【課題】両側縁をグリッパーで挟持され袋口を上にして吊り下げられ内容物が充填された包装袋を、両側から一対の押圧体でプレスして袋内を脱気するプレス脱気装置の改良。包装袋への異物混入のおそれがなく、カビの発生が防止でき、低コストでメンテナンスが容易であり、また、袋詰め包装機の運転中に損傷しにくく、周囲を汚染する恐れがないプレス脱気装置(特に押圧部材)を提供する。
【解決手段】押圧体18が、ゴム板21Aをつづら折り状に曲げた押圧部材21と、押圧部材21を保持するホルダー22からなる。ホルダー22は、受け板25と、押圧部材21の背面側の稜線部24を受け板25の前面25aに固定する押さえロッド35と、ゴム板21Aの両端を受け板25の背面25bに固定する固定部材27を備える。
両側縁をグリッパーで挟持され袋口を上にして吊り下げられ内容物が充填された包装袋を、両側から一対の押圧体でプレスして袋内を脱気するプレス脱気装置において、前記押圧体は、可撓性を有する板をつづら折り状に曲げ、片側の稜線部を前方に向けて配置した押圧部材と、前記押圧部材を保持するホルダーからなり、プレス時に押圧部材が包装袋に当接し弾性的に変形することを特徴とする包装袋のプレス脱気装置。
前記ホルダーが、受け板と、前記押圧部材の背面側の稜線部を前記受け板の前面に密着固定する押さえ部材を備えることを特徴とする請求項1に記載された包装袋のプレス脱気装置。
前記押さえ部材が、一対の固定用板に所定間隔で固定された複数本の押さえロッドを備え、各押さえロッドと前記受け板の前面の間に前記押圧部材の背面側の各稜線部を挟むことを特徴とする請求項2に記載された包装袋のプレス脱気装置。
前記可撓性を有する板の両端が前記受け板の背面に回され、前記ホルダーが、前記可撓性を有する板の両端を前記受け板の背面に固定する固定部材を備えることを特徴とする請求項2又は3に記載された包装袋のプレス脱気装置。
【背景技術】
【0002】
供給された袋の両側縁を一対のグリッパーで挟持し、袋口を上にして吊り下げ、テーブルの回転とともに間欠回動させながら、袋内に食品等を充填・包装する間欠回転テーブル型袋詰め包装機では、食品等を充填した後、袋口を熱シールするが、その際防腐や酸化防止、見映え等のため袋内の残存エアーを除去するよう、脱気操作が行われる。また、シール後の袋をパレット上に多数個積み重ねた状態で保管したり、パレットからの積み下ろし時に手荒く扱ったときなど、袋内に空気が残存していると袋の破れが発生するため、これを防止するために、熱シール前に袋内の脱気操作が行われる。
【0003】
このような脱気操作には、例えば、一対の押圧体により袋の両側面を押圧して内部の空気を脱気するプレス脱気装置が用いられ、押圧体としては、特許文献1〜3に記載されているように、包装袋に向かって進退する受け板の前面にスポンジのような変形自在の押圧部材を取り付けたものがよく用いられている。この押圧体で、固形物のみ又は少量の液体を含む固形物を充填した包装袋の両側をプレスすると、押圧部材が袋内の固形物の形状に沿って変形するため、包装袋は固形物の形状に沿った形につぶされ、袋内にある空気が排出される。
【0004】
スポンジは輪ゴムで直接受け板に固定されるか、袋に入れ袋ごと面ファスナーで受け板の前面に固定される。しかし、輪ゴムは袋内への異物混入防止の観点から使用することが難しくなっている。スポンジ自体も劣化すると粉が出て、それが袋内への異物混入の原因となるため、使用することが難しくなっている。また、スポンジは袋詰め包装機を水洗いしたときの水や袋面に付着した液体を吸収してカビが生えることが衛生上の問題となっている。スポンジを袋に入れていても、袋に穴が開いたり破れたりすると中のスポンジが水や液状物を吸収してカビが生える。
【0005】
一方、特許文献4には、受け板の前面に内部に圧縮エアーを封入したゴム製のチューブを取り付けた押圧体が記載されている。チューブはエアー配管及び圧縮エアー源に接続され、内部が一定圧力に保たれる。特許文献5には、受け板の前面にクッションマットを貼り付け、その前面に硬質又は半硬質の突起を複数個貼り付けた押圧体が記載されている。特許文献6には、受け板の前面に液体を封入した柔軟な袋を取り付けた押圧体が記載されている。
【0006】
しかし、特許文献4に記載された押圧体は、チューブ内の圧力を一定に保つためエアー配管や圧縮エアー源を必要とし、また、エアー漏れ防止のためのメンテナンスが必要であり、これらがコストアップ要因となる。特許文献5に記載された押圧体は、クッションマット(スポンジ)を押圧部材の一部に使用することから、結局、特許文献1〜3の押圧体と同じ問題を有する。また、クッションマットの前面に貼り付けた突起が袋詰め包装機の運転中に剥がれやすく、その場合は脱気効果が損なわれ、包装袋への異物混入の恐れもある。特許文献6に記載された押圧体は、袋の破損(穴が開く)が生じやすく、その場合は脱気効果が損なわれるとともに、袋の中の液体が周囲に飛散するので、液体が腐敗している場合などには、包装袋だけでなく袋詰め包装機全体が汚染される恐れもある。
【0007】
袋詰め包装機において、被充填物の仕様(大きさ、形状、硬さ、液量等)が変更された場合、一般的に押圧体(押圧部材)も交換される。これは、押圧体(押圧部材)の押圧面の形状や包装袋に作用する押圧力を変えて、被充填物の仕様に応じた適切なプレス脱気作用を得るためである。その一方で、被充填物の仕様が変更された場合でも、押圧体を交換することなく、適切なプレス脱気作用が得られるようにしたいという要請があるが、従来の押圧体(押圧部材)等では、現実にこの要請に応えることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、従来のプレス脱気装置のこのような問題点に鑑みてなされたもので、包装袋への異物混入のおそれがなく、カビの発生が防止でき、低コストでメンテナンスが容易であり、また、袋詰め包装機の運転中に損傷しにくく、周囲を汚染する恐れがないプレス脱気装置(特に押圧部材)を提供することを主たる目的とする。また、被充填物の大きさ、形状、硬さ、液量等が変更された場合でも、押圧体(押圧部材)を交換することなく、適切なプレス脱気作用が得られるプレス脱気装置を提供することを他の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、両側縁をグリッパーで挟持され袋口を上にして吊り下げられ内容物が充填された包装袋を、両側から一対の押圧体でプレスして袋内を脱気するプレス脱気装置において、前記押圧体は、可撓性を有する板をつづら折り状に曲げ、片側の稜線部(カーブした領域)を前方に向けて配置した押圧部材と、前記押圧部材を保持するホルダーからなり、プレス時に押圧部材が包装袋に当接し弾性的に変形することを特徴とする(請求項1)。なお、前方とは包装袋の方向であり、一対の押圧体が前進する方向である。
【0011】
本発明に係るプレス脱気装置は次のような具体的形態を取ることができる。
(1)前記ホルダーが、受け板と、前記押圧部材の背面側の稜線部を前記受け板の前面に密着固定する押さえ部材を備える(請求項2)。
(2)上記(1)の場合、前記押さえ部材が、一対の固定用板に所定間隔で固定された複数本の押さえロッドを備え、各押さえロッドと前記受け板の前面の間に前記押圧部材の背面側の各稜線部を挟む(請求項3)。
(3)上記(1)、(2)の場合、前記可撓性を有する板の両端が前記受け板の背面に回され、前記ホルダーが、前記可撓性を有する板の両端を前記受け板の背面に固定する固定部材を備える(請求項4)。
(4)前記押圧部材の稜線部が略水平である。
(5)前記可撓性を有する板がゴム板である。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るプレス脱気装置は、押圧部材が可撓性を有する板(例えばゴム板)をつづら折り状に曲げ、片側の稜線部を前方に向けて配置したものであり、包装袋の両面をこの押圧部材で挟んでプレスしたとき、押圧部材は折り返した板同士の隙間及び板とホルダーの隙間で弾性的に変形する。この変形により、押圧部材はクッションマットに近い弾性を示し、包装袋の変形に応じた大きさの押圧力を付加する。
【0013】
本発明に係るプレス脱気装置は、押圧部材が可撓性を有する板からなるので、従来のスポンジに比べて押圧部材が劣化しにくく、カビの発生も防止でき、押圧部材が損傷して異物が脱落したり、周囲を汚染することもない。
本発明に係るプレス脱気装置は、特許文献4の押圧体のように複雑な機構を有しないので、面倒なメンテナンスは必要でない。押圧部材(可撓性を有する板)に被充填物が付着して汚れた場合でも、押圧部材の清掃は容易に行え、特にホルダーから外した押圧部材は単なる1枚の板であるので一層清掃が容易であり、メンテナンス性に優れている。
【0014】
本発明に係るプレス脱気装置は、つづら折りした板の稜線部の高さを全ての稜線部において一定にすることもでき、あるいは稜線部ごとに異ならせることもできる。後者の場合、例えば、押圧面(前面側の各稜線部の先端をつないだ面)の形状を、包装袋内の被充填物の大きさや形状に沿うように設定したり、包装袋内の空気が残留しやすい箇所に対応する位置において稜線部の高さを高く設定するなど、所望の曲面形状に変更することができる。
また、本発明に係るプレス脱気装置は、つづら折りした押圧部材の稜線部の高さを変えることにより、包装袋に作用する押圧力が変わる。一般的に、稜線部の高さが高いと押圧力を低く、稜線部の高さが低いと押圧力が高い。従って、例えば被充填物が比較的もろく壊れやすいものや、比較的軟らかく潰れやすいものの場合、稜線部の高さを高くし、一方、高い押圧力でプレスして脱気精度を上げたいような場合、稜線部の高さを低くする、というような変更が適宜可能である。
このように、被充填物の仕様(大きさ、形状、硬さ、液量等)に対応して、つづら折りの稜線部の高さを変更するだけで、被充填物の仕様に応じた適切なプレス脱気作用を得ることができ、従来のプレス脱気装置のように、押圧面の形状や包装袋に作用する押圧力が異なる多数の押圧体を予め用意しておく必要がない。また、つづら折りの稜線部の高さを変更することは容易に行える。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、
図1〜
図8を参照して、本発明に係るプレス脱気装置について具体的に説明する。
はじめに、本発明に係るプレス脱気装置を設置した間欠回転テーブル型袋詰め包装機について、
図1を参照して説明する。
この袋詰め包装機は間欠回転式ロータリー型袋移送装置1を備え、その一部として一方向(
図1において左回り)に間欠回転するテーブル2と、その周囲に複数対のグリッパー3,3が等間隔に配置されている。
【0017】
テーブル2の間欠回転に伴い、グリッパー3,3は水平面内で円形の移動経路に沿って間欠的に移動し、テーブル2(グリッパー3,3)が一回転する間に、グリッパー3,3への袋4の供給、グリッパー3,3に両側縁を挟持された袋4への液体の充填、袋4の開口部(袋口)のシール等の種々の包装処理工程が実施される。なお、グリッパー3,3の移動経路は袋4の移送経路でもあり、袋4は前記移送経路を1個ずつ等角度間隔で間欠的に移送される。
テーブル2の一回転は10回の停止と移動からなり、計10工程にわたり各種の包装処理工程が実施される。
【0018】
図1を参照してより具体的に説明すると、第1工程は給袋工程であり、グリッパー3,3の停止位置I(1番目の停止位置)近傍に、該グリッパー3,3に袋4を供給するコンベアマガジン式給袋装置5が配置されている。供給される袋4は上縁が開口した袋で、グリッパー3,3により開口部(袋口)付近の両側縁を挟持され、開口部を上向きにして吊り下げられる。
第2工程は印字工程であり、グリッパー3,3の停止位置II(2番目の停止位置)近傍に、該グリッパー3,3に挟持された袋4の袋面に日付等を印字する印字装置6が配置されている。
【0019】
第3工程は開口工程であり、グリッパー3,3の停止位置III(3番目の停止位置)近傍に、該グリッパー3,3に挟持された袋4の袋口を開口する開口装置が配置され、その一部として、互いに接離可能な一対の吸盤7,7と、追従式開口ガイド8,8が図示されている。停止位置IIIにおいて、グリッパー3,3に挟持された袋4は一対の吸盤7,7に両面を吸着されて袋口を広げられ(このときグリッパー3,3の間隔が狭まる)、続いて追従式開口ガイド8,8が下降して先端が袋4内に挿入される。その後、追従式開口ガイド8,8は、袋面に対して垂直方向にかつ互いに反対方向に移動して先端同士の間隔が広がり、これにより、吸盤7,7が袋面から離れた後も、袋4の開口状態が維持される。追従式開口ガイド8,8は、グリッパーが停止位置IIIから停止位置IVに向けて移動するとき一緒に移動し、停止位置IVで上昇して袋4内から抜け出し、停止位置IIIに向けて復帰移動する。
【0020】
第4工程は固形物充填工程であり、グリッパー3,3の停止位置IV(4番目の停止位置)の近傍に、グリッパー3,3に挟持された袋4に被充填物(固形物)を充填する充填装置が配置され、その一部としてホッパー9が図示されている。グリッパー3,3が停止位置IVに停止すると、ホッパー9が下降して袋4の袋口内に挿入され、次いで追従式開口ガイド8,8が上昇して袋4内から抜け出し、停止位置IIIに向けて復帰移動を開始し、ホッパー9内に被充填物(固形物)11が投入され、袋4内に充填される。続いて、ホッパー9が上昇して、袋4内から抜け出す。
【0021】
第5工程は液状物充填工程であり、グリッパー3,3の停止位置V(5番目の停止位置)の近傍に、グリッパー3,3に挟持された袋4に被充填物(液状物)を充填する充填装置が配置され、その一部として充填ノズル12が図示されている。
第6工程はプレス脱気工程であり、グリッパー3,3の停止位置VI(6番目の停止位置)の近傍に、グリッパー3,3に挟持された充填済みの袋4内のエアーを脱気するプレス脱気装置13が配置されている。このプレス脱気装置13については後述する。
【0022】
第7工程は第1シール工程であり、グリッパー3,3の停止位置VII(7番目の停止位置)近傍に、グリッパー3,3に挟持された袋4の袋口に1回目の熱シールを行う第1シール装置が配置され、その一部として一対のシールバー14が図示されている。
第8工程は第2シール工程であり、グリッパー3,3の停止位置VIII(8番目の停止位置)近傍に、該グリッパー3,3に挟持された袋4の袋口に2回目の熱シールを行う第2シール装置が配置され、その一部として一対のシールバー15が図示されている。
【0023】
第9工程はシール部冷却及び製品袋(シール済みの袋)放出工程であり、グリッパー3,3の停止位置IX(9番目の停止位置)近傍に、グリッパー3,3に挟持された袋4のシール部を冷却するシール部冷却装置が配置され、その一部として一対の冷却バー16が図示されている。第9工程においてグリッパー3,3が開き、続いて冷却バー16が開いて、製品となった袋(製品袋4A)が排出シュート17上に落下し、次いで図示しないベルトコンベア等を介して機外に排出される。
【0024】
第10工程は不良袋排出工程であり、グリッパー3,3の停止位置X(10番目の停止位置)においてグリッパー3,3が開き(不良袋を挟持したグリッパー3,3は停止位置IXで開かない)、不良袋(例えば開口不良等のため袋詰めされなかった空袋等)が排出される。停止位置Xの下方に不良袋を回収する図示しない回収ボックス等が配置されている。
【0025】
次に
図2〜8を参照して、プレス脱気装置13の構造及び作動について詳細に説明する。なお、
図1に描かれた間欠回転テーブル型袋詰め包装機では、停止位置VIにおいてプレス脱気工程のみが行われ、停止位置VIIで第1シール工程が行われるが、
図2,3では、プレス脱気装置13の上方位置に第1シール装置の一部である一対のシールバー14が配置され、プレス脱気工程後、引き続き同じ停止位置で第1シール工程が行われるものとして描かれている。
【0026】
図2(a)に示すように、プレス脱気装置13は、充填済みの袋4を両面からプレスして袋内を脱気する一対の押圧体18,18と、各押圧体18を進退させる駆動源(エアシリンダー)19,19からなる。押圧体18は、可撓性を有する板(例えばゴム板)をつづら折り状に曲げた押圧部材21と、押圧部材21を保持するホルダー22からなり、エアシリンダーのピストンロッドの先がホルダー22の背面に連結されている。つづら折りされた押圧部材21は、片側の稜線部(カーブした領域)23が前方に向けて配置され、他側(背面側)の稜線部24がホルダー22に取り付けられ、両端がホルダー22の背面側に回され、同背面においてホルダー22に固定されている。押圧部材21は、稜線部23,24の方向が水平(袋幅方向に平行)になるように、ホルダー22に設置されている。
【0027】
ホルダー22は、
図4〜7に示すように、受け板25と、押圧部材21の背面側の稜線部24を受け板25の前面に密着固定する押さえ部材26と、押圧部材21の両端部(つづら折りされていない部分)を受け板25の背面に固定する固定部材27、及び多数のボルト、ナット等からなる。
図4に示すように、受け板25は矩形平板状で、互いに平行な一対の端面28,28、及び他の一対の端面29,29を有する。各端面28に一対のブラケット31,31が設置され、各ブラケット31に穴32が形成され、さらに各ブラケット31の近傍にねじ穴33が形成されている。また、受け板25の背面に、2対のねじ穴(図示せず)が端面29,29の近傍に形成されている。
【0028】
押さえ部材26は、所定間隔(受け板25の前記一対の端面間の間隔とほぼ同じ間隔)を置いて互いに平行に配置された一対の固定用板34,34と、固定用板34,34の間に一定間隔で、かつ固定用板35に垂直に固定された複数本の押さえロッド35からなる。押さえロッド35は全て同じ外径の丸棒からなり、一平面上に配列している。各固定用板34には、外向き垂直に突出する一対のフランジ36,36が前記ブラケット31,31と同じ間隔で設置され、各フランジ36にねじ軸37が固定されている。また、各固定用板34には、前記ブラケット31,31と同じ間隔で一対の切り欠き部38,38が形成され、かつ前記ねじ穴33と同じ間隔で一対の長穴39,39が形成されている。
【0029】
固定部材27は矩形平板状で、受け板25の幅(端面28,28の間隔)とほぼ同じ長さを有し、長手方向両端近傍に一対の穴41,41が所定間隔(受け板25の背面に形成された前記一対のねじ穴の間隔と同じ間隔)で形成されている。
また、
図4には、ホルダー22の一部ではないが、押圧部材21の稜線部23の高さ(押圧部材21の厚みということもできる)を調整する調整治具42が描かれている。調整治具42は、固定用板43と、固定用板43の間に一定間隔で、かつ固定用板43に垂直に固定された複数本の調整ロッド44からなる。調整ロッド44は全て同じ外径の丸棒で、この例では一平面上に配列している。
【0030】
次に、
図4〜7を参照して、押圧体18の組立工程を説明することにより、押圧体18の構造をより詳細に説明する。
(1)押圧部材21は、可撓性を有する平たい板(ゴム板等)をつづら折り状に曲げて成形する。そのための板21Aが
図4に示されている。まず、板21Aの長さ方向の端部の一方(
図4でいえば左側端部)を、受け板25の背面25bに回し、固定部材27で押さえ、ボルト45を穴41に通し、受け板25の背面25bに形成された前記ねじ穴にねじ込み、固定部材27及び板21Aの端部を受け板25の背面25bに固定する。
【0031】
(2)受け板25の上に板21Aを配置し、板21Aの上に押さえ部材26の押さえロッド35を配置し、板21Aの折り曲げた頂部46を押さえロッド35,35,・・の各隙間を通して順次上に引き上げる。これに伴い、板21Aには押さえロッド35の下を通る頂部47も形成され、板21Aは略つづら折り状に曲げ成形される。このときの板21Aの形態が
図5に示されている。板21Aの長さ方向の端部の他方側(
図5でいえば右側端部)は板状のままとする。
(3)続いて、
図5に示すように、調整治具42の調整ロッド44を各頂部46の内側に通す。なお、板21Aを略つづら折り状に曲げ成形する方法として、板21Aの上に押さえ部材26の押さえロッド35を配置し、板21Aの下に調整治具42の調整ロッド44を配置し、各調整ロッド44を押さえロッド35,35,・・の各隙間を通して上に引き上げるという方法もあり得る。
【0032】
(4)押さえ部材26を受け板25に向けて接近させ、
図6に示すように、ブラケット31を切り欠き38に嵌め入れ、かつねじ軸37をブラケット31の穴32に通し、ボルト48を長穴39に通してねじ穴33にねじ込み、押さえ部材26を受け板25に仮止めする。この時点で、板21Aの頂部47は受け板25の前面(上面)25aと押さえロッド35の間に緩く挟まれた状態である。
(5)続いて、板21Aの長さ方向の端部の他方側(
図6でいえば右側端部)を受け板25の背面25bに回し、固定部材27で押さえ、ボルト49を穴41に通し、受け板25の背面25bに形成されたねじ穴にねじ込み、固定部材27及び板21Aの端部を受け板25の背面25bに固定する。このとき、
図6に示すように、板21Aの端部には調整代21aが残っている。
【0033】
(6)調整治具42を上に持ち上げ、調整ロッド44により頂部46を引き上げ、調整代21aを解消する。次いで、
図7に示すように、調整治具42を移動して調整ロッド44を頂部46から引き抜く。調整ロッド44が丸棒の場合、この調整の過程で板21Aの頂部46が傷つきにくい。
(7)ナット51をねじ軸37にねじ込み、押さえ部材26を受け板25に固定する。これにより、板21Aに形成された頂部47が受け板25の前面25aと押さえロッド35の間に挟まれ、受け板25の前面25aに密着固定される。押さえロッド35が丸棒の場合、押さえロッド35に押さえられた板21Aの頂部47が傷つきにくい。
【0034】
このようにして組み立てた押圧体18において、板21Aの頂部46は
図2(a)で説明した前面側の稜線部23に相当し、頂部47は同じく背面側の稜線部24に相当する。
図2(a)に示すプレス脱気装置13において、押圧体18,18は、袋4の円形の移送経路を挟んで対向し、かつ、該移送経路の接線方向に対し平行に配置される。押圧部材18の前面側の稜線部23は全て、受け板25の前面25aから同じ高さに揃えられているから、稜線部23の先端は
図2(a)に一点鎖線で示す鉛直平面52上に位置し、押圧部材18の稜線部23の高さ(厚みt)は上下方向に沿ったどの位置でも一定である。
【0035】
なお、押圧部材21のつづら折りの形態は、一種の波形とみることもでき、その見方によれば、
図2(a)に示す押圧部材21は、板21Aを一定の波長及び波高tで波形状に曲げ成形したもの、ということができる。
【0036】
次に、プレス脱気装置13の作動を
図2,3を参照して説明する。
図2(a)は、充填済みの袋4が、プレス脱気工程位置に停止した直後の状態を示す。一対の押圧体18,18は後退位置にあり、その中間に袋4が停止している。一対の押圧体18,18の上方に配置された一対のシールバー14,14も後退位置にあり、その中間に袋4の袋口が位置している。袋4は被充填物(固形物11及び液状物)が充填されているため、中間部が最も膨出した形態をとる。このとき、グリッパー3,3は互いの間隔が広げられており、袋4の袋口はグリッパー3,3に引っ張られ緊張状態で閉じている。
【0037】
続いて、シリンダー19,19が作動して、押圧体18,18を袋4の側面に向け前進させる。
図2(b)に示すように、押圧部材21,21が袋4の最も膨出した部分に両面から当接し、その押圧力により袋4の厚みが減少し、袋内の液面が上昇して脱気が開始される。一方、押圧部材21,21は弾性的に変形し後方に撓む。
押圧体18,18が前進するにつれ、押圧部材21,21と袋4の接触面積が増え、袋内の液面がさらに上昇して脱気が進行し、押圧体18,18が所定の前進位置(終点)に到達した時点では、
図3(a)に示すように、押圧部材21,21が袋4の両面に全面的に当接し、液面が上昇して袋内の脱気が終了する。続いて、
図3(b)に示すように、シールバー14,14が前進して袋4の袋口を熱シール(第1シール工程)する。第1シール工程終了後、シールバー14,14及び押圧体18,18が前記後退位置に後退し、グリッパー3及び袋4が次の停止位置に向けて移動を開始する。
なお、
図1に示す包装機の場合、押圧体18,18が前記後退位置に後退した後、グリッパー3及び袋4が次の停止位置VIIに向けて移動し、同停止位置VIIにおいて袋4に対し第1シール工程が行われる。
【0038】
押圧部材21において、つづら折りの形態(波形)は必要に応じて種々変更することができる。
図8(a)に示す押圧部材21は稜線部23の高さ(波高)が低く、
図8(b)に示す押圧部材21は稜線部23の高さ(波高)が高い。同じ板21Aを用いて稜線部23の高さを低くした場合、押圧部材21の厚みtが減って弾性力が大きく(硬く)なり、袋4に対する押圧力を大きくすることができ、逆に、稜線部23の高さを高くした場合、押圧部材の厚みtが増えて弾性力が小さく(軟らかく)なり、袋4に対する押圧力を小さくすることができる。このように、同じ板21Aを用いる場合でも、稜線部23の高さ(波高)を変更して、押圧部材21の弾性力及び押圧力を調整することができる。
【0039】
図8(c)に示す押圧部材21は、稜線部23の高さ(波高)が中央部に近づくほど低くなるように設定されており、押圧部材21の稜線部23の先端は、
図8(c)に一点鎖線で示す曲面53上に位置する。このように各稜線部23の高さ(波高)を異ならせることにより、押圧部材21の押圧面(各稜線部23の先端をつなぐ面)の形状を曲面形状にすることができる。従って、押圧部材21の押圧面の形状を、必要に応じて、袋4内に充填された固形物の大きさや形状(固形物が充填された袋の袋面の膨らみ形状ともいえる)に沿うような曲面形状に設定したり、袋4内の空気が残留する箇所を集中的に押圧するような曲面形状に設定することができる。
【0040】
押圧体18において、押圧部材21の稜線部23の高さ(波高)を変更する場合、ナット51及びボルト48(
図7参照)を外して受け板25から押さえ部材26を外し、ボルト49(
図5参照)を緩めて板21Aの長さ方向の端部(
図5でいえば右側端部)を固定部材27から外す。続いて、先に説明した組立工程の(2)〜(7)を実施し、新たなつづら折りの形態(波形)を有する押圧部材を形成する。
図8(c)に示すように、押圧部21の各稜線部23の高さ(波高)を異ならせ、押圧部材21の押圧面の形状を曲面形状にする場合は、変更後の各稜線部23の高さ(各稜線部23ごとに異なる)に対応した調整治具42(調整ロッド44が前記曲面形状に沿って配列したもの)を用いることが望ましい。
いずれにしても、本発明に係る押圧体18において、同じ板21Aを繰り返し使用して、押圧部材21の各稜線部23の高さ(言い換えれば押圧部材21の厚さt又は押圧面の形状)を種々変更することができる。
【0041】
なお、上記の例では、押圧部材21は、稜線部23,24の方向が全て水平(袋幅方向に平行)になるように、ホルダー22に設置されていたが、稜線部の方向はこれに限られず、垂直(袋の長さ方向に平行)でも、傾斜させてもよく、必要に応じて自在に設定することができる。