(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-101841(P2015-101841A)
(43)【公開日】2015年6月4日
(54)【発明の名称】橋梁用コンクリートプレキャスト床版の目地構造
(51)【国際特許分類】
E01D 19/12 20060101AFI20150508BHJP
【FI】
E01D19/12
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-241366(P2013-241366)
(22)【出願日】2013年11月21日
(71)【出願人】
【識別番号】000103769
【氏名又は名称】オリエンタル白石株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】592179067
【氏名又は名称】株式会社ガイアートT・K
(71)【出願人】
【識別番号】000001317
【氏名又は名称】株式会社熊谷組
(71)【出願人】
【識別番号】000230010
【氏名又は名称】ジオスター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100060575
【弁理士】
【氏名又は名称】林 孝吉
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】正司 明夫
(72)【発明者】
【氏名】大谷 悟司
(72)【発明者】
【氏名】二井谷 教治
(72)【発明者】
【氏名】原 健悟
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 彰彦
(72)【発明者】
【氏名】浅見 恭輔
(72)【発明者】
【氏名】森田 栄治
(72)【発明者】
【氏名】寺田 倫康
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 輝康
(72)【発明者】
【氏名】篠原 巌
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】高松 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】下中村 圭太
【テーマコード(参考)】
2D059
【Fターム(参考)】
2D059AA14
2D059GG55
(57)【要約】 (修正有)
【課題】橋梁用コンクリートプレキャスト床版の連結や取替を簡便に実現し、橋梁用コンクリートプレキャスト床版の連結部分での曲げ・荷重等に起因した破損を抑制し、さらに、目地部の耐久性及び止水性を向上させた橋梁用コンクリートプレキャスト床版の目地構造を提供する。
【解決手段】橋軸方向Lの側端部1aに取り付けられてH型継手金具に嵌合されるC型継手金具2と、橋軸方向Lの側端面1sに凹設される凹部3と、凹部3内面に基端部を取り付けられると共に凹部3内面から先端部を橋軸方向Lに突出した補強部材4と、を備え、隣り合う橋梁用PPC版1、1同士を連結する際に、橋梁用PPC版1、1に夫々形成された凹部3同士を互いに対面させて目地空間を形成し、前記目地空間内に補強部材4の先端部分を埋没した状態でグラウト材を充填する橋梁用PPC版1の目地構造。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
橋軸方向に相互に連結して道路を構築する橋梁用コンクリートプレキャスト床版の目地構造であって、
前記橋軸方向の側端部に取り付けられて、H型継手金具に嵌合される複数のC型継手金具と、
前記橋軸方向の側端面に凹設されると共に、前記C型継手同士間に配設された凹部と、
該凹部内面に基端部を取り付けられると共に、前記凹部内面から先端部を前記橋軸方向に突出した補強部材と、を備え、
隣り合う前記コンクリートプレキャスト床版同士を連結する際に、前記コンクリートプレキャスト床版に夫々形成された前記凹部同士を互いに対面させて目地空間を形成し、該目地空間内に前記補強部材の先端部分を埋没した状態でグラウト材を充填することを特徴とする橋梁用コンクリートプレキャスト床版の目地構造。
【請求項2】
前記凹部は、前記橋軸方向で前記側端面に向けて開拡する断面台形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の橋梁用コンクリートプレキャスト床版の目地構造。
【請求項3】
前記凹部は、前記橋軸方向に直交する橋幅方向に沿って延設されていることを特徴とする請求項1又は2記載の橋梁用コンクリートプレキャスト床版の目地構造。
【請求項4】
前記補強部材の基端部は、前記凹部内面に埋設して取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項記載の橋梁用コンクリートプレキャスト床版の目地構造。
【請求項5】
前記補強部材の基端部は、前記凹部内面に埋設したネジ部分に螺着して取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の橋梁用コンクリートプレキャスト床版の目地構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋梁用コンクリートプレキャスト床版の目地構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
河川や渓谷等の上に架設されて道路等を通す橋梁に用いられる橋梁用コンクリートプレキャスト床版は、橋幅方向に並設された複数の主桁上に架け渡され、橋軸方向に隣り合う橋梁用コンクリートプレキャスト床版同士が相互に連結される。
【0003】
従来より、橋軸方向に隣り合う橋梁用コンクリートプレキャスト床版同士を連結する際には、橋梁用コンクリートプレキャスト床版の接続端部同士を突き合わせることにより形成された継手空間に、橋梁用コンクリートプレキャスト床版内に配筋された上端筋と下端筋の端部が延長されて継手空間内で円弧状に形成された複数のループ鉄筋が配筋され、該ループ鉄筋に橋幅方向に延びるループ内補強鉄筋が締結されて、さらに継手空間内に間詰めコンクリートが打設されるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−236258号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述したように橋梁用コンクリートプレキャスト床版を連結する場合には、施工現場にて橋幅方向に多数設けられたループ継ぎ手にループ内補強鉄筋を締結し、継手空間内に間詰めコンクリートを打設する必要があり、施工現場での橋梁用コンクリートプレキャスト床版の連結作業が煩雑であるという問題があった。
【0006】
また、ループ鉄筋の曲げ半径を確保するために、橋梁用コンクリートプレキャスト床版が厚くなって高重量化するため、橋梁用コンクリートプレキャスト床版を支持する主桁に高負荷がかかって経年劣化が進行し易いという問題があった。
【0007】
さらに、上述したような橋梁用コンクリートプレキャスト床版の継手部分は、ループ継手にループ内補強鉄筋を締結して、隣り合う橋梁用コンクリートプレキャスト床版が相対的に位置ズレしないように固定しているのみであるため、
図5に示すように、裏面10sが主桁11で橋幅方向Wに部分的に支持されている橋梁用コンクリートプレキャスト床版10は、地面等に敷設される道路用床版と比較して、裏面10sの支持面積が小さく、例えば、
図5中の矢印の方向に車両が通る際の荷重によって、橋梁用コンクリートプレキャスト床版10に曲げや撓み等が生じ易く橋梁用コンクリートプレキャスト床版10の連結部分で破損したり、橋梁用コンクリートプレキャスト床版10の連結部分で漏水が生じる虞があった。
【0008】
そこで、橋梁用コンクリートプレキャスト床版の連結や取替を簡便に実現し、橋梁用コンクリートプレキャスト床版の連結部分での耐久性や止水性を向上させ、さらに、橋梁用コンクリートプレキャスト床版を支持する主桁の負荷を軽減するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明は、この課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記目的を達成するために提案するものであり、請求項1記載の発明は、橋軸方向に相互に連結して道路を構築する橋梁用コンクリートプレキャスト床版の目地構造であって、前記橋軸方向の側端部に取り付けられて、H型継手金具に嵌合される複数のC型継手金具と、前記橋軸方向の側端面に凹設されると共に、前記C型継手同士間に配設された凹部と、該凹部内面に基端部を取り付けられると共に、前記凹部内面から先端部を前記橋軸方向に突出した補強部材と、を備え、隣り合う前記コンクリートプレキャスト床版同士を連結する際に、前記コンクリートプレキャスト床版に夫々形成された前記凹部同士を互いに対面させて目地空間を形成し、該目地空間内に前記補強部材の先端部分を埋没した状態でグラウト材を充填する橋梁用コンクリートプレキャスト床版の目地構造を提供する。
【0010】
この構成によれば、H型継手金具がC型継手金具に嵌合されて、目地空間内にグラウト材が充填されることにより、隣り合う橋梁用コンクリートプレキャスト床版同士が連結され、また、隣り合う橋梁用コンクリートプレキャスト床版間を跨ぐH型継手金具を切断することにより、橋梁用コンクリートプレキャスト床版同士を切り離せるため、橋梁用コンクリートプレキャスト床版の連結作業や切離作業を簡便に行うことができる。
【0011】
また、従来のようなループ継手の曲げ半径を確保しなければならない橋梁用コンクリートプレキャスト床版と比較して、橋梁用コンクリートプレキャスト床版の版厚がC型継手金具の凹部の深さに対応して薄くなるため、橋梁用コンクリートプレキャスト床版を軽量化することができる。
【0012】
さらに、C型継手金具に嵌合されたH型継手金具が橋軸方向に隣り合う橋梁用コンクリートプレキャスト床版間に圧縮方向のプレストレスを導入すると共に、橋梁用コンクリートプレキャスト床版と目地空間内のグラウト材とに跨って延設された補強部材が橋梁用コンクリートプレキャスト床版とグラウト材との相対的な移動を抑制するため、地面に敷設される道路用床版と比較して荷重に起因する曲げや撓みがおおきくなりがちな橋梁用床版であっても、橋梁用コンクリートプレキャスト床版の連結部分における耐久性や止水性を向上させることができる。
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成に加えて、前記凹部は、前記橋軸方向で前記側端面に向けて開拡する断面台形状に形成されている橋梁用コンクリートプレキャスト床版の目地構造を提供する。
【0014】
この構成によれば、橋梁用コンクリートプレキャスト床版の連結部分にせん断力が作用する際に、目地空間内に充填されて凹部内面に沿って橋軸方向に凸設したグラウト材が、凹部に係合してせん断力に抗するため、橋梁用コンクリートプレキャスト床版の連結部分での耐久性を向上させることができる。
【0015】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明の構成に加えて、前記凹部は、前記橋軸方向に直交する橋幅方向に沿って延設されている橋梁用コンクリートプレキャスト床版の目地構造を提供する。
【0016】
この構成によれば、グラウト材が凹部内を橋幅方向に延在することにより、橋梁用コンクリートプレキャスト床版の連結部分での耐久性を向上させることができる。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項1乃至3の何れか1項記載の発明の構成に加えて、前記補強部材の基端部は、前記凹部内面に埋設して取り付けられている橋梁用コンクリートプレキャスト床版の目地構造を提供する。
【0018】
この構成によれば、補強部材の基端部が橋梁用コンクリートプレキャスト床版内に埋設されて橋梁用コンクリートプレキャスト床版に強固に取り付けられていることにより、補強部材が橋梁用コンクリートプレキャスト床版とグラウト材との相対的な移動を抑制するため、せん断力に起因した橋梁用コンクリートプレキャスト床版の連結部分での耐久性や止水性を向上させることができる。
【0019】
請求項5記載の発明は、請求項1乃至4の何れか1項記載の発明の構成に加えて、前記補強部材の基端部は、前記凹部内面に埋設したネジ部分に螺着して取り付けられている橋梁用コンクリートプレキャスト床版の目地構造を提供する。
【0020】
この構成によれば、補強部材の基端部が橋梁用コンクリートプレキャスト床版内に螺着されて橋梁用コンクリートプレキャスト床版にネジ部分の締結力で強固に取り付けられていることにより、補強部材が橋梁用コンクリートプレキャスト床版とグラウト材との相対的な移動を抑制するため、せん断力に起因した橋梁用コンクリートプレキャスト床版の連結部分での耐久性を更に向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る橋梁用コンクリートプレキャスト床版の目地構造は、H型継手金具がC型継手金具に嵌合されて、目地空間内にグラウト材が充填されることにより、隣り合う橋梁用コンクリートプレキャスト床版同士が連結され、また、隣り合う橋梁用コンクリートプレキャスト床版間を跨ぐH型継手金具を切断することにより、橋梁用コンクリートプレキャスト床版同士を切り離せるため、橋梁用コンクリートプレキャスト床版の連結作業や切離作業を簡便に行うことができる。
【0022】
また、従来のようなループ継手の曲げ半径を確保しなければならない橋梁用コンクリートプレキャスト床版と比較して、橋梁用コンクリートプレキャスト床版の版厚が薄くなり、橋梁用コンクリートプレキャスト床版が軽量化することができる。これにより、橋梁用コンクリートプレキャスト床版を支持する主桁の負荷を軽減することができる。
【0023】
さらに、C型継手金具に嵌合されたH型継手金具が、橋軸方向に隣り合う橋梁用コンクリートプレキャスト床版間に圧縮方向のプレストレスを導入するため、地面に敷設される道路用床版と比較して荷重に起因する曲げや撓みが大きくなりがちな橋梁用床版であっても、橋梁用コンクリートプレキャスト床版の連結部分における耐久性や止水性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の一実施例を示す橋梁用コンクリートプレキャスト床版の目地構造を示す平面図。
【
図2】橋梁用コンクリートプレキャスト床版の目地構造の要部断面図。(a)は、C型継手金具とH型継手金具の嵌合状態を示す橋軸方向断面図であり、(b)は、目地空間を示す橋軸方向断面図である。
【
図5】橋梁用コンクリートプレキャスト床版が主桁に載置された状態を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、橋梁用コンクリートプレキャスト床版の連結や取替を簡便に実現し、橋梁用コンクリートプレキャスト床版の連結部分での荷重に対する耐久性や止水性を向上させ、さらに、橋梁用コンクリートプレキャスト床版を支持する主桁の負荷を軽減するという目的を達成するために、橋軸方向に相互に連結して道路を構築する橋梁用コンクリートプレキャスト床版の目地構造であって、橋軸方向の側端部に取り付けられて、H型継手金具に嵌合される複数のC型継手金具と、橋軸方向の側端面に凹設されると共に、C型継手同士間に配設された凹部と、凹部内面に基端部を取り付けられると共に、凹部内面から先端部を橋軸方向に突出した補強部材と、を備え、隣り合うコンクリートプレキャスト床版同士を連結する際に、コンクリートプレキャスト床版に夫々形成された凹部同士を互いに対面させて目地空間を形成し、目地空間内に補強部材の先端部分を埋没した状態でグラウト材を充填することにより実現した。
【実施例】
【0026】
以下、本発明の一実施例に係る橋梁用コンクリートプレキャスト床版(以下、「橋梁用PPC版」という)1の目地構造について、図面に基づいて説明する。
【0027】
橋梁用PPC版1は、
図1に示すように、橋軸方向Lに相互に連結して道路を構築するものであり、橋軸方向Lの側端部1aに取り付けられた複数のC型継手金具2と、橋軸方向Lの側端面1sに凹設された凹部3と、凹部3内面から一部を突設した補強部材4とを備えている。
【0028】
橋梁用PPC版1は、
図2(a)に示すように、隣り合う橋梁用PPC版1、1を跨ぐH型継手金具5を介して、橋軸方向Lに連結されている。具体的には、H型継手金具5の両端部に設けられた嵌合部5aが、C型継手金具2の被嵌合部2aに嵌合し、嵌合部5a、5aが連結部5bを介して連結されていることによって、橋軸方向Lに隣り合う橋梁用PPC版1、1の連結部分Cに圧縮方向のプレストレスが導入される。C型継手金具2とH型継手金具5とは、嵌合部5aを垂直方向Hに貫通して被嵌合部2aの底部2bに係合するボルト6を介して、一体に連結されている。
また、連結部5bをコンクリートカッター等で切断可能に形成することにより、連結部5bが切断されると橋軸方向Lに連結された橋梁用PPC版1、1が切り離される。
【0029】
C型継手金具2は、橋軸方向Lに延びるアンカー2cを備えている。橋軸方向Lに直交する橋幅方向Wに隣り合うC型継手金具2、2のアンカー2c同士は、アンカー連結筋1bを介して連結されている。また、アンカー2cは、補強筋1cによって、橋梁用PPC版1内に配設された鉄筋1dに括り付けられている。なお、
図2中の符号1eは、側端部1a付近の強度を増大させるための補強筋である。
【0030】
凹部3は、
図2(b)に示すように、隣り合う橋梁用PPC版1、1に夫々形成された凹部3、3同士を互いに対面させることにより、目地空間Rを形成している。目地空間Rには、橋梁用PPC版1、1間の隙間rからグラウト材7が流入されるようになっている。グラウト材7が目地空間R内で固化することにより、橋梁用PPC版1、1が隙間なく連結される。
【0031】
凹部3は、橋軸方向Lで橋梁用PPC版1、1の側端面1sに向けて開拡する断面台形状に形成されている。
これにより、橋梁用PPC版1、1の連結部分Cにせん断力が作用する際に、目地空間R内に充填されて橋軸方向Lに凸設したグラウト材が、凹部3に係合してせん断力に抗するようになっている。
【0032】
また、凹部3は、橋幅方向W、すなわち
図2(b)の紙面垂直方向に沿って延設されている。
これにより、橋幅方向Wに延設された凹部3内のグラウト材が、橋梁用PPC版1、1の連結部分Cに作用するせん断力を分散して受ける。
【0033】
補強部材4は、
図3に示すように、板状に形成されており、基端部4aを橋梁用PPC版1内に埋設して、先端部4bを目地空間R内に充填されたグラウト材7に埋没されている。補強部材4の具体的形状としては、メッシュシート等が考えられる。
これにより、補強部材4の基端部4aが、橋梁用PPC版1に強固に取り付けられ、橋梁用PPC版1とグラウト材7とに跨って延設された補強部材4が、橋梁用PPC版1とグラウト材7との相対的な移動を抑制するようになっている。
【0034】
また、
図4に示すように、補強部材4は、円柱状に形成されて、基端部4aを凹部3の内面に埋設したネジ部分(図示せず)に螺着されて、先端部4bを目地空間R内に充填されたグラウト材7に埋没しても構わない。
これにより、補強部材4の基端部4aは、橋梁用PPC版1にネジ部分の締結力で強固に取り付けられて、補強部材4が橋梁用PPC版1とグラウト材7との相対的な移動を抑制するようになっている。
【0035】
このようにして、上述した本発明に係る橋梁用PPC版1の目地構造は、H型継手金具5がC型継手金具2に嵌合されて、目地空間R内にグラウト材7が充填されるだけで、隣り合う橋梁用PPC版1、1同士を簡便に連結することができる。また、隣り合う橋梁用PPC版1、1間を跨ぐH型継手金具5を切断するだけで、橋梁用PPC版1、1を切り離せるため、橋梁用PPC版1の取り替えを簡便に実現することができる。
【0036】
また、従来のようなループ継手の曲げ半径を確保しなければならない橋梁用床版と比較して、橋梁用PPC版1は、C型継手金具2の凹部3の深さに対応して版厚が薄くなり、橋梁用PPC版1を軽量化することができる。これにより、橋梁用PPC版1を支持する主桁の負荷を軽減することができる。
【0037】
また、C型継手金具2内に嵌合されるH型継手金具5が、橋軸方向Lに隣り合う橋梁用PPC版1、1間に圧縮方向のプレストレスを導入し、また、目地空間R内に充填されたグラウト材7が、隣り合う橋梁用PPC版1、1の連結部分Cに作用するせん断力に対して抵抗となり、さらに、先端部4aをグラウト材7内に埋没した補強部材4が、隣り合う橋梁用PPC版1、1の連結部分Cを橋軸方向Lで強固に連結するため、道路用床版と比較して橋梁用PPC版1、1の連結部分Cに作用する荷重に起因した曲げや撓みが大きくなりがちな橋梁用PPC版1であっても、橋梁用PPC版1、1の連結部分Cにおける耐久性や止水性を向上させることができる。これにより、橋梁用PPC版1、1の連結部分Cがせん断力に起因して破損することを抑制できる。
【0038】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変をなすことができ、そして、本発明が該改変されたものにも及ぶことは当然である。
【符号の説明】
【0039】
1 ・・・ 橋梁用コンクリートプレキャスト床版
1a・・・ 側端部
1s・・・ 側端面
2 ・・・ C型継手金具
3 ・・・ 凹部
4 ・・・ 補強部材
4a・・・ 基端部
4b・・・ 先端部
5 ・・・ H型継手金具
6 ・・・ ボルト
7 ・・・ グラウト材
R ・・・ 目地空間
L ・・・ 橋軸方向
W ・・・ 橋幅方向