【課題】1回のテストパッチパターンの濃度検出に基づいて環境湿度に適した現像バイアスと帯電バイアスを決定して暗部と明部ともに適正な濃度の画像を印刷する画像形成方法および画像形成装置を提供する。
【解決手段】制御部60は濃度制御のタイミングであると判断すると(S1)、温度センサ71と湿度センサ72で測定された各々の値から絶対水分量(E値)を算出し(S2)、E値に対応する現像バイアスと帯電バイアスを設定し(S3、S4)、帯電バイアスに対応する光量と一次転写バイアスを設定して(S5)、濃度パッチを作成し(S6)、濃度パッチをパッチ濃度センサ30で読み取り(S7)、読み取り値をAD変換した合計値(S8)と、標準パッチ濃度の合計値と比較し(S9)、予め記憶する濃度差と現像バイアス差の関係から補正値を算出し(S10)、更に環境係数を乗じて補正現像バイアスを決定し(S11)、関係テーブルにより補正現像バイアスに対応する帯電バイアスと(S12)、照射光量と一次転写バイアスを設定する(S13)。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明において、印字と印刷は同義に用いられる。
[実施例1]
【0024】
図1は、本発明の実施例1に係るフルカラーの画像形成装置(以下、単にプリンタ又は装置本体という)の内部構成を説明する断面図である。
【0025】
図1に示すプリンタ1は、電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラー画像形成装置であり、画像形成部2、転写ベルトユニット3、トナー供給部4、給紙部5、ベルト式定着ユニット6、及び両面印刷用搬送ユニット7で構成されている。
【0026】
上記画像形成部2は、転写ベルトユニット3の転写ベルト8の下部走行面8aに接して同図の右から左へ4個の現像装置9(9k、9c、9m、9y)を多段式に並設して構成される。この画像形成部2は、
図1に示す印刷実行時位置から、それより下方の保守位置に、昇降可能にプリンタ1本体のフレームに保持されている。
【0027】
上記4個の現像装置9のうち上流側(図の左側)の3個の現像装置9y、9m及び9cは、それぞれ減法混色の三原色であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の色トナーによるモノカラー画像を形成し、現像装置9kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。
【0028】
上記の各現像装置9は、画像を現像するトナーの色を除き全て同じ構成である。したがって、以下イエロー(Y)のトナー用の現像装置9yを例にしてその構成を説明する。
【0029】
現像装置9は、最上部に感光体ドラム10を備えている。この感光体ドラム10は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成されている。この感光体ドラム10の周面に接して又は近傍を取り巻いて、クリーナ11、帯電ローラ12、光書込ヘッド13、及び現像器14の現像ローラ15が配置されている。
【0030】
現像器14は、外部を覆う筐体16、内部に設けられた隔壁17、現像ローラ15、第1の攪拌搬送スクリュー18、及び第2の攪拌搬送スクリュー19を備えている。第1及び第2の攪拌搬送スクリュー18及び19は、詳しくは後述するが、スクリュー軸と、このスクリュー軸と一体に構成されて回転するフィンから成る。
【0031】
この現像器14には、トナー供給部4の右から左に示す4個のトナーカートリッジ20(20K、20C、20M、20Y)から、同図にK、C、M、Yで示すブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のいずれかのトナーが供給される。
【0032】
転写ベルトユニット3は、本体装置のほぼ中央で図の左右方向に扁平なループ状になって延在する無端状の上述した転写ベルト8と、この転写ベルト8を掛け渡されて転写ベルト8を図の矢印aで示す反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ21と従動ローラ22を備えている。
【0033】
転写ベルトユニット3は、更に、駆動ローラ21の上方で転写ベルト8を掛け渡されている二次転写バックアップローラ23を備えている。二次転写バックアップローラ23には、転写ベルト8を介して二次転写ローラ24が圧接して、ここに二次転写部25を形成している。
【0034】
また、上記の転写ベルト8には、一次転写ローラ26がユニットと一体に組み込まれている。一次転写ローラ26は感光体ドラム10に対し転写ベルト8の循環移動方向下流側にややシフトした位置で転写ベルト8を挟むように配置されている。
【0035】
一次転写ローラ26は、循環移動する転写ベルト8の下部走行部の表面8aに、トナー像を直接転写(一次転写)する。転写ベルト8は、そのトナー像を更に用紙に転写(二次転写)すべく、二次転写部25まで搬送する。
【0036】
また、転写ベルト8には、従動ローラ22に掛け渡されている表面に当接するベルトクリーナ27が配置されている。ベルトクリーナ27の下方には、ベルトクリーナ27が転写ベルト8から除去した廃トナーを収容する廃トナー回収容器28が着脱自在に配置されている。
【0037】
この廃トナー回収容器28の上方に電装部29が配設されている。電装部29には、複数の電子部品からなる制御装置が搭載された回路基盤が装着されている。転写ベルト8の現像装置9kと駆動ローラ21の中間に対応する位置に面してパッチ濃度センサ30が配置されている。
【0038】
パッチ濃度センサ30は、4個の現像装置9、つまり現像器14、により転写ベルト8の下部走行部の表面8aに形成されるテストパッチパターンの濃度を読み取るように配置されている。
【0039】
トナー供給部4は、転写ベルト8の上部走行面の上方に配置されている前述した4個のトナーカートリッジ20で構成される。これら4個のトナーカートリッジ20は、
図1では転写ベルトユニット3の向う側に隠れて見えないトナー供給路を介して、収容しているトナーの色に対応する現像装置9の現像器14にトナーを供給する。
【0040】
給紙部5は、上下2段に配置された2個の給紙カセット31(31a、31b)を備えている。2個の給紙カセット31の給紙口(図の右方)近傍には、それぞれ用紙取出ローラ32、給送ローラ33、捌きローラ34、待機搬送ローラ対35が配置されている。
【0041】
待機搬送ローラ対35の用紙搬送方向(図の鉛直上方向)には、前述した二次転写部25が形成されている。この二次転写部25の下流(図では上方)側にはベルト式定着ユニット6が配置されている。
【0042】
ベルト式定着ユニット6の更に下流側には、定着後の用紙をベルト式定着ユニット6から搬出する搬出ローラ対36、及びその搬出される用紙を装置上面に形成されている排紙トレー37に排紙する排紙ローラ対38が配設されている。
【0043】
両面印刷用搬送ユニット7は、外面(図の右方外側面)がプリンタ1の内部を側面から外部に開放又は遮蔽する開閉部材を兼ねている。
【0044】
この両面印刷用搬送ユニット7は、排紙ローラ対38の直前から図の右横方向に分岐する返送開始路39a、それから下方に曲がる返送中間路39b、更に左横方向に曲がって最終的に返送用紙を反転させる返送終端路39cを有する返送路39を備えている。
【0045】
また、返送路39の途中には、5組の返送ローラ対41(41a、41b、41c、41d、41e)が配置されている。上記返送終端路39cの出口は、給紙部5の下方の給紙カセット31bに対応する待機搬送ローラ対35への搬送路に合流している。
【0046】
図2(a)は、上記現像装置9を示す拡大断面図であり、
図2(b)は、その現像器14を
図2(a)の矢印cで示す方向に切断して内部構成と現像剤の還流経路を示す断面図である。なお、
図2(a),(b)には
図1の構成と同一の構成部分には
図1と同一の番号を付与して示している。
【0047】
また、
図2(b)には、
図2(a)に示すドクターブレード43の図示を省略している。また、トナー濃度センサ44を極めて簡略に示している。
【0048】
図2(a),(b)に示すように、現像器14は、筐体16と隔壁17とで仕切られる2つの現像槽42(42a、42b)を備えている。上方の現像槽42aには、前述した現像ローラ15と第2の攪拌搬送スクリュー19が配置されている。
【0049】
現像ローラ15には、ドクターブレード43が当接している。下方の現像槽42aには前述した第1の攪拌搬送スクリュー18が配置されている。この現像槽42aにはトナー濃度センサ44がその検知面45を槽内に露出して配置されている。
【0050】
第2の攪拌搬送スクリュー19は、回転軸46とこの回転軸46に螺旋状に固設された螺旋状フィン47とで構成されている。第1の攪拌搬送スクリュー18は、回転軸48とこの回転軸48に螺旋状に固設された螺旋状フィン49とで構成されている。
【0051】
第2の攪拌搬送スクリュー19は、
図2(a)の矢印dで示すように反時計回り方向に回転し、現像槽42a内の現像剤を螺旋状フィン47で攪拌しながら、矢印e(
図2(b)の矢印e1、e2、e3)で示すように、
図2(a)の紙面奥行き方向手前から向こう側、
図2(b)では右から左方へ搬送し、その現像剤を現像ローラ15に供給する。
【0052】
現像ローラ15は、現像剤のトナーのみを感光体ドラム10に供給して、感光体ドラム10周面上の静電潜像をトナー像化(現像)する。トナーのみを感光体ドラム10に引き取られた現像ローラ15上の現像剤のキャリアは、現像槽42a内の現像剤に混合され、
図2(a)の紙面奥行き方向向こう側、
図2(b)では左端部の出口51で現像槽42bに送り戻される。
【0053】
現像槽42b内の第1の攪拌搬送スクリュー18は、
図2(a)の矢印gで示すように反時計回り方向に回転し、現像槽42b内の現像剤を螺旋状フィン49で攪拌しながら矢印f(
図2(b)の矢印f1、f2、f3)で示すように
図2(a)の紙面奥行き方向向こう側から手前、
図2(b)では左から右方へ搬送する。
【0054】
もし、現像剤のトナー濃度が規定以下に薄くなっていれば、トナー濃度センサ44がトナー濃度低下を検出する。トナー濃度低下が検出されると、トナー供給部4の当該現像器14に対応するトナーカートリッジ20から不図示のトナー補給路を介して、
図2(b)に示すように、トナーTnが補給される。
【0055】
なお、
図2(b)には、トナー補給口を特には示していないが、トナー補給口は出口51とほぼ同じ位置に連結されている。つまり、現像でトナー濃度が低下した現像槽42a内の現像剤が現像槽42bに送り戻される出口51近傍で、補給トナーが補給されるようになっている。
【0056】
第1の攪拌搬送スクリュー18は、現像剤を攪拌搬送しながら、
図2(a)の紙面奥行き方向手前側、
図2(b)の右側の供給口52で、現像剤を現像槽42aに送り出す。このように、現像剤の還流とトナーの補給が繰り返されて、トナーによる現像が逐次進行する。
【0057】
説明が前後したが、上記の現像処理に関しては、
図2(a)に示すクリーナ11、帯電ローラ12、光書込ヘッド13が協働している。すなわち、先ず、クリーナ11のトナー除去ブレード53が感光体ドラム10上の残留トナーを廃トナーとして除去し、廃トナー搬送パイプ54及び
図1では図示を省略して搬送路を介して廃トナーを廃トナー回収容器28に送り出す。
【0058】
帯電ローラ12は、後述する高圧ユニットから印加される帯電用直流電源55のマイナス高電圧と帯電用交流電源56の高圧交流とが重畳するマイナス高電圧により、廃トナーが除去されて清掃された感光体ドラム10の周面をマイナス高電位(例えば、−650v(ボルト))に一様に初期化する。
【0059】
光書込ヘッド13は、マイナス高電位の感光体ドラム10の周面を、画像情報に応じて選択的に露光してマイナス高電位部を選択的に減衰させてマイナス低電位部(例えば、−50v)を形成する。これにより感光体ドラム10の周面には、−650vのマイナス高電位部と−50vのマイナス低電位部による静電潜像が形成される。
【0060】
現像ローラ15は、高圧ユニットの現像バイアス電源57からマイナスの高バイアス電圧(例えば、−250v)を印加され、−50vの静電潜像の低電位部との間に−200vの電位差を形成する。
【0061】
これにより、静電潜像の低電位部は、現像ローラ15に対して相対的にプラス極性の+50vの電位を形成する。この電位差による電界により、キャリアに付着してマイナス極性に帯電しているトナーが感光体ドラム10の静電潜像のプラス極性の低電位部に転移してトナー像を形成する。
【0062】
図3は、上記のプリンタ1の制御装置を含む回路ブロック図である。
図3に示すように回路ブロックは、プリンタコントローラ部60が中心となっている。このプリンタコントローラ部60には、複数のバス61を介してI/F(インターフェイス)コントローラ部62、ヘッドコントローラ部63が接続されている。
【0063】
上記のI/Fコントローラ部62には他のバス64、64を介して操作パネル部65と上記のヘッドコントローラ部63とが接続されている。また、I/Fコントローラ部62には、例えばパーソナルコンピュータ等の図外のホスト機器から印字データ等の信号66が入力される。
【0064】
I/Fコントローラ部62は、特には図示していないが、現像装置9y、9m、9c、9kに対応する4個のフレームメモリを備えている。I/Fコントローラ部62は、外部から入力される信号66の印字データを、対応するフレームメモリに展開したのち、その展開データをヘッドコントローラ部63に送信する。
【0065】
また、I/Fコントローラ部62は、印字データに含まれるコマンドデータや操作パネル部65から入力される指示データをプリンタコントローラ部60に送信する。プリンタコントローラ部60には、バス61を介して、EEPROM(electrically erasable programmable ROM) 67、ROM(read only memory)68が接続されている。
【0066】
更に、プリンタコントローラ部60には、その信号入力ポートに、複数の信号線69を介してYMCKごとのトナー濃度センサ(以下、単に濃度センサという)44、
図1には図示を省略したがプリンタ1内部の温度を検知する温度センサ71と、湿度を検知する湿度センサ72が接続されている。
【0067】
これらの温度センサ71と湿度センサ72は、これらが検知した値に基づいてプリンタ1装置本体内の絶対水分量を算出するために配設されている。
【0068】
また、プリンタコントローラ部60の出力ポートには、信号線73を介して、高圧ユニット74が接続されている。高圧ユニット74の出力ポートには、複数の送電線75を介してY帯電装置12y(以下、帯電装置の番号には帯電ローラの番号12を用いる)、M帯電装置12m、C帯電装置12c、K帯電装置12kが接続されている。
【0069】
更に、高圧ユニット74の出力ポートには、上記複数の送電線75を介して、
図1(
図2(a),(b)も参照)に示したY現像装置9y、M現像装置9m、C現像装置9c、K現像装置9k、一次転写装置26及び二次転写装置24(以下、一次転写装置及び二次転写装置の番号には一次転写ローラ26及び二次転写ローラ24の番号を用いる)が接続されている。
【0070】
次に、上記構成のプリンタ1における画像形成処理の基本動作を
図1及び
図2(a)を用いて説明する。なお、以下に説明する画像形成処理は
図3に示したプリンタコントローラ部60の制御の基づいて行われる。また以下の基本動作の説明では、カラー印字の状態における動作について説明する。
【0071】
先ず、電源が投入され、使用する用紙の枚数、印字モード、その他の指定が操作パネル65からのキー入力あるいは接続するホスト機器からの信号66として入力されると印字(印刷)が開始される。
【0072】
すなわち、駆動ローラ21が
図1の反時計回り方向に回転して、矢印aで示すように転写ベルト8の循環移動を開始させる。各画像形成ユニット9が順次駆動され感光体ドラム10が図の時計回り方向に回転する。
【0073】
帯電ローラ12が感光体ドラム10周面に一様な高マイナス電荷を付与して初期化し、光書込ヘッド13は、感光体ドラム10周面に画像信号に応じた露光を行って初期化による高マイナス電位部と上記露光による低マイナス電位部からなる静電潜像を形成する。
【0074】
現像ローラ15は、静電潜像の低電位部に現像器14内のトナーを転移させて感光体ドラム10周面上にトナー像を形成(反転現像)する。用紙搬送方向最上流の画像形成ユニット9yにより感光体ドラム10の周面上に形成されたイエローのトナー像が転写ベルト8との対向面へと回転搬送される。
【0075】
一次転写ローラ26は、高圧ユニット74の転写バイアス電源から出力される転写電流を転写ベルト8に印加する。これにより、感光体ドラム10上のイエローのトナー像が転写ベルト8に一次転写される。
【0076】
転写ベルト8に一次転写されたトナー像に重ねて、この後、画像形成ユニット9mにより感光体ドラム10の周面上に形成されたマゼンタのトナー像が、画像形成ユニット9mに対応する一次転写ローラ26によって転写される。
【0077】
更に、画像形成ユニット9cにより感光体ドラム10の周面上に形成されたシアンのトナー像が、画像形成ユニット9cに対応する一次転写ローラ26によって重ね転写され、そして最後に、画像形成ユニット9kにより感光体ドラム10の周面上に形成されたブラックのトナー像が、画像形成ユニット9kに対応する一次転写ローラ26によって重ね転写される。
【0078】
このように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、及びブラック(K)の4色のトナー像が順次重ねて一次転写されたフルカラーの画像が、転写ベルト8の下部走行面8aに完成する。
【0079】
4色のトナー像を重ねて一次転写された転写ベルト8の下部走行面9aは、そのまま循環移動を続けて4色のトナー像を、二次転写バックアップローラ23と二次転写ローラ24とが対向する二次転写部25へと搬送する。
【0080】
他方、用紙への印字タイミングよりやや早めに、上下いずれかの用紙取出ローラ32が回転して対応する給紙カセット31a又は31bに収容されている用紙を取り出す。この給紙カセット31a又は31bから取り出された用紙の最上部の一枚のみを送り出すべく下方の用紙の連れ送りを禁止するために捌きローラ34が逆方向に回転する。給送ローラ33は、順方向に回転して用紙を待機搬送ローラ対35へ給送する。
【0081】
待機搬送ローラ対35は、回転を一時停止して用紙の進行を制止し、用紙の斜行等の搬送姿勢を補正して、搬送タイミングを待機し、用紙の印字開始位置が、転写ベルト8により二次転写部25に搬送されてくる4色のトナー像の先端と一致するタイミングに合わせて、用紙の搬送を再開し、用紙を二次転写部25へ給送する。
【0082】
二次転写部25において、二次転写ローラ24は、高圧ユニット74の不図示の一次転写バイアス電源から供給されるバイアス電圧を用紙に印加する。これにより、転写ベルト8上の4色のトナー像が用紙に二次転写される。
【0083】
4色のトナー像を転写された用紙は、そのままベルト式定着ユニット6に搬入される。ベルト式定着ユニット6は、特には番号を付与して示していないが、断熱性の筐体の内部に、熱源を内蔵する発熱ローラ、熱伝導ベルト、熱伝導ベルトを掛け渡された定着ローラ、定着ローラに対向配置された加圧ローラを備えている。
【0084】
ベルト式定着ユニット6は,定着ローラと加圧ローラにより適宜の圧力で熱伝導ベルトを介して用紙を押圧挟持し、用紙に熱と圧力を加えて4色のトナー像を紙面に定着させ、用紙を上方へ排出する。
【0085】
ベルト式定着ユニット6から排出された用紙は、搬送ローラ対36により挟持されて搬送を引き継がれ、排紙ローラ対38によって排紙トレイ37上に、4色のトナー像による画像形成面を下にして排出される。
【0086】
上記はカラー印字について述べたが、モノクロ印字については、転写ベルト8が、画像形成ユニット9kの感光体ドラム10のみに接触し、他の感光体ドラム10から離れる位置に移動する点と、画像形成ユニット9kのみが稼動される点を除けば、他の動作は上述したカラー印字の場合とほぼ同一である。
【0087】
また、両面印刷の場合は、上記のようにして、第1面(表面)にトナー像を形成され、ベルト式定着ユニット6で紙面にトナー像を定着された用紙は、排紙ローラ対38によって、途中まで排紙トレー37上に排紙される。
【0088】
そして、用紙の後端が、返送開始路39aとの分岐点に来たタイミングで搬送が停止され、続いて、排紙ローラ対38が逆方向に回転する。これにより、用紙はそれまでの後端を先端にして返送開始路39aに搬入される。
【0089】
続いて、用紙は、返送ローラ対41a〜41dにより搬送され、返送終端路39cで表裏を反転させて待機搬送ローラ対35に給送される。これにより、二次転写部25において、前後表裏を反転させた用紙の第2面(裏面)にトナー像が二次転写される。以後の動作は上述したカラー印字の場合と同一である。
【0090】
ところで、上記は印字処理の基本動作を述べたものであるが、この印字処理によって紙面に形成されるトナー画像には、環境湿度の高低によって、濃度や階調に変化が現れることは前述した。これについて、本実施例と比較のため、視点を換えていまいちど説明する。
【0091】
図4は、環境湿度が変化して画像濃度が標準濃度からずれた場合の従来からある濃度補正方法を説明する図である。
図4は濃度パッチの濃度特性を示しており、横軸には、現像ローラ15の現像バイアスをVb、感光体ドラム10の露光部の平均電位をVpとしたときの「Vb−Vp」(V:ボルト)を示している。
【0092】
また、縦軸には、軸の負方向に、感光体ドラム10に印字するパッチパターンの光学濃度を示し、軸の正方向にパッチパターン(標準パッチパターン、テストパッチパターン)の各パッチの濃度と、それぞれ補正すべき濃度を示している。
【0093】
なお、標準パッチパターンとテストパッチパターンは、それぞれYMCKの各色ごとに作成される。また、以下の、説明では、代表的にいずれか任意の1色を取り上げて説明する。その説明を時に応じて他の3色に敷衍する。
【0094】
先ず、標準パッチパターンは、濃度の薄いほうから順次濃度が濃くなるほうへ、番号1から番号6まで6種類のパッチからなる。これらの番号a1、a2、〜a6の標準パッチの生成に当たっては、先ず、白地の階調からベタ印字の階調まで0〜255の256階調のデジタル値で表現し、これを6段階に当分に分ける。
【0095】
次に、白地の階調「0」を番号a1、ベタ印字の階調「255」を番号a6とし、これらの中間の4段階に分けられている各階調の中間の階調に順次番号a2、a3、a4、a5を付与する。
【0096】
そして、標準としての通常湿度の環境において、現像ローラ15への現像バイアスを−750v、感光体ドラム10の初期電位が−950vになるように帯電ローラ12の帯電電圧を設定する。
【0097】
次に、番号a1、a2、〜a6の6個のパッチデータがI/Fコントローラ部62のフレームメモリに生成される。これら6個のパッチデータはヘッドコントローラ部63を介してYMCKそれぞれの光書込ヘッド13(13k、13c、13m、13y)により、それぞれの感光体ドラム10に静電潜像として書き込まれる。
【0098】
書き込まれた静電潜像は、現像装置9でトナー像に現像され、一次転写装置26で転写ベルト8に転写される。転写ベルト8に転写されたパッチのトナー像をパッチ濃度センサ30で読み取る。
【0099】
このとき読み取った濃度が
図4に示すa1、a2、〜a6の黒丸プロットで示す濃度に相当する。これらa1、a2、〜a6の黒丸プロットで示されるパッチ濃度による曲線aは、標準濃度曲線aとしてEEPROM67又はROM68に予め格納される。
【0100】
また、
図4にb1、b2、〜b6で示す黒丸のプロットは、高湿度環境において転写ベルト8に転写された番号b1、b2、〜b6からなるテストパッチパターンの各パッチをパッチ濃度センサ30で読み取ったときのパッチ画像の濃度を示している。
【0101】
これらのテストパッチb1、b2、〜b6は、それぞれ標準パッチa1、a2、〜a6と同一条件の帯電バイアス、現像バイアス、一次転写バイアスによって、転写ベルト8に形成されたものである。
【0102】
しかし、高湿度環境においては、トナーの摩擦帯電量が減少する等の種々の要因によって、テストパッチb2、b3を除いて、テストパッチb4、b5、b6の濃度は、標準パッチa4、a5、a6の濃度から濃度差ab4、ab5、ab6と大きく濃度の高い方に変化している。逆に、テストパッチb1の濃度は、標準パッチa1の濃度から濃度差ab1とやや大きく濃度の低い方に変化している。
【0103】
ここで、濃度曲線がプロットされている横軸に目を転じると、先ず、標準パッチa1(テストパッチb1も同様)は白印字であるから、感光体ドラム10のパッチ部は非露光である。すなわち、感光体ドラム10のパッチ部の初期電位に減衰はない。
【0104】
したがって、前述したように現像バイアス−750v、感光体初期電位−950vに設定されているものとすると、標準パッチa1を作成時の感光体ドラム10のパッチ部の電位(以下、感光体電位という)に電位の減衰は無いから、現像バイアスと感光体電位の差は、−750−(−950)=200であり、200vとなる。
【0105】
また、標準パッチa6(テストパッチb6も同様)はベタ印字の画像であるから、感光体電位はベタ露光により一様に−50vに減衰している。したがって、標準パッチa6を作成時の現像バイアスと感光体電位の差は−750−(−50)=−700で−700vとなる。
【0106】
そして、中間の標準パッチa2〜a5(テストパッチb2〜b5も同様)の作成時の感光体電位は、−50vに減衰して階調に応じてパッチ領域内に分散している画素の電位の平均値で示される電位となっている。
【0107】
図4の標準パッチa1〜a6(テストパッチb1〜b6も同様)の濃度値プロットから垂直に降ろした直線が横軸と交わる交点が、上述した各パッチ作成時の現像バイアスと感光体電位との差を表している。
【0108】
ここで、
図4に示すテストパッチパターンの濃度曲線bが示す高湿度時における高階調部分の標準濃度曲線aから大きく上に離れた濃度のまま通常画像を形成したのでは、地汚れ等の不具合が発生することは前述した。
【0109】
そこで、標準パッチa1〜a6の濃度とテストパッチb1〜b6の濃度を用いて濃度補正処理を行う。先ず、テストパッチパターンのテストパッチb1〜b6の濃度を読み取ったパッチ濃度センサ30の出力をAD変換してその合計値をテスト濃度合計値とする。
【0110】
次に、標準濃度曲線aの標準パッチa1〜a6の印字データをAD変換してその合計値を標準濃度合計値とする。そして、テスト濃度合計値が標準濃度合計値に近似するようにプリンタコントローラ部60において演算処理する。
【0111】
そして、この演算処理により得られた現像バイアスと、この現像バイアスよりも−200vマイナス値が大きい帯電バイアスを、それぞれYMCKの現像装置9の現像ローラ15、帯電ローラ12へ、高圧ユニット74から供給する。
【0112】
また、これと同時に帯電バイアス値から得られるヘッド光量を減衰電位が−50vとなるように演算する。そして、その光量を光書き込み時間に換算し、その光書き込み時間をヘッドコントローラ63を介してYMCKの光書込ヘッド13へ供給する。
【0113】
これで、補正パッチパターンとして感光体ドラム10を露光したときに得られる濃度曲線が
図4に補正パッチc1〜c6の黒丸プロットで示す濃度曲線cである。
【0114】
なお、この濃度補正のための濃度曲線cの例では、上記の演算処理により得られた現像バイアスは−450vである場合を示している。そして、この現像バイアスよりも−200vマイナス値が大きい帯電バイアス−650vで初期化された感光体ドラム10の静電潜像の電位は、この場合も−50vとする。
【0115】
図4の例では、補正パッチc1に対応する現像バイアスと感光体電位の差「Vb−Vp」は、露光による減衰が無いので、−450v−(−650v)=200v、補正パッチc6に対応する「Vb−Vp」は、ベタ画像であるので、−450v−(−50v)=−400vである。また補正パッチc2〜c5に対応する「Vb−Vp」は、200vと−400vの間の横軸を5等分する位置の電圧となっている。
【0116】
この
図4の補正された濃度曲線cを見ると、高濃度(低明度)部における標準パッチa4〜a6との濃度差ac4〜ac6は明確にあるものの、補正前のテストパッチb4〜b6と標準パッチa4〜a6との濃度差ab4〜ab6に比較して大きく改善されている。
【0117】
しかし、濃度曲線cにおける高明度から中間明度部の標準パッチa1〜a3との濃度差ac1〜ac3は、補正前のテストパッチb1〜b3の標準パッチa1〜a3との濃度差ab1〜ab3よりも、同じか又はかえって大きくなっている。
【0118】
これでは、通常の画像を形成したとき、低明度部(高濃度部)の地汚れは改善されるものの、高明度から中間明度部の画像に、かすれが発生するおそれが多分にある。
【0119】
ここで観点を換えて、定時的に濃度補正をするために、高湿度時と低湿度時において、テストパッチパターンの検知濃度に基づいて上述したように算出された現像バイアスと帯電バイアスの値の関係を考察する。
【0120】
図5は、標準湿度時の現像バイアスと感光体初期電位に対する高湿度時と低湿度時においてそれぞれ補正により設定される現像バイアスと感光体初期電位の関係を示す図である。同図は最下部の細い実線は接地電位0v、その上の細い実線は露光減衰電位−50vを表している。
【0121】
それより上方の細い実線で示す縦軸は、−50v〜−1000vまでのマイナス電位を表している。その中間に示す下方の実線横軸は、標準環境時の現像バイアス電圧Vbである−750vの縦軸位置を表し、上方の実線横軸は、同じく感光体初期電位Vpoである−950vの縦軸位置を表している。
【0122】
また、二本の破線のうち下方の破線は高湿度時の補正現像バイアスVb´の限度電位−500vの縦軸位置を示し、これに対応する高湿度時の補正感光体初期電位Vpo´の限度電位−700vの縦軸位置を上方の破線で示している。
【0123】
また、二本の一点鎖線のうち下方の一点鎖線は低湿度時の補正現像バイアスVb〃の限度電位−800vの縦軸位置を示し、これに対応する低湿度時の補正感光体初期電位Vpo〃の限度電位−1000vの縦軸位置を上方の一点鎖線で示している。
【0124】
図5に示すように、現像バイアスが、低湿度時の限度電位−800vから高湿度時の限度電位−500vまで変化することに応じて、感光体初期電位は、低湿度時の限度電位−1000vから高湿度時の限度電位−700vまで変化する。
【0125】
この間、現像バイアスと感光体初期電位の差は、「−800v−(−1000v)=200v」から「−500v−(−700v)=200v」であって200vを維持したままである。
【0126】
発明者は、従来の濃度制御方法において、テストパッチパターンの濃度検知に基づいて決定される現像バイアスが環境湿度によって変化しても、この現像バイアスと感光体初期電位との差を200vと常に一定に維持しているために、
図4に示す不具合が生じると考えた。
【0127】
本発明はこのような場合の不具合を解決するためになされたもので、
図1に示したパッチ濃度センサ30により検出されたテストパッチパターンの濃度と、
図3に示した温度センサ71、湿度センサ72により求められる絶対水分量とに応じて、現像バイアスと帯電バイアスの電位差を変更するようにする。
【0128】
つまり発明者は、現像バイアスと感光体初期電位の電位差を−200vに一定させず変動させることにした。つまり、現像バイアスと帯電バイアスの電位差を環境に応じて変化させるようにする。
【0129】
この場合、標準湿度時における現像バイアスと感光体初期電位は従来通り−750vと−950vとする。そして、高湿時に画像濃度が限界まで高くなったとき、例えば28℃80%の絶対水分量の環境においては、現像バイアスと帯電バイアスの電位差を100vにように小さくする。
【0130】
図6は、上記の考えに基づく実施例1としての現像バイアスと感光体初期電位の環境湿度に対応して補正される値とその関係を説明する図である。同図も最下部の細い実線は接地電位0v、その上の細い実線は露光減衰電位−50vを表している。
【0131】
また、それより上方の細い実線で示す縦軸は、−50v〜−1050vまでのマイナス電位を表している。その中間に示す下方の実線横軸は標準環境時の現像バイアスVbの電位−750vの縦軸位置を表し、上方の実線横軸は同じく感光体初期電位Vpoの電位−950vの縦軸位置を表している。
【0132】
また、二本の破線のうち下方の破線は高湿度時の補正現像バイアスVb´の限度電位−500vの縦軸位置を示し、これに対応する高湿度時の補正感光体初期電位Vpo´の限度電位−600vの縦軸位置を上方の破線で示している。
【0133】
また、二本の一点鎖線のうち下方の一点鎖線は低湿度時の補正現像バイアスVb〃の限度電位−800vの縦軸位置を示し、これに対応する低湿度時の補正感光体初期電位Vpo〃の限度電位−1050vの縦軸位置を上方の一点鎖線で示している。
【0134】
図6に示すように、現像バイアスは、テストパッチパターンの濃度と標準パッチパターンの濃度から演算により決定される低湿度時の限界値−800vと、高湿度時の限界値−500vの変動範囲は、
図5の場合と同様である。
【0135】
しかし、本実施例では、高湿度時の現像バイアスの限度電位−500vに対して感光体初期電位の限度電位は−600vに設定され、それら限度電位の電位差は、−500v−(−600v)=100vと、200vよりも小さくなる。
【0136】
また、低湿度時の現像バイアスの限度電位−800vに対して感光体初期電位の限度電位は−1050vに設定され、それら限度電位の電位差は、−800v−(−1050v)=250vと、200vよりも大きくなる。
【0137】
すなわち本実施例では、低湿度になるほど(絶対水分量が少ないほど)現像バイアスと感光体初期電位との電位差は大きくなる。また、高湿度になるほど(絶対水分量が大きいほど)現像バイアスと感光体初期電位との電位差は小さくなる。
【0138】
図7は、上述した本例の現像バイアスと感光体初期電位の環境湿度に対応して補正される値とその関係を、各環境の絶対水分量(E値)に対する現像バイアスVb(v)の関係及びこの現像バイアスVb(v)に対する感光体初期電位Vpoの電位差(v)との関係として示す図である。
【0139】
この
図7は、10℃20%環境の絶対水分量から28℃80%の絶対水分量までを256分割し、それぞれに対して適正な現像バイアスVbと、この現像バイアスVbと感光体初期電位Vpoとの電位差「Vb−Vpo」を割り振った表である。
【0140】
換言すれば、テストパッチパターンの濃度が検出されたとき、そのときの環境に対する現像バイアスVbを決定する際に用いられるE値(絶対水分量)、決定された現像バイアスVb、及びこの現像バイアスVbに対して設定される現像バイアスと感光体初期電位との電位差「Vb−Vpo」、の対応関係を示すテーブルである。
【0141】
ただし、
図7に示すテーブルには、256分割の最初の分割値「0」とやや中間の分割値「100」と末尾の分割値「255」に対応する現像バイアスの「−800v」、「−750v」、「−200v」のみを示している。
【0142】
また、それに対する感光体初期電位の電位差の「250v」、「200v」、「100v」のみを示している。そして、その間の絶対水分量に対する現像バイアスとそれに対する感光体初期電位の電位差は記載を省略している。
【0143】
環境湿度から現像バイアスを決定する方法は、パッチ濃度センサ30で読み取った
図4のテストパッチパターンのテストパッチb1〜b6の濃度出力を、AD変換してその合計値が、標準パッチパターンの標準パッチa1〜a6の濃度出力のAD変換した合計値と合わせるようにする。
【0144】
濃度出力のAD変換した両合計値を合わせるには、あらかじめ現像バイアスを変化させながらパッチパターンの画像濃度の合計値と現像バイアスの関係テーブルを実験により求めて記憶しておき、必要なときに関係テーブルを使用して、テストパッチパターンの合計値が関係テーブルの合計値に一致する又は近似する合計値に対応する現像バイアスを求めるようにする。
【0145】
そして、上記のようにして求められた(決定された)現像バイアスVbに対して、本例では
図7に示すように、絶対水分量が少ないほど現像バイアスと感光体初期電位との電位差は大きくなり、絶対水分量が大きいほど現像バイアスと感光体初期電位との電位差は小さくなる。
【0146】
図8は、例として濃度の合計値の差と現像バイアスの関係から求めた補正値が−300vであった場合の補正パッチパターンの曲線dを示す図である。
【0147】
この場合、現像バイアスVbの設定値は「−750v−(−300v)=−450v」となり、感光体初期電位と現像バイアスとの差を「100v」としてあるので、感光体初期電位Vpoは「−450v−(−100v)=−550v」となる。
【0148】
したがって、横軸「Vb−Vp」の値は、補正パッチd1に対応する「100v」から補正パッチd6に対応する「−400v」まで順次変化する。また、そのときパターン濃度センサ30で読み取った補正パッチターンの補正パッチd1〜d6の濃度出力のAD値の合計は、標準パッチパターンの標準パッチの濃度出力の合計値と同じ値になる。
【0149】
図8を見ると分かるように、補正パッチd1からd6までの各パッチと、標準パッチa1からa6までの各パッチとの濃度差ad1、ad2、ad3、ad4、ad5、ad6は、いずれも値が0又は極めて小さい。
【0150】
このように、絶対水分量が高い場合は現像バイアスと帯電バイアスの電位差を小さくし、絶対水分量が低い場合は現像バイアスと帯電バイアスの電位差を大きくすることで、現像画像の濃度特性を補正し、常にテストパッチパターンの濃度を標準パッチパターンの濃度に一致するようほぼ一定にすることが出来るものである。
【0151】
図9は、感光体初期電位、光書込みヘッドによる露光量、及び一次転写バイアスの対応関係を示すテーブルである。
図9において、感光体初期電位「−1050v、−950v、−300v」は、
図8のE値「0、100、255」に対応している。
【0152】
すなわち、
図8において、E値0に対して現像バイアスは−800v、電位差(Vb−Vpo)は250であるから、
図9に示す感光体初期電位Vpoは「Vb+(−250)=−800v+(−250)=−1050v」である。
【0153】
同様に、
図8において、E値100に対して現像バイアスは−750v、電位差(Vb−Vpo)は200であるから、
図9に示す感光体初期電位Vpoは「Vb+(−200)=−750v+(−200)=−950v」である。
【0154】
更に、
図8において、E値255に対して現像バイアスは−200v、電位差(Vb−Vpo)は100であるから、
図9に示す感光体初期電位Vpoは「Vb+(−100)=−200v+(−100)=−300v」である。
【0155】
この感光体初期電位Vpo=−050v・・・−950v・・・−300vには、露光量(μJ/cm^2)=0.31・・・0.28・・・0.13が対応し、一次転写バイアス(μA)=130・・・105・・・39が対応している。これにより、感光体初期電位が決定された後の各々のパラメータは決定される。
【0156】
なお、
図9の場合も、感光体初期電位−050vと−950vの間及び−950と−300vの間の感光体初期電位Vpoの値、及びこれらに対応する露光量(μJ/cm^2)と一次転写バイアス(μA)の値の記載は省略している。
【0157】
図10は、
図5及び
図6に示した現像バイアスと感光体初期電位の関係を示す特性図である。
図10は、横軸に現像バイス電圧(v)を示し、縦軸に感光体初期電位(v)を示している。
【0158】
図10に示す直線cは、
図5に示した従来の補正現像バイアスに対応する感光体初期電位の関係を示し、電位差が常に200vであるので特性図は一次式「(感光体初期電位)=(現像バイアス電圧)+(−200)」となって角度が一定の直線cになっている。
【0159】
これに対して、破線で示す曲線dは、
図6に示した本実施例の補正現像バイアスに対応する感光体初期電位の関係を示し、電位差が100vから250vまで変化するので、特性図は二次式「(感光体初期電位)=(現像バイアス電圧)+(−α^2)」(ただし「α^2」は100〜250の範囲の値を取るものとする)で表される曲線dとなる。
【0160】
このように、各環境の絶対水分量と、この絶対水分量に対する現像バイアスとこの現像バイアスに対する感光体初期電位の電位差を対応付けることによって、環境湿度による現像画像の濃度変化に対し、それを補完することが可能となる。
【0161】
図11(a),(b)は、実施例1に係る画像濃度を制御する処理の処理動作を説明するフローチャートである。なお、この処理は
図3に示すプリンタコントローラ部60によって行われる処理である。
【0162】
また、感光体初期電位は、帯電ローラ15に対して印加される帯電用直流電源55の直流マイナス高電圧と帯電用交流電源56の高圧交流とが重畳するマイナス高電圧を印加されて電位を初期化される。
【0163】
このように、高圧交流が重畳していることにより、直流マイナス高電圧の帯電バイアスがムラ無く感光体ドラムに印加されるので、感光体初期電位は、ほぼ帯電ローラ15の帯電バイアスと同等の電位に帯電する。したがって、以下の説明では、感光体初期電位と帯電バイアスとを同義に用いている。
【0164】
先ず、先ず、電源が投入され、使用する用紙の枚数、印字モード、その他の指定が操作パネル65からのキー入力あるいは接続するホスト機器からの信号66として入力されると、プリンタコントローラ部60により印字処理の不図示のメインプログラムに基づいて印字(印刷)が開始される。
【0165】
そして、印字処理メインプログラムに基づく処理中に、所定の時期ごとに
図11(a)に示す濃度制御処理の手順に移行し、濃度制御を実行するタイミングであるか否か判別する(ステップS1)、そして、濃度制御を実行するタイミングでないときは(ステップS1の判別がNo)、直ちに当該濃度制御処理を終了してメインプログラムに復帰する。
【0166】
一方、ステップS1の判別において、濃度制御を実行するタイミングであると判別された場合は(ステップS1の判別がYes)、
図11(b)に示す絶対水分量(E値)算出処理S201に移行する(ステップS2)。
【0167】
この処理では、温度センサ71による装置内部の温度の測定と(ステップS202)、湿度センサ72による装置内部の湿度の測定を行い(ステップS203)、これら測定された各々の値から、絶対水分量(E値)を算出する(ステップS204)。そして、濃度制御処理に戻る(ステップS205)。
【0168】
次に、上記算出されたE値に対応する現像バイアスを、
図7に示すテーブルから求めて、その求めた現像バイアスを高圧ユニット74の所定の出力領域に設定する(ステップS3)。
【0169】
また、この処理と並行して、上記現像バイアスとE値に対応する帯電バイアスを、
図7に示すテーブルから求めて、その求めた帯電バイアスを高圧ユニット74の所定の出力領域に設定する(ステップS4)。
【0170】
続いて、プリンタコントローラ部60は、上記設定された帯電バイアスに対応する光量及び一次転写バイアスを設定する(ステップS5)。この処理は、先ず、
図9に示すテーブルを参照する。
【0171】
そして、上記の帯電バイアスに対応する光書込ヘッド13の露光量と、同じく一次転写ローラ26に印加する一次転写バイアスの値を読み出し、その読み出した露光量と一次転写バイアスを、対応する現像装置9に設定する処理である。
【0172】
次に、プリンタコントローラ部60は、上記のように設定した露光量と一次転写バイアスにより、転写ベルト8に濃度パッチパターンの各濃度パッチを作成し(ステップS6)、その作成された濃度パッチをパッチ濃度センサ30で読み取る(ステップS7)。
【0173】
そして、読み取った各濃度パッチの読み取り値をAD変換し、その合計値を算出する(ステップS8)。そして、その合計値と基準濃度パッチパターンの各基準パッチの濃度の合計値と比較する(ステップS9)。
【0174】
ここで、プリンタコントローラ部60は、あらかじめ取得した濃度差と現像バイアス差の関係から補正値を算出し(ステップS10)、更に環境によって異なる環境係数を乗じて、現像補正バイアスを決定する(ステップS11)。
【0175】
続いて、プリンタコントローラ部60は、
図7のテーブルを用いて、上記補正された現像バイスに対応する帯電バイアスを算出し、この算出した現像バイアスを当該現像装置9に設定する(ステップS12)。
【0176】
更に、プリンタコントローラ部60は、
図9のテーブルを参照して、光書込ヘッド13で照射すべき光量と、一次転写ローラ26に印加すべき一次転写バイアスとを当該現像装置9設定して(ステップS13)、この濃度制御の処理を終了する。
【0177】
このように、本発明の実施例によれば、ベタ濃度ばかりでなく、現像画像の濃度特性を合わせることにより高明度部分から低明度部分にわたって濃度を一定に合わせることができる。
【0178】
また、各種の印字パターンを印字して読み取ることを繰り返して濃度特性を把握した上で濃度制御を実行するような手数や時間を必要とせず、一度のテストパッチパターンの印字濃度を読み取るだけで濃度制御を実行することが出来、濃度制御を簡単かつ短時間で出来るようになる。
【0179】
また、濃度特性を把握するために各種のパッチパターンを印字してトナーを多量に消費することなく、1回のテストパッチパターンを作成する最低限の量のトナーの消費でよいので経済的である。
【0180】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
【0181】
光書込みヘッドにより像担持体に形成された静電潜像を現像器に収容されたトナーを含む現像剤により現像し、
該現像されたパッチパターンの濃度をパッチ濃度センサにより読み取る一方、
記憶装置に基準パッチパターンの基準濃度を記憶し、
現像バイアス電源により前記現像器に現像バイアス電圧を供給し、
帯電バイアス電源により前記像担持体に帯電バイアス電圧を印加して当該像担持体に初期電位を付与して、画像を形成する画像形成方法であって、
前記現像バイアス電圧の任意の値と環境絶対湿度とが対応する情報と、前記現像バイアス電圧の任意の値と前記像担持体の初期電位とが対応する情報と、に基づいて、前記現像バイアスと前記帯電バイアスを決定すべく制御する
ことを特徴とする画像形成方法。
[付記2]
【0182】
前記制御は、
前記パッチ濃度センサが読み取った前記パッチパターンの濃度の合計値と、前記記憶装置に記憶されている前記基準パッチパターンの前記基準濃度の合計値とを算出し、
該算出された前記パッチパターンの濃度合計値と前記基準パッチパターンの濃度合計値との差分に基づいて暫定現像バイアス電圧を算出し、
該算出された暫定現像バイアス電圧に環境係数を乗じて現在環境の現像バイアスを決定し、
印字中の環境における絶対水分量に応じて予め設定されている現像バイアス電圧と、該現像バイアス電圧から前記帯電バイアス電圧を減算した電位差と、を対応付けた電位差テーブルに基づいて前記現在環境の現像バイアスに対応する帯電バイアスを決定する、
ことを特徴とする付記1記載の画像形成方法。
[付記3]
【0183】
前記電位差テーブルは、前記絶対水分量が少ないほど前記電位差は大きく、前記絶対水分量が大きいほど前記電位差は小さくなる、
ことを特徴とする付記2記載の画像形成方法。
[付記4]
【0184】
像担持体と、
該像担持体に静電潜像を形成する光書込みヘッドと、
前記静電潜像を現像するトナーを含む現像剤を収容する現像器と、
該現像器により形成されるパッチパターンの濃度を読み取るパッチ濃度センサと、
基準パッチパターンの基準濃度が記憶される記憶装置と、
前記現像器に現像バイアス電圧を供給する現像バイアス電源と、
前記像担持体に帯電バイアス電圧を印加して当該像担持体に初期電位を付与する帯電バイアス電源と、
前記現像バイアス電圧の任意の値と環境絶対湿度とが対応する情報と、
前記現像バイアス電圧の任意の値と前記像担持体の初期電位とが対応する情報と、
制御部と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
[付記5]
【0185】
前記制御部は、
前記パッチ濃度センサが読み取った前記パッチパターンの濃度の合計値と、前記記憶装置に記憶されている前記基準パッチパターンの前記基準濃度の合計値とを算出し、
該算出された前記パッチパターンの濃度合計値と前記基準パッチパターンの濃度合計値との差分に基づいて暫定現像バイアス電圧を算出し、
該算出された暫定現像バイアス電圧に環境係数を乗じて現在環境の現像バイアスを決定し、
印字中の環境における絶対水分量に応じて予め設定されている現像バイアス電圧と、該現像バイアス電圧から前記帯電バイアス電圧を減算した電位差と、を対応付けた電位差テーブルに基づいて前記現在環境の現像バイアスに対応する帯電バイアスを決定する、
ことを特徴とする付記1記載の画像形成装置。
[付記6]
【0186】
前記電位差テーブルは、前記絶対水分量が少ないほど前記電位差は大きく、前記絶対水分量が大きいほど前記電位差は小さくなる、
ことを特徴とする付記2記載の画像形成装置