特開2015-107071(P2015-107071A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特開2015107071-卵排出装置 図000003
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-107071(P2015-107071A)
(43)【公開日】2015年6月11日
(54)【発明の名称】卵排出装置
(51)【国際特許分類】
   A01K 43/00 20060101AFI20150515BHJP
【FI】
   A01K43/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-250881(P2013-250881)
(22)【出願日】2013年12月4日
(71)【出願人】
【識別番号】000162238
【氏名又は名称】共和機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】特許業務法人 ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小島 一良
(57)【要約】
【課題】単一の装置で、複数の不良レベルに応じた排出を同時に行える排出装置を提供することである。
【解決手段】排出装置は、押送バーと2列以上の溝状経路(11、12)を有する搬送コンベヤ(1)と、前記溝状経路のそれぞれに設けられた開閉機構を有する2以上の排出部(111、112)と、卵の外観を検査する2以上の検査装置(20)とを備え、前記開閉機構のそれぞれが、前記検査装置(20)からの信号に基づいて開閉し卵を下方へ送り出すことを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押送バーと2列以上の溝状経路を有する搬送コンベヤと、
前記溝状経路のそれぞれに設けられた開閉機構を有する2以上の排出部と、
卵の性状を検査する検査装置と、を備え、
前記開閉機構のそれぞれが、前記検査装置からの信号に基づいて開閉し卵を下方へ送り出すことを特徴とする、卵排出装置。
【請求項2】
前記検査装置は、前記2列以上の溝状経路よりも上流側で卵を検査し、当該検査装置から送られた信号に基づいて、各排出部の開閉機構の開動作および閉動作を制御する構成である、請求項1に記載の卵排出装置。
【請求項3】
前記検査装置は、前記2列以上の溝状経路上の卵を検査し、当該検査装置から送られた信号に基づいて、各排出部の開閉機構の開動作および閉動作を制御する構成である、請求項1に記載の卵排出装置。
【請求項4】
前記開閉機構は、回転支点と、前記溝状経路と同形状の開閉部を有し、卵搬送方向の鉛直面内で当該回転支点を軸に回転開閉し、隣接する溝状経路に干渉しないことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の卵排出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、卵(例えば、鶏卵、鶉卵など)を検査し、検査結果に基づいて卵を排出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
鶏卵の選別包装装置においては、後工程での装置および製品卵への汚染を防ぐため、処理の初期段階において不良卵を選別しこれを工程上から取り除いておくことが求められる。従来から、上記判断を目視で行ない、人手により不良卵を選別し除去していた。
【0003】
また、鶏卵の不良卵を検知し、不良卵を自動的に除去する排出装置がある(特許文献1参照)。この排出装置は、コンベヤに開口部を形成し、この開口部を2本1組のレールで通常時は閉塞させておき、検出器で不良卵と判断されたときに、レールがそれぞれ外側へ移動して、開口部からレールを離し、搬送されてきた不良卵を落下させ、再び開口部をレールで閉じる構成である。
【0004】
また、被搬送物(鶏卵)を自動的に選別放出できる特異物選別放出装置がある(特許文献2参照)。この装置は、上流側の第1搬送手段の出口と、それよりも下流側の第2搬送手段の入口との間に、乗り移り手段を備え、第1搬送手段上で、鶏卵の物理的性状を検出し、その結果が不良卵であると判定された時に、乗り移り手段を下方へ回転させて不良卵を下方へ放出し、正常卵の場合は第2搬送手段へ送りこむ構成である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3337661号
【特許文献2】特開2003−71388号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1および2は、いずれも鶏卵の搬送経路上の一列につき、単一の開閉部を設け、この開閉部から不良卵を下方へ排出する形態である。つまり、正常品か不良品かを2者択一で選別して排出する構成であった。
【0007】
不良の程度によって、複数の不良レベル(不良条件)で卵を選別することが要求され、例えば、廃棄される不良卵と規格外として処理される不良卵とに選別することがある。上記従来技術の場合、不良として排出された卵をさらに、選別することになるため、処理工程が多くなり、作業も煩雑であった。
【0008】
そこで、本発明は上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、単一の装置で、複数の不良レベルに応じた排出を同時に行える排出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る卵排出装置は、
押送バーと2列以上の溝状経路を有する搬送コンベヤと、
前記溝状経路のそれぞれに設けられた開閉機構を有する2以上の排出部と、
卵の性状を検査する検査装置と、を備え、
前記開閉機構のそれぞれが、前記検査装置からの信号に基づいて開閉し卵を下方へ送り出すことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、各溝状経路に複数の排出部を設けることで、検査装置からの信号の種類に応じてそれぞれ異なった排出部から不良卵を選択的に排出することができる。例えば、一列につき二つの排出部を設けた場合、廃棄される不良卵と、規格外として処理される不良卵とを異なった排出場所から排出できる。「性状」の検査には、外観だけでなく内部欠陥(腐敗)も含む。
【0011】
本発明において、検査装置は、例えば、卵の画像を撮像する撮像部、撮像部で撮像された画像を画像処理し解析する処理部、処理部での画像解析の結果、卵が良品か否か、不良品のレベルを判定する判定部、判定部の結果に応じた信号(例えば、排出動作をさせるための信号、警告信号、不良レベルごとの複数種類の信号など)を生成する信号生成部、排出部や表示部などへ当該信号を送る通信部を有する。内部欠陥の検査装置として、例えば、外乱光を遮蔽した環境で光(例えばハロゲン光源の強力な光)を卵の一方から照射し、その透過光(像)を撮像する撮像部と、その透過光(像)を画像解析する処理部と、処理部での画像解析の結果、卵が良品か否か、不良品のレベルを判定する判定部、判定部の結果に応じた信号(例えば、排出動作をさせるための信号、警告信号、不良レベルごとの複数種類の信号など)を生成する信号生成部、排出部や表示部などへ当該信号を送る通信部を有する。また、検査装置は、すべての経路を撮像して検査する単一の装置でもよく、各経路に1つ以上設置されてもよい。
【0012】
本発明の一実施形態として、前記検査装置は、前記2列以上の溝状経路よりも上流側で卵を検査し、当該検査装置から送られた信号に基づいて、各排出部の開閉機構の開動作および閉動作を制御する構成である。
【0013】
この構成によれば、前記溝状経路の上流側に配置された例えば、搬送コンベヤ(ローラーコンベヤ)上の卵を検査する。ローラーコンベヤは、例えば、搬送方向に直交しかつ卵を前後2本のローラーで搬送する構成である。このローラーコンベヤ上の卵は、回転がよく、前後位置も安定するため好ましい。
【0014】
本発明の一実施形態として、前記検査装置は、前記2列以上の溝状経路上の卵を検査し、当該検査装置から送られた信号に基づいて、各排出部の開閉機構の開動作および閉動作を制御する構成である。
【0015】
この構成によれば、単一の検査装置ですべての経路上の卵を検査し、その検査結果(例えば、良品、不良品レベル1〜5、サイズ規格外、汚れ、ヒビなど)に応じて、排出させたい所望の排出部へ排出信号(例えば、排出させる旨の信号、駆動ONの信号など)を送り、当該排出動作を行わせることができる。
【0016】
本発明の一実施形態として、前記開閉機構は、回転支点と、前記溝状経路と同形状の開閉部を有し、卵搬送方向の鉛直面内で当該回転支点を軸に回転開閉し、隣接する溝状経路に干渉しないことを特徴とする。
【0017】
この構成によれば、卵搬送方向の鉛直面内で開閉するため、隣り合う搬送経路に干渉することがない。また、卵搬送方向に直角な開閉機構を持つ同種の装置にくらべ部品・機構ともに簡易なものにできる。また、回転支点が搬送方向下流側にある場合には、卵を素早く下方へ排出でき、かつ回転支点への汚れ付着を防止できる。一方、回転支点が搬送方向上流側にある場合には、高速搬送時に卵が放物運動して開閉部に卵が接触することを避けることができる。また、従来のレールによる開閉機構よりも、搬送面の繋ぎがなめらかとなることで搬送される卵への衝撃を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】排出装置の概略図である。
図2】排出部の拡大図である。
図3】排出部の開閉動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1、2を参照しながら本実施形態の卵排出装置を説明する。卵排出装置は、溝状経路上の卵Eを前後に挟むようにして搬送方向に送り出す押送バー30(31、32)と、卵を搬送するための6列の溝状経路11〜16を有する搬送コンベヤ1を有する。この溝状経路11〜16のそれぞれには、開閉機構を有する2つの排出部が設けられている。例えば、第1溝状経路11には、搬送方向上流側の第1上流側排出部111と、それよりも搬送方向下流側の第1下流側排出部112が設けられている。また、第6溝状経路16には、搬送方向上流側の第6上流側排出部161と、それよりも搬送方向下流側の第6下流側排出部162が設けられている。第2溝状経路12、第3溝状経路13、第4溝状経路14、第5溝状経路15にも同様に、それぞれ2つの排出部(不図示)が設けられている。
【0020】
各排出部(111、112、161、162)は、開閉機構を有する。開閉機構は、卵搬送方向下流側に回転支点111dと、前記溝状経路11と同形状の開閉部111aを有し、卵搬送方向の鉛直面内で当該回転支点111dを軸に開閉部111aを回転させることで開閉させる。各排出部の開閉動作は、隣接する溝状経路に干渉することはない。また、別実施形態として、回転支点を卵搬送方向上流側に設ける構成もできる。
【0021】
第1上流側排出部111の開閉機構は、回転支点111dから直接シャフトを引き出して連動される駆動部111cを有する。駆動部111cは、例えば、エアシリンダで構成できる。他の排出部も同様に駆動部と連動される。駆動部の動作タイミング、制御方法については、後述する。
【0022】
卵排出装置は、溝状経路の上流側に配置されるローラーコンベヤと、その上方に設置され、当該ローラーコンベヤ上の卵Eの外観を検査する単一の検査装置とを備える。ローラーコンベヤは、卵搬送方向に平行な規制部40と、卵搬送方向に直交しかつ卵Eを前後に挟んで搬送するローラー対51、52(複数セット)を有する構成である。ローラー対51、52で挟まれながら搬送される卵Eは、回転が良く、前後位置も安定する。ローラーコンベヤは、複数のローラー対を矢印X方向に回転させるためのレール(不図示)や駆動部(不図示)も有する。
【0023】
この検査装置は、例えば、卵の画像を撮像する撮像部21、この撮像部21で撮像された画像を画像処理し解析する処理部(20)、処理部での画像解析の結果、卵が良品か否か、不良品のレベルを判定する判定部(20)、判定部の結果に応じた信号(例えば、排出動作をさせるための信号、警告信号、不良レベルごとの複数種類の信号など)を生成する信号生成部(20)、排出部や表示部などへ当該信号を送る通信部(20)を有する。符号20は、コンピュータ(動作プログラムが記憶されたメモリと接続されている)や専用回路、ファームウエアを組み込んだ装置などで構成できる。
【0024】
以下において、図3のフローチャートを用いて第1溝状経路11における第1上流側排出部111、第1下流側排出部112の開閉動作を説明する。なお、他の排出部の動作も同様である。
【0025】
ローラーコンベヤのローラー対に挟まれながら卵Eが搬送される。この時、搬送上流側に配置された撮像部21を用いて、ローラーコンベヤ上の卵Eの外観(および/または透過光像)を撮像する(S1)。撮像された画像は、コンピュータ20へ送られる。コンピュータ20は、画像を画像処理し解析する(S2)。画像解析の結果、卵が良品か否かおよび規格外か否かを判定する(S3)。ローラーコンベヤから搬送コンベア1へ卵Eが送りこまれ、卵Eが押送バー31、32に挟まれながら下流へ搬送される。
【0026】
判定の結果が、「不良」の場合、第1上流側排出部111を開動作させるための信号を生成し、駆動部111cへ送る(S4)。この信号に従い、駆動部111cが駆動し、開閉部111aを開動作する(S5)。開動作は、上述したとおり、卵搬送方向の鉛直面内で回転支点111dを軸に開閉部111aを下方へ回転させることである。開閉部111aが下方へ回転したことで、開口部111bが形成され、この開口部111bから卵Eが排出される。卵Eが排出された後(押送バー31、32が開口部111bを通過した後)、駆動部111cを駆動し、開閉部111aを閉動作する(S6)。これら開動作および閉動作の開始タイミングは、卵Eあるいは押送バー31、32の位置を検知するセンサ信号で判断することができるが、この構成に制限されない。上記開始タイミングの他の実施形態として、押送バー31、32の駆動部の回転量をロータリーエンコーダで検出した結果に基づいて判断してもよい。
【0027】
判定の結果が、「規格外」の場合、第1下流側排出部112を開動作させるための信号を生成し、駆動部112cへ送る(S7)。この信号に従い、駆動部112cが駆動し、開閉部(不図示)を開動作する(S8)。開動作は、上述したとおり、卵搬送方向の鉛直面内で回転支点(不図示)を軸に開閉部(不図示)を下方へ回転させることである。開閉部(不図示)が下方へ回転したことで、開口部(不図示)が形成され、この開口部(不図示)から卵Eが排出される。卵Eが排出された後(押送バー31、32が開口部111bを通過した後)、駆動部112cを駆動し、開閉部(不図示)を閉動作する(S9)。これら開動作および閉動作の開始タイミングは、卵Eあるいは押送バー31、32の位置を検知するセンサ信号で判断することができるが、この構成に制限されない。
【0028】
判定の結果が、「正常」の場合は、開閉動作の必要がないので、信号を生成しない。
【0029】
上記動作フローでは、「正常」、「不良」、「規格外」の判定をする構成であったが、特にこれに制限されず、不良レベルの判定なども行い、2種以上の信号を生成させて、信号に対応した排出部を開閉させることもできる。
【0030】
別実施形態として、検査装置の撮像部21が、該溝状経路上の卵Eの外観を検査するように配置されていてもよい。
【符号の説明】
【0031】
1 搬送コンベヤ
11 第1溝状経路
111 第1上流側排出部
111a 開閉部
111b 開口部
111c 駆動部
111d 回転支点
112 第1下流側排出部
20 コンピュータ
21 撮像部
31、32 押送バー
40 規制部
51、52 ローラー
E 鶏卵
図1
図2
図3