【課題】搬送路からのワークの飛び出しや、ワーク同士の重なりを抑制して効率よく搬送を行うとともに、カバーの設置領域を少なくして製造コストおよび重量を低減することが可能なワーク搬送装置の提供。
【解決手段】支持台10と、支持台10に対して防振用ばねにより弾性支持される固定台20と、駆動用ばね50,50によって固定台20に対して弾性支持される可動台30と、可動台30に接続されて一体的に動作する搬送台80と、可動台30及び固定台20の間に設けられる加振手段60とを備え、加振手段60により、搬送台80に設定された搬送路上でワークWを搬送するものであって、防振用ばねの取付方向を変更し、加振力により可動台30に生ずる振動に含まれるZ軸方向の成分の大きさと、搬送路の延在方向である水平方向であるY軸方向の成分の大きさとをそれぞれ変更可能な振動方向変更機構6を備える。
支持台と、当該支持台に対して防振用ばねにより弾性支持される固定台と、駆動用ばねによって前記固定台に対して弾性支持される可動台と、当該可動台に接続されて一体的に動作する搬送台と、前記可動台及び前記固定台の間に設けられる加振手段とを備え、前記加振手段により与えられる加振力によって前記可動台に振動を生じさせることで前記搬送台に設定された搬送路上でワークを搬送するワーク搬送装置であって、
前記駆動用ばね及び前記防振用ばねの少なくとも一方の取付方向を変更することで、前記加振力により前記可動台に生ずる振動に含まれる上下方向の成分の大きさと、前記搬送路の延在方向に直交する水平方向の成分の大きさとをそれぞれ変更可能な振動方向変更機構を備えており、当該振動方向変更機構によって前記搬送路を構成する底面部と側壁部とに沿って前記ワークを搬送し得るように構成したことを特徴とするワーク搬送装置。
前記搬送路が当該搬送路の底面部を水平に設定された水平領域を備えており、少なくとも当該水平領域において上部空間を開放されていることを特徴とする請求項1記載のワーク搬送装置。
前記振動方向変更機構が、前記防振用ばねの取付方向を前記搬送路の延在する方向と直交する水平軸回りに変更可能とする第1の角度変更手段と、前記防振用ばねの取付方向を垂直軸回りに変更可能とする第2の角度変更手段とを備えていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載のワーク搬送装置。
前記第1の角度変更手段が前記第1の支持部材及び第2の支持部材における前記ばね取付面の方向を前記搬送路の延在する方向と直交する水平軸回りに変更可能とするものであり、前記第2の角度変更手段が前記第1の支持部材及び第2の支持部材における前記ばね取付面の方向を垂直軸回りに変更可能とするものであることを特徴とする請求項5記載のワーク搬送装置。
前記搬送路上のワークを検出するワーク検出手段と、当該ワーク検出手段により得られる検出信号を基にワークの良否を判別するワーク判別手段と、当該ワーク判別手段による判別結果に基づきワークを搬送路上より排除可能とするワーク排除手段とを備えることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載のワーク搬送装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、このような振動を利用してワークを搬送するワーク搬送装置であるリニアフィーダにおいては、搬送対象となるワークの種類や供給量によっては、搬送中のワークの動作が不安定になる場合も考えられる。そのため、搬送路からのワークの飛び出しが生じないよう、一般的に搬送路上にカバーが設けられており、このカバーによってワークの上下方向への動作を規制できるようにしている。
【0006】
しかしながら、このようなカバー付きリニアフィーダによれば、搬送路からのワークの飛び出しを防ぐことはできても、ワークの形状や寸法誤差によってはワークの一部が上下方向や左右方向に重なり合うことで、カバー内部でワークの詰まりが発生することもある。また、カバーを取り付けることによってリニアフィーダの重量の増加や、コストの増大も生じることになる。さらに、搬送路全体にカバーを取り付けるようにすれば、ワークの外観検査が困難になるという問題もあった。
【0007】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、搬送路からのワークの飛び出しや、ワーク同士の重なりを抑制して効率よく搬送を行うとともに、カバーの設置領域を少なくして製造コストおよび重量を低減することが可能なワーク搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、係る目的を達成するために、次のような手段を講じたものである。
【0009】
すなわち、本発明のワーク搬送装置は、支持台と、当該支持台に対して防振用ばねにより弾性支持される固定台と、駆動用ばねによって前記固定台に対して弾性支持される可動台と、当該可動台に接続されて一体的に動作する搬送台と、前記可動台及び前記固定台の間に設けられる加振手段とを備え、前記加振手段により与えられる加振力によって前記可動台に振動を生じさせることで前記搬送台に設定された搬送路上でワークを搬送するワーク搬送装置であって、前記駆動用ばね及び前記防振用ばねの少なくとも一方の取付方向を変更することで、前記加振力により前記可動台に生ずる振動に含まれる上下方向の成分の大きさと、前記搬送路の延在方向に直交する水平方向の成分の大きさとをそれぞれ変更可能な振動方向変更機構を備えており、当該振動方向変更機構によって前記搬送路を構成する底面部と側壁部とに沿って前記ワークを搬送し得るように構成したことを特徴とする。
【0010】
このように構成すると、振動方向変更機構を用いて、駆動用ばね及び防振用ばねの少なくとも一方の取付方向を変更することにより、加振手段によって同じ加振力を与えた場合であっても、可動台に生じる振動の上下方向の成分の大きさと、搬送路の延在方向に直交する水平方向の成分の大きさとをそれぞれ変更することで、これらの方向に対するワークの移動量を適正化することができる。そして、搬送路を構成する底面部と側壁部とに沿ってワークを円滑に搬送することが可能となるため、搬送路からのワークの飛び出しや、ワーク同士の重なりを防止することができ、これらを防ぐためのカバーをほとんど設けることも不要となる。さらに、搬送路上に設けるカバーの設置領域を少なくすることで、カバー内でのワークの詰まりを抑制するとともに、ワークの外観検査を容易に行うこともできる。また、リニアフィーダのコストダウンを図ることも可能となる。
【0011】
また、上記の効果をより高めるためには、搬送路の中でもより安定してワークの搬送が可能な領域を開放することが好ましく、そのためには、前記搬送路が当該搬送路の底面部を水平に設定された水平領域を備えており、少なくとも当該水平領域において上部空間を開放されるように構成することが好適である。
【0012】
固定台と、可動台と、これらを接続する駆動用ばねと、固定台及び可動台の間に設けられる加振手段からなる主要部分の構成や配置を変更すること無く、支持台に対して固定台を支持する防振用ばねの取付方向を変更するのみで、容易に可動台の振動方向を変更するには、前記振動方向変更機構が、前記防振用ばねの取付方向を変更可能とするものであるように構成することが効果的である。
【0013】
また、前記加振力により前記可動台に生ずる振動に含まれる上下方向の成分の大きさと、前記搬送路の延在方向に直交する水平方向の成分の大きさとを独立して容易に変更可能とするためには、前記振動方向変更機構が、前記防振用ばねの取付方向を前記搬送路の延在する方向と直交する水平軸回りに変更可能とする第1の角度変更手段と、前記防振用ばねの取付方向を垂直軸回りに変更可能とする第2の角度変更手段とを備えるように構成することが好適である。
【0014】
さらに、防振用ばねの弾性支持方向を限定し振動制御を容易にするとともに、簡単な部品構成としてコストの低減を図り、さらに、搬送路に沿った軸心回りに搬送台が揺動するローリング現象を発生させることなく適切な振動を与えるには、前記防振用ばねを板ばねとしており、前記搬送路の延在する方向と直交する水平方向に離間する複数の位置において前記支持台にそれぞれ取り付けられた第1の支持部材と、これら第1の支持部材に相対するよう前記固定台にそれぞれ取付けられた第2の支持部材とを備えており、これら第1の支持部材と第2の支持部材は前記搬送路の延在する方向と略直交するばね取付面をそれぞれ設けられており、第1の支持部材及び第2の支持部材の各ばね取付面に前記板ばねの両端部が接続されるように構成することが好ましい。このように構成すると、防振用ばねを第1の支持部材及び第2の支持部材に先に取り付けることで防振用ばねユニットして構成でき、取り扱いや取付けをより簡単に行うことも可能となる。
【0015】
容易に防振用ばねの取付方向を変更するためには、前記第1の角度変更手段が前記第1の支持部材及び第2の支持部材における前記ばね取付面の方向を前記搬送路の延在する方向と直交する水平軸回りに変更可能するものであり、前記第2の角度変更手段が前記第1の支持部材及び第2の支持部材における前記ばね取付面の方向を垂直軸回りに変更可能とするように構成することが効果的である。このように構成すると、第1の角度変更手段により、搬送台に生じる振動のうち搬送路方向の振動成分と上下方向の振動成分とを変更することが可能となり、第2の角度変更手段により、搬送台に生じる振動のうち搬送路方向の振動成分と搬送路に直交する水平方向の振動成分とを変更することが可能となる。
【0016】
そして、前記搬送路上のワークを検出するワーク検出手段と、当該ワーク検出手段により得られる検出信号を基にワークの良否を判別するワーク判別手段と、当該ワーク判別手段による判別結果に基づきワークを搬送路上より排除可能とするワーク排除手段とを備えることで、搬送路の振動が適正化され、ワークが整列して規則正しく搬送される効果と相俟って、ワーク検出手段によるワークの検出を精度良く行うことができ、このワーク検出手段による検出信号に基づくことでワークの良否を正確に判別することができるため、排除すべきワークをワーク排除手段によってより正確に排除することが可能となる。また、搬送路にカバーを設ける位置を少なくできる効果と相俟って、これらワーク検出手段やワーク排除手段の設置位置の自由度が増すことで、ワークの検出や排除の精度を向上するとともに、多様な設計を行うことも可能となる。
【発明の効果】
【0017】
以上説明した本発明によれば、搬送路からのワークの飛び出しや、ワーク同士の重なりを抑制して効率よく搬送を行うとともに、カバーの設置領域を少なくして製造コストおよび重量を低減することが可能なワーク搬送装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態に係るワーク搬送装置を、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
なお、以下の実施形態において、ワーク搬送装置はワークWを直線状に搬送供給するリニアフィーダ1であり、
図1に示すように、その搬送路82がボウルフィーダ100の搬送路101にわずかに離間して設置されて、ステージS上にボウルフィーダ100とともに設けられる。また、本実施形態において、搬送路82に沿った方向、すなわち
図2の側面図の左右方向にX軸を設定し、X軸と直交する水平軸をY軸、上下方向の垂直軸をZ軸とする。
【0021】
本実施形態のリニアフィーダ1は、
図3に示すように、ステージS(
図1参照)上に固定される支持台10と、支持台10に対してXY平面において前後左右の4箇所に配置された防振用ばねユニット40〜40により弾性支持される固定台20と、固定台20に対してX軸方向前後に一対配置された駆動用ばね50,50によって弾性支持される可動台30と、可動台30と固定台20との間に設けられる加振手段60と、可動台30に対して連結板70によって支持される搬送台80と、駆動のための制御装置90を備えている。また、搬送台80に沿ってリターン機構2が設けられている。さらに、防振用ばね41の取付方向を変更するための第1の角度変更手段4及び第2の角度変更手段5を備えており、これらは後述するように可動台30に生ずる振動のZ軸方向の成分の大きさと、Y軸方向の成分の大きさとをそれぞれ変更可能としており、さらに、これらは協働して振動方向変更機構6を構成している。
【0022】
支持台10は、X軸方向を長手方向として略直方体形状をしており、X軸方向両端に可動ブロック11,11が、Z軸に平行な回転軸O1(
図11参照)回りに回動可能に備えられている。可動ブロック11,11には、Y軸に垂直な側面に、それぞれ2つのねじ穴12,12(
図5参照)が設けられ、後述する防振用ばねユニット40〜40の下部と固定することができるようになっている。
【0023】
固定台20は、支持台10の上方にあってX軸方向を長手方向とする略直方体形状をしており、X軸方向両端に可動ブロック21,21が、Z軸に平行な回転軸O2(
図11参照)回りに回動可能に備えられている。可動ブロック21は、図示しない止めねじ等を用いた固定手段を用いて、固定台20に対し任意の角度にした状態で固定し得るようにしている。可動ブロック21,21には、Y軸に垂直な側面にねじ穴22(
図5参照)が設けられ、後述する防振用ばねユニット40〜40の上部と固定することができるようになっている。また、固定台20のZ軸方向両端面にはそれぞれ、駆動用ばね50の上端を取り付けるための2つのねじ穴23,23(
図5参照)がY軸に平行に設けられている。さらに、固定台20の下面にはX軸方向に離間する2か所にY軸方向にわたって延在する凹部24,24が設けられ、一方の凹部24には加振手段60の一部を構成する固定側コア61が取り付けられ、他方の凹部24には固定台20の重量や重心位置を調整するためのウエイト25が取り付けられている。
【0024】
可動台30は、固定台20の下方であって支持台10の上方となる空間に位置し、X軸方向を長手方向とする略直方体形状をしており、Y軸と垂直な両側面で複数のボルト71によって連結板70と固定できるようになっている。また、可動台30のX軸方向両端面にはそれぞれ、駆動用ばね50の下端を取り付けるための2つのねじ穴31,31(
図5参照)がY軸に平行に設けられている。さらに、可動台30の上面には加振手段60の一部を構成する可動側コア62が取り付けられており、この可動側コア62は固定側コア61と対向するようになっている。
【0025】
また、可動台30のY軸に垂直な側面には、後述する防振用ばねユニット40〜40に対向する部分に位置合わせ穴32(
図10参照)が設けられている。
【0026】
加振手段60は、固定台20と可動台30の間に設けられ、上述した固定側コア61と可動側コア62とに加えて、コイル部63と、電磁石コア64とから構成される。固定側コア61は固定台20に固定され、固定側コア61に電磁石コア64が設けられ、この電磁石コア64の周囲を巻回するようにコイル部63が設けられている。さらに、可動側コア62が、固定側コア61及び電磁石コア64とX方向に対向するよう可動台30に固定されている。そして、コイル部63に電流を与えることにより、固定側コア61と電磁石コア64、可動側コア62に磁気回路を形成させて、固定台20と可動台30との間でX方向に磁気吸引力を生じさせ、駆動用ばね50,50を撓ませながら両者に相対変位を行わせることが可能となっている。そのため、コイル部63に交流電圧を印加することで生じる磁気吸引力を加振力として、固定台20と可動台30との間で振動を生じさせることが可能となっている。この際、固定台20と可動台30の振動方向は、両者を接続する駆動用ばね50,50や、固定台20を支持する防振用ばねユニット40の方向にも依存することになる。コイル部63に与える交流電圧の周波数は、固定台20と可動台30が逆方向に変位する所謂逆位相モードにおける固有振動数に一致させることが可動台30の変位を大きくするために好適である。
【0027】
搬送台80は、X軸方向を長手方向とする略直方体形状であり、上部の搬送部80aと下部の基台部80bとが固設されて形成される。搬送部80aは、上面にワークWが搬送される搬送路82(
図2参照)を有し、基台部80bは固定台20の上方にあって連結板70によって可動台30と連結されており、基台部80bを含む搬送台80がこの可動台30と連動して振動することで、搬送路82上のワークWを搬送することができる。なお、基台部80bと連結板70とはY軸と垂直な側面で複数のボルト81によって連結板70と固定される。
【0028】
搬送台80は、X軸方向を長手方向とする略直方体形状であり、上面にワークWが搬送される搬送路82(
図2参照)を有する。この搬送台80は、固定台20の上方で連結板70によって連結された可動台30と連動して振動することで、搬送路82上のワークWを搬送することができる。搬送台80と連結板70とはY軸と垂直な側面で複数のボルト81によって連結板70と固定される。
【0029】
搬送路82は、
図8に示すように、底面部82aと側壁部82bとを備え、
図2及び
図8に示すように、上流側で底面がX軸回りに傾斜している傾斜領域L1と、下流側で底面が水平となる水平領域L2から構成される。傾斜領域L1は、始端側の傾斜をボウルフィーダ100の搬送路101の傾斜に合致させ、後方に向かってねじれるように傾斜角が変更され水平領域L2に滑らかに繋がるようにしている。また、傾斜領域L1には、
図8(a)に示すように、搬送路82に沿ってワークWの動作を規制するカバー83が設けられている。これは、搬送路82の底面部82aが傾斜していることによるワークWの不安定性を補うためのものであり、搬送路82よりワークWが転げ落ちるようにして飛び出すことを防止するものとなっている。水平領域L2は、ワークWの挙動が比較的安定しており、後に詳述する振動方向変更機構6によって、ワークWの重なりを抑えることができることから、
図8(b)に示すように、カバー83を設置することなく上部空間を開放している。
【0030】
図3に示す駆動用ばね50は板ばねで構成され、固定台20及び可動台30のX軸方向両端にそれぞれ設けられており、
図5に示すように、一端側に2個の貫通孔51,51が、他端側に2個の貫通孔52,52が設けられている。この貫通孔51,51と固定台20のねじ穴23,23にボルト51a,51aを螺入し、貫通孔52,52と可動台30のねじ穴31,31にボルト52a,52aを螺入することで、駆動用ばね50はX軸方向両端において固定台20と可動台30とを弾性的に連結する。なお、
図3に示すように、X軸方向両端の駆動用ばね50,50はX軸に垂直な状態からY軸回りに傾斜して、略平行に取り付けられている。これによって、駆動用ばね50,50はその取付方向と垂直な方向に撓むことができるため、可動台30及び可動台30に連結される搬送台80にXZ平面において斜めの振動を生じさせることができ、ワークWを上記の傾斜した方向とは逆方向に、搬送路82に沿って搬送することが可能となっている。
【0031】
防振用ばねユニット40〜40は、防振用ばね41(
図7参照)を中心に構成され、支持台10のX軸方向両端に備えられた可動ブロック11と固定台20のX軸方向両端に備えられた可動ブロック21とをY軸に垂直な各側面において連結しており、これによってX軸方向前後2か所の側面の計4か所で支持台10と固定台20とを連結している。なお、4か所それぞれの防振用ばねユニット40は同様の構成である。
【0032】
防振用ばねユニット40は、
図5および
図6に示すように、防振用ばね41を板ばねによって構成するとともに、この防振用ばね41をX軸方向前後一対に設け、防振用ばね41,41の間で支持部材42を挟持することによって構成されている。各防振用ばねに41には、
図7に示すように、長手方向の上端と下端に、中心に向かってU字状に切りかかれた凹部41a,41bが形成され、これらの凹部41a,41bを利用して支持部材42に取り付けられている。
【0033】
図5および
図6に示すように、支持部材42は第1の支持部材43と第2の支持部材44とから構成され、第1の支持部材43と第2の支持部材44とはわずかな隙間48を隔てて防振用ばね41に支持されている。
【0034】
第1の支持部材43は、防振用ばね41,41間の上部に配置され、角柱状に形成されている。また、その上端部にはY軸と平行に回動用貫通孔43aが設けられ、回動用貫通孔43aの下部にはX軸と平行にばね固定孔43bが設けられている。また、
図6に示すように、X軸に垂直な面にはばね取付面43cが設けられ、ばね取付面43cに当接するように防振用ばね41が取り付けられる。さらに、第1の支持部材43の下端部にはY軸と平行に位置合わせ溝43dが設けられており、防振用ばねユニット40の角度調整時には、図示しない位置合わせ用ピンをいずれかの位置合わせ穴32(
図10参照)に挿入して、この位置合わせ穴32と位置合わせ溝43dとがY軸方向から見て同じ位置になるようにすることで、角度調整を簡単に行うことが可能となっている。
【0035】
第2の支持部材44は、角柱状の被挟持部44aと、回動案内部44bとから一体的に形成されている。被挟持部44aは、防振用ばね41の下部で防振用ばね41の間に挟持され、回動案内部44bは防振用ばね41の下部でX軸方向に延びている。被挟持部44aにはX軸方向に貫通するばね固定孔44cが設けられており、回動案内部44bには、回動用貫通孔43aを中心とする側面視において円弧状に形成されたガイド孔44dが形成されている。そして、被挟持部44aのX軸に垂直な面にはばね取付面44eが設けられ、ばね取付面44eに当接するように防振用ばね41が取り付けられる。
【0036】
また、第1の支持部材43および第2の支持部材44の被挟持部44aのX軸方向の幅は、それぞれ一対の防振用ばね41,41の間隔と同等の寸法に設定されている。
【0037】
そして、第1の支持部材43と第2の支持部材44とは、第1の支持部材43のばね固定孔43bと防振用ばね41の凹部41a(
図7参照)とにボルト45を挿入してナット45aによって締め付け、第2の支持部材44のばね固定孔44cと防振用ばね41の凹部41b(
図7参照)とにボルト45を挿入してナット45aによって締め付けることで防振用ばね41を介して弾性的に連結される。
【0038】
以上のような防振用ばねユニット40は、
図5及び
図6に示すように、2本のボルト47をガイド孔44dおよびねじ穴12に螺入し、回動用ボルト46を回動用貫通孔43aおよび固定台20のねじ穴22に螺入することで、支持台10の可動ブロック11と固定台20の可動ブロック21とを連結している。
【0039】
ここで、防振用ばね41の取付方向は、第1の支持部材43のばね取付面43c及び第2のばね取付部材44のばね取付面44eによって規定され、前述の駆動用ばね50と略平行となるよう設けられる。この防振用ばね41の取付方向を変更することによって、支持台10に対する固定台20の振動方向を変更することができるため、結果として、固定台20と接続される可動台30、可動台30と接続される搬送台80の振動方向を変更することも可能となっている。後述する第1の角度変更手段4及び第2の角度変更手段5は、この防振用ばね41の取付方向を変更するためのものとなっている。
【0040】
制御装置90は、
図3に示すように、駆動制御手段91とワーク判別手段92を具備して、リニアフィーダ1によるワークWの搬送を制御する。
【0041】
また、
図4は本実施の形態において搬送されるワークWの形状の一例を模式的に示す斜視図である。本実施形態におけるワークWは直方体形状をしており、長手方向端部の両側に突出部Waを有する。このワークWは、
図1に示す本実施形態のボウルフィーダ100を経てリニアフィーダ1の長手方向に向かって搬送される。なお、ボウルフィーダ100およびリニアフィーダ1の振動条件によっては、搬送される前後のワークW,Wの突出部Wa同士がひっかかり、整列搬送を妨げることがある。
【0042】
ここで、
図3を参照して上記構成の連結関係をもう一度説明すると、ステージSに固定された支持台10は防振用ばねユニット40〜40によってその上方の固定台20と弾性的に連結され、固定台20は駆動用ばね50,50によってその下方に位置し、支持台10の上方にある可動台30と弾性的に連結され、可動台30は連結板70,70によって固定台20の上方にある搬送台80と連結されるという構成になっている。このような構成から、防振用ばねユニット40と駆動用ばね50とは、Z軸方向すなわち上下方向において同じ位置になる部分が存在する。
【0043】
この構成によれば、リニアフィーダ1の上下方向の寸法を小さくすることができ、リニアフィーダ1の低背化を実現することができるとともに、可動台30及び搬送台80と固定台20との重心位置を近づけることができるため、可動台30の振動時に搬送台80の振動が安定し、その分だけ安定したワークWの搬送を実現することができる。
【0044】
以上のように構成されたリニアフィーダ1が搬送路82上のワークWを搬送する際には、制御装置90の備える駆動制御手段91が加振手段60へ加振指令として交流電圧を与えることで、固定台20と可動台30とが駆動用ばね50を介して互いに逆方向に振動し、これによって可動台30と連結板70によって連結される搬送台80が振動して、ワークWが搬送される。
【0045】
ところで、搬送対象となるワークWの種類や供給量によっては、搬送中のワークWの動作が不安定になる場合も考えられる。また、ボウルフィーダ100の搬送路101(
図1参照)とリニアフィーダ1の搬送路82とはわずかに離間して設けられているものの、ボウルフィーダ100の振動はステージSを介してリニアフィーダ1にも伝わるため、この振動によって搬送中のワークWの動作が不安定になる可能性も生じている。
【0046】
このようなワークWの動作を防ぐために、本実施形態におけるリニアフィーダ1では、振動方向変更機構6を構成する第1の角度変更手段4及び第2の角度変更手段5を用いて搬送路82の振動方向を変更することで、ワークWのZ軸方向への飛び跳ねやY軸方向への蛇行を抑え、搬送路82を構成する底面部82aと側壁部82bに沿って適切に搬送させることが可能となっている。
【0047】
以下に、
図10及び
図11を参照しながら、第1の角度変更手段4を用いて第1の支持部材43及び第2の支持部材44におけるばね取付面43c,44e(
図6参照)の方向をY軸回りに変更し、第2の角度変更手段5を用いて第1の支持部材43及び第2の支持部材44におけるばね取付面43c,44eの方向をZ軸回りに変更することで、搬送路82の振動方向を変更可能である点について説明する。
【0048】
まず、第1の角度変更手段4は、防振用ばねユニット40によって構成される。
図10は4か所に取り付けられる防振用ばねユニット40〜40のうち、X軸方向上流側の1つを示すが、他の防振用ばねユニット40〜40も同様の構成である。この図において、ワークWは右向きに搬送される。第1の角度変更手段4は、
図10に示す第1の取付部材43を取り付ける回動用ボルト46および第2の取付部材44を取り付けるガイド用ボルト47,47を緩めて防振用ばねユニット40を回動用貫通孔43aを中心に回動可能とし、この状態で防振用ばねユニット40を回動案内部44bの許容範囲内で回動させることで、第1の支持部材43及び第2の支持部材44におけるばね取付面43c,44e(
図6参照)の方向をY軸回りに変更することができ、これによって防振用ばね41の取付方向をY軸回りに変更することが可能となる。具体的には、
図10(a)のように防振用ばねユニット40を時計回りに回転させ、XZ平面において防振用ばね41の姿勢を搬送路82に対して立たせると、Z軸方向の振動成分が減少し、Z軸方向の防振機能が低下するため、ワークWの上下方向への移動量が増加する。一方、
図10(b)のように防振用ばねユニット40を反時計回りに回転させ、XZ平面において防振用ばね41の姿勢を搬送路82に対して寝かせると、Z軸方向の振動成分が増加し、Z軸方向の防振機能が向上するため、ワークWの上下方向への移動量が減少する。
【0049】
なお、第1の角度変更手段4は、上記の構成を採っていることから、前後左右の4箇所に配置された防振用ばねユニット40〜40ごとにばねの姿勢を変更させることが可能となっている。
【0050】
次に、第2の角度変更手段5は、支持台10に設けられた可動ブロック11及び固定台20に設けられた可動ブロック21から構成される。
図11はX軸方向前後2か所に取り付けられる可動ブロック11,21のうち、上流側のものを示すが、下流側のものも同様の構成である。この図において、ワークWは右向きに搬送される。第2の角度変更手段5は、
図11に示す可動ブロック11及び可動ブロック21を回転軸O1および回転軸O2回りに回転させることで可動ブロック11及び可動ブロック21に取り付けられている防振用ばねユニット40の搬送台80に対する角度をZ軸回りに変更する。これによって搬送台80に対する防振用ばね41の角度も変更することが可能となる。具体的には、
図11(a)においては防振用ばね41の振動にY軸成分は含まれない(矢印A1参照)が、
図11(b)のように可動ブロック11,21および防振用ばねユニット40を回転させることで、防振用ばね41の振動にY軸成分を含むようになる(矢印A2参照)。このY軸成分の振動によって、搬送路82上のワークWは側壁部82b(
図11(b)では下側の側壁)に押し当てられるような制御を行うことが可能となっている。
【0051】
以上をまとめると、第1の角度変更手段4は、ばね取付面43c,44eの方向をY軸回りに変更することで防振用ばね41の取付方向をY軸回りに変更することで、搬送台80に生じる振動のうちX軸方向の振動成分とZ軸方向の振動成分とを変更することが可能であり、ワークWの上下方向への移動量を適正化して搬送路82の底面部82aに沿って移動させ、上下方向に対するワークW同士の重なりや、搬送路82からのワークWの飛び出しを防止することが可能となっている。
【0052】
また、第2の角度変更手段5は、ばね取付面43c,44eの方向をZ軸回りに変更し、搬送台80のZ軸回りの振動方向を変更することができるため、搬送台80に生じる振動のうちX軸方向の振動成分とY軸方向の振動成分とを変更することが可能であり、ワークWを搬送路82の側壁部82bに押し当てるような振動方向に設定することで、ワークWを側壁部82bに沿って整列させた状態で移動させ、Y軸方向へのワークWの重なりを防止することが可能となっている。
【0053】
さらに、前後2対の防振用ばねユニット40,40がY軸方向に離間して設けられておいることから、第1の角度変更手段4が防振用ばねユニット40〜40ごとに防振用ばね41の姿勢を変更させることで、搬送台80がX軸回りに揺動するローリング現象を防ぐことも可能となっている。
【0054】
次に、
図9を参照して、ワークWの排除を行う動作を説明する。搬送路82を搬送されるワークWは、ワーク検出手段85によって成形不良や位置ずれの生じているワーク等の問題のあるワークW´を検出する。制御装置90の備えるワーク判別手段92は、ワーク検出手段85の検出信号を基にワーク排除手段84に対して排除指令を出力する。ワーク排除手段84は搬送路82の水平領域L2に設けられ(
図2参照)、当該ワーク排除手段84の設けられる位置において、搬送路82の側面は片側が開放されている。ワーク排除指令を受けたワーク排除手段84は、ワークW´に対してエアーを吹き付けることで、当該ワークW´を、解放された搬送路82からリターン機構2に吹き落とす。リターン機構2に落下したワークW´は、リターン機構2上を搬送され、受箱3(
図2参照)に回収される。
【0055】
以上のように、本実施形態のワーク搬送装置であるリニアフィーダ1は、支持台10と、支持台10に対して防振用ばね41〜41により弾性支持される固定台20と、駆動用ばね50,50によって固定台20に対して弾性支持される可動台30と、可動台30に接続されて一体的に動作する搬送台80と、可動台30及び固定台20の間に設けられる加振手段60とを備え、加振手段60により与えられる加振力によって前記可動台30に振動を生じさせることで搬送台80に設定された搬送路82上でワークWを搬送するものであって、防振用ばね41〜41の取付方向を変更することで、加振力により可動台30に生ずる振動に含まれる上下方向であるZ軸方向の成分の大きさと、搬送路82の延在方向であるX軸方向に直交する水平方向であるY軸方向の成分の大きさとをそれぞれ変更可能な振動方向変更機構6を備えており、振動方向変更機構6によって搬送路82を構成する底面部82aと側壁部82bとに沿ってワークWを搬送し得るように構成したものである。
【0056】
このように構成しているため、振動方向変更機構6を用いて、駆動用ばね50,50及び防振用ばね41〜41の取付方向を変更することにより、加振手段60によって同じ加振力を与えた場合であっても、可動台30に生じる振動のZ軸方向の成分の大きさと、Y軸方向の成分の大きさとをそれぞれ変更することで、これらの方向に対するワークWの移動量を適正化することができる。そして、搬送路82を構成する底面部82aと側壁部82bとに沿ってワークWを円滑に搬送することが可能となるため、搬送路82からのワークWの飛び出しや、ワークW同士の重なりを防止することができ、これらを防ぐためのカバー83をほとんど設けることも不要となる。さらに、搬送路82上に設けるカバー83の設置領域を少なくすることで、カバー83内でのワークWの詰まりを抑制するとともに、ワークWの外観検査が容易に行うこともできる。また、リニアフィーダ1のコストダウンを図ることも可能である。
【0057】
さらに、搬送路82が底面部82aを水平に設定された水平領域L2を備えており、この水平領域L2において上部空間を開放されていることから、上記の特徴と相俟って水平領域L2では安定してワークWを搬送させることができるため、カバー83を設置する領域を減らすことが可能となり、カバー83内での詰まり等による不具合の発生を一層抑制することが可能となる。
【0058】
そして、振動方向変更機構6が、防振用ばね41の取付方向を変更可能とするものであることから、固定台20と、可動台30と、これらを接続する駆動用ばね50と、固定台20及び可動台30の間に設けられる加振手段60からなる主要部分の構成や配置を変更すること無く、支持台10に対して固定台20を支持する防振用ばね41の取付方向を変更するのみで、容易に可動台30の振動方向を変更することが可能となっている。
【0059】
また、振動方向変更機構6が、防振用ばね41の取付方向を搬送路82の延在するX軸方向と直交する水平軸であるY軸回りに変更可能とする第1の角度変更手段4と、防振用ばね41の取付方向を垂直軸であるZ軸回りに変更可能とする第2の角度変更手段5とを備えるように構成しているため、加振手段60による加振力により可動台30に生ずる振動に含まれる上下方向の成分の大きさと、搬送路82の延在するX軸方向に直交するY軸方向の成分の大きさとを独立して容易に変更可能とすることができ、搬送中のワークWの移動量をより詳細に調整することが可能となっている。
【0060】
さらに、防振用ばね41を板ばねとしており、Y軸方向に離間する2か所において支持台10にそれぞれ取り付けられた第1の支持部材43と、これら第1の支持部材43に相対するよう固定台20にそれぞれ取付けられた第2の支持部材44とを備えており、これら第1の支持部材43と第2の支持部材44はY軸と略直交するばね取付面43c,44eをそれぞれ設けられており、第1の支持部材43及び第2の支持部材44の各ばね取付面43c,44eに板ばねにより構成した防振用ばね41の両端部が接続されるように構成しているため、防振用ばね41の弾性支持方向を限定し振動制御を容易にするとともに、簡単な部品構成としてコストの低減を図り、さらに、X軸回りに搬送台80が揺動するローリング現象を発生させることなく適切な振動を与えることも可能である。また、防振用ばね41を第1の支持部材43及び第2の支持部材44に先に取り付けるため、防振用ばねユニット40して構成でき、取り扱いや取付けをより簡単に行うことも可能である。
【0061】
加えて、第1の角度変更手段4が前記第1の支持部材43及び第2の支持部材44におけるばね取付面43c,44eの方向をY軸回りに変更可能とするものであり、第2の角度変更手段5が第1の支持部材43及び第2の支持部材44におけるばね取付面43c,44eの方向をZ軸回りに変更可能とするものであるため、容易に防振用ばね41の取付方向を変更することが可能である。また、このように構成すると、第1の角度変更手段4により、搬送台80に生じる振動のうちX軸方向の振動成分とZ軸方向の振動成分とを変更することが可能となり、第2の角度変更手段5により、搬送台80に生じる振動のうちX軸方向の振動成分とY軸方向の振動成分とを変更することが可能となる。
【0062】
そして、搬送路82上のワークWを検出するワーク検出手段85と、ワーク検出手段85により得られる検出信号を基にワークWの良否を判別するワーク判別手段92と、ワーク判別手段92による判別結果に基づきワークWを搬送路82上より排除可能とするワーク排除手段84とを備えているため、搬送路82の振動が適正化され、ワークWが整列して規則正しく搬送される効果と相俟って、ワーク検出手段85によるワークWの検出を精度良く行うことができ、このワーク検出手段85による検出信号に基づくことでワークWの良否を正確に判別することができるため、排除すべきワークW´をワーク排除手段84によってより正確に排除することが可能である。また、搬送路82にカバー83を設ける領域を少なくできる効果と相俟って、これらワーク検出手段85やワーク排除手段84の設置位置の自由度が増すことで、ワークWの検出や排除の精度を向上するとともに、多様な設計を行うことも可能である。
【0063】
なお、各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではない。
【0064】
例えば、本実施形態では、支持台10および固定台20に設けられた可動ブロック11および可動ブロック21は幅方向(Y軸方向)に連続して両側面の防振用ばねユニット40の角度を連動して変更する構成としていたが、可動ブロック11及び可動ブロック21は幅方向に分割されていてもよい。この場合、両側面の防振用ばねユニット40の角度をそれぞれ独立に変更することができるため、より精密な振動方向の調節が可能となる。
【0065】
また、第2の角度変更手段5は支持台10および固定台20に設けられた可動ブロック11および可動ブロック21をZ軸回りに回転させることでばね取付面43c,44eの方向を変更し、防振用ばね41の取付方向を変更していたが、
図12及び13に示すように、第1の中間部材110と第1の内側三角柱部材111とから第1の支持部材43を構成して第1の内側三角柱部材111のX軸方向端部をばね取付面111aとし、第2の中間部材120と第2の内側三角柱部材121とから第2の支持部材44を構成して第2の内側三角柱部材121のX軸方向端部をばね取付面121aとして、防振用ばね41を第1の内側三角柱部材111と第1の外側三角柱部材112及び第2の内側三角柱部材121と第2の外側三角柱部材122によって挟み込みつつボルト130,130によって第1の支持部材43及び第2の支持部材44に取り付けることによって防振用ばね41の取付方向を変更することも可能である。この場合、角度の異なる内側三角柱部材111,121及び外側三角部材112,122を複数用意して、これを適宜変更して用いることにより、ばね取付面111a及びばね取付面121aの方向を変更することで、防振用ばね41の取付方向を変更することができ、可動台30のY軸方向の振動成分の大きさを変更することが可能となる。
【0066】
さらに、振動方向変更機構6を、第1の角度変更手段4のみで構成することも可能である。その場合には、
図14に示すように、第1の角度変更手段4を構成している、幅方向(Y軸方向)に離間する一対の防振用ばねユニット40,40の角度を互いに異なるよう取り付ければよい。すなわち、一対の防振用ばねユニット40,40の角度を互いに異ならせた状態とすることにより、支持台10に対して固定台20がX軸方向に変位する際にY軸方向への変位を伴わせることも可能となる。そのため、固定台20と、これに駆動用ばね50により接続された可動台30との間でX軸方向に加振力を与えた場合、両者に生ずるX軸方向の振動に伴って、Y軸方向への振動も生じさせることができる。このようにすることで、第1の角度変更手段4のみを振動方向変更機構6として利用し、防振用ばねユニット40,40の角度を調整することで、Z軸方向の振動成分の大きさを変更するとともに、Y軸方向の振動成分の大きさを変更することが可能となる。
【0067】
また、本実施形態においては、振動方向変更機構6を構成する第1の角度変更手段4及び第2の角度変更手段5はいずれも防振用ばね41の取付方向を変更するよう構成されているが、駆動用ばね50の取付方向を変更するよう構成してもよい。
【0068】
また、本実施形態において、搬送路82は、底面部82aの両側に側壁部82bを備えるよう構成されていたが、側壁部82bを片側のみに設け、ワークWをその側壁部82bに押し当てつつ搬送する構成とすることも可能である。
【0069】
さらに、搬送路82の両側ともに側壁部82bを設けない構成としても、第1の角度調整手段4及び第2の角度調整手段5を調整することで、Y軸方向への振動が生じないようにし、ワークWを整列した状態で適切に搬送することが可能である。
【0070】
さらに、本実施形態においては、防振用ばねユニット40が固定台20および可動台30のY軸方向両側に振り分けられて構成されていたが、駆動用ばね50と同様固定台20および可動台30のX軸方向両側に設置する構成としてもよい。その場合にもX軸方向の角度調節を行うには、例えば防振用ばねユニット40と固定台20および可動台30との間に厚さの異なるスペーサを設けつつ、それぞれをボルトで固定することが考えられる。
【0071】
また、リターン機構2によって搬送されるワークW´は受箱3に回収されたが、ボウルフィーダ100の底部に排出する構成としてもよい。
【0072】
その他の構成も、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。