(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-101946(P2015-101946A)
(43)【公開日】2015年6月4日
(54)【発明の名称】ドア用ロック機構
(51)【国際特許分類】
E05B 83/28 20140101AFI20150508BHJP
【FI】
E05B83/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-245959(P2013-245959)
(22)【出願日】2013年11月28日
(71)【出願人】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】特許業務法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】香川 泰輝
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250HH01
2E250JJ45
2E250LL11
2E250LL12
2E250PP15
(57)【要約】
【課題】キー操作によるキーロック時にノブをプッシュ操作しても、閂ロッドがロック状態に保持される形式のドア用ロック機構において、キーロック時にノブが強くプッシュ操作されても構成部材に破損が生じるような不具合を解消する。
【解決手段】キーロック時においては、ノブをプッシュ操作しても閂ロッドがロック状態に保持される形式のドア用ロック機構であって、回転によって閂ロッドを摺動させるカム部材16と、ノブ20と共にプッシュ操作されるキーシリンダ28と、キーシリンダに支持され、かつ、キー操作によって回転する作動部材30とを備えている。キーロック解除時においては、ノブ20のプッシュ操作によって作動部材30がカム部材16に干渉して該カム部材を回転させ、キーロック時においては、作動部材30がカム部材16に干渉しないように構成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアを閉じた状態にロックしている閂ロッドが、ノブのプッシュ操作に連動してロック解除方向へ摺動することでドアを開くことができ、かつ、キー操作によるキーロック時においては、ノブをプッシュ操作しても閂ロッドがロック状態に保持される形式のドア用ロック機構であって、
閂ロッドに連結され、その回転によって閂ロッドを摺動させるカム部材と、ノブと共にプッシュ操作されるキーロック用のキーシリンダと、キーシリンダに支持され、ノブのプッシュ操作によって直線的に作動し、かつ、キー操作によってカム部材に対する相対的な回転が可能な作動部材とを備え、キーロック解除時においては、ノブのプッシュ操作によって作動する作動部材がカム部材に干渉して該カム部材を回転させ、キーロック時においては、ノブのプッシュ操作によって作動する作動部材がカム部材に干渉しないように構成されているドア用ロック機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車室内のグラブボックスやコンソールボックス等のドアを閉じた状態でロックするドア用ロック機構に関する。さらに具体的には、ノブのプッシュ操作によってロックが解除され、かつ、キーロック時にはノブのプッシュ操作にかかわらずドアを閉じたロック状態に保持される形式のドア用ロック機構に関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のドアロック機構としては、グラブボックス等のドアが閂ロッドによって閉じた状態にロックされる構成のものが知られている。この構成では、ノブのプッシュ操作に連動して閂ロッドがロック解除方向へ摺動し、ドアを開くことができる。そして、キー操作によるキーロック時においては、キーシリンダのストッパー部が閂ロッドの端部と干渉するように位置する。このストパー構造によって閂ロッドの摺動が規制され、ノブをプッシュ操作しても閂ロッドがロック状態に保持される。
なお、特許文献1には、ノブのプッシュ操作によって閂ロッドをロック解除方向へ摺動させてグラブボックスのドアを開くことができる構成のロック機構が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−269572号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のキーシリンダによるストッパー構造においては、キーシリンダのストッパー部と閂ロッドの端部との接触箇所に荷重が集中することから、キーロック時においてノブが強くプッシュ操作されると、ストッパー部や閂ロッドに破損を生じる場合がある。
【0005】
本発明は、このような課題を解決しようとするもので、その目的は、キー操作によるキーロック時にノブをプッシュ操作しても、閂ロッドがロック状態に保持される形式のドア用ロック機構において、キーロック時にノブが強くプッシュ操作されても構成部材に破損が生じるような不具合を解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するためのもので、以下のように構成されている。
ドアを閉じた状態にロックしている閂ロッドが、ノブのプッシュ操作に連動してロック解除方向へ摺動することでドアを開くことができ、かつ、キー操作によるキーロック時においては、ノブをプッシュ操作しても閂ロッドがロック状態に保持される形式のドア用ロック機構であって、閂ロッドに連結され、その回転によって閂ロッドを摺動させるカム部材と、ノブと共にプッシュ操作されるキーロック用のキーシリンダと、キーシリンダに支持され、ノブのプッシュ操作によって直線的に作動し、かつ、キー操作によってカム部材に対する相対的な回転が可能な作動部材とを備えている。
そして、キーロック解除時においては、ノブのプッシュ操作によって作動する作動部材がカム部材に干渉して該カム部材を回転させ、キーロック時においては、ノブのプッシュ操作によって作動する作動部材がカム部材に干渉しないように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、ノブがプッシュ操作されたときの作動部材が、キーロック解除時においてはカム部材に干渉して該カム部材を回転させ、閂ロッドをロック解除方向へ摺動させることができ、キーロック時においてはカム部材を回転させることなく、閂ロッドをロック状態に保持することができる。
特に、キーロック時においてノブがプッシュ操作されても、それによって移動する作動部材がカム部材に干渉しない構成としているため、ノブのプッシュ操作が、いわゆる空打ちとなる。これにより、キーロック時にノブが強くプッシュ操作された場合でも、ロック機構の構成部材に破損が生じるような不具合が解消される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】ドア用ロック機構の構成部材を分解状態で表した斜視図。
【
図2】ドア用ロック機構における操作側の構成部材を分解状態で表した斜視図。
【
図3】ドア用ロック機構における操作側の構成部材を組み付け状態で表した正面図。
【
図6】キーロック解除時においてノブがプッシュ操作される状態を表した断面図。
【
図7】キーロック時においてノブがプッシュ操作される状態を表した断面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を用いて説明する。
図面では、グラブボックスのドア用ロック機構が示されている。このロック機構においては、
図1で示す左右一対の閂ロッド12が
図4、5に示されているドア10の内側において左右方向へ摺動可能に組み付けられている。両閂ロッド12は、それぞれの外側端部12aがインストルメントパネルのロック孔(図示省略)に係合することで、ドア10を閉じた状態にロックすることができる。このロック状態から両閂ロッド12が互いに接近する方向へ摺動することによってロックが解除され、ドア10を開くことができる。
また、両閂ロッド12の内側端部12bは、つぎに説明するカム部材16と連結するために、それぞれ球形状に形成されている。
【0010】
カム部材16は、リング形状をしており、後述するノブ20のベース22に対して回転可能に組み付けられている。カム部材16は、ノブ20から見て奥側の側面に一対の連結部16aを備え(
図3、
図5)、手前側の側面に一対の突片16bを備えている(
図1、
図5)。これらの両連結部16aの相互および両突片16bの相互は、それぞれ周方向に180°間隔で設けられている。ただし、両連結部16aと両突片16bとの周方向の位置関係については、何ら制限を受けない。
【0011】
両閂ロッド12の内側端部12bは、カム部材16の一対の連結部16aに対して自在継ぎ手の状態で個別に結合される。したがって、両閂ロッド12は、カム部材16の回転を通じて互いに同期してロック方向あるいはロック解除方向へ摺動することになる。そして、両閂ロッド12は、その一方(
図1の右側に位置する方)とドア10との間に掛けられたロックスプリング14により、常にロック方向へ付勢されている。
なお、カム部材16の両突片16bについては、後述する作動部材30との関連において詳細に説明する。
【0012】
ノブ20のベース22はドア10の開口部に組み込まれ、かつ、その両側から張り出したブラケット22aがドア10の内側面にそれぞれビス22bによって締結されている(
図4)。ノブ20はベース22に対してプッシュ操作可能に組み付けられ、ベゼル24はノブ20の外周とドア10の開口部との隙間を塞ぐようにベース22に固定されている。ノブ20とベース22との間には、スプリング26が組み込まれている(
図1、
図4)。このスプリング26の付勢力により、常態でのノブ20は
図4(A)あるいは
図5(A)で示す復帰位置に押し戻されている。
【0013】
ノブ20には、その表裏に貫通した円筒形状の空間部21があり、そこにはキーシリンダ28が組み込まれている。このキーシリンダ28は、ノブ20のプッシュ操作によって該ノブ20と共に移動する。また、キーシリンダ28の先端に位置している突起部29には、円板形状の作動部材30が固定(支持)されている(
図5)。
作動部材30は、カム部材16と同軸線上において該カム部材16と対向している。この作動部材30の外径は、カム部材16のリング内径よりも小さく設定されている。このため、ノブ20のプッシュ操作により、それと共に移動するキーシリンダ28に固定された作動部材30は、
図4(B)あるいは
図5(B)で示すようにカム部材16を貫通する位置まで直線的に作動する。
【0014】
作動部材30は、その外周部から張り出した一対の突出片32を備えている。これらの突出片32は、カム部材16の両突片16bに対して個別に相対向している。そこで、ノブ20のプッシュ操作に伴って作動部材30が作動すると、その両突出片32がカム部材16の両突片16bの斜面16cにそれぞれ干渉し、これらの斜面16cを押しながら進行する。この状況が
図6の実線から仮想線への変化によって示されており、これによってカム部材16が回転する。
【0015】
前述のように、キーシリンダ28の突起部29に固定されている作動部材30は、このキーシリンダ28のキー操作によってカム部材16に対して相対的に回転する。これにより、キーシリンダ28がキー操作によってキーロック解除からキーロックに切り替えられたときの作動部材30は、その突出片32が
図7の実線位置から仮想線位置に変化するように回転する。この結果、ノブ20のプッシュ操作によって作動部材30が
図4(B)あるいは
図5(B)で示す位置まで作動しても、両突出片32がカム部材16の両突片16bの斜面16cに干渉せず、カム部材16は回転しない。
【0016】
つづいて、ドア用ロック機構のロック解除操作について説明する。
まず、キーシリンダ28のキーロック解除時においてノブ20がプッシュ操作されると、すでに説明したように作動部材30が
図4(B)あるいは
図5(B)で示す位置まで直線的に作動し、その両突出片32がカム部材16の両突片16bの斜面16cを押しながら進行する。これにより、カム部材16が
図6の実線位置から仮想線位置に回転し、それに連動して両閂ロッド12がロック解除方向へ摺動する。この結果、両閂ロッド12によるドア10のロックが解除され、ドア10を開くことができる。
【0017】
キーシリンダ28のキーロック時には、そのときのキー操作に伴う作動部材30の回転により、その両突出片32がカム部材16の両突片16bからズレた位置(
図7の仮想線位置)に移動する。このため、すでに説明したようにノブ20のプッシュ操作によって作動部材30が作動しても、両突出片32がカム部材16の両突片16bの斜面16cに干渉せず、いわゆる空打ちとなる。したがって、カム部材16は回転せず、両閂ロッド12はドア10を閉じたロック状態に保持される。
このように、キーロック時においては、ノブ20のプッシュ操作によって作動する作動部材30の両突出片32がカム部材16の側に全く干渉しないことから、仮にノブ20が強くプッシュ操作された場合でも、ロック機構の構成部材に支障は生じない。
【符号の説明】
【0018】
10 ドア
12 閂ロッド
16 カム部材
20 ノブ
28 キーシリンダ
30 作動部材