(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-100691(P2015-100691A)
(43)【公開日】2015年6月4日
(54)【発明の名称】温湿布方法
(51)【国際特許分類】
A61F 7/03 20060101AFI20150508BHJP
【FI】
A61F7/08 331
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】書面
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2013-255431(P2013-255431)
(22)【出願日】2013年11月25日
(71)【出願人】
【識別番号】313015487
【氏名又は名称】久保田 浩也
(72)【発明者】
【氏名】久保田 浩也
【テーマコード(参考)】
4C099
【Fターム(参考)】
4C099AA01
4C099CA11
4C099CA12
4C099GA01
4C099GA02
4C099JA01
4C099JA04
4C099PA01
4C099PA06
4C099TA04
(57)【要約】
【課題】大蒜を使った健康法において、大蒜の有効成分を安全で効果的に体内に吸収させることのできる方法を提供する。
【解決手段】大蒜成分を含有させた繊維を集積してなるマット状の湿布体3と、発熱体4と、を用意し、一例として湿布対象者1の姿勢を仰向けにした状態で、その湿布対象者1の腹胸部2に湿布体3を載せ、さらにその上に発熱体4を載せて湿布体3の温度を適度に上げることにより、湿布体3に含まれる大蒜成分を湿布対象者1の皮膚を通して体内に吸収させるようにする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大蒜成分を含有させたマット状の湿布体と、発熱体と、を用意し、湿布対象者の姿勢を仰向けまたはうつ伏せにした状態で、当該湿布対象者の腹胸部または背部に前記湿布体を載せ、さらにその上に前記発熱体を載せて前記湿布体の温度を適度に上げることにより、前記湿布体に含まれる大蒜成分を湿布対象者の体内に吸収させるようにしたことを特徴とする温湿布方法。
【請求項2】
前記マット状の湿布体は、湿布対象者の腹胸部または背部の少なくとも30%を覆う大きさに形成されることを特徴とする請求項1に記載の温湿布方法。
【請求項3】
前記湿布体の温度は、湿布対象者の体温〜体温+10℃の範囲に保たれることを特徴とする請求項1または2に記載の温湿布方法。
【請求項4】
1回あたりの湿布時間は、およそ1〜3時間であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の温湿布方法。
【請求項5】
前記時間の湿布を一日2〜6回繰り返すことを特徴とする請求項4に記載の温湿布方法。
【請求項6】
所定回数ごと湿布対象者の姿勢を変えて湿布を行うようにしたことを特徴とする請求項5に記載の温湿布方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は大蒜(にんにく)を使った温湿布方法に関し、特に大蒜の有効成分を安全で効果的に体内に吸収させることのできる温湿布方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自然治癒力を高めるための健康材料として大蒜が注目されており、この大蒜を使った健康法としては、いわゆる大蒜灸と呼ばれているものがある。
【0003】
即ちこれは、大蒜の成分を灸の温熱効果によって体内に吸収させることにより、大蒜に含まれるアリシン等の有効成分を身体に作用させて、健康増進を図ろうとするものである。
【0004】
このような大蒜を用いた健康法においては、如何にして大蒜の有効成分を効果的に体内に吸収させるかが重要となる。そのための方法として従来は、例えば特許文献1に開示されるような方法が提案されている。
【0005】
即ち特許文献1は、灸に用いるもぐさに係るものであり、当該もぐさに大蒜成分を含ませたことを特徴とする。そしてこの大蒜を含ませたもぐさを身体のツボの上に載せて火をつけることにより、その温熱効果によって大蒜成分が皮膚を通して体内に吸収されるようにしたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−087349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしなから、このような灸による方法では、もぐさの火によって直接的に身体に熱を加えるため身体への負担が大きく、場合によっては火傷を負う危険もあり、安全性の面で課題があった。
【0008】
本発明は斯かる課題を解決するためになされたものであり、大蒜の有効成分を安全で効果的に体内に吸収させることのできる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
即ち本発明は、独特の温湿布による大蒜成分の吸収方法であり、大蒜成分を含有させたマット状の湿布体と、発熱体と、を用意し、湿布対象者の姿勢を仰向けまたはうつ伏せにした状態で、その湿布対象者の腹胸部または背部に湿布体を載せ、さらにその上に発熱体を載せて湿布体の温度を適度に上げることにより、湿布体に含まれる大蒜成分を湿布対象者の体内に吸収させるようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明の温湿布方法では、湿布場所を湿布対象者の腹胸部または背部に選び、マット状の湿布体を用いて広い面積で湿布を行うようにしたので、湿布体に含まれる大蒜成分を湿布対象者の体内に効果的に吸収させることができる。そしてこの方法では、発熱体を湿布対象者の身体に直に接触させることなく温湿布を行うので、湿布対象者への負担が少なく、安全に大蒜の有効成分を体内に吸収させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明による温湿布方法の実施例を示す側面的説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の温湿布方法の実施例について詳細に説明する。
図1および
図2は、湿布対象者の姿勢を仰向けにした状態での実施例を示す。
【0013】
即ち本例では、湿布対象者1を上半身裸にして仰向けに寝かせた状態で、その湿布対象者1の腹胸部2(腹部から胸部にかけての部分)の上に、大蒜成分を含有させた繊維を集積してなるマット状の湿布体3を載せ、さらにその上に発熱体として電熱シート4を載せて温湿布を行うようにする。
【0014】
ここで湿布体3の形態としては、大蒜成分を含ませた繊維をマット状に成形したものや、大蒜成分を含ませた多数の繊維片を布袋に詰めたもの等、種々の形態を採ることができる。電熱シート4は電源から供給される電気によって発熱し、その発熱温度をコントローラによって任意の温度に調整できるものである。
【0015】
そして、この電熱シート4から供給される熱によって湿布体4の温度を適度に上げることにより、その温熱効果によって湿布体3に含まれる大蒜成分が湿布対象者1の皮膚を通して体内に吸収され、その結果、大蒜の有効成分が身体に効果的に作用して健康増進が図られることになる。
【0016】
ここでマット状の湿布体3は、湿布対象者1の腹胸部2の少なくとも30%を覆う大きさに形成されることが望ましい。即ち本発明の方法では、湿布体3の大きさが大きいほど大蒜成分の吸収効果が高く、そのため身体の中でも面積を充分に確保できる腹胸部を湿布場所に選んでいる。従って、その効果を充分に発揮するためには、目安として腹胸部2の少なくとも30%を覆う程度に湿布体3の大きさを確保することが望ましく、さらに好ましくは、腹胸部2の50%以上を覆う大きさとするのが理想である。
【0017】
図1および
図2では湿布対象者を仰向けにした状態での実施例を示したが、これを逆の姿勢、つまり湿布対象者をうつ伏せにした状態での実施も可能である。
即ちこの場合、湿布対象者を上半身裸にしてうつ伏せに寝かせた状態で、その湿布対象者の背部(いわゆる背中の部分)の上に、大蒜成分を含有させた繊維を集積してなるマット状の湿布体を載せ、さらにその上に発熱体として電熱シートを載せて温湿布を行うようにする。
【0018】
この場合でも
図1および
図2の実施例と同様に湿布体3は、湿布対象者の背部の少なくとも30%を覆う大きさに形成されることが望ましく、さらに好ましくは、背部の50%以上を覆う大きさとするのが理想である。
【0019】
以上の如き本発明による温湿布方法では、湿布場所を湿布対象者の腹胸部または背部に選び、マット状の湿布体を用いて広い面積で湿布を行うようにしたので、湿布体に含まれる大蒜成分を湿布対象者の体内に効果的に吸収させることができる。そしてこの方法は、発熱体である電熱シート4を湿布対象者1の身体に直に接触させることなく温湿布を行うので、湿布対象者への負担が少なく、安全に大蒜の有効成分を体内に吸収させることができるものである。
【0020】
さらに本発明において湿布体3の温度は、湿布対象者の体温〜体温+10℃の範囲に保たれるようにする。この温度範囲が湿布対象者に過熱感を与えることなく効果的に大蒜成分を吸収できる温度である。また火傷の心配もない。さらに好ましくは湿布対象者の体温+2〜3℃であり、これは湿布対象者とって最も心地のよい温度である。
【0021】
1回あたりの湿布時間は、およそ1〜3時間とし、休憩を挟んでこれを一日2〜6回繰り返すようにする。1回あたりの湿布時間をおよそ1〜3時間とすることで湿布対象者への負担が少なく抑えられ、また低温火傷のおそれも回避できる。そしてこれを一日2〜6回繰り返すことにより、一段と効果的に大蒜成分を体内に吸収することが可能となる。
【0022】
さらに好適な実施形態として、所定回数ごと湿布対象者の姿勢を変えて湿布を行うようにするとよい。例えば、1回目は湿布対象者を仰向けにした状態でその腹胸部に湿布体および発熱体を載せて湿布を行い、2回目は湿布対象者をうつ伏せにした状態でその背部に湿布体および発熱体を載せて湿布を行うようにする。これを交互に繰り返してもよいし、またランダムに繰り返してもよい。こうすることにより、湿布対象者は同一姿勢を長時間とり続ける負担から解放され、また同一部分に温湿布を長時間続けることがなくなるので低温火傷の心配もなくなる。
【0023】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。一例として、実施例では電力による電熱シートを発熱体として用いたが、発熱体はこれに限ることなく、他にも例えば鉄粉の酸化作用を利用したものや、生石灰を水と反応させるもの等、種々の発熱手段が考えられる。
【符号の説明】
【0024】
1 湿布対象者
2 腹胸部
3 湿布体
4 電熱シート(発熱体)