【解決手段】ポリエステルを構成する酸成分の50〜98モル%がテレフタル酸、2〜20モル%がイソフタル酸であり、グリコール成分の80モル%以上がエチレングリコールであるポリエステル樹脂中に、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を0.1〜1.0質量%含有し、かつゲルマニウム化合物をポリエステル樹脂の酸成分1モルに対し5.0×10
ポリエステルを構成する酸成分の50〜98モル%がテレフタル酸、2〜20モル%がイソフタル酸であり、グリコール成分の80モル%以上がエチレングリコールであるポリエステル樹脂中に、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を0.1〜1.0質量%含有し、かつゲルマニウム化合物をポリエステル樹脂の酸成分1モルに対し5.0×10−5モル〜3.0×10−4モル含有し、コバルト化合物をポリエステル樹脂の酸成分1モルに対し1.0×10−5モル〜1.0×10−4モル含有し、極限粘度(IV)が0.5以上であることを特徴とするブロー成形用ポリエステル樹脂組成物。
【背景技術】
【0002】
ポリエチレンテレフタレート(PET)は、機械的特性、化学的安定性、透明性等に優れ、かつ、安価であり、各種のシート、フィルム、容器等として幅広く用いられており、特に昨今では、炭酸飲料、果汁飲料、液体調味料、食用油、酒、ワイン用等の中空容器(ボトル)用途の伸びが著しい。しかも、塩化ビニル樹脂製中空成形品におけるような残留モノマーや有害添加剤の心配が少なく、衛生性及び安全性が高い点から、従来の塩化ビニル樹脂などからなるボトルからの置き換えも進んでいる。
【0003】
そして、PETに代表されるポリエステルの製造においては、重合触媒として、ゲルマニウム化合物とアンチモン化合物が汎用されており、色調や透明性の要求の高い中空容器などの用途にはゲルマニウム化合物が用いられている。
【0004】
一方、アンチモン化合物は、汎用のポリエステル重合触媒であるが、これを使用した場合、ゲルマニウム化合物よりも色調や透明性に劣るため、色調改良剤としてコバルト化合物が併用されることが多い。
【0005】
特許文献1には、ゲルマニウム化合物、アンチモン化合物、コバルト化合物の3種の触媒の併用も提案されているが、この方法では、アンチモン化合物による色調や透明性を補うため、コバルト化合物の添加量を多くする必要があり、また、これら3種の化合物の比率によっては、ポリエステルの経時安定性が悪くなるという問題があった。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂組成物はブロー成形用に好適なものであり、中でも、射出成形でパリソンを形成し、延伸ブロー成形する用途に好適なものである。
本発明のポリエステル樹脂組成物におけるポリエステル樹脂は、酸成分の50〜98モル%がテレフタル酸、2〜20モル%がイソフタル酸であることが必要である。つまりテレフタル酸を主成分とし、イソフタル酸を共重合成分とするものである。イソフタル酸の共重合量は中でも3〜18モル%であることが好ましく、さらには4〜15モル%であることが好ましい。イソフタル酸を共重合することにより、ポリエステル樹脂の結晶化速度をブロー成形に適したものに調整することができ、ブロー成形時の結晶化による白化を防ぐことができる。
【0011】
イソフタル酸の共重合量が2モル%未満であると、樹脂組成物の結晶化速度が速いものとなるため、ブロー成形した際に、成形品が結晶化して白化し、透明性に劣るものとなる。一方、イソフタル酸の共重合量が20モル%を超えると、樹脂組成物が非晶性のものとなるため、樹脂組成物を得る際のチップ化工程において高温での乾燥が困難となりやすい、あるいは、高温乾燥時においてブロッキングが起こりやすくなる。
【0012】
酸成分中のテレフタル酸の割合は50〜98モル%であり、中でもテレフタル酸の割合は60〜95モル%であることが好ましい。テレフタル酸の割合が50モル%未満であると、樹脂組成物の結晶性が低下し、非晶性のものとなりやすい。一方、テレフタル酸の割合が98モル%を超えると、イソフタル酸の共重合量が少なくなるため、結晶化速度を調整することが困難となり、ブロー成形時の結晶化による白化を防ぐ効果に乏しいものとなる。
【0013】
テレフタル酸とイソフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、フタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸等が挙げられ、これらを2種類以上併用してもよく、これらの酸のエステル形成性誘導体を使用してもよい。
【0014】
一方、ポリエステル樹脂中のグリコール成分の80モル%以上がエチレングリコールであり、中でもグリコール成分の85モル%以上がエチレングリコールであることが好ましい。エチレングリコール以外のグリコール成分としては、例えば、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサメチレンジオール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ダイマージオール、ビスフェノールA又はビスフェノールSのエチレンオキシド付加体等を用いることができる。
【0015】
グリコール成分のエチレングリコールの割合が80モル%未満であると、樹脂組成物の結晶性が低下し、非晶性のものとなりやすいため、好ましくない。
【0016】
本発明のポリエステル樹脂組成物は、触媒としてゲルマニウム化合物とコバルト化合物を併用するものである。そして、このように2種の化合物を併用した際に問題となる経時安定性の悪化を抑制するために、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を0.1〜1.0質量%含有するものである。中でも、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量は、0.2〜0.8質量%であることが好ましい。ヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量が0.1質量%未満では、ポリエステル樹脂組成物の経時安定性が悪く、長期経過すると、極限粘度の低下や成形後の色調悪化が生じる。一方、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量が1.0質量%を超えると、ポリエステル樹脂組成物の色調や透明性が悪化する。
【0017】
ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1’−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン等が用いられるが、効果とコストの点で、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンが好ましい。
【0018】
本発明のポリエステル樹脂組成物中には、重合触媒として、特定量のゲルマニウム化合物及びコバルト化合物を含有することが必要である。
ゲルマニウム化合物の含有量は、ポリエステルの酸成分1モルに対し、5.0×10
−5モル〜3.0×10
−4モルであることが必要であり、中でも6.0×10
−5モル〜2.0×10
−4モルとすることが好ましい。ゲルマニウム化合物の含有量が5.0×10
−5よりも少ないと、目標の重合度のポリエステル樹脂を得ることが困難となる。一方、3.0×10
−4モルを超えると、コバルト化合物とゲルマウム化合物の反応による副生物により、ポリエステルの経時安定性が悪くなり、長期保存後のポリエステル樹脂組成物の極限粘度の低下や色調の悪化が起こるため、好ましくない。
【0019】
ゲルマニウム化合物としては、二酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウム、ゲルマニウムテトラエトキシド等が挙げられ、重合触媒活性、得られるポリエステル樹脂の物性及びコストの点から、二酸化ゲルマニウムが好ましい。
【0020】
コバルト化合物の含有量は、ポリエステルの酸成分1モルに対し1.0×10
−5〜1.0×10
−4モルであることが必要であり、0.2×10
−4モル〜0.8×10
−4モルとすることが好ましい。コバルト化合物の含有量が、1.0×10
−5モルよりも少ないと、ポリエステルの色調が悪くなる。一方、1×10
−4モルを超えると、ポリエステル樹脂の透明性が悪くなり、さらに、ポリエステル樹脂の経時安定性も悪くなる。コバルト化合物としては、酢酸コバルト、蟻酸コバルト、酸化コバルト、塩化コバルト等が挙げられ、重合触媒活性、得られるポリエステル樹脂の物性及びコストの点から、酢酸コバルトが好ましい。
【0021】
本発明のポリエステル樹脂組成物の極限粘度は、0.5以上であることが必要である。極限粘度が0.5未満の場合は、ブロー成形が困難になり、均一な厚さの成形品を得ることが困難となる。また、たとえ成形できたとしても、得られるブロー成形品は耐衝撃性が低下したものとなる。
【0022】
次に、本発明のブロー成形用ポリエステル樹脂組成物の製造方法について説明する。
酸成分としてテレフタル酸あるいはそのエステル形成性誘導体、グリコール成分としてエチレングリコールを所定の割合でエステル化反応器に仕込み、加圧下、160〜280℃の温度でエステル化反応またはエステル交換反応を行った後、ポリエステルオリゴマーを重合反応器に移し、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液、またはイソフタル酸とエチレングリコールの分散液、重合触媒としてゲルマニウム化合物とコバルト化合物、ヒンダードフェノール系酸化防止剤を添加し、通常1hPa以下の減圧下で240〜290℃、好ましくは250〜280℃の温度で溶融重縮合反応を行う。
【0023】
この後、固相重合を行うことにより、極限粘度をさらに高くしたり、含有オリゴマー量を少なくすることができる。固相重合は、あらかじめ、ポリエステルを乾燥、結晶化させた後、通常、減圧下あるいは窒素などの不活性ガス流通下にて、ポリエステルの融点よりも20〜30℃低い温度で3時間〜50時間、反応器内にてポリエステルを反応させることにより行われる。
【0024】
本発明のブロー成形品は、本発明のポリエステル樹脂組成物を用い、ブロー成形して得られたものである。ブロー成形の方法としては、射出成形あるいは押出成形により一段で製品を成形する方法、あるいは、射出成形あるいは押出成形により得られたパリソンを延伸ブロー成形する方法などが挙げられる。中でも、前記したように、射出成形でパリソンを形成し、延伸ブローする方法により得られたものであることが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、透明性と色調、経時安定性が良好であるため、本発明のブロー成形品もこのような特性を有しており、各種の用途に好適に使用することができる。
【0025】
本発明のブロー成形品を製造する場合には、射出成形あるいは押出成形により一段で製品を成形する、あるいは、射出成形あるいは押出成形により得られたパリソンを延伸ブロー成形することで行われる。このとき、ポリエステル樹脂組成物を乾燥した後、シリンダー各部およびノズル温度を240〜270℃とした射出成型機を用いてプリフォームを作製し、このプリフォームが射出成形又は押出成形の予熱を維持し、そのままブロー成形工程に移るホットパリソン法、あるいは、プリフォームの射出成形機又は押出成形機とブロー成形機が離れ、プリフォームが一度冷却された後再加熱されてブロー成形されるコールドパリソン法を適用することができる。また、延伸倍率は縦方向に1.5〜3.5倍、円周方向に2〜5倍の範囲とするのが適当である。
【実施例】
【0026】
次に、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、ポリエステル樹脂組成物の特性値は次のようにして測定した。
(a)極限粘度〔η〕
フェノールと四塩化エタンとの等重量混合物を溶媒として、温度20℃で測定した。
(b)イソフタル酸の共重合量、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量
ポリエステル樹脂組成物を重水素化ヘキサフルオロイソプロパノールと重水素化クロロホルムとの容量比が1/20の混合溶媒に溶解させ、日本電子社製LA−400型NMR装置にて1H−NMRを測定し、得られたチャートの各成分のプロトンのピークの積分強度から、共重合量と含有量を求めた。
(c)ゲルマニウム化合物、コバルト化合物、アンチモン化合物の含有量
リガク社製蛍光X線分析装置3270を用いて測定した。
【0027】
(d)成形性
得られた成形品(サンプル数20個)の胴部の厚さを測定し、最厚部と最薄部の厚さの差が0.10mmまでのものを合格とし、合格のサンプル数が18個以上である場合は○、合格のサンプル数が17個以下である場合は×とした。なお、最厚部と最薄部の厚さの差が0.10mmを満足していても、成形品に結晶化が起こり、成形品に白化が見られたものや成形品表面が荒れたものの場合は、不合格とした。
(e)色調
得られた成形品から切り出してサンプル片(20個)を作成し、コニカミノルタ社製の色彩色差計CR−300を用いて、サンプル片の色調を測定した。色調の判定はハンターのLab表色計で行い、b値を測定し、n数20の平均値とした。なお、b値が2.0以下を色調良好であると判定した。
【0028】
(f)ヘーズ
得られた成形品から切り出してサンプル片(20個)を作成し、濁度を日本電色工業社製の濁度計 MODEL 1001DPで測定し(空気:ヘーズ0%)、n数20の平均値とした。この値が小さいほど透明性が良好であり、5%以下であれば透明性に優れていると判定した。
(g)経時促進試験
ポリエステル樹脂組成物を乾燥機内にて130℃の常圧空気雰囲気下で120時間静置させた。処理前の極限粘度[η]1と処理後の極限粘度[η]2を比較し、処理前後の極限粘度の比[η]2/[η]1が0.90以上を合格とした。
また、(e)で色調を測定したサンプル片(色調がb1のものとする)を同様に、乾燥機内にて130℃の常圧空気雰囲気下で120時間静置させた後、色調(b2)を測定した。処理前後のサンプルのb値の差(b2−b1)が3.0以下を合格とした。
【0029】
実施例1
エステル化反応器に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)のスラリー(TPA/EGモル比=1/1.6)を供給し、温度250℃、圧力50hPaの条件で反応させ、エステル化反応率95%のPETオリゴマー(数平均重合度:5)を得た。別のエステル化反応缶に、イソフタル酸(IPA)とエチレングリコールとからなるスラリー(IPA/EGモル比=1/3.1)を仕込み、温度200℃で3時間エステル化反応を行い、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液を得た。
PETオリゴマー55.5kgを重合反応器に仕込み、続いて、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液7.8kg、触媒として二酸化ゲルマニウム7.8g、コバルト化合物として酢酸コバルト3.7g、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としてテトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(ADEKA社製:アデカスタブAO−60)120gを、それぞれ加え、反応器を減圧にして60分後に最終圧力0.9hPa、温度280℃で4時間、溶融重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂組成物を得た。
得られたポリエステル樹脂組成物を乾燥した後、シリンダー各部およびノズル温度を270℃、スクリュー回転数100rpm、射出時間10秒、冷却時間10秒、金型温度15℃に設定した射出成型機(日精エーエスビー社製、ASB−50HT型)を用いてプリフォームを成形した。次いで、このプリフォームを100℃雰囲気下、ブロー圧力2MPaで延伸ブロー成形(ホットパリソン法を採用)し、胴部の平均肉厚300μm、内容積1リットルの延伸ブロー成形品を作製した。
【0030】
得られたポリエステル樹脂組成物の樹脂組成、特性値及びブロー成形品の特性値を表1に示す。
【0031】
実施例2〜8、比較例1〜11
イソフタル酸の共重合量、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量、触媒の含有量、極限粘度(溶融重縮合反応時間を変更することにより調整)を表1のようにした変更した以外は、実施例1と同様にしてポリエステル樹脂組成物を製造した。
そして、実施例1と同様にして延伸ブロー成形を行い、ブロー成形品を作製した。
【0032】
実施例1〜8、比較例1〜11で得られたポリエステル樹脂組成物の樹脂組成、特性値及びブロー成形品の特性値、評価結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】
表1から明らかなように、実施例1〜8で得られたポリエステル樹脂組成物は、本発明で規定する組成、極限粘度を満足するものであったため、これらの樹脂組成物より得られるブロー成形品は、厚みムラ、表面の白化や荒れがなく成形性に優れ、かつ色調、透明性に優れ、経時安定性も良好であった。
【0035】
一方、比較例1で得られた樹脂組成物は、イソフタル酸の共重合量が少なかったため、ブロー成形時に成形品表面に白化が生じ、透明性にも劣る成形品となった。比較例2で得られた樹脂組成物は、イソフタル酸の共重合量が多かったため、樹脂組成物を乾燥する際やプリフォームの成形時に融着が起こり、ブロー成形できなかった。
【0036】
比較例3で得られた樹脂組成物は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量が少なかったため、経時安定性が悪いものとなり、熱処理後の極限粘度の低下が生じるものとなり、得られた成形品は熱処理後の色調悪化が生じるものであった。比較例4で得られた樹脂組成物は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤の含有量が多かったため、得られた成形品は、色調と透明性に劣るものとなった。
【0037】
比較例5で得られた樹脂組成物は、溶融重縮合反応時間が短かったため、極限粘度が低いものとなり、このため、ブロー成形できなかった。比較例6で得られた樹脂組成物は、ゲルマニウム化合物の含有量が少なかったため、溶融重縮合時間が長くなり、得られた成形品は色調と透明性に劣るものとなった。
【0038】
比較例7で得られた樹脂組成物は、ゲルマニウム化合物の含有量が多かったため、経時安定性が悪いものとなり、熱処理後の極限粘度の低下が生じるものとなり、得られた成形品は熱処理後の色調悪化が生じるものであった。比較例8で得られた樹脂組成物は、コバルト化合物の含有量が少なかったため、色調が悪いものとなり、得られた成形品も色調に劣るものとなった。
【0039】
比較例9で得られた樹脂組成物は、コバルト化合物の含有量が多かったため、経時安定性が悪いものとなり、熱処理後の極限粘度の低下が生じるものとなり、得られた成形品は熱処理後の色調悪化が生じるものであった。比較例10、11で得られた樹脂組成物は、アンチモン化合物を使用したため、色調と透明性に劣るものとなり、得られた成形品も色調と透明性に劣るものであった。