(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-106561(P2015-106561A)
(43)【公開日】2015年6月8日
(54)【発明の名称】青色光合成方法及び青色光合成装置
(51)【国際特許分類】
F21V 9/16 20060101AFI20150512BHJP
H01S 3/00 20060101ALI20150512BHJP
F21S 2/00 20060101ALI20150512BHJP
F21V 9/10 20060101ALI20150512BHJP
F21V 7/22 20060101ALI20150512BHJP
F21Y 101/02 20060101ALN20150512BHJP
【FI】
F21V9/16 100
H01S3/00 A
F21S2/00 340
F21V9/10 200
F21V7/22 240
F21Y101:02
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-116298(P2014-116298)
(22)【出願日】2014年6月4日
(31)【優先権主張番号】102143386
(32)【優先日】2013年11月28日
(33)【優先権主張国】TW
(71)【出願人】
【識別番号】502349221
【氏名又は名称】台達電子工業股▲分▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100076831
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 捷雄
(72)【発明者】
【氏名】張 克蘇
(72)【発明者】
【氏名】周 彦伊
(72)【発明者】
【氏名】陳 ▲ち▼
(72)【発明者】
【氏名】陳 照勗
(72)【発明者】
【氏名】劉 孟翰
【テーマコード(参考)】
3K243
5F172
【Fターム(参考)】
3K243AA01
3K243AC06
3K243CD05
3K243CD06
5F172NN05
5F172NR14
5F172ZA02
5F172ZZ07
(57)【要約】
【課題】本発明は、Rec. 709の規格を満たすと同時に、IEC−60825−1のレーザー光製品の標準安全性規格をも満たすことができる青色光源を合成させる青色光合成方法及び青色光合成システムを提供することを課題とする。
【解決手段】青色レーザー光を供給するステップ(S102)と、青色レーザー光の光学経路に波長変換装置を配置し、青色レーザー光の一部は波長変換装置を励起し、波長変換装置は波長が変調された青色光を発光するステップ(S104)と、青色レーザー光における波長が変調されていない他部分を前記波長が変調された青色光と混合させるステップ(S106)と、を備える青色光合成方法とこの青色光合成方法を用いた青色光合成システムにより達成し得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
青色レーザー光を供給するステップと、
前記青色レーザー光の光学経路に波長変換装置を配置し、前記青色レーザー光の一部によって前記波長変換装置が励起して波長が変調された青色光を発光させるステップと、
前記青色レーザー光の波長が変調されていない他部分と波長が変調された前記青色光とを混合させるステップと、を備えることを特徴とする青色光合成方法。
【請求項2】
前記混合させるステップを行う前に、
波長が変調されていない前記青色レーザー光の他部分に対して強度の減衰を行い、または部分的に濾過をするステップを更に含むことを特徴とする請求項1に記載の青色光合成方法。
【請求項3】
前記波長変換装置が光透過エリアを有すると共に、前記光透過エリア以外のエリアに波長変換材料を有することを特徴とする請求項1に記載の青色光合成方法。
【請求項4】
前記青色レーザー光の一部は前記光透過エリアを透過し、前記青色レーザー光の他部分は、前記波長変換材料を介してその波長が変調され、前記青色光として発光されることを特徴とする請求項3に記載の青色光合成方法。
【請求項5】
前記青色レーザー光の波長は445nm〜448nmであり、波長が変調された前記青色光の主波長は460nm±5nmであることを特徴とする請求項1に記載の青色光合成方法。
【請求項6】
青色レーザー光を供給する発光源と、
前記青色レーザー光の光学経路に配置された波長変換装置と、
前記光学経路を構成する光学素子セットとを備え、
前記青色レーザー光の一部は、前記波長変換装置を励起し、前記波長変換装置は波長が変調された青色光を発光し、前記青色レーザー光における波長が変調されていない他部分は波長が変調された前記青色光と混合されることを特徴とする青色光合成装置。
【請求項7】
前記光学素子セットはフィルターを備え、前記フィルターは、前記青色レーザー光の一部を濾過すると同時に、波長が変調された前記青色光を透過することを特徴とする請求項6に記載の青色光合成装置。
【請求項8】
前記光学素子セットは減衰器を備え、前記減衰器は、前記青色レーザー光の一部を減衰すると同時に、波長が変調された前記青色光を透過することを特徴とする請求項6に記載の青色光合成装置。
【請求項9】
前記光学素子セットはダイクロイックミラーを備え、前記ダイクロイックミラーは、前記青色レーザー光を反射すると同時に、波長が変調された前記青色光を透過することを特徴とする請求項6に記載の青色光合成装置。
【請求項10】
前記波長変換装置は光透過エリアを有すると共に、前記光透過エリア以外のエリアに波長変換材料を有することを特徴とする請求項6に記載の青色光合成装置。
【請求項11】
前記青色レーザー光の一部は前記光透過エリアを透過し、前記青色レーザー光の他部分は波長変換材料によってその波長が変調され、前記青色光として発光されることを特徴とする請求項10に記載の青色光合成装置。
【請求項12】
前記青色レーザー光の波長は445nm〜448nmであり、波長が変調された前記青色光の主波長は460nm±5nmであることを特徴とする請求項6に記載の青色光合成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光合成方法及び光合成装置に関するものであり、特に、青色光合成方法及び青色光合成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタにカラー画像を生成させるには、赤緑青(RGB)の三原色を互いに一定の割合で混合する必要がある。通常、各色に必要とされる成分の割合はホワイトバランスにより推定され、特に青色光の割合はホワイトバランスの座標位置と色温度に対する影響が大きい。赤、緑、青の三色混光の場合において、青色光の割合は、僅か10%以内だけで一般的に使われるホワイトバランスの仕様に達することができ、残りの90%の割合は、主に赤色光と緑色光から組成される。従って、プロジェクタにおける白色画面の輝度は青色光の割合によって決定される。
【0003】
レーザープロジェクタは、従来の電球(Lamp)とは異なり、通常、青色レーザー光を主な青色光源として使用する。そのうち、従来の電球における青色光源は、フィルタレンズまたは青色光LEDに合わせて使用される。しかしながら、仮に、上記青色レーザー光をプロジェクタの青色光源とする場合、プロジェクタ全体で表示される色域は、Rec. 709に規定された標準色域をカバーすることができないため、色彩の豊かさが低減する。また、青色光源の成分は青色光レーザー光を主とするため、製品のクラスが上がる同時に、青色レーザー光のワット数も増加する。しかし、このような高輝度製品は、必然としてレーザー光の残量が多く、レーザー光を用いた製品の安全性に関する規定が満たされないという問題があった。
【0004】
よって、その合成された青色光を青色光源として使用し、表示される色彩がRec. 709に規定された標準色域をカバーすることができ、且つ、レーザー光を用いた製品の安全性に関する規定を満たすことのできる青色光合成方法及び青色光合成装置を如何に提供するかが重要な課題となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の課題に鑑み、本発明は、Rec. 709の規格を満たし得ると同時に、IEC−60825−1のレーザー光を用いた製品の標準安全性規格をも満たすことができる青色光源を合成できる、とくにプロジェクターなどの画像表示装置に用いて好適な青色光合成方法及び青色光合成装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明に係る青色光合成方法は、青色レーザー光を供給するステップと、青色レーザー光の光学経路に波長変換装置を配置し、青色レーザー光の一部は波長変換装置を励起し、波長変換装置は波長が変調された青色光を発光するステップと、青色レーザー光における波長が変調されていない他部分を波長が変調された青色光と混合させるステップとを備える。
【0007】
本発明の一実施例において、前記混合させるステップを行う前に、波長が変調されていない青色レーザー光に対して強度の減衰を行い、または部分的に濾過をするステップを更に含む。
【0008】
本発明の一実施例において、前記波長変換装置が光透過エリアを有すると共に、前記光透過エリア以外のエリアに波長変換材料を有する。
【0009】
本発明の一実施例において、青色レーザー光の一部は光透過エリアを透過し、青色レーザー光の他部分は波長変換材料を介してその波長が変調され、青色光として発光される。
【0010】
本発明の一実施例において、波長変換装置は色環を備える。
【0011】
本発明の一実施例において、波長変換材料は、蛍光材料または燐光材料、または上記二者の組合せである。
【0012】
本発明の一実施例において、蛍光材料はシリコーン化合物を含む。
【0013】
本発明の一実施例において、青色レーザー光の波長は445nm〜448nmであり、波長が変調された青色光の主波長は460nm±5nmである。
【0014】
もう一つの実施例において、本発明に係る青色光合成装置は、青色レーザー光を供給する発光源と、青色レーザー光の光学経路に配置された波長変換装置と、光学経路を構成する光学素子セットとを備え、青色レーザー光の一部は、波長変換装置を励起し、波長変換装置は波長が変調された青色光を発光し、青色レーザー光における波長が変調されていない他部分は波長が変調された青色光と混合される。
【0015】
本発明の一実施例において、光学素子セットはフィルターを備え、フィルターは青色レーザー光の一部を濾過すると同時に、波長が変調された青色光はフィルターを透過する。
【0016】
本発明の一実施例において、光学素子セットは減衰器を備え、減衰器は、青色レーザー光の一部を減衰すると同時に、波長が変調された青色光を透過する。
【0017】
本発明の一実施例において、光学素子セットはダイクロイックミラーを備え、ダイクロイックミラーは、青色レーザー光を反射すると同時に、波長が変調された青色光を透過する。
【0018】
本発明の一実施例において、波長変換装置は光透過エリアを有すると共に、光透過エリア以外のエリアに波長変換材料を有する。
【0019】
本発明の一実施例において、青色レーザー光の一部は光透過エリアを透過し、青色レーザー光の他部分は、波長変換材料によってその波長が変調され、青色光として発光される。
【0020】
本発明の一実施例において、波長変換装置は色環を備える。
【0021】
本発明の一実施例において、波長変換材料は、蛍光材料または燐光材料、または上記二者の組合せである。
【0022】
本発明の一実施例において、蛍光材料はシリコーン化合物を含む。
【0023】
本発明の一実施例において、青色レーザー光の波長は445nm〜448nmであり、波長が変調された青色光の主波長は460nm±5nmである。
【発明の効果】
【0024】
上記をまとめると、本発明に係る青色光合成方法及び青色光合成装置において、青色レーザー光の一部は波長が変調された青色光として励起され、青色レーザー光の他部分は波長が変調された青色光と混合される。これを介して、本発明に係る青色光合成方法及び青色光合成装置は、Rec. 709の規格を満たすと同時に、IEC−60825−1レーザー光を用いた製品の標準安全性規格をも満たし得る青色光源を合成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の好ましい実施例に係る青色光合成方法におけるステップを示す図である。
【
図2】本発明の好ましい実施例に係る蛍光材料により励起された蛍光の周波数スペクトル図である。
【
図3A】本発明の好ましい実施例に係る波長変換装置を示す図である。
【
図3B】本発明の好ましい実施例に係るもう一つの波長変換装置を示す図である。
【
図4A】本発明の好ましい実施例に係る青色レーザー光の周波数スペクトル図である。
【
図4B】本発明の好ましい実施例に係る青色レーザー光が含まれた青色光と、減衰器と、フィルターの周波数スペクトル図である。
【
図4C】本発明の好ましい実施例に係る混合された青色光の周波数スペクトル図である。
【
図5】本発明の好ましい実施例に係る青色光合成装置を示す図である。
【
図6】本発明のもう一つの好ましい実施例に係る青色光合成装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
関連する図面を参照しながら、本発明の好ましい実施例に係る青色光合成方法及び青色光合成装置を以下の通りに説明し、この場合、同じ構成要素は同じ符号を付して説明する。
【実施例1】
【0027】
まずは
図1を参考されたい。
図1は本発明の好ましい実施例に係る青色光合成方法におけるステップを示す図である。本発明に係る青色光合成方法は、青色レーザー光を供給するステップ(S102)と、青色レーザー光の光学経路に波長変換装置を配置し、青色レーザー光の一部は、波長変換装置を励起し、波長変換装置は波長が変調された青色光を発光するステップ(S104)と、青色レーザー光における波長が変調されていない他部分を波長が変調された青色光と混合させるステップ(S106)とを備える。また、前記ステップ(S104)と(S106)の間に、後述するように、波長が変調されていない青色レーザー光に対して強度の減衰を行い、または濾過をするステップ(S105)を設けてもよい。本発明の青色光合成方法は、照明システム、プロジェクタ、表示、またはその他の光学装置に適用されるが、特定の光学装置に限定されるものではなく、本実施例においては、レーザー光を用いたレーザープロジェクタを例とする。
【0028】
ステップS102において、青色レーザー光は、気体レーザー、固体レーザー、光ファイバーレーザー、または半導体レーザーなどの発光源によって供給することができるが、本発明における発光源はこれらに制限されるものではない。本実施例において、青色レーザー光は励起光源として使われるほか、光の混合にも使われている。これまで市販のレーザーから供給される青色レーザー光の波長は、通常445〜448nmであるので、混合プロセスのコストを下げるため、本実施例における青色レーザー光としても、波長が445nm〜448nmのものを採用することが望ましい。そうすることにより、特定の波長のレーザー光を製作する必要がなく、コストを下げることができる。当然のことながら、本発明は、青色レーザー光の波長範囲に限定されるものではなく、必要とする混合青色光を生成させることを優先して波長範囲を選定することができる。
【0029】
ステップS104において、青色レーザー光の光学経路に波長変換装置を配置し、青色レーザー光の一部は、波長変換装置を励起し、波長変換装置は波長が変調された青色光を発光する。波長変換装置は波長変換材料を有し、波長変換材料は色環であることが好ましい。本実施例において、青色レーザー光が波長変換装置に向けて放射され、且つ、当該波長変換装置の波長変換材料を照射したとき、波長変換材料は光を励起する。本実施例において、波長変換材料により励起された光は青色光を主とし、その主波長は460nm±5nmであるが、異なる波長の変調要求に応じて、異なる波長に対応する波長変換材料を選択することができる。実施上において、波長が445nmの青色レーザー光を使用した場合、青色レーザー光の残量を効果的に低減させるために(即ち、更にレーザー光を用いた製品の安全規格をも満たすために)、波長が460nmの波長変換材料を使用することが好ましい。そうすることにより、緑色蛍燐光体粉末(主波長は約550nmである)またはシアン蛍燐光体粉末(主波長は約490nmである)を使用して光を混合する従来技術に比べて、本実施例に使用される波長変換装置(主波長は約460nm±5nmである)は青色レーザー光の残量を更に効果的に下げることができる。
【0030】
波長変換材料は、蛍光材料または燐光材料、またはこれら2材料の組合せである。本実施例では蛍光材料を採用し、蛍光材料の主な成分はシリコーン化合物を含む。本実施例における蛍光材料の主波長は460nmであり、上記蛍光材料に励起された蛍光の周波数スペクトルは
図2に示した通りである。
【0031】
上記波長変換装置は、光透過エリアを有するものとすることができる。光透過エリアは、例えば、ガラスなどの透明な物体でもよく、貫通孔でもよく、光を透過させる効果を達することができれば良いので、これらに制限されるものではない。その場合において、波長変換材料は上記光透過エリア以外のエリアに配置することができる。次に、
図3Aと
図3Bを参照されたい。
図3Aは本発明で用いられる波長変換装置12の一実施例を示す図であり、
図3Bはもう一つの実施例の波長変換装置22を示す図である。
図3Aの波長変換装置12は、前記光透過エリアを有しておらず、この波長変換装置12は、後述の
図5に示す青色光合成装置1に用いられる。一方、
図3Bの波長変換装置22は、光透過エリアAを有しており、この波長変換装置22は、後述の
図6に示す青色光合成装置2に用いられる。これらの波長変換装置12と22は色環を例とする。
図3Aに示す波長変換装置12においては、波長変換装置12のエリアRに波長変換材料を配置し、青色レーザー光をこのエリアRに透過させた場合、すべての青色レーザー光(エリアSは入射した青色レーザー光の断面を示す)が波長変換材料を照射するが、そのうち青色レーザー光の一部は、波長変換材料を励起することにより、変調された青色光として発光され、そして青色レーザー光の他部分は、波長変換材料に吸収されず、そのまま波長変換材料を透過して放射され、且つ波長が変調されない。一方、
図3Bに示す波長変換装置22においては、光透過エリアAが設けられている。レーザー光は方向性を持っているため、即ち、光ビームの平行度が高いため、青色レーザー光(エリアSは入射した青色レーザー光の断面を示す)が光透過エリアAを含む領域を照射した場合、青色レーザー光の一部は光透過エリアAを透過し、一方、光透過エリアAを透過しない青色レーザー光の他部分は波長変換材料を有するエリアRを照射して光を励起させる。本実施例において、励起された光は青色光であり、好ましくは青色蛍光である。
【0032】
次に、
図4Aを参照されたい。
図4Aは青色レーザー光の周波数スペクトル図である。青色レーザー光が波長変換装置を励起する過程において、青色レーザー光の一部が光透過エリアを透過するものにおいては、光透過エリアを透過したのち混合された青色レーザー光のエネルギーは、照射前の青色レーザー光のエネルギーよりも低い。そのため、IEC−60825−1のレーザー光を用いた製品の標準安全性規格(青色レーザー光のエネルギー値のワット数は実際の必要に応じて異なる規格がある。例えば、5mW、または2mWより低くしなければならない)を満たすことができる。しかし、光透過エリアを透過せず、波長が変調されていない青色レーザー光は、依然として比較的高いエネルギーを有するため、IEC−60825−1のレーザー光を用いた製品の標準安全性規格を達することができない。そのため、本実施例のステップS105において、混合するステップを行う前に、波長が変調されていない青色レーザー光に対して、強度の減衰を行い、またはその一部を濾過することが望ましい。その場合、青色レーザー光の光学経路にフィルターを配置し、このフィルターによって青色レーザー光の一部を濾過し、例えば、60%の青色レーザー光を濾過するようにする。フィルターが濾過可能な波長範囲は445nm〜448nmである。従って、本実施例に係るフィルターは単に青色レーザー光の一部だけを濾過し、主波長が460nm±5nmの青色蛍光は濾過しない。注意すべきことは、この場合のフィルターは減衰器でも代替できることである。同様に、減衰器が減衰可能な波長範囲は445nm〜448nmであり、減衰器は青色レーザー光の一部を減衰させ、例えば、60%の青色レーザー光を減衰させるが、主波長が460nm±5nmの青色蛍光は減衰させない。よって、濾過または減衰した後の青色レーザー光は比較的低いエネルギーを有し、IEC−60825−1のレーザー光を用いた製品の標準安全性規格を満たすことができる。前記フィルターまたは減衰器(本願において「フィルター/減衰器」と記す。)による周波数スペクトルは、
図4Bに示した通りである。
図4Bは、青色レーザー光が含まれた青色光と、減衰器と、フィルターの周波数スペクトル図であり、フィルター/減衰器は余分な青色レーザー光のエネルギーを除去することができる。
【0033】
次に、ステップS106を説明する。ステップS106において、波長が変調されていない青色レーザー光を、波長が変調された青色光と混合する。上記のように、本実施例は青色レーザー光の一部を励起光源とし、波長変換装置における波長変換材料に青色蛍光を励起させる。光透過エリアを透過した青色レーザー光の他部分を、励起された青色蛍光と混合し、且つ混合した後の混合青色光は本実施例に係るレーザープロジェクタの青色光源として使用される。本実施例は、波長が445nm〜448nmの青色レーザー光と主波長が460nm±5nmの青色蛍光との混合を行うので、前記混合青色光はRec.709の規格を満たしている。混合青色光の周波数スペクトルは
図4Cに示した通りである。
【0034】
結論として、本実施例は、レーザー光によって青色レーザー光を供給し、青色レーザー光の一部が青色蛍光として励起され、励起に使用されていない青色レーザー光の他部分は青色蛍光と混合を行い、混合した後の青色光は、即ち、本実施例に係るレーザープロジェクタに使われる青色光源となる。青色レーザー光と青色蛍光の波長は特定範囲内にあるので、前記青色光として合成されて成る混合青色光はRec.709の規格を満たしている。また、他の実施例において、青色光合成方法は、フィルターまたは減衰器を採用することによって、青色レーザー光の一部を濾過しまたは減衰させ、青色レーザー光のエネルギーを更に下げ、IEC−60825−1のレーザー光を用いた製品の標準安全性規格を満たすようにすることができる。
【0035】
図5を参照されたい。
図5は本発明の好ましい実施例に係る青色光合成装置を示す図である。上記の好ましい実施例に係る青色光合成方法は本実施例に係る青色光合成装置1によって実施することができる。本実施例において、青色光合成装置1は、発光源11と、波長変換装置12と、光学素子セット13と、インテグレータロッド(integrator rod)14を備える。発光源11と波長変換装置12(
図3Aを参照)は前述のものと同じであるため、ここでは繰り返して述べない。
【0036】
本実施例において、青色レーザー光は光学経路Lを有する。光学素子セット13は光学経路Lを構成し、光学素子セット13はレンズ131と、レンズ132と、フィルター/減衰器133とを備える。フィルター/減衰器133はレンズ131とレンズ132の間に配置され、発光源11はレンズ131に対してフィルター/減衰器133と反対側に配置され、波長変換装置12はレンズ131と発光源11の間に配置される。また、本実施例において、青色レーザー光は波長変換装置12を介して励起され、その波長が変調された青色光の経路が符号L1で示してあり、この場合、青色光は青色蛍光を例とする。インテグレータロッド(integrator rod)14はレンズ132からの青色光を受光し、混合した後、その混合青色光をレーザープロジェクタの青色光源として使用する。注意すべきことは、波長が変調された青色光(例えば、青色蛍光)はレーザー光のように方向性を持つとは限らず、拡散状態で発光する可能性があるので、本実施例における符号L1が示した経路は一部の範囲内の青色蛍光の経路である。
【0037】
本実施例を全体から見ると、青色レーザー光は、発光源11から発せられた後、波長変換装置12に入射し、青色蛍光として励起される。次に、青色レーザー光の光学経路Lと青色蛍光の経路L1に示すように、青色レーザー光と青色蛍光は順に、レンズ131と、フィルター/減衰器133と、レンズ132とを透過して、インテグレータロッド(integrator rod)14に集められて混合される。本実施例において、青色レーザー光が青色蛍光として励起された後、青色光合成装置全体の周波数スペクトルは波長が445nm〜448nmの青色レーザー光と主波長が460nm±5nmの青色蛍光とを含む。そして、フィルター/減衰器133を介して青色レーザー光の一部を濾過し、または青色レーザー光の強度を減衰する。従って、最終的に得られる混合青色光は、Rec.709の規格を満たした青色光であり、レーザー光エネルギーを効果的に下げることにより、IEC−60825−1のレーザー光を用いた製品の標準安全性規格も満たしている。つまり、本実施例は、透過光学経路から成るマイナスアプローチ式(minus approach)の青色光合成方法及び青色光合成装置によって実現され、フィルター/減衰器133を介して余分なレーザー光エネルギーを下げ、青色レーザー光と青色蛍光を混合青色光として混合させ、これをレーザープロジェクタの青色光源として使用する。
【実施例2】
【0038】
図6は本発明のもう一つの好ましい実施例に係る青色光合成装置を示す図である。前記の好ましい実施例に係る青色光合成方法を、
図6に示す実施例に係る青色光合成装置2によって実施することができる。本実施例に係る青色光合成装置2は、発光源21と、波長変換装置22と、光学素子セット23と、インテグレータロッド(integrator rod)24とを備える。発光源21と、波長変換装置22(
図3Bを参照)と、インテグレータロッド(integrator rod)24の説明は前述したものと同じであるため、ここでは繰り返して述べない。
【0039】
本実施例において用いられる波長変換装置22は色環であり、光透過エリアを有する。
図3Bを参照されたい。
図3Bは本実施例に係る波長変換装置22を示す図であると同時に、波長変換装置22を光学経路Lの入射方向から見た視野図でもある。光透過エリアAは、例えば、ガラスなどの透明な物体でもよく、貫通孔でもよく、光を透過させる効果を達することができればいいので、これらに制限されるものではない。本実施例において、光透過エリアA以外のエリア(例えば、エリアR)には波長変換材料が配置され、波長変換材料によって励起された光は主に青色光であり、その主波長は460nm±5nmである。本実施例は主波長が460nmである青色蛍光を例とする。
図3Bに示すように、エリアSは入射した青色レーザー光の断面を示す。青色レーザー光が光透過エリアAを含む領域を照射した場合、青色レーザー光の一部は光透過エリアAを透過すると同時に、青色レーザー光の他部分は青色蛍光として励起される。本実施例において、青色蛍光の経路L1と青色レーザー光の元経路L2の照射方向は真逆である。
【0040】
図6を再度参照されたい。本実施例において、光学素子セット23はダイクロイックミラー231と複数の反射鏡232を含み、ダイクロイックミラー231と反射鏡232は青色レーザー光の光学経路Lに配置される。ダイクロイックミラー231は青色レーザー光を反射すると共に、波長変換装置22により波長が変調された青色光(例えば、青色蛍光)はダイクロイックミラー231を透過する。詳しく言えば、本実施例のダイクロイックミラー231は波長が400nm〜450nmの光を反射するという仕組みを持つ。青色レーザー光の波長は445nm〜448nmであり、他方、青色蛍光の主波長は460nm±5nmであるため、ダイクロイックミラー231は青色レーザー光を反射すると共に、青色蛍光を透過する。
【0041】
本実施例を全体から見ると、青色レーザー光を発光源21からダイクロイックミラー231に向けて照射した場合、ダイクロイックミラー231は青色レーザー光を波長変換装置22に向けて反射する。青色レーザー光が波長変換装置22に入射した後、青色レーザー光の一部は前記光透過エリアを透過し、青色レーザー光の他部分は、波長変換材料を照射し、青色蛍光として励起される。この時、波長変換装置22から発光される青色蛍光の経路L1と青色レーザー光の元光経路L2の照射方向は真逆であり、青色蛍光はダイクロイックミラー231を透過し、インテグレータロッド(integrator rod)24に入射する。同時に、
図6に示すように、光透過エリアを透過した青色レーザー光の一部は、3つの反射鏡232による3回の反射を順次経た後、ダイクロイックミラー231に向けて照射される。次に、ダイクロイックミラー231で反射された青色レーザー光はインテグレータロッド(integrator rod)24に入射し、青色蛍光と混合されて混合青色光となる。本実施例において、青色レーザー光の一部が青色蛍光として励起された後、残りの部分の青色レーザー光と混合されることによって、青色光合成装置全体の周波数スペクトルは、波長が445nm〜448nmの青色レーザー光と、主波長が460nm±5nmの青色蛍光を含むことになる。波長変換装置22の光透過エリアを透過した青色レーザー光の一部は、複数回の反射を経過した後、インテグレータロッド(integrator rod)24に戻る。本実施例における青色レーザー光の一部は励起光源として使われるので、波長変換装置22の光透過エリアを透過してインテグレータロッド(integrator rod)24に戻った青色レーザー光のエネルギーはさらに低い。そのため、最終的に得られる混合青色光の周波数スペクトルは、
図4Cに示した通りとなり、この混合青色光はRec.709の規格を満たしており、青色レーザー光のエネルギーを効果的に下げることにより、IEC−60825−1のレーザー光を用いた製品の標準安全性規格も満たしている。つまり、本実施例は、反射光学経路から成るプラスアプローチ式(plus approach)の青色光合成装置によって実現され、ダイクロイックミラーを用いて青色レーザー光と青色蛍光を異なる経路に分け、最後に青色レーザー光を戻すことで、青色レーザー光を青色蛍光と混合して混合青色光を得るようにしたものである。この混合青色光はレーザープロジェクタの青色光源として使用される。
【0042】
上記をまとめると、本発明に係る青色光合成方法及び青色光合成装置は、青色レーザー光の一部を波長が変調された青色光として励起させると共に、青色レーザー光の他部分を、この波長が変調された青色光と混合することにより、Rec. 709の規格が満たされると同時に、IEC−60825−1のレーザー光を用いた製品の標準安全性規格をも満たすことができる青色光源を合成し得るものである。
【0043】
上記実施例は例示的なものであって、限定するためのものではない。本発明の技術的思想および範囲から逸脱することなく行われる等価の修正または変更は、いずれも別紙の特許請求の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は以上の如く構成したため、Rec. 709の規格が満たされると同時に、IEC−60825−1のレーザー光を用いた製品の標準安全性規格をも満たすことができる、例えばプロジェクターなど画像表示装置の青色光源を合成できる青色光合成方法及び青色光合成装置として好適に用いられるものである。
【符号の説明】
【0045】
1、2 青色光合成装置
11、21 発光源
12、22 波長変換装置
13、23 光学素子セット
131、132 レンズ
133 フィルター/減衰器
14、24 インテグレータロッド
231 ダイクロイックミラー
232 反射鏡
A 光透過エリア
L 光学経路
L1 経路
L2 青色レーザー光の元経路
S、R エリア
S102、S104、S105、S106 ステップ