シリコーン相(A)、水相(B)及び疎水性ヒュームド金属酸化物(C)を含有し、シリコーン相(A)を水相(B)に乳化してなる水中油型シリコーンエマルションであって、乳化されているシリコーン相(A)の表面に疎水性ヒュームド金属酸化物(C)が吸着しており、シリコーン相(A)の動粘度(25℃)が5,000〜1,000,000mm2/sであることを特徴とする水中油型シリコーンエマルションを用いる。
シリコーン相(A)、水相(B)及び疎水性ヒュームド金属酸化物(C)を含有し、シリコーン相(A)を水相(B)に乳化してなる水中油型シリコーンエマルションであって、
乳化されているシリコーン相(A)の表面に疎水性ヒュームド金属酸化物(C)が吸着しており、
シリコーン相(A)の動粘度(25℃)が5,000〜1,000,000mm2/sであることを特徴とする水中油型シリコーンエマルション。
シリコーン相(A)、水相(B)及び親水性ヒュームド金属酸化物(C)の重量に基づいて、シリコーン相(A)の含有量が1〜65重量%、水相(B)の含有量が29〜98.9重量%、疎水性ヒュームド金属酸化物(C)の含有量が0.01〜6重量%である請求項1に記載の水中油型シリコーンエマルション。
疎水性ヒュームド金属酸化物(C)に対するシリコーン相(A)の重量の比(A/C)が、5〜100である請求項1〜3のいずれかに記載の水中油型シリコーンエマルション。
疎水性シリカ(D)及びシリコーンオイル(E)の重量に基づいて、疎水性シリカ(D)の含有量が0.01〜30重量%、シリコーンオイル(E)の含有量が70〜99.99重量%である請求項5又は6に記載の水中油型シリコーンエマルション。
さらに、界面活性剤(F)を含有してなり、界面活性剤(F)の含有量が、シリコーン相(A)の重量に基づいて、0.01〜20重量%である請求項1〜7のいずれかに記載の水中油型シリコーンエマルション。
疎水性ヒュームド金属酸化物(C)が表面に吸着したシリコーン相(A)からなるエマルション粒子の個数平均粒子径が、0.1〜100μmである請求項1〜9のいずれかに記載の水中油型シリコーンエマルション。
【発明を実施するための形態】
【0015】
シリコーン相(A)は、消泡性等の機能を発揮するための成分であり、乳化しやすさとエマルション安定性の観点から、シリコーン相(A)の動粘度(mm2/s、25℃)は、5,000〜1,000,000が好ましく、さらに好ましくは6,000〜800,000、特に好ましくは7,000〜600,000、最も好ましくは10,000〜500,000である。
【0016】
シリコーン相(A)は、シリコーンオイル(E)を含有すれば、シリコーンオイル(E)以外に他の成分を含有していてもよい。
【0017】
シリコーンオイル(E)としては、ポリジメチルシロキサン、ポリジメチルシロキサンのメチル基の一部を炭素数2〜6のアルキル基、フェニル基等で置換したもの及びこれらを架橋したもの等が挙げられる。シリコーンオイル(E)の動粘度(mm
2/s、25℃)は、5,000〜1,000,000が好ましく、さらに好ましくは6,000〜800,000、特に好ましくは7,000〜600,000、最も好ましくは10,000〜500,000である。
【0018】
他の成分としては、シリコーンオイル(E)中に均一に溶解するものや、シリコーンオイル(E)中に均一に分散するものであれば制限ないが、疎水性シリカ(D)が好ましく用いられる。
すなわち、好ましいシリコーン相としては、疎水性シリカ(D)及びシリコーンオイル(E)を含むものである。
【0019】
疎水性シリカ(D)のメタノール湿潤性(M値)は、51〜90が好ましく、さらに好ましくは52〜85、特に好ましくは53〜83、最も好ましくは54〜80である。
【0020】
M値は、微粒子の疎水性の程度を表す概念であり、M値が高いほど親水性が低いことを示し、水・メタノール混合溶液に微粒子を均一分散させる際、必要最低量のメタノールの容量割合で表され、次の方法で求めることができる。
【0021】
<M値算出法>
測定試料(疎水性ヒュームド金属酸化物(C)、疎水性シリカ(D)等)0.2gを容量250mLのビーカー中の50mLの水に添加し、続いてメタノールをビュレットから測定試料の全量が懸濁するまで滴下する。この際ビーカー内の溶液をマグネティックスターラーで常時撹拌し、測定試料の全量が溶液中に均一懸濁された時点を終点とし、終点におけるビーカーの液体混合物のメタノールの容量百分率がM値となる。
【0022】
疎水性シリカ(D)としては、シリカ粉末を疎水化剤で疎水化処理した疎水性シリカが含まれる。
市場から入手できる疎水性シリカとしては、商品名として、Nipsil SS−10(M値65)、SS−15(M値60)、SS−50(M値60)、SS−100(M値60)及びSS−215(M値65)(東ソー・シリカ株式会社、「Nipsil」は東ソー・シリカ株式会社 の登録商標である。)、AEROSIL R812(M値54)及びR805(M値60)(日本アエロジル株式会社、「AEROSIL」はエボニック デグサ ゲーエムベーハーの登録商標である。 )、並びにSIPERNAT D10(M値60)(デグサジャパン株式会社、「SIPERNAT」はエボニック デグサ ゲーエムベーハーの登録商標である。 )等が挙げられる。
【0023】
シリコーン相(A)として、疎水性シリカ(D)及びシリコーンオイル(E)を用いる場合、疎水性シリカ(D)の含有量(重量%)は、疎水性シリカ(D)及びシリコーンオイル(E)の重量に基づいて、0.01〜30が好ましく、さらに好ましくは0.1〜25、特に好ましくは0.3〜22、最も好ましくは0.5〜20である。
【0024】
また、この場合、シリコーンオイル(E)の含有量(重量%)は、疎水性シリカ(D)及びシリコーンオイル(E)の重量に基づいて、70〜99.99が好ましく、さらに好ましくは75〜99.9、特に好ましくは78〜99.7、最も好ましくは80〜99.5である。
【0025】
シリコーン相(A)として疎水性シリカ(D)及びシリコーンオイル(E)を使用する場合、この混合物は、シリコーンオイルコンパウンドとして市場から入手できる。
市場から入手できるシリコーンオイルコンパウンドとしては、PULPSIL 150C(動粘度(25℃、mm2/s)20,000、疎水性シリカ含量1〜10重量%)及び245C(動粘度(25℃、mm2/s)60,000、疎水性シリカ含量5〜15重量%)(旭化成ワッカーシリコーン株式会社、「PULPSIL」はワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフトの登録商標である。 )、並びにY−14991(動粘度(25℃、mm2/s)250,000、疎水性シリカ含量1〜10重量%)(モメンティブジャパン合同会社)等が挙げられる。
【0026】
水相(B)は、水(G)を必須構成成分としてなり、水(G)としては、水道水、工業用水、脱イオン水及び蒸留水等が挙げられる。水相(B)は、水(G)の他、公知の増粘剤、防腐剤(防菌・防黴剤辞典、日本防菌防黴学会昭和61年第1版発行、1−32頁等)及び/又は凍結防止剤を含んでもよい。
【0027】
増粘剤としては、キサンタンガム、ローカストビーンガム、グァーガム、カラギーナン、アルギン酸及びこの塩、トラガントガム、マグネシウムアルミニウムシリケート、ベントナイト、合成含水珪酸、並びにカルボキシル基を含む合成高分子型増粘剤(商品名として、たとえば、SNシックナー636、SNシックナー641等;サンノプコ株式会社)、ポリオキシエチレン鎖を含む会合型増粘剤(商品名として、たとえば、SNシックナー625N、SNシックナー665T等)等が挙げられる。
【0028】
凍結防止剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール及びグリセリン等が挙げられる。
【0029】
防腐剤としては、ホルマリン及び5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン等が挙げられる。
【0030】
疎水性ヒュームド金属酸化物(C)としては、気化させた金属塩化物を高温の水素炎中において気相反応によって合成された乾式金属酸化物を、疎水化剤で疎水化処理した疎水性ヒュームド金属酸化物が使用できる。
【0031】
疎水性ヒュームド金属酸化物(C)としては、疎水性ヒュームドシリカ、疎水性ヒュームドアルミナ及び疎水性ヒュームドチタンが含まれる。
これらの疎水性ヒュームド金属酸化物(C)のうち、乳化安定性、コストの観点から、疎水性ヒュームドシリカが好ましい。
【0032】
疎水性ヒュームド金属酸化物(C)は、市場から容易に入手でき、たとえば、アエロジルシリーズ(R972(M値48)、R974(M値45)、R976(M値45)等、日本アエロジル株式会社、「アエロジル」は登録商標である。)等が挙げられる。
【0033】
疎水性ヒュームド金属酸化物(C)は、水相(B)にシリコーン相(A)を乳化させるのを手助けする働きがあると考えられ(すなわち、エマルション安定性に大きく寄与すると考えられる。)、本発明の水中油型シリコーンエマルションにおいて、疎水性ヒュームド金属酸化物(C)の大部分は水相(B)とシリコーン相(A)との間に存在しているものと考えられる。
【0034】
疎水性ヒュームド金属酸化物(C)のBET比表面積(m2/g、窒素ガス吸着による)は、20〜450が好ましく、さらに好ましくは50〜380、特に好ましくは80〜320、最も好ましくは110〜260である。
【0035】
疎水性ヒュームド金属酸化物(C)のBET比表面積(m2/g、窒素ガス吸着による)は、ISO5794−1/アネックスDに基づき、BET比表面積測定装置(たとえば、TRISTAR3000、Micromeritics社)を用いてDIN ISO9277による多点測定に従って測定する。
【0036】
疎水性ヒュームド金属酸化物(C)のメタノール湿潤性(M値)は、20〜50が好ましく、さらに好ましくは21〜49、特に好ましくは22〜48、最も好ましくは23〜48である。
M値が20よりも小さい場合、作成したエマルションの安定性が悪く、M値が50よりも大きい場合、乳化が難しくなる。
【0037】
疎水性ヒュームド金属酸化物(C)は、水相(B)及びシリコーン相(A)と混合することによって水相(B)とシリコーン相(A)との界面に吸着し、シリコーン相(A)を水相(B)に乳化させることができる。
【0038】
シリコーン相(A)の含有量(重量%)は、シリコーン相(A)、水相(B)及び疎水性ヒュームド金属酸化物(C)の重量に基づいて、1〜65が好ましく、さらに好ましくは3〜60、特に好ましくは5〜55、最も好ましくは10〜50である。この範囲であると、安定性(エマルション安定性)がさらに良好となる。
【0039】
水相(B)の含有量(重量%)は、シリコーン相(A)、水相(B)及び疎水性ヒュームド金属酸化物(C)の重量に基づいて、29〜98.99が好ましく、さらに好ましくは34.5〜96.9、特に好ましくは40〜94.7、最も好ましくは45.5〜89.5である。この範囲であると、安定性(エマルション安定性)がさらに良好となる。
【0040】
疎水性ヒュームド金属酸化物(C)の含有量(重量%)は、シリコーン相(A)、水相(B)及び疎水性ヒュームド金属酸化物(C)の重量に基づいて、0.01〜6が好ましく、さらに好ましくは0.1〜5.5、特に好ましくは0.3〜5、最も好ましくは0.5〜4.5である。この範囲であると、安定性(エマルション安定性)がさらに良好となる。
【0041】
シリコーン相(A)及び疎水性ヒュームド金属酸化物(C)からなるエマルション粒子のメジアン径(d50、個数基準)(μm)は、0.1〜100が好ましく、さらに好ましくは0.2〜80、特に好ましくは0.3〜60、最も好ましくは0.5〜40である。この範囲内であると安定性がさらに良好である。
【0042】
シリコーン相(A)及び疎水性ヒュームド金属酸化物(C)からなるエマルション粒子のメジアン径(d50、個数基準)は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置{たとえば、Partica LA−950V2(フローセル式、分散質の屈折率=1.45、分散媒の屈折率=1.33、反復回数15)、堀場製作所株式会社}を使用して次のように測定される。
【0043】
<測定法>
イオン交換水をフローセルに入れて循環(循環強度5)しながら、ブランク測定を行う。100mLガラスビーカーにイオン交換水を約10mL入れ、測定試料(水中油型シリコーンエマルション)を数滴加えて均一になるまで混合して分散液を作成する。この分散液をフローセルに少しずつ加えて、適切な透過光強度(青色LEDの透過光強度が80〜90%又は赤色LEDの透過光強度が70〜90%)に調整して測定を行う。
なお、測定値はブランク測定の値が差し引かれて算出される。
【0044】
エマルション粒子のメジアン径(d50、個数基準)は、シリコーン相(A)と疎水性ヒュームド金属酸化物(C)との重量の比(A/C)、シリコーン相(A)の粘度、水相(B)の粘度、乳化・分散工程での分散方法等によって調節することができる。シリコーン相(A)と疎水性ヒュームド金属酸化物(C)との重量の比(A/C)が小さいほどエマルション粒子のメジアン径(d50、個数基準)は小さくなる傾向がある。乳化時の水相(B)の粘度が高いほど、エマルション粒子のメジアン径(d50、個数基準)は小さくなる傾向がある。乳化・分散工程でより強いせん断をかけて乳化・分散を行うと、エマルション粒子のメジアン径(d50、個数基準)は小さくなる傾向がある。
【0045】
シリコーン相(A)と疎水性ヒュームド金属酸化物(C)との重量の比(A/C)は、5〜100が好ましく、さらに好ましくは6〜90、特に好ましくは7〜80、最も好ましくは10〜70である。
【0046】
本発明の水中油型シリコーンエマルションには、さらに、界面活性剤(F)を含有してもよい。
界面活性剤(F)としては、アニオン型界面活性剤、非イオン型界面活性剤及びこれらの混合が含まれる。
【0047】
非イオン型界面活性剤としては、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、植物油のエチレンオキシド付加物、ポリオキシエチレンの脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物及び変性シリコーン等が含まれる。
【0048】
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンと炭素数12〜22の脂肪酸とのエステルが含まれ、ソルビタンモノラウレート(HLB8.6、たとえば、ノニオンLP−20R;日油株式会社)、ソルビタンモノパルミテート(HLB6.7、たとえば、ノニオンPP−40Rペレット;日油株式会社)、ソルビタンモノステアレート(HLB4.7、たとえば、ノニオンSP−60Rペレット;日油株式会社)、ソルビタンモノオレエート(HLB4.3、たとえば、ノニオンOP−80R;日油株式会社)、ソルビタントリオレエート(HLB1.8、たとえば、ノニオンOP−85R;日油株式会社)、ソルビタンモノオレエート(HLB4.3、たとえば、イオネットS−80;三洋化成工業株式会社、「イオネット」は同社の登録商標である。)等が挙げられる。
【0049】
ソルビタン脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物としては、ソルビタン脂肪酸エステルのエチレンオキシド1〜40モル付加物が含まれ、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(HLB16.7、たとえば、ノニオンLT−221;日油株式会社)、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート(HLB15.7、たとえば、ノニオンST−221;日油株式会社)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(HLB15.7、たとえば、ノニオンOT−221;日油株式会社)等が挙げられる。
【0050】
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマーとしては、エチレンオキシド5〜200モルとプロピレンオキシド5〜200モルとの共重合体が含まれ、ポリオキシエチレン(25モル)ポリオキシプロピレン(30モル)ブロックポリマー(たとえば、ニューポールPE−64;三洋化成工業株式会社、「ニューポール」は同社の登録商標である。)及びポリオキシエチレン(48モル)ポリオキシプロピレン(35モル)ブロックポリマー(たとえば、ニューポールPE−75;三洋化成工業株式会社)等が挙げられる。
【0051】
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルとしては、炭素数6〜18のアルキル基を有するアルキルアリールのポリオキシエチレンエーテルが含まれ、ポリオキシエチレン(4モル)ノニルフェノールエーテル(たとえば、ノニポール40;三洋化成工業株式会社、「ノニポール」は同社の登録商標である。)、ポリオキシエチレン(10モル)ノニルフェノールエーテル(たとえば、ノニポール100;三洋化成工業株式会社)等が挙げられる。
【0052】
植物油のエチレンオキシド付加物としては、植物油のエチレンオキシド1〜200モル付加物が含まれ、ひまし油のエチレンオキシド付加物(たとえば、ユニオックスHC−40;日油株式会社、「ユニオックス」は同社の登録商標である。)等が挙げられる。
【0053】
ポリオキシエチレンの脂肪酸エステルとしては、数平均分子量200〜4000のポリオキシエチレンと炭素数6〜22の脂肪酸とのモノエステル及びジエステルが含まれ、数平均分子量600のポリオキシエチレングリコールとオレイン酸とのジエステル(たとえば、イオネットDO−600;三洋化成工業株式会社)及び数平均分子量600のポリオキシエチレングリコールとオレイン酸とのモノエステル(たとえば、イオネットMO−600;三洋化成工業株式会社)等が挙げられる。
【0054】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、炭素数6〜22のアルカノールのオキシエチレン1〜100モル付加物が含まれ、ナロアクティーCL−40(HLB8.9、三洋化成工業株式会社、「ナローアクティー」は同社の登録商標である。)、ナロアクティーCL−100(HLB13.3、三洋化成工業株式会社)等が挙げられる。
【0055】
グリセリン脂肪酸エステルとしては、炭素数6〜22の脂肪酸とグリセリンとのモノエステルが含まれ、グリセロールモノステアレート(たとえば、モノグリMD、HLB5.5、日油株式会社)等が挙げられる。
【0056】
グリセリン脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物としては、グリセリン脂肪酸エステルのエチレンオキシド1〜100モル付加物が含まれ、グリセリンヤシ油脂肪酸エステルのエチレンオキシド付加物(たとえば、ユニグリMK−207、HLB13.0、日油株式会社、「ユニグリ」は同社の登録商標である。)等が挙げられる。
【0057】
変性シリコーンとしては、ジメチルシロキサンのメチル基の一部をアルコキシポリオキシアルキレンオキシプロピル基(アルコキシの炭素数1〜6、アルキレンの炭素数2〜3、重合度2〜50)、アルコキシポリオキシアルキレン基(アルコキシの炭素数1〜6、アルキレンの炭素数2〜3、重合度2〜50)等に置き換えたもの等が含まれる。
【0058】
アニオン性界面活性剤としては、アルキルアリールスルホン酸塩、アルキルビフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルスルホン酸エステル塩及びポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩が含まれる。
【0059】
アルキルアリールスルホン酸塩としては、炭素数6〜18のアルキルアリールスルホン酸塩が含まれ、ドデシルベンゼンスルホン酸塩等が挙げられる。
塩としては特に制限されないが、アルカリ金属(ナトリウム、カリウム等)塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)塩、アンモニウム塩、炭素数1〜18のアミン(トリエタノールアミン、トリメチルアミン、プロピルアミン等)塩(第1〜3級アンモニウム塩)及び炭素数1〜18の第4級アンモニウム塩(テトラエタノールアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、トリメチルプロピルアンモニウム等)等が含まれる(以下同じ)。
【0060】
アルキルジフェニルエーテルスルホン酸塩としては、アルキル基が炭素数6〜18であるアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩が含まれ、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸塩等が挙げられる。
【0061】
ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩としては、アルキル基の炭素数が6〜22であるポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩が含まれ、ポリオキシエチレンラウリル硫酸エステル塩等が挙げられる。
【0062】
ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル塩としては、アルキル基の炭素数が6〜22であるポリオキシエチレンアルキルリン酸エステルが含まれ、ポリオキシエチレンステアリルリン酸エステル塩等が挙げられる。
【0063】
これらの界面活性剤のうち、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル及び変性シリコーンが好ましく、さらに好ましくは変性シリコーンである。
【0064】
界面活性剤(F)を含有する場合、界面活性剤(F)の含有量(重量%)は、シリコーン相(A)の重量に基づいて、0.01〜20が好ましく、さらに好ましくは0.04〜15、特に好ましくは0.06〜10、最も好ましくは0.1〜5である。
【0065】
本発明の水中油型シリコーンエマルションは、次の方法(1)〜(4)等によって製造できる。
<方法(1)>
シリコーン相(A)と水相(B)とを混合して混合液(AB)を得る混合工程(i)及び
混合工程(i)で作成した混合液(AB)と疎水性ヒュームド金属酸化物(C)とを混合乳化して水中油型シリコーンエマルションを得る混合乳化工程(ii)を含む方法。
【0066】
<方法(2)>
シリコーン相(A)と水相(B)の一部とを混合して混合液(AB’)を得る混合工程(iii)、
混合工程(iii)で作成した混合液(AB’)と疎水性ヒュームド金属酸化物(C)とを混合乳化して乳化物(AB’C)を得る混合乳化工程(iv)及び
混合乳化工程(iv)で作成した乳化物(AB’C)と水相(B)の残部とを均一に混合し、水中油型シリコーンエマルションを得る希釈工程(v)を含む方法。
【0067】
<方法(3)>
シリコーン相(A)、水相(B)及び疎水性ヒュームド金属酸化物(C)を混合乳化して水中油型シリコーンエマルションを得る混合乳化工程(vi)を含む方法。
【0068】
<方法(4)>
油相(A)、水相(B)の一部及び疎水性ヒュームド金属酸化物(C)を混合乳化して乳化物(AB’C)を得る混合乳化工程(vii)及び
乳化物(AB’C)と水相(B)の残部とを均一に混合し水中油型シリコーンエマルションを得る希釈工程(viii)を含む方法。
【0069】
界面活性剤(F)を含有する場合、界面活性剤(F)はいずれの工程で加えてもよいが、混合工程(i)、(iii)、混合乳化工程(vi)、(vii)で加えることが好ましい。
【0070】
水相に増粘剤及び/又は防腐剤等を含有する場合、水相に増粘剤及び/又は防腐剤等はいずれの工程で添加してもよいが、水相にあらかじめ溶解、分散させてから用いることが好ましい。
【0071】
混合乳化工程(iv)、(vii)において、シリコーン相(A)の使用量(重量%)は、シリコーン相(A)、水相(B)の一部及び疎水性ヒュームド金属酸化物(C)の重量に基づいて、30〜65が好ましく、さらに好ましくは33〜63、特に好ましくは35〜61、最も好ましくは40〜60である。また、水相(B)の一部の使用量(重量%)は、シリコーン相(A)、水相(B)の一部及び疎水性ヒュームド金属酸化物(C)の重量に基づいて、28.5〜69.7が好ましく、さらに好ましくは30.7〜66.6、特に好ましくは32.9〜64.4、最も好ましくは34〜59.2である。また、疎水性ヒュームド金属酸化物(C)の使用量(重量%)は、シリコーン相(A)、水相(B)の一部及び疎水性ヒュームド金属酸化物(C)の重量に基づいて、0.3〜6.5が好ましく、さらに好ましくは0.4〜6.3、特に好ましくは0.5〜6.1、最も好ましくは0.8〜6である。
【0072】
本発明の水中油型シリコーンエマルションは、ポリッシュ用、離型用、繊維用、消泡剤用、化粧品用のシリコーンエマルションとして利用できる。特に、エマルション安定性に優れるため、水で希釈して使用する場合にも利用できる。これらのうち、消泡剤として適しており、さらに各種製造工程用消泡剤として好適であり、特にクラフトパルプ製造工程用消泡剤として最適である。
【0073】
各種製造工程用消泡剤として適用する場合、本発明の消泡剤の添加量(重量%)は、水性発泡液の重量に基づいて、0.0001〜3が好ましく、さらに好ましくは0.001〜2.7、特に好ましくは0.005〜2.3、最も好ましくは0.01〜2である。
【0074】
なお、最適なクラフトパルプ製造工程用消泡剤として適用する場合、本発明の消泡剤の添加量(重量%)は、水性発泡液(黒液等)の重量に基づいて、0.00005〜0.002が好ましく、さらに好ましくは0.00007〜0.0015、特に好ましくは0.0001〜0.0013、最も好ましくは0.0001〜0.002である。
【実施例】
【0075】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特記しない限り、部は重量部を、%は重量%を意味する。また、特記しない限り、25〜30℃で行ったものである。
【0076】
なお、実施例及び比較例で得られたエマルションのメジアン径(d50、個数基準)(μm)は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置Partica LA−950V2(フローセル式、分散質の屈折率=1.40、分散媒の屈折率=1.33、反復回数15、株式会社堀場製作所)を使用して、分散媒に水を用い、水をフローセルに入れて循環強度5で循環しながらブランク測定を行い、引き続き、このフローセルに測定試料{シリコーンエマルション}を適量加えて測定を行い、この測定値からブランク測定の値を差し引いて算出した。
ただし、フローセルに入れる測定試料の量は、青色LED光の透過率が88〜92%になるように調整し、測定試料の量が多いほど透過率が低くなるので、この範囲から外れている場合、測定試料又は分散媒の量により、範囲内に入るように調整した。
【0077】
実施例及び比較例において、シリコーン相(a4)〜(a7)及び(Ha1)、(Ha3)及び(Ha4)は、疎水性シリカ(D)をシリコーンオイル(E)中に均一分散したものを用いた。
【0078】
<増粘剤水溶液(1)の作成>
攪拌可能な蓋付きの容器に水(g1){東海市上水}980部を入れ、攪拌しながら、増粘剤(1){キサンタンガム}20部を添加し、120分攪拌して均一にして、増粘剤水溶液(1)を得た。
【0079】
<実施例1>
攪拌可能な容器に、水(g1){東海市上水}228部及び増粘剤水溶液(1)28部を入れ、均一になるまで攪拌して、水相(b11)256部を得た。
【0080】
同容器内で、水相(b11)256部に、シリコーン相(a1){シリコーンオイル(e1){ジメチルシリコーンオイル、動粘度10,000(mm
2/s、25℃)}255部と、界面活性剤(f1){ジメチルシリコーン(数平均分子量1,800)のメチル基のうち、平均して1分子あたり4つがポリオキシプロピレン(25モル)オキシプロピル基に置換されたシリコーン化合物}0.2部及び界面活性剤(f2){ジメチルシリコーン(数平均分子量9,200)のメチル基のうち、平均して1分子あたり10個がポリオキシエチレン(30モル)ポリオキシプロピレン(30モル)オキシプロピル基に置換されたシリコーン化合物}0.1部との均一混合物を加え、全体が白濁するまで混合して混合液(1)を得た。
【0081】
混合液(1)を攪拌しながら、疎水性ヒュームド金属酸化物(c1){疎水性ヒュームドシリカ、M値48、BET表面積110m
2/g}14部を加え、均一になるまで混合乳化して、乳化物(1)を得た。
【0082】
乳化物(1)を攪拌しながら、少量ずつ水相(b12){水(g1)358部及び増粘剤水溶液(1)117部を均一に混合したもの}475部を加え、均一になるまで攪拌混合し、本発明の水中油型シリコーンエマルション(1)を得た。水中油型シリコーンエマルション(1)のメジアン径(d50、個数基準)は、8.4μmであった。
【0083】
水中油型シリコーンエマルション(1)を脱イオン水で100倍に希釈し、希釈した液をSEM測定用のステージに1滴キャストして真空乾燥した後、SEM測定(
図1:3000倍、
図3:7000倍)を行い、
図1及び3で観察できるように疎水性ヒュームド金属酸化物(C)が、シリコーン相(A)の表面に吸着していることを確認した。
【0084】
<実施例2>
攪拌可能な容器に、水相(b2){水(g1)}100部を入れ、シリコーン相(a2){シリコーンオイル(e2){ジメチルシリコーンオイル、動粘度500,000(mm
2/s、25℃)}}100部を加え、これらを混合しながら、さらに界面活性剤(f1)1部及び界面活性剤(f3){ジメチルシリコーン(数平均分子量7,800)のメチル基のうち、平均して1分子あたり9個がポリオキシエチレン(6モル)ポリオキシプロピレン(24モル)オキシプロピル基に置換されたシリコーン化合物}1部を加えて全体が白濁するまで混合し、混合液(2)を得た。
【0085】
混合液(2)を攪拌しながら、疎水性ヒュームド金属酸化物(c1)5部を加え、均一になるまで混合乳化して、乳化物(2)を得た。
【0086】
乳化物(2)を攪拌しながら、少量ずつ水相(b2){水(g1)}795部を加え、均一になるまで攪拌混合し、本発明の水中油型シリコーンエマルション(2)を得た。水中油型シリコーンエマルション(2)のメジアン径(d50、個数基準)は、2.8μmであった。
【0087】
<実施例3>
攪拌可能な容器に、水相(b2){水(g1)}455部を入れ、シリコーン相(a3){シリコーンオイル(e3){ジメチルシリコーンオイル、動粘度50,000(mm
2/s、25℃)}}500部と、界面活性剤(f1)4部、界面活性剤(f2)7部及び界面活性剤(f3)4部との均一混合物を加え、全体が白濁するまで混合して混合液(3)を得た。
【0088】
混合液(3)を攪拌しながら、疎水性ヒュームド金属酸化物(c1)45部を加え、均一になるまで混合乳化して本発明の水中油型シリコーンエマルション(3)を得た。水中油型シリコーンエマルション(3)のメジアン径(d50、個数基準)は、1.2μmであった。
【0089】
<実施例4>
攪拌可能な容器に、水(g1)250部及び増粘剤水溶液(1)35部を入れ、均一になるまで攪拌して、水相(b31)285部を得た。
【0090】
同容器内で、水相(b31)285部に、疎水性シリカ(d1){疎水性ヒュームドシリカ、M値54}15部及びシリコーンオイル(e4){ジメチルシリコーンオイル、動粘度100,000(mm
2/s、25℃)}270部からなるシリコーン相(a4)285部と、界面活性剤(f1)1部及び界面活性剤(f2)4部との均一混合物、並びに疎水性ヒュームド金属酸化物(c1)18部を加え、均一になるまで混合乳化して、乳化物(4)を得た。
【0091】
乳化物(4)を攪拌しながら、少量ずつ水相(b32){水(g1)372部及び増粘剤水溶液(1)40部を均一に混合したもの}412部を加え、均一になるまで攪拌混合し、本発明の水中油型シリコーンエマルション(4)を得た。水中油型シリコーンエマルション(4)のメジアン径(d50、個数基準)は、8.4μmであった。
【0092】
<実施例5>
攪拌可能な容器に水(g1)180部及び増粘剤水溶液(1)20部を入れ、均一になるまで攪拌して、水相(b41)200部を得た。
【0093】
同容器内で、水相(b41)200部に、疎水性シリカ(d2){疎水性ヒュームドシリカ、M値60}20部及びシリコーンオイル(e5){ジメチルシリコーンオイル、動粘度20,000(mm
2/s、25℃)}180部からなるシリコーン相(a5)200部と、界面活性剤(f3)10部との均一混合物を加え、全体が白濁するまで混合して混合液(5)を得た。
【0094】
混合液(5)を攪拌しながら、疎水性ヒュームド金属酸化物(c2){疎水性ヒュームドシリカ、M値45、BET表面積170m
2/g}20部を加え、均一になるまで混合乳化して、乳化物(5)を得た。
【0095】
乳化物(5)を攪拌しながら、少量ずつ水相(b42){水(g1)500部及び増粘剤水溶液(1)80部を均一に混合したもの}580部を加え、均一になるまで攪拌混合し、本発明の水中油型シリコーンエマルション(5)を得た。水中油型シリコーンエマルション(5)のメジアン径(d50、個数基準)は、0.5μmであった。
【0096】
<実施例6>
攪拌可能な容器に水(g1)100部及び増粘剤水溶液(1)15部を入れ、均一になるまで攪拌して、水相(b51)115部を得た。
【0097】
同容器内で、水相(b51)115部に、疎水性シリカ(d3){疎水性沈降法シリカ、M値80}40部及びシリコーンオイル(e1)160部からなるシリコーン相(a6)200部と、界面活性剤(f1)0.5部、界面活性剤(f2)1部及び界面活性剤(f4){ポリオキシエチレン(4モル)ポリオキシプロピレン(12モル)ラウリルエーテル}0.5部との均一混合物を加え、全体が白濁するまで混合して混合液(6)を得た。
【0098】
混合液(6)を攪拌しながら、疎水性ヒュームド金属酸化物(c2)20部を加え、均一になるまで混合乳化して、乳化物(6)を得た。
【0099】
乳化物(6)を攪拌しながら、少量ずつ水相(b52){水(g1)565部及び増粘剤水溶液(1)100部を均一に混合したもの}665部を加え、均一になるまで攪拌混合し、本発明の水中油型シリコーンエマルション(6)を得た。水中油型シリコーンエマルション(6)のメジアン径(d50、個数基準)は、0.5μmであった。
【0100】
<実施例7>
攪拌可能な容器に水(g1)310部及び増粘剤水溶液(1)40部を入れ、均一になるまで攪拌して、水相(b61)350部を得た。
【0101】
同容器内で、水相(b61)350部に、疎水性シリカ(d1)1.2部及びシリコーンオイル(e1)236部からなるシリコーン相(a7)237.2部と、界面活性剤(f1)1部、界面活性剤(f2)2部及び界面活性剤(f3)1部との均一混合物を加え、全体が白濁するまで混合して混合液(7)を得た。
【0102】
混合液(7)を攪拌しながら、疎水性ヒュームド金属酸化物(c3)4.8部を加え、均一になるまで混合乳化して、乳化物(7)を得た。
【0103】
乳化物(7)を攪拌しながら、少量ずつ水相(b62){水(g1)342部及び増粘剤水溶液(1)66部を均一に混合したもの}408部を加え、均一になるまで攪拌混合し、本発明の水中油型シリコーンエマルション(7)を得た。水中油型シリコーンエマルション(7)のメジアン径(d50、個数基準)は、40μmであった。
【0104】
<実施例8>
攪拌可能な容器に水(g1)250部及び増粘剤水溶液(1)80部を入れ、均一になるまで攪拌して、水相(b71)330部を得た。
【0105】
水相(b71)330部に、シリコーン相(a1){シリコーンオイル(e1)}350部と、界面活性剤(f1)1部、界面活性剤(f2)2部及び界面活性剤(f4)0.4部との均一混合物を加え、全体が白濁するまで混合して混合液(8)を得た。
【0106】
混合液(8)を攪拌しながら、疎水性ヒュームド金属酸化物(c3)5部を加え、均一になるまで混合乳化して、乳化物(8)を得た。
【0107】
乳化物(8)を攪拌しながら、少量ずつ水相(b2){水(g1)}315部を加え、均一になるまで攪拌混合し、本発明の水中油型シリコーンエマルション(8)を得た。水中油型シリコーンエマルション(8)のメジアン径(d50、個数基準)は、21μmであった。
【0108】
<実施例9>
攪拌可能な容器に水(g1)310部及び増粘剤水溶液(1)40部を入れ、均一になるまで攪拌して、水相(b61)350部を得た。
【0109】
同容器内で、水相(b61)350部に、疎水性シリカ(d1)1.2部及びシリコーンオイル(e1)236部からなるシリコーン相(a7)237.2部と、界面活性剤(f1)1部、界面活性剤(f2)2部、界面活性剤(f3)1部及び疎水性ヒュームド金属酸化物(c3)4.8部を加え、均一になるまで混合乳化して、乳化物(9)を得た。
【0110】
乳化物(9)を攪拌しながら、少量ずつ水相(b62){水(g1)342部及び増粘剤水溶液(1)66部を均一に混合したもの}408部を加え、均一になるまで攪拌混合し、本発明の水中油型シリコーンエマルション(9)を得た。水中油型シリコーンエマルション(9)のメジアン径(d50、個数基準)は、47μmであった。
【0111】
<実施例10>
攪拌可能な容器に水(g1)250部及び増粘剤水溶液(1)80部を入れ、均一になるまで攪拌して、水相(b71)330部を得た。
【0112】
水相(b71)330部に、シリコーン相(a1){シリコーンオイル(e1)}350部と、界面活性剤(f1)1部、界面活性剤(f2)2部、界面活性剤(f4)0.4部及び疎水性ヒュームド金属酸化物(c3)5部を加え、均一になるまで混合乳化して、乳化物(10)を得た。
【0113】
乳化物(10)を攪拌しながら、少量ずつ水相(b2){水(g1)}315部を加え、均一になるまで攪拌混合し、本発明の水中油型シリコーンエマルション(10)を得た。水中油型シリコーンエマルション(10)のメジアン径(d50、個数基準)は、24μmであった。
【0114】
<実施例11>
攪拌可能な容器に水相(b2){水(g1)}470部に、シリコーン相(a3){シリコーンオイル(e3)}500部、疎水性ヒュームド金属酸化物(c2)25部、疎水性ヒュームド金属酸化物(c4){疎水性ヒュームドシリカ、M値48、BET表面積260m
2/g}5部、界面活性剤(f1)4部及び界面活性剤(f2)6部を加え、均一になるまで混合乳化して、本発明の水中油型シリコーンエマルション(11)を得た。水中油型シリコーンエマルション(11)のメジアン径(d50、個数基準)は、3.6μmであった。
【0115】
<比較例1>
攪拌可能な容器に、水(g1)600部及び増粘剤水溶液(1)150部を入れ、均一になるまで攪拌して、水相(Hb1)750部を得た。
【0116】
同容器内で、水相(Hb1)750部に、疎水性シリカ(d1)15部及びシリコーンオイル(e1)235部からなるシリコーン相(Ha1)250部と、界面活性剤(f1)50部、界面活性剤(f2)100部及びポリプロピレングリコール(重量平均分子量2,100)100部との均一混合物を加え、均一になるまで混合乳化して、比較用の水中油型シリコーンエマルション(H1)を得た。水中油型シリコーンエマルション(H1)のメジアン径(d50、個数基準)は、31μmであった。
【0117】
水中油型シリコーンエマルション(H1)を脱イオン水で100倍に希釈し、希釈した液をSEM測定用のステージに1滴キャストして真空乾燥した後、SEM測定(
図2:3000倍)を行い、
図2で観察できるようにシリコーン相(A)の表面に疎水性シリカ等の粒子が吸着していないことを確認した。
【0118】
<比較例2〜10>
疎水性ヒュームド金属酸化物を用いないこと以外、実施例1〜9と同様にして乳化を試みたが、いずれの場合も乳化物は得られなかった。
【0119】
<比較例11>
攪拌可能な容器に、水(g1)250部及び増粘剤水溶液(1)35部を入れ、均一になるまで攪拌して、水相(Hb121)285部を得た。
【0120】
同容器内で、水相(Hb121)285部に、疎水性シリカ(d1)15部及びシリコーンオイル(e4)270部からなるシリコーン相(Ha3)285部と、界面活性剤(f1)1部及び界面活性剤(f2)4部との均一混合物、並びに疎水性シリカ(d2)18部を加えて混合したが、乳化物は得られなかった。
【0121】
<比較例12>
攪拌可能な容器に、水(g1)250部及び増粘剤水溶液(1)35部を入れ、均一になるまで攪拌して、水相(Hb131)285部を得た。
【0122】
同容器内で、水相(Hb131)285部に、疎水性シリカ(d1)15部及びシリコーンオイル(e4)270部からなるシリコーン相(Ha13)285部と、界面活性剤(f1)1部及び界面活性剤(f2)4部との均一混合物、並びに新水性ヒュームドシリカ{M値0、BET300}18部を加え、均一になるまで混合乳化して、乳化物を得た。
【0123】
上記の乳化物を攪拌しながら、少量ずつ水相(Hb132){水(g1)372部及び増粘剤水溶液(1)40部を均一に混合したもの}412部を加え、均一になるまで攪拌混合し、比較用の水中油型シリコーンエマルション(H2)を得た。水中油型シリコーンエマルション(H2)のメジアン径(d50、個数基準)は、9.6μmであった。
【0124】
<比較例13>
特許文献1の実施例3と同様にして、比較用の水中油型シリコーンエマルション(H3)を得た。水中油型シリコーンエマルション(H3)のメジアン径(d50、個数基準)は、10.2μmであった。
【0125】
<エマルションの安定性の評価>
実施例及び比較例で得た水中油型シリコーンエマルション(1)〜(11)、(H1)〜(H3)を、それぞれ、密閉ガラス容器に入れて40℃の雰囲気下に2ヵ月間、静置した後、サンプルの外観を確認し、以下の基準で評価した。評価結果を表1に示した。
【0126】
○:経日前と変化なし(均一エマルション状態)。
△:僅かに分離が生じているがエマルション状態は維持しており、密閉ガラス容器を上下に20回振とうすると均一エマルション状態に戻る。
×:著しい分離が生じ、密閉ガラス容器を上下に20回振とうしても元に戻らない。
固化:全体がペースト状に固化し、流動性を失っている。
【0127】
【表1】
【0128】
本発明の水中油型シリコーンエマルションは、比較用の水中油型シリコーンエマルションに比べて優れた安定性を示した。
【0129】
<消泡性の評価>
実施例及び比較例で得た水中油型シリコーンエマルション(4)〜(7)、(H1)〜(H3)について、以下のようにして消泡性試験を行い、結果を表2に示した。
【0130】
(1)消泡性試験液の調製
某製紙工場のN材クラフトパルプ製造工程(平均パルプ生産量1000t/日)で発生した黒液(濃度22%)に、上水を加えて濃度15%に調整し、消泡性試験液を調整した。
【0131】
(2)消泡性試験
共栓付きの100mLメスシリンダーに80℃に温度調整した消泡性試験液50mlをいれ、消泡性試験液に水中油型シリコーンエマルションを、水以外の成分が1mgになるように加えた。引き続き、上下に100回振とうすることにより試験液を発泡させた後、メスシリンダーを静置してから、泡高さが0.5cm以下に達するまでの時間を計測した。時間が短いほど消泡性が良好である。
【0132】
(3)消泡持続性試験
「(2)消泡性試験」の後、引き続いて、80℃で30分静置した後、上下に100回振とうすることにより試験液を発泡させてから、上記と同様に泡高さが0.5cm以下に達するまでの時間を計測した。時間が短いほど消泡性が良好である。
【0133】
【表2】
【0134】
本発明の水中油型シリコーンエマルションを消泡剤として用いた場合、比較用の水中油型シリコーンエマルションを用いた場合に比べて消泡持続性が優れていた。