(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-106919(P2015-106919A)
(43)【公開日】2015年6月8日
(54)【発明の名称】多周波アンテナモジュール
(51)【国際特許分類】
H01Q 9/42 20060101AFI20150512BHJP
H01Q 5/10 20150101ALI20150512BHJP
【FI】
H01Q9/42
H01Q5/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-226856(P2014-226856)
(22)【出願日】2014年11月7日
(31)【優先権主張番号】201310622289.6
(32)【優先日】2013年11月30日
(33)【優先権主張国】CN
(71)【出願人】
【識別番号】513235681
【氏名又は名称】群▲マイ▼通訊股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】頼 志宏
(72)【発明者】
【氏名】林 彦輝
(57)【要約】
【課題】体積が小さい多周波アンテナモジュールを提供すること。
【解決手段】本発明に係る多周波アンテナモジュールは、1つの基板に設けられ、且つ高周波部、第一低周波部、第二低周波部、フィードイン端子、第一接地端子及び第二接地端子を備える。高周波部は、金属片、第一放射片及び第二放射片を含み、第一放射片及び第二放射片は、それぞれ金属片の互いに反対側に位置する両辺に連接され、金属片は、フィードイン端子に連接され、第一低周波部は、第一放射片を取り囲むように設けられ、第二低周波部は、第二放射片を取り囲むように設けられ、第二接地端子は、第一接地端子に電気的に接続され、第一低周波部及び第二低周波部は、高周波部の第一放射片及び第二放射片とそれぞれカップリングする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に設けられた多周波アンテナモジュールであって、
前記多周波アンテナモジュールは、高周波部、第一低周波部、第二低周波部、フィードイン端子、第一接地端子及び第二接地端子を備え、前記高周波部は、金属片、第一放射片及び第二放射片を含み、前記第一放射片及び前記第二放射片は、それぞれ前記金属片の互いに反対側に位置する両辺に連接され、前記金属片は、前記フィードイン端子に連接され、前記第一低周波部は、前記第一放射片を取り囲むように設けられ、前記第二低周波部は、前記第二放射片を取り囲むように設けられ、前記第二接地端子は、前記第一接地端子に電気的に接続され、前記第一低周波部及び前記第二低周波部は、前記高周波部の前記第一放射片及び前記第二放射片とそれぞれカップリングすることを特徴とする多周波アンテナモジュール。
【請求項2】
前記第一低周波部は、第一放射帯体、第二放射帯体及び第三放射帯体を含み、前記第一放射帯体は、前記第一接地端子に垂直に連接され、前記第二放射帯体は、互いに垂直に連接された第一連接片及び第二連接片を含み、前記第一連接片は、前記第一放射帯体の上端から前記基板に対して垂直な方向に延伸し、前記第二連接片は、前記第一連接片の上端から前記基板の短手方向に対して平行に延在し、前記第三放射帯体は、前記第二放射帯体に垂直に連接され且つ前記第一放射片に対して平行に延在していることを特徴とする請求項1に記載の多周波アンテナモジュール。
【請求項3】
前記第三放射帯体と前記第一放射片との間には、第一間隙が形成され、前記第一放射片を流れる電流は、前記第一間隙を介して前記第三放射帯体にカップリングされ、且つ前記第三放射帯体にフィードインされることを特徴とする請求項2に記載の多周波アンテナモジュール。
【請求項4】
前記第二低周波部は、第一延伸片、第二延伸片及び第三延伸片を含み、前記第一延伸片は、前記第二接地端子の前記基板から離れた一端に該第二接地端子に対して垂直に連接され且つ前記第二放射片に対して平行に延在し、前記第二延伸片の両端は、それぞれ前記第一延伸片及び前記第三延伸片に垂直に連接され、前記第三延伸片は、前記第二放射片に対して平行に延在することを特徴とする請求項1に記載の多周波アンテナモジュール。
【請求項5】
前記第三延伸片と前記第二放射片との間には、第二間隙が形成され、前記第二放射片を流れる電流は、前記第二間隙を介して前記第三延伸片にカップリングされ、且つ前記第三延伸片にフィードインされることを特徴とする請求項4に記載の多周波アンテナモジュール。
【請求項6】
前記金属片は、前記基板に対して平行になるように前記基板の上方に設けられ、前記金属片は、前記第一放射片及び前記第二放射片と同一平面内に位置することを特徴とする請求項1に記載の多周波アンテナモジュール。
【請求項7】
前記フィードイン端子は、前記金属片と前記基板との間に位置し、前記フィードイン端子の両端は、それぞれ前記金属片及び前記基板に垂直に連接されていることを特徴とする請求項1に記載の多周波アンテナモジュール。
【請求項8】
前記第一接地端子は、前記基板の上面における前記基板の短手方向に沿って設けられ、且つ前記基板によって接地されていることを特徴とする請求項1に記載の多周波アンテナモジュール。
【請求項9】
前記第二接地端子は、前記第一接地端子の前記第一放射帯体から離れた一端に電気的に接続され、且つ前記基板に対して垂直であることを特徴とする請求項2に記載の多周波アンテナモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多くの周波数バンドにおいて動作できる多周波アンテナモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、無線通信装置の機能は益々多様化している。これに伴い、無線通信装置のアンテナモジュールも多くの周波数バンドにおいて機能できるブロードバンド式に発展している。即ち、無線通信装置が、異なる周波数帯域を使用した無線通信システムにおいて、信号の伝送を正常に行なうことを確保するために、アンテナモジュールは多種の異なる周波数の無線信号を送受信しなければならない。
【0003】
一方、無線通信装置の小型化、軽量化及び薄型化の発展傾向に従って、アンテナモジュールのブロードバンド特性を確保しながら、アンテナモジュールのサイズ又は体積を小さくしなければならない。つまり、占有空間がより小さく且つマルチ周波数帯域の無線信号を送受信することができるアンテナモジュールを設計するのが、本業界の技術者の課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記の問題点を考慮してなされたものであり、体積が小さい多周波アンテナモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明に係る多周波アンテナモジュールは、1つの基板に設けられ、且つ高周波部、第一低周波部、第二低周波部、フィードイン端子、第一接地端子及び第二接地端子を備える。高周波部は、金属片、第一放射片及び第二放射片を含み、第一放射片及び第二放射片は、それぞれ金属片の互いに反対側に位置する両辺に連接され、金属片は、フィードイン端子に連接され、第一低周波部は、第一放射片を取り囲むように設けられ、第二低周波部は、第二放射片を取り囲むように設けられ、第二接地端子は、第一接地端子に電気的に接続され、第一低周波部及び第二低周波部は、高周波部の第一放射片及び第二放射片とそれぞれカップリングする。
【発明の効果】
【0006】
従来の技術と異なり、本発明の多周波アンテナモジュールは、2つの放射片を有する高周波部と、第一低周波部及び第二低周波部と、を備える。第一低周波部及び第二低周波部は、それぞれ高周波部とカップリングして、互いに電流信号をフィードインする。つまり、アンテナモジュールの全体のサイズを縮小すると同時に、アンテナモジュールに広い帯域幅を持たせることができる。従って、本発明のアンテナモジュールは、各種の軽薄で且つスマート化された無線通信装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態に係る多周波アンテナモジュールの斜視図である。
【
図2】
図1に示した多周波アンテナモジュールの高周波部及び第一低周波部の構造を示す図である。
【
図3】
図1に示した多周波アンテナモジュールの高周波部及び第二低周波部の構造を示す図である。
【
図4】
図1に示した多周波アンテナモジュールと、この多周波アンテナモジュールの第一低周波部、第二低周波部との三つの反射係数の曲線の照合図である。
【
図5】
図1に示した多周波アンテナモジュールの反射係数の曲線図である。
【
図6】
図1に示した多周波アンテナモジュールの放射効率の曲線図である。
【
図7】
図1に示した多周波アンテナモジュールの総放射効率の曲線図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る多周波アンテナモジュール100は、携帯電話機及びタブレットパソコン等の無線通信装置に使用される。多周波アンテナモジュール100は、基板200に設けられ、且つ高周波部10、第一低周波部21、第二低周波部31、フィードイン端子13、第一接地端子22及び第二接地端子32を備える。高周波部10は、第一放射片11、第二放射片12及び金属片14を含む。第一低周波部21は、第一放射片11を取り囲むように設けられている。第二低周波部31は、第二放射片12を取り囲むように設けられている。
【0009】
基板200は、無線通信装置の電気回路基板の一部である。より詳細には、基板200は、前記電気回路基板のキープアウトゾーンとして機能する。
【0010】
本実施形態において、金属片14は、基板200に対して平行になるように基板200の上方に設けられている。フィードイン端子13は、金属片14と基板200との間に位置し、且つその両端は、金属片14及び基板200にそれぞれ垂直に連接されている。フィードイン端子13は、基板200から電流を取得する。第一放射片11は、細長いシート状を呈しており、金属片14の側辺に連接され、且つ金属片14と同一平面内に位置する。第二放射片12は、金属片14の第一放射片11が連接されている側辺の反対側の側辺に連接され、且つ金属片14と同一平面内に位置する。本実施形態において、第二放射片12の金属片14に近い一端の幅は、第二放射片12の金属片14から遠く離れた一端の幅より狭い。
【0011】
図2に示すように、第一低周波部21は、第一放射帯体211、第二放射帯体212及び第三放射帯体213を含む。第一接地端子22は、基板200の上面における基板200の短手方向に沿って設けられ、且つ該基板200を介して接地される。第一放射帯体211は、基板200の1つの長辺に沿って且つ基板200及び第一接地端子22の一端に対して垂直に連接される。即ち、第一放射帯体211が所在する平面は、基板200の上面及び第一接地端子22が所在する平面に対して垂直である。第二放射帯体212は、互いに垂直に連接されている第一連接片2122及び第二連接片2124を含む。第一連接片2122及び第二連接片2124は、矩形のシート状を呈する。第一連接片2122は、第一放射帯体211の上端から基板200に対して垂直な方向に延伸している。第二連接片2124は、第一連接片2122の上端から基板200の短手方向に対して平行に延在している。第三放射帯体213は、細長いシート状を呈しており、且つ第二連接片2124の第一連接片2122に連接されている一端から離れた一端から第一放射片11に対して平行に延在している。本実施形態において、第三放射帯体213と第一放射片11との間には、第一間隙S1が形成されている。第一間隙S1の幅を調節することで、第一放射片11を流れる電流は、第三放射帯体213にカップリングされて、第三放射帯体213にフィードインされる。
【0012】
図3に示すように、第二低周波部31は、第一延伸片311、第二延伸片312及び第三延伸片313を備える。第二接地端子32は、細長いシート状を呈しており、第一接地端子22の第一放射帯体211から離れた一端に電気的に接続され、且つ基板200に対して垂直である。第一延伸片311は、第二接地端子32の基板200から離れた一端に、該第二接地端子32に対して垂直に連接され、且つ第二放射片12に対して平行に延在している。第二延伸片312は逆「L」字状を呈し、その両端はそれぞれ第一延伸片311及び第三延伸片313に垂直に連接されている。第三延伸片313は、第二放射片12に対して平行に延在している。本実施形態において、第三延伸片313と第二放射片12との間には、第二間隙S2が形成されている。第二間隙S2の幅を調節することで、第二放射片12を流れる電流は第三延伸片313にカップリングされて、第三延伸片313にフィードインされる。
【0013】
図4に示すように、本発明に係る多周波アンテナモジュール100の反射係数は、曲線43により示され、多周波アンテナモジュール100の第一低周波部21の反射係数は、曲線41により示され、多周波アンテナモジュール100の第二低周波部31の反射係数は、曲線42により示されている。
【0014】
図5から分かるように、本発明の多周波アンテナモジュール100の反射係数における−6dBより小さい共振モードの周波数は、0.691GHz〜0.960GHz及び1.710GHz〜2.550GHzであり、LTE700/GSM(登録商標)850/GSM(登録商標)900(704〜960MHz)、DCS/PCS/UMTS/LTE2300(1710〜2400MHz)の7つの周波数バンドを含む。
【0015】
本発明の多周波アンテナモジュール100の放射効率は、
図6の曲線61により示されている。本発明の多周波アンテナモジュール100の総放射効率は、
図7の曲線71により示されている。
図6及び
図7から分かるように、多周波アンテナモジュール100は、その動作周波数帯域の範囲内において、好ましい放射効果を備える。
【0016】
以下、本発明の多周波アンテナモジュール100の動作原理について詳細に説明する。電流は、基板200からフィードイン端子13を介して多周波アンテナモジュール100にフィードインされた後、高周波部10の第一放射片11及び第一間隙S1を介して、第一低周波部21の第三放射帯体213と電気容量結合の方式によって、第一低周波部21にフィードインされ、且つ第一接地端子22を介して接地される。これにより、電流回路が形成され、且つ低周波数の第一共振モードが生成される。これと同時に、電流は、高周波部10の第二放射片12及び第二間隙S2を介して、第二低周波部31の第三延伸片313と電気容量結合の方式によって第二低周波部31にフィードインされ、且つ第二接地端子32を介して接地される。これにより、電流回路が形成され、且つ低周波数の第二共振モードが生成される。
【0017】
高周波の第一共振モードは、高周波部10の第一放射片11、第二放射片12及び金属片14によって生成され、且つ第一低周波部21及び第二低周波部31と共振して電流回路を形成する。高周波の第二共振モードは、主に高周波部10の第一放射片11により生成され、且つ第一低周波部21と共振して電流回路を形成する。
【0018】
以上の記載から分かるように、本発明の多周波アンテナモジュール100は、高周波部10が第一低周波部21及び第二低周波部31とそれぞれ容量結合して互いにフィードインすることによって、共振長(resonance length)を効果的に短縮し、アンテナモジュールの体積を小さくする。また、本発明の多周波アンテナモジュール100のサイズは、約60mm×13mm×4mmであるため、各種の軽薄で且つスマート化された無線通信装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0019】
10 高周波部
100 多周波アンテナモジュール
11 第一放射片
12 第二放射片
13 フィードイン端子
14 金属片
200 基板
21 第一低周波部
211 第一放射帯体
212 第二放射帯体
2122 第一連接片
2124 第二連接片
213 第三放射帯体
22 第一接地端子
31 第二低周波部
311 第一延伸片
312 第二延伸片
313 第三延伸片
32 第二接地端子
41 第一低周波部の反射係数の曲線
42 第二低周波部の反射係数の曲線
43 多周波アンテナモジュールの反射係数の曲線
61 多周波アンテナモジュールの放射効率の曲線
71 多周波アンテナモジュールの総放射効率の曲線
S1 第一間隙
S2 第二間隙