【解決手段】第一と第二の正極プローブ31,33と第一と第二の負極プローブ32,34とを備え、第一の正極プローブと第一の負極プローブとは、上面311,321と一側面312,322とがそれぞれ同一平面上に並んだ状態で隣接保持され、第一の正極プローブと第二の正極プローブとは、互いの一側面312,332が接離するように移動可能であり、第一の負極プローブと第二の負極プローブとは、互いの一側面322,342が接離移動可能であり、これらの接離移動を行う正極プローブの移動駆動源36と負極プローブの移動駆動源36とを備えることを特徴とする。
前記電子部品検査装置は、前記第一の正極プローブの上面と前記第一の負極プローブの上面とに前記電子部品の電極又はリードを当てて前記電子部品の検査を行う第一の検査方法と、前記電子部品検査装置の前記第一の正極プローブと前記第二の正極プローブの前記一側面同士と前記第一の負極プローブと前記第二の負極プローブの前記一側面同士との間に前記電子部品のリードを挟んで前記電子部品の検査を行う第二の検査方法とを選択可能であり、
前記実装データに、前記搭載する電子部品が前記第一と第二のいずれの検査方法で検査するかを示す情報を加え、
前記動作制御手段は、前記実装データに定められた前記検査方法の情報に従って個々の前記電子部品の検査を行わせることを特徴とする請求項3記載の電子部品実装装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
基板に実装する電子部品の中には、リードを有する電子部品がある(以下、リード部品とする)。このようなリード部品について電気的特性を検査する場合には、二本のリードを下方に向けた状態で吸着ノズルに吸着され、各リードの下端部を個々のプローブの上面に押しつけることで電気的に接続し、その電気的特性の検出を行う。
しかしながら、上記特許文献1の従来技術では、剛性が低いリードL1,L2を備えるリード部品Bについて上述の方法で検査を行うと、
図9に示すように、各リードL1,L2に撓みが生じ、変形してリードL1,L2の向きや間隔が変わってしまうおそれがあった。
基板に対する電子部品の実装位置は、近年高い位置精度が要求されることが多く、リード部品に上記のようなリードの変形が生じると、電子部品実装装置では基板にリード部品を実装することができなくなる場合があった。
【0005】
本発明は、良好な実装作業を行うことを可能とする電子部品検査装置及び電子部品実装装置を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、少なくとも上面部及び一側面部に導体面を備える第一の正極プローブ及び第一の負極プローブを備える電子部品検査装置において、少なくとも一側面部に導体面を備える第二の正極プローブ及び第二の負極プローブを備え、前記第一の正極プローブと前記第一の負極プローブとは、互いの前記上面同士と互いの前記一側面同士がそれぞれ同一平面上に並んだ状態で隣接保持され、前記第一の正極プローブと前記第二の正極プローブとは、少なくともいずれか一方の正極プローブが移動することにより互いの前記一側面同士が接離可能であり、前記第一の負極プローブと前記第二の負極プローブとは、少なくともいずれか一方の負極プローブが移動することにより互いの前記一側面同士が接離可能であり、前記移動を行う正極プローブの移動駆動源と、前記移動を行う負極プローブの移動駆動源とを備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記第二の正極プローブと前記第二の負極プローブとは、互いの前記一側面同士がそれぞれ同一平面上に並んだ状態で隣接保持され、前記正極プローブの移動駆動源と前記負極プローブの移動駆動源とを一つの駆動源により共用化することを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の発明は、電子部品の実装が行われる基板を保持する基板保持部と、実装される電子部品を供給する部品供給装置と、前記電子部品を吸着する吸着ノズルを昇降可能として搭載するヘッドと、前記基板保持部と前記部品供給部とを含む領域内で前記ヘッドの移動を行う移動機構と、前記ヘッドの吸着ノズルに搭載する電子部品の順番と搭載目標位置とが含まれた実装データを記憶する記憶部と、前記実装データに従って前記基板に対する電子部品の実装動作の動作制御を行う動作制御手段とを備える電子部品実装装置において、前記移動機構による前記ヘッドの移動する領域内に、請求項1又は2記載の前記電子部品検査装置を設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明と同様の構成を備えると共に、前記電子部品検査装置は、前記第一の正極プローブの上面と前記第一の負極プローブの上面とに前記電子部品の電極又はリードを当てて前記電子部品の検査を行う第一の検査方法と、前記電子部品検査装置の前記第一の正極プローブと前記第二の正極プローブの前記一側面同士と前記第一の負極プローブと前記第二の負極プローブの前記一側面同士との間に前記電子部品のリードを挟んで前記電子部品の検査を行う第二の検査方法とを選択可能であり、前記実装データに、前記搭載する電子部品が前記第一と第二のいずれの検査方法で検査するかを示す情報を加え、前記動作制御手段は、前記実装データに定められた前記検査方法の情報に従って個々の前記電子部品の検査を行わせることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の発明は、第一の正極プローブと第一の負極プローブとが、互いの上面同士が同一平面上に並んだ状態で隣接保持されているので、電子部品がいわゆるチップ部品である場合に、その二つの電極を第一の正極プローブの上面の導体面と第一の負極プローブの上面の導体面とに個々に当てた状態で検査を行うことができる。また、電子部品がいわゆるリード部品である場合に各リードの下端部を第一の正極プローブの上面の導体面と第一の負極プローブの上面の導体面とに個々に当てた状態で検査を行うことができる。
以下、これを「第一の検査方法」とする。
さらに、第一の正極プローブと第二の正極プローブとは、少なくともいずれか一方の正極プローブが移動することにより互いの一側面同士が接離可能であり、第一の負極プローブと第二の負極プローブとは、少なくともいずれか一方の負極プローブが移動することにより互いの一側面同士が接離可能である。このため、第一の正極プローブと第二の正極プローブの一側面の間と第一の負極プローブと第二の負極プローブの一側面の間とに個別にリード部品の各リードを挟んだ状態で検査を行うことができる。以下、これを「第二の検査方法」とする。
チップ部品やリードの剛性が高いリード部品については、第一の検査方法で上面当接により検査を行い、リードの剛性が低く変形しやすいリード部品については、第二の検査方法で側面にリードを挟んで検査を行う。
なお、第一の検査方法では、各プローブの移動動作を必要としないので、検査に要する時間の短縮化を図ることができる。
従って、リードの変形が生じやすい電子部品以外は、第一の検査方法により高速で検査を行い、リードの変形が生じやすい電子部品は、第二の検査方法により変形を防止して検査を行うことができる。
これにより、各種の電子部品の検査を行う場合に、リードの保護を図りつつ高速で検査を行うことが可能となる。
【0011】
請求項2記載の発明は、駆動源を共用化するので装置の製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0012】
請求項3記載の発明は、電子部品検査装置を搭載するので、各種の電子部品の検査に要する時間を短縮化することができ、実装作業全体の時間を短縮化することが可能となる。
また、リードの剛性の低い電子部品についても検査におけるリードの変形を防ぎ、より確実に実装することが可能となる。
【0013】
請求項4記載の発明は、電子部品検査装置を搭載し、実装データにより検査方法が選択されるので、検査を含む実装作業のより適切な自動化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[発明の実施形態]
発明の実施形態について、
図1乃至
図7に基づいて説明する。
図1は、本実施形態たる電子部品実装装置100の斜視図である。以下、図示のように、水平面において互いに直交する二方向をそれぞれX軸方向とY軸方向とし、これらに直交する鉛直方向をZ軸方向というものとする。
電子部品実装装置100は、基板Sに各種の電子部品B,Cの搭載を行うものである。電子部品Bは部品本体部の下端部に下方に延出された一対のリードL1,L2を備えたリード部品であり、電子部品Cは略直方体形状であってその底面の一端部と他端部とに平面的な電極を備えるチップ部品である。
電子部品実装装置100は、
図1に示すように、搭載される電子部品B,Cを供給する複数の部品供給装置としての電子部品フィーダ108を複数(
図1では一つのみ図示)並べて保持する設置部としてのフィーダバンク102からなる部品供給部と、X軸方向に基板を搬送する基板搬送手段103と、当該基板搬送手段103による基板搬送経路の途中に設けられた基板Sに対する電子部品搭載作業を行うための基板保持部としての基板クランプ機構104と、複数の吸着ノズル105を昇降可能に保持して電子部品B,Cの保持を行うヘッド106と、各吸着ノズル105における電子部品B,Cの吸着姿勢を検出する撮像手段としてのカメラ10と、ヘッド106を部品供給部と基板クランプ機構104とを含んだ作業エリア内の任意の位置に移動させる移動機構としてのX−Yガントリ107と、各吸着ノズル105に吸着された電子部品B,Cの電気的特性の検査をおこなう電子部品検査装置30と、上記各構成を搭載支持するベースフレーム114と、上記各構成の動作制御を行う動作制御手段としての制御装置120(
図6参照)とを備えている。
【0016】
かかる電子部品実装装置100は、制御装置120が、電子部品B,Cの実装に関する各種の設定内容が記録された実装データを保有している。実装データには、実装すべき電子部品B,Cのリストと、各電子部品B,Cの電子部品フィーダ108等の設置位置に基づく部品受け取り位置108aの位置データ(例えば、X−Yガントリ107のX−Y座標系における位置座標)と、各電子部品B,Cの基板上の実装位置を示す位置データ(例えば、X−Yガントリ107のX−Y座標系における位置座標)とが含まれており、制御装置120はこれらを読み出すと共に、X−Yガントリ107を制御してヘッド106を電子部品Cの受け取り位置108aと実装位置とに移送し、各位置においてヘッド106を制御して吸着ノズル105の昇降動作及び吸着又は解放動作を行い、電子部品Cの実装の動作制御を実行する。
【0017】
[基板搬送手段及び基板保持部]
基板搬送手段103は、図示しない搬送ベルトを備えており、その搬送ベルトにより基板をX軸方向に沿って搬送する。
また、前述したように、基板搬送手段103による基板搬送経路の途中には、電子部品B,Cを基板へ搭載する際の作業位置で基板Sを固定保持するための基板クランプ機構104が設けられている。かかる基板クランプ機構104は、基板搬送方向に直交する方向における両端部で基板Sをクランプするようになっている。また、基板クランプ機構104の下方には、クランプ時に基板Sの下面側に当接して電子部品搭載時に基板Sが下方に撓まぬように支承する複数の支持棒(図示略)が設けられている。基板Sはこれらにより保持された状態で安定した電子部品Cの搭載作業が行われる。
【0018】
[X−Yガントリ]
X−Yガントリ107は、X軸方向にヘッド106の移動を案内するX軸ガイドレール107aと、このX軸ガイドレール107aと共にヘッド106をY軸方向に案内する二本のY軸ガイドレール107bと、X軸方向に沿ってヘッド106を移動させる駆動源であるX軸モータ109と、X軸ガイドレール107aを介してヘッド106をY軸方向に移動させる駆動源であるY軸モータ110とを備えている。そして、各モータ109、110の駆動により、ヘッド106を二本のY軸ガイドレール107bの間となる領域のほぼ全体に搬送することを可能としている。
なお、各モータ109、110は、それぞれの回転量が制御装置120に認識され、所望の回転量となるように制御されることにより、ヘッド106を介して吸着ノズル105の位置決めを行っている。
また、電子部品実装作業の必要上、前述した二つのフィーダバンク102,基板クランプ機構104及び電子部品検査装置30とはいずれもX−Yガントリ107によるヘッド106の搬送可能領域内に配置されている。
【0019】
[ヘッド]
ヘッド106は、その先端部で空気吸引により電子部品B,Cを保持する吸着ノズル105と、吸着ノズル105をZ軸方向に沿って昇降させる昇降機構としてのZ軸モータ111(
図6参照)と、吸着ノズル105を回転させて保持された電子部品B,CをZ軸方向回りに角度調節するためのθ軸モータ112(
図6参照)とが設けられている。
また、上記吸着ノズル105は、Z軸方向に沿った状態で昇降可能且つ回転可能にヘッド106に支持されており、昇降による電子部品B,Cの受け取り又は実装及び回転による電子部品B,Cの角度調節が可能となっている。
さらに、吸着ノズル105はX軸方向に沿って均一ピッチで複数(例えば3本)並んで保持されており、電子部品B,Cの実装時にそれぞれの吸着ノズル105に電子部品の吸着を行ってから実装を行うようになっている。
また、Z軸モータ111、θ軸モータ112は、各吸着ノズル105ごとに個別に設けられている。
なお、吸着ノズル105は、少なくとも電子部品Cと接触するその下端部全体が10
5[Ω]以上10
8[Ω]以下の抵抗素材で形成されており、静電気により帯電した電子部品Cを吸着ノズル105が吸着した場合に、当該吸着ノズル105を通じて徐々に電荷を逃がすことができ、静電気による電子部品Cの破壊を防止することが可能となっている。
【0020】
また、ヘッド106の下部には各吸着ノズル105に吸着された電子部品を撮像するカメラ10が装備されている。このカメラ10はCCD或いはCMOS等の撮像素子を搭載し、画像をデータ化して取得することを可能としている。
上記カメラ10は、吸着ノズル105に吸着された電子部品を水平方向から撮像する。撮像の際には、吸着ノズル105は回転動作が付与される。制御装置120は、カメラ10の撮像により画像データを生成し、電子部品の画像が占める画素数からその幅を求めることができる。また、吸着ノズル105の回転による電子部品の撮像画像の幅の変化から、電子部品が現在どの方向を向いているかを特定する。なお、電子部品の幅の基準寸法のデータは前述した実装データに記録されており、これと照合しつつ電子部品の向きを特定する。
【0021】
[フィーダバンク及び電子部品フィーダ]
フィーダバンク102は、ベースフレーム114のY軸方向一端部(
図1手前側)にX軸方向に沿った状態で設けられている。フィーダバンク102は、X−Y平面に沿った長尺の平坦部を備え、当該平坦部の上面に複数の電子部品フィーダ108等がX軸方向に沿って並んだ状態で装備される(
図1では電子部品フィーダ108を一つのみ図示しているが実際には複数の電子部品フィーダ108等が並んで装備される)。
また、フィーダバンク102は、各電子部品フィーダ108等を保持するための図示しないラッチ機構を備えており、必要に応じて、各電子部品フィーダ108等をフィーダバンク102に対して装着又は分離することを可能としている。
【0022】
上述した電子部品フィーダ108は、複数の電子部品B又はCの貯留部を備え、その先端部の上部がヘッド106に対する電子部品Cの供給位置である受け渡し部となっている。そして、各電子部品フィーダ108の電子部品B又はCの受け渡し部の位置を示すX、Y座標値が前述した実装データに記録されている。
【0023】
[電子部品検査装置]
図2は電子部品検査装置30の概略構成を示す説明図、
図3は電子部品検査装置30の要部の斜視図である。
電子部品検査装置30は、各吸着ノズル105ごとに対応して設けられた第一の正極プローブ31、第一の負極プローブ32、第二の正極プローブ33及び第二の負極プローブ34と、各プローブ31〜34を通じて各種の電気的特性を測定する測定部40と、各吸着ノズル105ごとのプローブ31〜34を選択的に切り替えて測定部40に接続する切替部50とを備えている。
【0024】
電子部品検査装置30は、基板搬送手段103に隣接してベースフレーム114に固定支持された装置フレーム35を備えており、当該装置フレーム35の上部に各プローブ31〜34が配置されている。
【0025】
第一の正極プローブ31と第一の負極プローブ32とは、Y軸方向に沿って並んだ状態で隣接して配置されている。これら第一の正極プローブ31と第一の負極プローブ32は、その上面311,321とX軸方向における一端部側の一側面312,322とが導体面となっており、電子部品B,Cの電極との接触により導通し、通電可能となっている。
第一の正極プローブ31と第一の負極プローブ32とは、近接しつつ非接触状態を維持して互いの絶縁状態が保たれている。なお、第一の正極プローブ31と第一の負極プローブ32とは、互いの対向面を絶縁材料で被覆して密着させても良い。そして、第一の正極プローブ31及び第一の負極プローブ32は、X軸方向に沿って移動可能となるようにそれぞれが装置フレーム35に対してスライドガイド351,352を介して支持されている。なお、第一の正極プローブ31と第一の負極プローブ32とは、互いの上面311,321及び一側面312,322がそれぞれ同一平面上に並んだ状態で連結されており、一体的にX軸方向に沿って移動を行う。
【0026】
第二の正極プローブ33と第二の負極プローブ34もまた、Y軸方向に沿って並んだ状態で隣接して配置されている。これら第二の正極プローブ33と第二の負極プローブ34も、上面331,341及びX軸方向における一端部側の一側面332,342が導体面となっており、電子部品B,Cの電極との接触により導通し、通電可能となっている。
これら第二の正極プローブ33と第二の負極プローブ34も、近接しつつ非接触状態を維持して互いの絶縁状態が保たれている。また、これらも互いの対向面を絶縁材料で被覆して密着させても良い。
そして、第二の正極プローブ33及び第二の負極プローブ34は、X軸方向に沿って移動可能となるようにそれぞれが装置フレーム35に対してスライドガイド353,354を介して支持されている。なお、第二の正極プローブ33と第二の負極プローブ34とは、互いの上面331,341及び一側面332,342がそれぞれ同一平面上に並んだ状態で連結されており、一体的にX軸方向に沿って移動を行う。
【0027】
さらに、装置フレーム35において、第二の正極プローブ33の一側面332は第一の正極プローブ31の一側面321と対向し、第二の負極プローブ34の一側面342は第一の負極プローブ32の一側面312と対向するように配置されている。これにより、第一の正極プローブ31及び第一の負極プローブ32と、第二の正極プローブ33及び第二の負極プローブ34とを、互いに近接する方向に移動させることにより、第一の正極プローブ31と第二の正極プローブ33の互いの一側面312,332と、第一の負極プローブ32と第二の負極プローブ34の互いの一側面322,342とを当接させることが可能となっている。
なお、この時、第一の正極プローブ31の一側面312と第二の負極プローブ34の一側面342とは接触せず、且つ、第二の正極プローブ33の一側面332と第一の負極プローブ32の一側面322とは接触しないように、各プローブ31〜34は配置されている。
【0028】
また、一体的に連結された第一の正極プローブ31及び第一の負極プローブ32と、一体的に連結された第二の正極プローブ33及び第二の負極プローブ34とは、図示しないリンク機構を介して移動駆動源であるソレノイド36(
図6参照)により上記接離移動動作が付与される。
なお、上記アクチュエーターとしてはソレノイド36に限らず、エアシリンダー、モータ等でも良い。
【0029】
電子部品検査装置30は、チップ部品である電子部品Cの検査を行う場合には、
図5に示すように、第一の正極プローブ31及び第一の負極プローブ32と第二の正極プローブ33及び第二の負極プローブ34とが離間した位置に移動され、第一の正極プローブ31の上面311と第一の負極プローブ32の上面321とに電子部品Cの底面の二つの電極を個別に当接させる。これにより、電子部品Cの各電極を第一の正極プローブ31と第一の負極プローブ32とに個別に接続し、検査を行うことを可能としている。これを「第一の検査方法」とする。
また、各リードL1,L2の剛性が高く、リードL1,L2を上方から各プローブ31,32の上面311,321に当接させても曲がりを生じないようなリード部品である電子部品Bも上記第一の検査方法で検査を行う。
【0030】
一方、各リードL1,L2の剛性が低く、リードL1,L2を上方から各プローブ31,32の上面311,321に当接させると曲がりを生じ得るようなリード部品である電子部品Bについて検査を行う場合には、以下のように検査を行う。
即ち、
図5に示すように、各リードL1,L2の下端部が各第一の正極プローブ31と第一の負極プローブ32の上面よりも低くなるまで下降させた状態で、第一の正極プローブ31の一側面312と第二の正極プローブ33の一側面332とが密接し、第一の負極プローブ32の一側面322と第二の負極プローブ34の一側面342とが密接する方向に移動させる。
これにより、リードL1を第一の正極プローブ31の一側面312と第二の正極プローブ33の一側面332との間に挟み、リードL2を第一の負極プローブ32の一側面322と第二の負極プローブ34の一側面342との間に挟み込む。これにより、電子部品Bの各リードL1,L2を第一の正極プローブ31と第一の負極プローブ32とに個別に接続し、検査を行うことを可能としている。これを「第二の検査方法」とする。
【0031】
なお、プローブ31〜34は四つを一組として吸着ノズル105毎に装置フレーム35に装備されており、プローブ31〜34の各組の配置は、ヘッド106における各吸着ノズル105の平面視での並び方向に一致してX軸方向に並んでいる。
【0032】
切替部50は、プローブ31〜34の三つの組に接続された三組の配線を測定部40の検出端子の組に切り替え接続が可能なロータリースイッチであり、切り替えを行うアクチュエーターを搭載している。そして、切替部50は、各吸着ノズル105の電子部品B又はCがそれぞれのプローブ31〜34により検査が行われる際に、各組に順番に切り替えが行われるように制御装置120により動作制御が行われる。
【0033】
測定部40は、いわゆるマルチテスターであり、抵抗検出部41と静電容量検出部42とを備えると共に、各検出部41,42の検出範囲について複数のレンジの選択が可能となっている。つまり、測定部40は、電子部品B,Cに対して電気的特性として抵抗値及び静電容量について選択的に検出を行うことが可能となっている。
そして、測定部40は、抵抗検出部41と静電容量検出部42のいずれにより電子部品B,Cに対する検出を行うか、また、いずれのレンジで検出を行うかが制御装置120の制御によって決定される。
【0034】
[電子部品実装装置の制御系]
図6は電子部品実装装置100の制御系を示すブロック図である。図示のように、X−Yガントリ107のX軸モータ109、Y軸モータ110、ヘッド106において吸着ノズル105の昇降を行うZ軸モータ111、吸着ノズル105の回転を行うθ軸モータ112は、それぞれ図示しない駆動回路を介して制御装置120に接続されている。なお、Z軸モータ111及びθ軸モータ112は実際には三基ずつ備えているが図示は一つのみに省略する。
また、制御装置120には、カメラ10、電子部品検査装置30の三つのソレノイド36(一つのみ図示)、切替部50及び測定部40が接続されている。
【0035】
そして、制御装置120は、後述する制御プログラムを実行するCPU121と、制御プログラムが格納されたシステムROM122と、各種のデータを格納することで各種の処理の作業領域となるRAM123と、CPU121と各種の機器との接続を図るI/F(インターフェース)124と、実装データ、その他の設定情報等が格納される不揮発性メモリである記憶部としての記憶装置127と、各種の設定や操作に要するデータの入力を行うための操作パネル125と、各種設定の内容や必要情報の提示さらには報知画面表示等を行う報知手段としての表示モニタ128とを有している。
【0036】
記憶装置127には、実装データが記憶され、当該実装データには、前述したように、基板Kに対する実装すべき電子部品B,Cのリスト、各電子部品B,Cの実装の順番、各電子部品B,Cの受け取り位置を示す所在位置データ、基板Kにおける実装位置を示す実装位置データ、各電子部品B、Cの寸法データ等が記憶されている。またさらに、この実装データ中には、各電子部品B、Cがチップ部品とリード部品のいずれであるかという情報と、第一の検査方法と第二の検査方法のいずれにより検査を行うかという情報と、各電子部品B、Cの電気的特性データとが含まれている。
さらに、上記電気的特性データには、部品種及びその特性値のデータが含まれている。例えば、電子部品B、Cの部品種としては、抵抗素子、コンデンサ、ダイオードが挙げられ、特性値としては、抵抗素子は抵抗値、コンデンサは静電容量、ダイオードは抵抗値(ダイオードは極性を有するので正しい極性の時の抵抗値)が記憶される。
【0037】
[制御装置による動作制御]
制御プログラムによってCPU121が行う電子部品実装の動作制御を
図7のフローチャートを参照しつつ説明する。
CPU121は、実装データを読み込み(ステップS1)、定められた順番に応じて三つの吸着ノズル105について順番に対象となる電子部品B又はCの受け取り位置にヘッド106を移動させて各々吸着動作を実行する(ステップS2)。
【0038】
各吸着ノズル105による吸着後は、各吸着ノズル105を撮像位置で回転させてカメラ10により吸着された電子部品の向き(Z軸回りの向き)の検出を行う(ステップS3)。
【0039】
一方、全ての吸着ノズル105について電子部品B又はCの向きが得られた場合には、CPU121は、ヘッド106を電子部品検査装置30に移動させる。このとき、実装データから吸着されている電子部品B又はCが第一と第二のいずれの検査方法を行うべきかを判定し(ステップS4)、第一の検査方法が選択されている場合にはこれを実施する(ステップS5)。
即ち、第一の正極プローブ31と第一の負極プローブ32の境界位置の上方に吸着ノズル105を位置決めし、これらのプローブ31,32の上面311,321を跨る向きに電子部品B又はCを回転し、吸着ノズル105を下降させて、各リードL1,L2又は電極を各プローブ31,32の上面に個別に接触させる。
そして、ステップS7に処理を進める。
【0040】
また、ステップS4において、第二の検査方法が選択されている場合には、CPU121は、第二の検査方法を実施する(ステップS7)。
即ち、四つのプローブ31〜34の中心位置に電子部品Bを位置決めし、電子部品Bの部品本体の下端部が各プローブ31〜34の上面よりも高くなり、リードL1,L2の下端部が各プローブ31〜34の上面よりも低くなる位置まで電子部品Bを下降させる。また、二本のリードL1,L2がY軸方向に並ぶように電子部品Bを回転させる。
そして、ソレノイド36により第一の正極プローブ31及び第一の負極プローブ32と第二の正極プローブ33及び第二の負極プローブ34とが互いに近接する方向に移動させ、リードL1を第一の正極プローブ31と第二の正極プローブ33の一側面312,332の間で挟持し、リードL2を第一の負極プローブ32と第二の負極プローブ34の一側面322,342の間で挟持する。
そして、ステップS7に処理を進める。
【0041】
ステップS7では、CPU121は、電子部品B又はCについて実装データに定められた電気的特性との整合性を判定する。
なお、上記ステップS4〜S7までの処理は、ノズル105ごとに全て繰り返し実行される。また、検査を行う吸着ノズル105が切り替わる際には、CPU121は、切替部50を制御して検査を行うプローブ31〜34の組を適宜選択する。また、実装データが示す部品種に対応する検出部41,42を適宜選択する。
【0042】
そして、全ての吸着ノズル105について、電子部品検査装置30において得られた電気的特性が実装データの内容と一致する場合には(ステップS7:YES)、各電子部品B又はCの基板実装位置に順番にヘッド106を移動させつつ各電子部品B又はCについて実装に適した向きとなるように吸着ノズル105を回転させて(ステップS8)、各実装位置において吸着ノズル105を下降させて順番に実装動作を行い(ステップS9)、処理を終了する。
【0043】
一方、ステップS7において、いずれかの吸着ノズル105について、電気的特性の不整合が認められる場合には(ステップS7:NO)、表示モニタ128に不整合の発生を示す報知画面及びいずれの吸着ノズル105に不整合が生じたかを示す内容を表示させて報知処理を実行する(ステップS10)。作業者は、これにより、対象となる吸着ノズル105について電子部品Cの取り違えがあるか検証を行うことができる。例えば、電子部品フィーダ108の取り違え、電子部品フィーダ108に取り付けるリールの取り違え、或いはテープの継ぎ足しを行った場合の継ぎ足しテープの取り違え、実装データの受け取り位置の入力ミス等を検証して原因の特定及び復旧作業を行うことができる。
【0044】
[実施形態の効果]
以上のように、電子部品実装装置100の電子部品検査装置30は、第一の正極プローブ31の上面311と第一の負極プローブ32の上面321とに電子部品BのリードL1,L2又は電子部品Cの電極を当接させて検査する第一の検査方法と、第一の正極プローブ31の一側面312と第二の正極プローブ33の一側面332との間に電子部品BのリードL1を挟み、第一の負極プローブ32の一側面322と第二の負極プローブ34一側面342との間にリードL2を挟んで電子部品Bを検査する第二の検査方法とを選択的に行うことが可能となっている。
電子部品C(チップ部品)やリードの剛性が高い電子部品B(リード部品)については、第一の検査方法で迅速な検査を行うことができ、リードの剛性が低く変形しやすい電子部品B(リード部品)については、第二の検査方法で電子部品BのリードL1,L2を保護しつつ検査を行うことができる。
これにより、電子部品検査装置30は、各種の電子部品の検査を行う場合に、リードの保護を図りつつ高速で検査を行うことが可能となり、電子部品実装装置は100は迅速な電子部品実装を行うことが可能となる。
【0045】
また、電子部品検査装置30は、四つのプローブ31〜34の動作を一つのソレノイド36で行うことができ、アクチュエーター数の低減により装置の製造コストの低減を図ることが可能となる。
【0046】
また、電子部品実装装置100は、実装データにより第一と第二の検査方法が選択されるので、検査を含む実装作業のより適切な自動化を図ることが可能となる。
【0047】
[その他]
なお、上記電子部品検査装置30において、各プローブ31〜34は個々にソレノイドを備え、個別に動作を行っても良い。
また、上記電子部品検査装置30では、第一の正極プローブ31及び第一の負極プローブ32と第二の正極プローブ33及び第二の負極プローブ34とが互いに接離する方向に移動を行っているが、第一の正極プローブ31及び第一の負極プローブ32のみ又は第二の正極プローブ33及び第二の負極プローブ34のみが他方に接離移動する構成としても良い。
【0048】
また、各プローブ31〜34を良導体から形成し、表面全体を導体面としても良い。
或いは、第二の正極プローブ33と第二の負極プローブ34については一側面332,342以外は絶縁されている構成としても良い。