロールフリー体の皮膚透過性を維持することができる傾向にある。
【0057】
本発明に係る粘着剤層組成物としては、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲において、吸着剤、粘着付与剤、可塑剤、吸収促進剤、抗酸化剤、充填剤、香料、保存剤、紫外線吸収剤等の添加剤を更に含有していてもよい。また、これらの添加剤としては、工程Aにおいて前記粘着剤層組成物に配合してもよく、後述の工程Bの後かつ工程Cの前に配合してもよい。
【0058】
前記吸着剤は水等の極性溶媒を吸着する。前記ロピニロールの塩と前記金属イオン含有脱塩剤とから中和反応により本発明に係るロピニロールフリー体を生成せしめた場合、前記粘着剤層組成物中に金属塩が残留しているとこれが水等の極性溶媒の存在下で結晶として凝集・成長する傾向にある。したがって、このような金属塩の結晶の凝集・成長を抑制、又は結晶を均一分散させるという観点からは、前記粘着剤層組成物中に前記吸着剤を更に含有させることが好ましい。
【0059】
前記吸着剤としては、吸湿性を有する無機及び/又は有機の物質であればよく、本発明の効果を阻害しないものであれば特に制限されないが、一般的に「医薬品添加物辞典2000(日本医薬品添加剤協会編集、2000年4月28日第1刷発行)」に挙げられている添加物のうち、吸湿性、防湿性、吸着性を有すると記載されている無機物質及び有機物質、並びに前記「医薬品添加物辞典2000」には記載されていないが吸湿性を有することが知られている、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、酸化亜鉛等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。このような吸着剤としては、タルク、カオリン、ベントナイト等の鉱物;フュームドシリカ(アエロジル(登録商標)等)、含水シリカ等のケイ素化合物;酸化亜鉛、乾燥水酸化アルミニウムゲル等の金属化合物;乳酸、酢酸等の弱酸;デキストリン等の糖;ポリビニルピロリドン、プロピレングリコール、アミノアルキルメタクリレートコポリマー、クロスポビドン及びカルボキシビニルポリマー等の高分子ポリマーが挙げられる。
【0060】
本発明に係る粘着剤層組成物が前記吸着剤を含有する場合、その含有量としては、得られる粘着剤層の全質量に対して0.5〜10質量%となる量であることが好ましい。前記含有量が前記下限未満であると、金属塩の結晶の凝集・成長を抑制し、結晶を均一に分散させる効果が十分に得られなくなる傾向にある。他方、前記含有量が前記上限を超えると、得られる粘着剤層の粘着力が低下して貼付が困難になる傾向にある。
【0061】
前記粘着付与剤としては、例えば、「エステルガム(商品名、荒川化学工業社製)」、「ハリエスター(商品名、ハリマ化成社製)」、「ペンタリン(商品名、イーストマンケミカル社製)」、「フォーラル(商品名、イーストマンケミカル社製)」等のロジン系樹脂;「YSレジン(商品名、ヤスハラケミカル社製)」、「ピコライト(商品名、ルースアンドディルワース社製)」等のテルペン系樹脂;「アルコン(商品名、荒川化学工業社製)」、「リガレッツ(商品名、イーストマンケミカル社製)」、「ピコラスチック(商品名、イーストマンケミカル社製)」、「エスコレッツ(商品名、エクソン社製)」、「ウイングタック(商品名、グッドイヤー社製)」、「クイントン(商品名、日本ゼオン社製)」等の石油樹脂;フェノール系樹脂、キシレン系樹脂等の脂環族炭化水素樹脂が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0062】
本発明に係る粘着剤層組成物が前記粘着付与剤を含有する場合、その含有量としては、得られる貼付剤の十分な粘着力及び剥離時の局所刺激性を考慮すると、得られる粘着剤層の全質量に対して10〜80質量%となる量であることが好ましく、15〜70質量%となる量であることがより好ましく、20〜60質量%となる量であることが更に好ましい。
【0063】
前記可塑剤としては、例えば、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル及び芳香族系プロセスオイル等の石油系オイル;スクワラン、スクワレン;オリーブ油、ツバキ油、ひまし油、トール油及びラッカセイ油等の植物系オイル;ジブチルフタレート及びジオクチルフタレート等の二塩基酸エステル;ポリブテン及び液状イソプレンゴム等の液状ゴム;ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記可塑剤としては、得られる粘着剤層に好ましい粘着力を付与することができるという観点から、流動パラフィン、液状ポリブテンであることが好ましい。
【0064】
本発明に係る粘着剤層組成物が前記可塑剤を含有する場合、その含有量としては、貼付剤における十分な粘着力の維持を考慮すると、得られる粘着剤層の全質量に対して5〜60質量%となる量であることが好ましく、5〜50質量%となる量であることがより好ましく、7〜40質量%となる量であることが更に好ましい。
【0065】
前記吸収促進剤としては、前記化合物(B)以外の、イソステアリルアルコール等の脂肪族アルコール;カプリン酸等の脂肪酸;脂肪酸誘導体;ポリエチレングリコール等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明に係る粘着剤層組成物が前記吸収促進剤を含有する場合、その含有量としては、貼付剤の製剤としての組織への有効成分の充分な透過性及び局所刺激牲等を考慮すると、得られる粘着剤層の全質量に対して、前記化合物(B)の含有量を除いて、1〜30質量%となる量であることが好ましく、3〜20質量%となる量であることがより好ましく、5〜15質量%となる量であることが更に好ましい。
【0066】
前記抗酸化剤としては、トコフェロール及びこれらのエステル誘導体、アスコルビン酸、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、ノルジヒトログアヤレチン酸、ジブチルヒドロキシトルエン(以下、BHTと略記する)、ブチルヒドロキシアニソール等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0067】
前記充填剤としては、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム;ケイ酸アルミニウムやケイ酸マグネシウム等のケイ酸塩;ケイ酸;硫酸バリウム、硫酸カルシウム;亜鉛酸カルシウム;酸化亜鉛、酸化チタン等が挙げられる。前記保存剤としては、エデト酸二ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等が挙げられる。前記紫外線吸収剤としては、p−アミノ安息香酸誘導体、アントラニル酸誘導体、サリチル酸誘導体、クマリン誘導体、アミノ酸系化合物、イミダゾリン誘導体、ピリミジン誘導体、ジオキサン誘導体等が挙げられる。
【0068】
本発明に係る粘着剤層組成物が、前記抗酸化剤、前記充填剤、前記保存剤、前記香料、前記紫外線吸収剤を含有する場合、その合計含有量としては、得られる粘着剤層の全質量に対して5質量%以下となる量であることが好ましく、3質量%以下となる量であることがより好ましく、1質量%以下となる量であることが更に好ましい。
【0069】
また、本発明に係る工程Aにおいては、前記粘着剤層組成物中に溶媒を更に配合してもよい。特に、後述の工程Bの前に粘着剤層組成物を前記支持体層又は離型シート上に塗布する場合(後述の第1の方法の場合)には、含有される化合物を塗布前に十分に溶解させて組成物を均一にするという観点から、前記粘着剤層組成物としては、適当量の溶媒を更に含有することが好ましい。かかる溶媒としては、トルエン、ヘキサン、酢酸エチル、シクロヘキサン、ヘプタン、酢酸ブチル、エタノール、メタノール、キシレン、イソプロパノール等が挙げられ、これらのうちの1種を単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0070】
本発明に係る工程Aにおいて、前記粘着剤層組成物を得る方法としては特に制限されず、例えば、ロピニロールフリー体及び前記粘着基剤、或いは、前記ロピニロールの塩、前記金属イオン含有脱塩剤及び前記粘着基剤と、必要に応じて、前記化合物(A)、前記化合物(B)及び前記溶媒等とを混合することにより、本発明に係るロピニロールフリー体を含有する粘着剤層組成物を得ることができる。前記混合方法としても特に制限されず、例えば、ミキサー、乳鉢等を用いた方法により混合することができる。
【0071】
前記混合は前記粘着剤層組成物が均一になるまで行うことが好ましく、特に、本発明に係る工程Aに次いで下記の工程Bの前に粘着剤層組成物を前記支持体層又は離型シート上に塗布する場合(後述の第1の方法の場合)には、より均一な粘着剤層組成物を支持体層上に塗布するという観点から、粘着剤層組成物に含有される化合物が十分に溶解又は分散されるまで行うことが好ましい。
【0072】
<工程B>
本発明の貼付剤の製造方法は、工程Bとして、前記粘着剤層組成物を50〜76℃の範囲内の温度で5分〜24時間加熱する工程を含む。このような工程Bは前記粘着剤層組成物を塗布する工程の前であっても後であってもよい。また、このような工程Bは前記粘着剤層組成物中にロピニロールフリー体の結晶や結晶化核が存在していない条件下で行ってもよく、前記粘着剤層組成物中にロピニロールフリー体の結晶や結晶化核が残留及び/又は経時的に析出した場合においては、このような析出後に行ってもよい。以下、工程Aの後かつ工程Bの前に前記支持体層の少なくとも一方の面上に工程Aで得られた前記粘着剤層組成物を塗布する工程D1を更に含んでいるもの(工程順:A、D1、B、C)を第1の方法、工程Bの後かつ工程Cの前に前記支持体層の少なくとも一方の面上に工程Bで得られた加熱後の粘着剤層組成物を塗布する工程D2を更に含んでいるもの(工程順:A、B、D2、C)を第2の方法という。
【0073】
(第1の方法)
第1の方法においては、工程Aで得られた粘着剤層組成物を工程D1において前記支持体層の少なくとも一方の面上に塗布した後、これを工程Bにおいて50〜76℃の範囲内の温度で5分〜24時間加熱する。
【0074】
このような第1の方法においては、前記粘着剤層組成物を先ず前記支持体層に塗布するため、工程Aにおいて前記粘着剤層組成物に含有される化合物が十分に溶解されていることが好ましく、このように十分に溶解させるために前記粘着剤層組成物には前記溶媒等を含有させることが好ましい。工程D1において、前記粘着剤層組成物は、前記支持体層の両面上に塗布してもよいが、より単純な工程で製造することができるという観点から、前記支持体層のいずれか一方の面上に塗布することが好ましい。
【0075】
また、本発明の製造方法により得られる貼付剤が前記離型シートを更に備える場合には、工程D1において、前記支持体層に代えて前記離型シートの一方の面上に工程Aで得られた粘着剤層組成物を塗布した後、これを工程Bにおいて加熱してもよい。
【0076】
工程D1において、塗布の方法としては特に制限されず、従来の貼付剤の製造方法において用いられる方法を適宜採用することができる。さらに、前記塗布の厚さとしても特に制限されないが、得られる粘着剤層の厚さが20〜200μm程度となる厚さであることが好ましい。また、得られる粘着剤層の単位面積当たりの質量が25〜200g/m
2となる厚さであることが好ましく、25〜180g/m
2となる厚さであることがより好ましい。得られる粘着剤層の厚さが前記下限未満であると、十分な量のロピニロールフリー体の皮膚透過量を維持することが困難になる傾向にあり、他方、前記上限を超えた厚さとしても、ロピニロールフリー体の皮膚透過量の持続性はそれ以上向上せず、また、厚さが増加する分、必要となるロピニロール及び/又はその薬学的に許容される塩の量も増加することになるため、製造コストが割高になったり、得られる貼付剤の貼付後に粘着剤層が皮膚に付着したまま残存してしまう現象(粘着剤層残り)が起こりやすくなる傾向にある。
【0077】
前記粘着剤層組成物に前記溶媒が含有される場合、第1の方法においては、工程D1に次いで前記塗布後の粘着剤層組成物を乾燥させて前記溶媒を除去する乾燥工程を更に含むことが好ましい。
【0078】
また、第1の方法においては、工程Bの前に前記塗布後又は乾燥後の粘着剤層組成物の前記支持体層又は前記離型シートとは反対の面上にそれぞれ前記離型シート又は前記支持体層を積層する積層工程、支持体層及び/又は離型シートと前記塗布後(好ましくは乾燥後)の粘着剤層組成物との積層体を所望の大きさに裁断する裁断工程、前記積層体を包装容器中に包装する包装工程を更に含んでいてもよい。
【0079】
前記裁断工程においては、一枚当たりの貼付面の面積が0.5〜100cm
2となるように裁断することが好ましい。前記面積が前記下限未満又は前記上限を超えると得られる貼付剤の取り扱いが困難になる傾向にある。また、前記包装容器としては、特に制限されず、通常貼付剤の包装容器として使用できるものを適宜用いることができ、例えば、プラスチック製包装袋、金属層(例えばアルミニウム層)が形成されたプラスチック製包装袋、金属製包装袋(例えばアルミニウム性包装袋)が挙げられ、具体的には、アルミニウム箔等の金属箔;エチレンビニルアルコール共重合体フィルム、金属(アルミニウム等)蒸着プラスチックフィルム、セラミックス(酸化ケイ素等)蒸着プラスチックフィルム等の酸素透過性の低いフィルム;ステンレス等の金属;ガラス及びこれらとポリアクリロニトリルフィルム、ポリエチレンフィルム、セルロースフィルム等との積層フィルムからなる袋状容器や成型容器が挙げられる。
【0080】
本発明に係る工程Bにおいて、加熱温度としては、50〜76℃の範囲内にあることが必要である。加熱温度が前記下限値未満であると、得られる粘着剤層中においてロピニロールフリー体の結晶が残留又は析出し、過飽和濃度かつ溶解型でロピニロールフリー体を含有させることができない。他方、加熱温度が前記上限値を超えると、その後の冷却工程においてロピニロールフリー体が結晶として析出したり、得られる貼付剤における粘着性や凝集性等の製剤物性が低下する。また、前記加熱温度としては、より効率的に粘着剤層中にロピニロールフリー体を過飽和濃度かつ溶解型で含有させることができ、より長期間ロピニロールフリー体の結晶の析出を抑制することができ、さらにより優れた製剤物性が達成される傾向にあるという観点から、55〜72℃の範囲内であることが好ましい。
【0081】
また、本発明に係る工程Bにおいて、加熱時間としては、5分〜24時間の範囲内にあることが必要である。加熱時間が前記下限値未満であると、得られる粘着剤層中において経時的にロピニロールフリー体の結晶が析出する。他方、加熱温度が前記上限値を超えると、加熱時間を長時間にすることによるロピニロールフリー体の結晶析出抑制効果がそれ以上期待できず、経済的に不利となる。また、前記加熱時間としては、より効率的に粘着剤層中にロピニロールフリー体を過飽和濃度かつ溶解型で含有させることができ、より長期間ロピニロールフリー体の結晶の析出を抑制することができる傾向にあるという観点から、10分〜12時間であることが好ましい。
【0082】
(第2の方法)
第2の方法においては、先ず工程Bにおいて工程Aで得られた前記粘着剤層組成物を50〜76℃の温度で5分〜24時間加熱した後、工程D2において前記加熱後の粘着剤層組成物を前記支持体層の少なくとも一方の面上に塗布する。
【0083】
第2の方法において、工程D2としては、工程Aで得られた粘着剤層組成物に代えて工程Bで得られた加熱後の粘着剤層組成物を用いること以外は工程D1で述べたとおりである。なお、第2の方法においては、前記粘着剤層組成物を先ず加熱して薬物等を融解させるため、工程Aにおいて前記粘着剤層組成物に前記溶媒等を含有させることは必ずしも必要ではない。また、第2の方法においては、含有される化合物が十分に融解又は分散されたより均一な粘着剤層組成物を得るという観点から、前記加熱を撹拌しながら行うことが好ましい。さらに、第2の方法において、工程Bにおける加熱温度及び加熱時間としては、前述のとおりである。
【0084】
また、第2の方法により本発明の貼付剤を製造する場合には、工程D2の後、後述の工程Cの前に前記第1の方法で挙げた積層工程を更に含んでいてもよい。他方、第2の方法により本発明の貼付剤を製造する場合において前記裁断工程及び前記包装工程を更に行う場合には、これらの工程は後述の工程Cの後に行うことが好ましい。
【0085】
本発明の貼付剤の製造方法としては、第1の方法であっても第2の方法であってもよいが、製造容易性の観点からは、第1の方法を採用することが好ましく、さらに、製造容易性及び製剤安定性の観点からは、工程D1の後かつ工程Bの前に前記包装工程を更に含んでいることが好ましい。
【0086】
<工程C>
本発明の貼付剤の製造方法は、工程Cとして、前記加熱後の粘着剤層組成物を1〜20℃/時間の平均降温速度で常温まで冷却して、前記薬物を過飽和濃度かつ溶解型で含有する前記粘着剤層を得る工程を含む。前記平均降温速度とは、加熱時の温度をT
H、冷却後の温度をT
C、冷却にかかった時間をΔtとしたとき、次式:(T
H−T
C)/Δt により求められる速度をいう。また、冷却後の温度(T
C)は、常温であれば特に制限されないが、通常、3〜30℃であることが好ましく、5〜25℃であることがより好ましい。
【0087】
このような平均降温速度としては、1〜20℃/時間の範囲内にあることが必要である。平均降温速度が前記下限値未満であると、平均降温速度を小さくすることによる薬物の結晶析出抑制効果がそれ以上期待できず、経済的にも好ましくない。他方、平均降温速度が前記上限値を超えると、得られる粘着剤層中において溶解型でロピニロールフリー体を含有させることができない。また、前記平均降温速度としては、より効率的に粘着剤層中に薬物を過飽和濃度かつ溶解型で含有させることができ、より長期間薬物の結晶の析出を抑制することができる傾向にあるという観点から、2〜18℃/時間であることが好ましく、3〜13℃/時間であることがより好ましい。
【0088】
本発明に係る工程Cにおいては、ロピニロールフリー体を過飽和濃度かつ溶解型で含有する前記粘着剤層を得ることができる。また、本発明の貼付剤の製造方法としては、必要に応じて、前述の積層工程、裁断工程、及び包装工程等を更に含んでいてもよい。
【0089】
このような本発明の貼付剤の製造方法により、前記支持体層と前記支持体層の少なくとも一方の面上に配置された前記粘着剤層とを備える貼付剤であって、前記粘着剤層が、ロピニロールフリー体を5〜13.2質量%含有しており、かつ、ロピニロールフリー体を過飽和濃度かつ溶解型で含有する本発明の貼付剤を得ることができる。
【0090】
本発明の貼付剤において、ロピニロールフリー体のより好ましい含有量、並びに、粘着剤層に含有される粘着基剤の組成及び好ましい含有量は前述のとおりである。また、本発明の効果を阻害しない範囲内において、本発明に係る粘着剤層としては、前記本発明の貼付剤の製造方法で述べた前記ロピニロールの塩、前記金属イオン含有脱塩剤、ロピニロールフリー体以外の薬物、前記化合物(A)、前記化合物(B)、前記添加剤等を更に含有していてもよく、これらの含有量としては、前述のとおりである。
【0091】
本発明の貼付剤においては、ロピニロールフリー体が過飽和濃度かつ溶解型で含有されるため、ロピニロールフリー体の優れた皮膚透過性、並びに、優れた粘着性や凝集性等の製剤物性が達成される。さらに、本発明の貼付剤は優れた長期保存性を有し、長期間保存されてもロピニロールフリー体の結晶が析出せず、前記皮膚透過性及び製剤物性が高水準で維持される。また、ロピニロールの塩の結晶や結晶化核が粘着剤層中に含有される場合であっても、それらの結晶成長が十分に抑制され、長期間、高水準の皮膚透過性及び高水準の製剤物性が維持される。
【0092】
また、前記本発明の貼付剤の製造方法において包装工程が更に含まれることにより、本発明の包装体を得ることができる。本発明の包装体は、前記本発明の貼付剤が脱酸素剤と共に包装容器内に密封されているものである。本発明の貼付剤としては、ロピニロール類縁物質の発生を更に効果的に抑制でき、ロピニロールの経時安定性がより向上するという観点から、製造後から使用時までの間、前記脱酸素剤と共に前記包装容器内に密封されていることが好ましい。
【0093】
前記包装容器としては、前述のとおりである。また、前記脱酸素剤としては、鉄粉を用いたものやビタミンCを主成分とするものを挙げることができ、より具体的には、エージレスシリーズ(三菱ガス化学社製)、ファーマキープシリーズ(三菱ガス化学社製)等が挙げられる。前記脱酸素剤の量としては、貼付剤の質量、容器の材質や容積等に応じて適宜調整することができるが、脱酸素剤の酸素吸収量が2.0μl以上となるような質量であることが好ましい。
【実施例】
【0094】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。なお、各実施例及び比較例における示差走査熱量測定(DSC測定)及び貼付剤の評価はそれぞれ以下の方法により行った。
【0095】
<示差走査熱量測定(DSC測定)>
先ず、薬物の結晶の融点を求めた。すなわち、ロピニロールフリー体の結晶について、示差走査熱量計(「Q−2000」、TAインスツルメント社製)を用いて10℃/minの昇温速度で−90℃から80℃まで加熱してDSC測定を行うことにより得られるサーモグラムにおいて観測されるピークから吸熱融点ピーク(融点)を求めたところ、63.58℃であった。ロピニロールフリー体のDSC測定結果を示すグラフを
図1に示す。また、塩酸ロピニロールの結晶について、温度範囲を−90℃から260℃までとしたこと以外はロピニロールフリー体と同様にして吸熱融点ピーク(融点)を求めたところ、244℃であった。
【0096】
次いで、各実施例及び比較例で得られた各貼付剤の粘着剤層について、前記示差走査熱量計を用いて10℃/minの昇温速度で−90℃から260℃まで加熱しながらDSC測定を行い、63.58℃付近における吸熱融点ピーク及び244℃付近における吸熱融点ピークの観測を行った。得られたDSC測定の結果に基づいて、下記のフリー体結晶評価及び塩結晶評価:
〔フリー体結晶評価〕
A:63.58℃付近における吸熱融点ピークが観測されない
B:63.58℃付近における吸熱融点ピークが観測される
〔塩結晶評価〕
A:244℃付近における吸熱融点ピークが観測されない
B:244℃付近における吸熱融点ピークが観測される。
を行った。また、各貼付剤を包装容器ごと温度25℃において静置し、24カ月間放置した後の貼付剤についても、上記と同様にフリー体結晶評価及び塩結晶評価を行った。
【0097】
<貼付剤の評価>
各実施例及び比較例で得られた製造直後の各貼付剤、並びに、製造後に包装容器ごと温度25℃において静置し、24カ月間放置した後の貼付剤について、それぞれ以下の外観評価、皮膚透過性試験及び製剤物性評価を行った。
【0098】
〔外観評価〕
各貼付剤の粘着剤層の表面を目視により観察し、結晶の析出状態を以下の基準:
A:目視により結晶が観察されない
B:目視により結晶が観察される
に基づいて貼付剤の外観を評価した。
【0099】
〔皮膚透過性試験〕
先ず、ヘアレスマウスの背部皮膚を剥離し、その真皮側がレセプター層側になるようにして、32℃の温水を外周部に循環させたフランツ型フロースルーセルに装着した。次いで、この皮膚の角質層側に5cm
2の大きさに切断して剥離シートを除去した各貼付剤を貼付し、前記フロースルーセルのレセプター層にはpH7.4のリン酸緩衝溶液(PBS)を一定の流量でフローして、レセプター層から2時間毎に24時間まで試料液を採取し、採取したそれぞれの試料液について高速液体クロマトグラフ法により薬物(ロピニロール)の濃度を定量し、各時間毎に皮膚を透過した薬物の量を求め、薬物の最大透過速度(Flux:μg/cm
2/hr)を、以下の式:
Flux(μg/cm
2/hr)=[薬物濃度(μg/ml)×流量(ml)]/貼付剤面積(cm
2)/時間(hr)
により算出した。最大透過速度の値が大きい製剤は、薬物の皮膚透過性に優れるものと認められる。
【0100】
〔製剤物性評価〕
各貼付剤について、プローブタックテスター及びピール試験機により粘着力を、クリープ測定機により凝集力(保持力)をそれぞれ測定し、以下の基準:
A:粘着力、凝集力共に十分である
B:粘着力、凝集力の少なくとも一方が不十分である
に基づいて製剤物性を評価した。
【0101】
(実施例1)
先ず、混合機を用いて、塩酸ロピニロール15.0質量部(ロピニロールフリー体に換算して13.2質量部)、水酸化ナトリウム1.6質量部(脱塩剤、塩酸ロピニロール1モルに対して0.8モル)、流動パラフィン11.9質量部、トルエン(溶媒)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)(SIS5000、JSR社製)11.4質量部、脂環族炭化水素樹脂42.6質量部、ポリイソブチレン4.5質量部、パルミチン酸イソプロピル10.0質量部、及びオクチルドデカノール3.0質量部を混合し、粘着剤層組成物100質量部(溶媒(トルエン)を除く化合物全量の質量)を調製した。前記粘着剤層組成物の組成(トルエンを除く)を表1に示す。なお、上記の塩酸ロピニロールと水酸化ナトリウムとのモル比では、前記粘着剤層組成物中には塩酸ロピニロールがロピニロールフリー体に換算して2.6質量部及びロピニロールフリー体が10.6質量部それぞれ含有される。また、このときのロピニロールフリー体の量は前記粘着剤層組成物(溶媒を除く)に対して過飽和濃度となる量であった。
【0102】
次いで、得られた粘着剤層組成物をシリコーンにより離型処理されたフィルム(ポリエチレンテレフタレート製)からなる離型シート上に展延し、溶媒を乾燥除去した後、支持体層としてのポリエチレンテレフタレート製フィルムを乾燥後の粘着剤層組成物の前記離型シートとは反対の面上に張り合わせ、これをポリアクリロニトリルフィルムを最内層とする積層フィルム製の包装袋中に密封し、包装体を得た。次いで、包装体ごと50℃まで加温し、そのままの温度で12時間保持する加熱処理を施した後、これを3時間かけて25℃まで冷却させ(平均降温速度8.3℃/時間)、目的の粘着剤層を備える貼付剤を前記包装袋中に得た。なお、得られた貼付剤において粘着剤層の厚さは、粘着剤層の単位面積当たりの質量が100g/m
2となる厚さであった。
【0103】
製造直後の貼付剤について上記フリー体結晶評価及び塩結晶評価を行ったところ、フリー体結晶評価はAであり、塩結晶評価はBであり、塩酸ロピニロールの結晶は残存しているものの、ロピニロールフリー体の結晶は確認されず、ロピニロールフリー体が過飽和濃度かつ溶解型で粘着剤層中に含有されていることが確認された。
【0104】
(実施例2〜12)
加熱処理の条件をそれぞれ表2に示す条件としたこと以外は実施例1と同様にしてそれぞれ貼付剤を得た。製造直後の貼付剤について上記フリー体結晶評価及び塩結晶評価を行ったところ、いずれの貼付剤においてもフリー体結晶評価はAであり、塩結晶評価はBであり、塩酸ロピニロールの結晶は残存しているものの、ロピニロールフリー体が過飽和濃度かつ溶解型で粘着剤層中に含有されていることが確認された。実施例9で得られた貼付剤について製造直後にDSC測定を行った結果を示すグラフを
図2に示す。
【0105】
(実施例13)
先ず、表1に示す組成とし、水酸化ナトリウムの添加量が塩酸ロピニロール1モルに対して1.1モルとなるようにしたこと以外は実施例1と同様にして粘着剤層組成物を得た。なお、上記の塩酸ロピニロールと水酸化ナトリウムとのモル比では、前記粘着剤層組成物中には塩酸ロピニロールは含有せず、ロピニロールフリー体が13.2質量部含有される。また、このときのロピニロールフリー体の量は前記粘着剤層組成物(溶媒を除く)に対して過飽和濃度となる量であった。
【0106】
次いで、得られた粘着剤層組成物を用い、加熱処理の条件を表2に示す条件としたこと以外は実施例1と同様にして貼付剤を得た。製造直後の貼付剤について上記フリー体結晶評価及び塩結晶評価を行ったところ、フリー体結晶評価及び塩結晶評価はいずれもAであり、得られた貼付剤においてロピニロールフリー体が過飽和濃度かつ溶解型で粘着剤層中に含有されていることが確認された。なお、塩酸ロピニロールの結晶は確認されなかった。実施例13で得られた貼付剤について製造直後にDSC測定を行った結果を示すグラフを
図2に示す。
【0107】
(実施例14)
先ず、表1に示す組成とし、塩酸ロピニロール及び水酸化ナトリウムに代えてロピニロールフリー体13.2質量部を用いたこと以外は実施例1と同様にして粘着剤層組成物を得た。また、このときのロピニロールフリー体の量は前記粘着剤層組成物(溶媒を除く)に対して過飽和濃度となる量であった。次いで、得られた粘着剤層組成物を用い、加熱処理の条件を表2に示す条件としたこと以外は実施例1と同様にして貼付剤を得た。製造直後の貼付剤について上記フリー体結晶評価及び塩結晶評価を行ったところ、フリー体結晶評価及び塩結晶評価はいずれもAであり、得られた貼付剤においてロピニロールフリー体が過飽和濃度かつ溶解型で粘着剤層中に含有されていることが確認された。なお、塩酸ロピニロールの結晶は確認されなかった。
【0108】
(比較例1)
包装後に加熱処理を施さず、乾燥後の粘着剤層組成物をそのまま粘着剤層としたこと以外は実施例1と同様にして貼付剤を包装容器中に得た。製造直後の同貼付剤について上記フリー体結晶評価及び塩結晶評価を行ったところ、フリー体結晶評価及び塩結晶評価はいずれもBであり、塩酸ロピニロールの結晶及びロピニロールフリー体の結晶が粘着剤層中に含有されていることが確認された。比較例1で得られた貼付剤について製造直後にDSC測定を行った結果を示すグラフを
図2に示す。
【0109】
(比較例2、6〜8)
加熱処理の条件をそれぞれ表2に示す条件としたこと以外は実施例1と同様にしてそれぞれ貼付剤を得た。
【0110】
(比較例3)
包装後に加熱処理を施さず、乾燥後の粘着剤層組成物をそのまま粘着剤層としたこと以外は実施例13と同様にして貼付剤得た。製造直後の同貼付剤について上記フリー体結晶評価及び塩結晶評価を行ったところ、フリー体結晶評価はBであり、塩結晶評価はAであり、塩酸ロピニロールの結晶は含有されていないものの、ロピニロールフリー体の結晶が粘着剤層中に含有されていることが確認された。比較例3で得られた貼付剤について製造直後にDSC測定を行った結果を示すグラフを
図2に示す。
【0111】
(比較例4、9)
加熱処理の条件をそれぞれ表2に示す条件としたこと以外は実施例13と同様にしてそれぞれ貼付剤を得た。
【0112】
(比較例5)
加熱処理の条件を表2に示す条件としたこと以外は実施例14と同様にして貼付剤を得た。
【0113】
【表1】
【0114】
実施例1〜14、比較例1〜9で得られた各貼付剤について、製造直後及び24カ月後にそれぞれ外観評価、皮膚透過性試験、フリー体結晶評価、塩結晶評価及び製剤物性評価を行った。外観評価においては、実施例1〜14で得られた貼付剤は24カ月が経過しても評価がAであり、優れた外観を維持していたのに対して、比較例1〜5で得られた貼付剤では製造直後は外観評価がAであったが、24カ月後では目視でも明らかに粘着剤層の表面に結晶が析出し、製剤として使用することが困難であった。実施例9及び比較例1で得られた貼付剤を24カ月間放置した後の粘着剤層表面を撮影した写真をそれぞれ
図3及び
図4に示す。
【0115】
また、皮膚透過性試験においては、実施例1〜14で得られた貼付剤は24カ月が経過しても優れた皮膚透過性を維持していたのに対して、比較例1〜9で得られた貼付剤ではロピニロールフリー体及び/又は塩酸ロピニロールの結晶が析出するにつれて皮膚透過性が低下し、最大皮膚透過速度が実施例1〜14で得られた貼付剤に比べて最大で20%低下した。また、フリー体結晶評価、塩結晶評価及び製剤物性評価を行った結果を製造時の加熱条件と共にそれぞれ表2に示す。
【0116】
【表2】
【0117】
表2に示した結果から明らかなように、本発明の製造方法により得られた貼付剤においては、製造直後からロピニロールフリー体が溶解型で粘着剤層中に含有されており、ロピニロールフリー体の結晶の析出が高水準で抑制されていることが確認された。また、皮膚透過性試験及び製剤物性評価の結果から明らかなように、粘着剤層中にロピニロールフリー体が過飽和濃度かつ溶解型で含有されている本発明の貼付剤においては、高水準の皮膚透過性及び製剤物性がいずれも達成され、さらに、長期間保存されてもその皮膚透過性及び製剤物性が維持されることが確認された。また、本発明の貼付剤においては、ロピニロールの塩の結晶や結晶化核が完全に溶解されずに粘着剤層中に含有されていても、これらの結晶成長が抑制され、極めて長期間高水準の皮膚透過性及び高水準の粘着性や凝集性等の製剤物性が維持されることが確認された。
前記粘着剤層組成物に、前記ロピニロールの薬学的に許容される塩の配合量のロピニロールフリー体換算モル数1モルに対して0.5〜1.2モルの水酸化ナトリウムを更に配合することを特徴とする請求項4に記載の貼付剤の製造方法。
工程Aの後かつ工程Bの前に、前記支持体層の少なくとも一方の面上に工程Aで得られた前記粘着剤層組成物を塗布する工程D1を更に含んでいることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の貼付剤の製造方法。
工程Bの後かつ工程Cの前に、前記支持体層の少なくとも一方の面上に工程Bで得られた前記加熱後の粘着剤層組成物を塗布する工程D2を更に含んでいることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項に記載の貼付剤の製造方法。
前記加熱後の粘着剤層組成物を1〜20℃/時間の平均降温速度で常温まで冷却して、前記ロピニロールフリー体を過飽和濃度かつ溶解型で含有する前記粘着剤層を得る工程Cと、
ベンジルアルコール、オレイルアルコール、オクチルドデカノール、ジメチルイソソルビドからなる群から選択される少なくともいずれか1種の化合物を、前記ロピニロールフリー体100質量部に対して
ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ラウリルアルコール、グリセリンモノオレエート、プロピレングリコールモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ラウリン酸ジエタノールアミドからなる群から選択される少なくともいずれか1種の化合物を、前記ロピニロールフリー体100質量部に対して