【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は上述の課題に鑑みてなされたものであり、その第1の局面は次のように規定される。即ち、
第1のエリア内における所定条件を満たす対象リンクを含むリンク及びノードに関する情報を含む地図データを格納する第1の地図データベースと、
前記第1の地図データベースから、前記リンクの道路幅が所定閾値以上であるリンクが交差しているノードを対象ノードとして選択する対象ノード選択部と、
前記選択された対象ノードへ進入するリンクであって、該リンクに対して直進方向への退出リンクを備えるリンクを進入リンクとして選択する進入リンク選択部と、
前記選択された進入リンクから退出可能なリンクであって前記直進方向への退出リンク以外のリンクの道路幅が所定閾値以上であるとき、前記選択された進入リンクにフラグを設定するフラグ設定部と、
前記第1の地図データベースを参照して、目的地までの経路であって、前記フラグの設定された進入リンクについては該進入リンクに対して前記直進方向への退出リンクへ退出する経路を探索する経路探索部と、
を備える、経路探索装置。
【0007】
このように規定される第1の局面の経路探索装置によれば、道路幅が所定閾値以上であるリンクが接続するノードへの進入リンクであって、該進入リンクに対して直進方向への退出リンクが存在し、該退出リンク以外の退出リンクの道路幅が所定閾値以上である場合、上記進入リンクにフラグを設定する。そして、該フラグが設定された進入リンクが経路に含まれる場合、該進入リンクから直進方向への退出リンクへ退出するよう経路探索を行う。このような経路探索によれば、上記特定の進入リンクについては直進方向への退出リンクを案内するため、車両が信号機看板その他の撮影困難情報に近づいてこれを撮影できることとなり、撮影された情報が不鮮明になることがない。
【0008】
ここでリンクとは、道路ネットワークデータの構成要素であって、一般に道路の交差点等に対応するノード−ノード間を結ぶ道路に対応して生成されたデータをいう。対象リンクとは、通常の地図データベースに含まれるリンクのうち、経路の対象となるリンクであり、例えばリンク属性等を基準として選択される。このようなリンク属性としては、例えば、道路幅、リンク種別、車線数、路線番号等が挙げられる。詳細には、道路幅が所定閾値以上であるリンク、リンク種別が幹線道路、高速道路であるリンク、車線数が所定閾値以上であるリンク等が対象リンクとして選択される。当該対象リンクは、上記リンク属性を基準として選択される他、オペレータの手動により選択することとしても良い。
また、上記リンクに対して直進方向への退出リンクとしては、該リンクと直線をなす退出リンクに限られず、該リンクと退出リンクとの接続点であるノードにおいて、該リンクと退出リンクとの角度差が所定範囲内である退出リンクであっても良い。当該所定範囲としては、例えば、−45度〜+45度とすることができる。
【0009】
上記経路探索部は、前記第1のエリア内の前記対象リンクを巡回し、前記フラグの設定された進入リンクについては該進入リンクに対して前記直進方向への退出リンクへ退出する経路を探索することとすることができる(第2の局面)。
ここで、巡回経路とは、上記第1のエリア内に存在する対象リンクをより効率良く巡回するための経路であり、このような巡回経路として、例えば、該エリア内の対象リンクを一筆書きの要領で走行する経路や、該エリア内においてより多くの対象リンクを走行しつつ同一の対象リンクを走行する回数を極力抑えた経路等が挙げられる。
【0010】
この発明の第3の局面は次のように規定される。即ち、
第2の局面に規定の経路探索装置において、車両が走行した走行履歴を蓄積する走行履歴データベースと、
前記走行履歴に基づいて、前記第1の地図データベース内の前記対象リンクのうち走行済みリンクを特定する走行済みリンク特定部と、
前記走行履歴に基づいて、前記特定された走行済みリンクのうち、前記フラグの設定された進入リンクであって、該進入リンクに対して前記直進方向への退出リンクへ退出していない進入リンクを要再走リンクとして特定する要再走リンク特定部と、
前記特定された走行済みリンクのうち前記特定された要再走リンクを除く走行済みリンクを、前記第1の地図データベース内の前記対象リンクから消し込む対象となる消込みリンクとして特定する消込みリンク特定部と、
前記第1の地図データベース内の前記対象リンクから前記特定された消込みリンクを消し込むことにより、前記第1の地図データベースを更新する地図データベース更新部と、を備え、
前記経路探索部は、前記更新された第1の地図データベースを参照して前記経路を探索する。
【0011】
このように規定される第3の局面の経路探索装置によれば、地図データベース内に格納される所定エリア内の巡回対象リンクから、車両の走行履歴に基づいて走行済みリンクを特定し、さらに該走行済みリンクから上記フラグの設定された進入リンクについて該進入リンクに対して直進方向への退出リンクへ退出していないリンクを要再走リンクとして特定する。そして、上記地図データベース内の巡回対象リンクから、要再走リンク以外の走行済みリンクを消し込むことにより、上記地図データベースを更新し、該更新された地図データベースを参照して、未走行リンク及び要再走リンクを巡回可能な巡回経路を探索する。このように走行履歴に基づき再度走行する必要のない走行済みリンクを特定することにより、再度の走行を必要としない走行済みリンクと、走行を要するリンク(要再走リンク及び未走行リンク)とが峻別された地図データベースを提供することができる。また、更新された地図データベースに基づき、要再走リンク及び未走行リンクを巡回可能な経路を提供することができる。当該地図データベースの更新及び走行を要するリンクを巡回するための再経路探索は、自動的に行われるため、運転者は運転に注力でき安全性も確保できる。
【0012】
走行済みリンクとは、車両により走行されたリンクである。好ましくは、前記対象リンクの一方の端点から他方の端点までを完走した対象リンクを前記走行済みリンクとして特定することとすることができる(第5の局面)。このような装置によれば、当該対象リンク全域にわたる情報を取得することができ、より綿密な地図データベースを作成することができる。走行済みリンクの他の例としては、一の対象リンクにおいて所定割合以上(例えば、50%以上)走行されているリンクを走行済みリンクとしても良い。また、別の例として、一の対象リンクの一部を走行した場合において、その走行した部分について走行済みである旨の情報を、対象リンクに付与することで走行済みリンクとすることとしても良い。例えば、走行履歴が対象リンクから逸脱した座標に基づき、当該逸脱点までを走行済みとしたり、対象リンクのリンク形状に反してハンドル操作を行った場合に当該操作を行った座標に基づき、当該操作地点までを走行済みとすることとしても良い。この場合、上記消込みリンク特定部は、該走行済みリンク中の走行済み部分に基づいて消込みリンクと特定することができる。
【0013】
所定エリア内において未走行リンクが少なくなったとき、すなわち、走行済みリンクの割合が大きくなったときには、該未走行リンクのみを巡回するよう経路を探索することは効率性に欠けることとなる。
そこで、この発明の第4の局面は次のように規定される。即ち、
第3の局面に規定の経路探索装置において、第2のエリア内における所定条件を満たす対象リンクに関する情報を含む地図データを格納する第2の地図データベースと、
前記第1のエリア内の前記対象リンクに対する前記消込みリンクの割合を算出する割合算出部と、を備え、
前記経路探索部は、前記算出された割合が所定閾値以上であるとき、前記更新された第1の地図データベース及び前記第2の地図データベースを参照して、前記経路を探索する。
このように規定される第4の局面の経路探索装置によれば、所定エリア内の消込みリンクの割合を算出し、該割合が所定閾値以上であるとき、該エリアに隣接するエリアを含めて巡回経路を探索するため、走行現調の効率性が向上する。
【0014】
また、この発明の第6の局面は次のように規定される。即ち、
第1のエリア内における所定条件を満たす対象リンクを含むリンク及びノードに関する情報を含む地図データを第1の地図データベースに格納する第1の格納ステップと、
対象ノード選択部が、前記第1の地図データベースから、前記リンクの道路幅が所定閾値以上であるリンクが交差しているノードを対象ノードとして選択する対象ノード選択ステップと、
進入リンク選択部が、前記選択された対象ノードへ進入するリンクであって、該リンクに対して直進方向への退出リンクを備えるリンクを進入リンクとして選択する進入リンク選択ステップと、
フラグ設定部が、前記選択された進入リンクから退出可能なリンクであって前記直進方向への退出リンク以外のリンクの道路幅が所定閾値以上であるとき、前記選択された進入リンクにフラグを設定するフラグ設定ステップと、
経路探索部が、前記第1の地図データベースを参照して、目的地までの経路であって、前記フラグの設定された進入リンクについては該進入リンクに対して前記直進方向への退出リンクへ退出する経路を探索する経路探索ステップと、
を備える、経路探索方法。
このように規定される第6の局面の発明によれば、第1の局面と同等の効果を奏する。
【0015】
この発明の第7の局面は次のように規定される。即ち、
第6の局面に規定の方法において、前記経路探索ステップでは、前記第1のエリア内の前記対象リンクを巡回し、前記フラグの設定された進入リンクについては該進入リンクに対して前記直進方向への退出リンクへ退出する経路を探索する。
このように規定される第7の局面の発明によれば、第2の局面と同等の効果を奏する。
【0016】
この発明の第8の局面は次のように規定される。即ち、
第7の局面に規定の方法において、車両が走行した走行履歴を走行履歴データベースに蓄積する蓄積ステップと、
走行済みリンク特定部が、前記走行履歴に基づいて、前記第1の地図データベース内の前記対象リンクのうち走行済みリンクを特定する走行済みリンク特定ステップと、
要再走リンク特定部が、前記走行履歴に基づいて、前記特定された走行済みリンクのうち、前記フラグの設定された進入リンクであって、該進入リンクに対して前記直進方向への退出リンクへ退出していない進入リンクを要再走リンクとして特定する要再走リンク特定ステップと、
消込みリンク特定部が、前記特定された走行済みリンクのうち前記特定された要再走リンクを除く走行済みリンクを、前記第1の地図データベース内の前記対象リンクから消し込む対象となる消込みリンクとして特定する消込みリンク特定ステップと、
地図データベース更新部が、前記第1の地図データベース内の前記対象リンクから前記特定された消込みリンクを消し込むことにより、前記第1の地図データベースを更新する地図データベース更新ステップと、を備え、
前記経路探索ステップでは、前記更新された第1の地図データベースを参照して前記経路を探索する。
このように規定される第8の局面の発明によれば、第3の局面と同等の効果を奏する。
【0017】
この発明の第9の局面は次のように規定される。即ち、
第8の局面に規定の方法において、第2のエリア内における所定条件を満たす対象リンクに関する情報を含む地図データを第2の地図データベースに格納する第2の格納ステップと、
割合算出部が、前記第1のエリア内の前記対象リンクに対する前記消込みリンクの割合を算出する割合算出ステップと、を備え、
前記経路探索ステップでは、前記算出された割合が所定閾値以上であるとき、前記更新された第1の地図データベース及び前記第2の地図データベースを参照して、前記経路を探索する。
このように規定される第9の局面の発明によれば、第4の局面と同等の効果を奏する。
【0018】
この発明の第10の局面は次のように規定される。即ち、
第8又は第9の局面に規定の方法において、前記走行済みリンク特定ステップでは、前記対象リンクの一方の端点から他方の端点までを完走した対象リンクを前記走行済みリンクとして特定する。
このように規定される第10の局面の発明によれば、第5の局面と同等の効果を奏する。
【0019】
更に、この発明の第11の局面は次のように規定される。即ち、
経路を探索するためのコンピュータプログラムであって、コンピュータを、
第1のエリア内における所定条件を満たす対象リンクを含むリンク及びノードに関する情報を含む地図データを第1の地図データベースに格納する第1の格納手段と、
前記第1の地図データベースから、前記リンクの道路幅が所定閾値以上であるリンクが交差しているノードを対象ノードとして選択する対象ノード選択手段と、
前記選択された対象ノードへ進入するリンクであって、該リンクに対して直進方向への退出リンクを備えるリンクを進入リンクとして選択する進入リンク選択手段と、
前記選択された進入リンクから退出可能なリンクであって前記直進方向への退出リンク以外のリンクの道路幅が所定閾値以上であるとき、前記選択された進入リンクにフラグを設定するフラグ設定手段と、
前記第1の地図データベースを参照して、目的地までの経路であって、前記フラグの設定された進入リンクについては該進入リンクに対して前記直進方向への退出リンクへ退出する経路を探索する経路探索手段、
として機能させる、コンピュータプログラム。
このように規定される第11の局面の発明によれば、第1の局面と同等の効果を奏する。
【0020】
この発明の第12の局面は次のように規定される。即ち、
第11の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記経路探索手段は、前記第1のエリア内の前記対象リンクを巡回し、前記フラグの設定された進入リンクについては該進入リンクに対して前記直進方向への退出リンクへ退出する経路を探索する。
このように規定される第12の局面の発明によれば、第2の局面と同等の効果を奏する。
【0021】
この発明の第13の局面は次のように規定される。即ち、
第12の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記コンピュータを、更に、
車両が走行した走行履歴を走行履歴データベースに蓄積する蓄積手段と、
前記走行履歴に基づいて、前記第1の地図データベース内の前記対象リンクのうち走行済みリンクを特定する走行済みリンク特定手段と、
前記走行履歴に基づいて、前記特定された走行済みリンクのうち、前記フラグの設定された進入リンクであって、該進入リンクに対して前記直進方向への退出リンクへ退出していない進入リンクを要再走リンクとして特定する要再走リンク特定手段と、
前記特定された走行済みリンクのうち前記特定された要再走リンクを除く走行済みリンクを、前記第1の地図データベース内の前記対象リンクから消し込む対象となる消込みリンクとして特定する消込みリンク特定手段と、
前記第1の地図データベース内の前記対象リンクから前記特定された消込みリンクを消し込むことにより、前記第1の地図データベースを更新する地図データベース更新手段、として機能させ、
前記経路探索手段は、前記更新された第1の地図データベースを参照して前記経路を探索する。
このように規定される第13の局面の発明によれば、第3の局面と同等の効果を奏する。
【0022】
この発明の第14の局面は次のように規定される。即ち、
第13の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記コンピュータを、更に、
第2のエリア内における所定条件を満たす対象リンクに関する情報を含む地図データを第2の地図データベースに格納する第2の格納手段と、
前記第1のエリア内の前記対象リンクに対する前記消込みリンクの割合を算出する割合算出手段と、として機能させ、
前記経路探索手段は、前記算出された割合が所定閾値以上であるとき、前記更新された第1の地図データベース及び前記第2の地図データベースを参照して、前記経路を探索する。
このように規定される第14の局面の発明によれば、第4の局面と同等の効果を奏する。
【0023】
この発明の第15の局面は次のように規定される。即ち、
第13又は第14の局面に規定のコンピュータプログラムにおいて、前記走行済みリンク特定手段は、前記対象リンクの一方の端点から他方の端点までを完走した対象リンクを前記走行済みリンクとして特定する。
このように規定される第15の局面の発明によれば、第5の局面と同等の効果を奏する。
【0024】
第11〜第15のいずれかの局面に規定されるコンピュータプログラムを記録する記録媒体が第16の局面として規定される。