【解決手段】第1プリント基板1は、サーマルヘッド1hを一端部側に有し、エッジコネクタ11e・12eを他方の端部に有する。コネクタ10は、第1ハウジング2、第1コンタクト3、第2コンタクト4、及び一対のヘッダー21・21を備える。第1ハウジング2は、エッジコネクタ11e・12eが挿抜される溝部2dを有する。第1コンタクト3は、エッジコネクタ11eに接触でき、第1電線3wを結線している。第2コンタクト4は、エッジコネクタ12eに接触でき、第2電線4wを結線している。一対のヘッダー21・21は、第1プリント基板1を第1ハウジング2から抜け止め可能な一対の突起22・22と、開閉自在な一対のレバー部23・23と、凹部1dに係合した第1プリント基板1の起立状態を維持する一対のランス23r・23rと、を有する。
サーマルヘッドを一方の面の一端部側に有し、エッジコネクタを他方の端部の両面に有する矩形の第1プリント基板が前記エッジコネクタを先頭にして挿抜される角形の第1ハウジングと、
前記第1ハウジングの内部に配置され、前記第1プリント基板の一方の面に形成された前記エッジコネクタに接触すると共に、第1電線を結線した複数の第1コンタクトと、
前記第1ハウジングの内部に配置され、前記第1プリント基板の他方の面に形成された前記エッジコネクタに接触すると共に、第2電線を結線した複数の第2コンタクトと、
基端部が前記第1ハウジングの両翼に配置され、先端部が略平行に延びる一対のヘッダーと、を備え、
前記第1プリント基板は、その両側縁から窪んだ一対の凹部を有し、
前記第1ハウジングは、前記第1プリント基板の両側縁を案内すると共に、前記第1プリント基板を傾倒状態で前記エッジコネクタを挿抜自在な溝部を有し、
一対の前記ヘッダーは、
前記溝部の一部を構成し、前記第1プリント基板の他方の面から前記凹部に係合して、前記第1プリント基板を前記第1ハウジングから抜け止め可能な一対の対向配置された突起と、
先端部を操作して開閉自在な一対のレバー部と、
一対の前記レバー部の内壁から突出し、前記凹部に係合した前記第1プリント基板の起立状態を維持する一対のランスと、を有する電気コネクタ。
前記第1プリント基板を前記溝部に挿入すると、前記第1コンタクトを支点にして、前記第2コンタクトが前記第1プリント基板を傾倒状態になるように力を付勢するポップアップ機構を有する請求項1記載の電気コネクタ。
サーマルヘッドを一方の面の一端部側に有し、エッジコネクタを他方の面の他端部に有する矩形の第2プリント基板が前記エッジコネクタを先頭にして挿抜される角形の第2ハウジングと、
前記第2ハウジングの内部に配置され、前記エッジコネクタに接触すると共に、第3電線を結線した複数の第3コンタクトと、
前記第2ハウジングの内部に配置され、前記エッジコネクタに接触すると共に、第4電線を結線した複数の第4コンタクトと、
基端部が前記第2ハウジングの両翼に配置され、先端部が略平行に延びる一対のヘッダーと、を備え、
前記第2プリント基板は、その両側縁から窪んだ一対の凹部を有し、
前記第2ハウジングは、前記第2プリント基板の両側縁を案内すると共に、前記第2プリント基板を傾倒状態で前記エッジコネクタを挿抜自在な溝部を有し、
一対の前記ヘッダーは、
前記溝部の一部を構成し、前記第2プリント基板の他方の面から前記凹部に係合して、前記第2プリント基板を前記第2ハウジングから抜け止め可能な一対の対向配置された突起と、
先端部を操作して開閉自在な一対のレバー部と、
一対の前記レバー部の内壁から突出し、前記凹部に係合した前記第2プリント基板の起立状態を維持する一対のランスと、を有する電気コネクタ。
前記第2プリント基板を前記溝部に挿入すると、前記溝部の一方の隅部を支点にして、前記第3コンタクト及び前記第4コンタクトが前記第2プリント基板を傾倒状態になるように力を付勢するポップアップ機構を有する請求項5記載の電気コネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図16は、従来技術によるサーマルプリンタの構成を示す斜視図であり、カバーを開いた状態図である。本願の
図16は、特許文献1の
図2に相当している。
図17は、従来技術によるサーマルプリンタに備わるサーマルヘッド組立体の構成を示す斜視図であり、
図17(A)は、サーマルヘッド組立体を一方の面側から観た状態図、
図17(B)は、サーマルヘッド組立体を他方の面側から観た状態図である。本願の
図17は、特許文献1の
図3に相当している。
図18は、従来技術によるサーマルプリンタに備わるサーマルヘッド組立体及びヘッドフレームの構成を示す斜視図であり、サーマルヘッド組立体をヘッドフレームに組み付ける前の状態図である。本願の
図18は、特許文献1の
図10に相当している。
【0007】
図16を参照すると、従来技術によるサーマルプリンタ100は、直方体状のフレーム7を備えている。フレーム7の上部には、カバー71を開閉自在に取り付けている。フレーム7の隅部に設けたボタン7bを押すと、カバー71を開くことができる。フレーム7の内部には、ロール状に巻かれた感熱紙(図示せず)を収容するスペース70を設けている。フレーム7の内部の前面側には、プラテンローラ7rを回転自在に配置している。一方、カバー71の内部には、プラテンローラ7rと対向する位置に、サーマルヘッド組立体8を配置している。サーマルヘッド組立体8は、着脱自在にヘッドフレーム9に固定できる。
【0008】
図17を参照すると、サーマルヘッド組立体8は、プリント基板81と支持板82で構成している。プリント基板81は、サーマルヘッド81hを一方の端部に実装している。又、プリント基板81は、リセプタクル(コネクタ)81cを他方の端部に取り付けている。プリント基板81は、放熱用のアルミ板81aを介して、支持板82に固定されている。アルミ板81aは、一対のネジ部材81s・81sを用いて、プリント基板81に固定されていると共に、一対のネジ部材82s・82sを用いて、後述する天板部821に固定されている。
【0009】
図17を参照すると、支持板82は、天板部821と一対の折り曲げ片822・822で構成している。天板部821は、帯状に延びている。一対の折り曲げ片822・822は、天板部821の両翼が略直角に屈曲して形成されている。天板部821は、ラッチ片82rを中央部に形成している。ラッチ片82rは、後述するロック片91rに係合できる(
図18参照)。又、天板部821は、一対の位置決め穴82h・82hをラッチ片82rの両側に開口している。位置決め穴82hは、後述する位置決めピン91pの先端部に係合できる(
図18参照)。
【0010】
図17を参照すると、折り曲げ片822は、第1切り欠き溝k1と第2切り欠き溝k2を形成している。一対の第1切り欠き溝k1・k1は、後述するヘッドフレーム9に設けた一対の回動軸92p・92pを嵌合できる(
図18参照)。一対の第2切り欠き溝k2・k2は、カバー71を閉じた状態で、プラテンローラ7rの軸部71rに回転自在に嵌合できる(
図16参照)。
【0011】
図18を参照すると、ヘッドフレーム9は、内側フレーム91と外側フレーム92で構成している。内側フレーム91には、その内部にサーマルヘッド組立体8を収容できる。外側フレーム92は、カバー71の内部に固定できる。又、外側フレーム92は、その内部に内側フレーム91を固定している。
【0012】
図18を参照すると、内側フレーム91は、底面板911、一対の第1側面板912・913、一対の第2側面板914・914で構成している。底面板911は、第1側面板912に向けて、片持ち状の操作レバー9rを延出している。操作レバー9rは、後述するロック片91rと連動して、サーマルヘッド組立体8を内側フレーム91の内部に保持できる。又、操作レバー9rを外側フレーム92に向かって移動することで、内側フレーム91からサーマルヘッド組立体8を取り出すことができる。
【0013】
図18を参照すると、一方の第1側面板912には、ラッチ片82rに係合可能なロック片91rを設けている(
図17参照)。ロック片91rの両翼には、一対の位置決めピン91p・91pを配置している。他方の第1側面板913には、底面板911に跨る開口91hを設けている。開口91hには、リセプタクル81cに接続する、図示しないケーブル付きプラグ(コネクタ)を挿通できる。なお、ケーブル付きプラグは、フレーム7から延出されている(
図16参照)。
【0014】
図18を参照すると、一対の第2側面板914・914は、対向配置された回動軸92p・92pを中間部に備えている。回動軸92pには、図中X方向から移動した第1切り欠き溝k1を挿通でき、回動軸92pの軸中心として、位置決めピン91pに規制されながら、ロック片91rに係合される。そして、カバー71を閉じた状態では、感熱紙を介して、サーマルヘッド81hをプラテンローラ7rに押圧できる(
図16又は
図17参照)。又、一対の第2側面板914・914は、支持アーム91a・91aを端部に備えている。これらの支持アーム91a・91aは、補助ローラ90rの両端部を回動自在に支持している(
図16参照)。
【0015】
図16から
図18を参照して、サーマルヘッド81h付きプリント基板81を交換する場合には、操作レバー9rを操作して、内側フレーム91との係合を解除し、サーマルヘッド組立体8を内側フレーム91から引き出す(
図18参照)。次に、リセプタクル81cと図示しないケーブル付きプラグとの接続を解除する。次に、一対のネジ部材82s・82sを取り外すことで、サーマルヘッド81h付きプリント基板81を支持板82から取り外すことができ、サーマルヘッド81h付きプリント基板81を交換できる(
図17参照)。前述と逆の手順を実施することで、サーマルヘッド81h付きプリント基板81をサーマルプリンタ100に組み込むことができる。
【0016】
このように、従来技術によるサーマルプリンタ100は、サーマルヘッド81h付きプリント基板81の交換に手間のかかる作業性が良くないものとなっている。サーマルプリンタなどに組み込むことができ、サーマルヘッドを端部に実装したプリント基板の交換が容易な電気コネクタが求められている。そして、以上のことが本発明の課題といってよい。
【0017】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、サーマルプリンタなどに組み込むことができ、サーマルヘッド付きプリント基板の交換が容易な電気コネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明者らは、サーマルヘッドを一端部側に有するプリント基板が容易に交換できるように、プリント基板の他方の端部にエッジコネクタを設け、エッジコネクタが複数の電線付きコネクタ、いわゆるワイヤリングハーネスに挿抜できるように、直接形プリント基板用コネクタで電気コネクタを構成することにより、この課題が解決可能なことを見出し、これに基づいて、以下のような新たな電気コネクタを発明するに至った。
【0019】
(1) サーマルヘッドを一方の面の一端部側に有し、エッジコネクタを他方の端部の両面に有する矩形の第1プリント基板が前記エッジコネクタを先頭にして挿抜される角形の第1ハウジングと、前記第1ハウジングの内部に配置され、前記第1プリント基板の一方の面に形成された前記エッジコネクタに接触すると共に、第1電線を結線した複数の第1コンタクトと、前記第1ハウジングの内部に配置され、前記第1プリント基板の他方の面に形成された前記エッジコネクタに接触すると共に、第2電線を結線した複数の第2コンタクトと、基端部が前記第1ハウジングの両翼に配置され、先端部が略平行に延びる一対のヘッダーと、を備え、前記第1プリント基板は、その両側縁から窪んだ一対の凹部を有し、前記第1ハウジングは、前記第1プリント基板の両側縁を案内すると共に、前記第1プリント基板を傾倒状態で前記エッジコネクタを挿抜自在な溝部を有し、一対の前記ヘッダーは、前記溝部の一部を構成し、前記第1プリント基板の他方の面から前記凹部に係合して、前記第1プリント基板を前記第1ハウジングから抜け止め可能な一対の対向配置された突起と、先端部を操作して開閉自在な一対のレバー部と、一対の前記レバー部の内壁から突出し、前記凹部に係合した前記第1プリント基板の起立状態を維持する一対のランスと、を有する電気コネクタ。
【0020】
(1)の発明による電気コネクタは、矩形の第1プリント基板が挿抜される角形の第1ハウジングを備えている。第1プリント基板は、サーマルヘッドを一方の面の一端部側に有している。又、第1プリント基板は、エッジコネクタを他方の端部の両面に有している。第1ハウジングには、エッジコネクタを先頭にして第1プリント基板が挿抜される。
【0021】
又、(1)の発明による電気コネクタは、複数の第1コンタクトと複数の第2コンタクトを備えている。第1コンタクトは、第1ハウジングの内部に配置されている。第1コンタクトは、第1プリント基板の一方の面に形成されたエッジコネクタに接触できる。又、第1コンタクトは、第1電線を結線している。第2コンタクトは、第1ハウジングの内部に配置されている。第2コンタクトは、第1プリント基板の他方の面に形成されたエッジコネクタに接触できる。又、第2コンタクトは、第2電線を結線している。
【0022】
更に、(1)の発明による電気コネクタは、一対のヘッダーを備えている。一対のヘッダーは、それらの基端部が第1ハウジングの両翼に配置されている。又、一対のヘッダーは、それらの先端部が略平行に延びている。
【0023】
第1プリント基板は、その両側縁から窪んだ一対の凹部を有している。第1ハウジングは、溝部を有している。溝部は、第1プリント基板の両側縁を案内すると共に、第1プリント基板を傾倒状態でエッジコネクタを挿抜自在である。
【0024】
一対のヘッダーは、一対の対向配置された突起、一対のレバー部、及び一対のランスを有している。一対の突起は、溝部の一部を構成している。又、一対の突起は、第1プリント基板の他方の面から凹部に係合して、第1プリント基板を第1ハウジングから抜け止めできる。一対のレバー部は、それらの先端部を操作して開閉できる。一対のランスは、一対のレバー部の内壁から突出している。そして、一対のランスは、凹部に係合した第1プリント基板の起立状態を維持している。
【0025】
エッジコネクタは、サーマルヘッドを電気的に制御するための入出力端子であってよく、サーマルヘッドに電力を供給するための電源端子であってよく、第1プリント基板の他方の端部の両面に一列に配置している。端子を一列に配置しているとは、等間隔に配列することを必ずしも意味しない。必要に応じて、端子を不等間隔に配列することもできる。
【0026】
エッジコネクタは、第1プリント基板の外面に形成された導体パターンであってよく、第1コンタクト又は第2コンタクトが接触して、導通できるように、レジストで被覆されることなく露出している。第1コンタクト又は第2コンタクトとエッジコネクタの接触抵抗を低減するため、エッジコネクタの表面に金メッキを施すこともできる。
【0027】
第1コンタクトは、ベローズ形のカンチレバーコンタクトで構成することが好ましく、エッジコネクタに所定の接触圧力を付与できる。第1コンタクトは、第1電線を結線しているとは、第1電線の端末を結線することを意味している。結線とは、第1電線の端末を圧着する形態、第1電線の端末を圧接する形態、第1電線の端末をハンダ接合する形態のいずれか一つの形態を含むことができる。
【0028】
同様に、第2コンタクトは、ベローズ形のカンチレバーコンタクトで構成することが好ましく、エッジコネクタに所定の接触圧力を付与できる。第2コンタクトは、第2電線を結線しているとは、第2電線の端末を結線することを意味している。結線とは、第2電線の端末を圧着する形態、第2電線の端末を圧接する形態、第2電線の端末をハンダ接合する形態のいずれか一つの形態を含むことができる。第1電線の結線形態と第2電線の結線形態が異なってもよい。
【0029】
第1電線の端末を結線した第1コンタクトを第1ハウジングに組み込むことができ、第2電線の端末を結線した第2コンタクトを第1ハウジングに組み込むことができ、この電気コネクタを第1ハウジングから第1電線及び第2電線が延出したワイヤリングハーネスとすることができる。
【0030】
第1ハウジングは、絶縁性を有してよく、非導電性の材料からなっている。非導電性の合成樹脂を成形して、所望の形状の第1ハウジングを得ることができる。第1ハウジングは、略直方体の形状であるが、一対のヘッダーを一体成形することもでき、一対のヘッダーを別体で成形して、第1ハウジングの両翼に結合してもよい。
【0031】
(1)の発明による電気コネクタは、第1プリント基板の両側縁が溝部に案内されて、第1プリント基板を傾倒状態で溝部に挿入できる。そして、第1プリント基板を一対のヘッダーに向かって起立すると、一対の対向配置された突起を第1プリント基板の一対の凹部に係合できる。この場合、一対のレバー部を閉じると、一対のヘッダーと一対のランスの間に第1プリント基板を起立状態で維持できる。
【0032】
(1)の発明による電気コネクタは、サーマルヘッドを一端部側に有する第1プリント基板が容易に交換できるように、第1プリント基板の他方の端部にエッジコネクタを設け、エッジコネクタが複数の電線付きコネクタに挿抜できるように構成したので、サーマルヘッドを端部に実装した第1プリント基板の交換が容易である。
【0033】
(2) 前記第1プリント基板を前記溝部に挿入すると、前記第1コンタクトを支点にして、前記第2コンタクトが前記第1プリント基板を傾倒状態になるように力を付勢するポップアップ機構を有する(1)記載の電気コネクタ。
【0034】
(3) 前記第1コンタクトは、前記第1ハウジングの中央部に配置される信号用コンタクトからなり、前記第2コンタクトは、前記第1ハウジングの両端部に配置される電源用コンタクトからなる(1)又は(2)記載の電気コネクタ。
【0035】
(4) 前記第1ハウジングは、相反する向きに向かう一対のフランジを両翼に備え、これらのフランジには、被装着体に固定するためのねじ穴を開口している(1)から(3)のいずれかに記載の電気コネクタ。
【0036】
(5) サーマルヘッドを一方の面の一端部側に有し、エッジコネクタを他方の面の他端部に有する矩形の第2プリント基板が前記エッジコネクタを先頭にして挿抜される角形の第2ハウジングと、前記第2ハウジングの内部に配置され、前記エッジコネクタに接触すると共に、第3電線を結線した複数の第3コンタクトと、前記第2ハウジングの内部に配置され、前記エッジコネクタに接触すると共に、第4電線を結線した複数の第4コンタクトと、基端部が前記第2ハウジングの両翼に配置され、先端部が略平行に延びる一対のヘッダーと、を備え、前記第2プリント基板は、その両側縁から窪んだ一対の凹部を有し、前記第2ハウジングは、前記第2プリント基板の両側縁を案内すると共に、前記第2プリント基板を傾倒状態で前記エッジコネクタを挿抜自在な溝部を有し、一対の前記ヘッダーは、前記溝部の一部を構成し、前記第2プリント基板の他方の面から前記凹部に係合して、前記第2プリント基板を前記第2ハウジングから抜け止め可能な一対の対向配置された突起と、先端部を操作して開閉自在な一対のレバー部と、一対の前記レバー部の内壁から突出し、前記凹部に係合した前記第2プリント基板の起立状態を維持する一対のランスと、を有する電気コネクタ。
【0037】
(5)の発明による電気コネクタは、矩形の第2プリント基板が挿抜される角形の第2ハウジングを備えている。第2プリント基板は、サーマルヘッドを一方の面の一端部側に有している。又、第2プリント基板は、エッジコネクタを他方の面の他端部に有している。第2ハウジングには、エッジコネクタを先頭にして第2プリント基板が挿抜される。
【0038】
又、(5)の発明による電気コネクタは、複数の第3コンタクトと複数の第4コンタクトを備えている。第3コンタクトは、第2ハウジングの内部に配置されている。第3コンタクトは、エッジコネクタに接触できる。又、第3コンタクトは、第3電線を結線している。第4コンタクトは、第2ハウジングの内部に配置されている。第4コンタクトは、エッジコネクタに接触できる。又、第4コンタクトは、第4電線を結線している。
【0039】
更に、(5)の発明による電気コネクタは、一対のヘッダーを備えている。一対のヘッダーは、それらの基端部が第2ハウジングの両翼に配置されている。又、一対のヘッダーは、それらの先端部が略平行に延びている。
【0040】
第2プリント基板は、その両側縁から窪んだ一対の凹部を有している。第2ハウジングは、溝部を有している。溝部は、第2プリント基板の両側縁を案内すると共に、第2プリント基板を傾倒状態でエッジコネクタを挿抜自在である。
【0041】
一対のヘッダーは、一対の対向配置された突起、一対のレバー部、及び一対のランスを有している。一対の突起は、溝部の一部を構成している。又、一対の突起は、第2プリント基板の他方の面から凹部に係合して、第2プリント基板を第2ハウジングから抜け止めできる。一対のレバー部は、それらの先端部を操作して開閉できる。一対のランスは、一対のレバー部の内壁から突出している。そして、一対のランスは、凹部に係合した第2プリント基板の起立状態を維持している。
【0042】
エッジコネクタは、サーマルヘッドを電気的に制御するための入出力端子であってよく、サーマルヘッドに電力を供給するための電源端子であってよく、第2プリント基板の他方の面に他端部に一列に配置している。端子を一列に配置しているとは、等間隔に配列することを必ずしも意味しない。必要に応じて、端子を不等間隔に配列することもできる。
【0043】
エッジコネクタは、第2プリント基板の他方の面に形成された導体パターンであってよく、第3コンタクト又は第4コンタクトが接触して、導通できるように、レジストで被覆されることなく露出している。第3コンタクト又は第4コンタクトとエッジコネクタの接触抵抗を低減するため、エッジコネクタの表面に金メッキを施すこともできる。
【0044】
第3コンタクトは、ベローズ形のカンチレバーコンタクトで構成することが好ましく、エッジコネクタに所定の接触圧力を付与できる。第3コンタクトは、第3電線を結線しているとは、第3電線の端末を結線することを意味している。結線とは、第3電線の端末を圧着する形態、第3電線の端末を圧接する形態、第3電線の端末をハンダ接合する形態のいずれか一つの形態を含むことができる。
【0045】
同様に、第4コンタクトは、ベローズ形のカンチレバーコンタクトで構成することが好ましく、エッジコネクタに所定の接触圧力を付与できる。第4コンタクトは、第4電線を結線しているとは、第4電線の端末を結線することを意味している。結線とは、第4電線の端末を圧着する形態、第4電線の端末を圧接する形態、第4電線の端末をハンダ接合する形態のいずれか一つの形態を含むことができる。第3電線の結線形態と第4電線の結線形態が異なってもよい。
【0046】
第3電線の端末を結線した第3コンタクトを第2ハウジングに組み込むことができ、第4電線の端末を結線した第4コンタクトを第2ハウジングに組み込むことができ、この電気コネクタを第2ハウジングから第3電線及び第4電線が延出したワイヤリングハーネスとすることができる。
【0047】
第2ハウジングは、絶縁性を有してよく、非導電性の材料からなっている。非導電性の合成樹脂を成形して、所望の形状の第4ハウジングを得ることができる。第2ハウジングは、略直方体の形状であるが、一対のヘッダーを一体成形することもでき、一対のヘッダーを別体で成形して、第2ハウジングの両翼に結合してもよい。
【0048】
(5)の発明による電気コネクタは、第2プリント基板の両側縁が溝部に案内されて、第2プリント基板を傾倒状態で溝部に挿入できる。そして、第2プリント基板を一対のヘッダーに向かって起立すると、一対の対向配置された突起を第2プリント基板の一対の凹部に係合できる。この場合、一対のレバー部を閉じると、一対のヘッダーと一対のランスの間に第2プリント基板を起立状態で維持できる。
【0049】
(5)の発明による電気コネクタは、サーマルヘッドを一端部側に有する第2プリント基板が容易に交換できるように、第2プリント基板の他方の端部にエッジコネクタを設け、エッジコネクタが複数の電線付きコネクタに挿抜できるように構成したので、サーマルヘッドを端部に実装した第2プリント基板の交換が容易である。
【0050】
(6) 前記第2プリント基板を前記溝部に挿入すると、前記溝部の一方の隅部を支点にして、前記第3コンタクト及び前記第4コンタクトが前記第2プリント基板を傾倒状態になるように力を付勢するポップアップ機構を有する(5)記載の電気コネクタ。
【0051】
(7) 前記第3コンタクトは、前記第2ハウジングの中央部に配置される信号用コンタクトからなり、前記第4コンタクトは、前記第2ハウジングの両端部に配置される電源用コンタクトからなる(5)又は(6)記載の電気コネクタ。
【0052】
(8) 前記第2ハウジングは、相反する向きに向かう一対のフランジを両翼に備え、これらのフランジには、被装着体に固定するためのねじ穴を開口している(5)から(7)のいずれかに記載の電気コネクタ。
【0053】
(9) (1)から(8)のいずれかに記載の電気コネクタを備えるサーマルプリンタ。
【発明の効果】
【0054】
本発明による電気コネクタは、サーマルヘッドを一端部側に有するプリント基板の他方の端部にエッジコネクタを設け、複数の電線付きコネクタで電気コネクタを構成することにより、従来のようなプリント基板を取り付けるためのサーマルヘッド組立体が不要になる。
【0055】
又、本発明による電気コネクタは、電線付きコネクタが接続されるコネクタをプリント基板に設けておらず、コネクタの嵌合作業が不要である。これにより、サーマルヘッド付きプリント基板の交換が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】本発明の第1実施形態による電気コネクタの構成を示す斜視図である。
【
図2】第1実施形態による電気コネクタの要部の構成を示す図であり、
図2(A)は、一方のヘッダーを拡大した斜視図、
図2(B)は、他方のヘッダーを拡大した斜視図、
図2(C)は、第1ハウジングの中間部を拡大した斜視図である。
【
図3】第1実施形態による電気コネクタの縦断面図であり、
図3(A)は、第1ハウジングの溝部に挿入された第1プリント基板を傾倒した状態で保持している状態図、
図3(B)は、第1ハウジングの溝部に挿入された第1プリント基板を起立した状態で保持している状態図である。
【
図4】第1実施形態による電気コネクタの構成を示す図であり、
図4(A)は、電気コネクタの正面図、
図4(B)は、
図4(A)のA−A矢視断面図、
図4(C)は、
図4(A)のB−B矢視断面図である。
【
図5】第1実施形態による電気コネクタの縦断面図であり、
図5(A)は、
図4(B)の断面図において第1プリント基板を起立した状態で保持している状態図、
図5(B)は、
図4(C)の断面図において第1プリント基板を起立した状態で保持している状態図である。
【
図6】第1実施形態による電気コネクタの縦断面図であり、
図6(A)は、
図4(B)の断面図において第1プリント基板を傾倒した状態で保持している状態図、
図6(B)は、
図4(C)の断面図において第1プリント基板を傾倒した状態で保持している状態図である。
【
図7】第1実施形態による電気コネクタの操作手順を示す斜視図であり、
図7(A)は、第1プリント基板を第1ハウジングに装着する前の状態図、
図7(B)は、第1プリント基板を傾倒した状態で第1ハウジングの溝部に挿入した状態図、
図7(C)は、
図7(B)の状態から第1プリント基板を起立させた状態図である。
【
図8】第1実施形態による電気コネクタの操作手順を示す斜視図であり、
図8(A)は、第1プリント基板を第1ハウジングに装着して第1プリント基板を起立させた状態図であり、
図8(B)は、
図8(A)の状態から第1プリント基板を傾倒させた状態図であり、
図8(C)は、
図8(B)の状態から第1プリント基板を取り外した状態図である。
【
図9】第1実施形態による電気コネクタの斜視図であり、サーマルプリンタに取り付けた状態図である。
【
図10】本発明の第2実施形態による電気コネクタの構成を示す斜視図である。
【
図11】第2実施形態による電気コネクタの要部の構成を示す図であり、
図11(A)は、一方のヘッダーを拡大した斜視図、
図11(B)は、他方のヘッダーを拡大した斜視図、
図11(C)は、第2ハウジングの中間部を拡大した斜視図である。
【
図12】第2実施形態による電気コネクタの縦断面図であり、
図12(A)は、第2ハウジングの溝部に挿入された第2プリント基板を傾倒した状態で保持している状態図、
図12(B)は、第2ハウジングの溝部に挿入された第2プリント基板を起立した状態で保持している状態図である。
【
図13】第2実施形態による電気コネクタの構成を示す図であり、
図13(A)は、電気コネクタの正面図、
図13(B)は、
図13(A)のA−A矢視断面図、
図13(C)は、
図13(A)のB−B矢視断面図である。
【
図14】第2実施形態による電気コネクタの縦断面図であり、
図14(A)は、
図13(B)の断面図において第2プリント基板を起立した状態で保持している状態図、
図14(B)は、
図13(C)の断面図において第2プリント基板を起立した状態で保持している状態図である。
【
図15】第2実施形態による電気コネクタの縦断面図であり、
図15(A)は、
図13(B)の断面図において第2プリント基板を傾倒した状態で保持している状態図、
図15(B)は、
図13(C)の断面図において第2プリント基板を傾倒した状態で保持している状態図である。
【
図16】従来技術によるサーマルプリンタの構成を示す斜視図であり、カバーを開いた状態図である。
【
図17】従来技術によるサーマルプリンタに備わるサーマルヘッド組立体の構成を示す斜視図であり、
図17(A)は、サーマルヘッド組立体を一方の面側から観た状態図、
図17(B)は、サーマルヘッド組立体を他方の面側から観た状態図である。
【
図18】従来技術によるサーマルプリンタに備わるサーマルヘッド組立体及びヘッドフレームの構成を示す斜視図であり、サーマルヘッド組立体をヘッドフレームに組み付ける前の状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態を説明する。
【0058】
[第1実施形態]
(電気コネクタの構成)
最初に、本発明の第1実施形態による電気コネクタの構成を説明する。
【0059】
図1は、本発明の第1実施形態による電気コネクタの構成を示す斜視図である。
図2は、第1実施形態による電気コネクタの要部の構成を示す図であり、
図2(A)は、一方のヘッダーを拡大した斜視図、
図2(B)は、他方のヘッダーを拡大した斜視図、
図2(C)は、第1ハウジングの中間部を拡大した斜視図である。
【0060】
図3は、第1実施形態による電気コネクタの縦断面図であり、
図3(A)は、第1ハウジングの溝部に挿入された第1プリント基板を傾倒した状態で保持している状態図、
図3(B)は、第1ハウジングの溝部に挿入された第1プリント基板を起立した状態で保持している状態図である。
【0061】
図4は、第1実施形態による電気コネクタの構成を示す図であり、
図4(A)は、電気コネクタの正面図、
図4(B)は、
図4(A)のA−A矢視断面図、
図4(C)は、
図4(A)のB−B矢視断面図、である。
【0062】
図5は、第1実施形態による電気コネクタの縦断面図であり、
図5(A)は、
図4(B)の断面図において第1プリント基板を起立した状態で保持している状態図、
図5(B)は、
図4(C)の断面図において第1プリント基板を起立した状態で保持している状態図である。
【0063】
図6は、第1実施形態による電気コネクタの縦断面図であり、
図6(A)は、
図4(B)の断面図において第1プリント基板を傾倒した状態で保持している状態図、
図6(B)は、
図4(C)の断面図において第1プリント基板を傾倒した状態で保持している状態図である。
【0064】
(全体構成)
図1から
図6を参照すると、本発明の第1実施形態による電気コネクタ(以下、コネクタと略称する)10は、矩形の第1プリント基板1が挿抜される角形の第1ハウジング2を備えている。又、コネクタ10は、複数の第1コンタクト3と複数の第2コンタクト4を備えている。更に、コネクタ10は、一対のヘッダー21・21を備えている。
【0065】
図1を参照すると、第1プリント基板1は、サーマルヘッド1hを一方の面11pの一端部側に固定している。又、第1プリント基板1は、エッジコネクタ11eを一方の面11pの他端部に形成している。第1プリント基板1は、エッジコネクタ12eを他方の面12pの他端部に形成している。更に、第1プリント基板1は、その両側縁から窪んだ一対の半円弧状の凹部1d・1dを形成している。
【0066】
図1又は
図3及び
図4を参照すると、第1コンタクト3は、第1ハウジング2の内部に配置されている。第1コンタクト3は、第1プリント基板1の一方の面11pに形成されたエッジコネクタ11eに接触できる(
図1参照)。又、第1コンタクト3は、第1電線3wの端末を結線している。
【0067】
図1又は
図3及び
図4を参照すると、第2コンタクト4は、第1ハウジング2の内部に配置されている。第2コンタクト4は、第1プリント基板1の他方の面12pに形成されたエッジコネクタ12eに接触できる(
図1参照)。又、第2コンタクト4は、第2電線4wの端末を結線している。
【0068】
図1から
図4を参照すると、一対のヘッダー21・21は、それらの基端部が第1ハウジング2の両翼に配置されている。又、一対のヘッダー21・21は、それらの先端部が略平行に延びている。
【0069】
図3又は
図4を参照すると、第1ハウジング2は、縦長の溝部2dを底部に形成している。溝部2dは、第1プリント基板1の両側縁を案内すると共に、第1プリント基板1を傾倒状態でエッジコネクタ11e・12eを挿抜できる。
【0070】
図1から
図6を参照すると、一対のヘッダー21・21は、一対の対向配置された半円状の突起22・22と一対のレバー部23・23を備えている。これらの突起22・22は、溝部2dの一部を構成している。又、一対の突起22・22は、第1プリント基板1の他方の面12pから凹部1dに係合して、第1プリント基板1を第1ハウジング2から抜け止めできる。
【0071】
図1又は
図2及び
図4を参照すると、一対のレバー部23・23は、それらの先端部を操作して開閉できる。一対のランス23r・23rは、一対のレバー部23・23の内壁から突出している。そして、一対のランス23r・23rは、凹部1d・1dに係合した第1プリント基板1の起立状態を維持できる。
【0072】
(ハウジングの構成)
図1から
図6を参照すると、第1ハウジング2は、一対のヘッダー21・21、一対の突起22・22、及び一対のレバー部23・23を一体成形している。又、第1ハウジング2は、相反する向きに向かう一対のフランジ24f・24fを両翼に備えている。これらのフランジ24f・24fには、ねじ穴24hを開口している。ねじ部材5sをねじ穴24hに挿入して、被装着体となるサーマルプリンタ50のカバー51に第1ハウジング2を固定できる(
図9参照)。つまり、コネクタ10をサーマルプリンタ50のカバー51の内壁に固定できる(
図9参照)。
【0073】
図1又は
図2(C)を参照すると、溝部2dには、その長手方向を仕切る仕切り板2kを備えている。一方、第1プリント基板1は、仕切り板2kに嵌合可能なキー溝1kを他方の端部に形成している。仕切り板2kにキー溝1kが嵌合することで、第1プリント基板1の挿入方向を特定でき、第1プリント基板1の誤挿入を防止できる。
【0074】
(コンタクトの構成)
図4(C)又は
図6(B)を参照すると、第1コンタクト3は、ベローズ形のカンチレバーコンタクトからなり、第1電線3wの端末を結線する結線部31を基端部側に形成している。結線部31は、圧着により第1電線3wの端末の芯線を保持できるコンダクタバレルを備えている。
【0075】
又、
図4(C)又は
図6(B)を参照すると、第1コンタクト3は、その先端部側に設けた第1接点が溝部2dの一方の内壁から突出するように、配置されている。そして、第1プリント基板1を溝部2dに挿入すると、第1コンタクト3の第1接点をエッジコネクタ11eに接触できる(
図1参照)。
【0076】
図1を参照すると、複数の第1コンタクト3は、第1ハウジング2の中央部に配置されている。そして、第1コンタクト3は、エッジコネクタ11eに接触して、サーマルヘッド1hを電気的に制御するための信号用コンタクトとなっている。
【0077】
図3(B)又は
図6(A)を参照すると、第2コンタクト4は、ベローズ形のカンチレバーコンタクトからなり、第2電線4wの端末を結線する結線部41を基端部側に形成している。結線部41は、圧着により第2電線4wの端末の芯線を保持できるコンダクタバレル41cを備えている。又、結線部41は、圧着により第2電線4wの端末の被覆を保持できるインシュレーショングリップ41gを備えている。
【0078】
又、
図3(B)又は
図6(A)を参照すると、第2コンタクト4は、その先端部側に設けた第2接点が溝部2dの他方の内壁から突出するように、配置されている。そして、第1プリント基板1を溝部2dに挿入すると、第2コンタクト4の第2接点をエッジコネクタ12eに接触できる(
図1参照)。
【0079】
図1を参照すると、複数の第2コンタクト4は、第1ハウジング2の両端部に配置されている。そして、第2コンタクト4は、エッジコネクタ12eに接触して、サーマルヘッド1hに電力を供給するための電源用コンタクトとなっている。
【0080】
図3から
図6を参照すると、第2コンタクト4の第2接点は、第1コンタクト3の第1接点より高い位置に配置している。そして、第1プリント基板1を溝部2dに挿入すると、第1コンタクト3の第1接点を支点にして、第2コンタクト4の第2接点が第1プリント基板1を傾倒状態になるように力を付勢している(
図3(A)又は
図6参照)。
【0081】
このように、第1実施形態によるコネクタ10は、第1プリント基板1を第1ハウジング2の溝部2dに挿入すると、第1コンタクト3を支点にして、第1プリント基板1を傾倒状態で維持するポップアップ機構を備えている。
【0082】
(電気コネクタの作用)
次に、第1実施形態によるコネクタ10の構成を補足すると共に、コネクタ10の動作を説明しながら、コネクタ10の作用及び効果を説明する。
【0083】
図7は、第1実施形態による電気コネクタの操作手順を示す斜視図であり、
図7(A)は、第1プリント基板を第1ハウジングに装着する前の状態図、
図7(B)は、第1プリント基板を傾倒した状態で第1ハウジングの溝部に挿入した状態図、
図7(C)は、
図7(B)の状態から第1プリント基板を起立させた状態図である。
【0084】
図8は、第1実施形態による電気コネクタの操作手順を示す斜視図であり、
図8(A)は、第1プリント基板を第1ハウジングに装着して第1プリント基板を起立させた状態図であり、
図8(B)は、
図8(A)の状態から第1プリント基板を傾倒させた状態図であり、
図8(C)は、
図8(B)の状態から第1プリント基板を取り外した状態図である。
【0085】
図9は、第1実施形態による電気コネクタの斜視図であり、サーマルプリンタに取り付けた状態図である。
【0086】
最初に、
図7(A)を参照して、エッジコネクタ11e・12eを先頭にして、第1プリント基板1を傾斜した状態で、第1ハウジング2の溝部2dに挿入する。次に、
図7(B)を参照して、傾倒状態の第1プリント基板1を一対のヘッダー21・21に向かって起立させる。第1プリント基板1を傾倒状態から起立状態に移行する過程では、一対のランス23r・23rには、一方の端部に斜面を形成しているので(
図2(A)参照)、第1プリント基板1の両側縁がランス23rの斜面にスライドして、一対のレバー部23・23の先端部を外側に開くことができる。
【0087】
図7(B)に示した第1プリント基板1の傾倒状態から、
図7(C)に示した第1プリント基板1の起立状態に移行すると、第1プリント基板1の両側縁が一対のランス23r・23rを乗り越えて、一対のレバー部23・23を弾性復帰できる(
図2参照)。そして、一対のヘッダー21・21と一対のランス23r・23rの間に第1プリント基板1を起立状態で維持できる(
図5参照)。又、
図7(C)に示した状態では、一対の突起22・22を第1プリント基板1の一対の凹部1d・1dに係合でき、第1プリント基板1を第1ハウジング2から抜け止めできる(
図1参照)。
【0088】
図8(A)を参照して、コネクタ10から第1プリント基板1を取り外す場合には、一対のレバー部23・23の先端部を操作して、一対のレバー部23・23の先端部を外側に開く。
図8(A)に示すように、一対のレバー部23・23の先端部を外側に開くと、ポップアップ機構の作用により、第1プリント基板1を傾倒できる(
図8(B)参照)。そして、
図8(C)に示すように、コネクタ10から第1プリント基板1を取り外すことができる。
【0089】
図9を参照して、第1実施形態によるコネクタ10は、サーマルプリンタ50に取り付けることができる。
図4を参照して、フランジ24fに設けたねじ穴24hにねじ部材5sを挿入し、サーマルプリンタ50のカバー51に第1ハウジング2を固定できる。つまり、コネクタ10をサーマルプリンタ50のカバー51の内壁に固定できる(
図9参照)。なお、
図9では、プラテンローラなどの図示を省略している。
【0090】
図16から
図18に示した従来技術によるサーマルヘッド組立体8と第1実施形態によるコネクタ10を対比すると、第1実施形態によるコネクタ10は、サーマルヘッド1hを一端部側に有する第1プリント基板1の他方の端部にエッジコネクタ11e・12eを設け、複数の電線付きコネクタで電気コネクタを構成することにより、従来のようなプリント基板81を取り付けるためのサーマルヘッド組立体8が不要になるという利点がある。
【0091】
又、
図16から
図18に示した従来技術によるサーマルヘッド組立体8と第1実施形態によるコネクタ10を対比すると、第1実施形態によるコネクタ10は、従来のように、電線付きコネクタが接続されるコネクタをプリント基板81に設けておらず、コネクタの嵌合作業が不要である。これにより、サーマルヘッド1h付き第1プリント基板1の交換が容易となるという効果がある。
【0092】
[第2実施形態]
(電気コネクタの構成)
次に、本発明の第2実施形態による電気コネクタの構成を説明する。
【0093】
図10は、本発明の第2実施形態による電気コネクタの構成を示す斜視図である。
図11は、第2実施形態による電気コネクタの要部の構成を示す図であり、
図11(A)は、一方のヘッダーを拡大した斜視図、
図11(B)は、他方のヘッダーを拡大した斜視図、
図11(C)は、第2ハウジングの中間部を拡大した斜視図である。
【0094】
図12は、第2実施形態による電気コネクタの縦断面図であり、
図12(A)は、第2ハウジングの溝部に挿入された第2プリント基板を傾倒した状態で保持している状態図、
図12(B)は、第2ハウジングの溝部に挿入された第2プリント基板を起立した状態で保持している状態図である。
【0095】
図13は、第2実施形態による電気コネクタの構成を示す図であり、
図13(A)は、電気コネクタの正面図、
図13(B)は、
図13(A)のA−A矢視断面図、
図13(C)は、
図13(A)のB−B矢視断面図である。
【0096】
図14は、第2実施形態による電気コネクタの縦断面図であり、
図14(A)は、
図13(B)の断面図において第2プリント基板を起立した状態で保持している状態図、
図14(B)は、
図13(C)の断面図において第2プリント基板を起立した状態で保持している状態図である。
【0097】
図15は、第2実施形態による電気コネクタの縦断面図であり、
図15(A)は、
図13(B)の断面図において第2プリント基板を傾倒した状態で保持している状態図、
図15(B)は、
図13(C)の断面図において第2プリント基板を傾倒した状態で保持している状態図である。
【0098】
(全体構成)
図10から
図15を参照すると、本発明の第2実施形態によるコネクタ20は、矩形の第2プリント基板5が挿抜される角形の第2ハウジング6を備えている。又、コネクタ20は、複数の第3コンタクト30と複数の第4コンタクト40を備えている。更に、コネクタ20は、一対のヘッダー61・61を備えている。
【0099】
図10を参照すると、第2プリント基板5は、サーマルヘッド1hを一方の面51pの一端部側に固定している。又、第2プリント基板5は、エッジコネクタ51eを他方の面52pの他端部に形成している。第2プリント基板5は、エッジコネクタ52eを他方の面52pの他端部に形成している。更に、第2プリント基板5は、その両側縁から窪んだ一対の半円弧状の凹部5d・5dを形成している。
【0100】
図10又は
図12及び
図13を参照すると、第3コンタクト30は、第2ハウジング6の内部に配置されている。第3コンタクト30は、第2プリント基板5の他方の面52pに形成されたエッジコネクタ51eに接触できる(
図10参照)。又、第3コンタクト30は、第3電線30wの端末を結線している。なお、第1電線3wと第3電線30wとは、同じものであるが説明の便宜上、順位数と符号を変えて区別した。
【0101】
図10又は
図12及び
図13を参照すると、第4コンタクト40は、第2ハウジング6の内部に配置されている。第4コンタクト40は、第2プリント基板5の他方の面52pに形成されたエッジコネクタ52eに接触できる(
図10参照)。又、第4コンタクト40は、第4電線40wの端末を結線している。なお、第2コンタクト4と第4コンタクト40とは、同じものであるが説明の便宜上、順位数と符号を変えて区別した。同様に、第2電線4wと第4電線40wとは、同じものであるが説明の便宜上、順位数と符号を変えて区別した。
【0102】
図10から
図13を参照すると、一対のヘッダー61・61は、それらの基端部が第2ハウジング6の両翼に配置されている。又、一対のヘッダー61・61は、それらの先端部が略平行に延びている。
【0103】
図12又は
図13を参照すると、第2ハウジング6は、縦長の溝部6dを底部に形成している。溝部6dは、第2プリント基板5の両側縁を案内すると共に、第2プリント基板5を傾倒状態でエッジコネクタ51e・52eを挿抜できる。
【0104】
図10から
図15を参照すると、一対のヘッダー61・61は、一対の対向配置された半円状の突起62・62と一対のレバー部63・63を備えている。これらの突起62・62は、溝部6dの一部を構成している。又、一対の突起62・62は、第2プリント基板5の他方の面52pから凹部5dに係合して、第2プリント基板5を第2ハウジング6から抜け止めできる。
【0105】
図10又は
図11及び
図13を参照すると、一対のレバー部63・63は、それらの先端部を操作して開閉できる。一対のランス63r・63rは、一対のレバー部63・63の内壁から突出している。そして、一対のランス63r・63rは、凹部5d・5dに係合した第2プリント基板5の起立状態を維持できる。
【0106】
(ハウジングの構成)
図10から
図15を参照すると、第2ハウジング6は、一対のヘッダー61・61、一対の突起62・62、及び一対のレバー部63・63を一体成形している。又、第2ハウジング6は、相反する向きに向かう一対のフランジ64f・64fを両翼に備えている。これらのフランジ64f・64fには、ねじ穴64hを開口している。ねじ部材5sをねじ穴64hに挿入して、被装着体となるサーマルプリンタ50のカバー51に第2ハウジング6を固定できる(
図9参照)。つまり、コネクタ20をサーマルプリンタ50のカバー51の内壁に固定できる(
図9参照)。
【0107】
図10又は
図11(C)を参照すると、溝部6dには、その長手方向を仕切る仕切り板6kを備えている。一方、第2プリント基板5は、仕切り板6kに嵌合可能なキー溝5kを他方の端部に形成している。仕切り板6kにキー溝5kが嵌合することで、第2プリント基板5の挿入方向を特定でき、第2プリント基板5の誤挿入を防止できる。
【0108】
(コンタクトの構成)
図13(C)又は
図15(B)を参照すると、第3コンタクト30は、ベローズ形のカンチレバーコンタクトからなり、第3電線30wの端末を結線する結線部31を基端部側に形成している。結線部31は、圧着により第3電線30wの端末の芯線を保持できるコンダクタバレルを備えている。
【0109】
又、
図13(C)又は
図15(B)を参照すると、第3コンタクト30は、その先端部側に設けた第3接点が溝部6dの他方の内壁から突出するように、配置されている。そして、第2プリント基板5を溝部6dに挿入すると、第3コンタクト30の第3接点をエッジコネクタ51eに接触できる(
図10参照)。
【0110】
図10を参照すると、複数の第3コンタクト30は、第2ハウジング6の中央部に配置されている。そして、第3コンタクト30は、エッジコネクタ51eに接触して、サーマルヘッド1hを電気的に制御するための信号用コンタクトとなっている。
【0111】
図12から
図15を参照すると、第3コンタクト30の第3接点は、溝部6dの一方の隅部より高い位置に配置している。そして、第2プリント基板5を溝部6dに挿入すると、溝部6dの一方の隅部を支点にして、第3コンタクト30の第3接点が第2プリント基板5を傾倒状態になるように力を付勢している(
図15(B)参照)。
【0112】
図12(B)又は
図15(A)を参照すると、第4コンタクト40は、ベローズ形のカンチレバーコンタクトからなり、第4電線40wの端末を結線する結線部41を基端部側に形成している。結線部41は、圧着により第4電線40wの端末の芯線を保持できるコンダクタバレル41cを備えている。又、結線部41は、圧着により第4電線40wの端末の被覆を保持できるインシュレーショングリップ41gを備えている。
【0113】
又、
図12(B)又は
図15(A)を参照すると、第4コンタクト40は、その先端部側に設けた第4接点が溝部6dの他方の内壁から突出するように、配置されている。そして、第2プリント基板5を溝部6dに挿入すると、第4コンタクト40の第4接点をエッジコネクタ52eに接触できる(
図10参照)。
【0114】
図10を参照すると、複数の第4コンタクト40は、第2ハウジング6の両端部に配置されている。そして、第4コンタクト40は、エッジコネクタ52eに接触して、サーマルヘッド1hに電力を供給するための電源用コンタクトとなっている。
【0115】
図12から
図15を参照すると、第4コンタクト40の第4接点は、溝部6dの一方の隅部より高い位置に配置している。そして、第2プリント基板5を溝部6dに挿入すると、溝部6dの一方の隅部を支点にして、第4コンタクト40の第4接点が第2プリント基板5を傾倒状態になるように力を付勢している(
図12(A)又は
図15(A)参照)。
【0116】
このように、第2実施形態によるコネクタ20は、第2プリント基板5を第2ハウジング6の溝部6dに挿入すると、溝部6dの一方の隅部を支点にして、第2プリント基板5を傾倒状態で維持するポップアップ機構を備えている。
【0117】
(電気コネクタの作用)
次に、第2実施形態によるコネクタ20の構成を補足すると共に、コネクタ20の動作を説明しながら、コネクタ20の作用及び効果を説明する。なお、第1実施形態に適用される第1プリント基板1がエッジコネクタ11e・12eを両面に形成した両面プリント基板であるのに対し、第2実施形態に適用される第2プリント基板5がエッジコネクタ51e・52eを片面に形成した片面プリント基板の違いがあるだけである。したがって、コネクタ20の動作は、第1実施形態の
図7又は
図8を援用して説明する。
【0118】
最初に、
図7(A)を援用して、エッジコネクタ51e・52eを先頭にして、第2プリント基板5を傾斜した状態で、第2ハウジング6の溝部6dに挿入する。次に、
図7(B)を援用して、傾倒状態の第2プリント基板5を一対のヘッダー61・61に向かって起立させる。第2プリント基板5を傾倒状態から起立状態に移行する過程では、一対のランス63r・63rには、一方の端部に斜面を形成しているので(
図11(A)参照)、第2プリント基板5の両側縁がランス63rの斜面にスライドして、一対のレバー部63・63の先端部を外側に開くことができる。
【0119】
図7(B)を援用して示した第2プリント基板5の傾倒状態から、
図7(C)を援用して示した第2プリント基板5の起立状態に移行すると、第2プリント基板5の両側縁が一対のランス63r・63rを乗り越えて、一対のレバー部63・63を弾性復帰できる(
図11参照)。そして、一対のヘッダー61・61と一対のランス63r・63rの間に第2プリント基板5を起立状態で維持できる(
図14参照)。又、
図7(C)を援用して示した状態では、一対の突起62・62を第2プリント基板5の一対の凹部1d・1dに係合でき、第2プリント基板5を第2ハウジング6から抜け止めできる(
図10参照)。
【0120】
図8(A)を援用して、コネクタ20から第2プリント基板5を取り外す場合には、一対のレバー部63・63の先端部を操作して、一対のレバー部63・63の先端部を外側に開く。
図8(A)を援用して示すように、一対のレバー部63・63の先端部を外側に開くと、ポップアップ機構の作用により、第2プリント基板5を傾倒できる(
図8(B)参照)。そして、
図8(C)援用して示すように、コネクタ20から第2プリント基板5を取り外すことができる。
【0121】
図9を援用して、第2実施形態によるコネクタ20は、サーマルプリンタ50に取り付けることができる。
図13を参照して、フランジ64fに設けたねじ穴64hにねじ部材5sを挿入し、サーマルプリンタ50のカバー51に第2ハウジング6を固定できる。つまり、コネクタ20をサーマルプリンタ50のカバー51の内壁に固定できる(
図9参照)。なお、
図9では、プラテンローラなどの図示を省略している。
【0122】
図16から
図18に示した従来技術によるサーマルヘッド組立体8と第2実施形態によるコネクタ20を対比すると、第2実施形態によるコネクタ20は、サーマルヘッド1hを一端部側に有する第2プリント基板5の他方の端部にエッジコネクタ51e・52eを設け、複数の電線付きコネクタで電気コネクタを構成することにより、従来のようなプリント基板81を取り付けるためのサーマルヘッド組立体8が不要になるという利点がある。
【0123】
又、
図16から
図18に示した従来技術によるサーマルヘッド組立体8と第2実施形態によるコネクタ20を対比すると、第2実施形態によるコネクタ20は、従来のように、電線付きコネクタが接続されるコネクタをプリント基板81に設けておらず、コネクタの嵌合作業が不要である。これにより、サーマルヘッド1h付き第2プリント基板5の交換が容易となるという効果がある。
【0124】
このように、第2実施形態によるコネクタ20は、第1実施形態によるコネクタ10と同様な効果を奏するが、第1実施形態に適用される第1プリント基板1が両面プリント基板であるのに対し、第2実施形態に適用される第2プリント基板5が片面プリント基板であるので、第2プリント基板5の製造原価を低減できるという効果がある。