【解決手段】植物3を担持した植物担持体1を、その幅方向に連接することで形成された緑化壁面構造であって、植物担持体1が幅狭の柱体であって、該担持体1の少なくとも前面側に植物3を担持する担持部2が形成された構成とする。植物担持体1を幅方向に連接し、担持部2に植物3を担持させるという簡易な施工で、リラックス感の向上、室内環境のアメニティの向上、空気浄化作用などに貢献する緑化壁面構造を形成することができる。植物担持体1を幅狭の柱体としたため、その担持体1を少しずつズラしながら連設すると、屈曲状や曲面状の緑化壁面100を容易に形成することができ、デザインの自由度が極めて高い。
上記植物担持体が角柱であって、隣接する植物担持体の前面側及び/又は背面側に隙間を設けて連設しており、植物の繁茂範囲が隣接する植物担持体にまで及んでいることを特徴とする請求項1に記載の緑化壁面構造。
上記植物担持体が円柱であって、隣接する植物担持体が前後方向にズレて連設されており、植物の繁茂範囲が隣接する植物担持体にまで及んでいることを特徴とする請求項1に記載の緑化壁面構造。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の植栽用壁体は、自動車専用道路等の屋外の側壁として利用されるものであり、屋内施設に設置する緑化壁面としては適したものではなかった。
一方、屋内施設に用いられてきた従来の緑化壁面は、幅広の壁面を1枚から複数枚用いることで、緑化壁面の形状を決定するものであるが、従来のユニット化された壁面は、幅広のためデザインの自由度が低く、特に、壁面を屈曲状や曲面状に形成するのが困難であった。
【0007】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたもので、その解決しようとする課題は、施工が容易で、デザインの自由度も高く、特に、緑化壁面を屈曲状や曲面状に形成するのに適した緑化壁面構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る緑化壁面構造は、植物を担持した植物担持体を、その幅方向に連接することで形成された緑化壁面構造であって、上記植物担持体が幅狭の柱体であって、該担持体の少なくとも前面側に植物を担持する担持部が形成されていることを特徴とするものである。
【0009】
本発明の緑化壁面構造においては、上記植物担持体が角柱であって、隣接する植物担持体の前面側及び/又は背面側に隙間を設けて連設しており、植物の繁茂範囲が隣接する植物担持体にまで及んでいることが好ましい。また、上記植物担持体が円柱であって、隣接する植物担持体が前後方向にズレて連設されており、植物の繁茂範囲が隣接する植物担持体にまで及んでいる緑化壁面構造も好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明の緑化壁面構造は、植物担持体を幅方向に連接し、担持部に植物を担持させるという簡易な施工で、リラックス感の向上、室内環境のアメニティの向上、空気浄化作用などに貢献する緑化壁面構造を形成することができる。しかも、植物担持体を幅狭の柱体としたため、その担持体を少しずつズラしながら連設すると、屈曲状や曲面状の緑化壁面を容易に形成することができ、デザインの自由度が極めて高い。
【0011】
また、上記植物担持体が角柱であって、隣接する植物担持体の前面側及び/又は背面側に隙間を設けて連設しており、植物の繁茂範囲が隣接する植物担持体にまで及んでいる緑化壁面構造のように、植物担持体が角柱の場合は、隣接する担持体の前面側及び/又は背面側に隙間を設けて連接することで、より曲率半径の小さな曲面状や曲面状の緑化壁面を容易に形成することができる。その際、植物担持体同士の隙間は、担持部に担持させた植物によって覆い隠されるので、美観を損なうこともない。
【0012】
一方、上記植物担持体が円柱であって、隣接する植物担持体が前後方向にズレて連設されており、植物の繁茂範囲が隣接する植物担持体にまで及んでいる緑化壁面構造のように、植物担持体が円柱の場合は、隣接する担持体を前後方向にズラして連接することで、曲率半径の小さな屈曲状や曲面状の緑化壁面を容易に形成することができ、植物担持体同士の隙間も植物によって覆い隠されて、美観を損なうこともない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る緑化壁面構造を示す斜視図であって、植栽する植物の一部のみを表したものである。
【
図3】同緑化壁面構造に用いる植物担持体を示す斜視図である。
【
図4】同担持体を示す平面図であって、(a)は本実施形態の植物担持体を示し、(b)は他の実施形態の植物担持体を示すものである。
【
図5】同担持体と担持体保持枠の取付け方法を示す説明図である。
【
図6】同担持体と担持体保持枠の取付け方法の他の実施形態を示す説明図である。
【
図7】同緑化壁面構造の水循環システムを示す説明図である。
【
図8】同緑化壁面構造の水循環システムに用いられる担持体の種々の形態を示す平面図である。
【
図9】同緑化壁面構造に用いる保水部材の取付けを示す説明図である。
【
図10】同緑化壁面構造の植物担持体の担持部に植物を担持させた状態を示す説明図である。
【
図11】同緑化壁面構造を他の実施形態を示す概略平面図である。
【
図12】同緑化壁面構造の更に他の実施形態を示す概略平面図である。
【
図13】本発明の更に他の実施形態に係る緑化壁面構造に用いる植物担持体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の具体的な実施形態を詳述する。
【0015】
図1に示す本発明の緑化壁面構造は、植物3を担持させた植物担持体1を、植物担持体1の幅方向に複数連接することで緑化壁面100を形成するためのものであって、公共・商業施設や会社のエントランスなど、主に屋内施設に設置されるものである。
【0016】
上記植物担持体1は、
図2、
図4の(a)に示すように、上下方向に長い幅狭の中空体(中空の角柱)であり、その前面(前壁面)には、植物3を担持する担持部2が形成されている。この担持部2は、
図3に示すように、植物担持体1の壁面(前壁面)に上下方向に複数穿孔された孔であり、
図10に示すように、上下方向に並んだ二つの担持部2,2の間に保水部材4が配設されることで、担持部2,2が上下方向に仕切られている。このように、上下方向に並んだ二つの担持部2,2の間に保水部材4が配設されることで、担持部2に植物3を挿入すると、その直下に位置する保水部材4から水や栄養分が十分供給されて、水不足になることがない。この植物担持体1の材質は、樹脂製や金属製など特に限定されないが、加工性や重量などを考慮すると、塩化ビニル樹脂などの合成樹脂製のものが好適に用いられる。
【0017】
また、上記植物担持体1の上端は、
図3に示すように、半円形に切欠かれて給水管保持部1bが形成されている。そして、この給水管保持部1bに給水管5が保持されて、緑化壁面構造の水循環システムが構築されている。即ち、
図3、
図7に示すように、基台部6に貯水された水がポンプPによって汲み上げられて、給水管5より下方に位置する保水部材4に供給している。この際、
図8に示すように、植物担持体1の内側の内壁面に、スリット付きの通水路1cを設けると、給水管5から保水部材4へ確実に水が供給されるようになる。この通水路1cは、
図8の(a)に示すように、内壁面の角部に設けてもよいし、
図8の(b)に示すように、背面側の内壁面のセンターに設けてもよいが、前面側に設けると担持部2より水が担持部2から外側に漏水してしまうので好ましくない。また、塩ビ管の側面に複数の孔が長手方向に連続して穿孔された孔開きパイプ(不図示)を、通水路1cに配設してもよい。このような孔開きパイプは、単に植物担持体1に挿入しただけでは、孔開きパイプの孔に土等が入り込んで目詰まりする恐れがあるが、上記のように、区画された通水路1cの内側に孔開きパイプを通すことで、目詰まりを防止することができ、清掃や交換などのメンテナンスも容易となる。
【0018】
尚、ここで植物担持体1が幅狭であるとは、植物担持体1の高さHと幅Wの比率が、40:1〜5:1程度のことを言い、形成する緑化壁面100の大きさにもよるが、高さHが500〜3000mm程度、幅Wが50〜300mm程度の植物担持体1が好適に用いられ、植物担持体1の高さHが1000〜2000mm程度、幅Wが70〜200mm程度であると、植物の育成に必要なスペースを確保しつつ、様々な屋内施設の設置スペースに適合し易いのでより好ましい。
【0019】
植物担持体1の幅Wと奥行きDの比率は、本実施形態では1:1であり、上記のように、植物担持体1の幅Wが50〜300mm程度、より好ましくは70〜200mm程度であるので、奥行きDは50〜300mm程度、より好ましくは70〜200mm程度のものが用いられる。
尚、植物3の根の広がり方や保水量などを考慮すると、植物担持体1の幅Wと奥行きDの比率が、0.5:1や1:0.5などでも勿論構わない。
【0020】
上記植物担持体1の形状は、特に限定されないが、本実施形態のような植物担持体1が中空の角柱であり、複数の孔を穿孔することで担持部2を形成した場合は、担持部2はホールソーなどの器具により後加工で形成されるので、植物担持体1の形状も後加工(穿孔)し易い形状が好まれる。従って、植物担持体1の正面側は平面部(平らな壁)であることが好ましく、後述する担持体保持枠8への取付けを考慮すると、背面側も平面部であることが好ましい。更に、この植物担持体1は、その幅方向に連接して緑化壁面100を形成するものであるので、左右両面も平面部であることが好ましく、これらのことを勘案すると、好ましい形状は正方形や正八角形などであり、内部に配設する保水部材4の加工性などを考慮すると、正方形又は長方形が最も好ましい形状となる。
【0021】
上記のような植物担持体1の前面側に形成された担持部2は、前述したように、植物担持体1の前壁面に上下方向に複数穿孔された円形の孔であって、その直径は、植物担持体1の幅Wや担持する植物3の大きさ等を考慮して、40mm〜290mm程度となっている。また、
図1、
図3に示すように、この担持部2は、隣の植物担持体1に形成された担持部2と、段差(高さの差異)が生じるように、隣接する植物担持体1の担持部2,2の間に位置するように穿孔されている。このように担持部2を段違いに形成することで、隣接する植物担持体1に担持される植物3同士が干渉し合って生長の妨げや美観の低下を引き起こすことを防止できるようになる。この担持部2は、植物担持体1の少なくとも前面側に形成していれば、植物3を担持させることができるものであり、植物担持体1の四面全てに形成すると、植物担持体1の方向性がなくなり設置作業が容易となる反面、植物担持体1の強度が低下するので好ましくない。本実施形態では、緑化壁面100を形成した際、左右両端に位置する植物担持体1のみに、その側面(緑化壁面100の右端に位置する植物担持体1は右側面、左端に位置する植物担持体1は左側面)にも担持部2を形成している。このようにすることで、緑化壁面100の両端に位置する植物担持体1が植物3によって覆い隠されて目立たなくなり、美観を損なう心配がなくなる。
尚、
図4の(b)に示すように、担持部2(孔)が形成された部分のみを別体の平板1eとし、植物担持体1の本体に2つの凹溝1d,1dを設け、その凹溝1d,1d該平板1eをスライド挿入できるようにしてもよい。このように担持部2が形成された部分を別体の平板1eとすると、植物担持体1の本体に対して、担持部2(孔)の位置を自由にズラすことができるようになり、自由度が高まる。
また、必ずしも担持部2が本実施形態のような孔である必要はなく、例えば、植物3を植栽したかごを担持部2とし、そのかごを植物担持体1の正面などに取付けるようにしてもよく、その場合は、植物担持体1は中空体である必要はない。
【0022】
次に、上記植物担持体1の担持部2に担持される植物3として、屋内施設でも植栽可能で、且つ、色彩等のデザインに優れたポトス、ポトスライム、フィカスプミラ、シャムオリヅルラン、フィロデンドロノキシカジューム、クロトン、ハツユキカズラ、テイカカズラ、コンシンネホワイトポリー、コンシンネグリーン、コンシンネレインボーなどの葉植物や、ミニデンファレ、ミニコチョウランなどの花が好適に植栽される。この際、植物3が枯れないようにするため、屋内施設の温度は12〜30℃程度、寒暖の温度差が8℃以下になるように設定することが好ましく、最低室温が8℃以下にならないように注意する必要がある。また、植物3のことを考えると、湿度は60〜70%程度が好ましいが、人の利用やOA機器等を考慮すると、40〜50%程度に設定することが好ましく、風速0.5m/sec程度の風を与えることがより好ましい。
【0023】
前述したように、上記植物3は、植物担持体1の担持部2に挿入されて担持され、保水部材4から水分や栄養分を補給する。保水部材4は、適度な弾性を有する連続気泡タイプの発泡体で、植物担持体1の内壁面の水平断面形状と略同形状(実施形態では直方体)で、略同じ大きさをしている。この保水部材4は、担持部2に対して圧縮した状態で押し込まれ、
図9に示すように、担持部2の縁(孔の縁)に固定されて植物担持体1の内側に配設される。保水部材4を担持部2の縁に固定するために、次に説明する吊し部材40が用いられる。
【0024】
即ち、吊し部材40は、
図9に示すように、保水部材4を保持する保持部40aと、担持部2の縁に引っ掛けて係止させるためのフック部40bからなるもので、このような吊し部材40の保持部40aに保水部材4を保持させて、フック部40bを担持部2の縁に引っ掛けて係止させることにより、保水部材4は植物担持体1の内側に配設されている。圧縮した状態で押し込まれた保水部材4は、植物担持体1の内側で元の形状、大きさに戻り、上記のように、保水部材4は、植物担持体1の内壁面の水平断面形状と略同じ形状、大きさであるので、担持部2の縁に引っ掛けただけであっても、植物担持体1の内部での保水部材4の動きが抑制され安定して固定される。また、
図9の(b)に示すように、保水部材4の上面が、担持部2の縁より少し下がった箇所に位置するようになるので、担持部2に担持される植物3がそのスペースに嵌まり込み、脱落する心配がなくなる。このように吊し部材40を用いて保水部材4を配設することで、植物担持体1を設置した後でも、容易に保水部材4を取付けることができ、また、取外しも容易であるため、メンテナンスや交換作業が容易となる。
【0025】
上記のような構成の植物担持体1を複数用いることにより、屋内施設に緑化壁面100が形成される。即ち、緑化壁面100は、植物担持体1の担持部2に植物3を担持させると共に、植物担持体1をその幅方向に連設することにより形成される。その際、植物担持体1は、
図1、
図2、
図5に示すように、担持体保持枠8に脱着可能に取付けられている。具体的には、植物担持体1の背面側と担持体保持枠8の正面側に、それぞれ一対の固定具1a,8aが取付けられており、植物担持体1の固定具1aを上下方向若しくは水平方向から、担持体保持枠8の固定具8aに嵌合させて固定している。
【0026】
上記担持体保持枠8は、
図2、
図5に示すように、中空角形の棒状部材であって、上下方向に所定の間隔を開けて基礎枠7に配設されている。この担持体保持枠8の材質は、樹脂製や金属製などでもよいが、加工性や耐久性を考慮すると、アルミ製やステンレス製のものが好ましく、本実施形態のように、緑化壁面100を曲面状に形成したい場合は、担持体保持枠8を曲面状に曲げ加工し、その担持体保持枠8に植物担持体1を取付けていく。
【0027】
上記植物担持体1と担持体保持枠8に取付けられた固定具1a,8aは、それぞれ同じものであって、それを植物担持体1と担持体保持枠8とで上下逆さま(上下対称且つ左右対称)にして取付けている。この固定具1a,8aは、
図5に示すように、植物担持体1の背面側又は担持体保持枠8の正面側に取付けるための取付け部10a,80aと、その取付け部10a,80aから斜め外方向に突設される突設片11a,81aと、突設片11a,81aに続く水平片12a,82aと、水平片12a,82aの先端に形成された略U字状の返し部13a,83aからなるもので、返し部13a,83aの幅よりも、植物担持体1の背面又は担持体保持枠8の前面から返し部13a,83aまでの距離が短く、一度嵌合させると、植物担持体1と担持体保持枠8は上下方向に抜けないようになっている。従って、植物担持体1と担持体保持枠8を嵌合させた後は、植物担持体1を水平方向にスライドさせて取外すようになっている。また、連設した植物担持体1の両端又は担持体保持枠8の両端にストッパ(不図示)を設け、両端に位置する植物担持体1がスライドしないようにすることで、植物担持体1全体が担持体保持枠8から脱落してしまうことがなくなるので好ましい。
尚、図示はしないが、上記固定具1a,8aは、ボルト・ナット等により、植物担持体1及び担持体保持枠8に取付けられている。
【0028】
上記のように、本実施形態では、植物担持体1が固定具1a,8aにより担持体保持枠8に取付けられているので、植物担持体1の脱着作業を容易且つ迅速に行うことができるが、
図6に示すような、取付け金具8bを用いて植物担持体1を担持体保持枠8に取付けてもよい。この取付け金具8bは、植物担持体1を内側に保持する保持枠80bと、その保持枠80bから外側に突設された取付け部81bからなるもので、保持枠80bの内側に植物担持体1を保持させて、取付け部81bに挿通されたボルト8cとナット8dにより、植物担持体1を担持体保持枠8に取付けている。
【0029】
上記担持体保持枠8は、
図2に示すように、基礎枠7に配設されている。この基礎枠7は、複数本の角形棒材が基台部6の形状に沿うように組み上げられて形成された枠組みであって、この基礎枠7の最前列に配置された棒材の上下に、担持体保持枠8が直交するよう配設されて固定されている。
【0030】
また、基台部6は、上記基礎枠7の土台となると共に、貯水槽としての役割も果たすので、ある程度の深さを有するものが好ましい。基台部6の形状は、緑化壁面100のデザインによって様々に変更されるものであるが、本実施形態では、1/4円弧状に形成された壁面を有する形状をしている。基台部6をこのような形状にすると、基台部6を2つ並列することにより、半円状の湾曲面を有する緑化壁面100を形成することもできるようになり、デザインの汎用性が高くなる。
【0031】
そして、上記の基台部6の内壁面に沿って基礎枠7を組み上げ、基礎枠7の最前列に配置された棒材に、担持体保持枠8が直交するよう上下方向に配設して固定する。そして、その担持体保持枠8に、上記の植物担持体1を取付けていく。前述したように、植物担持体1の取付けは、植物担持体1の固定具1aを、上下方向若しくは水平方向から、担持体保持枠8の固定具8aに嵌合させて係止させることにより行う。
【0032】
担持体保持枠8に植物担持体1を取付ける際は、
図1、
図11、
図12に示すように、隣接する植物担持体1の前面側及び背面側に隙間Sを設けて連設することが好ましい。そして、担持体保持枠8に植物担持体1の取付けが完了すると、担持部2から保水部材4を植物担持体1の内側に圧縮した状態で挿入し、吊し部材40により保水部材4を担持部2の縁に固定する。勿論、予め保水部材4を配設した植物担持体1を、担持体保持枠8に取付けても構わない。
尚、ここで言う隙間S、即ち、請求項に記載の「隙間」とは、
図12に示すような植物担持体1を直線状に連設した際に生じる隙間のことを意味するものではなく、
図11に示すような植物担持体1を曲線状に連接した際に生じる略V字状に開いた隙間のことを意味し、更に詳しくは、V字状の中でも窄んでいる側の隙間ではなく、開いている側の隙間のことを意味するものであって、接していないことによる間隔(ここでは、
図12に示すような植物担持体1を単に直線状に連接した際に生じる小さな隙間のことを言う。)より広い隙間を意味するものである。
【0033】
上記のように、植物担持体1の内側に保水部材4を配設すると、担持部2が保水部材4によって上下に仕切られるので、その担持部2に植物3を担持させていく。このとき、植物3の繁茂範囲Rが隣接する植物担持体1にまで及ぶように植物3を植栽すると、植物担持体1と植物担持体1の隙間Sが植物3に隠れて目立たなくなるため、立派な緑化壁面100を形成することができる。
【0034】
以上のような工程で、
図1に示すように、1/4円弧状の緑化壁面100が形成される。本発明の緑化壁面構造は、上記から明らかなように、植物担持体1を幅狭の中空の角柱としたことで、屈曲状や曲面状の緑化壁面100を容易に形成することができるものである。即ち、
図11に示すように、略S字状の担持体保持枠8に植物担持体1を取付けていくだけで略S字状の緑化壁面100を形成したり、
図12に示すように、直線状の担持体保持枠8に植物担持体1を取付けていくだけで直線状の緑化壁面100を形成したりすることができ、また、略S字状の緑化壁面100と直線状の緑化壁面100を組み合わせることもできるので、デザインの自由度が極めて高い。そして、隣接する植物担持体1の前面側及び背面側に隙間Sを設けて連接したことで、より曲率半径の小さな曲面状や曲面状の緑化壁面100を容易に形成することができるようになり、植物3の繁茂範囲Rが隣接する植物担持体1にまで及ぶように植物3を植栽することで、その隙間Sが植物3の繁茂範囲Rによって覆い隠されて、美観を損なう心配もない。
尚、デザイン性を高めるため、植物担持体1は、本実施形態のように鉛直方向に立設されていなくてもよく、所定の角度で傾斜していてもよい(鉛直平面上における傾斜や前後方向の傾斜など)。
【0035】
図13は本発明の更に他の実施形態に係る緑化壁面構造に用いる植物担持体を示す斜視図、
図14は同緑化壁面構造を示す概略平面図である。
【0036】
本実施形態の緑化壁面構造は、前述した
図1〜
図12に示す緑化壁面構造が、植物担持体1として中空の角柱を用いていたのに対して、ここでは植物担持体10として中空の円柱を用いたものである。そして、この植物担持体10を、隣接する植物担持体10に対して前後方向にズラして連設し、担持部2に植物3を担持させている。その際、植物3の繁茂範囲Rが隣接する植物担持体10にまで及ぶように植物3を植栽している。
本実施形態の緑化壁面構造のその他の構成は、前述した
図1〜
図12に示す実施形態と同様であるので、同一部材に同一符号を附して説明を省略する。
【0037】
本実施形態のように、植物担持体10が円柱であると、前述した植物担持体1が角柱の場合よりも、担持体保持枠8への取付けが多少困難になるが、角柱とはまた味わいの異なる緑化壁面100を形成することができるので、設置する屋内施設に合わせて、使い分けることが好ましい。