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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-101576(P2015-101576A)
(43)【公開日】2015年6月4日
(54)【発明の名称】皮膚身体殺菌洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/44 20060101AFI20150508BHJP
   C11D 3/48 20060101ALI20150508BHJP
   C11D 1/10 20060101ALI20150508BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20150508BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20150508BHJP
【FI】
   A61K8/44
   C11D3/48
   C11D1/10
   A61Q19/10
   A61K8/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-245177(P2013-245177)
(22)【出願日】2013年11月27日
(71)【出願人】
【識別番号】000190736
【氏名又は名称】株式会社ニイタカ
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾崎 恵太
【テーマコード(参考)】
4C083
4H003
【Fターム(参考)】
4C083AB032
4C083AC102
4C083AC302
4C083AC471
4C083AC472
4C083AC661
4C083AC662
4C083BB48
4C083CC23
4C083DD23
4C083EE07
4H003AB09
4H003BA12
4H003DA02
4H003EA21
4H003EB04
4H003EB08
4H003ED02
4H003FA28
4H003FA34
(57)【要約】
【課題】優れた洗浄殺菌性能を発揮し得る皮膚身体殺菌洗浄剤を提供すること。
【解決手段】フェノール系殺菌剤を0.2重量%以上と、脂肪酸アシルグルタミン酸エタノールアミンを0.1重量%以上とを含み、pHが5.8以下であることを特徴とする皮膚身体殺菌洗浄剤組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェノール系殺菌剤を0.2重量%以上と、
脂肪酸アシルグルタミン酸エタノールアミンを0.1重量%以上とを含み、
pHが5.8以下であることを特徴とする皮膚身体殺菌洗浄剤組成物。
【請求項2】
前記脂肪酸アシルグルタミン酸エタノールアミンを2.0重量%以上含む請求項1に記載の皮膚身体殺菌洗浄剤組成物。
【請求項3】
前記脂肪酸アシルグルタミン酸エタノールアミンを25.0重量%以下含む請求項1又は2に記載の皮膚身体殺菌洗浄剤組成物。
【請求項4】
前記フェノール系殺菌剤は、トリクロサン及びイソプロピルメチルフェノールからなる群から選択された少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の皮膚身体殺菌洗浄剤組成物。
【請求項5】
前記脂肪酸アシルグルタミン酸エタノールアミンは、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸トリエタノールアミン及びラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミンからなる群から選択された少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の皮膚身体殺菌洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚身体殺菌洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
外食産業の厨房、洗面所、食品加工工場、介護施設、病院等において、食中毒予防のために手指の洗浄及び殺菌が行われている。手指の洗浄及び殺菌は、手指を一度洗浄し、その後に殺菌するという方法もあるが、当該施設等の作業者は多忙などを理由に手洗いにかけられる時間が短いため、一度にかつ短時間で洗浄及び殺菌を行うことができることが望ましい。
【0003】
特許文献1には、アシルアミノ酸型アニオン性界面活性剤と両性界面活性剤と、特定分子量のポリエチレングリコールとを含有し、皮膚へのマイルド性、低温安定性及び泡質の改善を図った液体洗浄剤組成物が開示されている。
また、特許文献2においては、アシルアミノ酸トリエタノールアミン塩とその他界面活性剤を含有するポンプフォーマー容器充填用液状洗浄剤組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許5038860号公報
【特許文献2】特許4558514号公報
【特許文献3】特開2011−256301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1および特許文献2に記載の液体洗浄剤組成物やポンプフォーマー容器充填用液状洗浄剤組成物には、殺菌剤が配合されていないため、皮膚に付着した細菌等への殺菌性能は期待できない。
【0006】
特許文献3には、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール及びパラクロロメタキシレノールからなる群から選ばれる少なくとも1種の殺菌剤、グリセリルエーテル並びにアニオン界面活性剤としてのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を含む皮膚殺菌洗浄剤組成物が開示されている。
従来、界面活性剤を含む組成物にフェノール系殺菌剤を配合すると、高濃度の界面活性剤中では活性剤ミセル中にフェノール系殺菌剤が取り込まれ、不活化してしまい、殺菌効果が低下する傾向にあることが知られていた。そこで、特許文献3では、組成物の殺菌性能及び安定性を保つために殺菌剤に加え、グリセリルエーテル、アニオン界面活性剤のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を配合している。
しかし、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩は、殺菌性能に格別寄与する成分ではなく、このような成分を入れずに優れた殺菌性能を発揮し得る皮膚身体殺菌洗浄剤組成物は得られていなかった。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、優れた洗浄殺菌性能を発揮し得る皮膚身体殺菌洗浄剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、界面活性剤として知られている化合物のうち、脂肪酸アシルグルタミン酸エタノールアミンはフェノール系殺菌剤との相溶性に優れており、高濃度の界面活性剤中においても殺菌効果が低下しにくいことを発見した。そして、脂肪酸アシルグルタミン酸エタノールアミンとフェノール系殺菌剤を混合した場合には可溶化のために必要な成分を配合する必要はないことを見出した。
さらに、フェノール系殺菌剤と脂肪酸アシルグルタミン酸エタノールアミンを混合すると、フェノール系殺菌剤を加えた場合に予想される殺菌性能を超えて優れた殺菌性能を有すること、すなわち、脂肪酸アシルグルタミン酸エタノールアミンにはフェノール系殺菌剤の殺菌作用を促進する作用があることを見出した。その結果、本発明に想到した。
【0009】
すなわち、本発明の皮膚身体殺菌洗浄剤組成物は、フェノール系殺菌剤を0.2重量%以上と、
脂肪酸アシルグルタミン酸エタノールアミンを0.1重量%以上とを含み、
pHが5.8以下であることを特徴とする。
【0010】
本発明の皮膚身体殺菌洗浄剤組成物は、殺菌剤としてのフェノール系殺菌剤に加え、殺菌性能を促進する脂肪酸アシルグルタミン酸エタノールアミンを含んでいるため優れた洗浄殺菌性能を発揮することができる。この配合であると、可溶化のために必要な成分を配合する必要はないため、製造時の手間が少なく及びコスト面でも有利である。
また、pHを5.8以下とすることによって殺菌力を好適に発揮させることができる。
【0011】
本発明の皮膚身体殺菌洗浄剤組成物では、上記脂肪酸アシルグルタミン酸エタノールアミンを2.0重量%以上含むことが望ましい。
脂肪酸アシルグルタミン酸エタノールアミンの配合量が2.0重量%以上であると、組成物が透明液状となるので組成物の均一性の観点及び外観の観点から好ましい。
【0012】
本発明の皮膚身体殺菌洗浄剤組成物では、上記脂肪酸アシルグルタミン酸エタノールアミンを25.0重量%以下含むことが望ましい。
脂肪酸アシルグルタミン酸エタノールアミンは、殺菌促進作用があるものの、多く配合しすぎると殺菌力が低下する傾向があるため、配合量が25.0重量%以下であることが好ましい。
【0013】
本発明の皮膚身体殺菌洗浄剤組成物では、上記フェノール系殺菌剤は、トリクロサン及びイソプロピルメチルフェノールからなる群から選択された少なくとも1種であることが望ましい。
また、本発明の皮膚身体殺菌洗浄剤組成物では、上記脂肪酸アシルグルタミン酸エタノールアミンは、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸トリエタノールアミン及びラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミンからなる群から選択された少なくとも1種であることが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の皮膚身体殺菌洗浄剤組成物は、優れた洗浄殺菌性能を発揮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の皮膚身体殺菌洗浄剤組成物は、フェノール系殺菌剤を0.2重量%以上と、
脂肪酸アシルグルタミン酸エタノールアミンを0.1重量%以上とを含み、
pHが5.8以下であることを特徴とする。
なお、本明細書中における各成分の配合比(重量%)は純分基準である。
【0016】
フェノール系殺菌剤としては、イソプロピルメチルフェノール(3−メチル−4−イソプロピルフェノール、5−メチル−2−イソプロピルメチルフェノール(チモール)、2−メチル−5−イソプロピルメチルフェノール(カルバクロール)等)、トリクロサン、トリクロロカルバニリド、トリクロロヒドロキシジフェニルエーテル、パラクロロキシレノール、オルトクロロフェノール(2−クロロフェノール)等が挙げられる。
フェノール系殺菌剤は、これらのうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのフェノール系殺菌剤の中では、イソプロピルメチルフェノール又はトリクロサンが望ましい。
【0017】
フェノール系殺菌剤の配合量は0.2重量%以上である。フェノール系殺菌剤を0.2重量%以上含むことによって、洗浄殺菌性能が好適に発揮される。
フェノール系殺菌剤の配合量は0.3重量%以上であることが望ましく、0.4重量%以上であることがより望ましい。
また、フェノール系殺菌剤の配合量は2.0重量%以下であることが望ましく、1.0重量%以下であることがより望ましい。
フェノール系殺菌剤の配合量を2.0重量%を超えて配合しても、殺菌力がそれ以上向上しないため望ましくない。また、フェノール系殺菌剤の配合量を2.0重量%を超えて配合すると溶液が白濁化することがある。
なお、フェノール系殺菌剤を2種以上組み合わせて用いる場合のフェノール系殺菌剤の配合量は2種以上のフェノール系殺菌剤の合計量として定める。
【0018】
脂肪酸アシルグルタミン酸エタノールアミンは、脂肪酸アシルグルタミン酸とエタノールアミンの塩である。
塩がエタノールアミン塩であることが、本願発明の効果を発揮するためには必要であり、ナトリウム塩やカリウム塩では本願発明の効果が好適に発揮されない。
脂肪酸アシルグルタミン酸としては、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸(N−ヤシ油脂肪酸アシル−L−グルタミン酸)、ラウロイルグルタミン酸(N−ラウロイル−L−グルタミン酸)、N−ミリストイル−L−グルタミン酸、N−ステアロイル−L−グルタミン酸、パーム脂肪酸グルタミン酸が挙げられる。これらの中では、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸又はラウロイルグルタミン酸が望ましい。
エタノールアミンとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、及び、トリエタノールアミンが挙げられるが、これらの中ではトリエタノールアミンが望ましい。
上記脂肪酸アシルグルタミン酸とエタノールアミンからなる、脂肪酸アシルグルタミン酸エタノールアミンとしては、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸モノエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸ジエタノールアミン、ヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸トリエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸モノエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸ジエタノールアミン、ラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミン、N−ミリストイル−L−グルタミン酸モノエタノールアミン、N−ミリストイル−L−グルタミン酸ジエタノールアミン、N−ミリストイル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、N−ステアロイル−L−グルタミン酸モノエタノールアミン、N−ステアロイル−L−グルタミン酸ジエタノールアミン、N−ステアロイル−L−グルタミン酸トリエタノールアミン、パーム脂肪酸グルタミン酸モノエタノールアミン、パーム脂肪酸グルタミン酸ジエタノールアミン、パーム脂肪酸グルタミン酸トリエタノールアミンが挙げられ、これらの中ではヤシ油脂肪酸アシルグルタミン酸トリエタノールアミン又はラウロイルグルタミン酸トリエタノールアミンであることが望ましい。
脂肪酸アシルグルタミン酸エタノールアミンは、これらのうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】
脂肪酸アシルグルタミン酸エタノールアミンの配合量は0.1重量%以上である。脂肪酸アシルグルタミン酸エタノールアミンを0.1重量%以上含むことによって、脂肪酸アシルグルタミン酸エタノールアミンによる殺菌促進性能が好適に発揮される。
脂肪酸アシルグルタミン酸エタノールアミンの配合量は1.0重量%以上であることが望ましく、2.0重量%以上であることがより望ましい。
脂肪酸アシルグルタミン酸エタノールアミンの配合量が1.0重量%以上であると、組成物中に沈殿が発生することが防止されるため好ましく、2.0重量%以上であると、組成物が透明液状となるので組成物の均一性の観点及び外観の観点からより好ましい。
また、脂肪酸アシルグルタミン酸エタノールアミンの配合量は25.0重量%以下であることが望ましく、20.0重量%以下であることがより望ましい。
なお、脂肪酸アシルグルタミン酸エタノールアミンを2種以上組み合わせて用いる場合の脂肪酸アシルグルタミン酸エタノールアミンの配合量は2種以上の脂肪酸アシルグルタミン酸エタノールアミンの合計量として定める。
【0020】
本発明の皮膚身体殺菌洗浄剤組成物は、pHが5.8以下となっている。pHが5.8以下であると殺菌力が好適に発揮される。pHは5.5以下であることがより好ましく、5.0以下であることがさらに好ましい。
pHの下限値は特に限定されるものではないが、皮膚身体殺菌洗浄剤組成物が身体に付着した際の安全性を考慮すると、pHが3.0以上であることが好ましく、4.0以上であることがより好ましい。
【0021】
本発明の皮膚身体殺菌洗浄剤組成物には、pHを好適な範囲に調整するためにpH調整剤が含まれていてもよい。pH調整剤の例としては、酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、有機アミン類等が挙げられる。
これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
また、本発明の皮膚身体殺菌洗浄剤組成物には、溶剤が含まれていてもよい。溶剤としては、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノールなどの低級アルコール類、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、1,3−ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、などの多価アルコール類を用いることができる。
これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶剤が含まれる場合、その配合量は1〜10重量%であることが望ましく、3〜7重量%であることがより望ましい。
【0023】
本発明の皮膚身体殺菌洗浄剤組成物には、残部としての水が含まれる。水としては水道水、蒸留水、精製水又はイオン交換水等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。特に、不純物の少なさ及び経済性の点から精製水であることが望ましい。
【0024】
本発明の皮膚身体殺菌洗浄剤組成物には、皮膚身体用の殺菌洗浄剤組成物に含まれてもよい他の成分として、脂肪酸アシルグルタミン酸エタノールアミン以外の界面活性剤、保湿剤、増粘剤、キレート剤、薬効成分、防腐剤、色素、顔料、紫外線吸収剤、抗酸化剤、香料、染料などを適宜配合することができる。
【0025】
本発明の皮膚身体殺菌洗浄剤組成物は、常法に従って製造することができる。例えば、皮膚身体殺菌洗浄剤組成物を構成する各成分を適宜混合し、ミキサーを用いて攪拌することにより製造することができる。
【0026】
本発明の皮膚身体殺菌洗浄剤組成物は、皮膚身体用の殺菌洗浄剤組成物として用いられるものであり、ハンドソープ等の手指用の殺菌洗浄剤として用いられることが望ましい。その他、ボディシャンプー、ヘアーシャンプー、洗顔料等として用いることもできる。
【0027】
本発明の皮膚身体殺菌洗浄剤組成物は、例えば、ポンプフォーマー容器に充填されて手指洗浄に用いることができる。
例えば、ポンプフォーマーから皮膚身体殺菌洗浄剤組成物を発泡させて吐出させ、手指に皮膚身体殺菌洗浄剤組成物をすり込むようにして30〜60秒ほど手指洗浄を行ったのちに水で洗い流すことで、手指の殺菌を好適に行うことができる。
特に、外食産業の厨房、洗面所、食品加工工場、介護施設、病院等において用いられることが望ましい。
【0028】
本発明の皮膚身体殺菌洗浄剤組成物を使用して殺菌可能な菌としては、例えば、大腸菌(Escherichia coli)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、緑膿菌、サルモネラ菌等が挙げられ、本発明の皮膚身体殺菌洗浄剤組成物はこれらの菌の殺菌用途に好適に用いることができる。
【実施例】
【0029】
以下に本発明をより具体的に説明する実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下、特に明記のない限り%は重量%を意味する。
(実施例1〜10、比較例1〜7)
表1、2に示す成分を水に順次加え、撹拌することによって、表1及び表2に示す組成からなる皮膚身体殺菌洗浄剤組成物を調製した。
各成分の配合量は、pH調整剤以外の成分の配合量の合計を100%として示した。
また、各成分の配合量は純分表示である。
pH調整剤は、各実施例及び比較例に示すpHになるような量を加えた。その量を「適量」と示している。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
(組成物外観)
調製した皮膚身体殺菌洗浄剤組成物の外観を目視観察した。実施例3の組成物では組成物が白濁しており、実施例4の組成物では白濁に加え沈殿の発生が見られた。
これらの組成物は脂肪酸アシルグルタミン酸エタノールアミンの配合量がそれぞれ1.00%、0.10%と低いため、組成物が透明液状にはならなかったものと推測される。
また、実施例6の組成物でも白濁が見られた。これは、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノールの配合量が合計で2.0%と多かったためと推測される。
【0033】
(殺菌力試験)
菌株として、大腸菌(Escherichia coli)NBRC3972、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)NBRC12732、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)NBRC13275、サルモネラ菌(Salmonella enteritidis)NBRC3313を準備した。
各菌株を普通ブイヨン培地で35℃、24時間振とう培養して、10〜10cfu/mLの試験菌液をそれぞれ調製した。
各実施例及び比較例で調製した皮膚身体殺菌洗浄剤組成物10mLに、試験菌液0.1mLを加え、混合後、室温で30秒又は60秒作用させた。
その後、混合液をSCDLP培地に1白金耳移植し、35℃、48時間培養後、菌の有無を判定した。
表1及び2には、菌ありの場合を「+」、菌なしの場合を「−」と示した。
【0034】
殺菌力試験の結果、各実施例に係る皮膚身体殺菌洗浄剤組成物を用いた場合、大腸菌、黄色ブドウ球菌、緑膿菌及びサルモネラ菌に対し、60秒の作用時間で殺菌作用があることがわかった。また、多くの実施例において30秒の作用時間でも殺菌作用が発揮されていることも分かった。
実施例1〜10のうち、pHが5.5とやや高い実施例8は殺菌作用が弱めであり、pHが5.0付近又はそれ以下であると殺菌作用がより強く発揮されることもわかった。
一方、各比較例に係る皮膚身体殺菌洗浄剤組成物を用いた場合、殺菌作用が発揮されておらず、とくに大腸菌、緑膿菌及びサルモネラ菌に対しての殺菌作用は観察されなかった。黄色ブドウ球菌についても30秒で殺菌作用が発揮されている例はなかった。
これは、フェノール系殺菌剤が含まれていない(比較例1)、脂肪酸アシルグルタミン酸の塩がエタノールアミン塩でなくナトリウム塩又はカリウム塩(比較例2、3)、フェノール系殺菌剤の量が少ない(比較例4、5)、pHが高い(比較例6、7)といったように、各比較例に係る皮膚身体殺菌洗浄剤組成物が本願発明の構成の一部を満たさないことに起因していると考えられる。