【課題】コイルにて擬似共振を行うと共に、簡易な構成でコイルに流れる電流をモニタし、ゼロクロス点または共振動作でのボトム検出可能な電源制御回路、その電源制御回路を適用した電源装置を提供する。
前記擬似共振制御回路は、出力が前記MOSFETのゲートに接続され、前記ハイパスフィルタに導通する電流を検出して、前記ゼロクロス点およびボトムタイミングにおいて、前記MOSFETを導通制御可能であることを特徴とする請求項1に記載の電源制御回路。
前記擬似共振制御回路は、前記電流センス抵抗に導通する電流を検出して、所定のリセットタイミングにおいて、前記MOSFETを非導通制御可能であることを特徴とする請求項2に記載の電源制御回路。
前記MOSFETは、前記RSフリップフロップのセット動作タイミングで導通制御され、前記RSフリップフロップのリセット動作タイミングで非導通制御されることを特徴とする請求項5に記載の電源制御回路。
前記擬似共振制御回路は、出力が前記MOSFETのゲートに接続され、前記ハイパスフィルタに導通する電流を検出して、前記ゼロクロス点およびボトムタイミングにおいて、前記MOSFETを導通制御可能であることを特徴とする請求項7に記載の電源装置。
前記擬似共振制御回路は、前記電流センス抵抗に導通する電流を検出して、所定のリセットタイミングにおいて、前記MOSFETを非導通制御可能であることを特徴とする請求項8に記載の電源装置。
前記MOSFETは、前記RSフリップフロップのセット動作タイミングで導通制御され、前記RSフリップフロップのリセット動作タイミングで非導通制御されることを特徴とする請求項11に記載の電源装置。
前記電源装置は、降圧型LED照明装置、昇圧型LED照明装置、フライバック型LED照明装置のいずれかであることを特徴とする請求項7〜12のいずれか1項に記載の電源装置。
前記電子機器は、モニタ、外部ハードディスクドライブ、セットトップボックス、ラップトップPC、タブレットPC、スマートホン、バッテリーチャージャーシステム、パーソナルコンピュータ、ディスプレイ、プリンタ、掃除機、冷蔵庫、ファクシミリ、電話機、通信機器、サーバのいずれかであることを特徴とする請求項17に記載の電子機器。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各構成部品の厚みと平面寸法との関係等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることはもちろんである。
【0012】
又、以下に示す実施の形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、この発明の実施の形態は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。この発明の実施の形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0013】
(比較例)
比較例に係る電源装置4Aの模式的回路構成は、
図1に示すように表される。また、その詳細な回路構成は、
図2に示すように表される。比較例に係る電源装置4Aは、降圧型LED照明装置に対応している。
【0014】
比較例に係る電源装置4Aは、
図1に示すように、AC入力に接続されたダイオードブリッジ(DB)14と、ダイオードブリッジ(DB)14に接続された電界コンデンサC
Eと、負荷(LED)を介してACライン側に接続されたインダクタンスL
pと、接地電位に接続された電流センス抵抗R
Sと、インダクタンスL
pと電流センス抵抗R
Sとの間に直列接続されたMOSFETQ
Sと、インダクタンスL
p・MOSFETQ
S・電流センス抵抗R
Sに結合され、インダクタンスL
pに流れるインダクタンス電流I
LのQR制御動作可能な電源制御回路2Aとを備える。
【0015】
電源制御回路2Aは、インダクタンスL
pに流れるインダクタンス電流I
Lの検出回路32Aと、検出回路32A・MOSFETQ
S・電流センス抵抗R
Sに接続され、検出回路32Aの出力に基づいてインダクタンスL
pの放電タイミングにおけるゼロクロス点またはボトムタイミングにおいて、インダクタンス電流I
LのQR制御可能なQR制御回路30とを備える。
【0016】
ここで、検出回路32Aは、インダクタンスL
pに電磁的に結合された補助巻線インダクタンスL
aと、補助巻線インダクタンスL
aと接地電位との間に直列接続された第1抵抗R1および第2抵抗R2とを備える。
【0017】
さらに詳細には、比較例に係る電源装置4Aは、
図2に示すように、AC入力に接続されたフィルタ回路12と、フィルタ回路12に接続されたダイオードブリッジ(DB)14と、ダイオードブリッジ(DB)14に接続され、整流波形を平滑化するためのLC回路(L1・C1)と、負荷(LED)を介してAC入力側に接続されたインダクタンスL
pと、接地電位に接続された電流センス抵抗R
Sと、インダクタンスL
pと電流センス抵抗R
Sとの間に直列接続されたMOSFETQ
Sと、インダクタンスL
p・MOSFETQ
S・電流センス抵抗R
Sに結合され、インダクタンスL
pに流れるインダクタンス電流I
LのQR制御可能な電源制御回路2Aとを備える。
【0018】
さらに、比較例に係る電源装置4Aは、
図2に示すように、インダクタンスL
pに直列接続され、かつ負荷(LED)に並列接続された回生用キャパシタC
Cと、直列接続された回生用キャパシタC
C・インダクタンスL
pに並列接続された回生用ダイオード(スナバダイオード)D
Cとを備える。また、MOSFETQ
Sのドレイン・ソース間には、キャパシタC2が等価的に接続される。
【0019】
QR制御回路30のツェナー端子ZTに接続される第1抵抗R1および第2抵抗R2の接続点のツェナー端子電圧V
ZTは、インダクタンスL
pに接続されるMOSFETQ
Sのドレイン電圧V
Dに比べ、例えば1/100程度に減衰される。また、ツェナー端子ZTには、
図2に示すように、ツェナーダイオードZDが接続されている。
【0020】
比較例に係る電源装置4Aに適用されるQR制御回路30は、
図2に示すように、ツェナー端子ZTに接続された電流検出コンパレータ34と、電流センス端子CSに接続され、参照電圧V
refと比較されるエラーアンプ40と、電流検出コンパレータ34の出力およびエラーアンプ40の出力に接続され、MOSFETQ
Sの制御信号を出力するRSフリップフロップ36と、RSフリップフロップ36のQ出力に接続され、MOSFETQ
Sを駆動するバッファ38とを備える。
【0021】
ここで、MOSFETQ
Sは、RSフリップフロップ36のセット動作タイミングで導通制御され、RSフリップフロップ36のリセット動作タイミングで非導通制御される。
【0022】
比較例に係る電源装置4Aに適用される電源制御回路2Aにおいて、補助巻線インダクタンスL
aは、トランスの補助巻線を用いて形成されている。すなわち、検出回路32Aは、このようなトランスの補助巻線を用いて、ゼロクロス点またはボトムをモニタしている。
【0023】
比較例に係るLED照明用電源装置4Aは、トランスの補助巻線を必要とするため、トランスの総重量・体積が大きい。
【0024】
(実施の形態)
実施の形態に係る電源装置4の模式的回路構成は、
図3に示すように表される。また、その詳細な回路構成は、
図4に示すように表される。実施の形態に係る電源装置4は、降圧型LED照明装置に対応している。
【0025】
実施の形態に係る電源装置4は、
図3に示すように、AC入力に接続されたダイオードブリッジ(DB)14と、ダイオードブリッジ(DB)14に接続された電界コンデンサC
Eと、負荷(LED)を介してACライン側に接続されたインダクタンスL
pと、接地電位に接続された電流センス抵抗R
Sと、インダクタンスL
pと電流センス抵抗R
Sとの間に直列接続されたMOSFETQ
Sと、インダクタンスL
p・MOSFETQ
S・電流センス抵抗R
Sに結合され、インダクタンスL
pに流れるインダクタンス電流I
LのQR制御可能な電源制御回路2とを備える。
【0026】
電源制御回路2は、インダクタンスL
pに流れるインダクタンス電流I
Lの検出回路32と、検出回路32・MOSFETQ
S・電流センス抵抗R
Sに接続され、検出回路32の出力に基づいてインダクタンスL
pを導通するインダクタンス電流I
Lの放電タイミングにおけるゼロクロス点またはボトムタイミングにおいて、インダクタンス電流I
LのQR制御可能なQR制御回路30とを備える。
【0027】
ここで、検出回路32は、インダクタンスL
pに接続されるMOSFETQ
Sのドレインに接続されたハイパスフィルタ(HPF:High Pass Filter)で構成可能である。
【0028】
このHPFは、
図3および
図4に示すように、MOSFETQ
Sのドレインに接続されたキャパシタC
Fと、キャパシタC
Fと接地電位間に直列接続された第1抵抗R
f1および第2抵抗R
f2とを備え、QR制御回路30のツェナー端子ZTは、第1抵抗R
f1および第2抵抗R
f2の接続点に接続される。
【0029】
実施の形態に係る電源装置4に適用される電源制御回路2は、HPFを用いて、ゼロクロス点をモニタしている。HPFのAC成分を利用して、ドレイン電圧V
Dの立下りを検出可能である。すなわち、ドレイン電圧V
D波形の下降ポイントをHPFを用いて検出可能である。
【0030】
QR制御回路30は、出力OUTがMOSFETQ
Sのゲートに接続され、検出回路32に導通する電流を検出して、検出回路32の出力に基づいてインダクタンスL
pを導通するインダクタンス電流I
Lの放電タイミングにおけるゼロクロス点またはボトムタイミングにおいて、MOSFETQ
Sを導通制御可能である。
【0031】
また、QR制御回路30は、電流センス抵抗R
Sに導通する電流を検出して、所定のリセットタイミングにおいて、MOSFETQ
Sを非導通制御可能である。
【0032】
さらに詳細には、実施の形態に係る電源装置4は、
図4に示すように、AC入力に接続されたフィルタ回路12と、フィルタ回路12に接続されたダイオードブリッジ(DB)14と、ダイオードブリッジ(DB)14に接続され、整流波形を平滑化するためのLC回路(L1・C1)と、負荷(LED)を介してAC入力側に接続されたインダクタンスL
pと、接地電位に接続された電流センス抵抗R
Sと、インダクタンスL
pと電流センス抵抗R
Sとの間に直列接続されたMOSFETQ
Sと、インダクタンスL
p・MOSFETQ
S・電流センス抵抗R
Sに結合され、インダクタンスL
pに流れるインダクタンス電流I
LのQR制御可能な電源制御回路2とを備える。
【0033】
さらに、実施の形態に係る電源装置4は、
図4に示すように、インダクタンスL
pに直列接続され、かつ負荷(LED)に並列接続された回生用キャパシタC
Cと、直列接続された回生用キャパシタC
C・インダクタンスL
pに並列接続された回生用ダイオード(スナバダイオード)D
Cとを備える。また、MOSFETQ
Sのドレイン・ソース間には、キャパシタC2が等価的に接続される。
【0034】
検出回路32において、キャパシタC
Fと第1抵抗R
f1との接続点のHPF端子電圧V
HPは、キャパシタC
Fを介して直流成分をカットされ、ハイレベルとローレベルの電位差は、MOSFETQ
Sのドレイン電圧V
Dと同程度の電位差となる。一方、QR制御回路30のツェナー端子ZTに接続される第1抵抗R
f1および第2抵抗R
f2の接続点のツェナー端子電圧V
ZTは、MOSFETQ
Sのドレイン電圧V
Dに比べ、例えば1/100以下程度に減衰され、しかもスパイク状の微分波形となる。また、ツェナー端子ZTには、
図4に示すように、ツェナーダイオードZDが接続されている。
【0035】
実施の形態に係る電源装置4に適用されるQR制御回路30は、
図4に示すように、ツェナー端子ZTに接続された電流検出コンパレータ34と、電流センス端子CSに接続され、参照電圧V
refと比較されるエラーアンプ40と、電流検出コンパレータ34の出力およびエラーアンプ40の出力に接続され、MOSFETQ
Sの制御信号を出力するRSフリップフロップ36と、RSフリップフロップ36のQ出力に接続され、MOSFETQ
Sを駆動するバッファ38とを備える。
【0036】
ここで、MOSFETQ
Sは、RSフリップフロップ36のセット動作タイミングで導通制御され、RSフリップフロップ36のリセット動作タイミングで非導通制御される。
【0037】
実施の形態に係る電源装置4において、MOSFETQ
Sがオン状態になると、
図4に示すように、ACライン側から負荷(LED)・インダクタンスL
p・MOSFETQ
Sを導通するインダクタンス電流I
LとキャパシタC2の放電電流I
dis1が流れる。一方、MOSFETQ
Sがオフ状態になると、回生用キャパシタC
C・インダクタンスL
p・回生用ダイオード(スナバダイオード)D
Cを導通する回生電流I
LCとキャパシタC2の放電電流I
dis2流れる。
【0038】
比較例に係る電源装置のトランスの補助巻線およびインダクタンス部分の回路構成は、
図5(a)に示すように表される。ここで、インダクタンスL
pの値は、例えば、約1mHであり、補助巻線インダクタンスL
aの値は、例えば、約100μHである。実施の形態に係る電源装置のインダクタンス部分の回路構成は、
図5(b)に示すように表される。ここで、インダクタンスL
pの値は、例えば、約1mHであり、
図5(a)のインダクタンスL
pの値と同程度である。
【0039】
実施の形態に係る電源装置4に適用される電源制御回路2の検出回路32は、簡易な回路構成のHPFのみで形成可能である。しかも、トランスの補助巻線を不要とし、トランスの総重量・体積の低減化が可能である。
【0040】
実施の形態に係る電源装置4は、インダクタンスL
pを用いる降圧型LED照明装置を構成し、しかも補助巻線インダクタンスを用いないため、低コスト・高効率のアプリケーションの実現を可能とする。
【0041】
(比較例:PWM周波数固定制御)
QR周波数制御を適用せず、PWM周波数固定制御の動作説明図であって、ゲート電圧V
G波形例は、
図6(a)に示すように表され、電流センス電圧V
CS波形例は、
図6(b)に示すように表され、インダクタンス電流I
L波形例は、
図6(c)に示すように表され、ドレイン電圧V
D波形例は、
図6(d)に示すように表され、ツェナー端子電圧V
ZT波形例は、
図6(e)に示すように表される。
【0042】
PWM周波数固定制御動作においては、
図2におけるRSフリップフロップ36のセット端子Sに固定周波数のPWM信号が入力される。ゲート電圧V
G波形例は、
図6(a)に示すように、固定周期T
f(FIXED)を有する。固定周期T
f(FIXED)に伴うPWM固定周波数は、例えば、約100kHz〜約300kHz程度である。
【0043】
まず、時刻t1において、
図6(a)に示すように、ゲート電圧V
G波形がON状態になると、MOSFETQ
Sは導通状態となり、電流センス電圧V
CS波形は
図6(b)に示すように増加し、インダクタンス電流I
L波形例も
図6(c)に示すように増加する。一方、ドレイン電圧V
D波形は、
図6(d)に示すように、ゼロ電位を保持し、ツェナー端子電圧V
ZT波形も
図6(e)に示すように、ゼロ電位を保持する。
【0044】
次に、時刻t2において、PWM信号がオフになり、
図6(a)に示すように、ゲート電圧V
G波形がOFF状態になると、参照電圧V
refと比較される電流センス電圧V
CS波形も
図6(b)に示すように、急峻に減少する。一方、インダクタンス電流I
L波形は、
図6(c)に示すように、時刻t2における電流値I
L1から時刻t2〜時刻t21まで緩やかに減少する。また、ドレイン電圧V
D波形は、
図6(d)に示すように、急峻に電圧V
DHまで立ち上り、ツェナー端子電圧V
ZT波形も
図6(e)に示すように、急峻に電圧V
ZTHまで立ち上る。ここで、ツェナー端子電圧V
ZTのパルス高さΔV
ZTHは、ドレイン電圧V
Dのパルス高さΔV
DHの例えば、約1/100程度である。これは、
図2に示された補助巻線インダクタンスL
aと接地電位との間に直列接続された第1抵抗R1および第2抵抗R2の抵抗分割により、電圧値が減衰されるためである。
【0045】
次に、時刻t21において、インダクタンス電流I
L波形例がゼロになると、ドレイン電圧V
D波形は
図6(d)に示すように、例えば、ゼロ電位レベルを中心とするゼロクロス点B1・B2・B3・B4・…・B9を有する減衰振動波形となり、ノイズBNを発生する。これに伴い、ツェナー端子電圧V
ZT波形も
図6(e)に示すように、ゼロ電位レベルを中心とする減衰振動波形となる。このような減衰振動波形は、MOSFETQ
Sのゲートオフ動作と共に、MOSFETQ
Sのドレインに接続された寄生的なRLC回路成分によって決定される。
【0046】
次に、固定周期T
f(FIXED)で決定される一定時間の経過後、再び時刻t3において、ゲート電圧V
G波形がON状態になり、以下、時刻t1〜時刻t3間と同様の動作が繰り返される。
【0047】
PWM周波数固定制御動作では、PWM周波数は固定されており、
図6(d)および
図6(e)に示すように、ノイズ波形を伴う。
【0048】
(比較例:QR周波数制御)
QR周波数制御による比較例に係る電源装置4A(
図1および
図2)の動作説明図であって、ゲート電圧V
G波形例は、
図7(a)に示すように表され、電流センス電圧V
CS波形例は、
図7(b)に示すように表され、インダクタンス電流I
L波形例は、
図7(c)に示すように表され、ドレイン電圧V
D波形例は、
図7(d)に示すように表され、ツェナー端子電圧V
ZT波形例は、
図7(e)に示すように表される。
【0049】
まず、時刻t1において、
図7(a)に示すように、ゲート電圧V
G波形がON状態になると、MOSFETQ
Sは導通状態となり、電流センス電圧V
CS波形は
図7(b)に示すように増加し、インダクタンス電流I
L波形例も
図7(c)に示すように増加する。ドレイン電圧V
D波形は、
図7(d)に示すように、それまでに保持された一定電圧V
DHからゼロ電位に遷移する。一方、ツェナー端子電圧V
ZT波形は、
図7(e)に示すように、検出回路32において、直列接続された抵抗(R
f1+R
f2)の接続点の電位に相当するため、時刻0〜時刻t1の間では、ドレイン電圧V
D波形のパルス波形に依存した減衰されたパルス波形となる。ツェナー端子電圧V
ZTのパルス高さΔV
ZTHは、ドレイン電圧V
Dのパルス高さΔV
DHの例えば、約1/100程度である。これは、
図2に示された補助巻線インダクタンスL
aと接地電位との間に直列接続された第1抵抗R1および第2抵抗R2の抵抗分割により、電圧値が減衰されるためである。この時刻t1において、ドレイン電圧V
D波形のボトムBTの検出が行われる。
【0050】
時刻t1〜時刻t2間においては、ドレイン電圧V
Dおよびツェナー端子電圧V
ZTは、ゼロ電位に保持される。
【0051】
次に、時刻t2において、
図7(a)に示すように、RSフリップフロップ36のリセット端子Rにリセット信号が入力されてゲート電圧V
G波形がOFF状態になると、参照電圧V
refと比較される電流センス電圧V
CS波形も
図7(b)に示すように、急峻に減少する。一方、インダクタンス電流I
L波形例は、
図7(c)に示すように、時刻t2〜時刻t3まで緩やかに減少する。一方、ドレイン電圧V
D波形は、
図7(d)に示すように、時刻t2において、電圧V
DHまで急峻に立ち上り、その後略一定の電圧V
DHに保持される。これに伴い、ツェナー端子電圧V
ZT波形も
図7(e)に示すように、時刻t2において、電圧V
ZTHまで急峻に立ち上り、その後略一定の電圧V
ZTHに保持される。
【0052】
時刻t2から時刻t3への時間の経過と共に、インダクタンス電流I
L波形は、
図7(c)に示すように、時刻t2における電流値I
L1からゼロレベル近傍まで減少する。
【0053】
時刻t3近傍において、ドレイン電圧V
D波形は、
図7(d)に示すように、略一定電圧V
DHからゼロレベル近傍まで急峻に減少し、同様に、ツェナー端子電圧V
ZT波形も
図7(e)に示すように、略一定電圧V
ZTHからゼロレベル近傍まで急峻に減少する。ここで、時刻t3がボトム検出のタイミングに相当する。このような時刻t1、t3におけるボトムBTの検出と同時にゲート電圧V
G波形がON状態になる。以下、時刻t1〜時刻t3間と同様の動作が繰り返される。
【0054】
QR周波数制御による比較例に係る電源装置(
図1および
図2)では、補助巻線インダクタンスL
aを使用するため、トランスの総重量・体積が大きい。
【0055】
(実施形態:QR周波数制御)
QR周波数制御による実施の形態に係る電源装置4(
図3および
図4)の動作説明図であって、ゲート電圧V
G波形例は、
図8(a)に示すように表され、電流センス電圧V
CS波形例は、
図8(b)に示すように表され、インダクタンス電流I
L波形例は、
図8(c)に示すように表され、ドレイン電圧V
D波形例は、
図8(d)に示すように表され、HPF端子電圧V
HP波形例は、
図8(e)に示すように表される。
【0056】
まず、時刻t1において、
図8(a)に示すように、ゲート電圧V
G波形がON状態になると、MOSFETQ
Sは導通状態となり、電流センス電圧V
CS波形は
図8(b)に示すように増加し、インダクタンス電流I
L波形例も
図8(c)に示すように増加する。ドレイン電圧V
D波形は、
図8(d)に示すように、それまでに保持された一定電圧V
DHからゼロ電位に遷移する。一方、HPF端子電圧V
HP波形は、
図8(e)に示すように、HPFにおいて、直列接続された抵抗(R
f1+R
f2)の両端の電位に相当するため、ドレイン電圧V
D波形の過渡応答に依存した微分波形となる。この時刻t1において、ボトムBTの検出が行われる。このボトムBTの検出後、時刻t2までに期間においては、ドレイン電圧V
DおよびHPF端子電圧V
HPは、ゼロ電位に保持される。
【0057】
次に、時刻t2において、RSフリップフロップ36のリセット端子Rにリセット信号が入力されてゲート電圧V
Gがオフになると、ゲート電圧V
G波形は、
図8(a)に示すように、急峻に減少し、参照電圧V
refと比較される電流センス電圧V
CS波形も
図8(b)に示すように、急峻に減少する。一方、インダクタンス電流I
L波形は、
図8(c)に示すように、時刻t2における電流値I
L1から時刻t2〜時刻t3まで緩やかに減少する。一方、ドレイン電圧V
D波形は、
図8(d)に示すように、時刻t2において、電圧V
DHまで急峻に立ち上り、その後略一定の電圧V
DHに保持される。一方、HPF端子電圧V
HP波形は、
図8(e)に示すように、ドレイン電圧V
D波形の過渡応答に依存した微分波形となる。この過渡応答後、時刻t3までの期間においては、ドレイン電圧V
Dは、略一定の電圧V
DHに保持され、HPF端子電圧V
HPは、ゼロ電位に保持される。
【0058】
次に、時刻t3近傍において、ドレイン電圧V
D波形は、
図8(d)に示すように、略一定電圧V
DHからゼロレベル近傍まで急峻に減少し、一方、HPF端子電圧V
HP波形は、
図8(e)に示すように、ドレイン電圧V
D波形の過渡応答に依存した微分波形となる。この時刻t3において、ボトムBTの検出が行われる。このような時刻t1、t3におけるボトムBTの検出と同時にゲート電圧V
G波形がON状態になる。
【0059】
実施の形態に係る電源装置4は、HPFを用いて、ゼロクロス点をモニタしている。HPFのAC成分を利用して、ドレイン電圧V
Dの立下りタイミングでボトムBTの検出可能である。すなわち、ドレイン電圧V
D波形の下降ポイントをHPFを用いて検出可能である。
【0060】
以下、時刻t1〜時刻t3間と同様の動作が繰り返される。
【0061】
また、QR周波数制御による実施の形態に係る電源装置の詳細動作説明図であって、インダクタンス電流I
L波形例は、
図9(a)に示すように表され、ゲート電圧V
G波形例は、
図9(b)に示すように表され、ドレイン電圧V
D波形例は、
図9(c)に示すように表され、HPF端子電圧V
HP波形例は、
図9(d)に示すように表され、セット電圧V
SET波形例は、
図9(e)に示すように表され、リセット電圧V
RESET波形例は、
図9(f)に示すように表される。
図9(a)は、
図8(c)に対応し、
図9(b)は、
図8(a)に対応し、
図9(c)は、
図8(d)に対応し、
図9(d)は、
図8(e)に対応している。時刻t1および時刻t3のタイミングにおいてボトム検出を実施する点も同様である。
【0062】
RSフリップフロップ36(
図4)のセット端子Sに入力されるセット電圧V
SET波形例は、
図9(e)に示すように、時刻t1および時刻t3のタイミングにおいて実施され、RSフリップフロップ36(
図4)のリセット端子Rに入力されるリセット電圧V
RESET波形例は、
図9(f)に示すように、時刻t2および時刻t4のタイミングにおいて実施される。すなわち、QR周波数制御による実施の形態に係る電源装置4(
図3および
図4)においては、MOSFETQ
Sの導通制御は、RSフリップフロップ36のセット動作タイミングで実施され、MOSFETQ
Sを非導通制御は、RSフリップフロップ36のリセット動作タイミングで実施される。その他の動作説明は、
図8と同様であるため、説明は省略する。
【0063】
QR周波数制御による実施の形態に係る電源装置4(
図3および
図4)では、トランスの補助巻線を利用する比較例に比べ、トランスの補助巻線が不要となり、トランスの総重量・体積の低減化を図ることができる。
【0064】
(HPF端子電圧V
HP波形例)
また、QR周波数制御による実施の形態に係る電源装置の詳細動作説明図であって、HPF端子電圧V
HP波形例は、
図10(a)に示すように表され、HPF端子電圧V
HP波形のさまざまな変形例は、
図10(b)に示すように表される。
図10(a)の波形例は、
図8(e)若しくは
図9(d)に対応している。一方、HPF端子電圧V
HP波形例は、
図10(b)に示すように、HPFのキャパシタC
Fと第1抵抗R
f1および第2抵抗R
f2で決定される時定数(R
f1+R
f2)C
Fの値によって、さまざまな波形形状を有する。
図10(b)において、H1・H2・H3・H4の順に時定数の値は、大きく設定されている。
【0065】
(実験結果)
実施の形態に係る電源装置4の動作実験に適用した回路ブロック構成は、
図11に示すように表される。
図11においては、ダイオードブリッジ(DB)14は図示を省略している。入力電圧V
inは、AC入力を整流した全波整流波形に対応している。
【0066】
図11において、HPFの回路定数は以下の通りである。すなわち、キャパシタC
Fの値は、例えば、約100pFであり、キャパシタC
Fの耐圧は、例えば、約1kVである。第1抵抗R
f1の値は、例えば、約1MΩ、第2抵抗R
f2の値は、例えば、約10kΩである。したがって、時定数(R
f1+R
f2)C
Fの値は、この場合、約0.1msecとなる。
【0067】
実施の形態に係る電源装置4における動作スイッチング周波数は、例えば、約20kHz〜約200kHzの範囲である。
【0068】
また、実施の形態に係る電源装置4の動作実験結果であって、ドレイン電圧V
D波形例、HPF端子電圧V
HP波形例およびインダクタンス電流I
L波形例は、
図12に示すように表される。
図12に示された動作波形は、
図8(d)・
図9(c)のドレイン電圧V
D波形例、
図8(e)・
図9(d)のHPF端子電圧V
HP波形例および
図8(c)・
図9(a)のインダクタンス電流I
L波形例に対応している。
【0069】
ドレイン電圧V
D波形の縦軸は100V/divであり、のデューティーは約74.5%である。また、ドレイン電圧V
Dの動作スイッチング周波数は、約48.30kHzである。
【0070】
検出回路32において、キャパシタC
Fによって、ドレイン電圧V
D波形のDC成分をカットし、HPF端子電圧V
HP波形として出力している。HPF端子電圧V
HP波形の縦軸は100V/divである。
【0071】
インダクタンス電流I
L波形の縦軸は500mA/divであり、横軸は、5μsec/divである。
【0072】
また、実施の形態に係る電源装置4の動作実験結果であって、ドレイン電圧V
D波形例、ツェナー端子電圧V
ZT波形例およびインダクタンス電流I
L波形例は、
図13に示すように表される。
図13に示された動作波形は、
図8(d)・
図9(c)のドレイン電圧V
D波形例、
図7(e)に示された比較例と同様に検出可能なツェナー端子電圧V
ZT波形例および
図8(c)・
図9(a)のインダクタンス電流I
L波形例に対応している。
図13に示されたツェナー端子電圧V
ZT波形例は、第1抵抗R
f1・第2抵抗R
f2の接続点における電位に対応している。
【0073】
ドレイン電圧V
D波形の縦軸は100V/divであり、のデューティーは約77.86%である。また、ドレイン電圧V
Dの動作スイッチング周波数は、約52.71kHzである。
【0074】
ツェナー端子電圧V
ZT波形の縦軸は500mV/divである。ツェナー端子電圧V
ZT波形は、HPF端子電圧V
HP波形の第1抵抗R
f1・第2抵抗R
f2による抵抗分圧として得られ、QR制御回路30のツェナー端子ZTに入力される。
【0075】
ツェナー端子ZTにおいて0.1Vの値が検出されると、次のスイッチング動作が開始される。すなわち、QR制御回路30のツェナー端子ZTに入力されるツェナー端子電圧V
ZTが、0.1Vを超えると、ツェナーダイオードZDの動作によって、電流検出コンパレータ34(
図4)がイネーブルになり、セット電圧V
SET波形(
図9(e))が、RSフリップフロップ36(
図4)のセット端子Sに入力される。
【0076】
図12と同様に、インダクタンス電流I
L波形の縦軸は500mA/divであり、横軸は、5μsec/divである。
【0077】
(昇圧型LED照明装置)
実施の形態に係る電源制御回路2は、さまざまな電源装置に適用可能である。上記の降圧型LED照明装置以外にも、例えば、昇圧型LED照明装置、フライバック型LED照明装置などに適用可能である。
【0078】
実施の形態に係る電源制御回路2を適用した電源装置6であって、昇圧型LED照明装置の模式的回路構成は、
図14に示すように表される。
図14において、ダイオードブリッジ(DB)14は図示を省略している。入力電圧V
inは、AC入力を整流した全波整流波形に対応している。
【0079】
実施の形態に係る電源装置6は、
図14に示すように、ACライン側に接続されたインダクタンスL
pと、接地電位に接続された電流センス抵抗R
Sと、インダクタンスL
pと電流センス抵抗R
Sとの間に直列接続されたMOSFETQ
Sと、インダクタンスL
p・MOSFETQ
S・電流センス抵抗R
Sに結合され、インダクタンスL
pに流れる電流I
LのQR制御可能な電源制御回路2とを備える。
【0080】
電源制御回路2は、インダクタンスL
pに流れるインダクタンス電流I
Lの検出回路32と、検出回路32・MOSFETQ
S・電流センス抵抗R
Sに接続され、検出回路32の出力に基づいてインダクタンスL
pを導通するインダクタンス電流I
Lの放電タイミングにおけるゼロクロス点またはボトムタイミングにおいて、インダクタンス電流I
LのQR制御可能なQR制御回路30とを備える。
【0081】
ここで、検出回路32は、インダクタンスL
pに接続されるMOSFETQ
Sのドレインに接続されたHPFで構成可能である。
【0082】
HPFは、
図14に示すように、MOSFETQ
Sのドレインに接続されたキャパシタC
Fと、キャパシタC
Fと接地電位間に直列接続された第1抵抗R
f1および第2抵抗R
f2とを備え、QR制御回路30のツェナー端子ZTは、第1抵抗R
f1および第2抵抗R
f2の接続点に接続される。
【0083】
QR制御回路30は、出力OUTがMOSFETQ
Sのゲートに接続され、HPFに導通する電流を検出して、検出回路32の出力に基づいてインダクタンスL
pを導通するインダクタンス電流I
Lの放電タイミングにおけるゼロクロス点またはボトムタイミングにおいて、MOSFETQ
Sを導通制御可能である。
【0084】
また、QR制御回路30は、電流センス抵抗R
Sに導通する電流を検出して、所定のリセットタイミングにおいて、MOSFETQ
Sを非導通制御可能である。
【0085】
実施の形態に係る電源装置6においては、インダクタンスL
pは、
図14に示すように、直列接続された回生用キャパシタC
B・回生用ダイオード(スナバダイオード)D
Bに並列接続され、回生用キャパシタC
Bは、負荷(LED)に並列接続されて、昇圧型LED照明装置が構成されている。その他の構成は、実施の形態に係る電源装置4と同様であるため、説明は省略する。
【0086】
実施の形態に係る電源装置6は、インダクタンスL
pを用いる昇圧型LED照明装置を構成し、しかも補助巻線インダクタンスを用いないため、トランスの総重量・体積の低減化を図ることができ、低コスト・高効率のアプリケーションを実現可能である。
【0087】
(フライバック型LED照明装置)
実施の形態に係る電源制御回路2を適用した電源装置8であって、フライバック型LED照明装置の模式的回路構成は、
図15に示すように表される。
図15において、ダイオードブリッジ(DB)14は図示を省略している。入力電圧V
inは、AC入力を整流した全波整流波形に対応している。
【0088】
実施の形態に係る電源装置8は、
図15に示すように、ACライン側に接続されたインダクタンスL
pと、接地電位に接続された電流センス抵抗R
Sと、インダクタンスL
pと電流センス抵抗R
Sとの間に直列接続されたMOSFETQ
Sと、インダクタンスL
p・MOSFETQ
S・電流センス抵抗R
Sに結合され、インダクタンスL
pに流れるインダクタンス電流I
LのQR制御可能な電源制御回路2とを備える。
【0089】
電源制御回路2は、インダクタンスL
pに流れるインダクタンス電流I
Lの検出回路32と、検出回路32・MOSFETQ
S・電流センス抵抗R
Sに接続され、検出回路32の出力に基づいてインダクタンスL
pを導通するインダクタンス電流I
Lの放電タイミングにおけるゼロクロス点またはボトムタイミングにおいて、インダクタンス電流I
LのQR制御可能なQR制御回路30とを備える。
【0090】
ここで、検出回路32は、インダクタンスL
pに接続されるMOSFETQ
Sのドレインに接続されたHPFで構成可能である。
【0091】
HPFは、
図15に示すように、MOSFETQ
Sのドレインに接続されたキャパシタC
Fと、キャパシタC
Fと接地電位間に直列接続された第1抵抗R
f1および第2抵抗R
f2とを備え、QR制御回路30のツェナー端子ZTは、第1抵抗R
f1および第2抵抗R
f2の接続点に接続される。
【0092】
QR制御回路30は、出力OUTがMOSFETQ
Sのゲートに接続され、HPFに導通する電流を検出して、検出回路32の出力に基づいてインダクタンスL
pを導通するインダクタンス電流I
Lの放電タイミングにおけるゼロクロス点またはボトムタイミングにおいて、MOSFETQ
Sを導通制御可能である。
【0093】
また、QR制御回路30は、電流センス抵抗R
Sに導通する電流を検出して、所定のリセットタイミングにおいて、MOSFETQ
Sを非導通制御可能である。
【0094】
実施の形態に係る電源装置8において、インダクタンスL
pは、
図15に示すように、フライバックトランス15の1次側インダクタンスを構成する。また、フライバックトランス15の2次側インダクタンスL
Sには、ダイオードD2およびキャパシタC2からなるダイオード整流回路(D2・C2)が接続され、更にキャパシタC2には並列に負荷(LED)が接続されている。さらに、
図15に示すように、インダクタンスL
pにはダイオードD3・抵抗R3・キャパシタC3からなるスナバ回路(D3・R3・C3)が並列接続されている。その他の構成は、実施の形態に係る電源装置4と同様であるため、説明は省略する。
【0095】
実施の形態に係る電源装置8は、インダクタンスL
pを用いるフライバック型LED照明装置を構成し、しかも補助巻線インダクタンスを用いないため、トランスの総重量・体積の低減化を図ることができ、低コスト・高効率のアプリケーションを実現可能である。
【0096】
(QR型DC/DCコンバータ)
実施の形態に係る電源制御回路2を適用した電源装置10であって、QR型DC/DCコンバータの模式的回路構成は、
図16に示すように表される。
【0097】
図16において、AC端子には、フィルタ回路12を介してダイオードブリッジ(DB)14・フライバックトランス15の1次側インダクタンスL
pが接続されている。
【0098】
実施の形態に係る電源装置10は、
図16に示すように、ACライン側に接続されたインダクタンスL
pと、接地電位に接続された電流センス抵抗R
Sと、インダクタンスL
pと電流センス抵抗R
Sとの間に直列接続されたMOSFETQ
Sと、インダクタンスL
p・MOSFETQ
S・電流センス抵抗R
Sに結合され、インダクタンスL
pに流れるインダクタンス電流I
LのQR制御可能な電源制御回路2とを備える。
【0099】
電源制御回路2は、インダクタンスL
pに流れるインダクタンス電流I
Lの検出回路32と、検出回路32・MOSFETQ
S・電流センス抵抗R
Sに接続され、検出回路32の出力に基づいてインダクタンスL
pを導通するインダクタンス電流I
Lの放電タイミングにおけるゼロクロス点またはボトムタイミングにおいて、インダクタンス電流I
LのQR制御可能なQR制御回路30とを備える。
【0100】
ここで、検出回路32は、インダクタンスL
pに接続されるMOSFETQ
Sのドレインに接続されたHPFで構成可能である。
【0101】
HPFは、
図16に示すように、MOSFETQ
Sのドレインに接続されたキャパシタC
Fと、キャパシタC
Fと接地電位間に直列接続された第1抵抗R
f1および第2抵抗R
f2とを備え、QR制御回路30のツェナー端子ZTは、第1抵抗R
f1および第2抵抗R
f2の接続点に接続される。
【0102】
QR制御回路30は、出力OUTがMOSFETQ
Sのゲートに接続され、HPFに導通する電流を検出して、検出回路32の出力に基づいてインダクタンスL
pを導通するインダクタンス電流I
Lの放電タイミングにおけるゼロクロス点またはボトムタイミングにおいて、MOSFETQ
Sを導通制御可能である。
【0103】
また、QR制御回路30は、電流センス抵抗R
Sに導通する電流を検出して、所定のリセットタイミングにおいて、MOSFETQ
Sを非導通制御可能である。
【0104】
また、フライバックトランス15の2次側インダクタンスL
sには、ダイオードD2およびキャパシタC2からなるダイオード整流回路(D2・C2)が接続され、キャパシタC2出力からは、DC出力電圧V
outが得られる。また、DC出力電圧V
outはエラーアンプ18および絶縁回路(フォトカプラ)20を介して、1次側のQR制御回路30のフィードバック端子FBにフィードバックされ、結果として、実施の形態に係る電源制御回路2を適用した電源装置10によって、QR型DC/DCコンバータが構成される。その他の構成は、実施の形態に係る電源装置4と同様であるため、説明は省略する。
【0105】
実施の形態に係る電源装置10は、インダクタンスL
pを用いるQR型DC/DCコンバータを構成し、しかも補助巻線インダクタンスを用いないため、トランスの総重量・体積の低減化を図ることができ、低コスト・高効率のアプリケーションを実現可能である。
【0106】
(AC/DCコンバータ)
実施の形態に係る電源制御回路2を適用した電源装置16であって、AC/DCコンバータの模式的回路構成は、
図17に示すように表される。ここで、AC/DCコンバータは、
図17に示すように、力率改善(PFC:Power Factor Correction)回路60を備える。
【0107】
図17において、AC端子には、フィルタ回路12・ダイオードブリッジ(DB)14・平滑化回路(C
D・L
D)・逆流防止ダイオードD
D・電界コンデンサC
Eを介して、フライバックトランス15の1次側インダクタンスL
pが接続されている。
【0108】
実施の形態に係る電源装置16は、
図17に示すように、ACライン側に接続されたインダクタンスL
pと、接地電位に接続された電流センス抵抗R
Sと、インダクタンスL
pと電流センス抵抗R
Sとの間に直列接続されたMOSFETQ
Sと、インダクタンスL
p・MOSFETQ
S・電流センス抵抗R
Sに結合され、インダクタンスL
pに流れるインダクタンス電流I
LのQR制御可能な電源制御回路2とを備える。
【0109】
電源制御回路2は、インダクタンスL
pに流れるインダクタンス電流I
Lの検出回路32と、検出回路32・MOSFETQ
S・電流センス抵抗R
Sに接続され、検出回路32の出力に基づいてインダクタンスL
pを導通するインダクタンス電流I
Lの放電タイミングにおけるゼロクロス点またはボトムタイミングにおいて、インダクタンス電流I
LのQR制御可能なQR制御回路30とを備える。
【0110】
ここで、検出回路32は、インダクタンスL
pに接続されるMOSFETQ
Sのドレインに接続されたHPFで構成可能である。
【0111】
HPFは、
図17に示すように、MOSFETQ
Sのドレインに接続されたキャパシタC
Fと、キャパシタC
Fと接地電位間に直列接続された第1抵抗R
f1および第2抵抗R
f2とを備え、QR制御回路30のツェナー端子ZTは、第1抵抗R
f1および第2抵抗R
f2の接続点に接続される。
【0112】
QR制御回路30は、出力OUTがMOSFETQ
Sのゲートに接続され、HPFに導通する電流を検出して、検出回路32の出力に基づいてインダクタンスL
pを導通するインダクタンス電流I
Lの放電タイミングにおけるゼロクロス点またはボトムタイミングにおいて、MOSFETQ
Sを導通制御可能である。
【0113】
また、QR制御回路30は、電流センス抵抗R
Sに導通する電流を検出して、所定のリセットタイミングにおいて、MOSFETQ
Sを非導通制御可能である。
【0114】
また、フライバックトランス15の2次側インダクタンスL
sには、ダイオードD2およびキャパシタC2からなるダイオード整流回路(D2・C2)が接続され、キャパシタC2出力からは、DC出力電圧V
outが得られる。また、DC出力電圧V
outはエラーアンプ18および絶縁回路(フォトカプラ)20を介して、1次側のQR制御回路30のフィードバック端子FBにフィードバックされている。
【0115】
また、1次側の平滑化回路(C
D・L
D)・逆流防止ダイオードD
D間には、接地電位との間に、PFC回路60によってオン/オフ制御可能なPFC用MOSFETQ
PFが接続され、結果として、実施の形態に係る電源制御回路2を適用した電源装置16によって、PFCおよびQR制御可能なAC/DCコンバータが構成される。尚、PFC回路60およびQR制御回路30は、PFCおよびQR制御用集積回路としてワンチップに形成されていても良い。その他の構成は、実施の形態に係る電源装置4と同様であるため、説明は省略する。
【0116】
実施の形態に係る電源装置16は、インダクタンスL
pを用いるPFCおよびQR制御可能なAC/DCコンバータを構成し、しかも補助巻線インダクタンスを用いないため、トランスの総重量・体積の低減化を図ることができ、低コスト・高効率のアプリケーションを実現可能である。
【0117】
(電子機器)
実施の形態に係る電源制御回路2および電源制御回路2を適用した電源装置(4・6・8・10・16)は、電子機器に内蔵可能である。電子機器としては、例えば、スマートホン、ラップトップPC、タブレットPC、モニタ若しくはTV、外部ハードディスクドライブ、セットトップボックス、掃除機、冷蔵庫、洗濯機、電話器、ファクシミリ、プリンタ、レーザディスプレイ、通信機器、サーバなどさまざまな機器において適用可能である。
【0118】
実施の形態に係る電源制御回路2およびこの電源制御回路2を適用した電源装置(4・6・8・10・16)は、周波数固定モードのPWM制御(PWM周波数固定制御)に比べて、低コスト・高効率なアプリケーション、例えば、AC/DCコンバータ、LED用照明装置、DC/DCコンバータなどを実現可能である。
【0119】
また、実施の形態に係る電源制御回路2およびこの電源制御回路2を適用した電源装置(4・6・8・10・16)は、トランスの補助巻線が不要となり、トランスの総重量・体積の低減化を図ることができる。
【0120】
以上説明したように、本発明によれば、コイルにて擬似共振を行うと共に、簡易な構成でコイルに流れる電流をモニタし、ゼロクロス点または共振動作でのボトム検出可能な電源制御回路、およびその電源制御回路を適用した電源装置および電子機器を提供することができる。
【0121】
[その他の実施の形態]
上記のように、本発明を実施の形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述および図面は例示的なものであり、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施の形態、実施例および運用技術が明らかとなろう。
【0122】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施の形態などを含む。