特開2015-102001(P2015-102001A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-102001(P2015-102001A)
(43)【公開日】2015年6月4日
(54)【発明の名称】可搬式エンジン発電機
(51)【国際特許分類】
   F02N 19/02 20100101AFI20150508BHJP
   F02D 29/06 20060101ALI20150508BHJP
   H02J 9/08 20060101ALI20150508BHJP
【FI】
   F02N19/02 D
   F02D29/06 B
   F02D29/06 J
   F02D29/06 Q
   H02J9/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-242548(P2013-242548)
(22)【出願日】2013年11月25日
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 俊和
【テーマコード(参考)】
3G093
5G015
【Fターム(参考)】
3G093AA18
3G093AB01
3G093BA21
3G093CA01
3G093DB09
3G093DB23
3G093DB28
5G015GA17
5G015JA68
(57)【要約】
【課題】 可搬式エンジン発電機を非常用電源として使用する際のディーゼルエンジンの予熱及び始動を確実に行うことができる可搬式エンジン発電機を提供する。
【解決手段】 ECU11に追加される外部予熱回路20は、商用電源の停電時にONとなる外部予熱スイッチ22と、外部予熱スイッチがOFFのときに予熱リレー15と内部予熱スイッチ12とを接続し、外部予熱スイッチがONのときに予熱リレーと内部予熱スイッチとを遮断しながら予熱リレーを作動状態にする外部予熱リレー21と、外部予熱リレーと内部予熱スイッチとの間の回路にあらかじめ設定された電圧を印加する外部電源部25とを備えている。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気温に応じて予熱時間を調節する予熱回路を備えたエンジン制御器により制御されるディーゼルエンジンを発電機の駆動源として用いた可搬式エンジン発電機において、前記エンジン制御器の予熱回路は、予熱指令によってON・OFFする内部予熱スイッチと、該内部予熱スイッチのONにより作動状態となって予熱ヒータを作動させる予熱リレーと、該予熱リレーと前記内部予熱スイッチとの間の回路の電圧を検出する電圧検出部とを備えるとともに、前記予熱リレーと前記内部予熱スイッチとの間の回路に挿入される外部予熱回路を備え、該外部予熱回路は、商用電源の停電時に出力される外部予熱指令によってONとなる外部予熱スイッチと、該外部予熱スイッチがOFFのときに前記予熱リレーと前記内部予熱スイッチとを接続し、外部予熱スイッチがONのときに前記予熱リレーと前記内部予熱スイッチとを遮断しながら前記予熱リレーを作動状態にする外部予熱リレーと、該外部予熱リレーと前記内部予熱スイッチとの間の回路にあらかじめ設定された電圧を印加する外部電源部とを備えていることを特徴とする可搬式エンジン発電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬式エンジン発電機に関し、詳しくは、エンジン制御器(ECU)を装備したディーゼルエンジンにより発電機を駆動する可搬式エンジン発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
ディーゼルエンジン(以下、単にエンジンということがある。)を駆動源とした可搬式エンジン発電機を始動する際には、最初に予熱を行ってからセルモータを起動してエンジンを始動する必要がある。この可搬式エンジン発電機を、商用電源の停電時に作動させる非常用電源として用いる場合、停電検出手段、予熱作動手段、セルモータ起動手段及びタイマを備えた外部予熱回路を設け、停電検出手段が商用電源の停電が、あらかじめ設定された停電時間、例えば1秒間継続したことを検出すると、予熱作動手段があらかじめ設定された予熱時間、例えば20秒間予熱ヒータ(グロー)を作動させて予熱を行い、予熱終了後にセルモータ起動手段がセルモータを起動させてエンジンを始動するようにしていた(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−115004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、近年のエンジン発電機は、排ガス3次規制を達成するために、ほとんどがエンジン制御器(ECU)を装備している。かかるエンジン発電機には、エンジン始動時間の短縮を図るため、外気温に応じて予熱時間を調節する機能をECUに付加することが行われている。このようなECUを備えたディーゼルエンジンを駆動源とする可搬式エンジン発電機を非常用電源として用いる際に前記同様に外部予熱回路を設けると、ECUが外気温に基づいて設定した予熱時間と、外部予熱回路に設定された予熱時間とが異なることがある。このとき、ECUが設定した予熱時間が経過しても、外部予熱回路による予熱が継続していると、ECUは、予熱が終了したにもかかわらず予熱が継続している状態になっているため、予熱にかかわる電気回路に異常が発生したと判定し、エンジンが始動できないように制御してしまう。
【0005】
例えば、図6は、外気温に応じて予熱時間を制御するECUに設けられた予熱回路の一例を示す回路図であって、ECU11には、ECU内の予熱指令によってON・OFFする内部予熱スイッチ12と、電圧検出部13とが設けられ、予熱ヒータ14には、内部予熱スイッチ12のON・OFFによって作動する予熱リレー15が設けられている。予熱リレー15は、作動コイル15aと、該作動コイル15aが通電状態になったときにONとなるヒータスイッチ15bとを有している。
【0006】
図6に示すように、予熱指令がなく、内部予熱スイッチ12がOFFのときには、作動コイル15aが非通電状態であるからヒータスイッチ15bがOFFであり、予熱ヒータ14は非作動状態になっている。このとき、電圧検出部13は、作動コイル15aを介してリレー用電源部16の電圧を検出することになるので、電圧検出部13では所定の高電圧(+V=High)を検出した状態となる。
【0007】
予熱指令によって内部予熱スイッチ12がONになると、リレー用電源部16からの電流が作動コイル15a及び内部予熱スイッチ12を経て内部アース17に流れるので、作動コイル15aが通電状態になり、ヒータスイッチ15bがONになる。これにより、ヒータ用電源部18からヒータスイッチ15bを介して予熱ヒータ14に電流が流れ、予熱ヒータ14が作動して予熱状態になる。このとき、電圧検出部13は、内部予熱スイッチ12を介してアース状態になるので、検出する電圧は、所定の低電圧(V=Low)となる。ECU11は、予熱指令がなく、検出した電圧が高電圧のときには正常な非予熱状態であると判定し、予熱指令があり、検出した電圧が低電圧のときには正常な予熱中の状態であると判定する。
【0008】
このような予熱回路を有し、外気温に応じて内部予熱スイッチ12をONにする時間を制御するECUでは、外気温が低い極寒状態では予熱時間が長くなるため、非常用電源に関する法律で規定された40秒以内という時間内に電圧確立及び投入が行えなくなるおそれがある。また、40秒以内で電圧確立及び投入が行えるように、例えば、予熱開始から20秒後にエンジンを始動するように設定した場合、外気温が低いときには予熱が不十分でエンジンの始動が困難になるおそれがあり、外気温が高いときには、予熱が短時間で終了してしまうため、始動時に冷えてしまって始動が困難になるおそれがある。したがって、外気温に応じて予熱時間を制御するECUを備えた可搬式エンジン発電機を非常用電源として使用することは好ましくない。
【0009】
図7は、予熱及び始動を確実に行えるようにするため、図6に示したECUの予熱回路に前記外部予熱回路を追加した予熱回路の一例を示す回路図である。この予熱回路は、図6に示した予熱回路に、外部予熱回路の予熱作動手段である外部予熱リレー21と、停電検出手段からの外部予熱指令によってON・OFFする外部予熱スイッチ22と、外部予熱リレー21を作動させる電源となる外部リレー用電源部23とを追加したものであって、外部予熱リレー21には、外部予熱スイッチ22に接続した外部予熱作動コイル21aと、該外部予熱作動コイル21aの状態によって接点が切り替わる外部予熱作動スイッチ21bとを有している。
【0010】
図7に示すように、ECUに予熱指令がなく、内部予熱スイッチ12がOFFで、かつ、外部予熱指令がなく、外部予熱スイッチ22がOFFのときには、外部予熱リレー21の外部予熱作動スイッチ21bがECU側に切り替わった状態になっているため、ECUの電圧検出部13は、図6に示したものと同様に、リレー用電源部16から作動コイル15a及び外部予熱リレー21を経た所定の高電圧(+V=High)を検出する。ECUの予熱指令によって内部予熱スイッチ12がONになると、図6に示したものと同様に、予熱リレー15がONとなって予熱ヒータ14が作動するとともに、電圧検出部13は所定の低電圧(V=Low)を検出する。
【0011】
一方、停電による外部予熱指令によって外部予熱スイッチ22がONになると、外部リレー用電源部23からの電流が外部予熱作動コイル21aに流れ、外部予熱作動コイル21aが作動状態になって外部予熱作動スイッチ21bが外部アース24側に切り替わる。これにより、リレー用電源部16からの電流が作動コイル15aを通り、外部予熱作動スイッチ21bを通って外部アース24に流れ、ヒータスイッチ15bがONになって予熱ヒータ14に電流が流れて予熱状態になる。このとき、リレー用電源部16からの電流は、作動コイル15a及び外部予熱作動スイッチ21bを通って外部アース24に流れてしまうため、電圧検出部13は低電圧(V=Low)を検出することになる。
【0012】
したがって、ECUにおいては、内部予熱スイッチ12がOFFであるにもかかわらず、電圧検出部13が低電圧(V=Low)を検出していることから、予熱回路にエラーが発生したと判定し、エンジンの始動を禁止するように制御する。このため、外部予熱回路に設定した予熱時間が経過してもエンジンを始動させることができなくなってしまい、非常用電源として機能しなくなる。
【0013】
また、停電による外部予熱指令に基づいて外部予熱スイッチ22と共にECUの内部予熱スイッチ12も同時にONにすることにより、内部予熱スイッチ12がONで、電圧検出部13が低電圧(V=Low)を検出している正常な状態にできるが、ECUの内部予熱スイッチ12は、ON状態の継続時間が外気温に応じて設定されるため、外気温が高い場合には、外部予熱回路に設定されている予熱時間が終了する前に内部予熱スイッチ12がOFFになってしまい、前記同様に、内部予熱スイッチ12がOFFで、電圧検出部13が低電圧(V=Low)を検出するエラー状態になってしまう。
【0014】
なお、ECU内に外部予熱回路に相当する回路を組み込むことも可能であるが、外部予熱回路は、可搬式エンジン発電機を非常用電源として使用するときにのみ必要な回路であり、他の用途にも使用するディーゼルエンジンの全てのECUに外部予熱回路に相当する回路を組み込むことは、不必要な回路を無駄に組み込んでコストアップを招くだけであり、不経済であり、実用性は全くないといえる。
【0015】
そこで本発明は、可搬式エンジン発電機を非常用電源として使用する際のディーゼルエンジンの予熱及び始動を確実に行うことができる可搬式エンジン発電機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するため、本発明の可搬式エンジン発電機は、外気温に応じて予熱時間を調節する予熱回路を備えたエンジン制御器により制御されるディーゼルエンジンを発電機の駆動源として用いた可搬式エンジン発電機において、前記エンジン制御器の予熱回路は、予熱指令によってON・OFFする内部予熱スイッチと、該内部予熱スイッチのONにより作動状態となって予熱ヒータを作動させる予熱リレーと、該予熱リレーと前記内部予熱スイッチとの間の回路の電圧を検出する電圧検出部とを備えるとともに、前記予熱リレーと前記内部予熱スイッチとの間の回路に挿入される外部予熱回路を備え、該外部予熱回路は、商用電源の停電時に出力される外部予熱指令によってONとなる外部予熱スイッチと、該外部予熱スイッチがOFFのときに前記予熱リレーと前記内部予熱スイッチとを接続し、外部予熱スイッチがONのときに前記予熱リレーと前記内部予熱スイッチとを遮断しながら前記予熱リレーを作動状態にする外部予熱リレーと、該外部予熱リレーと前記内部予熱スイッチとの間の回路にあらかじめ設定された電圧を印加する外部電源部とを備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明の可搬式エンジン発電機によれば、内部予熱スイッチがOFFで、外部予熱スイッチがONになって予熱が行われている場合、電圧検出部には外部電源部から所定の高電圧が印加されるため、エンジン制御器がエラー判定を出すことがなく、外部予熱回路に設定された時間、予熱を行った後、セルモータを起動することによりエンジンを始動させることができる。したがって、外気温に応じて予熱時間を調節するエンジン制御器を備えたエンジンの場合でも、十分に予熱を行った状態でエンジンを始動させるので、外気温が低いときでもエンジンの始動を確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の可搬式エンジン発電機における予熱回路部分の一形態例を示すもので、予熱ヒータがOFFの状態を示す回路図である。
図2】同じく外部予熱スイッチによって予熱ヒータをONにした状態を示す回路図である。
図3】同じく内部の内部予熱スイッチによって予熱ヒータをONにした状態を示す回路図である。
図4】可搬式エンジン発電機の運転状態の一例を示す説明図である。
図5】予熱回路部分の動作例を示す説明図である。
図6】エンジン制御器(ECU)に設けられた予熱回路の一例を示す回路図である。
図7】外部予熱回路を追加した予熱回路の一例を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1乃至図3は、本発明の可搬式エンジン発電機における予熱回路部分の一形態例を示すもので、図1は予熱ヒータがOFFの状態、図2は外部予熱スイッチによって予熱ヒータをONにした状態、図3は内部の内部予熱スイッチによって予熱ヒータをONにした状態をそれぞれ示している。なお、以下の説明において、前記図6及び図7に示した予熱回路部分の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は一部省略する。
【0020】
まず、エンジン制御器(ECU)11の内部には、前記同様に、ECU内の予熱指令によってON・OFFする内部予熱スイッチ12と、電圧検出部13とが設けられている。また、予熱ヒータ14の部分には、作動コイル15aとヒータスイッチ15bとを有する予熱リレー15が設けられている。予熱リレー15の作動コイル15aは、リレー用電源部16からの通電で作動し、作動コイル15aが通電状態になるとヒータスイッチ15bがONとなり、ヒータ用電源部18から予熱ヒータ14に電流が流れて予熱状態になる。
【0021】
ECU11と予熱ヒータ14との間には、停電検出手段からの外部予熱指令によって作動する外部予熱回路20が追加挿入されている。この外部予熱回路20は、外部予熱リレー21と、外部予熱スイッチ22と、外部リレー用電源部23と、外部アース24と、外部電源部25とを備えている。外部予熱スイッチ22は、図示しない停電検出手段が商用電源の停電を検出したときの外部予熱指令によってONとなり、商用電源の復電によってOFFとなる。
【0022】
外部予熱リレー21は、外部予熱スイッチ22がONのときに外部リレー用電源部23を電源として通電状態となる外部予熱作動コイル21aと、該外部予熱作動コイル21aが通電状態になったときに外部アース24側の接点(アース側接点)21cに切り替わり、外部予熱作動コイル21aが非通電状態のときにはECU側の接点(ECU側接点)21dに切り替わる外部予熱作動スイッチ21bとを有している。
【0023】
外部電源部25は、電源部25aと電圧調整用の抵抗25bとを有するもので、リレー用電源部16から予熱リレー15及び外部予熱リレー21を経て電圧検出部13に印加される電圧(高電圧(+V=High))と同等の電圧を電圧検出部13に印加するように、電源部25aの電圧に対して抵抗25bの抵抗値が設定されている。なお、各電源部16,18,23,25は、通常は、いずれもエンジン発電機に設けられているバッテリを電源としている。
【0024】
図1は、待機状態あるいはエンジン運転中で、予熱ヒータ14がOFFの状態を示している。すなわち、内部予熱スイッチ12及び外部予熱スイッチ22は共にOFFであり、予熱リレー15のヒータスイッチ15bはOFF、外部予熱リレー21の外部予熱作動スイッチ21bはECU側接点21dに接続した状態となっている。このとき、電圧検出部13は、リレー用電源部16から予熱リレー15及び外部予熱リレー21を通った回路の電圧、又は、外部電源部25の電源部25aから抵抗25bを通った回路の電圧を検出する。これらの回路は、いずれもアース側に接続していないため、あらかじめ設定された高電圧となり、ECU11では、内部予熱スイッチ12がOFFで、電圧検出部13が高電圧を検出しているので、正常な状態であると判定する。
【0025】
図2は、外部予熱指令によって外部予熱スイッチ22がONになった予熱状態を示している。このとき、外部予熱スイッチ22がONになったことによって外部予熱作動コイル21aが通電状態となり、外部予熱作動スイッチ21bがアース側接点21cに切り替わる。これにより、リレー用電源部16から予熱リレー15の作動コイル15a,外部予熱作動スイッチ21bを通って外部アース24へ電流が流れるので、作動コイル15aの作動によってヒータスイッチ15bがONとなり、ヒータ用電源部18から予熱ヒータ14に電流が流れて予熱状態になる。また、電圧検出部13は、外部電源部25の電圧を検出する状態になるので、待機状態と同じ高電圧を検出することになり、内部予熱スイッチ12がOFFで、電圧検出部13が高電圧を検出しているので、ECU11は正常な状態であると判定する。したがって、外部予熱回路に設定された時間、予熱が行われた後、エンジンの始動が行われる。
【0026】
図3は、ECU内部からのエンジン始動指令に基づいて予熱が行われる状態を示している。すなわち、ECU内部の内部予熱スイッチ12がONになることで、リレー用電源部16から予熱リレー15の作動コイル15a,ECU側接点21dに接続している外部予熱作動スイッチ21b及び内部予熱スイッチ12を通って内部アース17に電流が流れ、作動コイル15aの作動によってヒータスイッチ15bがONとなり、ヒータ用電源部18から予熱ヒータ14に電流が流れて予熱状態になる。このとき、電圧検出部13は、内部予熱スイッチ12がONになっているので内部アース17に接地した状態の電圧を検出することになり、所定の低電圧を検出することになる。この場合は、内部予熱スイッチ12がONで、電圧検出部13が検出した電圧が低電圧であるから、ECU11は正常な状態であると判定する。したがって、ECU11により、外気温に応じた時間、予熱が行われた後にエンジンが始動される。
【0027】
また、図示は省略するが、内部予熱スイッチ12及び外部予熱スイッチ22が共にONになった場合も同様であり、図2に示した状態と同様に、リレー用電源部16から予熱リレー15の作動コイル15a及び外部予熱作動スイッチ21bを通って外部アース24へ電流が流れることによってヒータスイッチ15bがONとなり、予熱ヒータ14が作動状態となる。また、電圧検出部13は、図3に示した状態と同様に、内部予熱スイッチ12がONで内部アース17に接続した状態であり、電圧検出部13が検出した電圧が低電圧になるから、ECU11は正常な状態であると判定する。
【0028】
図4は、商用電源が停電したときの可搬式エンジン発電機の運転状態の一例を示している。まず、可搬式エンジン発電機が待機状態のときに停電が発生し、停電信号(トリガ)が判断時間に設定した1秒間継続すると、外部予熱指令によって外部予熱スイッチ22がONとなり、前記図2に示した予熱状態になる。外部予熱指令による予熱時間は20秒に固定されており、20秒が経過すると、即ち停電から21秒後に外部予熱スイッチ22がOFFになるとともに、始動指令によってセルモータが起動してエンジンを始動させる。
【0029】
エンジン回転数があらかじめ設定された低速度回転数、例えば毎分400〜500回転になるとエンジンが低速度で回転した状態になり、エンジンが始動したことが検出され、セルモータが停止する。なお、セルモータが起動してもエンジンの低速度の回転が検出されなかった場合は、セルモータを一旦停止した後に再起動し、セルモータの起動を3回繰り返してもエンジンを始動できなかったときには、始動不能状態が検出されて所定のアラームが発せられる。
【0030】
エンジンが始動して可搬式エンジン発電機が運転中の状態になると、発電機の発電電圧により、発電機の発電状態が検出され、エンジンの回転数が規定回転数に上昇し、発電機の発電電圧が規定電圧に達すると、すなわち、発電機側の電圧が確立されたことが検出されると、送電用の遮断器が投入され、商用電源に代わって可搬式エンジン発電機からの送電が始まる。停電発生から送電開始までの時間は、停電の判断時間が1秒、予熱が20秒にそれぞれ固定され、エンジンの始動から電圧検出、電圧確立、送電開始までの時間は、エンジンの状態や発電機の状態によって異なるが、19秒以内になるように設定され、全体として停電発生から送電開始までを40秒以内に行えるようにしている。
【0031】
商用電源の復電を検出すると、送電停止信号によってあらかじめ設定された時間、この場合は30秒後に商用電源からの送電に切り替えられる。その後、エンジンの冷気運転を30秒行った後、エンジンが停止して待機状態に戻る。
【0032】
図5は、予熱回路部分の動作例を示すもので、本動作例では、停電信号(トリガ)が1秒間継続したときに、まず、ECU11の内部予熱スイッチ12がONになることで、予熱リレー15が作動して予熱ヒータ14が作動して予熱状態になる。また、ECU11の予熱動作を受けて外部予熱スイッチ22がONになる。ECU11の内部予熱スイッチ12が外気温に対応してOFFになった後も、外部予熱スイッチ22は、あらかじめ設定された時間(20秒)はON状態を維持し、外部予熱回路20による予熱状態が継続される。予熱時間が終了すると、外部予熱スイッチ22がOFFになるとともに、セルモータが起動してエンジンを始動する。このように、ECU11の内部予熱スイッチ12が外気温に応じて短時間でOFFになっても、外部予熱回路20による予熱状態を継続することにより、エンジンを確実に始動させることができ、停電発生から40秒以内で送電を開始することができる。
【符号の説明】
【0033】
11…エンジン制御器(ECU)、12…内部予熱スイッチ、13…電圧検出部、14…予熱ヒータ、15…予熱リレー、15a…作動コイル、15b…ヒータスイッチ、16…リレー用電源部、17…内部アース、18…ヒータ用電源部、20…外部予熱回路、21…外部予熱リレー、21a.…外部予熱作動コイル、21b…外部予熱作動スイッチ、21c…アース側接点、21d…ECU側接点、22…外部予熱スイッチ、23…外部リレー用電源部、24…外部アース、25…外部電源部、25a…電源部、25b…抵抗
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7