【実施例】
【0027】
以下、本発明の実施例に係るスライドボードセット1について
図1乃至
図10を参照して詳細に説明する。
【0028】
本実施例に係るスライドボードセット1は、四角形状の前面開口を有する例えば直方体状の取り付け対象物であるスチール製又は木製の収納家具2へ前面側からのみ取り付け可能に構成したものである。
【0029】
本実施例に係るスライドボードセット1は、所定長さの平坦な取り付け片12と、この取り付け片12の一方の長さ方向に沿う端縁部から直角配置に突出した前記取り付け片12と一体の平坦なレール支持片13とを具備し、全体としてL形状に形成した金属製の複数個、例えば3個の上ブラケット11と、所定長さの平坦な取り付け片22と、この取り付け片22の一方の長さ方向に沿う端縁部から直角配置に突出した前記取り付け片22と一体の平坦なレール支持片23とを具備し、全体としてL形状に形成した金属製の複数個、例えば3個の下ブラケット21と、を有している。
【0030】
そして、
図8、
図10に示すように、例えば3個の上ブラケット11を用い、収納家具2の前面開口領域を画する上片3の前端面に所定の間隔を持って、例えば、上片3の前端面の左隅近傍、中央、右隅近傍に各取り付け片12を添着し、収納家具2の前面側から皿ネジ51を用いてネジ止め固定することで、各上ブラケット11の各レール支持片13を前記端縁部から各々前方に突出状態として固定支持するように構成している。
同様に、
図8、
図10に示すように、例えば3個の下ブラケット21を用い、収納家具2の前面開口領域を画する下片4の前端面に所定の間隔を持って、例えば、下片4の前端面の左隅近傍、中央、右隅近傍に各取り付け片22を添着し、収納家具2の前面側から皿ネジ51を用いてネジ止め固定することで、各レール支持片23を前記端縁部から各々前方に突出状態に、かつ、前記上ブラケット11の各レール支持片13と上下対向配置に固定支持するように構成している。
【0031】
本実施例に係るスライドボードセット1は、更に、前記収納家具2の幅寸法に対応した寸法の長さを有する細長板状で平坦な上ブラケット用添着片32を具備し、この上ブラケット用添着片32の長さ方向の前縁、中央部、後縁から三つの突片33を各々下向き平行配置に所定の間隔で、かつ、全長にわたって一体に突設し、三つの突片33間に平行配置で、かつ、全長にわたって二つのボード用凹陥部34を形成したアルミ押し出し材(色彩シルバー)等の金属製の上レール31と、
【0032】
前記収納家具2の幅寸法に対応した寸法の長さを有する耐荷重強化構造で平坦な下ブラケット用添着片42を具備し、この下ブラケット用添着片42の上面側に前記二つのボード用凹陥部34に対向する平行な二つの突条43を下ブラケット用添着片42の長さ方向全体にわたって突設したアルミ押し出し材(色彩シルバー)等の金属製の下レール41と、を有している。
【0033】
そして、
図9に示すように、上レール31の前記二つのボード用凹陥部34を下向きとして上ブラケット11のレール支持片13に添着し、前記ボード用凹陥部34の下側から上ブラケット用添着片32の下面側にねじ込んだトラスネジ52によりこの上レール31を前記各上ブラケット11のレール支持片13に各々ネジ止め固定するように構成している。
【0034】
同様に、
図9に示すように、下レール41の下ブラケット用添着片42の底面側を前記下ブラケット21のレール支持片23に添着し、上面側からねじ込んだトラスネジ52により前記レール支持片23にネジ止め固定するように構成している。
【0035】
前記上レール31の前縁側の突片33には、
図6に示すように、前記レール支持片13の前端面を覆うように前記上ブラケット用添着片32より上方に突出した上向き突出片部33aを一体に具備し、前記上レール31の後縁側の突片33には、上ブラケット11の取り付け片12の下端面を覆うように屈曲させた突出片部33bを一体に具備している。
【0036】
前記下レール41の平坦な下ブラケット用添着片42は、
図6に示すように、前記突条43を下ブラケット用添着片42の長さ方向全体にわたって突設した平坦な上片部42aと、前記下ブラケット21に添着する平坦な下片部42bと、上片部42a、下片部42bの前縁側、後縁側を所定の間隔を持った平行状態に各々連結し中空領域を形成する前片部42c及び後片部42dと、を具備している。
【0037】
前記前片部42cは、前記突条43と同方向に突出させた上向き突出片部42c1、及び前記下ブラケット21のレール支持片23の端面を覆うように下向きに突出させた下向き突出片部42c2を一体に備え、前記後片部42dは、前記下ブラケット21の取り付け片23に接合させるとともに取り付け片23の上端面を覆うように屈曲させた突出片部42d1を一体に備えている。
【0038】
また、前記下ブラケット用添着片42における上片部42a、下片部42b、前片部42c及び後片部42dが画する中空領域44を形成し、前記下レール41自体を耐荷重強化構造としている。
【0039】
前記上レール31の両側端面には、上レールキャップ35が、下レール41の両側端面には、下レールキャップ45が各々取り付けられるようになっている。
【0040】
前記上レール31の二つのボード用凹陥部34と、下レール41の二つの突条43との間に前後配置に、かつ、各々着脱・スライド可能に二つのボード、すなわち、表面ホワイトボード仕様の前右用のボード61、後左用のボード62を装着し、収納家具2の前面開口領域をこれらボード61、ボード62のスライドにより開閉する構成している。
【0041】
すなわち、前記ボード61、62は、各々ボード本体63の上端側に前記上レール31のボード用凹陥部34に嵌装されるスライド嵌装体64を一体に具備し、下端側には前記下レール41の突条43に係合させこの突条43上を滑動させる凹溝部付滑動体65を一体に具備している。
【0042】
そして、
図1に示すように、前右用のボード61を最も右側にスライドさせ、後左用のボード62を最も左側にスライドさせた
図1の状態、すなわち、ボード61、ボード62の拡開状態で、ボード61、ボード62の左右端部分が前後に重合する部分の例えば下部位置には、
図1、
図6等に示すように、錠71、鍵72を配置し、収納家具2の前面開口領域をボード61、ボード62に閉塞し、かつ、錠71により施錠して収納家具2内のセキュリティ性を確保した状態と、その施錠状態を解除しボード61、ボード62を自由にスライド可能とした状態とに切り変えるように構成している。
【0043】
前記ボード61の仕上がり仕様に言及すると、(a)前記ボード61における文字等の筆記面を形成する表面材66としてアルミホーロー鋼板:色彩白色、(b)サイドカバー67としてアルミ押し出し材:色彩シルバー、(c)建枠68としてアルミ押し出し材:取っ手用凹溝部付き:色彩シルバー、(d)コーナーキャップ69としてPOM樹脂材:色彩シルバー等の例を挙げることができる。
【0044】
前記ボード62の仕上がり仕様についても前記ボード61の場合と同様である。
【0045】
図7に示すように、前記上レール31には弾性ゴム部74を含むストッパー体73が取り付けられ、前記上レール31のボード用凹陥部34に嵌装されるボード61におけるスライド嵌装体64の端面を定位置で規制し、前右用のボード61が収納家具2の
図1において右側へ飛び出さないように構成している。後左用のボード62についても、同様である。
更に、
図6に示すように、前記上レール31のボード用凹陥部34内には、前右用のボード61用の外れ防止金具75を配置している。
【0046】
上述した本実施例のスライドボードセット1によれば、前記上ブラケット11、下ブラケット21、上レール31及び下レール41の各部品を収納家具2の前面から各々取付け固定できるため、スライドボードセット1の施工の際、収納家具2の上段に別の収納家具やランマ収納家具等が載置されているような場合でも、これらを一旦床面上に下ろす必要は無くなり、大幅な作業軽減を図ることが可能となる。
【0047】
特に書類等が既に収納されている収納家具2に施工する場合には、当該収納家具2を下ろすための書類等の出し入れも必要無くなり、本実施例のスライドボードセット1の施工が極めて簡略容易となる。
【0048】
また、本実施例のスライドボードセット1の場合には、取り付け対象物側の種類を問わず、取り付け対象物である収納家具側に格別の構造的仕様を必要とすることなく、すなわち、収納家具が従来例のような専用品である必要はなく、この収納家具の前面側から前記各部品を簡略なねじ止め作業で取り付けることができ極めて汎用性が高いスライドボードセット1を実現することができる。
本実施例のスライドボードセット1の具体的利点について説明すると、
図11の比較図に示すように、ボード61、62の上端部、下端部のいずれにもローラ等の回転部品を用いていないので、ボード61、62の厚さtを、
図11の左欄(
図12に示す構造に対応)に示すボード111に比較し、約40%薄くすることが可能となる。また、収納家具2と後左側のボード62との位置関係、及び後左側のボード62と前右側のボード61との位置関係を見直すことで、
図11に示すレール持ち出し量L0を従来例の場合の持ち出し量L1に比較し約20%小さくすることも可能となる。
【0049】
更に、前記下レール41に耐荷重強化構造を採用している。
【0050】
この結果、収納家具2に取り付けた前記下レール41のボード61、62の重量による荷重を従来例より小さくすることができ、耐荷重性も万全となり、収納家具2の前面開口領域におけるボード61、62のスライド操作性の確保と安全性の確保とを実現することができる。
【0051】
上述した実施例においては、スライドボードセット1として、収納家具2の前面開口領域に2枚のボード61、62をスライドさせる構成について説明したが、この他、前記上レールの上ブラケット用添着片に下向きに突設した3列のボード用凹陥部34を、前記下レール41の下ブラケット用添着片42に3列の突条43を備え、前記3列のボード用凹陥部34と3列の突条43との間に、収納家具2の幅の略1/3の幅を有する3枚並列のボードを各々着脱・スライド可能に装着する構成としたり、前記上レール31の上ブラケット用添着片34に下向きに突設した2列のボード用凹陥部34を、前記下レール41の下ブラケット用添着片42に2列の突条43を備え、前記2列のボード用凹陥部34と2列の突条43との間に、収納家具2の幅の略1/4の幅を有する4枚のボードを前側2枚、後側2枚の配置で各々着脱・スライド可能に装着する構成としたりすることもでき、ボード用凹陥部34、突条43、ボードの枚数は収納家具2の幅寸法に応じて種々に選定できる。