(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-104218(P2015-104218A)
(43)【公開日】2015年6月4日
(54)【発明の名称】車両用非接触充電ユニット
(51)【国際特許分類】
H02J 17/00 20060101AFI20150508BHJP
B60L 11/18 20060101ALI20150508BHJP
B60L 5/00 20060101ALI20150508BHJP
H01F 38/14 20060101ALI20150508BHJP
【FI】
H02J17/00 B
B60L11/18 C
B60L5/00 B
H01F23/00 B
H02J17/00 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2013-243000(P2013-243000)
(22)【出願日】2013年11月25日
(71)【出願人】
【識別番号】308013436
【氏名又は名称】小島プレス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田山 照人
【テーマコード(参考)】
5H105
5H125
【Fターム(参考)】
5H105AA17
5H105BA09
5H105BB05
5H105CC07
5H105CC19
5H105DD10
5H105EE15
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC27
5H125FF15
(57)【要約】
【課題】円滑な充電を妨げることなく、車両底面における非接触充電システムの各ユニットの搭載スペースを縮小可能な、車両用非接触充電ユニットを提供する。
【解決手段】車両底面には、非接触受電ユニット12の、コイル26及びコンデンサ22を有するLC回路が、当該底面に沿って隣接して(横並びに)設置されている。非接触受電ユニット12は、非接触受電ユニット12と路面に設けられた非接触給電ユニットとの間の侵入物を検出する侵入センサ用アンテナコイル14を更に備えており、当該コイル14は、コンデンサ22に積層されるように配置されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両底面に当該底面に沿って隣接して設置されたコイル及びコンデンサを有するLC回路を備え、路面に設置された非接触給電ユニットからの電力を受電する、非接触受電ユニットと、
前記コンデンサに積層されるように配置され、前記非接触給電ユニットと非接触受電ユニットとの間の侵入物を検出する侵入センサ用アンテナコイルと、
を備えることを特徴とする、車両用非接触充電ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用非接触充電ユニットであって、
前記コンデンサには、前記非接触給電ユニットの制御部との通信を行う通信アンテナコイルが積層されていることを特徴とする、車両用非接触充電ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用非接触充電ユニットであって、
前記コイルとコンデンサの配列方向に直交する軸周りに、前記コイルが捲回されていることを特徴とする、車両用非接触充電ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用非接触充電ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるハイブリッド車両や電気自動車では、車両の駆動源として、回転電機が用いられている。回転電機の電源として、車両には二次電池が搭載されている。二次電池の充電システムとして、例えば特許文献1のような、非接触充電システムが知られている。
【0003】
非接触充電システムでは、車両の底面(アンダーカバー)に、受電ユニットを設ける。また、路面には給電ユニットを設ける。受電ユニット及び給電ユニットにはそれぞれコイルが設けられており、受電ユニットと給電ユニットとを対向させるとともに、電磁誘導法や、電磁誘導を行うLC回路の共振条件を利用した共鳴法等を用いて、受電ユニットから給電ユニットに、非接触に電力を送る。
【0004】
車両には、給電ユニットから受電ユニットへの電力送電を円滑に行うための付帯設備が設けられている。例えば、
図2に示すように、給電ユニットと受電ユニット100の間への異物の侵入を検知する侵入センサが設けられる。路面の給電ユニットと車両底面の受電ユニット100の間について検出を行うことから、侵入センサのアンテナコイル(ダイポールアンテナ)102は車両底面に設けられ、路面側に指向される。また、給電ユニット側との通信を行うための通信ユニットが車両に設けられている。給電ユニット側の通信アンテナコイルが路面に設けられている場合、受電ユニット側の通信アンテナコイル104は、車両の底面に設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2010/106648号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、車両の底面における非接触充電システムの各ユニットの搭載スペースの縮小を図るために、受電ユニット100、侵入センサ用アンテナコイル102、及び通信アンテナコイル104を一箇所にまとめることが考えられる。しかし、その配置によっては、アンテナコイル102、104と受電ユニット100のコイルとの相互インダクタンスが生じて、円滑な充電が困難となるおそれがある。そこで、本発明は、円滑な充電を妨げることなく、車両底面における非接触充電システムの各ユニットの搭載スペースを縮小可能な、車両用非接触充電ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車両用非接触充電ユニットは、車両底面に当該底面に沿って隣接して設置されたコイル及びコンデンサを有するLC回路を備え路面に設置された非接触給電ユニットからの電力を受電する非接触受電ユニットと、前記コンデンサに積層されるように配置され、前記非接触給電ユニットと非接触受電ユニットとの間の侵入物を検出する侵入センサ用アンテナコイルと、を備える。
【0008】
また、上記発明において、前記コンデンサには、前記非接触給電ユニットの制御部との通信を行う通信アンテナコイルが積層されていることが好適である。
【0009】
また、上記発明において、前記コイルとコンデンサの配列方向に直交する軸周りに、前記コイルが捲回されていることが好適である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、円滑な充電を妨げることなく、車両底面における非接触充電システムの各ユニットの搭載スペースの縮小が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係る車両用非接触充電ユニットを例示する図である。
【
図2】従来の車両用非接触充電ユニットを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1に、本実施形態に係る車両用非接触充電ユニット10を例示する。車両用非接触充電ユニット10は、非接触受電ユニット12、侵入センサ用アンテナコイル14、通信ユニット用アンテナコイル16、及びシールドケース18を備える。なお、
図1に示す車両用非接触充電ユニット10は、車両底面を背にして、路面に露出する側が示されている。また、車両用非接触充電ユニット10は、例えば車両底面の中央部に設置されてよい。
【0013】
シールドケース18は、非接触充電のような大電流を扱う際に生じる磁界をシールドケースの外に出さない(閉じ込める)ためのものであり、例えば金属材料から構成される。シールドケース18は、非接触受電ユニット12、侵入センサ用アンテナコイル14及び通信ユニット用アンテナコイル16を収容する。路面との接触を防ぐために、シールドケース18は車両底面から路面までの高さが低くなるように形成されていることが好適である。例えば、シールドケース18は、車両底面に沿った平板及びその縁辺に設けられて車両底面とは略垂直な縁壁を設けた、角盆形状であってよい。さらに、シールドケース18の開口を、樹脂等の非磁性材料で覆うようにして、収容物を保護するようにしてもよい。
【0014】
非接触受電ユニット12は、コイルユニット20及びコンデンサ22を備える。コイルユニット20は、コア24にコイル26が巻き回されて構成される。路面との接触を防ぐために、コア24は薄い平板形状であってよい。ここで、コイル26から生じる磁束が侵入センサ用アンテナコイル14や通信ユニット用アンテナコイル16を通過しないように、コイル26をコア24に捲回する(巻き回す)ことが好適である。例えば、コイル26の捲回軸L1が、コイルユニット20とコンデンサ22が配列される配列方向L0に対して直交するように、コイル26をコア24に捲回する。
【0015】
コンデンサ22は、コア24と同様にして路面との接触を防ぐために、薄い平板形状の角型コンデンサであってよい。コイルユニット20及びコンデンサ22は、車両底面に、当該底面に沿って隣接するようにして(すなわち横並びに)設置される。この設置の際に、その最大面積面(平板の板面)が路面に対向するように、コイルユニット20及びコンデンサ22を設置することが好適である。
【0016】
非接触受電ユニット12は、路面に設置された非接触給電ユニット(図示せず)から電力を受電する。非接触受電ユニット12及び非接触給電ユニットは、いわゆる共鳴法によって電力送電を行うものであってよい。非接触受電ユニット12は、コイルユニット20及びコンデンサ22によって、LC共振回路を構成している。共振回路を構成することで、高いQ値が得られる。Q値は振動の状態を表す無次元のパラメータであり、Q値が高ければ、振動系にエネルギーが長時間保存され、電力の伝送距離が長くなる。このように、非接触受電ユニット12と、路面に設けられた給電ユニットのQ値を高くすることで、高効率の(損失の少ない)非接触給電が可能となる。
【0017】
侵入センサ用アンテナコイル14は、車両底面に設けられた非接触受電ユニット12と、路面に設けられた非接触給電ユニットとの間の異物の侵入を検知するためのアンテナである。侵入センサは、いわゆる電波式のものであってよく、侵入センサ用アンテナコイル14は、例えばダイポールアンテナであってよい。
【0018】
侵入センサ用アンテナコイル14は、非接触受電ユニット12の、コンデンサ22に積層される様にして配置されている。侵入センサ用アンテナコイル14を、非接触受電ユニット12のコイルユニット20に積層させると、コイルユニット20と侵入センサ用アンテナコイル14とが近接して相互インダクタンスが発生し、円滑な充電が妨げられるおそれがあるが、本実施形態の様に、コンデンサ22に侵入センサ用アンテナコイル14を配置することで、コイルユニット20に積層させる場合と比較して、コイルユニット20と侵入センサ用アンテナコイル14とが離間するので、相互インダクタンスの影響は軽減される。また、コンデンサ22に侵入センサ用アンテナコイル14を配置することで、車両底面における、非接触受電ユニットを構成する各ユニットの搭載スペースを縮小できる。
【0019】
侵入センサ用アンテナコイル14は、路面との接触を防ぐために、平板状に形成されていてよい。コンデンサ22への積層の際に、その最大面積面が路面に対向するように、侵入センサ用アンテナコイル14を積層することが好適である。また、侵入センサ用アンテナコイル14は、非接触受電ユニット12のコンデンサ22よりも小型であってよい。例えば、侵入センサ用アンテナコイル14の、路面に対向する平面の面積は、コンデンサ22の同面積よりも小さく形成されていてよい。
【0020】
コンデンサ22上には、侵入センサ用アンテナコイル14のみでなく、当該アンテナコイル14からの信号を処理する検波回路や、当該アンテナコイル14に電波を送信させる発振回路も積層させてよい。この場合、検波回路から出力される信号を送信する信号線や発振回路に電力を送る導線を、例えば、シールドケース18から車両内部の制御ユニットまで延設させる。検波回路や発振回路をシールドケース18外に設ける場合は、シールドケース18内の侵入センサ用アンテナコイル14と、シールドケース18外の検波回路や発振回路を繋ぐ信号線を、例えば、シールドケース18を跨ぐ、または一部貫通するようにして設ける。
【0021】
通信ユニット用アンテナコイル16は、非接触給電ユニットの制御部(図示せず)との通信を行う通信ユニットのアンテナコイルである。通信ユニット用アンテナコイル16は、例えば、パッチアンテナであってよい。
【0022】
通信ユニット用アンテナコイル16は、侵入センサ用アンテナコイル14と同様に、非接触受電ユニット12の、コンデンサ22に積層されるようにして配置される。コンデンサ22に通信ユニット用アンテナコイル16を配置することで、コイルユニット20に積層させる場合と比較して、コイルユニット20と通信ユニット用アンテナコイル16とが離間するので、相互インダクタンスの影響は軽減される。また、コンデンサ22上に通信ユニット用アンテナコイル16を配置することで、車両底面における、非接触受電ユニットを構成する各ユニットの搭載スペースを縮小できる。
【0023】
通信ユニット用アンテナコイル16は、路面との接触を防ぐために、平板状に形成されていてよい。コンデンサ22への積層の際に、その最大面積面が路面に対向するように、通信ユニット用アンテナコイル16を積層することが好適である。
【0024】
また、通信ユニット用アンテナコイル16は、非接触受電ユニット12のコンデンサ22よりも小型であってよい。例えば、通信ユニット用アンテナコイル16の、路面に対向する平面の面積は、コンデンサ22の同面積よりも小さくなるように形成されていてよい。具体的には、通信ユニット用アンテナコイル16と侵入センサ用アンテナコイル14の上記面積が、コンデンサ22の上記面積以下であることが好適である。
【0025】
また、通信ユニット用アンテナコイル16は、車両内部の制御ユニットに信号を伝送する。通信ユニット用アンテナコイル16と制御ユニットを繋ぐ信号線は、シールドケース18を跨ぐ、または一部貫通するようにして設けることが好適である。
【0026】
本実施形態のように、非接触受電ユニット12、侵入センサ用アンテナコイル14及び通信ユニット用アンテナコイル16を1箇所にまとめることで、これらの機器から延設される信号線や導線などをまとめて配索することが可能となる。したがって、これらの機器が分散配置されていた場合と比較して、配索作業が簡便になる。
【符号の説明】
【0027】
10 車両用非接触充電ユニット、12 非接触受電ユニット、14 侵入センサ用アンテナコイル、16 通信ユニット用アンテナコイル、18 シールドケース、20 コイルユニット、22 コンデンサ、24 コア、26 コイル。