(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-100729(P2015-100729A)
(43)【公開日】2015年6月4日
(54)【発明の名称】バグフィルタ
(51)【国際特許分類】
B01D 46/02 20060101AFI20150508BHJP
【FI】
B01D46/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-241504(P2013-241504)
(22)【出願日】2013年11月22日
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉見 拓
【テーマコード(参考)】
4D058
【Fターム(参考)】
4D058JA04
4D058RA02
(57)【要約】
【課題】 バグフィルタのダスト排出部のダストボックスにセットされたダスト回収袋が、集塵中の負圧によりバグフィルタ内へ引っ張られバグフィルタ内で膨らむのを防ぐ着脱可能なアタッチメントを提供する。
【解決手段】 本発明のアタッチメントは、ダストボックス上部に着脱可能なリング状であり、アタッチメントの中央空間部分を通じてダストボックス内にダスト回収袋を挿入し、ダスト回収袋はダスト排出部とアタッチメントにより挟持されている。また、アタッチメントの隙間部を通じて、ダストボックスの内壁とダスト回収袋の外側により囲われた空間を負圧にしている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バグフィルタのダスト排出部に、ダストを回収するためのダストボックスを備えたバグフィルタであって、
該ダストボックス上部に着脱が可能なリング状のアタッチメントを取り付け、該アタッチメントの中央空間部分を通じて該ダストボックス内にダスト回収袋を挿入し、該ダスト回収袋は該ダスト排出部と該アタッチメントにより挟持され、
前記アタッチメントの隙間部を通じて、前記ダストボックスの内壁と前記ダスト回収袋の外側により囲われた空間を負圧にすること特徴とするバグフィルタ。
【請求項2】
前記アタッチメントが、リング状の上フランジと、該上フランジのリング内周面と上端で結合した円筒状の筒部と、前記上フランジの下部に結合している隙間形成部材と、該隙間形成部材を介し上フランジと反対側に結合している前記上フランジと同形状の下フランジと、を備えている請求項1記載のバグフィルタ。
【請求項3】
前記アタッチメントの前記隙間部において、前記ダストボックスの空間とは反対側に設けられた開口部が、前記バグフィルタの集塵室と接続していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバグフィルタ。
【請求項4】
前記アタッチメントの前記筒部の外周に、簡単に前記ダストボックスの中央に前記アタッチメントを装着することが可能なガイドを搭載したことを特徴とする請求項2に記載のバグフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バグフィルタのダスト排出部にダストを回収するためのダストボックスを備えたバグフィルタであって、既存のダストボックスにダスト回収袋を簡単にセットするためのダスト回収袋用アタッチメントを備えたバグフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、集塵機にて集められたダストは、集塵機のダスト排出部のダストボックスに回収されている。このダストボックスのダストを定期的に排出する必要があり、ダストボックスを取り外して中に溜まっているダストを、他の容器またはダスト回収袋に移している。
【0003】
ここで、ダストボックスからダスト回収袋など別容器にダストを移す作業において、ダストの飛散の問題があったため、移し替え作業をなくす工夫の一つとしてダストボックス内に予め空のダスト回収袋を取付ける方法が考えられるが、集塵機を運転すると同時に集塵機内の集塵室が負圧となるため、ダスト回収袋が集塵機内側へ膨らんでしまうという問題があった。
図6は、従来の方法で(a)ダスト回収袋をセットした状態(b)集塵機を運転させた状態を示している。
【0004】
上記の負圧によってダスト回収袋が機内側へ膨らんでしまうことを解決するために、ダスト回収袋とダストボックスの間を負圧に排気する機構を備えた集塵機が開示されている(特許文献1)。
【0005】
しかしながら、この方法では既存の集塵機に取り付けようとすると改造が必要となり、その間、集塵機の稼働ができない。また、客先によってはコスト優先での仕様で、ダスト回収袋を必要としない場合もある。よって、ダスト回収袋の取付けについて、既存の集塵機にも簡単に取り付けることができ、新規の集塵機においても、ダストボックスの設計を変更せずに追加部品によりダスト回収袋の取付けが行うことができるものが望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平2−37235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、既存の集塵機にも簡単に取り付けることができ、新規の場合にも、ダストボックスの設計を変更せずにダスト回収袋の取付けが問題なく行うことができるアタッチメントを備えたバグフィルタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、バグフィルタのダスト排出部に、ダストを回収するためのダストボックスを備えたバグフィルタであって、
ダストボックス上部に着脱が可能なリング状のアタッチメントを取り付け、アタッチメントの中央空間部分を通じてダストボックス内にダスト回収袋を挿入し、ダスト回収袋はダスト排出部とアタッチメントにより挟持され、アタッチメントの隙間部を通じて、ダストボックスの内壁とダスト回収袋の外側により囲われた空間を負圧にするという技術的手段を用いる。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、既存のバグフィルタにおいても、改造を必要とせずに、ダスト排出部とダストボックスとの間にリング状のアタッチメントを取付けた後にダスト回収袋を取り付け、ダストボックスの内壁とダスト回収袋の外側により囲われた空間を負圧にすることにより、ダスト回収袋が集塵機内側へ膨らんでしまうという問題が解決することができる。また、ダスト回収袋が用意できない場合においても、アタッチメントを外して使用すれば、問題なくバグフィルタを運転することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、アタッチメントが、リング状の上フランジと、上フランジのリング内周面と上端で結合した円筒状の筒部と、上フランジの下部に結合している隙間形成部材と、隙間形成部材を介し上フランジと反対側に結合している上フランジと同形状の下フランジと、を備えているという技術的手段を用いる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、簡単な構成のアタッチメントであるため、コスト的に安く提供できる。
【0012】
請求項3に記載の発明では、アタッチメントの隙間部において、ダストボックスの空間とは反対側に設けられた開口部が、バグフィルタの集塵室と接続しているという技術的手段を用いる。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、負圧は集塵機の集塵室より供給可能であるため、負圧を発生させるための特別な機材を必要しない。さらに万が一、ダスト回収袋が破損しても、集塵室に接続しているため、集塵機本体への影響はない。
【0014】
請求項4に記載の発明では、
アタッチメントの筒部の外周に、簡単にダストボックスの中央にアタッチメントを装着することが可能なガイドを搭載するという技術的手段を用いる。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、アタッチメントの筒部の外周にガイドを設けることで、簡単にダストボックスの中央にアタッチメントを装着することができる。これによって、ダストボックスとアタッチメントのシール性が良くなり、簡単に集塵機内の密閉性を高めることが可能となる
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、脱着可能なダスト回収袋用のアタッチメントを用いることで、既存の集塵機にも問題なくダスト回収袋を簡単に取り付けることができ、ダスト回収袋を使用しない場合においてもアタッチメントを外せば問題なく集塵機を稼働させることができるバグフィルタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明によるアタッチメントを備えたバグフィルタの一部断面図を示す。
【
図2】本発明によるアタッチメントの全体図を示す。
【
図3】本発明によるアタッチメントの断面図を示す。
【
図4】本発明によるアタッチメントおよびダスト回収袋とダストボックスの関係を表す簡易断面図を示す。
【
図5】本発明によるアタッチメントを使用して(a)ダスト回収袋をセットした状態(b)にてバグフィルタを運転させた状態を示す。
【
図6】従来の方法で(a)ダスト回収袋をセットした状態(b)にてバグフィルタを運転させた状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明のアタッチメントを備えたバグフィルタについて説明する。
図1に示すようにバグフィルタAは、種々の機械や装置から発生する粉塵を吸引する図示しない吸引装置と、吸引されてきた粉塵を導入する集塵室Bと、集塵室Bの中に設置され粉塵を空気からろ過をするろ紙・ろ布などによるろ過手段Cとからなっている。
【0019】
本発明のアタッチメント1は、バグフィルタAのダスト排出部であるホッパDの下端に取り付けられ、バグフィルタAによって集塵されたダストを回収するダスト回収袋Wを、ダストを貯蔵するダストボックスEとともに固定するために使用するものである。
【0020】
図2は、本発明のアタッチメント1の全体図である。また、
図3は、アタッチメント1の断面図である。また、
図4は、アタッチメント1およびダスト回収袋WとダストボックスEの関係を表す簡易断面図である。
【0021】
フランジリブ2は、ホッパDに接合され、ダストボックスEの上部開口部と同形状のリングである。ダストボックスEと同形状とすることにより、バグフィルタAにある既設の設備(例えば、パッキン)を追加工・交換することなく使用することが可能であり、バグフィルタAのダスト排出部であるホッパDとフランジリブ2であるリングの接合部によって、リングの面圧でシール性を確保することができる。
【0022】
上フランジ3は、フランジリブ2が上部に取り付けられホッパDの下端に接している。
下フランジ4は、上フランジ3と同形状をしており、上フランジ3との間に僅かな隙間部Gを隙間形成部材4aによって形成して上フランジ3と結合している。これらの上フランジ3、下フランジ4および隙間部Gを薄く、狭くすることでダストボックスE及びバグフィルタA本体への加工や追加部品も不要になる。また、ダスト回収袋の有無によっての都度設計が不要になることで、コストが下がり、納期も短くすることができる。
【0023】
筒部5は、その上端部が上フランジ3の内周部と結合し、その下端部が下フランジ4へ向かって伸びる円筒状の部材である。なお、上フランジ3の全内周とは結合しているが、下フランジ4の全内周とは結合していない。すなわち、下フランジ4と筒部5との間には一定の空間(隙間)がある。また、筒部5の周囲にダストボックスEの内周と接しダストボックスEとの間に一定の隙間を形成するとともに支持をする複数のガイド6を有している。この筒部5とガイド6とによってダストボックスEの中央にアタッチメントを装着できる。
【0024】
空気継手7は、上フランジ3と下フランジ4との間の隙間部Gに連通し、バグフィルタAの集塵室に接続(配管)されている。より詳しくは、空気継手7は、上フランジ3と下フランジ4との間の隙間部GのダストボックスEに通じる空間とは反対側に設けられた開口部Lに取り付けられている。そして、空気継手7はバグフィルタAの集塵室Bに接続されている。
【0025】
ダスト回収袋Wは、フランジリブ2とホッパDとに挟持されることによってその開口部Hが固定されている(
図5も参照)。そして、その閉塞部Kは筒部5の内側(中央空間部分)を通りダストボックスEに接するように配置されている。
【0026】
ダストボックスEとダスト回収袋Wとの間の空気は、バグフィルタAから空気継手7を通して吸引されている。これにより、ダストボックスEとダスト回収袋Wとの空間Sは負圧になっている。
【0027】
パッキン8は、下フランジ4のダストボックスEが接する位置にある。これは、ダストボックスEとアタッチメント1との間のシール性を確保している。
【0028】
エッジパッキン9は、筒部5の下端部を覆っている。これは、筒部5のエッジ部でダスト回収袋Wを破損させない為である。また、エッジパッキン9の材質は、プラスチックを使用している。なお、筒部5の下端部を覆ってダスト回収袋Wを破損させない材質であれば何でもよい。
【実施例1】
【0029】
以下、実施例として、本発明のアタッチメント1を使用したバグフィルタの動作およびアタッチメント1の機能について、
図4、5を用いて説明する。
【0030】
バグフィルタAは、図示しない吸引装置によって粉塵などを吸引し、バグフィルタAの集塵室Bに粉塵などを導入させて、濾紙・濾布などによるろ過手段Cによってろ過される。ろ過された粉塵はろ過手段Cから払い落とされて、バグフィルタAのダスト排出部であるホッパDに集められる。そして、払い落とされた粉塵は、ホッパDからホッパDの下端に取り付けられているダストボックスE内のダスト回収袋Wに貯蔵される。
【0031】
バグフィルタAが運転していないとき、
図5(a)に示すようにダスト回収袋Wは、自重によって垂れ下がっている。そして、バグフィルタAを運転させると図示しない吸引装置が作動し粉塵などの吸引を開始する。それに伴い、上フランジ3と下フランジ4との間の隙間部Gにある空気は、バグフィルタAから空気継手7を介して吸引される。
【0032】
上フランジ3と下フランジ4との間の隙間部Gは、ダストボックスEとダスト回収袋Wとの空間Sに繋がっているので、ダストボックスEとダスト回収袋Wとの空間SはバグフィルタAに空気を吸われ負圧になっている。これにより、
図5(b)に示すようにダスト回収袋WがダストボックスEに張り付き、ダスト回収袋WはバグフィルタAの内側へ引っ張られることはない。
【0033】
本発明では、ダストボックスEはペール缶を使用しているが、バグフィルタAからの吸引による負圧に耐えられる容器であり、かつホッパDの下端に取り付けられるものであればよい。
【0034】
ダスト回収袋Wにある程度粉塵が貯まったとき、バグフィルタAの運転を止める。そして、ダスト回収袋Wをアタッチメント1およびダストボックスEから取り外し、新たなダスト回収袋Wを取り付けてバグフィルタAの運転を再開する。
【符号の説明】
【0035】
1 アタッチメント
2 フランジリブ
3 上フランジ
4 下フランジ
4a 隙間形成部材
5 筒部
6 ガイド
7 空気継手
8 パッキン
9 エッジパッキン
A バグフィルタ
B 集塵室
C ろ過手段
D ホッパ
E ダストボックス
G 隙間部
H ダスト回収袋の開口部
K ダスト回収袋の閉塞部
L ダストボックスに通じる空間とは反対側に設けられた開口部
S ダストボックスとダスト回収袋との空間
W ダスト回収袋