【解決手段】第1グリル開口部33に第1のフィン37が設けられ、第2グリル開口部34に第2のフィン38が設けられている。各フィンは、アクチュエータ40の駆動軸42を正逆いずれか一方向へ回転駆動させることで各グリル開口部の開閉を繰り返すように構成されている。各フィンは、個々にリンク機構60,60aを備えており、各リンク機構は、それぞれワンウェイクラッチを通じてアクチュエータの駆動軸に連結されている。そして、アクチュエータの駆動軸を正方向へ回転駆動することにより、第1のフィンが第1グリル開口部を開閉し、アクチュエータの駆動軸を逆方向へ回転駆動することにより、第2のフィンが第2グリル開口部を開閉する。
エンジンルーム内へ外気を送り込むためのグリル開口部にフィンが設けられ、このフィンは、アクチュエータの駆動軸を回転駆動させることで、リンク機構の作動を通じてグリル開口部の開閉が繰り返されるように構成されたグリルシャッター装置であって、
アクチュエータは、その駆動軸を正逆両方向へ回転駆動させることが可能であり、
フィンは、第1のフィンおよび第2のフィンによって構成され、第1のフィンおよび第2のフィンは、グリル開口部を開いた状態において、エンジンルーム内の個別の流路へ外気を送り込むことができ、
これらの第1のフィンおよび第2のフィンが個々にリンク機構を備え、
これらのリンク機構は、それぞれワンウェイクラッチを通じてアクチュエータの駆動軸に連結され、
アクチュエータの駆動軸が正方向へ回転駆動することにより、第1のフィンがグリル開口部を開閉し、アクチュエータの駆動軸が逆方向へ回転駆動することにより、第2のフィンがグリル開口部を開閉し、第1のフィンおよび第2のフィンが選択的にグリル開口部を開閉するように構成されているグリルシャッター装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のようにしてグリル開口部全体からエンジンルーム内へ外気が送り込まれると、車両には大きな空気抵抗が働き、車両の燃費が悪化する恐れがある。このような車両の燃費の悪化を避けるための対策として、エンジンルーム内における冷却を要するタイミングにある部材のみを冷却するようにグリル開口部を限定的に開放して外気を該エンジンルーム内に送り込むことが考えられる。部材点数を増やすことなくこれを可能とするためには、単一のアクチュエータによって第1のフィンおよび第2のフィンを個別に開閉して、各フィンに対応する個々の流路へ選択的に外気を送り込むようにグリルシャッター装置を構成する必要がある。
【0006】
本発明は、このような課題を解決しようとするものであって、その目的は、単一のアクチュエータによって異なる流路に選択的に外気を送り込むことができるグリルシャッター装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の目的を達成するためのもので、以下のように構成されている。
エンジンルーム内へ外気を送り込むためのグリル開口部にフィンが設けられ、このフィンは、アクチュエータの駆動軸を回転駆動させることで、リンク機構の作動を通じてグリル開口部の開閉が繰り返されるように構成されたグリルシャッター装置であって、アクチュエータは、その駆動軸を正逆両方向へ回転駆動させることが可能であり、フィンは、第1のフィンおよび第2のフィンによって構成されている。第1のフィンおよび第2のフィンは、グリル開口部を開いた状態において、エンジンルーム内の個別の流路へ外気を送り込むことができる。そして、これらの第1のフィンおよび第2のフィンが個々にリンク機構を備え、これらのリンク機構は、それぞれワンウェイクラッチを通じてアクチュエータの駆動軸に連結され、アクチュエータの駆動軸が正方向へ回転駆動することにより、第1のフィンがグリル開口部を開閉し、アクチュエータの駆動軸が逆方向へ回転駆動することにより、第2のフィンがグリル開口部を開閉し、第1のフィンおよび第2のフィンが選択的にグリル開口部を開閉するように構成されている。
【0008】
さらに好ましくは、以下のような構成とすることである。
グリル開口部は、第1グリル開口部および第2グリル開口部によって構成され、第1グリル開口部および第2グリル開口部は、互いに異なる位置に配置され、かつ、それぞれがエンジンルーム内の個別の流路に通じており、第1のフィンが第1グリル開口部を開閉し、第2のフィンが第2グリル開口部を開閉するように構成されている。
【0009】
さらに好ましくは、以下のような構成とすることである。
第1のフィンおよび第2のフィンは、アクチュエータの駆動軸と平行に配置された個々の回転軸を中心に回転することによってグリル開口部を開閉し、アクチュエータの駆動軸には、該駆動軸を中心に回転する回転盤が取付けられている。リンク機構は、クラッチ側リンクと、フィン側リンクと、クラッチ側リンクとフィン側リンクとを連結し、かつ、直線移動するように規制された中間リンクとによって構成されている。クラッチ側リンクは、その一端が回転盤に対して回転可能に連結され、フィン側リンクは、その一端が第1のフィンもしくは第2のフィンの回転軸に固定され、他端が第1のフィンもしくは第2のフィンの回転軸に固定された端部側に向けて延びる軸受け孔を備え、中間リンクは、その一端がクラッチ側リンクに対して回転可能に連結され、他端がフィン連結軸によってフィン側リンクに対して回転可能に連結されている。フィン連結軸はフィン側リンクの軸受け孔に嵌入されて該軸受け孔に沿って動くことが可能であり、かつ、その移動によってフィン側リンクを回転させることができ、回転盤が回転してクラッチ側リンクが動くと中間リンクが直線移動し、それに伴いフィン連結軸が軸受け孔に沿って動いてフィン側リンクが回転し第1のフィンもしくは第2のフィンを回転させるように構成されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、アクチュエータの駆動軸を正逆いずれかの方向に回転駆動すると、第1のフィンおよび第2のフィンのいずれか一方が選択的に開閉作動することから、単一のアクチュエータによって2つのフィンを個別に開閉操作できる。そのため、単一のアクチュエータによって各フィンに対応する異なる流路に選択的に外気を送り込むことが可能であり、エンジンルーム内における冷却を要するタイミングにある部材のみを選択的に冷却できる。
【0011】
また、異なる位置に配置される各グリル開口部を各フィンが個々に開閉可能であることから、各グリル開口部を適宜の異なる位置に配置することで、例えばエンジンルーム内の上部と下部とのような互いに離れた位置に対する外気の送り込みとその送風の停止とが可能となる。
【0012】
また、中間リンクの直線移動によって各フィンを回転させるように構成されていることから、例えば中間リンクを各フィンの回転軸周りで周回移動させることによって各フィンを回転させる場合に比べて、各フィンの回転を安定させることができる。そのため、各フィンの開閉に不具合が生じ難い。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を図面を用いて説明する。
まず、本発明のグリルシャッター装置を適用した車両1のフロント部を説明する。
図1に示す車両1のフロント部において、車両ボディー10にはフロントバンパー20を有するバンパーリンフォースメント22が組付けられている。そして、フロントバンパー20を挟んだ上下には、上開口部1aと下開口部1bとが形成されている。
【0015】
車両1のフロント部において、バンパーリンフォースメント22の後方には、車両ボディー10に組付けられたラジエータサポートモジュール30が配置されている。ラジエータサポートモジュール30の後方は、エンジンルーム100となっている。エンジンルーム100には、ACコンデンサ110とHVコンデンサ120とエンジン(図示省略)の冷却水を冷却するためのラジエータ130とが配置されている。
【0016】
ラジエータサポートモジュール30の中央には、ダクト31が形成されている(
図1,2参照)。そして、ダクト31を挟んだ上下には、エンジンルーム100へ外気を送り込むためのグリル開口部32が設けられている。グリル開口部32は、上に位置する第1グリル開口部33と下に位置する第2グリル開口部34とによって構成されている。
図1に示す組付け状態においては、第1グリル開口部33が車両1の上開口部1aの後方に、第2グリル開口部34が下開口部1bの後方に位置している。これにより、取り込んだ外気をエンジンルーム100へ送り込むことができる。
なお、第1グリル開口部33および第2グリル開口部34は、それぞれがエンジンルーム100内の個別の流路に通じている。
【0017】
グリル開口部32は、第1のフィン37および第2のフィン38によって構成されるフィン36を備えている(
図2参照)。
第1グリル開口部33には、該開口部を開閉可能な第1のフィン37が設けられている(
図1,2,3参照)。第1のフィン37は、第1グリル開口部33を開放する
図1,3,4に示す開位置と第1グリル開口部33を閉鎖する
図5に示す閉位置との間を回転できる。第1のフィン37の回転軸37aは後述のアクチュエータ40の駆動軸42と平行して配置されている。
【0018】
第1のフィン37が開位置にあるとき、車両1の上開口部1aから取り込んだ外気をエンジンルーム100内の上部側の流路へ送り込むことができる(
図1,3,4参照)。これにより、ACコンデンサ110とラジエータ130とを冷却できる。第1のフィン37が閉位置にあるとき(
図5参照)、車両1の上開口部1a(
図1参照)から取り込んだ外気をエンジンルーム100内の上部へ送り込むことを遮蔽できる。これにより、ACコンデンサ110とラジエータ130との冷却を停止できる。
【0019】
第2グリル開口部34には、該開口部を開閉可能な第2のフィン38が設けられている(
図1,2,3参照)。第2のフィン38は上下に並んで配置された2枚のフィンによって構成されている。各第2のフィン38は、第2グリル開口部34を開放する
図1,3,6に示す開位置と第2グリル開口部34を閉鎖する
図7に示す閉位置との間を回転できる。各第2のフィン38の回転軸38aは後述のアクチュエータ40の駆動軸42と平行して配置されている。
【0020】
各第2のフィン38が開位置にあるとき、車両1の下開口部1bから取り込んだ外気をエンジンルーム100内の下部側の流路へ送り込むことができる(
図1,3,6参照)。これにより、HVコンデンサ120とラジエータ130とを冷却できる。各第2のフィン38が閉位置にあるとき(
図7参照)、車両1の下開口部1b(
図1参照)から取り込んだ外気をエンジンルーム100内の下部へ送り込むことを遮蔽できる。これにより、HVコンデンサ120とラジエータ130との冷却を停止できる。
【0021】
なお、第1のフィン37は第1リンク機構60を備え、第2のフィン38は第2リンク機構60aを備えている(
図2参照)。これらの第1リンク機構60および第2リンク機構60aについては、後述のアクチュエータ40との関連で詳しく説明する。
【0022】
ラジエータサポートモジュール30において、ダクト31の右側部にはアクチュエータ40が取付けられている(
図2,3参照)。アクチュエータ40はモータ(図示省略)を内蔵しており、モータの駆動力によって駆動軸42を正逆両方向へ回転駆動させることが可能である。アクチュエータ40の駆動軸42は、アクチュエータ40の左右に突き出ており、アクチュエータ40の左右で同方向に回転する。なお、以下の記載においては、
図3の時計回り方向の回転を正回転、
図3の反時計回り方向の回転を逆回転とする。
【0023】
アクチュエータ40の左右において、駆動軸42には該駆動軸42を中心に回転する回転盤50,52が個々に取付けられている(
図2,3,4参照)。各回転盤50,52において(
図3,4参照)、各駆動盤50a,52aと各従動盤50b,52bとの間にはワンウェイクラッチが構成されている。各従動盤50b,52bは、駆動軸42の正逆の回転に対して選択的に回転する。すなわち、アクチュエータ40左部の従動盤50bは、駆動軸42が正回転したときにのみ回転する。アクチュエータ40右部の従動盤52bは、駆動軸42が逆回転したときにのみ回転する。
【0024】
アクチュエータ40左部においては、ワンウェイクラッチを通じて第1リンク機構60が駆動軸42に連結されている(
図2,4参照)。第1リンク機構60は、クラッチ側リンク62と、中間リンク64と、フィン側リンク68とによって構成されている。中間リンク64は、固定軸Fによって互いに固定された第1中間リンク65と第2中間リンク66とによって構成されている。
【0025】
クラッチ側リンク62は、その一端が従動盤50bに対して連結軸L1を中心に回転可能に連結されている(
図4参照)。フィン側リンク68は、その一端が第1のフィン37の回転軸37aに固定されている。中間リンク64は、クラッチ側リンク62とフィン側リンク68とを連結しており、第1中間リンク65の一端がクラッチ側リンク62に対して連結軸L2を中心に回転可能に連結され、第2中間リンク66の一端がフィン側リンク68に対して連結軸L3を中心に回転可能に連結されている。各連結軸L1,L2,L3および固定軸Fは駆動軸42に平行して配置されている。
【0026】
なお、フィン側リンク68における第2中間リンク66と連結された側の端部には、第1のフィン37の回転軸37aに固定された側に向けて延びる長孔状の軸受け孔68aが形成されている。そして、この軸受け孔68aに連結軸L3が嵌入されて第2中間リンク66がフィン側リンク68に連結された状態となっている。連結軸L3は軸受け孔68aに遊びをもって係合しており、該軸受け孔68aに沿って動くことが可能である。連結軸L3が軸受け孔68a内を動くことにより、後述のようにした中間リンク64の直線移動とフィン側リンク68の回転との連動が可能となる。この連結軸L3が本発明の「フィン連結軸」に相当する。
図4に示すように、中間リンク64は第2中間リンク66の前後のガイド部材G1によって上下に直線移動するように規制されている。
【0027】
アクチュエータ40右部においては、ワンウェイクラッチを通じて第2リンク機構60aが駆動軸42に連結されている(
図2,3参照)。第2リンク機構60aにおいて第1リンク機構60と同一もしくは均等な構成・機能を有すると考えられる部分には、第1リンク機構60と同一の符号を付すことで、重複する説明は省略する。
【0028】
第2リンク機構60aにおいては、固定軸Fによって互いに固定された第1中間リンク65と第2中間リンク66aとによって中間リンク64aが構成されている(
図3参照)。第2中間リンク66aは個々に連結軸L3を介して2つのフィン側リンク68と回転可能に連結されている。各連結軸L3は、各フィン側リンク68の軸受け孔68aに貫入されている。
【0029】
各フィン側リンク68において、第2中間リンク66aと連結された側と反対側の端部は、各第2のフィン38の回転軸38aに固定されており、各第2のフィン38は後述のような中間リンク64aの移動に連動して同期して開閉作動する。
図3に示すように、中間リンク64aは第2中間リンク66aの前後のガイド部材G2によって上下に直線移動するように規制されている。
上述の第1リンク機構60および第2リンク機構60aが本発明の「リンク機構」に相当する。
【0030】
本発明のグリルシャッター装置は、上述のグリル開口部32とフィン36とアクチュエータ40とを備え、つぎのように作動する。
駆動軸42を正回転の方向に回転駆動すると、アクチュエータ40左部の従動盤50bが回転し、第1リンク機構60が作動する(
図4,5参照)。なお、
図4においては第1のフィン37が開位置から回転する様子が、
図5においては第1のフィン37が閉位置から回転する様子が示されている。
【0031】
第1のフィン37が開位置にある状態(
図4参照)で駆動軸42が正回転すると、クラッチ側リンク62が駆動軸42の周りを周回移動して中間リンク64を上方に直線移動させる。これに伴い、連結軸L3が軸受け孔68aの内面との接触作用を通じてフィン側リンク68を第1のフィン37の回転軸37aを中心に逆回転させる。このフィン側リンク68の回転に伴って、第1のフィン37が閉位置(
図5参照)に回転する。
第1のフィン37が開位置から閉位置に回転する間、連結軸L3は、軸受け孔68a内における第1のフィン37の回転軸37aに対して遠い端部側から近い端部側へ一端動き、再度遠い端部側に戻る。
【0032】
第1のフィン37が閉位置にある状態(
図5参照)で駆動軸42が正回転すると、クラッチ側リンク62が駆動軸42の周りを周回移動して中間リンク64を下方に直線移動させる。これに伴い、連結軸L3が軸受け孔68aの内面との接触作用を通じてフィン側リンク68を第1のフィン37の回転軸37aを中心に正回転させる。このフィン側リンク68の回転に伴って、第1のフィン37が開位置(
図4参照)に回転する。
第1のフィン37が閉位置から開位置に回転する間、連結軸L3は、軸受け孔68a内における第1のフィン37の回転軸37aに対して遠い端部側から近い端部側へ一端動き、再度遠い端部側に戻る。
【0033】
このように、アクチュエータ40の駆動軸42を正回転となる一方向へ回転駆動させることで、第1リンク機構60の作動を通じて第1のフィン37は第1グリル開口部33を開閉する。駆動軸42の回転を継続することにより、第1グリル開口部33の開閉が繰り返される。なお、駆動軸42の正回転においては各第2のフィン38が動かない。
【0034】
駆動軸42を逆回転の方向に回転駆動すると、アクチュエータ40右部の従動盤52bが回転し、第2リンク機構60aが作動する(
図6,7参照)。なお、
図6においては各第2のフィン38が開位置から回転する様子が、
図7においては各第2のフィン38が閉位置から回転する様子が示されている。
【0035】
各第2のフィン38が開位置にある状態(
図6参照)で駆動軸42が逆回転すると、クラッチ側リンク62が駆動軸42の周りを周回移動して中間リンク64aを下方に直線移動させる。これに伴い、各連結軸L3が各軸受け孔68aの内面との接触作用を通じて各フィン側リンク68を各第2のフィン38の回転軸38aを中心に正回転させる。この各フィン側リンク68の回転に伴って、各第2のフィン38が閉位置(
図7参照)に回転する。
各第2のフィン38が開位置から閉位置に回転する間、各連結軸L3は、各軸受け孔68a内における各第2のフィン38の回転軸38aに対して遠い端部側から近い端部側へ一端動き、再度遠い端部側に戻る。
【0036】
各第2のフィン38が閉位置にある状態(
図7参照)で駆動軸42が逆回転すると、クラッチ側リンク62が駆動軸42の周りを周回移動して中間リンク64aを上方に直線移動させる。これに伴い、各連結軸L3が各軸受け孔68aの内面との接触作用を通じて各フィン側リンク68を各第2のフィン38の回転軸38aを中心に逆回転させる。この各フィン側リンク68の回転に伴って、各第2のフィン38が開位置(
図6参照)に回転する。
各第2のフィン38が閉位置から開位置に回転する間、各連結軸L3は、各軸受け孔68a内における各第2のフィン38の回転軸38aに対して遠い端部側から近い端部側へ一端動き、再度遠い端部側に戻る。
【0037】
このように、アクチュエータ40の駆動軸42を逆回転となる一方向へ回転駆動させることで、第2リンク機構60aの作動を通じて各第2のフィン38は第2グリル開口部34を開閉する。駆動軸42の回転を継続することにより、第2グリル開口部34の開閉が繰り返される。なお、駆動軸42の逆回転においては第1のフィン37が動かない。
【0038】
上述の実施形態においては、アクチュエータ40の駆動軸42を正方向に回転駆動すると第1のフィン37が開閉作動し、アクチュエータ40の駆動軸42を逆方向に回転駆動すると各第2のフィン38が開閉作動することから、第1のフィン37および第2のフィン38を単一のアクチュエータ40で個別に開閉操作できる。そのため、単一のアクチュエータ40によって各フィン37,38に対応する異なる流路に選択的に外気を送り込むことが可能である。加えて、各フィン37,38がダクト31の上下に配置される各グリル開口部33,34を開閉可能であることから、エンジンルーム100内の上部側の流路および下部側の流路への外気の送り込み、またその送風を停止することが可能である。結果として、上述の実施形態においては、エンジンルーム100内における上下に離れた位置にある部材を、その冷却を要するタイミングで選択的に冷却できる。
【0039】
例えば、車両1が高速走行している場合には、各フィン37,38が閉位置にある状態においても所望する量の外気がエンジンルーム100内に送り込まれることから、各第2のフィン38を閉位置に回転させて冷却を要さないEVコンデンサ120への送風を停止し、その上で、エアコンの使用に応じて第1のフィン37を開位置もしくは閉位置に回転させてACコンデンサ110の冷却を制御する。具体的には、エアコン使用時においては第1のフィン37を開位置に回転させ、エアコン停止時においては第1のフィン37を閉位置に回転させる。
【0040】
一方、車両1が低速走行している場合においては、各第2のフィン38を開位置に回転させることで十分な外気をエンジンルーム100の下部側の流路に送り込んでEVコンデンサ120を冷却し、その上で、エアコンの使用に応じて第1のフィン37を開位置もしくは閉位置に回転させてACコンデンサ110の冷却を制御する。
なお、第1のフィン37を開位置に回転させた場合においても、各第2のフィン38を開位置に回転させた場合においても、ラジエータ130は冷却される。
【0041】
なお、上述の実施形態においては、各中間リンク64,64aの直線移動によって各フィン37,38を回転させるように構成されていることから、例えば各中間リンク64,64aを各フィン37,38の回転軸37a,38aの周りで周回移動させることによって各フィン37,38を回転させる場合に比べて、各フィン37,38の回転を安定させることができる。そのため、各フィン37,38の開閉に不具合が生じ難い。
【0042】
以上は本発明を実施するための最良の形態を図面に関連して説明したが、この実施の形態は本発明の趣旨から逸脱しない範囲で容易に変更または変形できるものである。
例えば、上述の実施形態では、アクチュエータ40左部の従動盤50bは駆動軸42が正回転したときにのみ回転し、アクチュエータ40右部の従動盤52bは駆動軸42が逆回転したときにのみ回転するように設定されていた。しかしながら、アクチュエータ40左部の従動盤50bが、駆動軸42が逆回転したときにのみ回転し、アクチュエータ40右部の従動盤52bが、駆動軸42が正回転したときにのみ回転するように設定しても良い。
【0043】
また、上述の実施形態では、アクチュエータ40の左右において、駆動軸42に回転盤50,52が個々に取付けられていた。しかしながら、アクチュエータ40の左部もしくは右部の一方において、駆動軸42に2つの回転盤50,52を取付けても良い。この場合、駆動軸42の寸法を適宜調整するとともに、各回転盤50,52の従動盤50b,52bに連結されるリンク機構60,60aの寸法および設置位置およびを適宜変更する必要がある。
【0044】
また、上述の実施形態においては、グリルシャッター装置が車両1のフロント部のラジエータサポートモジュール30に適用されていた。しかしながら、グリルシャッター装置は、例えば車両室内の空調設備におけるスイングレジスターに適用することもでき、その適用がラジエータサポートモジュール30に限定されるものではない。