【解決手段】ワイヤカセット200に対して基板300を出し入れする移載装置100であって、水平方向に延びて配置される長尺状のアーム101と、アーム101の長手方向に一列に並んで配置され、基板300を支持する支持位置と基板300が載置されるワイヤ201の下方に位置する回避位置との間で出没する複数の支持手段103と、複数の支持手段103の一部である第一支持手段群131を出没させる第一駆動手段141と、複数の支持手段103の他の一部である第二支持手段群132を出没させる第二駆動手段142と、第一駆動手段141、および、第二駆動手段142を制御する制御部とを備える。
水平方向に所定の間隔で張り渡された複数本のワイヤを備え、前記ワイヤに載置された状態で基板を保持するワイヤカセットに対して、前記ワイヤの張り渡し方向と交差する方向である移載方向に前記基板を出し入れする移載装置であって、
水平方向に延びて配置される長尺状のアームと、
前記アームの長手方向に一列に並んで配置され、前記基板を支持する支持位置と前記基板が載置される前記ワイヤの下方に位置する回避位置との間で出没する複数の支持手段と、
複数の前記支持手段の一部である第一支持手段群を出没させる第一駆動手段と、
複数の前記支持手段の他の一部である第二支持手段群を出没させる第二駆動手段と、
前記第一駆動手段、および、前記第二駆動手段を制御する制御部と
を備える移載装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが昨今では、ディスプレイの大型化に伴いガラス基板の大きさが増大する傾向にあり、これに対応すべく移載装置のアームの長さを長くし、アームに取り付けられる支持部材の数も増加させる傾向にある。このような移載装置では、長尺のアームの幅方向に配置される2列の支持部材を交互に出没させることにより、アームがねじられる方向に振動する可能性が高くなるため、アームの機械的強度を高める必要が生じる。アームの機械的強度を向上させるためには、アームの厚みを厚くすることで対応可能であるが、上下方向に積み上げられた基板の間にアームを挿入する必要があるため、アームの厚みには制限がある。
【0008】
本願発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、支持部材の出没によるアームの振動を抑制し、大型の基板をワイヤカセットに移載することのできる移載装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本願発明にかかる移載装置は、水平方向に所定の間隔で張り渡された複数本のワイヤを備え、前記ワイヤに載置された状態で基板を保持するワイヤカセットに対して、前記ワイヤの張り渡し方向と交差する方向である移載方向に前記基板を出し入れする移載装置であって、水平方向に延びて配置される長尺状のアームと、前記アームの長手方向に一列に並んで配置され、前記基板を支持する支持位置と前記基板が載置される前記ワイヤの下方に位置する回避位置との間で出没する複数の支持手段と、複数の前記支持手段の一部である第一支持手段群を出没させる第一駆動手段と、複数の前記支持手段の他の一部である第二支持手段群を出没させる第二駆動手段と、前記第一駆動手段、および、前記第二駆動手段を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0010】
これによれば、アームに対して出没する支持部材がアームの長手方向に沿って一列に配置されているため、アームがねじれる方向の振動を抑制することが可能となる。
【0011】
また、前記第一駆動手段は、第一駆動源と、前記支持手段の並びに沿って配置され、前記第一駆動源の駆動力を第一支持手段群に伝達する長尺棒状の第一伝達部材を備え、前記第二駆動手段は、第二駆動源と、前記支持手段の並びに沿って配置され、前記第二駆動源の駆動力を第二支持手段群に伝達する長尺棒状の第二伝達部材を備えるものでもよい。
【0012】
これによれば、アームの長手方向に沿って配置される伝達部材により、アームの機械強度を補強することができる。また、伝達部材をアームの長手方向に直動させることで伝達部材の動作がアームの振動に与える影響を抑制することが可能となる。
【0013】
また、前記第一駆動源は、第一モータを備え、前記第一駆動手段はさらに、前記第一モータの回転駆動力を、前記第一伝達部材の延在方向に前記第一伝達部材が直動するように伝達する第一継手を備え、前記第二駆動源は、第二モータを備え、前記第二駆動手段はさらに、前記第二モータの回転駆動力を、前記第二伝達部材の延在方向に前記第二伝達部材が直動するように伝達する第二継手を備えるものでもよい。
【0014】
これによれば、モータを制御することにより容易に伝達部材の動作を制御することができ、支持部材を滑らかに出没させるなどの制御を簡単に行うことが可能となる。
【0015】
前記第一駆動手段はさらに、前記第一伝達部材の延在方向の直動を前記第一支持手段群に属するそれぞれの前記支持手段の出没動作に変換する複数の第一変換手段を備え、前記第二駆動手段はさらに、前記第二伝達部材の延在方向の直動を前記第二支持手段群に属するそれぞれの前記支持手段の出没動作に変換する複数の第二変換手段を備えてもよい。
【0016】
これによれば、伝達部材の直動をリンク機構やカム機構などの変換手段により支持部材の出没動作に変換するため、支持部材毎にアクチュエーターを設ける必要がなく、駆動手段の軽量化を図ることが可能となる。
【0017】
また、前記支持手段は、前記基板を支持する際に前記基板と当接する位置に弾性部材を備えてもよい。
【0018】
これによれば、基板を支持する際の支持部材から基板に与える衝撃を緩和することが可能となる。
【0019】
また、当該移載装置は、固有振動数が異なる複数本の前記アームを備えてもよい。また、複数の前記アームは、前記アームの重量、および、前記アームの形状の少なくとも一方を異ならせることにより前記アームの固有振動数を異ならせてもよい。
【0020】
これによれば、移載装置が複数のアームを備える場合、アーム相互間での共振を抑制し、アームに大きな振動が発生することを抑制できる。
【0021】
また前記制御部は、前記第一支持手段群を出没動作させた際に発生する前記アームの振動を打ち消すように、さらに前記第一支持手段群を動作させる制御を行ってもよい。また前記制御部は、前記第一支持手段群を出没動作させた際に発生する前記アームの振動を打ち消すように、前記第二支持手段群を動作させる制御を行ってもよい。
【0022】
これによれば、支持部材の動作を制御することでアームに発生する振動を抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本願発明によれば、アームに発生する振動、特にアームがねじれる方向の振動を抑制することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本願発明に係る移載装置の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態は、本願発明に係る移載装置の一例を示したものに過ぎない。従って本願発明は、以下の実施の形態を参考に請求の範囲の文言によって範囲が画定されるものであり、以下の実施の形態のみに限定されるものではない。よって、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、本発明の課題を達成するのに必ずしも必要ではないが、より好ましい形態を構成するものとして説明される。
【0026】
図1は、移載装置とワイヤカセットの全体を模式的に示す斜視図である。
【0027】
同図に示すように、移載装置100は、ワイヤカセット200に対し、基板(同図中において省略)を搬出入することができる装置である。
【0028】
図2は、ワイヤカセットの一部のワイヤを省略して模式的に示す斜視図である。
【0029】
同図に示すように、ワイヤカセット200は、水平方向に所定のピッチで図中のX軸に沿って張り渡された複数本のワイヤ201を備え、複数本のワイヤ201に架橋状に基板300を載置して保持することができる棚である。また、ワイヤカセット200は、ワイヤ201を保持する枠体202を備え、水平面の一面に配置された複数のワイヤ201であるワイヤ群を上下方向に所定の間隔で複数段保持するものとなっている。
【0030】
これにより、基板300を上下方向に所定の間隔で積み重ねた状態で保管することができ、基板300を撓ませることなく、高い空間効率で保管することが可能となる。
【0031】
図3は、移載装置を模式的に示す斜視図である。
【0032】
移載装置100は、ワイヤ201の張り渡し方向(図中X軸方向)と交差する方向である移載方向(本実施の形態の場合、図中Y軸方向)に基板300を出し入れし、ワイヤカセット200から基板300を搬出入することができるアーム101を備えた装置である。本実施の形態の場合、移載装置100は、アーム保持手段191と、アーム昇降手段192と、アーム移動手段193と、軌条194とを備えている。
【0033】
アーム101は、ワイヤカセット200の上下方向に隣接するワイヤ群の間に挿入され、また、抜き出されることができる部材であり、支持部材103が取り付けられている。なお、アーム101、および、支持部材103についての詳細は後述する。
【0034】
アーム保持手段191は、アーム101の長手方向の端部を保持し、アーム101を片持ち状態で水平面に沿うように配置するための装置である。本実施の形態の場合、アーム保持手段191は、アーム101を同一平面内に複数本(本実施の形態では4本)保持することができるものとなっている。なお、アーム保持手段191がアーム101を保持する保持構造は特に限定されるものではないが、例えば、アーム101を構成する材質が機械加工が困難なものや、溶接などが困難な場合は、アーム101を上下方向から剛性の高いプレートなどで挟み込んで挟持してもかまわない。
【0035】
アーム昇降手段192は、アーム101を上下方向(図中Z軸方向)に移動させるための装置である。アーム101を上下方向に移動させることにより、ワイヤカセット200の所望の段にアーム101を挿入することができ、アーム101をワイヤカセット200に挿入後、僅かにアーム101を上昇させることで、ワイヤ201に載置された基板300をワイヤ201から持ち上げることが可能となる。また、逆の動作により、アーム101に保持された基板300をワイヤカセット200のワイヤ201に基板300を載置することもできる。
【0036】
アーム移動手段193は、アーム101をアーム101の延設方向に(図中Y軸方向に)進出し、また、後退させることができる装置である。さらに本実施の形態の場合、アーム移動手段193は、軌条194に沿って、アーム101をアーム101の延設方向と交差する方向(図中X軸方向)に移動させることができるものとなっている。これにより、アーム101に保持される基板300を移送することができる。
【0037】
なお本実施の形態の場合、アーム移動手段193は、アーム101をアーム保持手段191、および、アーム昇降手段192と共にアーム移動手段193に対し相対的に進退させることができるものとなっているが、アーム移動手段193とアーム101とが直接的、または、間接的に固定され、アーム移動手段193がアーム101の延設方向に移動することで、アーム101をワイヤカセット200などに対して進退させるものでもかまわない。また、アーム移動手段193は、軌条194に沿って移動するものばかりでなく、車輪などにより床面を自在に走行する舵を備えた装置であってもかまわない。
【0038】
図4は、アームおよびアームに取り付けられた支持部材を示す斜視図である。
【0039】
図5は、アームの先端部分を示す斜視図である。
【0040】
図6は、先端から見たアームおよびアームに取り付けられた支持部材を示す平面図である。
【0041】
これらの図に示すように、アーム101は、ベースプレート110と、第一補強部材111と、第一トッププレート121とを備えている。本実施の形態の場合、アーム101はさらに、第二補強部材112と、第二トッププレート122とを備えている。
【0042】
なお、これらの図において、支持部材103などは省略して示される場合がある。
【0043】
ベースプレート110は、水平方向に延びて配置される長尺板状の構造部材である。ベースプレート110は、軽量で片持ち状態でも撓みにくい材質からなるものが好ましい。具体的には、炭素繊維強化プラスチック(carbon-fiber-reinforced plastic,CFRP)からなるベースプレート110を例示することができる。また、ベースプレート110は、マグネシウム合金や、アルミニウム合金などからなるものでも良い。
【0044】
なお
図7に示すように、ベースプレート110は、ベースプレート110の長手方向(図中Y軸方向)に沿って延び、上下方向に沿って突出するベースリブ113を備えてもかまわない。ベースリブ113により、軽量で撓みにくい構造のベースプレート110を形成することができる。
【0045】
また、ベースプレート110は、
図10に示すように、第一ベースプレート118と、第一ベースプレート118の長手方向における線膨張率よりも線膨張率が高く、第一ベースプレート118の下面に張り合わされる第二ベースプレート119とを備えてもよい。さらに、ベースプレート110を加熱する加熱源117を備えてもかまわない。本実施の形態の場合、加熱源117は、シート状のヒーターであり、第一ベースプレート118と第二ベースプレート119との間に挟まった状態で配置されている。
【0046】
第一補強部材111、および、第二補強部材112(これらを「補強部材」と総称する場合がある)は、ベースプレート110の長手方向(図中Y軸方向)に沿って延び、ベースプレート110の幅よりも狭い幅を有し、ベースプレート110の幅方向(図中X軸方向)の端部においてベースプレート110の上面部に接合される中空の部材である。
【0047】
本実施の形態の場合、補強部材は、金属製、例えばアルミニウム合金やステンレスの中空の角パイプであり、補強部材の中空部114は、補強部材の長手方向に連続的に延びた状態で配置されている。このように補強部材として角パイプを採用することで、ベースプレート110やトッププレートとの接触面積を広くすることができ、接着剤で補強部材とベースプレート110やトッププレート接合した場合の接合強度を向上させることが可能となる。
【0048】
また、第一補強部材111は、ベースプレート110の幅方向に所定の間隔で配置される複数本(本実施の形態では2本)のパイプを備えている。これにより、第一補強部材111と接合される第一トッププレート121の幅を広くすることができ、軽量化を図りながらアーム101の機械的強度の向上を図ることが可能となる。第二補強部材112についても同様である。
【0049】
なお、補強部材は上記に限定されるものではない。例えば、補強部材の中空部114は、補強部材の長手方向(図中Y軸方向)に交差する方向に伸びた状態で複数箇所に配置されるものでもよい。具体的には、補強部材は、上下方向(図中Z軸方向)に延びて配置される六角柱形状の中空部114を多数備えるハニカム構造体であってもよい。また、補強部材は、気泡状の中空部114を多数備える発泡樹脂からなる部材であってもかまわない。
【0050】
また、補強部材は、角パイプに限定されるものではなく、円筒でもかまわない。さらに、
図9に示すように、H型やその他の形状の部材でもかまわない。H型などの場合、補強部材に囲まれている部分は一部が開放状態であっても中空部114である。
【0051】
また、補強部材は、適宜肉抜き部を設け、軽量化を図ってもかまわない。
【0052】
また本実施の形態の場合、第一補強部材111と第二補強部材112とは、ベースプレート110の幅方向(図中X軸方向)の両端部のそれぞれに均等に配置されているが、これに限定されるものではない。例えば、
図8に示すように、第一補強部材111のみを備えたものでもかまわない。
【0053】
第一トッププレート121、および、第二トッププレート122(これらを「トッププレート」と総称する場合がある)は、ベースプレート110の長手方向(図中Y軸方向)に沿って延び、ベースプレート110の幅よりも狭い幅を有し、補強部材の上面部に接合される長尺板状の構造部材である。トッププレートは、軽量で片持ち状態でも撓みにくい材質からなるものが好ましい。具体的には、炭素繊維強化プラスチック(carbon-fiber-reinforced plastic,CFRP)からなるトッププレートを例示することができる。また、トッププレートは、マグネシウム合金や、アルミニウム合金などからなるものでも良い。
【0054】
なお
図7に示すように、トッププレートは、トッププレートの長手方向(図中Y軸方向)に沿って延び、上下方向に沿って突出するトップリブ115を備えてもかまわない。トップリブ115により、軽量で撓みにくい構造のトッププレートを形成することができる。
【0055】
なお、ベースプレート110の長手方向(図中Y軸方向)における線膨張率は、トッププレートの長手方向における線膨張率よりも高くしてもかまわない。これにより、アーム101の先端部か垂れ下がる方向の撓みを抑制することが可能となる。
【0056】
また本実施の形態の場合、第一トッププレート121と第二トッププレート122とは、ベースプレート110の幅方向(図中X軸方向)の両端部のそれぞれに均等に配置されているが、これに限定されるものではない。例えば、
図8に示すように、第一トッププレート121のみを備えたものでもかまわない。
【0057】
支持部材103は、ベースプレート110の上方であって第一補強部材111の側方に配置され、基板300を支持する支持位置と基板300が載置されるワイヤカセット200のワイヤ201の下方に位置する回避位置との間で出没する部材である。
【0058】
支持部材103は、アーム101の長手方向(図中Y軸方向)に一列に並んで配置され、
図11に示すように、基板300を支持する支持位置Tと基板300が載置されるワイヤ201の下方に位置する回避位置Bとの間で出没する部材である。なお、本実施の形態の場合、複数の支持部材103の内のいくつかを第一支持部材群131とグループ化し、他のいくつかを第二支持部材群132とグループ化している。具体的には、アーム101の最先端部に配置される支持部材103を含み、当該支持部材103から一つ飛ばしで配置される支持部材103を第一支持部材群131としてグループ化し、アーム101の最先端部に配置される支持部材103に隣接する支持部材103から一つ飛ばしで配置される支持部材103を第二支持部材群132としてグループ化している。
【0059】
本実施の形態の場合、支持部材103は、板状の部材であり、基板300と接触する部分はアールが設けられている。
【0060】
なお、支持部材103は、基板300を支持する際に基板300と当接する位置に弾性部材133を備えてもかまわない。これにより、支持部材103が基板300に当接する際の衝撃を緩和することが可能となる。さらに、弾性部材133は、支持部材103の本体に対して回動するように取り付けられていても良い。これにより、支持部材103が回動により出没する場合に、基板300と支持部材103との間に発生する擦れを弾性部材133の回動により緩和することが可能となる。この場合、支持部材103の回動軸と支持部材103に対する弾性部材133の回動軸とが平行に配置されることが好ましい。
【0061】
また、支持部材103は基板300を支持する際に基板300に対向する位置に、圧縮空気を吹き出すことにより基板300を非接触で保持する非接触保持部材を備えていても構わない。この場合、支持部材103はその対向する位置において幅方向(図中X方向)に厚みを持つ形状とし、非接触保持部材として圧縮空気源からの圧縮空気の供給を必要としない、例えば株式会社村田製作所製のマイクロブロアや高砂電気工業株式会社製のピエゾマイクロポンプを、その吹き出し口を上向きになるように指示部材103に取り付ける。これにより、支持部材103と基板300の直接の接触が制限され、磨耗粉の発生や振動の発生を緩和することが可能になる。
【0062】
本実施の形態の場合、移載装置100は、第一支持部材群131を出没させる第一駆動手段141と、第二支持部材群132を出没させる第二駆動手段142と、第一駆動手段141、および、第二駆動手段142(これらを「駆動手段」と総称する場合がある)を制御する制御部(図示せず)とを備えている。
【0063】
駆動手段は、支持部材103をアーム101に対して出没されることができるものであれば、特に限定されるものではない。例えば駆動手段としては、エアーアクチュエーターや、支持部材103を直動させるソレノイドなどでもかまわない。
【0064】
本実施の形態の場合、第一駆動手段141は、
図5に示すように、第一駆動源(図示せず)と、第一駆動源の駆動力を第一支持部材群131に伝達する第一伝達部材143と、第一伝達部材143の動作を第一支持部材群131に属する支持部材103の出没動作に変換する第一変換手段144とを備えている。第二駆動手段142は同様に、第二駆動源(図示せず)と、第二駆動源の駆動力を第二支持部材群132に伝達する第二伝達部材145と、第二伝達部材145の動作を第二支持部材群132に属する支持部材103の出没動作に変換する第二変換手段146とを備えている。
【0065】
図13は、駆動手段の駆動源近傍を模式的に示す平面図である。
【0066】
第一駆動源151は、第一支持部材群131に属する支持部材103をアーム101に対して出没させる駆動力を発生させる装置である。本実施の形態の場合、第一駆動源151は、アーム保持手段191に取り付けられた第一モータ(図示せず)を備えている。なお、同図中において第一駆動源151の回転駆動軌跡を一点鎖線の円で示している。
【0067】
第二駆動源152は、第二支持部材群132に属する支持部材103をアーム101に対して出没させる駆動力を発生させる装置である。本実施の形態の場合、第二駆動源152は、アーム保持手段191に取り付けられた第二モータ(図示せず)を備えている。なお、同図中において第二駆動源152の回転駆動軌跡を一点鎖線の円で示している。
【0068】
第一駆動手段141はさらに、第一モータの回転駆動力を、第一伝達部材143の延在方向(図中Y軸方向)に第一伝達部材143が直動するように伝達する第一継手153と、第一伝達部材143の直動をガイドする第一ガイド155とを備えている。
【0069】
第二駆動手段142はさらに、第二モータの回転駆動力を、第二伝達部材145の延在方向(図中Y軸方向)に第二伝達部材145が直動するように伝達する第二継手154と、第二伝達部材145の直動をガイドする第二ガイド156とを備えている。
【0070】
なお、これら第一駆動源151、第二駆動源152、第一継手153、第二継手154、第一ガイド155、第二ガイド156は、アーム101の基端部(アーム保持手段191で保持されている部分)近傍に配置されている。
【0071】
第一伝達部材143、および、第二伝達部材145(これらを「伝達部材」と総称する場合がある)は、支持部材103の並びに沿って配置される長尺棒状の部材である。本実施の形態の場合、伝達部材は、アーム101の基端部から先端部にわたって延在する中空の金属製のパイプであり、第一伝達部材143は、支持部材103の一方の側方に配置され、第二伝達部材145は支持部材103の他方の側方に配置されている。当該伝達部材は、間接的にアーム101と接続されており、アーム101の機械的強度の向上に寄与している。
【0072】
第一変換手段144、および、第二変換手段146(これらを「変換手段」と総称する場合がある)は、伝達部材の延在方向(図中Y軸方向)の直動を第一支持部材群131に属するそれぞれの支持部材103の出没動作(図中Z軸方向)に変換する機構である。
【0073】
本実施の形態の場合、
図11に示すように、変換手段はリンク機構である。具体的には、支持部材103の基端部は、アーム101の幅方向(図中X軸方向)に延びる回動軸体161で回転揺動するようにアーム101に軸支されている。変換手段は、リンク147を備え、リンク147の一端は、支持部材103の中間部と関節で接続されている。一方、リンク147の他端は、伝達部材の中間部と関節で接続されている。
【0074】
また、複数の第一変換手段144は、第一支持部材群131に属する複数の支持部材103と第一伝達部材143との間をそれぞれ接続し、複数の第二変換手段146は、第二支持部材群132に属する複数の支持部材103と第二伝達部材145との間をそれぞれ接続している。
【0075】
以上により、第一変換手段144は、伝達部材の直動を支持部材103の回転揺動に変換し、第一支持部材群131に属する支持部材103をアーム101に対して一度に出没させることができるものとなっている。第二変換手段146も同様である。
【0076】
なお、変換手段はリンク機構に限定されるわけではなく、カム機構を備えていてもかまわない。
【0077】
以上のように、本実施の形態の場合、支持部材103は、アーム101の長手方向に沿って一列に並んでいる。また、支持部材103は、アーム101の幅方向の中央に配置されている。さらに、支持部材103は、アーム101の幅方向の中央を通過しアーム101の長手方向に沿って垂直に広がる垂直面に沿って回転揺動することにより出没するものとなっているため、第一支持部材群131と第二支持部材群132とを交互に出没させる場合でも、アーム101がねじれるような振動を抑制することが可能となる。
【0078】
さらに、支持部材103は、アーム101の重心を通る水平面、またはその近傍の水平面を通過するように出没するため、支持部材103を出没させることによって発生するアーム101の上下方向の振動を抑制することが可能となる。
【0079】
また、アーム101の長手方向に延在する伝達部材の前記長手方向の直動に基づき支持部材103を出没させるため、アーム101の振動の発生を抑制することが可能となる。
【0080】
なお本実施の形態の場合、支持部材103は、ベースプレート110に直接軸支されているのではなく、ベースプレート110に貼り付けられた補助プレート116を介してベースプレート110に取り付けられている。これは、ベースプレート110がCFRPからなるものであり、CFRPの加工性が悪いため、加工性の高い金属製の補助プレート116に支持部材103や、駆動手段などを取り付け、当該補助プレート116を接着剤によりベースプレート110に取り付けることで生産性を向上させている。従って、補助プレート116を介さず支持部材103や、駆動手段などを直接ベースプレート110に取り付けてもかまわない。
【0081】
制御部は、第一駆動手段141、および、第二駆動手段142を制御する装置である。本実施の形態の場合のように駆動源がサーボモータを備えている場合、制御部は、サーボモータの回転を制御することにより駆動手段を制御する。これにより、支持部材103の出没を精密に制御することが可能となる。例えば、支持部材103の上下方向(図中Z軸方向)の単位時間当たりの変位、特に、基板300に当接する際の支持部材103の単位時間当たりの変位が、回転運動を単に直線運動に機械的に変換した場合のサインカーブよりも緩やかになるように制御して、支持部材103が基板に当接する際の衝撃を可及的に弱めることが可能となる。
【0082】
また、制御部は、第一支持部材群131を出没動作させた際に発生するアーム101の振動を打ち消すように、さらに第一支持部材群131を動作させる制御を行ってもよい。具体的には
図14に示すように、第一支持部材群131を支持位置Tに進出させると(同図中実線)、アーム101は定常位置(振動していない静止位置)から下がる方向に撓む(同図中破線)。その後アーム101は復元力により定常位置から上昇する方向に撓もうとする。このタイミングに合わせて第一支持部材群131を回避位置Bに没入させる制御を制御部が行うことにより、アーム101が定常位置から上昇する方向に撓もうとする力を相殺することが可能となる。以上によりアーム101の振動を制御部の制御により抑制することが可能となる。
【0083】
また制御部は、第一支持部材群131を出没動作させた際に発生するアーム101の振動を打ち消すように、第二支持部材群132を動作させる制御を行ってもよい。具体的には
図15に示すように、第一支持部材群131を支持位置Tに進出させると、アーム101は定常位置(振動していない静止位置)から下がる方向に撓む。このアーム101の撓みの発生タイミングに合わせて既に支持位置Tに進出していた第二支持部材群132を回避位置Bに没入させる制御を制御部が行うことにより、アーム101が定常位置から下降する方向に撓もうとする力を相殺することが可能となる。以上によりアーム101の振動を制御部の制御により抑制することが可能となる。
【0084】
なお、制御部は、アーム101に取り付けられているセンサ(例えば変位センサや加速度センサなど)によりアーム101の振動状態を検出し、当該検出結果に基づいて駆動手段を制御しても良い。また、制御部は、事前にアーム101の振動の傾向を取得し、これに対応したデータに基づき駆動手段を制御してもかまわない。
【0085】
なお、本願発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本願発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本願発明の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本願発明に含まれる。
【0086】
例えば、移載装置100は、固有振動数が異なる複数本のアーム101を備えてもかまわない。具体的には、アーム101の重量、および、アーム101の形状の少なくとも一方を異ならせることによりアームの固有振動数を異ならせることができる。
【0087】
これにより、複数のアーム101が共振して大きな振動が発生することを抑制できる。
【0088】
また、伝達部材を支持部材103の両側方にそれぞれ配置したが、伝達部材を支持部材103の回動する面内に上下に配置してもかまわない。