(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-10451(P2015-10451A)
(43)【公開日】2015年1月19日
(54)【発明の名称】内面材のリング状支持部材を固定するための固定部材及びその固定部材を用いた管の内層構造
(51)【国際特許分類】
E03F 7/00 20060101AFI20141216BHJP
E03F 3/04 20060101ALI20141216BHJP
【FI】
E03F7/00
E03F3/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-138721(P2013-138721)
(22)【出願日】2013年7月2日
(71)【出願人】
【識別番号】505354095
【氏名又は名称】タキロンエンジニアリング株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000108719
【氏名又は名称】タキロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102211
【弁理士】
【氏名又は名称】森 治
(72)【発明者】
【氏名】森田 佳伸
(72)【発明者】
【氏名】黒川 裕司
【テーマコード(参考)】
2D063
【Fターム(参考)】
2D063BA19
2D063EA06
(57)【要約】
【課題】内面材を精度高く配設することを可能にしながら、構成部材の組み立ての手間を省いて設置作業を簡便化することができる内面材のリング状支持部材を固定するための固定部材を提供すること。
【解決手段】管2の内周面に沿って内面材6を取り付けるために管2の内周面に沿って設けられるリング状支持部材3を固定するための部材であって、管2の内周面に沿って管2の長手方向に設けられる接地片11と、この接地片11に一体に形成した起立片12と、この起立片12に設けたリング状支持部材3の固定部15とからなり、接地片11の管2の長手方向の有効長さLによって、管2の長手方向に隣接するリング状支持部材3間の距離を規定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管の内周面に沿って内面材を取り付けるために管の内周面に沿って設けられるリング状支持部材を固定するための部材であって、管の内周面に沿って管の長手方向に設けられる接地片と、該接地片に一体に形成した起立片と、該起立片に設けたリング状支持部材の固定部とからなり、接地片の管の長手方向の有効長さによって、管の長手方向に隣接するリング状支持部材間の距離を規定するようにしたことを特徴とする内面材のリング状支持部材を固定するための固定部材。
【請求項2】
接地片に、管の長手方向に隣接する他の固定部材の接地片との連結手段を形成してなることを特徴とする請求項1記載の内面材のリング状支持部材を固定するための固定部材。
【請求項3】
接地片底面から起立片に設けたリング状支持部材の固定部までの寸法によって、リング状支持部材の高さ方向の設置位置を規定するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の内面材のリング状支持部材を固定するための固定部材。
【請求項4】
接地片に、管に対するアンカー固定部を形成してなることを特徴とする請求項1、2又は3記載の内面材のリング状支持部材を固定するための固定部材。
【請求項5】
起立片に設けたリング状支持部材の固定部が、リング状支持部材が挿入される一端を閉鎖した溝部と、該溝部に挿入されたリング状支持部材を溝部の閉鎖端との間で挟持する挟持片と、挟持片を溝部の閉鎖端側に向けて締め付けるねじとからなることを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の内面材のリング状支持部材を固定するための固定部材。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の固定部材と、該固定部材により管の内周面に沿って固定されたリング状支持部材と、該リング状支持部材に、連結部材を介して、管の内周面に沿って取り付けられた内面材と、管の内周面と内面材によって区画された環状の隙間に充填された硬化材とからなることを特徴とする管の内層構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内面材のリング状支持部材を固定するための固定部材及びその固定部材を用いた管の内層構造に関し、特に、下水道管等の比較的大口径の既設管の補修に適した内面材のリング状支持部材を固定するための固定部材及びその固定部材を用いた管の内層構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、老朽化した下水道管等の既設管の補修構造として、既設管の内面を内面材で全面的に覆う既設管の補修構造が数多く提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
このうち、特許文献1に記載のものは、組み立てることにより管状、角形又は馬蹄形の筒状体を構成する、内周面を構成する内面板と、該内面板の周縁に立設された外周板とをプラスチックによって一体に形成した流路施設修復用ブロック体を用いて施工されるものであり、また、特許文献2に記載のものは、既設管路内に、当該既設管路内面に略沿った中空骨組み状補強材が配置され、その補強材の内側に、既設管路の筒長方向並びに周方向にそれぞれ複数の内面部材が連続的に取り付けられて筒状に組み立てられているとともに、既設管路の筒長方向に隣接している内面部材同士は、互いの端面が当接した状態で、双方の内面部材に跨って配置された内面材連接材により相互に連結されてなり、内面部材と既設管路内面との間に硬化性充填材が充填されてなるものである。
【0003】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、合成樹脂製のブロック体を使用するために高価な金型を必要とすることから、コストがかかり、また、数多くのブロック体の組み立てに多大な手間を要するものであり、また、特許文献2に記載のものは、既設管路の補修長が長くなるに従い、内面部材及び嵌合部材を筒長方向に連続したものを使用しようとする場合の輸送上又は製造設備上、製造現場における設置スペース等の問題を解決するものの、既設管路内に中空骨組み状の補強材を配置するのに補強材が多数の部材からなり補強材を既設管路内で組み立てるのに多大な手間を要し、また、内面部材の数も多くこれを同様に数の多い嵌合部材に係止するのに多大な手間を要するものとなっている。
【0004】
一方、このような実情に鑑み、本件出願人は、経済的な部材を用い、その組み立ての手間を省いて設置作業を簡便化し、かつ、長期に亘って耐久性のある既設管の補修構造として、既設管の内周面の周方向に沿って、管軸方向に所定の間隔をあけて配設した剛性リングと、これら剛性リングの内側に跨るように管軸方向に、剛性リングの周方向に所定の間隔をあけて配設した既設管の中心側に所定の間隔をあけて形成した切欠きを有する剛性直材と、該剛性直材の切欠きに対応する突条を有する帯状の合成樹脂製内面材とからなり、前記合成樹脂製内面材の突条を剛性直材の切欠きに嵌着することにより、合成樹脂製内面材を既設管の内周面の周方向に沿って、かつ、管軸方向に隙間なく順次配設し、既設管と合成樹脂製内面材との間に生じる空隙に硬化性充填材を充填したものを提案している(特許文献3参照。)が、合成樹脂製内面材が既設管の内周面の周方向に沿って配設されるものであるため、内面材を管軸方向に凹凸を生じないように精度高く配設することができず、既設管路の補修長が長くなるに従い、内面材の配設の手数がかかるという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−286742号公報
【特許文献2】特開2002−310378号公報
【特許文献3】特開2006−316539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、内面材を精度高く配設することを可能にしながら、構成部材の組み立ての手間を省いて設置作業を簡便化し、かつ、長期に亘って耐久性のある管を構築することができる内面材のリング状支持部材を固定するための固定部材及びその固定部材を用いた管の内層構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の内面材の支持部材を固定するための固定部材は、管の内周面に沿って内面材を取り付けるために管の内周面に沿って設けられるリング状支持部材を固定するための部材であって、管の内周面に沿って管の長手方向に設けられる接地片と、該接地片に一体に形成した起立片と、該起立片に設けたリング状支持部材の固定部とからなり、接地片の管の長手方向の有効長さによって、管の長手方向に隣接するリング状支持部材間の距離を規定するようにしたことを特徴とする。
【0008】
この場合において、接地片に、管の長手方向に隣接する他の固定部材の接地片との連結手段を形成することができる。
【0009】
また、接地片底面から起立片に設けたリング状支持部材の固定部までの寸法によって、リング状支持部材の高さ方向の設置位置を規定することができる。
【0010】
また、接地片に、管に対するアンカー固定部を形成することができる。
【0011】
また、起立片に設けたリング状支持部材の固定部が、リング状支持部材が挿入される一端を閉鎖した溝部と、該溝部に挿入されたリング状支持部材を溝部の閉鎖端との間で挟持する挟持片と、挟持片を溝部の閉鎖端側に向けて締め付けるねじとから構成することができる。
【0012】
また、本発明の管の内層構造は、上記固定部材と、該固定部材により管の内周面に沿って固定されたリング状支持部材と、該リング状支持部材に、連結部材を介して、管の内周面に沿って取り付けられた内面材と、管の内周面と内面材によって区画された環状の隙間に充填された硬化材とからなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の内面材の支持部材を固定するための固定部材によれば、管の内周面に沿って内面材を取り付けるために管の内周面に沿って設けられるリング状支持部材を固定するための部材であって、管の内周面に沿って管の長手方向に設けられる接地片と、該接地片に一体に形成した起立片と、該起立片に設けたリング状支持部材の固定部とからなり、接地片の管の長手方向の有効長さによって、管の長手方向に隣接するリング状支持部材間の距離を規定するようにすることにより、相互に隣接するリング状支持部材間の距離を正確に規定しながら、リング状支持部材を簡易に固定することができ、これにより、内面材を精度高く配設することを可能にしながら、構成部材の組み立ての手間を省いて設置作業を簡便化することができる。
【0014】
また、接地片に、管の長手方向に隣接する他の固定部材の接地片との連結手段を形成することにより、管の長手方向に隣接する固定部材同士を連結することができ、相互に隣接する固定部材、さらには、リング状支持部材の一体性を高めることができる。
【0015】
また、接地片底面から起立片に設けたリング状支持部材の固定部までの寸法によって、リング状支持部材の高さ方向の設置位置を規定することにより、当該寸法を適正に設定した固定部材を用いることで、リング状支持部材を管の適正位置に固定することができる。
【0016】
また、接地片に、管に対するアンカー固定部を形成することにより、固定部材と管の一体性を高めることができる。
【0017】
また、起立片に設けたリング状支持部材の固定部が、リング状支持部材が挿入される一端を閉鎖した溝部と、該溝部に挿入されたリング状支持部材を溝部の閉鎖端との間で挟持する挟持片と、挟持片を溝部の閉鎖端側に向けて締め付けるねじとから構成することにより、固定部材にリング状支持部材を簡易に固定することができる。
【0018】
また、本発明の管の内層構造によれば、上記固定部材と、該固定部材により管の内周面に沿って固定されたリング状支持部材と、該リング状支持部材に、連結部材を介して、管の内周面に沿って取り付けられた内面材と、管の内周面と内面材によって区画された環状の隙間に充填された硬化材とから構成することにより、長期に亘って耐久性のある管を構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の内面材のリング状支持部材を固定するための固定部材の一実施例を示し、(a)は正面断面図、(b)は設置状態を示す正面断面図である。
【
図2】同固定部材を示し、(a1)はその平面図、(a2)は正面図、(a3)は左側面図であり、(b1)は挟持片の正面、(b2)はその左側面図である。
【
図3】固定部材の連結手段の変形実施例を示す正面断面図である。
【
図4】本発明の内面材のリング状支持部材を固定するための固定部材の各種実施例を示す正面図である。
【
図5】本発明の内面材のリング状支持部材を固定するための固定部材の設置例を示す説明図である。
【
図6】本発明の管の内層構造の一実施例を示し、(a)は管の横断面図、(b)は管の横断面の拡大図、(c)は管の縦断面の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の内面材のリング状支持部材を固定するための固定部材及びその固定部材を用いた管の内層構造の実施の形態を、図面に基づいて説明する。
【0021】
図1〜
図2に、本発明の内面材のリング状支持部材を固定するための固定部材の一実施例を示す。
この固定部材1は、管2の内周面に沿って内面材6(
図1〜
図2においては、図示省略。)を取り付けるために管2の内周面に沿って設けられるリング状支持部材3を固定するための部材であって、管2の内周面に沿って管2の長手方向に設けられる接地片11と、この接地片11に一体に形成した起立片12と、この起立片12に設けたリング状支持部材3の固定部15とからなり、接地片11の管の長手方向の有効長さLによって、管2の長手方向に隣接するリング状支持部材3間の距離を規定するようにしたものである。
【0022】
本実施例において、固定部材1は、接地片11に、管2の長手方向に隣接する他の固定部材1の接地片11との連結手段13を形成するようにしている。
ここで、連結手段13は、接地片11の一端部に形成した突起片13aと、他端部に形成した、突起片13aが嵌入される長孔13bとで構成するようにしている。
これにより、管2の長手方向に隣接する固定部材1同士を連結することができ、相互に隣接する固定部材1、さらには、リング状支持部材3の一体性を高めることができる。
なお、連結手段13は、突起片13aと長孔13bとの組み合わせのほか、
図3に示す変形実施例のように、突起片13aと突起片13b’との組み合わせとし、両突起片13a、13b’を突き合わせて、両突起片13a、13b’に形成した貫通孔にボルトや割ピンを挿入して係合するようにすることもできる。
【0023】
そして、管2の長手方向に隣接するリング状支持部材3間の距離を規定する接地片11の管の長手方向の有効長さLは、本実施例のように連結手段13を設ける場合には、連結手段13としての突起片13aと長孔13bとの距離となる。
一方、連結手段13を設けず、隣接する固定部材1同士を突き合わせて設置する場合や、
図3に示す変形実施例のように、連結手段13を突起片13aと突起片13b’との組み合わせとし、両突起片13a、13b’を突き合わせて設置する場合には、接地片11の実長となる。
【0024】
ところで、連結手段13を、突起片13aと長孔13bとで構成する場合、リング状支持部材3の固定部15を設けた起立片12を、接地片11の管2の長手方向の中心位置より突起片13a側に形成することが好ましい。
これにより、管2の内部で、リング状支持部材3を寝かした状態で、リング状支持部材3に固定部材1を固定し、突起片13aの位置を支点として、
図1(b)の矢印に示す方向に起こすことで、リング状支持部材3を管2の内周面と干渉することなく立ち上げるとともに、長孔13bに管2の長手方向に隣接する他の固定部材1の突起片13aを嵌入させるようにして管2の長手方向に隣接する他の固定部材1同士と連結することができる。
【0025】
また、接地片11の底面から起立片12に設けたリング状支持部材3の固定部15までの寸法Hによって、リング状支持部材3の高さ方向、さらには、管の長手方向と直交する水平方向の設置位置を規定することができる。
この場合、
図4に示す、本発明の内面材のリング状支持部材を固定するための固定部材の各種実施例のように、接地片11の底面から起立片12に設けたリング状支持部材3の固定部15までの寸法Hを異ならせた固定部材1を用意することができる。
これにより、接地片11の底面から起立片12に設けたリング状支持部材3の固定部15までの寸法Hを適正に設定した固定部材1を用いることで、リング状支持部材3を管2の適正位置に固定することができる。すなわち、寸法Hが、管2の半径とリング状支持部材3の半径との差と同じ固定部材1を用いることによって、管2の中心にリング状支持部材3の中心を合わせることができ、これにより、管2の内周面と内面材6によって区画された環状の隙間に充填される硬化材7の厚みを、周方向で均一にすることができ、強固で安定的な管の内層構造を構築することができるものとなる。
【0026】
また、接地片11には、管2に対するアンカー固定部14(本実施例においては、透孔)を形成することができる。
これにより、アンカー固定部14を介して管2にアンカー4を打ち込むことにより、固定部材1と管2の一体性を高めることができる。
【0027】
また、起立片12に設けたリング状支持部材3の固定部15を、本実施例においては、起立片12の平面形状をコ字状に形成するとともに、その両片にリング状支持部材3が挿入される一端を閉鎖した溝部15aを形成し、この溝部15aに挿入されたリング状支持部材3を溝部15aの閉鎖端との間で挟持片15bにより挟持し、挟持片15bを溝部15aの閉鎖端側に向けてねじ15cにより締め付けて構成するようにしている。
この場合、溝部15aは、その溝幅を、リング状支持部材3ががたつきなく挿入されるように、鉄製棒材や異形鉄筋等からなる棒状部材が用いられるリング状支持部材3の直径より若干大きく形成するようにする。
これにより、固定部材1にリング状支持部材を簡易に固定することができる。
なお、本実施例において、溝部15aは、管2の長手方向に形成するようにしたが、管2の長手方向と直交する方向に形成することもできる。
また、起立片12と挟持片15bの固定には、ねじ15cによる締結のほか、結束バンド、番線、リベット等の周知の固定方式を採用することができる。さらに、結束バンドや番線等の線材を使用する固定方式の場合には、挟持片15bを省略し、起立片12に貫通孔を形成し、この貫通孔に線材を通してリング状支持部材3を溝部15aの閉鎖端に締め付けるようにすることができる。
【0028】
ところで、本発明のリング状支持部材3を固定するための固定部材1は、
図5(a)及び(b)に示すように、管2の内周面の底端位置に設置することが好ましいが、それ以外の任意の位置に設置することができ、例えば、管2の内周面の底端位置を挟んで対称に設置したり(この場合、底端位置の固定部材1は、省略することができる。)、管2の内周面の天端位置に設置することにより、リング状支持部材3の上部を固定して、管2の長手方向に隣接するリング状支持部材3間の距離(間隔)を一定に保持するようにすることができる。
また、固定部材1は、管2の円周方向には連続していないため、
図5(c)に示すように、固定部材1Aを固定部材1と別の位置に設置することで、等間隔に配設したリング状支持部材3の間に、強度の向上等を目的として、補助的にリング状支持部材3Aを配設することができる。
【0029】
また、固定部材1は、強度面で金属製のものが好ましいが、管2内における使用位置によっては、全体又は一部を樹脂製とすることもできる。
【0030】
また、本実施例におけるリング状支持部材3は、環状となる支持部材であって、管2の長手方向から見た外形の形状が円形であるが、管2の形状や構築される内層構造の形状に合わせて、矩形、多角形、アーチ形等、任意の形状のものを用いることができる。
なお、リング状支持部材3には、鉄製棒材や異形鉄筋を用いることが好ましいが、断面形状が四角形や多角形の棒状部材や中空体(パイプ部材)を用いることもでき、また、金属製の部材以外の合成樹脂製や複合材料製の部材も使用することができる。
【0031】
そして、本発明の内面材6のリング状支持部材3を固定するための固定部材1は、
図6に示すように、固定部材1と、この固定部材1により管2の内周面に沿って固定されたリング状支持部材3と、このリング状支持部材3に、連結部材5を介して、管2の内周面に管2の長手方向に沿って取り付けられた内面材6と、管2の内周面と内面材6によって区画された環状の隙間に充填されたモルタル等の硬化材7とによって、管2の内層構造を構成することができる。
【0032】
このように、本発明の内面材6のリング状支持部材3を固定するための固定部材1によれば、相互に隣接するリング状支持部材3間の距離を正確に規定しながら、リング状支持部材3を簡易に固定することができ、これにより、内面材6を精度高く配設することを可能にしながら、構成部材の組み立ての手間を省いて設置作業を簡便化することができる。
そして、この固定部材1を用いた管の内層構造は、長期に亘って耐久性のある管を構築することができる。
【0033】
以上、本発明の内面材のリング状支持部材を固定するための固定部材及びその固定部材を用いた管の内層構造について、その実施例に基づいて説明したが、本発明は上記実施例に記載した構成に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において適宜その構成を変更することができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の内面材のリング状支持部材を固定するための固定部材及びその固定部材を用いた管の内層構造は、内面材を精度高く配設することを可能にしながら、構成部材の組み立ての手間を省いて設置作業を簡便化し、かつ、長期に亘って耐久性のある管を構築することができることから、老朽化した下水道管等の既設管の補修の用途に好適に用いることができるほか、例えば、新設管の内表面の仕上げの用途にも用いることができる。
【符号の説明】
【0035】
1 固定部材
11 接地片
12 起立片
13 連結手段
13a 突起片
13b 長孔
14 アンカー固定部
15 リング状支持部材の固定部
15a 溝部
15b 挟持片
15c ねじ
2 管
3 リング状支持部材
4 アンカー
5 連結部材
6 内面材
7 硬化材
L 接地片の管の長手方向の有効長さ