(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-106687(P2015-106687A)
(43)【公開日】2015年6月8日
(54)【発明の名称】シート貼付装置およびシート貼付方法
(51)【国際特許分類】
H05K 9/00 20060101AFI20150512BHJP
H01L 31/0232 20140101ALI20150512BHJP
G02B 6/42 20060101ALI20150512BHJP
H05K 13/04 20060101ALI20150512BHJP
【FI】
H05K9/00 Z
H01L31/02 C
G02B6/42
H05K13/04 R
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-249353(P2013-249353)
(22)【出願日】2013年12月2日
(71)【出願人】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100153110
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100131037
【弁理士】
【氏名又は名称】坪井 健児
(74)【代理人】
【識別番号】100099069
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】入江 剛
(72)【発明者】
【氏名】荒川 敬
(72)【発明者】
【氏名】中岡 真澄
(72)【発明者】
【氏名】藤巻 正英
(72)【発明者】
【氏名】小川 堅博
(72)【発明者】
【氏名】小柳 考史
【テーマコード(参考)】
2H137
5E313
5E321
5F088
【Fターム(参考)】
2H137AA01
2H137AB05
2H137AB06
2H137AC02
2H137BA01
2H137BB02
2H137BB12
2H137DA13
2H137DA39
2H137GA01
2H137GA07
5E313AA31
5E313AB01
5E313CC05
5E313CC09
5E313CD05
5E313FF07
5E321AA01
5E321BB25
5E321BB32
5E321BB44
5E321BB53
5E321CC01
5E321CC16
5E321CC30
5E321GG11
5F088AA01
5F088BB01
5F088JA12
5F088JA14
(57)【要約】
【課題】電波吸収シートをやり直しなく所望の位置に貼り付けることができるシート貼付装置およびシート貼付方法を提供する。
【解決手段】光トランシーバに設置されるシールド用のキャップが、上壁、上壁に対して鋭角状態で連なる鋭角曲げ部、鋭角曲げ部に連なると共に上壁に対して垂直方向で延びる前壁を備え、上壁の内面に電波吸収シートを貼り付けるシート貼付装置1である。上壁の内面に貼り付けられる面を外方に向けた電波吸収シートを保持すると共に、上壁の内面と鋭角曲げ部の内面との間に配置される先端部を有するスライダ保持部材35と、保持された電波吸収シートを、上壁の内面と鋭角曲げ部の内面とで挟むようにキャップに向けて押し込むスライダ部材42と、上壁の内面および前壁の内面を外方に向けたキャップを保持すると共に、上壁の内面を先端部に向けて回動可能な保持台12とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光トランシーバに設置されるシールド用のキャップが、上壁、前記上壁に対して鋭角状態で連なる鋭角曲げ部、前記鋭角曲げ部に連なると共に前記上壁に対して垂直方向で延びる前壁を備え、前記上壁の内面に電波吸収シートを貼り付けるシート貼付装置であって、
前記上壁の内面に貼り付けられる面を外方に向けた前記電波吸収シートを保持すると共に、前記上壁の内面と前記鋭角曲げ部の内面との間に配置される先端部を有するスライダ保持部材と、
保持された前記電波吸収シートを、前記上壁の内面と前記鋭角曲げ部の内面とで挟むように前記キャップに向けて押し込むスライダ部材と、
前記上壁の内面および前記前壁の内面を外方に向けた前記キャップを保持すると共に、前記上壁の内面を前記先端部に向けて回動可能な保持台と
を備える、シート貼付装置。
【請求項2】
前記スライダ保持部材は、前記電波吸収シートを前記キャップに向けて押し込む際、前記電波吸収シートの側面に当接して支持するガイド部材を有している、請求項1に記載のシート貼付装置。
【請求項3】
前記キャップは、前記上壁の両側に連なる側壁を備え、前記保持台は、前記側壁に係合して前記キャップを位置決めすると共に、前記電波吸収シートを前記キャップに向けて押し込む際、前記電波吸収シートの側面に当接して支持する支柱を有している、請求項2に記載のシート貼付装置。
【請求項4】
光トランシーバに設置されるシールド用のキャップが、上壁、前記上壁に対して鋭角状態で連なる鋭角曲げ部、前記鋭角曲げ部に連なると共に前記上壁に対して垂直方向で延びる前壁を備え、前記上壁の内面に電波吸収シートを貼り付けるシート貼付方法であって、
前記キャップを、前記上壁の内面および前記前壁の内面を外方に向けて配置するステップと、
前記電波吸収シートを、前記上壁の内面に貼り付けられる面を外方に向けて配置するステップと、
配置された前記電波吸収シートを前記上壁の内面と前記鋭角曲げ部の内面との間に再配置するステップと、
再配置された前記電波吸収シートを、前記上壁の内面と前記鋭角曲げ部の内面とで挟むように前記キャップに向けて押し出すステップと、
前記上壁の内面と前記鋭角曲げ部の内面とで挟まれた前記電波吸収シートを前記キャップに向けて押し込むステップと、
前記上壁の内面を前記電波吸収シートに向けて回動させるステップと
を含む、シート貼付方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート貼付装置およびシート貼付方法に関し、特に、光トランシーバに設置されるシールド用のキャップに電波吸収シートを貼り付けるシート貼付装置およびシート貼付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光トランシーバは、光電変換素子を備え、光コネクタを介して光信号を送受信することができる。この光トランシーバはレセプタクルと金属製の筐体とを有し、レセプタクルには、光コネクタが着脱自在に接続される。一方、筐体内には、光電変換素子の他、回路基板等が収容されている。回路基板には、光電変換素子との間で電気信号を授受する多数の電子部品が実装され、また、所望の電気回路が形成されている。
【0003】
この光トランシーバでは高周波信号が発生しており、周辺の機器が誤動作しないように、外部への電磁放射(EMI)を低減させることが極めて重要になる。
例えば、特許文献1には、金属製のカバーの他、シールド用のキャップを設けてEMIの低減を図る光トランシーバの技術が開示されている。詳しくは、
図11(A)に示すように、筐体60は、例えばハウジング61やカバー62、シールド用のキャップ66を備えている。ハウジング61は、上方に向けて開口した断面U字状に形成されている。カバー62は、ハウジング61の開口周縁に当接可能に構成され、その上方からハウジング61の開口を閉塞することにより、断面矩形状の筐体60が形成される。
【0004】
筐体60内には光電変換素子や電子部品等が収容される。筐体60の手前側にはレセプタクル63が配置され、例えば2個の光コネクタ(図示省略)を着脱可能な開口を有している。
ハウジング61内には、発光素子アセンブリ64および受光素子アセンブリ65が配置されている。発光素子アセンブリ64は、送信用のTOSA(Transmitter Optical Sub−Assembly)に相当し、受光素子アセンブリ65よりも例えば大型で構成されている。パッケージ64aには半導体レーザ(LD:Laser Diode)やレンズが収納される。
【0005】
受光素子アセンブリ65は、受信用のROSA(Receiver Optical Sub−Assembly)に相当し、パッケージ65aにはフォトダイオード(PD:Photo Diode)やレンズが収納される。そして、発光素子アセンブリ64および受光素子アセンブリ65は、その上方からシールド用のキャップ66で覆われた後、さらにカバー62で覆われている。
【0006】
図11(B)に示すように、シールド用のキャップ66は、例えば、上壁67、鋭角曲げ部68、前壁69、側壁70を備えている。上壁67は発光素子アセンブリ64および受光素子アセンブリ65の上方を覆う。鋭角曲げ部68は、シールド用のキャップ66の強度向上を図るために、上壁67に対して90°以下の大きさで折り曲げられている。前壁69は、発光素子アセンブリ64や受光素子アセンブリ65の開口をなすU字状の切れ込みを有し、鋭角曲げ部68に連なると共に上壁67に対して垂直方向で延びている。また、側壁70は上壁67の両側に連なって後方に延びているが、側壁70のうち前壁69の近傍には、ハウジング61の周縁に係合するフック70aが形成されている。
【0007】
また、EMIの低減には、光トランシーバの筐体内の隙間を無くすことが効果的である。そこで、例えば、特許文献2には、電波吸収体を用いてEMIの低減を図る技術が開示されている。電波吸収体には、例えば粘着面を有した矩形状の電波吸収シートが知られており、所定の厚みを有した電波吸収シートを
図11(B)に示した上壁67の内面に貼り付けると、筐体内の隙間を埋めることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−209683号公報
【特許文献2】特開2000−124483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、光トランシーバの小型化・高密度化に伴い、筐体内の構造は複雑になっており、電波吸収シートの効果を最大限に発揮させるためには、電波吸収シートを正確な位置に貼り付ける必要があるという問題がある。
特に、電波吸収シートの粘着面は、振動や衝撃によって上壁の内面から剥がれ落ちるのを防止するために粘着力が強くされているので、上壁の内面に一度貼り付けると貼り直しが困難になり、光トランシーバの組立作業の難易度が上がる。
【0010】
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたもので、電波吸収シートをやり直しなく所望の位置に貼り付けることができるシート貼付装置およびシート貼付方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によるシート貼付装置は、光トランシーバに設置されるシールド用のキャップが、上壁、前記上壁に対して鋭角状態で連なる鋭角曲げ部、前記鋭角曲げ部に連なると共に前記上壁に対して垂直方向で延びる前壁を備え、前記上壁の内面に電波吸収シートを貼り付けるシート貼付装置であって、前記上壁の内面に貼り付けられる面を外方に向けた前記電波吸収シートを保持すると共に、前記上壁の内面と前記鋭角曲げ部の内面との間に配置される先端部を有するスライダ保持部材と、保持された前記電波吸収シートを、前記上壁の内面と前記鋭角曲げ部の内面とで挟むように前記キャップに向けて押し込むスライダ部材と、前記上壁の内面および前記前壁の内面を外方に向けた前記キャップを保持すると共に、前記上壁の内面を前記先端部に向けて回動可能な保持台とを備える。
【0012】
また、本発明によるシート貼付方法は、光トランシーバに設置されるシールド用のキャップが、上壁、前記上壁に対して鋭角状態で連なる鋭角曲げ部、前記鋭角曲げ部に連なると共に前記上壁に対して垂直方向で延びる前壁を備え、前記上壁の内面に電波吸収シートを貼り付けるシート貼付方法であって、前記キャップを、前記上壁の内面および前記前壁の内面を外方に向けて配置するステップと、前記電波吸収シートを、前記上壁の内面に貼り付けられる面を外方に向けて配置するステップと、配置された前記電波吸収シートを前記上壁の内面と前記鋭角曲げ部の内面との間に再配置するステップと、再配置された前記電波吸収シートを、前記上壁の内面と前記鋭角曲げ部の内面とで挟むように前記キャップに向けて押し出すステップと、前記上壁の内面と前記鋭角曲げ部の内面とで挟まれた前記電波吸収シートを前記キャップに向けて押し込むステップと、前記上壁の内面を前記電波吸収シートに向けて回動させるステップとを含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明のシート貼付装置やシート貼付方法によれば、電波吸収シートをやり直しなく正確な位置に貼り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明によるシート貼付装置の外観の一例を示す図である。
【
図2】
図1のシート貼付装置の外観を示す図である。
【
図3】
図2の保持台の一部分の外観を示す図である。
【
図4】(A)はシールドキャップとキャップ保持部の支柱との位置を説明する図、(B)はキャップ保持部へのシールドキャップの設置を説明する図である。
【
図5】
図1,2のシート保持部の外観を示す図である。
【
図6】(A)は
図5のスライダ部材やスライダ保持部材を説明する図、(B)は電波吸収シートの外観を示す図である。
【
図7】シールドキャップへの電波吸収シートの設置を説明する図である。
【
図8】シールドキャップへの電波吸収シートの設置を説明する図である。
【
図9】シールドキャップへの電波吸収シートの設置を説明する図である。
【
図10】電波吸収シート付きのシールドキャップを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら、本発明のシート貼付装置およびシート貼付方法に係る好適な実施の形態について説明する。
図1,2は、本発明によるシート貼付装置の外観の一例を示す図である。シート貼付装置1は所定厚みの台座2を有し、キャップ保持部10とシート保持部30とがX方向で対峙して台座2に立設されている。また、台座2の高さは、例えば、Y軸の正方向に沿って低くなるように形成されている。
【0016】
図2に示すように、キャップ保持部10は、回動支持台11、保持台12、回動軸18、把持部19を有している。詳しくは、回動支持台11は台座2に固定され、保持台12のY方向両端が回動支持台11に回動自在に支持されている。把持部19は保持台12の上面に設けられており、把持部19を掴めば、保持台12を回動軸18回りに容易に回動できる。なお、回動支持台11の後端には、回動する保持台12の後方下端を逃がすための開口が形成されている。
【0017】
図3は、
図2の保持台の一部分の外観を示す図である。この保持台12の一部分は、保持台12の上壁支持部16と
図2に示したシート保持部30との間に配置され、前壁載置部13、溝14、上壁載置部15、支柱17を有している。なお、図示の保持台12は、上壁載置部15側と上壁支持部16側とがネジ止めされる別体構造であるが、一体構造であってもよい。
【0018】
上壁載置部15は、
図11で説明したシールドキャップ66の上壁67と鋭角曲げ部68との境界部分を載置可能である。支柱17は、例えば断面矩形状に形成され、上壁載置部15のY方向両端にそれぞれ設けられている。このY方向で見た一方の支柱17の外側面から他方の支柱17の外側面までの距離は、シールドキャップ66の一方の側壁70の内側面から他方の側壁70の内側面までの距離に相当する。このため、各支柱17は、いずれも側壁70と側壁70との間に位置し、側壁70の内側面に係合可能である。
【0019】
また、X方向で見た支柱の背面17bと上壁支持部16との間には、シールドキャップの上壁67の肉厚に相当する隙間が形成されている。
前壁載置部13は、上壁載置部15よりも高い位置に設けられ、裏返したシールドキャップの前壁69を載せることができる。詳しくは、前壁載置部13と上壁載置部15とは平行に配され、前壁載置部13と上壁載置部15との高さの差で鋭角曲げ部68を受容することができる。
【0020】
図4(A)はシールドキャップとキャップ保持部の支柱との位置を説明する図である。シールドキャップ66の鋭角曲げ部68は上壁67に対して鋭角状態で連なっており、この鋭角曲げ部68の折れ角は90度より小さい、例えば60度程度の大きさである。また、前壁69のY方向両端には支柱17を受容する凹みが形成されている。なお、シールドキャップが本発明のシールド用のキャップに相当する。
【0021】
図4(B)は
図1のIV−IV線の矢視断面図に相当し、キャップ保持部へのシールドキャップの設置を説明する図である。
図4(B)では、シールドキャップ66の形状を明確に示すために、保持部19の図示を省略している。上壁67を支柱の背面17bと上壁支持部16との間の隙間に差し込み、側壁70を支柱17の外側から抱き付かせると、シールドキャップ66は、上壁の内面67aや前壁の内面69aなどを外方に向けた状態で保持台12上に保持される。なお、この
図4で左側に見える側壁70が
図11に示した発光素子アセンブリ64に近接した側壁70に相当する。
【0022】
図1,2に戻り、シート保持部30は、ポスト31、スライダ保持部材35、スライダ部材42を有する。なお、
図2では、キャップ保持部10の形状を明確に示すためにスライダ保持部材35、スライダ部材42等の記載を省略している。ポスト31は台座2に固定され、Z方向に延びている。スライダ保持部材35やスライダ部材42は、ポスト31に対してスライド可能であって、電波吸収シートをシールドキャップに向けて押し込み可能に形成されている。
【0023】
図5は、
図1,2のシート保持部の外観を示す図であり、
図6(A)は
図5のスライダ部材やスライダ保持部材を説明する図、
図6(B)は電波吸収シートの外観を示す図である。
図5に示すように、ポスト31は、X軸の負方向に向けて突出した部分を有し、この突出部分の先端には斜面32が形成されている。斜面32の角度は、スライダ部材42をシールドキャップに向けて押し込むために求められた大きさであり、例えば、斜面32と
図4(A)で説明した上壁67とのなす角は、この上壁67と鋭角曲げ部68とのなす角の半分程度の大きさである。
【0024】
また、ポスト31の上面にはスライドガイド33が設けられ、スライドガイド33には、スライダ保持部材35を移動させるためのガイド溝34が形成されている。具体的には、ガイド溝34は、ポスト31の上方位置では水平方向に形成されており、スライダ保持部材35を水平方向に移動させる。なお、水平姿勢のスライダ保持部材35は、ポスト31の上面やスライドガイド33の先端に支持される。
【0025】
スライダ保持部材35は、スライドガイド33の両端側に位置する腕37を有し、腕37の一端はY方向に延びた支持軸36で連結され、支持軸36はガイド溝34に遊嵌されている。腕37の他端はX軸の負方向に向けて延び、先端部37aを有している。
図6に示すように、先端部37aは、スライダ搭載面38、シート載置面39、土手41からなり、シート載置面39はスライダ搭載面38と土手41との間に設けられている。なお、先端部37aのY方向幅は、
図3,4で説明した保持台12の支柱17間の距離よりも短い長さである。
【0026】
また、腕37の先端部37aには、
図6(A)で見た右側(Y軸の正方向に相当する)にガイド部材37bが設けられている。ガイド部材37bは、後述する電波吸収シートの側面に当接して支持する案内面37cを有している。ガイド部材37bのX軸の負方向の先端は、支柱17との接触を防止するために大きく面取りされている。
図6(B)に示す電波吸収シート80は、磁性材料(例えばフェライト等)の粉末が矩形状のゴム(例えばシリコン等)の基材に練り込まれており、上記水平方向に配置されたスライダ保持部材35に対し、粘着面81を外方に向けてセットされる。
【0027】
ここで、例えば、電波吸収シート80が発光素子アセンブリの周辺に貼付され、受光素子アセンブリの周辺には貼付されない場合、電波吸収シート80は、
図6(A)に破線で示す位置にセットされる。
詳しくは、
図1,2で説明した台座2は、
図6(B)に示すシート側面83がガイド部材37bの案内面37cに常に当接して支持されるように傾斜しているので、電波吸収シート80をセットする場合、まず、作業者が例えばシート側面83の反対側を指で掴み、シート側面83を下方に向けて案内面37cに接触させる。次いで、掴んでいた指を離せば、
図6(A)に破線で示すように、シート載置面39の右方に寄った状態の電波吸収シート80をセットし易くなる。
【0028】
電波吸収シート80がシールドキャップに向けて押し出される場合、電波吸収シート80は、まず、ガイド部材37bの案内面37cに支持された状態で先端部37aの土手41上を進んで突出する。続いて、土手41から突出した電波吸収シート80は、
図4で説明した支柱の内側面17aに支持された状態でシールドキャップの奥に向かう。このため、ガイド部材37bや支柱17は側壁70のシート禁止領域を設けるスペーサ(マスクともいう)に相当し、電波吸収シート80を、貼付基準線(
図6(A)に二点鎖線で示す)よりもY軸の正方向に寄らないように、シールドキャップに貼り付け可能になる。
【0029】
なお、
図6(B)に示すシート前面82が土手41の後方に配置されるが、シート載置面39と土手41との間を、これらシート載置面39と土手41との段差を解消した傾斜面にすれば、電波吸収シート80を押し出す際に、シート前面82が土手41に引っ掛かり難くなり、より好適である。
スライダ部材42はシート押圧片43および把持片44を有し、把持片44はシート押圧片43の後方で背高に形成される。シート押圧片43は、電波吸収シート80をシート載置面39から押し出すまでは、シート載置面39の後方で電波吸収シート80の後面を押圧可能に配置されている。
【0030】
また、スライダ部材42は
図6(A)で見た左側(Y軸の負方向に相当する)に寄せて配置されており、傾斜した台座上で電波吸収シート80をシールドキャップに貼り付ける際に、把持片44と
図4(B)のY軸の正方向に位置する側壁70との接触を防止する。
図5に戻り、上記スライドガイド33のガイド溝34は、斜面32の上方位置では斜め下方向に、次いで垂直下方向に形成されている。これにより、水平姿勢のスライダ保持部材35を、斜面32に沿って傾斜した姿勢でこの斜面32上に配置できる。
【0031】
図7〜
図9は、シールドキャップへの電波吸収シートの設置を説明する図であり、
図10は、電波吸収シート付きのシールドキャップを説明する図である。
例えば、まずシールドキャップ66を、
図4(B)で説明した上壁の内面67aや、鋭角曲げ部の内面68aおよび前壁の内面69aを外方に向け、側壁70の内側面と支柱17の外側面とが向き合うように降ろし、上壁67を支柱の背面17bと上壁支持部16との間の隙間に差し込んで保持台12上に配置する(キャップ配置工程)。一方、水平姿勢のスライダ保持部材35に対し、電波吸収シート80を、粘着面81を上方に向けた状態でシート載置面39に配置する(シート配置工程)。
【0032】
そして、スライダ保持部材35をスライドガイド33のガイド溝34に沿って移動させ、
図7に示すように、スライダ保持部材35を斜面32上に配置し、その先端部37aを
図4(B)で説明した上壁の内面67aと鋭角曲げ部の内面68aとの間に配置する(スライダ保持部材位置決め工程(本発明のシート再配置工程に相当する))。
続いて、
図7に矢印で示すように、スライダ部材42をスライダ保持部材35上で移動させ、シート押圧片43で電波吸収シート80をシールドキャップ66に向けて押し出す(シート押出工程)。
【0033】
これにより、電波吸収シート80は、
図6(A)に示したシート側面83がガイド部材37bの案内面37cに支持されつつ、シート前面82を先頭にしてスライダ保持部材35から突出する。この突出した電波吸収シート80の支持は支柱17に引き継がれ、シート側面83は支柱の内側面17aに支持される。
この場合、
図8(A)に示すように、シート前面82は、粘着面81側に位置した上辺82aが上壁の内面67aに接触し、粘着面81の反対側に位置した下辺82bが鋭角曲げ部の内面68aに接触し、シート前面82が上壁の内面67aと鋭角曲げ部の内面68aとで挟持される。
【0034】
その後、スライダ部材42をスライダ保持部材35上でさらに移動させ、シート前面82がシールドキャップ66に向けてさらに押し込まれると、
図8(B)に示すように、電波吸収シート80は撓み、粘着面81が上壁の内面67aに向けて凸状に湾曲する。これにより、シート前面82がシールドキャップ66の奥まで押し込まれ、上壁の内面67aに対する上辺82aの貼り付け位置が決まる(シート押し込み工程)。
【0035】
次に、
図9に矢印で示すように、保持台12をY軸回りに回動させると、上壁の内面67aが先端部37a上に位置した電波吸収シート80の粘着面81に向かうので、粘着面81の全面が上壁の内面67aに貼り付けられる(キャップ回動工程)。
この結果、電波吸収シート80付きのシールドキャップ66を保持台12から取り出すと、
図10(A)に示すように、シート前面82の上辺82aが上壁の内面67aに当接し、かつ、下辺82bが鋭角曲げ部の内面68aに当接するので、電波吸収シート80が上壁67と鋭角曲げ部68の双方に挟み付けられる。
【0036】
よって、
図10(B)に示すように、シート前面82は前壁69の形成方向に対して斜めにならず、この前壁69の形成方向に揃えた状態で上壁の内面67aに取り付けることができる。
しかも、まず、シート側面83がスライダ保持部材35のガイド部材37bに支持されているので、シート側面83がガイド部材37bの形成方向に対して斜めにならず、ガイド部材37bに対峙する側壁70の形成方向に揃えた状態で上壁の内面67aに取り付け可能になる。
【0037】
さらに、シート側面83を
図4(A)で説明した支柱17でも支持すれば、シールドキャップ66の奥で押し潰された電波吸収シート80が元の形状に戻る際に、シート側面83が側壁70の形成方向に対して斜めにならず、シート側面83が側壁70の形成方向により揃った状態で上壁の内面67aに取り付けることができる。さらに、フック70aがハウジングの周縁に係合できるための隙間も確保可能になる。
【0038】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0039】
1…シート貼付装置、2…台座、10…キャップ保持部、11…回動支持台、12…保持台、13…前壁載置部、14…溝、15…上壁載置部、16…上壁支持部、17…支柱、17a…支柱の内側面、17b…支柱の背面、18…回動軸、19…把持部、30…シート保持部、31…ポスト、32…斜面、33…スライドガイド、34…ガイド溝、35…スライダ保持部材、36…支持軸、37…腕、37a…先端部、37b…ガイド部材、37c…案内面、38…スライダ搭載面、39…シート載置面、41…土手、42…スライダ部材、43…シート押圧片、44…把持片、60…筐体、61…ハウジング、62…カバー、63…レセプタクル、64…発光素子アセンブリ、64a…パッケージ、65…受光素子アセンブリ、65a…パッケージ、66…シールドキャップ、67…上壁、67a…上壁の内面、68…鋭角曲げ部、68a…鋭角曲げ部の内面、69…前壁、69a…前壁の内面、70…側壁、70a…フック、80…電波吸収シート、81…粘着面、82…シート前面、82a…上辺、82b…下辺、83…シート側面。