【解決手段】缶体1の外面に側方から検査光を照射して、缶体1の外面から内部に漏れる検査光を検出する際に缶体1を支持する缶体支持体2(スターホイール21)であって、光透過性材料により板状に形成され、内部に検査光を散乱させる乱反射部23が設けられており、この乱反射部は、レーザ加工により形成された微細な気泡の集合体により、厚み方向に沿う面状に形成されている。
缶体の外面に側方から検査光を照射して、前記缶体の前記外面から内部に漏れる前記検査光を検出する際に前記缶体を支持する缶体支持体であって、光透過性材料により板状に形成され、内部に前記検査光を散乱させる乱反射部が設けられていることを特徴とする缶体支持体。
前記缶体支持体の外縁部に、前記缶体の外面に沿う周面を有し、該缶体の外面を支持するポケット部が形成されており、前記乱反射部は、前記ポケット部の周面に沿って設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の缶体支持体。
請求項1から5のいずれか一項に記載の前記缶体支持体と、前記缶体の外面に対して側方から検査光を照射する光源と、前記缶体の前記外面から内部に漏れる前記検査光を検出する光検出部とを備えることを特徴とする缶体の検査装置。
内部に前記検査光を散乱させる乱反射部が形成された缶体支持体を製造する方法であって、光透過性材料により形成された前記缶体支持体の内部に焦点を結ぶようにレーザ光を照射することにより、該缶体支持体の内部に微細な気泡を複数形成し、該気泡の集合体によって乱反射部を形成することを特徴とする缶体支持体の製造方法。
【背景技術】
【0002】
この種の缶体の検査装置としては、例えば特許文献1に記載されるように、缶体の外面を支持する支持部と、缶体の外面に光を照射する光源と、缶体の内側に漏れ出た光を検出する検出部とを備える構成が知られている。
この特許文献1に記載される検査装置においては、支持部が板状に形成されるとともに、その外縁部に缶体の外面に沿う周面を有し、その外縁及び両端面に開口するポケット部が形成されている。缶体は、このポケット部の周面により外面側から支持され、支持部の両端面に直交する方向に缶軸が延びるように配置される。
【0003】
また、特許文献1に記載された検査装置では、光源からの光を缶体の外面全体に照射できるように、支持部を光透過性材料(透明アクリル、ポリカーボネート、ガラス等)により形成している。しかしながら、支持部により支持された部分では、光源から照射された光が支持部を通過することで光量が周辺部に比較して減少し、この部分に発生したピンホール等の欠陥検出が困難となる問題があった。
【0004】
これに対し、特許文献2には、光透過性材料で形成された板状の支持部に反射面を設けることが記載されており、光源から照射された光を反射面で反射させ、支持部の内部を通じて缶体の外面に照射することにより、缶体の外面全体に光を照射することが提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献2に記載される検査装置においては、支持部に切り込みを入れることにより反射面を形成していることから、支持部の耐久性が懸念される。また、反射面では、光源から照射された光が正反射することから、缶体の外面に照射される光量にばらつきが生じ易く、その結果、ピンホール等の欠陥の位置によっては十分な検出感度が得られず、反射面を設けたことによる効果を十分に得られなくなるおそれがある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ピンホール等の欠陥を確実に検出可能な缶体の検査装置及びその缶体の検査装置に用いられる缶体支持体並びに缶体支持体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の缶体支持体は、缶体の外面に側方から検査光を照射して、前記缶体の前記外面から内部に漏れる前記検査光を検出する際に前記缶体を支持する缶体支持体であって、光透過性材料により板状に形成され、内部に前記検査光を散乱させる乱反射部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
本発明の缶体支持体を用いた缶体の検査装置においては、光透過性材料により形成された缶体支持体の内部に乱反射部を設けているので、乱反射部で散乱した検査光を缶体支持体の内部を通じて照射することができ、光源からの検査光が直接照射されにくい缶体支持体により支持された缶体の外面部分にも、検査光を照射することができる。また、この乱反射部では、検査光が正反射ではなく乱反射することから、乱反射部から反射して分散照射される光量を均一化することができる。したがって、光源からの検査光が直接照射されにくい缶体と缶体支持体との支持部分にも検査光を平均的に届けることができ、確実にピンホール等の有無を検出することが可能となる。
また、乱反射部は缶体支持体の内部に設けられているので、缶体支持体に切り込みを入れて反射面を形成する等の方法において懸念される強度面の問題が緩和され、耐久性を良好に維持することができる。
【0010】
本発明の缶体支持体において、前記乱反射部は、レーザ加工により形成された微細な気泡の集合体により、厚み方向に沿う面状に形成されているとよい。
缶体支持体の内部に焦点を結ぶようにレーザ光を照射することにより、缶体支持体の内部にのみ加工を施すことができる。そして、レーザ加工により微細な気泡を複数形成することにより、缶体支持体の内部に微細な凹凸形状を形成することができ、缶体支持体の表面を傷つけることなく乱反射部を形成することができる。また、乱反射部を微細な気泡の集合体により缶体支持体の厚み方向に沿う面状に形成していることから、乱反射部が缶体の外面に沿って配置され、乱反射部で反射した検査光が、缶体支持体により支持された部分に照射されやすくなる。
【0011】
本発明の缶体支持体において、前記缶体支持体の外縁部に、前記缶体の外面に沿う周面を有し、該缶体の外面を支持するポケット部が形成されており、前記乱反射部は、前記ポケット部の周面に沿って設けられているとよい。
缶体の外面に沿って乱反射部を形成することで、乱反射部が缶体の外面と対向して配置され、缶体外面の缶体支持体により支持された部分に検査光を確実に照射することができる。
【0012】
本発明の缶体支持体において、前記乱反射部は、波形面で形成されているとよい。
レーザ加工により形成される微細な気泡を、波形面を形成するように並べることで、乱反射部で反射する検査光を、確実に分散させて缶体の外面に照射することができる。
【0013】
本発明の缶体支持体において、前記乱反射部は、前記缶体支持体の表面から1mm離れた内側の範囲に形成されているとよい。
光源からの検査光を缶体の外面に広く照射するためには、乱反射部を缶体支持体の表面まで形成することが、乱反射部による缶体への照射範囲が広くなるので望ましいが、乱反射部を缶体支持体の表面に露出する位置まで形成した場合は、その露出した部分を起点として割れが発生しやすくなり、強度低下を招きやすくなる。そこで、乱反射部は、検査光の分散範囲と缶体支持体の強度とを考慮して、缶体支持体の表面から少なくとも1mm離れた位置まで形成するとよい。
なお、特許文献2に記載の検査装置の支持部のように、切欠きを設ける等の方法により反射面を形成した場合には、強度面を考慮すると、本発明の缶体支持体のように、缶体支持体の表面から1mmまで近接させて形成することもできないため、反射光の照射範囲がさらに限られたものとなる。
【0014】
本発明の缶体の検査装置は、前記缶体支持体と、前記缶体の外面に対して側方から検査光を照射する光源と、前記缶体の前記外面から内部に漏れる前記検査光を検出する光検出部とを備えることを特徴とする。
【0015】
本発明の缶体支持体の製造方法は、内部に前記検査光を散乱させる乱反射部が形成された缶体支持体を製造する方法であって、光透過性材料により形成された前記缶体支持体の内部に焦点を結ぶようにレーザ光を照射することにより、該缶体支持体の内部に微細な気泡を複数形成し、該気泡の集合体によって乱反射部を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、光源からの検査光が直接照射されにくい缶体と缶体支持体との支持部分にも検査光を平均的に届けることができ、ピンホール等の欠陥を確実に検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る缶体の検査装置の一実施形態を、図面を参照しながら説明する。
本実施形態の缶体の検査装置100は、缶体1について、ピンホール等の欠陥を検出する検査装置である。
なお、本実施形態においては、缶体1として、
図1に示すように、例えばアルミニウム合金等の板材を絞り、しごき加工して形成されるいわゆるDI缶を用いて説明を行う。
【0019】
缶体の検査装置100は、
図1及び
図2に示すように、缶体1の外面を支持する缶体支持体2と、缶体1の外面に側方から検査光を照射する光源3と、缶体1の外面から内部に漏れる検査光を検出する光検出部4とを備える。さらに、缶体の検査装置100には、缶体1の開口部11側に配置されてシール部材5が取り付けられたメインターレット6と、缶体1の底部12側に配置されて缶体1をシール部材5に向けて押圧するベースパッド7とが備えられており、これらメインターレット6とベースパッド7とは、缶体1の軸線方向に間隔を空けて並んで配置されており、これらメインターレット6、ベースパッド7、缶体支持体2がメインシャフトSを中心として一体に回転されることにより、缶体1を回転搬送することができるようになっている。
【0020】
シール部材5は、缶体1の開口部11の端縁よりも大きな外径及び開口部11の内径よりも小さな内径を有するリング状に形成されており、メインターレット6の孔部61内に嵌合して設けられている。
【0021】
ベースパッド7は、缶体支持体2を挟んでメインターレット6に対向して略平行に設けられている。このベースパッド7は、メインターレット6に対してメインシャフトSの軸線方向に沿って進退可能であり、缶体支持体2によって外面を支持された缶体1をメインターレット6に向けて押圧することにより、缶体1を安定して支持することができる。また、缶体1の開口部11がシール部材5に密着させられることにより、缶体1の内部は密閉され、外部の光が遮蔽される。
【0022】
そして、検査光を検出する光検出部4は、メインターレット6の裏面63側(
図1の右側)に設けられており、この光検出部4によって缶体1の内部の光が検出されるようになっている。
なお、光検出部4は、
図1に示すようにアダプタ8に接続され、アダプタ8表面に取り付けられたライトシール9をメインターレット6の裏面63に接触させた状態で、
図2に示すように缶体の検査装置100の所定の検査位置に固定されており、メインターレット6が回転することによってメインターレット6の裏面63とライトシール9の表面とが摺動するようになっている。
また、缶体1の検査の際には、缶体1がメインターレット6とともに所定の検査位置に回転移動することにより、光検出部4と缶体1の内部とが貫通孔部62を介して連通する。そして、缶体1の開口部11の端縁が、シール部材5に密接し、缶体1の内部が密封された状態とされることから、光検出部4は、缶体1にピンホール等の欠陥が形成されている場合に、光源3から照射される検査光がピンホール等を通じて缶体1の内部に漏れ出た光を検出することができる。そして、この光検出部4における光の検出の有無によって、缶体1のピンホール等の欠陥の有無を検出することができるようになっている。
【0023】
また、光源3は、
図1及び
図2に示すように、缶体1の外面に、缶体支持体2の径方向外側から検査光を照射する外側光源31と、その外側光源31との間に缶体支持体2のポケット部22を挟んで対向するように設けられ、缶体支持体2の径方向内側から検査光を照射する内側光源32とを備える。
そして、内側光源32は、
図1に示すように、缶体支持体2を構成する2つのスターホイール21,21の間と、缶体1の開口部11側のスターホイール21とメインターレット6との間との2箇所に設けられており、これら2箇所の内側光源32により、缶体1の開口部11から底部12にかけて、缶体支持体2の内側から缶体1の外面に検査光を照射する構成とされている。
【0024】
なお、外側光源31は、缶体支持体2の外周の一部分に沿って周方向に並べられた複数のLED照明(図示略)により構成され、内側光源32は、缶体支持体2によって外面を支持された缶体1の内側に缶体支持体2の外周の一部分に沿って周方向に並べられた複数のLED照明(図示略)で構成される。これらの外側光源31と内側光源32とにより、
図1及び
図2に示すように、所定の検査位置に搬送された缶体1の外面に、外側と内側から検査光が照射される。
【0025】
また、缶体支持体2は、
図1に示すように、メインシャフトSの軸線方向に並んで配置される2枚のスターホイール21により構成され、各スターホイール21は、メインシャフトSの軸線回りに回転可能に支持されている。
スターホイール21は、光透過性材料(例えば透明アクリル、ポリカーボネート)により円板状に形成されており、外周縁に、缶体1の外面に沿う略円弧切欠状の周面21aを有するポケット部22が、周方向に間隔を空けて複数個(本実施形態では12個)設けられ、ポケット部22の周面22aにより缶体1が支持されるようになっている。また、各スターホイール21の内部には、
図2に示すように、検査光を散乱させる乱反射部23が、各ポケット部22の周面22aに沿って設けられている。
【0026】
乱反射部23は、レーザ加工により形成された微細な気泡の集合体により、板状に形成された各スターホイール21の厚み方向に沿う面状に形成されており、ポケット部22の周面22aからの距離D1が2mm〜60mmの間で一定間隔を空けて形成されている。本実施形態のスターホイール21においては、乱反射部23は、ポケット部22の周面22aからの距離D1が27mmとされる位置に、円弧面状に形成されている。
また、乱反射部23は、その延在方向においてスターホイール21の各表面と近接して設けられるが、スターホイール21のいずれかの表面から乱反射部23の端部までの距離D2は、少なくとも1mm以上離れて形成されている。
なお、光源3からの検査光を缶体1の外面に広く照射するためには、乱反射部23をスターホイール21の表面まで形成することが、乱反射部23による缶体1への照射範囲が広くなるので望ましいが、乱反射部23をスターホイール21の表面に露出する位置まで形成した場合は、その露出した部分を起点として割れが発生しやすくなり、強度低下を招きやすくなる。そこで、乱反射部23は、検査光の分散範囲と缶体支持体の強度とを考慮して、缶体支持体の表面から少なくとも1mm離れた位置まで形成することとしている。
【0027】
また、前述したように、乱反射部23はレーザ加工により形成することができ、スターホイール21の内部に焦点を結ぶようにレーザ光を照射することにより、スターホイール21の内部にのみ加工を施すことができる。そして、レーザ加工により微細な気泡を複数形成することにより、スターホイール21の内部に微細な凹凸形状を形成できるので、スターホイール21の表面を傷つけることなく乱反射部23を形成することができ、スターホイール21の耐久性を良好に維持することができる。
【0028】
次に、このように構成される缶体の検査装置100を用いて缶体1を検査する方法について説明する。
図2に示すように、缶体1は、スターホイール21のポケット部22に供給されて、メインシャフトSの回転によって搬送され、光源3(外側光源31及び内側光源32)から検査光が照射される所定の検査位置に移動する。そして、検査位置において、外側光源31及び内側光源32により缶体1の外面に検査光が照射され、検査光が缶体1の内部に漏れ出ているか否かを検査する。
【0029】
このとき、
図2に示すように、外側光源31からの検査光は、スターホイール21の半径方向内方に向かって照射され、缶体1の外面がスターホイール21により支持される部分には、検査光が直接照射されない部分が生じる。ところが、この検査装置100では、スターホイール21の内部に乱反射部23が設けられており、その乱反射部23において検査光が散乱して分散照射されることから、
図3に点線の矢印で示すように、散乱光をスターホイール21の内部を通じてポケット部22の周面22aで支持される缶体1の外面にも照射することができる(
図3では便宜上、乱反射箇所を3箇所として示しているが、乱反射部23の各部で乱反射する)。また、乱反射部23では、検査光が正反射ではなく乱反射することから、乱反射部から反射して分散照射される光量を均一化することができる。これにより、缶体1の外面全体にわたって検査光を平均的に照射でき、缶体1全体についてピンホール等の欠陥の有無を検査することができる。
検査後、欠陥が検出された不良品は、
図2に矢印Aで示されるように回収され、欠陥が検出されなかった良品は、矢印Bで示されるように回収される。
【実施例】
【0030】
この缶体の検査装置100において、缶体1の外面がスターホイール21により支持された部分に対するピンホールの形成位置による光検出部4の出力(光量)の変化を比較する実験を行った。本実施形態の実施例として、
図5(a)及び(b)に示すように乱反射部23A,23Bを形成したスターホイール21A,21Bを用いた実施例1及び実施例2と、比較例として、
図5(c)に示すように乱反射部が形成されない従来のスターホイール21Cを用いた比較例1とを用いて、これら実施例1,2及び比較例1における、光検出部4の検出量の違いを比較した。
【0031】
実施例1,2及び比較例1のスターホイール21A〜21Cは、直径400mm、厚さ13mmの透明アクリルにより形成し、そのうちの実施例1,2のスターホイール21A,21Bのみに、ポケット部22の周面22aに沿って円弧面状の乱反射部23A,23Bを形成した。
また、乱反射部の加工デザインの違いによる光検出部4の出力の変化を確認するため、実施例1と実施例2とは異なる形状の乱反射部23A,23Bを設けた。実施例1の乱反射部23Aは、
図5(a)に示すように、ポケット部22の周面22aからの距離D1を27mmとした円弧面に形成した。これに対して、実施例2の乱反射部23Bは、
図5(b)に示すように、ポケット部22の周面22aとの距離D1を27mmの前後で近づけたり離したりして円弧面と細かな波形面(波長7.8mm、振幅3.0mm)とを組み合わせた形状とした。
また、これらの乱反射部23A,23Bは、その延在方向においては、スターホイール21A,21Bの各表面からの距離D2を1mmとする内側の範囲に形成した。
【0032】
そして、これら乱反射部23A,23Bの加工は、ドイツのセリオン社製のX‐1加工機を用いてレーザ加工により形成した。この乱反射部23A,23Bの加工は、スターホイール21A,21Bの内部に焦点を結ぶようにレーザ光を照射することにより行い、スターホイール21A,21Bの一部を溶かし、内部に微細な気泡を複数形成することにより、微細な凹凸形状を形成し、乱反射部23A,23Bを形成した。
なお、X‐1加工機の光源はYAGレーザの2倍波(第2高調波)であり、波長が532nmとされる。
【0033】
また、実験には、アルミニウム合金の板材を絞り、しごき加工して形成されたDI缶を用いた。そして、この缶体1の胴部の底部12から10mm離れた位置に直径約33μmのピンホールを予め形成しておき、
図4に示すように、缶体1を0°の位置から7.5°ずつ、352.5°の位置まで回転させた場合の光検出部4による出力の変化を測定した。
このため、このピンホールに対して十分に検査光が届いていれば、光検出部4による出力が上昇した状態となり、ピンホールの存在を検出することができる。
実験結果を
図6及び
図7に示す。なお、
図6及び
図7に示す「閾値」は、ノイズ等の影響を考慮しても、ピンホール等の存在を検出可能な最低レベルの出力を示す。
【0034】
図6からわかるように、乱反射部を形成していない比較例1のスターホイール21Cにおいては、光検出部4の出力(光の検出量)が閾値に近接するほどに低下する場合があり、ピンホールの形成位置によってはピンホールを検出できなくなるおそれがある。
一方、乱反射部21Aを形成した実施例1のスターホイール21Aは、閾値よりも十分に高い出力が得られ、ピンホールが缶体1のどの位置に形成されていても検出可能であることがわかった。
また、
図7からわかるように、実施例2のスターホイール21Bのように、乱反射部23Bを波形面で形成することにより、光検出部4の出力をさらに向上させることができることが確認できた。
【0035】
以上説明したように、本実施形態の缶体支持体2(スターホイール21)を用いた缶体の検査装置100においては、光透過性材料により形成された缶体支持体2の内部に乱反射部23を設けているので、乱反射部23で散乱した検査光を缶体支持体2の内部を通じて照射することができる。また、乱反射部23では、検査光が正反射ではなく乱反射することから、乱反射部から反射して分散照射される光量を均一化することができる。このため、光源3からの検査光が直接照射されにくい缶体1と缶体支持体2との支持部分にも検査光を平均的に届けることができ、確実にピンホール等の有無を検出することが可能となる。
また、乱反射部23は缶体支持体2の内部に設けられているので、缶体支持体2に切り込みを入れて反射面を形成する等の方法において懸念される強度面の問題が緩和され、耐久性を良好に維持することができる。
【0036】
さらに、缶体支持体2には、乱反射部23をレーザ加工により形成された微細な気泡の集合体によって缶体支持体2の厚み方向に沿う面状に形成していることから、乱反射部23が缶体1の外面に沿って配置され、乱反射部23で反射した検査光が、缶体支持体2により支持された部分に照射されやすくなる。また、乱反射部23をポケット部22の周面22aに沿って形成し、缶体1の外面に沿って乱反射部23を設けることで、乱反射部23が缶体1の外面と対向して配置され、缶体外面の缶体支持体2により支持された部分に検査光を確実に照射することができる。
【0037】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。