【実施例】
【0028】
以下、本発明の洗浄剤を実施例により更に具体的に説明する。尚、以下の実施例等において「%」および「部」は、特に記載が無い限り質量基準である。
【0029】
<洗浄剤溶液の調製>
本発明の洗浄剤(実施例)および洗浄成分としてAの代わりに従来技術で用いられる洗浄成分として「ブロックポリマー」や合成界面活性剤であるDを配合した洗浄剤(比較例1−比較例8)を調製した後、水で各試験に適した濃度まで希釈した。実施例および比較例1−比較例8の配合を表1に示す。以下の表1に示す配合表に従い、洗浄剤を調製した。
【0030】
<調製原料>
A:酸型SL(SOFORO AD−30、有効30%、サラヤ)
【化4】
【0031】
B:トリエタノールアミン(有効90〜96%、日本触媒)
【0032】
C−1:クエン酸ナトリウム
C−2:グルコン酸ナトリウム
【0033】
下記構造式中のPOは、−C
3H
6O−を表し、EOは、−C
2H
4O−を表す。なおD−1及び2は、特許文献1記載の従来技術において用いられている洗浄成分である。
D−1:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル(ノニオンA−13PR、有効100%、日油)
【化5】
D−2:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル(NIKKOL PBC−33、有効100%、日光ケミカルズ)
【化6】
D−3:直鎖型アルキルベンゼンスルホン酸塩(ネオペレックスGS、有効96%、花王)
D−4:アルキル硫酸塩(テイカライトN4135、有効35%、テイカ)
D−5:ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(テイカポールNE1230、有効27%、テイカ)
D−6:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(セドランSNP−112、有効100%、三洋化成)
なお、D−3は苛性ソーダで中和してから用いた。
【0034】
【表1】
【0035】
<生分解性試験>
得られた洗浄剤について、OECD 301C修正MITI試験に準拠して生分解度を求めた。なお、生分解度は、以下の式によって求めた。
生分解度(%)=(BOD−B)/TOD × 100
BOD:供試物質のBOD測定値
B:活性汚泥と基礎培養液のみの場合のBOD測定値(ブランク)
TOD:供試物質が完全に酸化された場合に要求される総酸素要求量
結果を表2に示す。実施例は本試験が易生分解性と定める生分解度60%を超えており、生分解性が高いと判断できる。
【0036】
【表2】
【0037】
<水生生物毒性試験>
試験方法は、「「農薬の登録申請に係わる試験成績について」(平成12年11月24日付け12生産第8147号農林水産省農産園芸局長通知)の運用について」(平成13年10月10日付け13生産第3986号農林水産省生産局生産資材課長通知)の、一部改正平成23年4月1日22消安第10016号において出された局長通知別添「農薬の登録申請時に提出される試験成績の作成に係る指針」の、2−7−1−1魚類急性毒性試験、2−7−2−1ミジンコ類急性遊泳阻害試験に則った。
【0038】
1.魚類急性毒性試験
試験には、ヒメダカ Oryzias latipes(National
Institute of Environmental Research (Environmental Research Complex,
Kyungseo-dong, Seo-gu, Incheon, Korea)より入手)を用い、LC
50(半数致死濃度)を測定した。試験結果を表3に示す。LC
50は濃度が高ければ高いほど、ヒメダカへの毒性が低いことを表している。本発明品は比較例と比較して魚類への毒性が非常に低かった。
【0039】
【表3】
【0040】
2.ミジンコ類急性遊泳阻害試験
試験には、オオミジンコ Daphnia magna(National Institute of
Agricultural Science & Tech. (249, Seodun-dong, Gwonseon-gu, Suwon-si,
Gyeonggi-do, Korea)より入手)を用い、EC
50(半数遊泳阻害濃度)を測定した。試験結果を表4に示す。EC
50は濃度が高ければ高いほど、ミジンコ類への毒性が低いことを表している。本発明品は比較例と比較してミジンコ類への毒性が非常に低かった。
【0041】
【表4】
【0042】
<洗浄力試験>
人工汚染物(鉱物油(コスモ石油ルブリカンツ株式会社製 「コスモギヤーSE150」):カーボンブラック(SIGMA−ALDRICH社製
CAS No.1333−86−4)=24:1(重量))を、表5に示した汚染対象物に一定量を均一に塗布し、24時間風乾させたものを汚れテストピースとした。表5のNo.1−7のテストピースを、電子天秤の上に乗せたプラスチック製のバットの中に固定し、テストピース表面を実施例の500倍希釈液または水を含ませた食器洗い用スポンジ(5×5cm)で、電子天秤の表示が概ね1kgとなるようにしながら5回擦った後、水ですすぎ自然乾燥後評価をした。また、洗浄後一週間そのまま放置して、洗浄剤のテストピースに対する腐食性を調べた。
洗浄力は、ハンター白色度と目視で評価した。ハンター白色度は色彩色差計(ミノルタ社製CR−300)を用いて汚染前、洗浄前、洗浄後を計測し、目視については表6の基準で判定した。腐食性は目視にて、ひび割れや錆びなどの有無で判定した。
【0043】
【表5】
【0044】
【表6】
【0045】
実施例の各テストピースの洗浄剤洗浄後と水道水による洗浄後の様子を表7に示す。金属、ガラスおよび樹脂に関して、実施例は非常に良好な洗浄力を示した。屋外構造物に汎用される広範な材質に対し、実施例は良好な洗浄効果を示し、水だけでは洗浄不可能な屋外環境における汚染物を有効に除去することが示された。また、すべての材質に対し腐食性は確認されなかった。
【0046】
【表7】