【解決手段】 回転軸線Ox周りの周方向Xに沿って延びる、ワイヤガイド用の溝29が形成された送給ローラ21であって、第1溝側面311を有する第1部材3と、第2溝側面411を有する第2部材4と、を備え、第1溝側面311および第2溝側面411は、回転軸線Oxに直交し且つ回転軸線Oxの延びる方向である軸線方向Z1における溝29の中心を通る平面S1を挟んで、互いに反対側に位置しており、第1溝側面311および第2溝側面411は、溝29を構成しており、第1部材3は、第2部材4に対して、回転軸線Oxの延びる方向である軸線方向Z1において互いに異なる複数の位置に位置する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、複数種類の太さのワイヤを送給できる送給ローラを提供することをその主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の側面によると、回転軸線周りの周方向に沿って延びる、ワイヤガイド用の溝が形成された送給ローラであって、第1溝側面を有する第1部材と、第2溝側面を有する第2部材と、を備え、前記第1溝側面および前記第2溝側面は、前記回転軸線に直交し且つ前記回転軸線の延びる方向である軸線方向における前記溝の中心を通る平面を挟んで、互いに反対側に位置しており、前記第1溝側面および前記第2溝側面は、前記溝を構成しており、前記第1部材は、前記第2部材に対して、前記軸線方向において互いに異なる複数の位置に位置する、送給ローラが提供される。
【0006】
好ましくは、前記第1部材および前記第2部材の一方は、少なくとも1つの第1溝幅規定面を有し、前記第1部材および前記第2部材の他方は、各々が、前記軸線方向において、前記少なくとも1つの第1溝幅規定面のいずれかに対して対向しうる複数の第2溝幅規定面を有し、前記複数の第2溝幅規定面は各々、前記少なくとも1つの第1溝幅規定面のいずれかに当接可能であり、且つ、複数のタイプのうちのいずれかのタイプに属し、異なるタイプに属する第2溝幅規定面は、前記軸線方向において互いに異なる位置に位置している。
【0007】
好ましくは、前記複数の第2溝幅規定面は、前記周方向に沿って配列されている。
【0008】
好ましくは、前記第1部材および前記第2部材の一方は、少なくとも1つの溝幅規定用突起を含み、前記少なくとも1つの溝幅規定用突起は各々、前記少なくとも1つの第1溝幅規定面のいずれかを構成しており、前記第1部材および第2部材の他方には、各々に前記少なくとも1つの溝幅規定用突起のいずれかが嵌まりうる複数の溝幅規定用凹部が形成され、前記複数の溝幅規定用凹部の底面は各々、前記複数の第2溝幅規定面のいずれかを構成しており、前記複数の溝幅規定用凹部の側面には、前記少なくとも1つの溝幅規定用突起のいずれかが当接可能である。
【0009】
好ましくは、前記複数の溝幅規定用凹部は、前記周方向に沿って配列されている。
【0010】
好ましくは、Nを3以上の整数とし、同一タイプに属するN個の第2溝幅規定面を順に、第1規定面、第2規定面、・・・第N規定面とした場合、あるタイプに属する第1規定面、第2規定面、・・・第N規定面は、他のタイプに属する第1規定面、第2規定面、・・・第N規定面を、前記回転軸線を中心として回転したものに、前記軸線方向視において、それぞれ重なっている。
【0011】
好ましくは、前記少なくとも1つの溝幅規定用突起の個数は、複数であり、複数の溝幅規定用突起を順に、第1溝幅規定用突起、第2溝幅規定用突起、・・・第N溝幅規定用突起とした場合、前記第1溝幅規定用突起、第2溝幅規定用突起、・・・第N溝幅規定用突起は、同一タイプに属する第1規定面、第2規定面、・・・第N規定面にそれぞれ、同時に当接可能である。
【0012】
好ましくは、Mを3以上の整数とし、Pを1≦P≦M−1の関係を満たす整数とし、前記複数のタイプを順に、第1タイプ、第2タイプ、・・・第Mタイプとした場合、第(P+1)タイプに属する第2溝幅規定面は、それぞれ、第Pタイプに属する第2溝幅規定面から、前記軸線方向において、第1距離L1(P)だけずれた位置に位置している。
【0013】
好ましくは、前記第1距離L1(P)は、0.1〜0.3mmである。
【0014】
好ましくは、前記第1部材および前記第2部材は、ねじ機構によって、前記軸線方向に移動可能に互いに連結されている。
【0015】
好ましくは、前記第1部材に対して、前記軸線方向において互いに異なる複数の位置に位置する第3部材を更に備える。
【0016】
好ましくは、前記第1部材および前記第3部材の一方は、少なくとも1つの第1中心調整面を有し、前記第1部材および前記第3部材の他方は、各々が、前記軸線方向において、前記少なくとも1つの第1中心調整面のいずれかに対して対向しうる複数の第2中心調整面を有し、前記複数の第2中心調整面は各々、前記少なくとも1つの第1中心調整面のいずれかに当接可能であり、且つ、複数のタイプのうちのいずれかのタイプに属し、異なるタイプに属する第2中心調整面は、前記軸線方向において互いに異なる位置に位置している。
【0017】
好ましくは、前記複数の第2中心調整面は、前記周方向に沿って配列されている。
【0018】
好ましくは、前記第1部材および前記第3部材の一方は、少なくとも1つの中心調整用突起を含み、前記少なくとも1つの中心調整用突起は各々、前記少なくとも1つの第1中心調整面のいずれかを構成しており、前記第1部材および第3部材の他方には、各々に前記少なくとも1つの中心調整用突起のいずれかが嵌まりうる複数の中心調整用凹部が形成され、前記複数の中心調整用凹部の底面は各々、前記複数の第2中心調整面のいずれかを構成しており、前記複数の中心調整用凹部の側面には、前記少なくとも1つの中心調整用突起のいずれかが当接可能である。
【0019】
好ましくは、前記複数の中心調整用凹部は、前記周方向に沿って配列されている。
【0020】
好ましくは、Nを3以上の整数とし、同一タイプに属するN個の第2中心調整面を順に、第1調整面、第2調整面、・・・第N調整面とした場合、あるタイプに属する第1調整面、第2調整面、・・・第N調整面は、他のタイプに属する第1調整面、第2調整面、・・・第N調整面を、前記回転軸線を中心として回転したものに、前記回転軸線方向視において、それぞれ重なっている。
【0021】
好ましくは、前記少なくとも1つの中心調整用突起の個数は、複数であり、複数の中心調整用突起を順に、第1中心調整用突起、第2中心調整用突起、・・・第N中心調整用突起とした場合、前記第1中心調整用突起、第2中心調整用突起、・・・第N中心調整用突起は、同一タイプに属する第1調整面、第2調整面、・・・第N調整面にそれぞれ、同時に当接可能である。
【0022】
好ましくは、前記第1部材および前記第2部材の一方は、少なくとも1つの第1溝幅規定面を有し、前記第1部材および前記第2部材の他方は、各々が、前記軸線方向において、前記少なくとも1つの第1溝幅規定面のいずれかに対して対向しうる複数の第2溝幅規定面を有し、前記複数の第2溝幅規定面は各々、前記少なくとも1つの第1溝幅規定面のいずれかに当接可能であり、且つ、複数のタイプのうちのいずれかのタイプに属し、異なるタイプに属する第2溝幅規定面は、前記軸線方向において互いに異なる位置に位置しており、Mを3以上の整数とし、Pを1≦P≦M−1の関係を満たす整数とし、前記複数のタイプを順に、第1タイプ、第2タイプ、・・・第Mタイプとした場合、第(P+1)タイプに属する第2溝幅規定面は、それぞれ、第Pタイプに属する第2溝幅規定面から、前記軸線方向において、第1距離L1(P)だけずれた位置に位置しており、第(P+1)タイプに属する第2中心調整面は、それぞれ、第Pタイプに属する第2中心調整面から、第2距離L2(P)だけずれた位置に位置しており、前記第2距離L2(P)は、前記第1距離L1(P)の半分である。
【0023】
好ましくは、前記第1部材および前記第3部材は、ねじ機構によって、前記軸線方向に移動可能に互いに連結されている。
【0024】
本発明の第2の側面によると、第1の側面によって提供される送給ローラと、前記送給ローラが取り付けられた回転軸と、を備え、前記回転軸は、前記回転軸線に沿って延びている、送給装置が提供される。
【0025】
本発明の第3の側面によると、第1の側面によって提供される送給ローラと、前記第3部材に当接させられた基準部と、を備える、送給装置が提供される。
【0026】
好ましくは、前記送給ローラを前記基準部に対して固定する固定部材を更に備える。
【0027】
本発明の第4の側面によると、第2または第3の側面によって提供される送給装置と、前記送給装置によって送給されたワイヤを用いてアーク処理を行うロボットと、を備える、アーク処理システムが提供される。
【0028】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0031】
<第1実施形態>
図1〜
図20を用いて、本発明の第1実施形態について説明する。
【0032】
図1は、本発明の第1実施形態にかかるアーク処理システムを示す図である。
【0033】
同図に示すアーク処理システムA1は、溶接システムであり、ワイヤ82を消耗電極として母材Wの溶接を行うためのものである。アーク処理システムA1は、ロボット11と、第1送給装置12と、第2送給装置13と、を備える。
【0034】
[ロボット11]
ロボット11は、ワイヤ82を用いてアーク処理を行うものであり、本実施形態では多関節アーム型のアーク溶接ロボットである。ロボット11は、3次元に設定された溶接経路に沿って、トーチ116を所定の方向姿勢をとらせつつ、誘導することができる。ロボット11は、ベース111と、第1アーム112と、第2アーム113と、トーチ支持部材114と、トーチ116と、を含む。
【0035】
ベース111は、たとえば床面に固定されている。第1アーム112は、ベース111に対して回動可能に連結されている。第2アーム113は、第1アーム112に対して回動可能に連結されている。トーチ支持部材114は、第2アーム113に対して回動可能に連結されている。なお、ロボット11におけるアームの構成やトーチ支持部材114の支持機構の構成については、本実施形態で説明するものに限定されない。
【0036】
トーチ116はトーチ支持部材114に支持されている。トーチ116はトーチボディおよびワイヤ送出ノズルを有する。トーチ116からはワイヤ82が送り出される。
【0037】
[第1送給装置12]
第1送給装置12は、ワイヤリール122に巻かれたワイヤ82を、母材Wに向かって送給する。第1送給装置12は複数のローラ121を含む。本実施形態では、第1送給装置12は、プッシュ装置である。そのため、ローラ121は、ワイヤリール122から繰り出されるワイヤ82を押動送りする。
【0038】
[第2送給装置13]
第2送給装置13は、ワイヤリール122に巻かれたワイヤ82を、トーチ116に向かって送給する。本実施形態では、第2送給装置13は、プル装置である。そのため、第2送給装置13は、第1送給装置12から送られたワイヤ82を引っ張るようにして、ワイヤ82を母材Wに送る。本実施形態にて、第2送給装置13はトーチ116におけるトーチボディの内部に配置されている。
【0039】
図2は、第2送給装置13の一部を示す図である。
【0040】
第2送給装置13は、モータ131と、モータ軸132と、回転軸133と、第1送給ローラ21と、第2送給ローラ22(
図3参照)と、を含む。
【0041】
図3は、
図2の上側から見た、第1送給ローラ21および第2送給ローラ22を示す断面図である。
図4は、
図2に示した第1送給ローラ21等を拡大して示す断面図である。
【0042】
[第1送給ローラ21]
図2〜
図4に示す第1送給ローラ21は、回転軸線Oxの延びる方向(軸線方向Z1)周りに回転する。第1送給ローラ21には、溝29が形成されている。溝29は、第1送給ローラ21の周面から回転軸線Oxに向かって凹んでいる。溝29はワイヤ82をガイドするために形成されている。一方のワイヤガイドにおける第1挿通孔821から送り出されたワイヤ82は、溝29によってガイドされつつ、他方のワイヤガイドにおける第2挿通孔822に向かう。
図2では、送給経路81を2点鎖線を用いて示している。なお、第1送給ローラ21の詳細については後述する。
【0043】
[回転軸133]
回転軸133は第1送給ローラ21の回転軸である。回転軸133は、軸線方向Z1に沿って延びている。回転軸133の延びる方向が、回転軸線Oxの延びる方向に一致する。回転軸133は軸線方向Z1周りに回転する。回転軸133に、第1送給ローラ21が固定されている。そのため、回転軸133は、第1送給ローラ21と一体となって回転する。詳細な図示は省略するが、本実施形態では、回転軸133は、ベアリングを介して支持部材(たとえばトーチの一部分)に対して支持されている。回転軸133には、第1送給ローラ21が当接させられる基準部139が形成されている。本実施形態では、基準部139はつば状の部分であるが、第1送給ローラ21を当接させることができればどのような形状であってもよい。そして、本実施形態では、基準部139に対して、固定部材712によって、第1送給ローラ21が固定されている。基準部139に対する第1送給ローラ21の固定方法はどのような方法であっても構わない。本実施形態では、固定部材712と、第1送給ローラ21との間には、ギア711が介在している。ギア711は、第1送給ローラ21と一体となって回転する。なお、ギア711は必須の構成ではない。
【0044】
[モータ131]
モータ131は、回転軸133を回転させるためのものである。本実施形態では、モータ131の回転は、モータ軸132と回転軸133とを介して、第1送給ローラ21に伝達される。本実施形態とは異なり、モータ131の回転が、1又は複数のギアや1又は複数の追加の回転軸を介して、第1送給ローラ21に伝達されてもよい。
【0045】
[第2送給ローラ22]
図3に示す第2送給ローラ22は、軸線方向Z1周りに回転する。第2送給ローラ22は、円盤状の部材である。第2送給ローラ22および第1送給ローラ21は、第2送給ローラ22と第1送給ローラ21との間にワイヤ82を挟持して、ワイヤ82を送給する。
【0046】
[第1送給ローラ21の具体的構成]
本実施形態では、第1送給ローラ21は、溝29の幅が調整可能となっている。このような構成を実現するために、第1送給ローラ21は、第1部材3と、第2部材4と、第3部材5と、を有する。
【0047】
図5、
図6は、第1部材3と第2部材4と第3部材5とを示す分解斜視図である。
図7〜
図9は、それぞれ、第1部材3の平面図、底面図、正面図である。
図10〜
図12は、それぞれ、第2部材4の平面図、底面図、正面図である。
図13〜
図15は、第3部材5の平面図、底面図、正面図である。
【0048】
第1部材3、第2部材4、および第3部材5の基本構成は次のとおりである。
【0049】
本実施形態では、
図4〜
図9等に示す第1部材3はリング状を呈している。第1部材3は、第1溝側面311と、第1部材主面313と、第1部材裏面314と、を有する。第1溝側面311は、上述の溝29を構成している。第1溝側面311は、平面S1(
図4参照)に対し傾斜しており、平面S1は、回転軸線Oxに直交し、且つ、回転軸線Oxの延びる方向である軸線方向Z1における溝29の中心を通る。第1溝側面311は、回転軸線Oxから離れるほど平面S1から離れるように、平面S1に対し傾斜している。第1部材主面313は、第2部材4の位置する側を向いている。本実施形態では、第1部材主面313は平坦である。第1部材裏面314は第1部材主面313とは反対側を向いている。本実施形態では、第1部材裏面314は、第3部材5の位置する側を向いている。第1部材裏面314は平坦である。第1部材3には、第1開口319が形成されており、第1開口319は、第1部材主面313から第1部材裏面314にわたって、第1部材3を貫通している。
【0050】
図4〜
図6、
図10〜
図12に示す第2部材4は、第1部材3に相対的に固定されており、本実施形態では、第1部材3に当接している。本実施形態では、第2部材4はリング状を呈している。第2部材4は、第2溝側面411と、第2部材主面413と、第2部材裏面414と、筒状部417と、を有する。第2溝側面411は、上述の溝29を構成している。第2溝側面411および第1溝側面311は、平面S1(
図4参照)を挟んで、互いに反対側に位置している。第2溝側面411は、平面S1に対し傾斜している。第2溝側面411は、回転軸線Oxから離れるほど平面S1から離れるように、平面S1に対し傾斜している。第2部材主面413は、第2部材裏面414とは反対側を向いている。本実施形態では、第2部材主面413は平坦である。本実施形態では、第2部材裏面414は、第1部材3の位置する側を向いている。第2部材裏面414は平坦である。第2部材裏面414は、第1部材主面313に対向している。筒状部417は、回転軸線Oxに沿って延びる形状である。筒状部417は、第1開口319および第3開口519(後述)内に位置している。筒状部417には、キー溝418が形成されている。キー溝418には、固定部材712の一部分が係合し、回転軸133の回転が適切に第2部材4に伝達可能となっている。
【0051】
図4〜
図6、
図13〜
図15に示す第3部材5は第1部材3に当接している。本実施形態では、第3部材5はリング状を呈している。第3部材5は、第3部材主面513と、第3部材裏面514と、を有する。第3部材主面513は、第1部材3の位置する側を向いている。本実施形態では、第3部材主面513は平坦である。第3部材主面513は、第1部材裏面314に対向している。第3部材裏面514は、第3部材主面513とは反対側を向いている。第3部材裏面514は平坦である。本実施形態では、第3部材裏面514は、基準部139に当接している。第3部材5には、第3開口519が形成されており、第3開口519は、第3部材主面513から第3部材裏面514にわたって、第3部材5を貫通している。
【0052】
第1部材3、第2部材4、および第3部材5の具体的関係は次のとおりである。
【0053】
[第1部材3および第2部材4の関係]
第1部材3は、第2部材4に対して、回転軸線Oxの延びる方向である軸線方向Z1において互いに異なる複数の位置に位置しうる。本実施形態では、このような第1部材3および第2部材4の関係を、以下の構成により実現している。
【0054】
図6、
図7に示すように、第1部材3は、少なくとも1つ(本実施形態では4つ)の溝幅規定用突起33を含む。
図7に示すように、複数の溝幅規定用突起33を順に、第1溝幅規定用突起33(1)、第2溝幅規定用突起33(2)、・・・第N溝幅規定用突起33(N)と表す。Nは3以上の整数であり、本実施形態では、N=4である。そのため、複数の溝幅規定用突起33は順に、第1溝幅規定用突起33(1)、第2溝幅規定用突起33(2)、第3溝幅規定用突起33(3)、第4溝幅規定用突起33(4)と表される。
【0055】
第1部材3は、少なくとも1つ(本実施形態では4つ)の第1溝幅規定面33Sを有する。4つの溝幅規定用突起33が各々、4つの第1溝幅規定面33Sのいずれかを構成している。
【0056】
一方、
図5、
図11に示すように、第2部材4には、複数(本実施形態では20個)の溝幅規定用凹部45が形成されている。20個の溝幅規定用凹部45は、周方向Xに沿って配列されている。複数の溝幅規定用凹部45の各々に、4つの溝幅規定用突起33のいずれかが嵌まりうる。複数の溝幅規定用凹部45の側面451には、4つの溝幅規定用突起33のいずれかが当接可能である。
【0057】
図5、
図11に示すように、第2部材4は、複数(本実施形態では20個)の第2溝幅規定面45Sを有する。20個の溝幅規定用凹部45の底面452が各々、20個の第2溝幅規定面45Sのいずれかを構成している。20個の第2溝幅規定面45Sは、周方向Xに沿って配列されている。20個の第2溝幅規定面45Sは、各々が、軸線方向Z1において、4つの第1溝幅規定面33Sのいずれかに対して対向しうる。
【0058】
複数の第2溝幅規定面45Sは各々、4つの第1溝幅規定面33Sのいずれかに当接可能であり、且つ、複数のタイプのうちのいずれかのタイプに属する。本実施形態では、第1タイプ、第2タイプ、・・・第MタイプのM個のタイプがある。Mは3以上の整数であり、本実施形態ではM=5である。すなわち、本実施形態では、第1タイプ、第2タイプ、第3タイプ、第4タイプ、および第5タイプがある。
図11に示すように、第Mタイプに属する複数の第2溝幅規定面45Sを順に、第1規定面45S(M,1)、第2規定面45S(M,2)、・・・第N規定面45S(M,N)と表す。
【0059】
たとえば、第1タイプに属する複数の第2溝幅規定面45Sは順に、第1規定面45S(1,1)、第2規定面45S(1,2)、第3規定面45S(1,3)、第4規定面45S(1,4)である。第2タイプに属する複数の第2溝幅規定面45Sは順に、第1規定面45S(2,1)、第2規定面45S(2,2)、第3規定面45S(2,3)、第4規定面45S(2,4)である。第3〜第5タイプに関しても同様である。
【0060】
そして、あるタイプに属する第1規定面、第2規定面、・・・第N規定面は、他のタイプに属する第1規定面、第2規定面、・・・第N規定面を、回転軸線Oxを中心として回転したものに、軸線方向Z1視において、それぞれ重なっている。たとえば、第1タイプに属する第1規定面45S(1,1)、第2規定面45S(1,2)、第3規定面45S(1,3)、第4規定面45S(1,4)は、第2タイプに属する第1規定面45S(2,1)、第2規定面45S(2,2)、第3規定面45S(2,3)、第4規定面45S(2,4)を回転軸線Oxを中心として18度回転したものに、軸線方向Z1視において、それぞれ重なっている。その他のタイプに関しても同様である。
【0061】
図16は、第1部材3および第2部材4の当接状態、および第1部材3および第3部材5の当接状態等を模式的に示す、第1送給ローラ21の部分断面図である。同図では、第2部材4の第N規定面45S(M,N)と、第1部材における第N溝幅規定用突起33(N)と、の関係が、模式的に示されている。
【0062】
図16に示すように、異なるタイプに属する第2溝幅規定面45Sは、軸線方向Z1において互いに異なる位置に位置している。すなわち、異なるタイプに属する第2溝幅規定面45Sが形成された溝幅規定用凹部45の深さは、互いに異なっている。そして、Pを1≦P≦M−1の関係を満たす整数とした場合、第(P+1)タイプに属する第2溝幅規定面45Sは、それぞれ、第Pタイプに属する第2溝幅規定面45Sから、軸線方向Z1において、第1距離L1(P)だけずれた位置に位置している。たとえば、第2タイプに属する第2溝幅規定面45S(
図16では、第2溝幅規定面45S(2,N))は、第1タイプに属する第2溝幅規定面45S(
図16では、第2溝幅規定面45S(1,N))から、軸線方向Z1において、第1距離L1(1)だけずれた位置に位置している。第3タイプに属する第2溝幅規定面45S(
図16では、第2溝幅規定面45S(3,N))は、第2タイプに属する第2溝幅規定面45S(
図16では、第2溝幅規定面45S(2,N))から、軸線方向Z1において、第1距離L1(2)だけずれた位置に位置している。P=3,4の場合も同様である。そして、第1距離L1(P)は、たとえば、0.1〜0.3mmである。本実施形態では、第1距離L1(1),第1距離L1(2),第1距離L1(3),および第1距離L1(4)はいずれも、0.2mmである。なお、同一のタイプに属する第2溝幅規定面45Sは、軸線方向Z1において互いに同一位置に位置している。
【0063】
上述の第1溝幅規定用突起33(1)、第2溝幅規定用突起33(2)、・・・第N溝幅規定用突起33(N)は、同一タイプに属する第1規定面45S(M,1)、第2規定面45S(M,2)、・・・第N規定面45S(M,N)にそれぞれ、同時に当接可能である。たとえば、
図7に示す第1溝幅規定用突起33(1)、第2溝幅規定用突起33(2)、第3溝幅規定用突起33(3)、第4溝幅規定用突起33(4)は、
図11に示す第1タイプに属する第1規定面45S(1,1)、第2規定面45S(1,2)、第3規定面45S(1,3)、第4規定面45S(1,4)にそれぞれ当接可能である。第2〜第5タイプに関しても同様である。
【0064】
[第1部材3および第3部材5の関係]
第3部材5は、第1部材3に対して、回転軸線Oxの延びる方向である軸線方向Z1において互いに異なる複数の位置に位置しうる。本実施形態では、このような第3部材5および第1部材3の関係を、以下の構成により実現している。
【0065】
図6、
図13に示すように、第3部材5は、少なくとも1つ(本実施形態では4つ)の中心調整用突起53を含む。
図13に示すように、複数の中心調整用突起53を順に、第1中心調整用突起53(1)、第2中心調整用突起53(2)、・・・第N中心調整用突起53(N)と表す。Nは3以上の整数であり、本実施形態では、N=4である。そのため、複数の中心調整用突起53は順に、第1中心調整用突起53(1)、第2中心調整用突起53(2)、第3中心調整用突起53(3)、第4中心調整用突起53(4)と表される。
【0066】
第3部材5は、少なくとも1つ(本実施形態では4つ)の第1中心調整面53Sを有する。4つの中心調整用突起53が各々、4つの第1中心調整面53Sのいずれかを構成している。
【0067】
一方、
図5、
図8に示すように、第1部材3には、複数(本実施形態では20個)の中心調整用凹部35が形成されている。20個の中心調整用凹部35は、周方向Xに沿って配列されている。複数の中心調整用凹部35の各々に、4つの中心調整用突起53のいずれかが嵌まりうる。複数の中心調整用凹部35の側面351には、4つの中心調整用突起53のいずれかが当接可能である。
【0068】
第1部材3は、複数(本実施形態では20個)の第2中心調整面35Sを有する。20個の中心調整用凹部35の底面352が各々、20個の第2中心調整面35Sのいずれかを構成している。20個の第2中心調整面35Sは、周方向Xに沿って配列されている。20個の第2中心調整面35Sは、各々が、軸線方向Z1において、4つの第1中心調整面53Sのいずれかに対して対向しうる。
【0069】
複数の第2中心調整面35Sは各々、4つの第1中心調整面53Sのいずれかに当接可能であり、且つ、複数のタイプのうちのいずれかのタイプに属する。本実施形態では、第1タイプ、第2タイプ、・・・第MタイプのM個のタイプがある。Mは3以上の整数であり、本実施形態ではM=5である。すなわち、本実施形態では、第1タイプ、第2タイプ、第3タイプ、第4タイプ、および第5タイプがある。
図8に示すように、第Mタイプに属する複数の第2中心調整面35Sを順に、第1調整面35S(M,1)、第2調整面35S(M,2)、・・・第N調整面35S(M,N)と表す。
【0070】
たとえば、第1タイプに属する複数の第2中心調整面35Sは順に、第1調整面35S(1,1)、第2調整面35S(1,2)、第3調整面35S(1,3)、第4調整面35S(1,4)である。第2タイプに属する複数の第2中心調整面35Sは順に、第1調整面35S(2,1)、第2調整面35S(2,2)、第3調整面35S(2,3)、第4調整面35S(2,4)である。第3〜第5タイプに関しても同様である。
【0071】
そして、あるタイプに属する第1調整面、第2調整面、・・・第N調整面は、他のタイプに属する第1調整面、第2調整面、・・・第N調整面を、回転軸線Oxを中心として回転したものに、軸線方向Z1視において、それぞれ重なっている。たとえば、第1タイプに属する第1調整面35S(1,1)、第2調整面35S(1,2)、第3調整面35S(1,3)、第4調整面35S(1,4)は、第2タイプに属する第1調整面35S(2,1)、第2調整面35S(2,2)、第3調整面35S(2,3)、第4調整面35S(2,4)を、回転軸線Oxを中心として18度回転したものに、軸線方向Z1視において、それぞれ重なっている。その他のタイプに関しても同様である。
【0072】
図16に示すように、異なるタイプに属する第2中心調整面35Sは、軸線方向Z1において互いに異なる位置に位置している。すなわち、異なるタイプに属する第2中心調整面35Sが形成された中心調整用凹部35の深さは、互いに異なっている。そして、Pを1≦P≦M−1の関係を満たす整数とした場合、第(P+1)タイプに属する第2中心調整面35Sは、それぞれ、第Pタイプに属する第2中心調整面35Sから、軸線方向Z1において、第2距離L2(P)だけずれた位置に位置している。たとえば、第2タイプに属する第2中心調整面35S(
図16では、第2中心調整面35S(2,N))は、第1タイプに属する第2中心調整面35S(
図16では、第2中心調整面35S(1,N))から、軸線方向Z1において、第2距離L2(1)だけずれた位置に位置している。第3タイプに属する第2中心調整面35S(
図16では、第2中心調整面35S(3,N))は、第2タイプに属する第2中心調整面35S(
図16では、第2中心調整面35S(2,N))から、軸線方向Z1において、第2距離L2(2)だけずれた位置に位置している。P=3,4の場合も同様である。そして、第2距離L2(P)は、第1距離L1(P)の半分である。すなわち、第2距離L2(1)は、第1距離L1(1)の半分であり、第2距離L2(2)は、第1距離L1(2)の半分であり、第2距離L2(3)は、第1距離L1(3)の半分であり、第2距離L2(4)は、第1距離L1(4)の半分である。第2距離L2(P)は、たとえば、0.05〜0.15mmである。本実施形態では、第2距離L2(1),第2距離L2(2),第2距離L2(3),および第2距離L2(4)はいずれも、0.1mmである。なお、同一のタイプに属する第2中心調整面35Sは、軸線方向Z1において互いに同一位置に位置している。
【0073】
上述の第1中心調整用突起53(1)、第2中心調整用突起53(2)、・・・第N中心調整用突起53(N)は、同一タイプに属する第1調整面35S(M,1)、第2調整面35S(M,2)、・・・第N調整面35S(M,N)にそれぞれ、同時に当接可能である。たとえば、
図13に示す第1中心調整用突起53(1)、第2中心調整用突起53(2)、第3中心調整用突起53(3)、第4中心調整用突起53(4)は、
図8に示す第1タイプに属する第1調整面35S(1,1)、第2調整面35S(1,2)、第3調整面35S(1,3)、第4調整面35S(1,4)にそれぞれ当接可能である。第2〜第5タイプに関しても同様である。
【0074】
次に、第1送給ローラ21の溝29の幅の調整方法について説明する。
【0075】
本実施形態では、第1送給ローラ21の送給可能なワイヤ82の直径は、0.8mm、1.0mm、1.2mm、1.4mm、および1.6mmである。
【0076】
<ワイヤ82の直径が0.8mmである場合>
まず、第1送給ローラ21にて送給するワイヤ82の直径が、0.8mmである場合について説明する。
【0077】
図6、
図7に示す第1部材3における複数の溝幅規定用突起33を、
図11に示す第2部材4における、第1タイプに属する第2溝幅規定面45Sが形成された溝幅規定用凹部45にそれぞれ嵌めこむ。そして、第1部材3における複数の第1溝幅規定面33Sを、第2部材4における第1タイプに属する複数の第2溝幅規定面45Sにそれぞれ当接させる(
図16も参照)。このとき、第1溝幅規定用突起33(1)、第2溝幅規定用突起33(2)、第3溝幅規定用突起33(3)、第4溝幅規定用突起33(4)は、第1規定面45S(1,1)、第2規定面45S(1,2)、第3規定面45S(1,3)、第4規定面45S(1,4)に、それぞれ当接している。これにより、
図16に示すように、溝29の幅は、直径が0.8mmのワイヤ82に最適な寸法となっている。
【0078】
図6、
図13に示す第3部材5における複数の中心調整用突起53を、
図8に示す第1部材3における、第1タイプに属する第2中心調整面35Sが形成された中心調整用凹部35にそれぞれ嵌めこむ。そして、第3部材5における複数の第1中心調整面53Sを、第1部材3における第1タイプに属する複数の第2中心調整面35Sにそれぞれ当接させる(
図16も参照)。このとき、第1中心調整用突起53(1)、第2中心調整用突起53(2)、第3中心調整用突起53(3)、第4中心調整用突起53(4)は、第1調整面35S(1,1)、第2調整面35S(1,2)、第3調整面35S(1,3)、第4調整面35S(1,4)に、それぞれ当接している。これにより、
図16に示すように、軸線方向Z1における、溝29の中心と基準部139との距離は、距離LLとなっている。
【0079】
<ワイヤ82の直径が1.0mmである場合>
次に、第1送給ローラ21にて送給するワイヤ82の直径が、1.0mmである場合について説明する。
【0080】
図6、
図7に示す第1部材3における複数の溝幅規定用突起33を、第2部材4における、第2タイプに属する第2溝幅規定面45Sが形成された溝幅規定用凹部45にそれぞれ嵌めこむ。そして、第1部材3における複数の第1溝幅規定面33Sを、第2部材4における第2タイプに属する複数の第2溝幅規定面45Sにそれぞれ当接させる(
図17も参照)。このとき、第1溝幅規定用突起33(1)、第2溝幅規定用突起33(2)、第3溝幅規定用突起33(3)、第4溝幅規定用突起33(4)は、第1規定面45S(2,1)、第2規定面45S(2,2)、第3規定面45S(2,3)、第4規定面45S(2,4)に、それぞれ当接している。上述のように、第2タイプに属する第2溝幅規定面45Sは、それぞれ、第1タイプに属する第2溝幅規定面45Sから、軸線方向Z1において、第1距離L1(1)だけずれた位置に位置している。本実施形態では、第1距離L1(1)は、0.2mmであるため、
図16に示す状態から
図17に示す状態へ変更した場合、溝29の幅は0.2mm増加する。これにより、溝29の幅は、直径が1.0mmのワイヤ82に最適な寸法となっている。
【0081】
図6、
図13に示す第3部材5における複数の中心調整用突起53を、第1部材3における、第2タイプに属する第2中心調整面35Sが形成された中心調整用凹部35にそれぞれ嵌めこむ。そして、第3部材5における複数の第1中心調整面53Sを、第1部材3における第2タイプに属する複数の第2中心調整面35Sにそれぞれ当接させる(
図17も参照)。このとき、第1中心調整用突起53(1)、第2中心調整用突起53(2)、第3中心調整用突起53(3)、第4中心調整用突起53(4)は、第1調整面35S(2,1)、第2調整面35S(2,2)、第3調整面35S(2,3)、第4調整面35S(2,4)に、それぞれ当接している。上述のように、第2タイプに属する第2中心調整面35Sは、それぞれ、第1タイプに属する第2中心調整面35Sから、軸線方向Z1において、第2距離L2(1)だけずれた位置に位置している。本実施形態では、第2距離L2(1)は、第1距離L1(1)の半分であり、0.1mmである。これにより、
図16に示す状態から
図17に示す状態へ変更した場合であっても、軸線方向Z1における、溝29の中心と基準部139との距離は、距離LLのままである。
【0082】
<ワイヤ82の直径が1.2mmである場合>
まず、第1送給ローラ21にて送給するワイヤ82の直径が、1.2mmである場合について説明する。
【0083】
図6、
図7に示す第1部材3における複数の溝幅規定用突起33を、第2部材4における、第3タイプに属する第2溝幅規定面45Sが形成された溝幅規定用凹部45にそれぞれ嵌めこむ。そして、第1部材3における複数の第1溝幅規定面33Sを、第2部材4における第3タイプに属する複数の第2溝幅規定面45Sにそれぞれ当接させる(
図18も参照)。このとき、第1溝幅規定用突起33(1)、第2溝幅規定用突起33(2)、第3溝幅規定用突起33(3)、第4溝幅規定用突起33(4)は、第1規定面45S(3,1)、第2規定面45S(3,2)、第3規定面45S(3,3)、第4規定面45S(3,4)に、それぞれ当接している。上述のように、第3タイプに属する第2溝幅規定面45Sは、それぞれ、第2タイプに属する第2溝幅規定面45Sから、軸線方向Z1において、第1距離L1(2)だけずれた位置に位置している。本実施形態では、第1距離L1(2)は、0.2mmであるため、
図17に示す状態から
図18に示す状態へ変更した場合、溝29の幅は0.2mm増加する。これにより、溝29の幅は、直径が1.2mmのワイヤ82に最適な寸法となっている。
【0084】
図6、
図13に示す第3部材5における複数の中心調整用突起53を、第1部材3における、第3タイプに属する第2中心調整面35Sが形成された中心調整用凹部35にそれぞれ嵌めこむ。そして、第3部材5における複数の第1中心調整面53Sを、第1部材3における第3タイプに属する複数の第2中心調整面35Sにそれぞれ当接させる(
図18も参照)。このとき、第1中心調整用突起53(1)、第2中心調整用突起53(2)、第3中心調整用突起53(3)、第4中心調整用突起53(4)は、第1調整面35S(3,1)、第2調整面35S(3,2)、第3調整面35S(3,3)、第4調整面35S(3,4)に、それぞれ当接している。上述のように、第3タイプに属する第2中心調整面35Sは、それぞれ、第2タイプに属する第2中心調整面35Sから、軸線方向Z1において、第2距離L2(2)だけずれた位置に位置している。本実施形態では、第2距離L2(2)は、第1距離L1(2)の半分であり、0.1mmである。これにより、
図17に示す状態から
図18に示す状態へ変更した場合であっても、軸線方向Z1における、溝29の中心と基準部139との距離は、距離LLのままである。
【0085】
<ワイヤ82の直径が1.4mmである場合>
次に、第1送給ローラ21にて送給するワイヤ82の直径が、1.4mmである場合について説明する。
【0086】
図6、
図7に示す第1部材3における複数の溝幅規定用突起33を、第2部材4における、第4タイプに属する第2溝幅規定面45Sが形成された溝幅規定用凹部45にそれぞれ嵌めこむ。そして、第1部材3における複数の第1溝幅規定面33Sを、第2部材4における第4タイプに属する複数の第2溝幅規定面45Sにそれぞれ当接させる(
図19も参照)。このとき、第1溝幅規定用突起33(1)、第2溝幅規定用突起33(2)、第3溝幅規定用突起33(3)、第4溝幅規定用突起33(4)は、第1規定面45S(4,1)、第2規定面45S(4,2)、第3規定面45S(4,3)、第4規定面45S(4,4)に、それぞれ当接している。上述のように、第4タイプに属する第2溝幅規定面45Sは、それぞれ、第3タイプに属する第2溝幅規定面45Sから、軸線方向Z1において、第1距離L1(3)だけずれた位置に位置している。本実施形態では、第1距離L1(3)は、0.2mmであるため、
図18に示す状態から
図19に示す状態へ変更した場合、溝29の幅は0.2mm増加する。これにより、溝29の幅は、直径が1.4mmのワイヤ82に最適な寸法となっている。
【0087】
図6、
図13に示す第3部材5における複数の中心調整用突起53を、第1部材3における、第4タイプに属する第2中心調整面35Sが形成された中心調整用凹部35にそれぞれ嵌めこむ。そして、第3部材5における複数の第1中心調整面53Sを、第1部材3における第4タイプに属する複数の第2中心調整面35Sにそれぞれ当接させる(
図19も参照)。このとき、第1中心調整用突起53(1)、第2中心調整用突起53(2)、第3中心調整用突起53(3)、第4中心調整用突起53(4)は、第1調整面35S(4,1)、第2調整面35S(4,2)、第3調整面35S(4,3)、第4調整面35S(4,4)に、それぞれ当接している。上述のように、第4タイプに属する第2中心調整面35Sは、それぞれ、第3タイプに属する第2中心調整面35Sから、軸線方向Z1において、第2距離L2(3)だけずれた位置に位置している。本実施形態では、第2距離L2(3)は、第1距離L1(3)の半分であり、0.1mmである。これにより、
図18に示す状態から
図19に示す状態へ変更した場合であっても、軸線方向Z1における、溝29の中心と基準部139との距離は、距離LLのままである。
【0088】
<ワイヤ82の直径が1.6mmである場合>
まず、第1送給ローラ21にて送給するワイヤ82の直径が、1.6mmである場合について説明する。
【0089】
図6、
図7に示す第1部材3における複数の溝幅規定用突起33を、第2部材4における、第5タイプに属する第2溝幅規定面45Sが形成された溝幅規定用凹部45にそれぞれ嵌めこむ。そして、第1部材3における複数の第1溝幅規定面33Sを、第2部材4における第5タイプに属する複数の第2溝幅規定面45Sにそれぞれ当接させる(
図20も参照)。このとき、第1溝幅規定用突起33(1)、第2溝幅規定用突起33(2)、第3溝幅規定用突起33(3)、第4溝幅規定用突起33(4)は、第1規定面45S(5,1)、第2規定面45S(5,2)、第3規定面45S(5,3)、第4規定面45S(5,4)に、それぞれ当接している。上述のように、第5タイプに属する第2溝幅規定面45Sは、それぞれ、第4タイプに属する第2溝幅規定面45Sから、軸線方向Z1において、第1距離L1(4)だけずれた位置に位置している。本実施形態では、第1距離L1(4)は、0.2mmであるため、
図19に示す状態から
図20に示す状態へ変更した場合、溝29の幅は0.2mm増加する。これにより、溝29の幅は、直径が1.6mmのワイヤ82に最適な寸法となっている。
【0090】
図6、
図13に示す第3部材5における複数の中心調整用突起53を、第1部材3における、第5タイプに属する第2中心調整面35Sが形成された中心調整用凹部35にそれぞれ嵌めこむ。そして、第3部材5における複数の第1中心調整面53Sを、第1部材3における第5タイプに属する複数の第2中心調整面35Sにそれぞれ当接させる(
図20も参照)。このとき、第1中心調整用突起53(1)、第2中心調整用突起53(2)、第3中心調整用突起53(3)、第4中心調整用突起53(4)は、第1調整面35S(5,1)、第2調整面35S(5,2)、第3調整面35S(5,3)、第4調整面35S(5,4)に、それぞれ当接している。上述のように、第5タイプに属する第2中心調整面35Sは、それぞれ、第4タイプに属する第2中心調整面35Sから、軸線方向Z1において、第2距離L2(4)だけずれた位置に位置している。本実施形態では、第2距離L2(4)は、第1距離L1(4)の半分であり、0.1mmである。これにより、
図19に示す状態から
図20に示す状態へ変更した場合であっても、軸線方向Z1における、溝29の中心と基準部139との距離は、距離LLのままである。
【0091】
このように溝29の幅を変更することができる。
【0092】
次に、本実施形態の作用効果について説明する。
【0093】
本実施形態では、第1部材3は、第2部材4に対して、回転軸線Oxの延びる方向である軸線方向Z1において互いに異なる複数の位置に位置する。このような構成によると、第2部材4に対する、軸線方向Z1における第1部材3の位置を変更することにより、溝29の幅を変更することができる。これにより、複数種類の太さのワイヤ82を、第1送給ローラ21によって送給することが可能となる。その結果、ワイヤ82の太さの種類に合わせた送給ローラを用意する必要がなくなり、アーク処理システムA1のユーザにとって非常に便利なものとなる。
【0094】
本実施形態では、複数の第2溝幅規定面45Sは各々、4つの第1溝幅規定面33Sのいずれかに当接可能であり、且つ、複数のタイプのうちのいずれかのタイプに属する。異なるタイプに属する第2溝幅規定面45Sは、軸線方向Z1において互いに異なる位置に位置している。このような構成によると、第1溝幅規定面33Sを第2溝幅規定面45Sに当接させることにより、溝29の幅を決定できる。このことは、第1部材3および第2部材4の位置関係を変更するのに適する。
【0095】
本実施形態では、複数の溝幅規定用凹部45の側面には、少なくとも1つの溝幅規定用突起33のいずれかが当接可能である。このような構成によると、溝幅規定用突起33が溝幅規定用凹部45に保持される。そのため、第1部材3および第2部材4の回転中に、第1部材3および第2部材4が周方向Xにおいて互いにずれてしまうことを防止できる。
【0096】
本実施形態では、第1送給ローラ21は、第1部材3に対して、軸線方向Z1において互いに異なる複数の位置に位置する第3部材5を備える。このような構成によると、第1部材3に対する、軸線方向Z1における第3部材5の位置を変更することにより、基準部139と溝29の中心との距離を距離LLに維持することができる。これにより、溝29の幅を変化させたとしても、溝29の中心を、送給経路81上に位置させることができ、適切にワイヤ82を送給できる。
【0097】
本実施形態では、複数の第2中心調整面35Sは各々、4つの第1中心調整面53Sのいずれかに当接可能であり、且つ、複数のタイプのうちのいずれかのタイプに属する。異なるタイプに属する第2中心調整面35Sは、軸線方向Z1において互いに異なる位置に位置している。このような構成によると、第1中心調整面53Sを第2中心調整面35Sに当接させることにより、基準部139と溝29の中心との距離を決定できる。このことは、第3部材5および第1部材3の位置関係を変更するのに適する。
【0098】
本実施形態では、複数の中心調整用凹部35の側面には、少なくとも1つの中心調整用突起53のいずれかが当接可能である。このような構成によると、中心調整用突起53が中心調整用凹部35に保持される。そのため、第3部材5および第1部材3の回転中に、第3部材5および第1部材3が周方向Xにおいて互いにずれてしまうことを防止できる。
【0099】
溝29の幅が、第1距離L1(P)増加すると、溝29の中心位置は、第1距離L1(P)の半分だけずれた位置に位置することとなる。そして、本実施形態では、第2距離L2(P)は、第1距離L1(P)の半分である。このような構成によると、溝29の中心位置が第1距離L1(P)の半分ずれるものの、第1部材3に対して、軸線方向Z1における第3部材5の位置を変化させるため、結果的に、溝29の中心を、送給経路81上に位置させることができる。これにより、適切にワイヤ82を送給できる。
【0100】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0101】
上記の説明では、第1部材3が、第1溝幅規定面33Sを有し、第2部材4が、第2溝幅規定面45Sを有する例を示したが、本発明はこれに限定されない。第2部材4が、第1溝幅規定面を有し、第1部材3が第2溝幅規定面を有していてもよい。
【0102】
上記の説明では、第1部材3が溝幅規定用突起33を含み、第2部材4に溝幅規定用凹部45が形成されている例を示したが、本発明はこれに限定されない。第2部材4が溝幅規定用突起を含み、第1部材3に溝幅規定用凹部が形成されていてもよい。
【0103】
上記の説明では、第1溝幅規定面33Sや溝幅規定用突起33が複数である例を示したが、本発明はこれに限定されない。第1溝幅規定面33Sや溝幅規定用突起33は1個であってもよい。
【0104】
上記の説明では、第3部材5が、第1中心調整面53Sを有し、第1部材3が、第2中心調整面35Sを有する例を示したが、本発明はこれに限定されない。第1部材3が、第1中心調整面を有し、第3部材5が第2中心調整面を有していてもよい。
【0105】
上記の説明では、第3部材5が中心調整用突起53を含み、第1部材3に中心調整用凹部35が形成されている例を示したが、本発明はこれに限定されない。第1部材3が中心調整用突起を含み、第3部材5に中心調整用凹部が形成されていてもよい。
【0106】
上記の説明では、第1中心調整面53Sや中心調整用突起53が複数である例を示したが、本発明はこれに限定されない。第1中心調整面53Sや中心調整用突起53は1個であってもよい。
【0107】
上述した実施形態とは異なり、第1部材3および第2部材4がねじ機構によって、軸線方向Z1に移動可能に互いに連結されていてもよい。そして、このねじ機構によって、第2部材4に対する第1部材3の位置を、変化させてもよい。たとえば、第1部材3に雄ねじを設け、第2部材4に当該雄ねじに螺合する雌ねじを設けるとよい。
【0108】
上述した実施形態とは異なり、第1部材3および第3部材5がねじ機構によって、軸線方向Z1に移動可能に互いに連結されていてもよい。そして、このねじ機構によって、第1部材3に対する第3部材5の位置を、変化させてもよい。たとえば、第1部材3に雄ねじを設け、第3部材5に当該雄ねじに螺合する雌ねじを設けるとよい。
【0109】
上述した実施形態とは異なり、第3部材5を複数のシムに替えることにより、第1送給ローラ21の構造を簡素なものとしてもよい。このような構成によっても、溝29の中心を、送給経路81上に位置させることができ、適切にワイヤ82を送給できる。
【0110】
上述した実施形態とは異なり、第1送給ローラ21が、第3部材5を備えていなくてもよい。この場合、たとえば、基準部139を軸線方向Z1に移動可能な構成とするとよい。そして、当該基準部139に第1部材3を当接させて、溝29の中心位置を一定位置に維持するとよい。
【0111】
上述した実施形態では、第2送給装置13(プル装置)におけるローラが、第1部材3および第2部材4等を有する構成を示したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、第1送給装置12(プッシュ装置)におけるローラに、本発明を適用してもよい。
【0112】
上述した実施形態では、基準部139はつば状の部分であるが、本発明はこれに限定されない。基準部139は、第1送給ローラ21を当接させるものであればどのようなものでもよく、たとえば、ギアであってもよい。
【0113】
上述した実施形態では、アーク処理システムとして、溶接システムを挙げたが、本発明はこれに限定されない。アーク処理システムは、たとえば溶射を行う溶射システムであってもよい。
【0114】
上述した実施形態では、送給装置とロボットとがともに用いられる例を示したが、本発明はこれに限定されず、本発明の送給装置を手溶接に用いてもよい。