特開2015-10383(P2015-10383A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-10383(P2015-10383A)
(43)【公開日】2015年1月19日
(54)【発明の名称】引戸型防音扉
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/20 20060101AFI20141216BHJP
   E06B 7/22 20060101ALI20141216BHJP
【FI】
   E06B5/20
   E06B7/22 B
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-136371(P2013-136371)
(22)【出願日】2013年6月28日
(11)【特許番号】特許第5334232号(P5334232)
(45)【特許公報発行日】2013年11月6日
(71)【出願人】
【識別番号】509170202
【氏名又は名称】有限会社小林スチール工業
(74)【代理人】
【識別番号】100178102
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100145425
【弁理士】
【氏名又は名称】大平 和由
(72)【発明者】
【氏名】木村 丹二
【テーマコード(参考)】
2E036
2E039
【Fターム(参考)】
2E036AA05
2E036BA01
2E036CA01
2E036DA03
2E036DA04
2E036EB02
2E036EB07
2E036HB02
2E039BB04
(57)【要約】
【課題】簡単な構成で操作性に優れ、高い防音性を有する引戸型防音扉を提供することを課題とする。
【解決手段】扉本体1の上辺1aの天井面1eに取り付けられ、開閉方向の後尾部分から先頭部分に近づくにつれて、鉛直方向の厚さが減少するようにくさび状をなした第1のゴムシール3aと、固定枠部2に配設され第1のゴムシール3aと同一角度のくさび状をなす第1のシール面2aと、扉本体1の下辺1bの一方の側面1fに取り付けられ、扉本体1の開閉方向の後尾部分から先頭部分に近づくにつれて、水平方向の厚さが減少するようにくさび状をなした第2のゴムシール3bと、固定枠部2に配設され第2のゴムシール3bと同一角度のくさび状をなす第2のシール面2bとを備え、扉本体1の閉位置において第1のゴムシール3aと第1のシール面2aが当接して密着し、第2のゴムシール3bと第2のシール面2bが当接して密着することを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
引戸型の防音扉であって、
扉本体の上辺の天井面に取り付けられ、上記扉本体の開閉方向の後尾部分から先頭部分に近づくにつれて、鉛直方向の厚さが減少するようにくさび状をなした第1のゴムシールと、
上記第1のゴムシールに対向して上記扉の固定枠部に配設され、上記扉本体の開位置から閉位置に近づくにつれて、上記第1のゴムシールとの当接面が上記扉本体の上辺に接近する方向に傾いて上記第1のゴムシールと同一の傾斜角のくさび状をなす第1のシール面と、
上記扉本体の下辺に沿った一方の側面に取り付けられ、上記扉本体の開閉方向の後尾部分から先頭部分に近づくにつれて、水平方向の厚さが減少するようにくさび状をなした第2のゴムシールと、
上記第2のゴムシールに対向して上記扉の固定枠部に配設され、上記扉本体の開位置から閉位置に近づくにつれて、上記第2のゴムシールとの当接面が上記扉本体の下辺に沿った側面に接近する方向に傾いて上記第2のゴムシールと同一の傾斜角のくさび状をなす第2のシール面
を備え、
上記扉本体の閉位置において、上記第1のゴムシールと上記第1のシール面が当接して密着し、上記第2のゴムシールと上記第2のシール面が当接して密着する、
ことを特徴とする防音扉。
【請求項2】
上記扉本体の下辺に沿った両側の側面の各々一方に1つずつ取り付けられ、上記扉本体の開閉方向の後尾部分から先頭部分に近づくにつれて、水平方向の厚さが減少するようにくさび状をなした2か所の第2のゴムシールと、
上記第2のゴムシールの各々に対向して上記扉の固定枠部に各々配設され、上記扉本体の開位置から閉位置に近づくにつれて、2か所の第2のゴムシールとの当接面が上記扉本体の下辺に沿った両側面に接近する方向に傾いて2か所の上記第2のゴムシールの各々と同一の傾斜角のくさび状をなす2か所の第2のシール面を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の防音扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、引戸型防音扉に関する。
【背景技術】
【0002】
防音扉には色々な方式のものがあるが、引戸型の防音扉は閉状態で扉本体の面と垂直方向の力を加える構成とすることが片開きの横回転型の防音扉に比べて困難であり、防音のためのシール装置のシール部をいかに密着させるかが大きな課題となっている。
【0003】
このための密着方式として様々なものが存在する。特許文献1には戸当り面に当接する引戸の当接面が引戸の動線に対して所定の角度傾けられて設けられる方式の引戸型防音扉が記載されている。特許文献2には複数枚の引戸の閉位置において互いに噛み合う召し合せアングルに特徴を有する防音引戸ユニットが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−126980号公報
【特許文献2】特開平07−293128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の方式では、引戸の開閉動作に対して垂直方向の移動成分を持たせるための機構が必要で構成が複雑となり、開閉動作の容易性にも問題がある。また、特許文献2の方式では、防音上問題となる扉の上辺及び下辺側のシール性が十分に考慮されていないという問題がある。このように、一般に引戸型の防音扉では機構の複雑性、操作の煩雑さが密閉性自体とともに常に問題となってきた。
【0006】
本発明は上記課題を解決し、簡単な構成で操作性に優れ、高い防音性を有する引戸型防音扉を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、引戸型の防音扉であって、扉本体の上辺の天井面に取り付けられ、扉本体の開閉方向の後尾部分から先頭部分に近づくにつれて、鉛直方向の厚さが減少するようにくさび状をなした第1のゴムシールと、第1のゴムシールに対向して扉の固定枠部に配設され、扉本体の開位置から閉位置に近づくにつれて、第1のゴムシールとの当接面が扉本体の上辺に接近する方向に傾いて第1のゴムシールと同一の傾斜角のくさび状をなす第1のシール面と、扉本体の下辺に沿った一方の側面に取り付けられ、扉本体の開閉方向の後尾部分から先頭部分に近づくにつれて、水平方向の厚さが減少するようにくさび状をなした第2のゴムシールと、第2のゴムシールに対向して扉の固定枠部に配設され、扉本体の開位置から閉位置に近づくにつれて、第2のゴムシールとの当接面が扉本体の下辺に沿った側面に接近する方向に傾いて第2のゴムシールと同一の傾斜角のくさび状をなす第2のシール面を備え、扉本体の閉位置において、第1のゴムシールと第1のシール面が当接して密着し、第2のゴムシールと第2のシール面が当接して密着することを特徴とする。
請求項2の発明は、さらに、扉本体の下辺に沿った両側の側面の各々一方に1つずつ取り付けられ、扉本体の開閉方向の後尾部分から先頭部分に近づくにつれて、水平方向の厚さが減少するようにくさび状をなした2か所の第2のゴムシールと、第2のゴムシールの各々に対向して扉の固定枠部に各々配設され、扉本体の開位置から閉位置に近づくにつれて、2か所の第2のゴムシールとの当接面が扉本体の下辺に沿った両側面に接近する方向に傾いて2か所の第2のゴムシールの各々と同一の傾斜角のくさび状をなす2か所の第2のシール面を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、扉の本体の面に垂直な力を加える等の操作を不要とし、本来の開閉方向の力を加えるだけで容易に開閉が行え、高い防音性が得られる引戸型防音扉が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の防音扉の第1の実施形態を示す全体図であり、(a)は正面図、(b)は扉本体部の横断面図、(c)は同縦断面図である。
図2】第1の実施形態の扉本体部の縦断面図である。
図3】第1の実施形態の扉本体部の横断面図である。
図4】第1の実施形態のゴムシール部の組立図である。
図5】第1の実施形態のゴムシール受け金物とゴムシールの組立要領を示す図である。
図6】ゴムシールのコーナー部の構成の第1の実施例を示す図である。
図7】ゴムシールのコーナー部の構成の第2の実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の第1の実施形態について図を用いて説明する。
まず、本実施形態の構成について説明する。
図1〜3に示すように、本実施形態の引戸型の防音扉は、扉本体1の上辺1aの天井面1eに取り付けられ、扉本体1の開閉方向の後尾側の辺1dから先頭側の辺1cに近づくにつれて、鉛直方向の厚さHが減少するようにくさび状をなした第1のゴムシール3aと、第1のゴムシール3aに対向して扉の固定枠部2に配設され、扉本体1の開位置から閉位置に近づくにつれて、第1のゴムシール3aとの当接面が扉本体1の上辺1aに接近する方向に傾いて第1のゴムシールと同一の傾斜角のくさび状をなす第1のシール面2aと、扉本体1の下辺1bに沿った廊下側の側面1fに取り付けられ、扉本体1の開閉方向の後尾側の辺1dから先頭側の辺1cに近づくにつれて、水平方向の厚さDが減少するようにくさび状をなした第2のゴムシール3bと、第2のゴムシール3bに対向して扉の固定枠部2に配設され、扉本体1の開位置から閉位置に近づくにつれて、第2のゴムシール3bとの当接面が扉本体1の下辺1bに沿った廊下側の側面1fに接近する方向に傾いて第2のゴムシールと同一の傾斜角のくさび状をなす第2のシール面2bとを備え、扉本体1の閉位置において、第1のゴムシール3aと第1のシール面2aが当接して密着し、第2のゴムシール3bと第2のシール面2bが当接して密着する構成となっている。なお、固定枠部2に配設される各シール面は全て金属面により構成される。
【0011】
上記構成についてさらに詳しく説明する。
図2に示すように、扉本体1の上辺1aの天井面1eには第1のゴムシール3aが取り付けられている。第1のゴムシール3aは厚さ方向の寸法Hが扉本体1の前進側へ行くほど順次小さくなるように上面3eが水平面に対して一定の傾斜角度をなして構成されている。
これに対して、第1のゴムシール3aに当接する扉の固定枠部2の第1のシール面2aも第1のゴムシール3aの上面と同一の傾斜角で傾斜している。
【0012】
さらに、扉本体1の下辺1bの側面1fには第2のゴムシール3bが取り付けられている。第2のゴムシール3bは厚さ方向の寸法Dが扉本体1の前進側へ行くほど順次小さくなるように側面3fが扉本体1の鉛直面に対して一定の傾斜角度をなして構成されている。
これに対して、第2のゴムシール3bに当接する扉の固定枠部2の第2のシール面2bも第2のゴムシール3bの側面と同一の傾斜角で傾斜している。
【0013】
次に、扉本体1の残りのシール部である扉本体1の先頭側の辺1cと後尾側の辺1dのシール機構について説明する。
図3に示すように、扉本体1の閉動作により先頭側の辺1cが固定枠部2に押し付けられることで第3のゴムシール3cと第3のシール面2c、及び第4のゴムシール3dと第4のシール面2dがそれぞれ密着する機構を採用し、防音性を保つ構成としている。
【0014】
すなわち、扉本体1の閉状態では第3のゴムシール3cは、固定枠部2の第3のシール面2cと密着する構成となっている。また、第4のゴムシール3dは固定枠部2の第4のシール面2dと密着する構成となっている。これらの部分のシール機構としては、扉本体1の閉動作の力の方向が各シール部を密着させる方向と一致しているため、当然ながら上記のようなシール面に傾斜角を持たせる機構は必要とされない。
【0015】
なお、本実施形態ではさらに、先頭側の辺1cに第5のシール面2eを配設し、これに当接する固定枠部2に第5のゴムシール3eを配設するとともに、後尾側の辺1dに第6のシール面2fを配設し、これに当接する固定枠部2に第6のゴムシール3fを配設している。
【0016】
扉本体1に取り付けられる各ゴムシール3a〜3dは図4に示すように、コーナー用シール3gと直線部用シール3hとに分割されて構成されており、図5に示すゴムシール受け金物1gの取付け溝1hにコーナー用シール3gを挿入し、さらに直線部用シール3hの挿入穴(不図示)にコーナー用シール3gの挿入部3iを挿入することで組み立てられる。ゴムシールとしては、図4に示すようにスポンジゴム3jと、シール面の反対側にマグネットのついたマグタイト3kの2種類を組み合わせて用いている。
【0017】
ゴムシールのコーナー部としては、図4図6に示すようなL字形のスポンジゴム3jの各辺からマグネットの挿入部3iを突出させた構成や、図7に示すようなコーナーのスポンジゴム3jに直接マグタイト3kが各辺方向に接続され、マグタイト3kからマグネットの挿入部3mを突出させた構成のいずれかを採用すればよい。
【0018】
次に、本実施形態の機能について説明する。
本実施形態の防音扉は、扉本体1を開状態から前進させて閉状態にすると、扉本体1の上辺1aの天井面1eに設けられた第1のゴムシール3aが扉の固定枠部2に配設される第1のシール面2aに密着する。これは、第1のゴムシール3aと第1のシール面2aとが同一の傾きの傾斜面となっており、扉本体1の前進側へ行くほど第1のゴムシール3aの上下方向の厚さと、第1のシール面2aと天井面1eとの間のスペースが小さくなるように構成されているため、扉本体1を前進させて開状態から閉状態に移動させる際、くさびの効果により小さな前進方向の力で大きな上下方向の押し付け力が発生するからである。
【0019】
同様に、扉本体1を開状態から前進させて閉状態にすると、扉本体1の下辺1bの側面1fに設けられた第2のゴムシール3bが扉の固定枠部2に配設される第2のシール面2bに密着する。これも上記と同様に、第2のゴムシール3bと第2のシール面2bとが同一の傾きの傾斜面となっており、扉本体1の前進側へ行くほど第2のゴムシール3bの水平方向の厚さと、第2のシール面2bと側面面1fとの間のスペースが小さくなるように構成されているため、扉本体1を前進させて開状態から閉状態に移動させる際、くさびの効果により小さな前進方向の力で大きな水平方向の押し付け力が発生するからである。
【0020】
なお、上記くさびの効果により上下方向及び水平方向の押し付け力を発生させるために、特に図示しないが、扉本体1の開閉動作における扉本体1の上下方向及び水平方向(進行左右方向)の位置ずれ(がた)を固定枠部2との関係で所定の寸法以内に抑える構成としている。
【0021】
また、扉本体を閉状態から後退させて開状態にする際、強く密着していた第1のゴムシール3aと第1のシール面2a、及び第2のゴムシール3bと第2のシール面2bはそれらの密着力と比較して小さな水平方向の力で、しかも短い距離を移動させるだけで容易に引き離すことができる。これもくさびの効果によるものである。
【0022】
本実施形態の防音扉では上記のように、扉本体の水平方向の動作のみで、また、扉本体に小さな水平力を加えるだけで、容易に閉状態まで移動させることができ、扉本体と固定枠部との高い密着性が得られる。また、扉本体を閉状態から開状態に移行させる場合も同様に、扉本体の水平方向の動作のみで、また、扉本体に小さな水平力を加えるだけで、開状態まで移動させることができる。すなわち、本実施形態においては、シール性つまり防音性と、操作の容易性とが両立し、しかも、極めて簡単な構成によりこれらが実現している。これは、従来の防音扉では得られなかった効果であり、本実施形態の大きな特徴である。従来の防音扉においてはシール性の向上のために扉の開閉方向と垂直方向の力を扉に加えるべく、複雑な機構を採用したり、手間や力を要する開閉動作を強いられたりするものが多かったのである。本実施形態ではくさび機構の採用により上記問題点を解消し、単純な構成で高い防音性と操作の容易性とを共に実現させている。
【0023】
次に、第2の実施形態について説明する。
本実施形態では、上記の第1の実施形態の内、扉本体の下辺に沿った廊下側の側面のゴムシール及びこれに対抗する固定枠部のシール面が扉本体のルーム側の側面にも配設(不図示)されている。すなわち、扉本体の下辺に沿った両側の側面の各々一方に1つずつ取り付けられ、扉本体の開閉方向の後尾部分から先頭部分に近づくにつれて、水平方向の厚さが減少するようにくさび状をなした2か所の第2のゴムシール3bと、これら各々の第2のゴムシール3bに対向して扉の固定枠部2に各々配設され、扉本体1の開位置から閉位置に近づくにつれて、2か所の第2のゴムシール3bの各々との当接面が扉本体の下辺に沿った両側面に両側から接近する方向に傾いて2か所の第2のゴムシール3bの各々と同一の傾斜角のくさび状をなす2か所の第3のシール面2bとを備えることを特徴とする。
これにより、本実施形態では扉本体の下辺におけるシール性がさらに向上し、防音効果をさらに高めることができる。
【符号の説明】
【0024】
1 扉本体
1a 上辺
1b 下辺
1c 先頭側の辺
1d 後尾側の辺
1e 天井面
1f 側面
1g ゴムシール受け金物
1h 取付け溝
2 固定枠部
2a 第1のシール面
2b 第2のシール面
2c 第3のシール面
2d 第4のシール面
2e 第5のシール面
2f 第6のシール面
3a 第1のゴムシール
3b 第2のゴムシール
3c 第3のゴムシール
3d 第4のゴムシール
3e 第5のゴムシール
3f 第6のゴムシール
3g コーナー用シール
3h 直線部用シール
3i、3m 挿入部
3j スポンジゴム
3k マグタイト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7