(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-104312(P2015-104312A)
(43)【公開日】2015年6月4日
(54)【発明の名称】逆電流検出回路
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20150508BHJP
【FI】
H02M3/155 H
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2014-237336(P2014-237336)
(22)【出願日】2014年11月25日
(31)【優先権主張番号】13194504.0
(32)【優先日】2013年11月26日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】596162740
【氏名又は名称】イーエム・ミクロエレクトロニク−マリン・エス アー
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ペトル・ドレスラー
(72)【発明者】
【氏名】イヴ・テオデュロー
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AS04
5H730BB14
5H730DD04
5H730FD21
5H730FG02
(57)【要約】
【課題】 少ない電力しか消費しない逆電流検出回路を提供する。
【解決手段】 DC/DCコンバーター(2)の逆電流状態を検出する回路(1)である。この回路は、DC/DCコンバーターの所定のノード(7)の電圧を感知するためにANDゲートのような単純な論理ゲートを使用し、ゲート出力された信号(27)の伝達は、DC/DCコンバーターのタイミング制御信号SW1及びSW2を遅延セル(16、17)とともに使用して制御される。これによって、ノード(7)の感知電圧の正又は負の状態が論理ゲート(18)、フリップフロップ又はラッチ回路(19)及び増減カウンター(29)を通って、出力タイミング制御回路(25)へとクリーンに伝わることを確実にする。増減カウンターは、ノードにおける逆電流状態の存在又は不存在に依存して増分又は減分され、増減カウンターのカウント値(24)は、第2段階タイミング制御信号SW2のオン期間を決定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
DC/DCコンバーター(2)用の逆電流検出回路(1)であって、
前記DC/DCコンバーター(2)の逆電流感知ノード(7)に接続された感知入力(12)と、
前記DC/DCコンバーター(2)の電流フローシーケンスタイミングを制御するように構成するタイミング制御回路のタイミング制御出力と、
前記逆電流感知ノードにおける残余電流の方向を前記タイミング制御回路に供給するフリップフロップ回路(19)とを備え、
当該逆電流検出回路は、
前記フリップフロップ回路のデータ入力に接続されたゲート出力(27)と、
前記感知入力(12)に接続された第1のゲート入力と、
入力ゲート信号(23)を受信する第2のゲート入力と
を有する論理ゲート(18)を有し、
前記論理ゲートは、
前記入力ゲート信号が第1の論理値を有する時には、前記ゲート出力の論理状態は前記第1のゲート入力に依存し、
前記入力ゲート信号が第2の論理値を有する時には、前記ゲート出力の論理状態が前記第1のゲート入力に依存しないように前記論理ゲート回路がパワーダウン状態となるように、構成し接続する
ことを特徴とする逆電流検出回路(1)。
【請求項2】
前記DC/DCコンバーター(2)の第1のタイミング制御信号(SW2)を受信する第1のタイミング制御入力(13)と、
前記第1のタイミング制御信号(SW2)を第1の遅延期間の分遅延させることによって、第1の遅延済みタイミング信号(SW2DD)を供給する第1の遅延手段(16、17)と、
前記タイミング制御回路を形成する増減カウンター(29)とを備え、
この増減カウンターは、
前記増減カウンターが第1のクロック論理状態に変えるような前記第1の遅延済みタイミング信号(SW2DD)によってクロックされるときに、前記ゲート出力(27)が第1のゲート出力論理状態であるならば、カウント値(24)を増分し、かつ、
前記増減カウンターが第1のクロック論理状態に変えるような前記第1の遅延済みタイミング信号(SW2DD)によってクロックされるときに、前記ゲート出力(27)が第2のゲート出力論理状態であるならば、前記カウント値(24)を減分するように、前記第1の遅延済みタイミング信号(SW2DD)によってクロックされる
ことを特徴とする請求項1に記載の逆電流検出回路(1)。
【請求項3】
前記増減カウンター(29)は、前記第1の遅延済みタイミング信号(SW2DD)が第2のクロック論理状態である場合に、パワーダウン状態に入るように構成している
ことを特徴とする請求項2に記載の逆電流検出回路(1)。
【請求項4】
前記入力ゲート信号(23)は、前記第1の遅延済みタイミング信号(SW2DD)である
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の逆電流検出回路(1)。
【請求項5】
前記増減カウンター(29)は、前記逆電流検出回路の収束状態を検出し、かつ、前記増減カウンターを所定時間パワーダウンモードにするように構成するようなカウントを覆す手段を有する
ことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の逆電流検出回路(1)。
【請求項6】
前記収束状態の検出は、前記増減カウンター(29)の増分−減分−増分又は減分−増分−増分のシーケンスを検出する
ことを特徴とする請求項5に記載の逆電流検出回路(1)。
【請求項7】
前記第1の遅延期間よりも短い第2の遅延期間の分、前記第1のタイミング制御信号(SW2)を遅延させることによって、第2の遅延済みタイミング信号(SW2D)を生成するように構成する第2の遅延手段(16)を有する
ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の逆電流検出回路(1)。
【請求項8】
前記論理ゲート(18)は、ANDゲートによって形成されている
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の逆電流検出回路(1)。
【請求項9】
前記タイミング制御回路は、前記DC/DCコンバーター(2)の第2段階タイミングの制御のために出力タイミング制御信号(15、SW2)を生成するように構成する出力タイミング制御回路(25)を有し、
前記出力タイミング制御信号(15、SW2)は、前記カウント値(24)に依存する制御期間を有する
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の逆電流検出回路(1)。
【請求項10】
前記フリップフロップ回路(19)は、前記第2の遅延済みタイミング信号(SW2D)の制御の下で、前記第2の遅延期間時に前記ゲート出力(27)を格納するように構成し、
前記増減カウンター(29)は、
前記増減カウンター(29)がクロックされる時に前記フリップフロップ回路の出力(28)が第1のゲート出力論理状態であれば、前記カウント値(24)を増分し、
前記増減カウンター(29)がクロックされる時に、ラッチされた前記ゲート出力(28)が第2のゲート出力論理状態であれば、前記カウント値(24)を減分するように、前記第1の遅延済みタイミング信号(SW2DD)によってクロックされる
ことを特徴とする請求項2〜9のいずれか一項に記載の逆電流検出回路(1)。
【請求項11】
前記出力タイミング制御回路(25)は、アナログ遅延セルを有する
ことを特徴とする請求項9又は10に記載の逆電流検出回路(1)。
【請求項12】
前記出力タイミング制御回路(25)は、出力回路制御信号(22)を受信し、
前記出力タイミング制御回路(25)は、
前記出力回路制御信号(22)が所定の論理状態である場合に、パワーダウン状態に入るように構成する
ことを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の逆電流検出回路(1)。
【請求項13】
前記出力回路制御信号(22)は、前記DC/DCコンバーター(2)の第2のタイミング制御信号(SW1)である
ことを特徴とする請求項12に記載の逆電流検出回路(1)。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれか一項に記載の逆電流検出回路(1)と、
リアクタンス性要素(4)と、
前記第1のタイミング制御信号(SW2)によって第2段階タイミングで制御される第1のスイッチング素子(6)と、
前記第2のタイミング制御信号(SW1)によって第1段階タイミングで制御される第2のスイッチング素子(5)と
を備えるDC/DCコンバーター(2)であって、
前記第2段階タイミングは、前記出力タイミング制御回路によって制御され、
前記第2のタイミング制御信号(SW1)は、前記出力回路制御信号(22)である
ことを特徴とするDC/DCコンバーター(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、DC/DCコンバーターの分野に関し、より詳細には(これに限らない)、不連続モードで動作することができる低出力ブーストDC/DCコンバーターに関する。
【背景技術】
【0002】
DC/DCコンバーターは、第1の直流電圧を、これよりも通常高い第2の直流電圧へと変換するために使用される。これは、第1の直流電圧をインダクタンスにかけ、インダクタンスに流れる電流を変え又は切り替えることによって達成することができる。これによって、一連の大きさが大きくなった正及び負に向かう電圧ピークが作られ、これは、出力キャパシターによって整流されて平滑化され、第2の直流電圧として出力負荷へと出力される。スイッチングサイクルの特定の時点において、回路は、電流が逆方向に流れるような状態になることがある。このような逆電流は、これによって電力損失が増えてしまうので、望ましくない。逆電流の影響は、低出力のDC/DCコンバーターにおいて特に大きくなる。このような低出力のDC/DCコンバーターにおいては、逆電流による電力損失が、コンバーターの入力から出力まで転送されるパワーに匹敵するほどになったり、あるいはさらに大きくなることもある。
【0003】
コンバーターを通るパワー伝送を依然として最大限にしつつ逆電流の状態を回避するために、DC/DCコンバーター回路の感知ノードにおける電圧におけるサイクル変動に応じて制御タイミング信号を動的に調整することによって最適なスイッチングタイミングを達成することを目指したDC/DCコンバーターが提案されている。例えば、順電流段階(第2段階)のそれぞれの終わりにおける所定時間において電圧を感知することができ、逆電流が検出されない場合、次の順電流フロー段階の継続期間をわずかに増加されることができる。そのときに逆電流が検出されると、次の順電流段階の継続期間が再びわずかに減少する。このようにして、DC/DCコンバーターのスイッチングタイミング制御は、コンバーターに電流が流れていない場合に1つの段階から次の段階への遷移が発生するような、望ましい状況へと収束する。何十又は何百ものキロヘルツのサイクル周波数を有するDC/DCコンバーターにおいて、この収束が素早く発生する。
【0004】
既存の逆電流検出器は、通常、電圧を感知するアナログコンパレータを使用する。しかし、コンパレーターは、原則的には、動作するために一定のバイアス電流を必要とする。このことは、逆電流検出器の電流消費量を増加させる。このようなコンパレーターの電流消費は、低出力のコンバーターにおいては無視できず、特に何百キロヘルツの高い動作周波数においては無視できない。
【0005】
US2009/0237039A1では、不連続モードで動作するDC/DCコンバーターの逆電流感知ノードを、逆電流検出器におけるフリップフロップ回路の非反転入力に接続することを示唆している。しかし、この構成は、フリップフロップ回路での無視できない電流消費を意味している。最小でないのは、感知した電圧の新しい値をすべてのサイクルごとにフリップフロップによってクロックする必要があるからである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記の従来技術の逆電流検出回路の課題の少なくとも一部を克服することである。より詳細には、本発明の目的は、従来技術の逆電流検出器よりも少ない電力しか消費しない逆電流検出回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このために、本発明は、DC/DCコンバーター用の逆電流検出回路であって、前記DC/DCコンバーターの逆電流感知ノードに接続された感知入力と、前記DC/DCコンバーターの電流フローシーケンスタイミングを制御するように構成するタイミング制御回路のタイミング制御出力と、前記逆電流感知ノードにおける残余電流の方向を前記タイミング制御回路に供給するフリップフロップ回路とを備えるものに関する。
【0008】
当該逆電流検出回路は、前記フリップフロップ回路のデータ入力に接続されたゲート出力と、前記感知入力に接続された第1のゲート入力と、入力ゲート信号を受信する第2のゲート入力とを有する論理ゲートを有し、前記論理ゲートは、前記入力ゲート信号が第1の論理値を有する時には、前記ゲート出力の論理状態は前記第1のゲート入力に依存し、前記入力ゲート信号が第2の論理値を有する時には、前記ゲート出力の論理状態が前記第1のゲート入力に依存しないように、前記論理ゲート回路がパワーダウン状態となるように構成し接続する。
【0009】
第1の実施形態において、論理ゲートは、「AND」ゲートである。別の実施形態において、論理ゲートは「OR」ゲートであるが、これはこれ以上説明しない。当業者であれば、本発明について記載した説明において教示したことに基づいて、この別の実施形態を設計することができるであろう。発明性のあるエンベロープ検出回路のさらなる変形実施形態が、従属請求項において記載されている。
【0010】
以下に説明するように、逆電流感知電圧を逆電流検出回路へゲート制御するためにANDゲートのような単純な論理ゲートを使用することは、DC/DCコンバーターのスイッチングサイクルの大部分において入力段を有効にパワーダウンすることができることを意味する。すなわち、この入力段で受信した電圧信号は、逆電流を感知した場合のスイッチングサイクルにおける短い部分を例外として、DC/DCコンバーターの両方のメインスイッチが導電性でない時(オフ時)には、フリップフロップ回路に対しては、効力がなく/送信されない。このようにして、逆電流検出回路のフリップフロップ回路を動作させるために電力が必要とされる時間を相当に減少させることができ、これによって、逆電流検出回路の全体的な電力消費を減少させることができる。実際に、このフリップフロップ回路は、一般に、そのデータ入力における電圧信号が、明確に定められた論理的な状態「0」又は「1」に対応しない場合、その電力消費量を増加させる。これは、DC/DCコンバーターの両方のメインスイッチがオフである短い期間の後における逆電流感知ノードの電圧の場合が相当する。この短い期間において、逆電流感知ノードにおける残余電流の方向に依存して、このノードにおける電圧は、この短いサイクルの間に、逆電流検出回路の感知入力における電圧が意味のある論理値に対応するように、増加又は大きく減少する。これは、逆電流感知ノードにおける残余電流の方向を検出するために使用され、したがって、フリップフロップ回路に送信されるような入力信号である。この短いサイクルの後に、感知入力で受信した入力信号の電圧は、一般に、意味を持たない論理値の周辺を発振する。本発明に係る逆電流検出回路は、このような発振信号及び意味を持たない論理値は、フリップフロップ回路に送信されない。この論理ゲートの構造は、第2のゲート入力が、第1のゲート入力(感知入力)とは独立した値をゲート出力が有するような論理値を有する場合、この論理ゲートにおいて過剰消費がないように作られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明に係る逆電流検出回路の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を、添付した図面を参照して、より詳細に説明する。
【0013】
なお、図面は、本発明の基礎となる特定の原理を理解するための補助として提供するものであって、保護を求める範囲のいずれの制限をも示唆するものとして理解するべきではない。図面において同じ符号が複数の箇所において使用されているが、これらは、同じか又は対応する特徴を示すように意図されている。しかし、異なる符号を使用していても符号が示す特徴の間で違いがあることを意味するものと理解してはならない。
【0014】
なお、本出願において、ブーストコンバーターの例を使用しているが、他の種類のコンバーターにおける逆電流検出にも本発明の原理を適用することができることを理解できるであろう。さらに、本出願において使用されるオフ状態、オン状態という用語が、必ずしも特定の信号電圧を示すものではないことに留意するべきである。しかし、それらが特定の論理状態を示していてもよい。
【0015】
図1は、誘導コイル4、そして、スイッチ5、6及び出力キャパシター10で形成された同期整流器構成を有するブーストDC/DCコンバーターを示す。入力電圧源3からのエネルギーは、入力電圧V
INから、異なる出力電圧V
OUTへと出力端子8において変換され、出力電圧V
OUTが出力負荷9にかかる。DC/DCコンバーターは、原則として3つのモードで動作する。連続モード、不連続モード、オフモードである。連続モードは、コイル電流が連続的であるという特徴を有する。不連続モードにおいては、コイルにおける電流が遮断され、逆電流の状態が発生しうる。本発明は、この不連続モードに関連する。
【0016】
図1に示す逆電流検出回路1は、同期整流器におけるコイル4及びスイッチ5、6の共通接続7で電圧を感知するように構成する。また、本出願において、この共通接続7は「逆電流感知ノード」又は「感知ノード」と呼ばれる。コイル4に流れる電流は、入力電圧源3から出力負荷9まで流れなければならない。そうでなければ、逆電流の状態が存在することになる。このような逆電流は電力消費量を増加させるものであって、回避しなければならない。DC/DCコンバーターの各スイッチングサイクルの第2段階の終わりにおいて電流がどの方法に流れているのか判断するために、両方のスイッチ5、6がオフ(オフ状態)にスイッチングされ、また、感知ノード7の電圧は逆電流検出回路1によってモニタリングされる。感知ノード7における電圧が上昇していれば、電流は順方向にあり、また、電圧が降下していれば、逆電流の状態が存在することになる。
【0017】
タイミング制御回路29及び25によって、DC/DCコンバーターのタイミングサイクルの第1段階時において、第1段階スイッチ5がオンであるときに第2段階スイッチ6がオフにスイッチングされていることが確実になる。第1段階の後に、第2段階スイッチ6がオンにスイッチングされ、タイミングサイクルの第2段階となる。そして、第2段階スイッチ6が、タイミング制御回路によって決定される期間の後に再びオフにスイッチングされる。スイッチドライバー回路26は、アナログ遅延セル25が生成する制御信号をブーストし、その出力において制御信号SW2を第2段階スイッチ6へと、及び逆電流検出回路1の第1のタイミング制御入力13へと供給するように構成する。更なる別のタイミング制御信号SW1が、逆電流検出回路1の第2のタイミング制御入力14へと、具体的には、第1段階スイッチ5へと供給される。
【0018】
図1に示すように、逆電流検出器は、回路ノード7上の電圧を感知するために単純な論理ゲートを使用する。論理ゲートは、例えば、コンパレーターよりも相当に小さい電流を消費する。第2段階タイミング制御信号SW2が高であるとき、
図1に示す変形実施形態において、感知ノード7上の電圧を感知するために使用されるANDゲート18を、タイミングサイクルの大部分の間有効にパワーダウンすることができる、本発明において、感知ノード7によって提供されるアナログ信号が、論理ゲートによって論理値に変換され、その後、フリップフロップ回路19に提供される。コンパレーターを有するか又はフリップフロップ回路への直接接続を有するような従来の手法には、本発明に係るANDゲートの場合と比べて、相当な電流消費が必要となり、パワーダウンすることができない。
【0019】
SW2のオン時間の継続期間は、プログラム可能なアナログ遅延セル25によってセットされる。このアナログ遅延セル25は、オン時間が増減カウンター29から出力されるカウント値24によって制御されるようなタイミング制御信号SW2を発行する。カウント値が高い値の場合、より長いオン期間を意味し、一方、低い値の場合は、より短いオン期間を意味する。パワーを節約するために、タイミング制御信号SW1がオフである場合、アナログ遅延セル25はDC/DCコンバーターのサイクルの第2段階時にのみ有効にされる。アナログタイミングジェネレータを使用すること自体が、消費電力低減に貢献する。なぜなら、SW2のオン時間の制御には、高速クロックを必要としないからである。このようにして、逆電流検出回路1は、いずれの高速発振器の信号をも必要とせずに動作することができ、DC/DCコンバーター2のタイミング制御信号からそのタイミング情報をすべて取得することができる。
【0020】
初期においてリセットの後に、第2段階タイミング制御信号SW2のオン期間は、最短値を有することになり、カウント値24は典型的にはゼロである。第1段階時において、第1段階タイミング信号SW1がオンである場合、コイル4における電流が大きくなる。そして、第2段階時においては、第2段階タイミング制御信号SW2がオンである場合、コイル4が電圧源3に直列に接続されているので、電流が出力負荷9に送られる。この電流は、この第2段階時に下がる。第2段階の終わりにおいて、第2段階タイミング制御信号SW2が上昇し、両方のスイッチSW1及びSW2がオフにスイッチングされる(
図1において、SW1=0及びSW2=1)。回路ノード7における電圧レベルが、ANDゲート18によって感知され、ゲート制御されて、フリップフロップ回路19のデータ入力へと出力される。そして、結果として発生する論理ゲート18の出力における論理値が、遅延済み信号SW2
Dの立ち上がりエッジによってクロックされ、フリップフロップ回路19において格納される。遅延済み信号SW2
Dは、SW2が時間遅延したものである。SW2
Dの遅延は、遅延セル16によって達成され、SW2が完全にオフとなって感知ノード7における電圧が意味のある値に落ち着くまでにSW2
Dが高になることを防ぐために入れてある。
【0021】
付加的な遅延セルを設けることによって、ANDゲート18のゲート入力において更なる遅延がもたらされ、これによって、ANDゲート18を、その感知状態ないし開状態に、少し長く保持することができる。この付加的な遅延は、フリップフロップ回路19の保持時間及び増減カウンター29のセットアップ時間を確保するように機能する。SW2がオフにスイッチングされると、ANDゲート18は、規定の論理状態を維持するように荷電を十分に保持するが、電力消費をしない。第2段階の終わりでSW1とSW2がオフにスイッチングされると、コイル4における順電流によって、回路ノード7における電圧が上昇し、ANDゲート18の出力を論理値「1」にさせる。増減カウンター29は増分され、アナログ遅延セル25によって定められるオン期間が増加する。このシーケンスは、逆電流が検出されるまで、すべてのサイクルを繰り返す。逆電流が検出されると、回路ノード7における電圧は逆電流により低下し、ANDゲート18の出力は低くなり、フリップフロップ回路19は論理値「0」を格納する。これによって、増減カウンター29は減分され、アナログ遅延セル25は、SW2の継続期間を少し短くして、次のサイクルにおける逆電流を回避しようとする。次のサイクルにおいてはSW2の継続期間が短くなるために、回路ノード7の電圧がさらに感知される際に、順電流状態が通常存在する。なお、フリップフロップ回路19を、入力をラッチして出力することができる別の種類の回路によって置き換えることもできる。ANDゲートは、既知の方法によって通過ゲート(パススルーゲート)として構成するようなNMOSトランジスタを使用して有利に実装することができ、あるいは、ゲート信号がオフ状態にある場合にゲートの電力消費が有効にゼロであるような他の既知の構成によって実装することもできる。
【0022】
好ましいことに、増減カウンター29は、更なるエネルギーを節約する特徴を有することができる。これによって、増減カウンターが減分されると、増減カウンターは、再び動作を開始する前に所定数のタイミングサイクルの間パワーダウンし、「増分」に対応するフリップフロップ回路19の出力に応答してカウント値24を調整するように構成する。すなわち、カウント値がNからN−1に変わり、そしてNに戻るように変わるとすぐに、このロジックはM周期の間カウンターを止める。この手法によって、効率を増加させることに貢献することができる。なぜなら、ゼロスイッチング状態への迅速な初期の収束が確実になり、それにもかかわらず、逆電流検出器が収束を一旦達成すると、すべてのサイクルでというような頻度よりも非常に少ない頻度で、収束条件の維持を行うことが可能になるからである。
【符号の説明】
【0023】
1 逆電流検出回路
2 DC/DCコンバーター
4 リアクタンス性要素(コイル)
5、6 スイッチング素子(スイッチ)
7 逆電流感知ノード
12 感知入力
15 出力タイミング制御信号
16、17 遅延手段
18 論理ゲート
19 フリップフロップ回路
22 出力回路制御信号
23 入力ゲート信号
24 カウント値
25 出力タイミング制御回路
27 ゲート出力
28 フリップフロップ回路出力
29 増減カウンター