【解決手段】折戸金具1は、ガイドレール上を移動するガイド金具2と、ガイド金具2に取り付けられる吊ヒンジ3と、から構成される。ガイド金具2は、ガイドレールを挟持する保持部21と、ガイド金具2を他の部材と接続する取付部23とを備える。保持部21は、四隅に、ガイドレールを垂直方向に挟持する一対のローラ22a,22b,22c,22dを備える。ローラ22a〜22dは、垂直方向を回転軸として、回動可能に取り付けられている。保持部21は、また、吊ヒンジ3の取付部と溝部21aを挟んで反対側に、補助ローラ24a,24bを有する。補助ローラ24a,24bは、水平方向に軸が設けられ、回動可能に取り付けられている。
前記ガイド金具は、前記一対のローラにより挟持される垂直部とこの垂直部に直交する水平の落下防止片を備えたガイドレールの、前記落下防止片の上面に当接する補助ローラを備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の折戸金具。
前記ガイド金具は、前記一対のローラにより挟持される垂直部とこの垂直部に直交する水平の落下防止片を備えたガイドレールの、前記落下防止片の上面に係合する係合片を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の折戸金具。
【背景技術】
【0002】
折戸は、物入れや出入口の間口が広くとれ、戸の開閉スペースが少なくて済むなど、利便性が高く、従来広く用いられている。このような折戸では、一般的に吊元側を固定して、戸先側に折戸金具を取り付けて、折戸上部の枠にガイドレールを設け、このガイドレール上に折戸金具を走らせることによって、戸の開閉を可能にしている(
図10参照)。しかしながら、戸の開閉に当たっては、戸を引く(開ける)又は押す(閉じる)方向と、折戸金具がガイドレール上を走る方向とは直交するため、戸の開閉時に、引っ掛かりが生じる場合があり、従来この点を改良する技術が提案されている。
【0003】
例えば、ガイドレールを、吊元側に近い位置において戸の奥行き方向に向かって傾斜を持たせることで、折戸が開いた状態から閉じさせようとした際、折戸金具がガイドレール上をスムースに移動させることができるようにした技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、折戸金具は、外部から視認されると、デザイン設計上好ましくないことから、戸先側であって戸板の裏面に取り付ける構成が採用されている(例えば、特許文献2,3参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に示されるように、折戸金具の走りを良くするために、ガイドレールに傾斜を設けた場合、枠に傾斜したガイドレールを取り付ける溝を設けるか、ガイドレールに最初から傾斜部分を設けておくなど、特別な構成が必要となる。そのため、この場合、折戸の右開きか左開きかによって、ガイドレールの構成が異なるため、ガイドレールや枠に左右パターンが生じ、右開き仕様か左開き仕様かでそれぞれレールや枠、吊車を用意する必要がある。したがって、生産性の低下と、施工性の低下を招き兼ねない。
【0007】
一方、特許文献2,3に示される折戸金具では、ガイドレール上を走るローラ等のガイド金具に対して吊ヒンジのアームが下方に位置するため、折戸の開閉の力がレールに対して、進行方向とは関係ない方向に作用する。すなわち、扉からの荷重と、ガイド金具に掛かる荷重とが相反する方向に働いて、折戸金具の上下で捻れ方向の力が加わってしまう。
【0008】
この点を具体的に、特許文献2に開示された
図1及び
図5を、
図10(a)及び(b)として表して説明する。
図10(a)及び(b)において、図中の黒塗り矢印は折戸の開状態から閉状態に移行する際に折戸金具に掛かる荷重を表している。一方、
図10(a)に示す白塗り矢印は、反対に、折戸の閉状態に移行する際に折戸金具に掛かる荷重を表している。
【0009】
図10(a)に示すように、従来の折戸金具では、折戸を開ける際にも閉じる際にも、戸からの荷重がガイドレールに対してガイド金具の進行方向には掛からず、当該進行方向とほぼ直交方向に掛かってしまっていた。これにより、折戸の開閉時に、ガタつきや異音が生じることがあった。
【0010】
さらに、
図10(b)に示すように、折戸が完全に開放した状態から、使用者が折戸を閉じるために図中に示す戸11側を黒塗り矢印A方向に押した場合、戸からの荷重は、ガイド金具においてガイドレールに直交する黒塗り矢印B方向に生じるため、ガイド金具の動きが止まってしまう、いわゆるロッキングが起こり、戸が閉じないという事象が生じていた。最近の折戸には、取っ手が設けられていないものも多く存在することから、戸を閉じる際に使用者は取っ手を引っ張ることができず、押して閉じようとするため、このような事象はより頻繁に発生することとなっていた。
【0011】
また、吊ヒンジのアームが吊車に対して、進行方向の外側に付いていることで、吊ヒンジからの荷重を、軸を中心に回すような力が生じてしまい、これも折戸の開閉時のガタつきや異音に繋がる。
【0012】
本発明は、以上のような従来技術の課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、折戸の開閉時において、金具に余分な力が働かず、スムースな開閉が可能な折戸金具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するため、本発明は、ガイドレール上を移動するガイド金具と、折戸の戸先側裏面に取り付けられ前記ガイド金具に取付部を介して接続する吊ヒンジと、を備え、前記ガイド金具は、ガイドレールを垂直方向に挟持する一対のローラを備え、前記取付部と前記一対のローラとは、折戸及びガイドレールへの設置高さ方向において少なくとも一部が重なるように設けられたことを特徴とする。
【0014】
以上のような本発明では、ローラの設置位置と、ガイド金具及び吊ヒンジの接続位置とが、水平方向で重なるように配置されたことで、吊ヒンジとローラの高さがほぼ同じ高さになる。これにより、折戸の開閉に当たって、吊ヒンジが受ける前後方向の荷重を、ガイドレールの前後面にかけることができるので、折戸を開閉する際に、不要なガタつきを生じさせない。すなわち、従来のように、折戸からの荷重によって、吊ヒンジとガイド金具との間の捻れ等が生じず、折戸金具に対する不要な荷重の発生を防ぐことができる。
【0015】
また、折戸を全開状態から閉じようとした場合、ガイドレールに対する前後方向の力を、折戸金具の進行方向に変換することが可能になる。この場合、折戸金具はローラとガイドレールとのクリアランスの中で僅かに傾く程度で収まり、対称に設けられた一対のローラが、ガイドレールの前後面を走行する。これにより、折戸の開閉に当たって、折戸金具がガイドレール上をスムースに移動することが可能になる。
【0016】
本発明の好ましい態様では、前記一対のローラは、前記ガイド金具と前記吊ヒンジとの接続位置の水平方向両側に、前記接続位置を避けて設けられたことを特徴とする。
【0017】
この態様では、一対のローラが、ガイド金具と吊ヒンジの接続位置の両側に設けられることで、折戸の開閉により、折戸金具がローラとガイドレールとのクリアランスの中で傾く度合をさらに少なくすることができ、ガイドレールに対する折戸金具の振れ幅を小さくすることが可能になる。これにより、折戸の開閉に際して、折戸金具がガイドレール上をよりスムースに移動することが可能になる。
【0018】
本発明の好ましい態様では、前記ガイド金具は、前記一対のローラにより挟持される垂直部とこの垂直部に直交する水平の落下防止片を備えたガイドレールの、前記落下防止片の上面に当接する補助ローラを備えたことを特徴とする。
【0019】
この態様では、ガイドレールに落下防止片を設け、折戸金具にこれに対応して補助ローラを設けることで、施工時において、ガイドレールへの折戸金具の取り付けが容易になる。すなわち、折戸の施工後は、折戸は吊元側のスライドヒンジ等により垂直方向の位置を保持されているため、ガイドレールの落下防止片やこれに対応する折戸金具側の補助ローラは必ずしも必要な構成ではないが、施工時には、予めガイドレールに折戸金具を取り付けてから吊ヒンジを介して折戸を装着する。この際、落下防止片と対する補助ローラがあることで、ガイドレールに対して折戸金具の装着が容易になる。
【0020】
本発明の好ましい態様では、前記ガイド金具は、前記一対のローラにより挟持される垂直部とこの垂直部に直交する水平の落下防止片を備えたガイドレールの、前記落下防止片の上面に係合する係合片を備えたことを特徴とする。
【0021】
この態様では、ガイドレールに落下防止片を設け、折戸金具にこれに対応して係合片を設けることによっても、補助ローラの場合と同様に、施工時におけるガイドレールへの折戸金具の取り付けが容易になる。
【0022】
本発明の好ましい態様では、前記吊ヒンジは、前記接続位置において、垂直方向に位置調整可能に構成されたことを特徴とする。
【0023】
以上の態様では、吊ヒンジが、接続位置において垂直方向の位置調整が可能に構成されることで、折戸を施工する枠などの仕様によって、枠に設置したガイドレールと折戸との隙間が異なっても、これに対応した垂直方向の位置調整が可能になる。
【発明の効果】
【0024】
以上のような本発明によれば、折戸の開閉時において、金具に余分な力が働かず、スムースな開閉が可能な折戸金具を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態(以下、本実施形態という。)について、図面を参照しながら説明する。
【0027】
[1.本実施形態]
[1−1.構成]
本実施形態に係る折戸金具1は、
図1〜
図3に示すように、図示しないガイドレール上を移動するガイド金具2と、ガイド金具2に取り付けられる吊ヒンジ3と、から構成される。なお、
図1は、折戸金具1を、ガイド金具2と吊ヒンジ3とに分離して示した斜視図である。
図2はガイド金具2と吊ヒンジ3とを組み合わせた状態において、吊ヒンジ3を閉じた状態を示す斜視図及び6面図である。また、
図3はガイド金具2と吊ヒンジ3とを接続した状態において、吊ヒンジ3を開いた状態を示す斜視図及び6面図である。
【0028】
ガイド金具2は、概略的な構成として、図示しないガイドレールを挟持する保持部21と、ガイド金具2を吊ヒンジ3と取り付ける取付部23とを備える。
【0029】
保持部21は、全体が直方体形状で、長尺方向をガイドレールに沿った移動方向とする。保持部21はまた、後述するガイドレールの垂直部を左右から挟持するように、上面が開口した溝部21aが形成される。溝部21aには、後述するガイドレールの落下防止片に当接する溝部21aからL字状に突出した係合部21bを形成している。
【0030】
保持部21は、四隅に、ガイドレールを垂直方向に挟持する一対のローラ22a,22bと、一対のローラ22c,22dとを備える。ローラ22a〜22dは、垂直方向を回転軸として、保持部21に回動可能に取り付けられている。なお、以下では、ローラ22a〜22dを説明の便宜上まとめて単にローラ22と表現する。
【0031】
保持部21は、また、吊ヒンジ3の取付部23と溝部21aを挟んで反対側に、補助ローラ24a,24bを有する。補助ローラ24a,24bは、水平方向に回転軸が設けられ、保持部21に回動可能に取り付けられている。この補助ローラ24a,24bも、後述するガイドレールの落下防止片に当接し、ガイドレールに対する折戸金具1の上下位置を規制するものである。なお、同様の作用を奏する部材として、上述の係合部21bについても説明したが、この係合部21bと補助ローラ24a,24bとは、本実施形態のように合わせて設けても良いし、いずれかを択一的に設けても良い。ガイドレールとの当接面で生じる摩擦等を考えると、補助ローラ24a,24bを設けることが最良の態様である。
【0032】
取付部23は、保持部21の一方の面に埋設され、その位置は、ローラ22との関係において、ガイド金具2をガイドレールに取り付けた場合の設置高さ方向において少なくとも一部が重なるように設けられる。
【0033】
具体的には、取付部23は、保持部21の側面に設けられた凹部23aに、吊ヒンジ3のアーム31を取り付ける取付体23cを上下移動可能に収納している。より具体的には、取付部23は、凹部23aの両端近傍に垂直方向に昇降ピン23bを備え、取付体23cがこの昇降ピン23bに貫通して接続することで上下移動可能に構成される。
【0034】
吊ヒンジ3は、公知の部材を用いて構成したものであり、アーム31と、折戸の戸先側裏面(
図4,5等参照)に設置される設置部32とから構成されるものである。吊ヒンジ3は、ガイド金具2に対して着脱自在に構成されている。これにより、折戸Dが、右仕様や左仕様である場合など、仕様に合わせて付け替えて用いることが可能になっている。なお、吊ヒンジ3のアーム31と、取付部23の取付体23cとの取付構造は、公知の構成であるので、ここでは説明を省略する。
【0035】
[1−2.折戸金具の折戸への取付状態]
続いて、折戸金具1が、折戸へ取り付けられた状態について、
図4を用いて説明する。
図4(a)は、折戸Dに折戸金具1を取り付け、枠Fに設けられたガイドレールLと折戸金具1が係合した状態を示す側面図である。また、
図4(b)は、ガイドレールLの断面形状を示す図である。
【0036】
図4(b)に示すように、ガイドレールLは、水平方向に形成された枠Fへの取付面L1と、垂直方向に形成された垂直部L2と、垂直部L2に連続的に設けられ水平方向に形成された落下防止片L3とからなる、略コの字型の形状をなす。
【0037】
図4(a)に示すように、折戸金具1は、吊ヒンジ3が折戸Dに取り付けられる。また、ガイド金具2は、枠Fに取り付けられたガイドレールLを、溝部21aにより挟持するとともに、ガイドレールLの落下防止片L3が溝部21aに形成される係合部21bと噛み合う。
【0038】
続いて、
図5〜
図7を用いて、折戸金具1を取り付けた折戸Dを、平面方向から見て、折戸Dが閉じた状態(
図5)、折戸Dが半分程度開いた状態(
図6)、折戸Dが完全に開いた状態(
図7)を示す。
【0039】
折戸Dが閉じた状態では、
図5に示すように、折戸金具1の吊ヒンジ3は、閉じた状態になっているとともに、ガイド金具2は、折戸Dの一方の枠F1に近接した状態になっている。なお、「近接」としたのは、一般的に設計上、折戸と折戸及びガイドレールを取り付ける枠との施工の誤差等を考慮して、吊元側のスライドヒンジに調整代が設けられているため、折戸を閉じた際において、ガイド金具2と枠F1との間にクリアランスを設けていることによる。
【0040】
この状態から、折戸Dの手掛け(図示せず)によって、折戸Dが図面上方に向けて引かれると、
図5の状態から、折戸金具1は、
図6に示すように、ガイドレールL上を図中右方向に移動する。このとき、吊ヒンジ3は、折戸Dの折り畳みに追従してヒンジを軸として開いた状態になる。さらに、折戸金具1がガイドレールL上を移動し、
図6に示す状態を経て、
図7に示すように、ガイド金具2は、折戸Dの他方の枠F2に当接した状態となり、同時に折戸Dが最大限開いた状態になる。すなわち、折戸金具1のガイド金具2は、吊元側にまで移動した状態となり、このとき吊ヒンジ3は完全に開いた状態になる。
【0041】
[1−3.折戸金具に対する荷重]
上述した折戸金具1のガイドレールL上の移動に際して、折戸Dの開閉動作により折戸金具1に掛かる荷重について、
図8及び
図9を用いて説明する。なお、
図8では、折戸Dについて、より詳細な作用について説明するため、折戸金具1側の戸板をD1とし、吊元側の戸板をD2として示す。
【0042】
図6又は7に示した、折戸Dが開放した状態から折戸Dを閉じようとした場合には、
図8(a)〜(c)に矢印(白抜き)で示すように、折戸D側から折戸金具1側に対して押す方向の力が生じる。
【0043】
このとき、折戸金具1に生じる力を、まず平面方向から見ると、
図8(a)及び(b)に示すように、ガイド金具2の一方のローラ22aと、ローラ22dとが、それぞれガイドレールLに対して当接するような方向の力が生じる。これによって、ガイド金具2は、ガイドレールL上でわずかに傾いた状態となる。より具体的にいえば、この傾き量は、ガイドレールLとローラ22とのクリアランス分であり、ローラ22がガイドレールLに当接した段階でこれ以上の傾きは出ない。なお、
図8(a)は折戸Dが完全に開放した状態を示し、同図(b)は(a)の状態よりもわずかに閉じた状態を示しているが、いずれの場合も、荷重の大小の差はあっても、荷重の方向は同じである。
【0044】
また、折戸金具1に生じる力を、側面方向から見ると、
図8(c)に示すように、吊ヒンジ3とローラ22とが、ガイドレールへの設置高さ方向において重なる位置に設けられているため、折戸Dからの荷重が、ほぼ水平にローラ22に伝達される。したがって、折戸Dからの荷重によって、吊ヒンジ3とガイド金具2との間の捻れ等は生じない。このような結果として、ガイドレールLに当接したローラ22a,22dが回動することで、
図8(a)及び(b)に矢印で示す進行方向へ折戸金具1は進行する。
【0045】
以上のような折戸金具1の作用は、
図8(a)に示す状態において、使用者が戸板D2側を押すことによって折戸Dを閉じようとした場合に、その効果が顕著に表れる。すなわち、従来技術の項で説明したように、近年の折戸は外観構成上、戸板に取手を設けない場合も多く、使用者は、
図8(a)で示す吊元側の戸板D2を黒塗り矢印方向に押すことによって折戸を閉じるのが一般的になっている。このような場合、従来は折戸金具には、折戸を押す方向(
図10(a)黒塗り矢印A方向)の荷重が、ガイドレールに直交する方向の荷重(同図黒塗り矢印B方向)となって、折戸金具がガイドレール上を移動しないロッキングが生じていた。この点、本実施形態では、上述のように、折戸Dからの荷重によって、折戸Dからの荷重が、ほぼ水平にローラ22に伝達され吊ヒンジ3とガイド金具2との間の捻れ等は生じない。したがって、折戸Dを閉じる際に、使用者が戸板D2を押した場合でも、ロッキングは生じず折戸Dのスムースに閉じることができる。
【0046】
一方、
図4又は5に示すように、折戸Dが閉じた状態から折戸Dを開放しようとした場合には、
図9(a)及び(b)に矢印で示すように、折戸金具1側から折戸D側に対する方向の力、すなわち、折戸Dを引く方向の力が生じる。
【0047】
このとき、折戸金具1に生じる力を、まず平面方向から見ると、
図9(a)に示すように、ガイド金具2の一方のローラ22bとローラ22cとが、それぞれガイドレールLに対して当接するような方向の力が生じる。これによって、ガイド金具2は、ガイドレールL上でわずかに傾いた状態となる。
【0048】
また、折戸金具1に生じる力を、側面方向から見ると、
図9(b)に示すように、吊ヒンジ3とローラ22とが、水平方向で重なる位置に設けられているため、折戸Dを引く方向に働く力は、ほぼ水平にローラ22b及び22cに伝達される。したがって、この場合でも、折戸Dへの荷重によっては、吊ヒンジ3とガイド金具2との間の捻れ等を生じさせることはない。
【0049】
[1−4.効果]
以上のような本実施形態の折戸金具1によれば、ローラ22の設置位置と、ガイド金具2及び吊ヒンジ3の接続位置が、水平方向で重なるように配置されたことで、吊ヒンジ3とローラ22の高さがほぼ同じ高さになる。これにより、折戸Dの開閉に当たって、吊ヒンジが受ける前後方向の荷重を、ガイドレールLの前後面にかけることができるので、折戸Dを開閉する際に、不要なガタつきを生じさせない。すなわち、従来のように、折戸からの荷重によって、吊ヒンジとガイド金具との間の捻れ等が生じず、折戸金具に対する不要な荷重の発生を防ぐことができる。
【0050】
折戸Dを全開状態から閉じようとした場合、ガイドレールLに対する前後方向の力を、折戸金具1の進行方向に変換することが可能になる。この場合、折戸金具1はローラ22とガイドレールLとのクリアランスの中で僅かに傾く程度で収まり、対称に設けられた一対のローラ22が、ガイドレールLの前後面を走行する。これにより、折戸Dの開閉に当たって、折戸金具1がガイドレールL上をスムースに移動することが可能になる。
【0051】
一対のローラ22は、ガイド金具2と吊ヒンジ3の接続位置の両側に設けられることで、折戸Dの開閉により、折戸金具1がローラ22とガイドレールLとのクリアランスの中で傾く度合をさらに少なくすることができ、ガイドレールLに対する折戸金具1の振れ幅を小さくすることが可能になる。これにより、折戸Dの開閉に際して、折戸金具1がガイドレールL上をよりスムースに移動することが可能になる。
【0052】
また、このように、一対のローラ22を、ガイド金具2と吊ヒンジ3の接続位置の両側に設ける配置としたことで、ガイド金具2と吊ヒンジ3の取付部分を、ガイド金具2の一方の面に設けた凹部23aに収めることができ、折戸金具1の薄型化を可能にしている。
【0053】
ガイドレールLに落下防止片L3を設け、折戸金具1にこれに対応して補助ローラ24a,24bを設けることで、施工時において、ガイドレールLへの折戸金具1の取り付けが容易になる。すなわち、折戸Dの施工後は、折戸Dは吊元側のスライドヒンジ等により垂直方向の位置を保持されているため、ガイドレールLの落下防止片L3やこれに対応する折戸金具1側の補助ローラ24a,24bは必ずしも必要な構成とはならない。しかし、施工時には、予めガイドレールLに折戸金具1を取り付けてから吊ヒンジ3を介して折戸Dを装着するから、落下防止片L3と対する補助ローラ24a,24bがあることで、ガイドレールLに対して折戸金具1の装着が容易になる。
【0054】
さらに、ガイドレールLの落下防止片に対応して、折戸金具1に係合部21bを設けることによっても、補助ローラの24a,24b場合と同様に、施工時におけるガイドレールLへの折戸金具1の取り付けが容易になる。
【0055】
吊ヒンジ3は、ガイド金具2との接続位置において垂直方向の位置調整が可能に構成されることで、折戸Dを施工する枠Fなどの仕様によって、枠Fに設置したガイドレールLと折戸Dとの隙間が異なっても、これに対応した垂直方向の位置調整が可能になる。
【0056】
また、本実施形態の折戸金具1では、吊ヒンジ3がガイド金具2に対して着脱自在に構成されていることにより、折戸Dが、右仕様や左仕様である場合など、仕様に合わせて取り付けることができる。また、ガイドレールLが折戸金具1のローラ22の間を進行する構成となっているので、ガイドレールLを従来に比較して小さくシンプルに構成することが可能である。
【0057】
以上のような本実施形態の折戸金具1では、直線的なガイドレールを用いても、スムースな開閉をする折戸を提供することができる。
【0058】
[2.他の実施形態]
本発明は、上記実施形態において示した態様に限定されるものではなく、例えば以下の態様も包含する。例えば、本実施形態において吊金具は一例を示すに過ぎず、ガイド金具に取り付け可能な公知の吊金具を適宜用いることが可能である。
【0059】
保持部21に設けたローラ22は、4つで構成したが、これに限られず、
図7(a)(d)示した荷重を受ける側の対角線上のローラのみにより構成することも可能であるし、スペース上の問題がなければ、6つや8つなど、4つ以上で構成することも可能である。
【0060】
また、補助ローラは必須の構成ではなく、これを取り付けない場合でも、所期の作用効果は十分に奏し得る。