【解決手段】光学的位置検出装置1は、光を照射する照明部2と、照明部2が照射する光が検知対象物で反射することによって得られた反射光を受光する受光面を有する受光部3と、検知対象物の位置を求める位置取得部とを備える。受光面は、第1乃至第3受光面を有する。第1乃至第3受光面のそれぞれは、他の2つの受光面と隣接するように基準点の周りに配置され、基準点の周りから互いに等しい角度を成して放射状に延びる2辺を有する。受光部3は、反射光を第1乃至第3受光面で受光し、当該第1乃至第3受光面で受光された光をそれぞれ第1乃至第3電気信号に変換して出力する。位置取得部は、受光部3から出力される第1乃至第3電気信号に基づいて検知対象物の位置を求める。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<<光学的位置検出装置の概要について>>
図1は、本実施の形態に係る光学的位置検出装置1の概略的な構成を示す図である。本実施の形態に係る光学的位置検出装置1は、例えば人の手や指といった検知対象物60の位置を光学的に検出する。
図1に示されるように、光学的位置検出装置1は、略直方体の形状を成している。光学的位置検出装置1には、光を透過させる窓が設けられており、その窓の内側に、照明部2と受光部3とが備えている。光学的位置検出装置1の最長の一辺の長さは、例えば10mm程度の長さであるが、
図1では、便宜上、実際よりも大きいサイズで光学的位置検出装置1が示されている。なお、
図1に示される光学的位置検出装置1、照明部2、受光部3の形状は一例であり、
図1に示される形状に限られない。
【0016】
次に、光学的位置検出装置1の概略的な動作について、
図1,2を参照しながら説明する。
図2は、光学的位置検出装置1の動作を説明するための図である。まず、照明部2から光50が照射され(
図2のステップS1)、照明部2が照射する光50が検知対象物60で反射して反射光51となる(
図2のステップS2)。そして、ステップS2における反射光51が、受光部3で受光される(
図2のステップS3)。それから、受光部3は、受光した反射光51を例えば電流といった電気信号に変換(光電変換)し、出力する(
図2のステップS4)。そして、光学的位置検出装置1は、受光部3から出力された電気信号に基づいて、検知対象物60の位置を求める(
図2のステップS5)。
【0017】
このように、本実施形態に係る光学的位置検出装置1では、検知対象物60の位置を非接触で検出することができる。光学的位置検出装置1で連続的に求められる検知対象物60の位置に基づいて、例えば、人の手の動き(ジェスチャー)を非接触で検知することが可能となる。
【0018】
<<光学的位置検出装置の電気的構成について>>
図3は、光学的位置検出装置1の電気的構成を示すブロック図である。
図3に示されるように、光学的位置検出装置1には、照明部2と、受光部3と、制御部10とが設けられている。
【0019】
照明部2は、LED(Light Emitting Diode)4を有している。LED4は、例えば、赤外領域の光を照射する赤外発光ダイオードである。ただし、照明部2(LED4)から照射される光の波長は、受光部3で光電変換可能な(つまり、受光部3で検知可能な)波長が含まれていればよく、例えば可視光等の赤外領域以外の光であってもよい。赤外発光ダイオードを使用した場合には、照明部2(LED4)から照射される光は人の目には見えないため、光学的位置検出装置1の利用範囲を広くすることができる。また、本実施の形態では、照明部2は光学的位置検出装置1に一体として設けられているが、照明部2は光学的位置検出装置1と別体として設けられていてもよい。
【0020】
受光部3は、例えば、3分割フォトダイオードであって、PD(Photodiode)5,6,7を有している。PD5〜7は、一つの半導体基板上に形成された受光面が3つに分割されることによって形成されている。なお、受光部3は分割フォトダイオードでなくても良い。この場合には、PD5〜7は別々の半導体基板上に形成される。
【0021】
PD5は、第1受光面15を有しており、PD6は第2受光面16を有しており、PD7は第3受光面17を有している。PD5は、第1受光面15で反射光51を受光し、受光した反射光51を第1電気信号に変換する。同様に、PD6は、第2受光面16で反射光51を受光して第2電気信号に変換し、PD7は第3受光面17で反射光51を受光して第3電気信号に変換する(以後、第1電気信号、第2電気信号、第3電気信号を特に区別する必要がない場合には、単に「電気信号」と呼ぶ)。PD5,6,7で変換された電気信号は、制御部10に出力される。
【0022】
図4は、本実施の形態に係る受光部3の受光面を示す図である。
図4に示されるように、第1受光面15、第2受光面16および第3受光面17が同一平面上に配置されることで、受光部3全体での1つの受光面14を形成している。より具体的には、第1受光面15、第2受光面16、第3受光面17のそれぞれは、同一平面上において、他の2つの受光面と隣接するように基準点20の周りに配置されることで、1つの受光面14を形成している。例えば、
図4では、第1受光面15、第2受光面16および第3受光面17が、この順で反時計回りに配置されている。
【0023】
また、
図4に示されるように、第1受光面15は、基準点20の周りから第1角度24を成して放射状に延びる2つの辺21a,21bを有している。同様に、第2受光面16は、基準点20の周りから第2角度25を成して放射状に延びる2つの辺22a,22bを有しており、第3受光面17は、基準点20の周りから第3角度26を成して放射状に延びる2つの辺23a,23bを有している。そして、受光面14は、第1角度24、第2角度25および第3角度26が互いに等しくなるように形成されている。本実施の形態では、第1角度24、第2角度25および第3角度26のそれぞれは120°に設定されている。また、第1受光面15、第2受光面16および第3受光面17は、互いに面積および形状が等しい(つまり、合同な)扇形をしている。ここで、2つの形状が等しいとは、2つの形状が相似形の場合も含む。
【0024】
制御部10は、外部から入力される制御信号に応じて照明部2及び受光部3を制御して、光学的位置検出装置1の動作を統括的に管理する。また制御部10は、受光部3から出力される第1乃至第3電気信号に基づいて検知対象物60の位置を求めて、位置信号を出力する。
【0025】
<<制御部の構成について>>
図5は、主に制御部10の構成の一例を示す図である。本実施の形態では、制御部10は、例えばLSI(Large Scale Integration)で構成されている。
図5に示されるように、制御部10は、増幅器42a〜42cと、演算器43と、論理回路44と、LEDドライバ41とを備えている。増幅器42a〜42cにはコンデンサ45a〜45cがそれぞれ接続されている。以後、増幅器42a〜42cを特に区別する必要がないときには、それぞれを「増幅器42」と呼ぶ。また、コンデンサ45a〜45cを特に区別する必要がないときには、それぞれを「コンデンサ45」と呼ぶ。
【0026】
LEDドライバ41は、照明部2を構成するLED4に電流を与えることによって、当該LED4を発光させる。これにより、LED4からは光50が照射される。LEDドライバ41に抵抗46が接続されている。LED4には、この抵抗46の値に応じた電流が流れる。
【0027】
増幅器42a,42b,42cには、受光部3のPD5〜7から出力される第1乃至第3電気信号がそれぞれ入力される。そして、増幅器42a〜42cは、入力される第1乃至第3電気信号をそれぞれ増幅して出力する。具体的には、各増幅器42は、当該増幅器42に接続されたPDから出力される電気信号から、当該増幅器42に接続されたコンデンサ45に蓄積されている電気信号を差し引いて得られる電気信号を増幅して出力する。演算器43は、LED4から光50が照射されている際に各増幅器42から出力される電気信号に基づいて検知対象物60の位置を求める。
【0028】
ここで、LED4が光50を照射する際にPDで受光される光には、反射光51以外にも、太陽光等の外乱光(「定常光」とも呼ばれる)も含まれる。したがって、仮に増幅器42がPDから出力される電気信号をそのまま増幅すると、当該増幅器42からは、外乱光の影響を受けた電気信号が出力されることになる。演算器43が、外乱光の影響を受けた電気信号に基づいて検知対象物60の位置を求めると、当該位置の精度が低下する可能性がある。
【0029】
そこで、本実施の形態では、LED4(照明部2)が光50を照射していないときにPDから出力される電気信号、つまり、外乱光の強さを示す電気信号が、当該PDが接続され増幅器42に繋がったコンデンサ45に蓄積される。そして、増幅器42は、LED4が光50を照射しているときにPDから出力される電気信号から、当該増幅器42に繋がったコンデンサ45で蓄積されている電気信号(外光の強さを示す電気信号)を差し引いて得られる電気信号を増幅して演算器43に出力する。これにより、増幅器42からは、外乱光の影響が低減された電気信号が出力される。つまり、増幅器42からは、補正された、PDからの電気信号が出力される。よって、演算器43で求められる検知対象物60の位置の精度が向上する。
【0030】
演算器43は、LED4が光50を照射している際に増幅器42a,42b,42cから出力された電気信号に基づいて、検知対象物60の位置として、後述するxyz座標系での検知対象物60のx座標、y座標およびz座標を求める。本実施の形態では、演算器43を位置取得部と呼ぶこともある。演算器43で行われる処理については、後で詳しく説明する。
【0031】
論理回路44は、LEDドライバ41、増幅器42a,42b,42c及び演算器43へ指示信号を送出することで、制御部10全体の動作を制御する。
図5に例示される論理回路44は、外部から入力される第一入力信号48および第二入力信号49に応じた指示信号を、LEDドライバ41、増幅器42a,42b,42c及び演算器43へ送出する。
【0032】
図6は、論理回路44が行う制御内容の一例を示す図である。第一入力信号48および第二入力信号49のそれぞれは2値信号であって、higレベル及びLowレベルのどちらか一方の信号レベルを示す。論理回路44は、
図6に例示されるように、第一入力信号48および第二入力信号49が示す信号レベルの組み合わせに応じた指示信号を、LEDドライバ41、増幅器42a,42b,42c及び演算器43へ送出する。
図6には、論理回路44への入力信号(第一入力信号48および第二入力信号49)と、LEDドライバ41、増幅器42a,42b,42c及び演算器43の状態との関係が4種類示されている。
【0033】
図6のNo.1に例示されるように、第一入力信号48及び第二入力信号49がともにlowレベルを示す場合には、論理回路44は、LEDドライバ41にはLED4(照明部2)を消灯させる旨の指示信号を送出し、増幅器42a,42b,42cには増幅器42a,42b,42cの動作を休止(機能をOFF)する旨の指示信号を送出し、演算器43には演算器43の動作を休止(機能をOFF)する旨の指示信号を送出する。これにより、光学的位置検出装置1の動作が休止する。
【0034】
図6のNo.2に例示されるように、第一入力信号48がhighレベルを示し、第二入力信号49がlowレベルを示す場合には、論理回路44は、LEDドライバ41にはLED4(照明部2)を消灯させる旨の指示信号を送出し、増幅器42a,42b,42cには増幅器42a,42b,42cの動作モードを急速チャージモードに設定する旨の指示信号を送出し、演算器43には演算器43の動作を休止する旨の指示信号を送出する。各増幅器42は、急速チャージモードに設定されると、当該増幅器42に接続されたPDから入力された電気信号を、当該増幅器42に接続されたコンデンサ45に急速に蓄積する。これにより、コンデンサ45には、LED4が消灯している際にPDから出力される電気信号、つまり外乱光の強さを示す電気信号が急速に蓄積される。
図6のNo.2の指示信号は、光学的位置検出装置1の起動直後に使用される。
【0035】
図6のNo.3に例示されるように、第一入力信号48及び第二入力信号49がともにhighレベルを示す場合には、論理回路44は、LEDドライバ41にはLED4(照明部2)を消灯させる旨の指示信号を送出し、増幅器42a,42b,42cには増幅器42a,42b,42cの動作モードを通常チャージモードに設定する旨の指示信号を送出し、演算器43には演算器43の動作を休止する旨の指示信号を送出する。各増幅器42は、通常チャージモードに設定されると、当該増幅器42に接続されたPDから入力された電気信号を、当該増幅器42に接続されたコンデンサ45に通常の速さで蓄積する。これにより、コンデンサ45には、LED4が消灯している際にPDから出力される電気信号、つまり外乱光の強さを示す電気信号が蓄積される。
【0036】
図6のNo.4に例示されるように、第一入力信号48がlowレベルを示し、第二入力信号49がhighレベルを示す場合には、論理回路44は、LEDドライバ41にLED(照明部2)を点灯させる旨の指示信号を送出し、増幅器42a,42b,42cには増幅器42a,42b,42cの動作モードを増幅モードに設定する旨の指示信号を送出し、演算器43には動作を行う旨の指示信号を送出する。各増幅器42は、増幅モードに設定されると、当該増幅器42に接続されたPDから入力された電気信号から、当該増幅器42に接続されたコンデンサに蓄積されている電気信号を差し引き、それによって得られる電気信号を増幅して出力する。
【0037】
ここで、論理回路44は、第一入力信号48および第二入力信号49によって、No.3に示される指示信号とNo.4に示される指示信号とを所定周期で切り替えて送出する。したがって、論理回路44は、No.4に示される指示信号を、常に、No.3に示される指示信号の後に送出する。よって、論理回路44からNo.4に示される指示信号が送出されたときには、各増幅器42は、LED4が光50を照射している際にPDから出力された電気信号から、コンデンサに蓄積されている、外乱光の強さを示す電気信号を差し引き、それによって得られる電気信号を増幅して出力する。つまり、各増幅器42は、LED4が光50を照射している際にPDから出力された電気信号を、外乱光の強さを示す電気信号で補正し、補正後の当該電気信号を増幅して出力する。そして、演算器43は、各増幅器42からこのようにして出力される電気信号に基づいて、検知対象物60の位置を求める。これにより、演算器43は、各PDで受光された反射光51の強さを示す電気信号に基づいて検知対象物60の位置を求めることができる。
【0038】
<<演算器の処理について>>
図7および
図9は、
図4に示される受光部3の受光面14に反射光51が入射した例を示す図である。
図7は反射光51が受光部中心20に対して垂直に入射しているときの一例である。
図7に示されるように、反射光51が入射する入射領域500は、受光面14や前述した光を透過させる窓3bの領域より大きい。受光部3は凸レンズ構造になっているため、受光部3に入射された反射光51は集光されて受光面14に到達する。受光面14での光量分布は、
図7に示されるように中心が最大光量となった同心円を描く。本実施の形態では、受光面14での光量分布のうち、光量が所定の閾値より強い部分を強受光領域510と呼ぶ。
図8は、計算しやすいように
図7に示される受光面15、16、17それぞれに入射される、強受光領域510の光量を平均して近似したイメージ図である。
【0039】
図9は反射光51が受光部中心20に対して右上にずれた位置から入射しているときの一例を示している。受光部3は凸レンズ構造になっているため、受光部3に入射した光は集光されて受光面14に到達する。
図10は、計算しやすいように
図9に示される受光面15、16、17それぞれに入射される、強受光領域510の光量を平均して円で近似したイメージ図である。
【0040】
なお、受光面14での光量分布はレンズの形状や焦点距離に依存するため、
図7,9は一例である。また、第1受光面15と第2受光面16の間、第2受光面16と第3受光面17の間、および第3受光面17と第1受光面15の間には、実際には
図4に示されるように少し隙間が存在するが、以後の説明では、
図7〜10に示されるように簡略化して第1受光面15、第2受光面16、第3受光面17を接触させて示す。
【0041】
本実施の形態に係る演算器43(位置取得部43)は、
図7〜10に示されるように、受光面14(第1受光面15、第2受光面16及び第3受光面17)を含み、かつ基準点20を原点とするxy座標平面を定義する。本実施の形態では、xy座標平面のx軸は、第1受光面15と第3受光面17との境界を通るように定義されている。そして、演算器43は、xy座標平面のx軸及びy軸に対して垂直なz軸を定義する。演算器43は、増幅器42a,42b,42cから出力された電気信号に基づいて、検知対象物60の位置として、このようにして定義されたxyz座標系(直交座標系)での検知対象物60のx座標、y座標及びz座標を求めて出力する。以下に、演算器43が行うx座標、y座標、z座標の算出方法について説明する。
【0042】
以後、特に断らない限り、単に「第1電気信号」と言えば、増幅器42aから出力される、補正されたPD5からの第1電気信号を意味する。また、単に「第2電気信号」と言えば、増幅器42bから出力される、補正されたPD6からの第2電気信号を意味する。そして、単に「第3電気信号」と言えば、増幅器42cから出力される、補正されたPD7からの第3電気信号を意味する。
【0043】
また、以下の説明では、第1電気信号(電流)の大きさをAとして、第2電気信号(電流)の大きさをBとして、第3電気信号(電流)の大きさをCとする。
【0044】
<x座標およびy座標の検出について>
ここでは、本実施の形態における、演算器43が行う処理であるx座標およびy座標の算出について説明する。演算器43は、まず、xy座標平面において第1〜第3電気信号のそれぞれを基準点20(原点)から延びるベクトルで表す。第1電気信号を示すベクトルを第1ベクトルu1とし、第2電気信号を示すベクトルを第2ベクトルu2とし、第3電気信号を示すベクトルを第3ベクトルu3とする。そして、演算器43は、第1ベクトルu1、第2ベクトルu2及び第3ベクトルu3に基づいて、xy座標平面(xyz座標系)での検知対象物60の位置を求める。以下に、x座標およびy座標の算出方法について詳しく説明する。
【0045】
まず、第1ベクトルu1、第2ベクトルu2、第3ベクトルu3について説明する。
図11は、
図10に示されるように反射光51が受光面14で受光された際の第1ベクトルu1、第2ベクトルu2、第3ベクトルu3を示す図である。
【0046】
図11に示されるように、第1ベクトルu1は、基準点20(xyz座標系の原点)から第1受光面15に延びている。第1ベクトルu1は、基準点20から、第1受光面15の2つの辺21a,21bが成す第1角度24を等分にする方向に延びている。そして、第1ベクトルu1の大きさは、第1電気信号の大きさ、つまりAと一致している。
【0047】
第2ベクトルu2は、基準点20から第2受光面16に延びている。第2ベクトルu2は、基準点20から、第2受光面16の2つの辺22a,22bが成す第2角度25を等分にする方向に延びている。そして、第2ベクトルu2の大きさは、第2電気信号の大きさ、つまりBと一致している。
【0048】
第3ベクトルu3は、基準点20から第3受光面17に延びている。第3ベクトルu3は、基準点20から、第3受光面17の2つの辺23a,23bが成す第3角度26を等分にする方向に延びている。そして、第3ベクトルu3の大きさは、第3電気信号の大きさ、つまりCと一致している。
【0049】
本実施の形態では、第1ベクトルu1、第2ベクトルu2及び第3ベクトルu3のそれぞれの向きを、x軸のプラス側から当該ベクトルへの反時計回りの角度で表す。したがって、第1ベクトルu1、第2ベクトルu2及び第3ベクトルu3の向きは、それぞれ、60度、180度及び300度となる。
【0050】
演算器43は、第1乃至第3電気信号に基づいて、このような第1ベクトルu1、第2ベクトルu2及び第3ベクトルu3をxyz座標系において定めると、第1ベクトルu1、第2ベクトルu2、第3ベクトルu3に基づいて、検知対象物60のx座標及びy座標を求める。
【0051】
ここで、第1ベクトルu1、第2ベクトルu2及び第3ベクトルu3の合成ベクトルのx成分x1及びy成分y1は以下の式(1),(2)で表される。
【0054】
第1ベクトルu1、第2ベクトルu2及び第3ベクトルu3の合成ベクトルの先端の位置は、受光面14での反射光51の強受光領域510の位置を示している。受光面14での反射光51の強受光領域510の位置は、検知対象物60の位置に応じて変化することから、合成ベクトルの先端の位置を、検知対象物60の位置とすることが可能である。つまり、式(1)に示される合成ベクトルのx成分x1(受光面14での反射光51の受光領域の位置のx座標)を検知対象物60のx座標とし、式(2)に示される合成ベクトルのy成分y1(受光面14での反射光51の受光領域の位置のy座標)を検知対象物60のy座標とすることが可能である。
【0055】
一方で、本実施の形態では、制御部10の位置出力電圧の最小値及び最大値はそれぞれ0(V)及びV
REF(V)となっている。式(1),(2)で示されるx1及びy1が取り得る範囲は−∞から+∞となることから、制御部10は、x1及びy1をそのまま、検知対象物60のx座標及びy座標としてアナログ出力することはできない。
【0056】
そこで、本実施の形態では、式(1),(2)を変形して、制御部10が外部に出力することが可能な検知対象物60のx座標及びy座標を求めるための式を導出し、当該式を使用して、検知対象物60のx座標及びy座標を求める。
【0057】
まず、式(1)を以下の式(3.1)及び(3.2)に変形して、最小値及び最大値が−∞及び+∞であるx1を、最小値及び最大値が−1及び+1となるx2に変形する。
【0060】
式(3.2)に示されるB>2(A+C)という条件式は、第2受光面16(PD6)での反射光51の受光量が、第1受光面15および第3受光面17(PD5,7)での反射光51の受光量の2倍よりも大きい状態を表している。つまり、反射光51の大部分が第2受光面16(PD6)に当たっており、その他の第1受光面15および第3受光面17では、あまり反射光51が受光されていない場合となる。このような場合には、受光面14での反射光51の強受光領域510の位置は、受光面14の左端であると考えて、式(3.2)に示されるようにx2を最小値−1に固定する。
【0061】
また、式(2)を以下の式(4.1),(4.2),(4.3)に変形して、最小値及び最大値が−∞及び+∞であるy1を、最小値及び最大値が−1及び+1となるy2に変形する。
【0065】
式(4.2)に示される条件式は、第1受光面15での反射光51の受光量が、第2受光面16および第3受光面17での反射光51の受光量に比べて極めて大きい状態を表している。このような場合には、受光面14での反射光51の強受光領域510の位置は、受光面14の上端であると考えて、式(4.2)に示されるようにy2を最大値1に固定する。
【0066】
また、式(4.3)に示される条件式は、第3受光面17での反射光51の受光量が、第1受光面15および第2受光面16での反射光51の受光量に比べて極めて大きい状態を表している。このような場合には、受光面14での反射光51の強受光領域510の位置は、受光面14の下端であると考えて、式(4.3)に示されるようにy2を最小値−1に固定する。
【0067】
次に、式(3.1)及び(3.2)を式(5.1)及び(5.2)に変形して、最小値及び最大値が−1及び+1であるx2を、最小値及び最大値が0及び+1となるx3に変形する。
【0070】
また、式(4.1)〜(4.3)を式(6.1)〜(6.3)に変形して、最小値及び最大値が−1及び+1であるy2を、最小値及び最大値が0及び+1となるy3に変形する。
【0074】
次に、式(5.1)及び(5.2)を式(7.1)及び(7.2)に変形して、最小値及び最大値が0及び+1であるx3を、最小値及び最大値が0及びV
REFとなるx4に変形する。
【0077】
また、式(6.1)〜(6.3)を式(8.1)〜(8.3)に変形して、最小値及び最大値が0及び+1であるy3を、最小値及び最大値が0及びV
REFとなるy4に変形する。
【0081】
本実施の形態では、式(7.1)及び(7.2)で表れるx4を、検知対象物60のx座標とする。また、式(8.1)〜(8.3)で表されるy4を、検知対象物60のy座標とする。演算器43は、第1乃至第3電気信号と、式(7.1)及び(7.2)とを用いて検知対象物60のx座標(x4)を求める。また、演算器43は、第1乃至第3電気信号と、式(8.1)〜(8.3)とを用いて検知対象物60のy座標(y4)を求める。これにより、制御部10は、演算器43で求められた検知対象物60のx座標及びy座標をアナログ信号として外部に出力することができる。
【0082】
<z座標の検出について>
ここでは、z座標の算出について説明する。前述したように、z軸は、受光面14(xy平面)に対して垂直な軸である。z座標は、第1乃至第3電気信号に基づいて求められる。より具体的には、z座標は、第1電気信号の最大値(Aの最大値)をAmax、第2電気信号の最大値(Bの最大値)をBmax、第3電気信号の最大値(Cの最大値)をCmaxとすると、式(9)に示されるように表される。z座標は、x座標およびy座標と同様に、予め定められた範囲内(つまり、最小値が「0」かつ最大値が「V
REF」)となっている。演算器43は、第1乃至第3電気信号と式(9)を用いて検知対象物60のz座標を求める。
【0084】
図12は、演算器43で求められるz座標について説明するための図である。式(9)で求められるz座標は、検知対象物60の位置が受光面14(受光部3)に近いほど大きい値をとり、検知対象物60の位置が受光面14(受光部3)に遠いほど小さい値をとる。
【0085】
なお、検知対象物60が受光面14に対して近いか遠いかの2値が分かるだけで良い場合には、演算器43は、z座標を式(10.1),(10.2)を用いて求めても良い。
【0088】
図13は、式(10.1),(10.2)で表されるz座標について説明するための図である。式(10.1)に示されるように、(A+B+C)/(Amax+Bmax+Cmax)が予め定めたしきい値βより大きい場合にはzの出力は「V
REF」となる。検知対象物60が受光面14に対して近づいている場合には、(A+B+C)/(Amax+Bmax+Cmax)がしきい値βより大きくなることから、
図13に示されるように、z座標=V
REFは、検知対象物60が受光面14に対して近づいていることを示している。
【0089】
一方で、式(10.2)に示されるように、(A+B+C)/(Amax+Bmax+Cmax)がしきい値β以下の場合には、zの出力は「0」となる。検知対象物60が受光面14に対して離れている場合には、(A+B+C)/(Amax+Bmax+Cmax)がしきい値β以下となることから、z座標=0は、
図13に示されるように、検知対象物60が受光面14に対して離れていることを示している。
【0090】
<検出結果について>
次に、光学的位置検出装置1における検知対象物60の位置の検出結果について
図14,15に基づいて説明する。
図14は、受光面14での反射光51の強受光領域510の位置が変化する様子を示している。
図15は、反射光51の強受光領域510の位置が
図14のように変化するときの光学的位置検出装置1における検知対象物60の位置の検出結果を示す図である。
【0091】
図14の例では、反射光51の強受光領域510の位置は、受光面14の右側を始点として、受光面14上を反時計回りに1周回転するように変化している。
図14の例では反射光51の強受光領域510の面積は一定である。検知対象物60が受光面14に平行な平面内において回転移動すると、反射光51の強受光領域510の位置は
図14のように変化する。
【0092】
ここで、反射光51の強受光領域510の位置が
図14のように回転する際の当該強受光領域510の位置を「強受光領域回転位置」と呼ぶ。そして、
図14の左上に示されるように、反射光51の強受光領域510が受光面14の右側に存在するときの強受光領域回転位置を0度とし、
図14の左下に示されるように、反射光51の強受光領域510が受光面14の上側に存在するときの強受光領域回転位置を90度とする。そして、
図14の右下に示されるように、反射光51の強受光領域510が受光面14の左側に存在するときの強受光領域回転位置を180度とし、
図14の右上に示されるように、反射光51の強受光領域510が受光面14の下側に存在するときの強受光領域回転位置を270度とする。
【0093】
図15の横軸は強受光領域回転位置を示している。
図15の縦軸は、制御部10から検知対象物60のx座標、y座標及びz座標として出力される出力電圧を示している。
図15のグラフ71,72,73は、強受光領域回転位置が変化する際の検知対象物60のx座標、y座標及びz座標をそれぞれ示している。
【0094】
図15のグラフ71に示されるように、x座標は、反射光回転位置が0度の場合(つまり、反射光51の強受光領域510が受光面14の右側、すなわちx軸のプラス側に存在する場合)、一番大きい値をとり、反射光回転位置が180度に近づくにともなって(つまり、反射光51の強受光領域510が、受光面14の左側、すなわちx軸方向のマイナス側に近づくにともなって)小さくなる。そして、反射光回転位置が180度となったときに、x座標は一番小さい値をとる。その後、反射光回転位置が360度(つまり、始点位置である0度)に近づくにつれてx座標が大きくなる。このように、反射光51の強受光領域510のx軸方向の位置の変化に伴って、求められるx座標が変化している。
【0095】
また
図15のグラフ72に示されるように、y座標は、反射光回転位置が0度の場合(反射光51の強受光領域510がy軸方向の中央付近に存在する場合)、中央値の“0.5”の値をとり、反射光回転位置が90度の場合(つまり、反射光51の強受光領域510が受光面14の上側、すなわちy軸のプラス側に存在する場合)、一番大きい値をとる。その後、反射光回転位置が270度の場合(つまり、反射光51の強受光領域510が受光面14の下側、すなわちy軸のマイナス側に存在する場合)、一番小さい値をとる。y座標も、x座標と同様に、反射光51の強受光領域510のy軸方向の位置の変化に伴って、求められるy座標が変化している。
【0096】
なお、受光面14と検知対象物60との距離が一定に保たれているため、
図15のグラフ73に示されるようにz座標は一定となっている。
【0097】
このように、本実施の形態では、検知対象物60の実際の位置の変化に応じたx座標、y座標及びz座標が得られることから、検知対象物60の位置を正確に検出することができる。
【0098】
<受光面の形状について>
上述した実施の形態では、受光面14の形状が
図4に示されるような円形であり、PD5の第1受光面15、PD6の第2受光面16およびPD7の第3受光面17の形状は互いに形状が等しい扇形である。しかし、受光面14および各PDの受光面の形状は他の形状であっても良い。受光面14および各PDの受光面の形状は、例えば
図16,17,18に示されるような形状であっても、上述した
図4の受光部3(受光面14)と同様に扱うことができる。
図16,17,18は受光面を示す図である。
【0099】
図16の例では、受光部3全体の受光面14aの形状は三角形である。また、PD5aの第1受光面15a、PD6aの第2受光面16aおよびPD7aの第3受光面17aは互いに面積及び形状が等しい三角形となっている。
【0100】
図17の例では、受光部3全体の受光面14bの形状は六角形である。また、PD5bの第1受光面15b、PD6bの第2受光面16bおよびPD7bの第3受光面17bは互いに面積及び形状が等しい四角形である。
【0101】
図18の例では、受光部3全体の受光面14cの形状は、十二角形である。PD5cの第1受光面15c、PD6cの第2受光面16cおよびPD7cの第3受光面17cは互いに面積及び形状が等しい六角形である。
【0102】
図16〜18に示されるように、複数のPDが有する受光面の面積及び形状を等しくすることで、つまり複数のPDが有する受光面の形状を合同にすることで、各PDの感度のばらつきを低減することができる。よって、検知対象物60の位置の検出精度が向上する。
【0103】
また、受光部3として分割フォトダイオードを採用した場合には、3つのPD(PD5,6,7)の受光面の位置及び形状のばらつきを小さくすることができる。したがって、検知対象物60の位置の検出精度が向上する。
【0104】
<<比較対象の光学的位置検出装置について>>
さて、ここで本実施形態の光学的位置検出装置1と比較される光学的位置検出装置(以後、「比較対象装置」と呼ぶ)について説明する。
【0105】
<比較対象装置の電気的構成について>
図19は、比較対象装置の制御部10の構成を主に示す図である。
図19に示されるように、比較対象装置の受光部3には、PD5〜7以外にもPD8が設けられている。PD8は、その受光面で受光した光を第4電気信号に変換して出力する。
【0106】
また比較対象装置の制御部10には、増幅器42a〜42c以外にも、PD8からの第4電気信号が入力される増幅器43dが設けられている。増幅器43dにはコンデンサ45dが接続されている。増幅器43dの動作は、上述した増幅器42a〜42cの動作と同様である。演算器43には、増幅器42a,42b,42c,42dにおいて補正された第1乃至第4電気信号が入力される。
【0107】
以後、第1乃至第3電気信号と同様に、特に断らない限り、単に「第4電気信号」と言えば、増幅器42dで補正された第4電気信号を意味する。
【0108】
<比較対象装置のx座標およびy座標の位置検出について>
図20は、比較対象装置における受光部3の受光面14dを示す図である。
図20に示されるように、受光面14dは、PD5の第1受光面15dと、PD6の第2受光面16dと、PD7の第3受光面17dと、PD8の第4受光面18dとで構成されている。演算器43は、検知対象物60の位置を求める際には、
図20のようにしてx軸及びy軸を定義するとともに、当該x軸及y軸に垂直なz軸を定義する。なお、
図20では、第1受光面15dと、第2受光面16dと、第3受光面17dと、第4受光面18dとは、互いに隣接して示されているが、実際には、第1受光面15dと第2受光面16dの間、第2受光面16dと第3受光面17dの間、第3受光面17dと第4受光面18dの間、第4受光面18dと第1受光面15dの間には少し隙間が設けられている。
【0109】
ここで、第1乃至第4電気信号(電流)の大きさを、それぞれA〜Dとすると、演算器32は、以下の式(11)〜(13)を用いて、検知対象物60のx座標xc、y座標yc及びz座標zcを求める。なお、x座標xc、y座標yc及びz座標zcのとり得る範囲は、0〜V
REFである。
【0113】
<比較対象装置の検出結果について>
次に、比較対象装置における検知対象物60の位置の検出結果について、
図21,22に基づいて説明する。
図21は、受光面14dでの反射光51の強受光領域510の位置が変化する様子を示している。
図22は、反射光51の強受光領域510の位置が
図21のように変化するときの光学的位置検出装置1における検知対象物60の位置の検出結果を示す図である。
【0114】
図21の例では、上述の
図14と同様に、反射光51の強受光領域510の位置は、受光面14dの右側を始点として、受光面14d上を反時計回りに1周回転するように変化している。
図21の例では反射光51の強受光領域510の面積は一定である。検知対象物60が受光面14dに平行な平面内において回転移動すると、反射光51の強受光領域510の位置は
図21のように変化する。
【0115】
図22のグラフ71,72,73は、強受光領域回転位置が変化する際の検知対象物60のx座標、y座標及びz座標をそれぞれ示している。
図22に示されるように、比較対象装置で求められるx座標、y座標及びz座標についても、検知対象物60の位置の変化に応じた値となる。
【0116】
<光学的位置検出装置と比較対象装置との比較について>
上述したように、実施の形態に係る光学的位置検出装置1と比較対象装置を比較すると、光学的位置検出装置1は比較対象装置よりPD(受光面)が1つ少ない。そのため、光学的位置検出装置1の制御部10では、比較対象装置の制御部10に比べて、増幅器43および増幅器43に接続されるコンデンサ45を1つ少なくすることができる。実施の形態に係る光学的位置検出装置1は、PD、増幅器およびコンデンサを1つ削除することで、比較対象装置よりも小型化することが可能である。
【0117】
また、光学的位置検出装置1では、式(7.1)〜(7.2)、式(8.1)〜(8.3)および式(9)に示されるように、特殊な演算を用いることなく、四則演算を用いて検知対象物60の位置を求めることができる。したがって、光学的位置検出装置1の演算器43で行われる演算は、比較対象装置の演算器43で行われる演算と同程度の複雑度であると言える。
【0118】
また、光学的位置検出装置1の受光面14を、
図4に示されるように円形(つまり、受光面14が有する各受光面を扇形)とした場合には、比較対象装置と比べて各PDの受光面の面積を大きくすることができる。
図20に示される比較対象装置における各PDの受光面の面積は、例えば、受光面14dの一辺が2a[mm]であるときは、略a
2[mm
2]となる。一方、
図4に示される光学的位置検出装置1における各PDの受光面の面積は、受光面14の直径(一辺)が2a[mm]であるときには、略πa
2/3[mm
2]となる。つまり、受光面14,14dの一辺の長さを同じとしたときには、光学的位置検出装置1が有する各PDの受光面の面積は、比較対象装置が有する各PDの受光面の面積より大きくなる。PDの受光面の面積が大きくなると、PDの感度が高くなることから、受光面の面積が大きいPDは、強度が弱い反射光51についても検出することが可能となる。よって、検知対象物60の位置の検出精度が向上する。見方を変えれば、受光面の面積が大きいPDは、強度が弱い反射光51についても検出することが可能となることから、LED4の発光強度を低減したとしても、検知対象物60の位置の検出精度を維持することができる。よって、検知対象物60の位置の検出精度を維持しつつ、消費電力を低減することができる。
【0119】
また、光学的位置検出装置1の受光面14を、
図4に示されるように円形とした場合には、比較対象装置と比べて受光面の面積を小さくすることができる。受光面14,14dの一辺が2a[mm]であるときは、
図20に示される比較対象装置の受光面14dの面積は、略4a
2[mm
2]となるのに対し、
図4に示される光学的位置検出装置1における受光面14の面積は、略πa
2[mm
2]となる。つまり、受光面14,14dの一辺の長さを同じとしたときには、光学的位置検出装置1の受光面14の面積は、比較対象装置の受光面14dの面積よりも小さくなる。受光面14の面積が小さくなることで、実施の形態に係る光学的位置検出装置1では、電子部品を詰めて配置することができ、比較対象装置よりも小型化することができる。
【0120】
<<第一変形例>>
上述した実施の形態では、
図4,16〜18に示されるように、各PDの受光面の面積および形状が互いに等しい場合について説明した。しかし、受光面14が
図23,24に示されるような形状であっても、検知対象物60の位置を求めることができる。
図23,24は、共に受光面の一例を示す図である。
【0121】
図23に示される受光面14fでは、PD5fの第1受光面15f、PD6fの第2受光面16fおよびPD7fの第3受光面17fの形状は互いに等しい。しかし、第1受光面15fおよび第3受光面17fと、第2受光面16fとは、面積が異なる。
図24に示される受光面14gでは、PD5gの第1受光面15gおよびPD7gの第3受光面17gと、PD6gの第2受光面16gとで、面積も形状も異なる。
【0122】
各PDの受光面の面積が異なる場合には、例えば、強受光領域510の中心位置がxy平面の中心位置(基準点20)と一致している場合であっても、各PDから出力される電気信号の大きさは互いに異なる(より具体的には、入射領域500内(
図7〜10参照)であれば、面積の大きい受光面を有するPDでは、多くの反射光51を受光できるため、出力される電気信号の大きさが大きくなる)。各PDから出力される電気信号の大きさが異なると、第1ベクトルu1、第2ベクトルu2及び第3ベクトルu3の大きさもそれぞれ異なる。したがって、強受光領域510の中心位置がxy平面の中心位置(基準点20)と一致している場合であっても、第1ベクトルu1、第2ベクトルu2及び第3ベクトルu3の合成ベクトルの先端の位置が、強受光領域510の中心位置(この例では基準点20の位置)を示すことはない。つまり、各PDの受光面の面積が異なる場合には、第1乃至第3電気信号と、既述した式(7.1)〜(7.2)および式(8.1)〜(8.3)とを用いて検知対象物60のx座標およびy座標を求めることができない。
【0123】
しかし、各PDの受光面の面積比が既知である場合(言い換えると、各PDの感度比が既知である場合)には、当該面積比に基づいて第1乃至第3電気信号を所定数倍して式(7.1)〜(7.2)および式(8.1)〜(8.3)に代入することで、例えば、
図23のような、第1受光面15fおよび第3受光面17fと、第2受光面16fとの面積が異なる場合であっても検知対象物60のx座標およびy座標を求めることができる。
【0124】
<<第二変形例>>
上述した実施の形態では、xy座標平面のx軸は、第1受光面15と第3受光面17との境界を通るように定義されている。しかし、xy座標平面が
図25に示されるような場合であっても、検知対象物60の位置を求めることができる。
図25は、受光面およびxy座標平面を示す図である。
【0125】
図25に示される例では、xy座標平面のx軸は、第1受光面15における第1角度24を90度と30度に分けるように定義されている。xy座標平面の軸がこのように定義される場合であっても、上述した実施の形態と同様の考え方で検知対象物60の位置を求めることができる。
【0126】
図26は、
図25に示されるように反射光51が受光面14で受光された際の第1ベクトルu1、第2ベクトルu2、第3ベクトルu3を示す図である。
図26において、第1ベクトルu1、第2ベクトルu2及び第3ベクトルu3のそれぞれの向きを、x軸のプラス側から当該ベクトルへの反時計回りの角度で表すと、第1ベクトルu1、第2ベクトルu2及び第3ベクトルu3の向きは、それぞれ、30度、150度及び270度となる。
【0127】
そして、上述した実施の形態と同様に、第1ベクトルu1、第2ベクトルu2及び第3ベクトルu3の合成ベクトルのx成分を検知対象物60のx座標とし、合成ベクトルのy成分を検知対象物60のy座標とすることで、検知対象物60の位置を求めることができる。つまり、xy座標平面の軸が、受光面14に対してどのような角度で定義されていても、上述した実施の形態と同じ考え方で、検知対象物60の位置を求めることができる。
【0128】
上記において光学的位置検出装置1は詳細に説明されたが、上記した説明は、全ての曲面において例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。また、上述した各種の例は、相互に矛盾しない限り組み合わせて適用可能である。そして、例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。