特開2015-107330(P2015-107330A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特開2015-107330取得済画像を用いたマッピングポイントのダイナミックフィルタリング
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-107330(P2015-107330A)
(43)【公開日】2015年6月11日
(54)【発明の名称】取得済画像を用いたマッピングポイントのダイナミックフィルタリング
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20150515BHJP
   A61B 19/00 20060101ALI20150515BHJP
【FI】
   A61B5/00 G
   A61B19/00 502
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
【外国語出願】
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2014-245683(P2014-245683)
(22)【出願日】2014年12月4日
(31)【優先権主張番号】14/097,875
(32)【優先日】2013年12月5日
(33)【優先権主張国】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】シャローナ・ベン・シュシャン
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・マーション
(72)【発明者】
【氏名】ファディ・マサルワ
【テーマコード(参考)】
4C117
【Fターム(参考)】
4C117XB01
4C117XD24
4C117XE27
4C117XE44
4C117XE45
4C117XE75
4C117XG14
4C117XJ01
4C117XJ13
4C117XK24
(57)【要約】
【課題】 体腔の画像の取得することと、体腔内に挿入されたプローブからマッピングポイントの第1及び第2のセットを取得することとを含む方法を提供する。
【解決手段】 第1の累積誤差値を有する第1の位置合わせが、第1のセットのマッピングポイントと、画像との間で実行され、第1のセットのそれぞれのマッピングポイントが、それぞれの第1のポイント誤差値を有し、第1のセットのマッピングポイントのうち、それぞれの第1のポイント誤差値が特定の閾値より小さいマッピングポイントを含む3D解剖学的マップが生成される。受信されたマッピングポイントと、画像との間で第2の位置合わせが実行され、受信されたそれぞれのマッピングポイントがそれぞれの第2のポイント誤差値を有し、第2の位置合わせが、第1の累積誤差値より小さい第2の累積誤差値を有し、受信されたマッピングポイントのうち、それぞれの第2のポイント誤差値が特定の閾値より小さいマッピングポイントを含むアップデートされた3D解剖学的マップが生成される。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
画像システムから体腔の画像を取得することと、
位置センサを有し、前記体腔内に挿入されたプローブからマッピングポイントの第1及び第2のセットを受信することと、
前記第1のセットの前記マッピングポイントと前記画像との間の第1の位置合わせをプロセッサによって実行することであって、前記第1のセットのそれぞれの前記マッピングポイントがそれぞれの第1のポイント誤差値を有し、前記第1の位置合わせが、前記第1の位置合わせの質を示す第1の累積誤差値を有する、ことと、
前記第1の位置合わせを使って、前記第1のセットの前記マッピングポイントのうち、それぞれの第1のポイント誤差値がポイント誤差の閾値より小さいマッピングポイントを含む三次元(3D)解剖学的マップを生成することと、
前記第1及び前記第2のセットの前記マッピングポイントと、前記画像との間の第2の位置合わせを実行することであって、前記第1及び前記第2のセットのそれぞれの前記マッピングポイントがそれぞれの第2のポイント誤差値を有し、前記第2の位置合わせが前記第1の累積誤差値より小さい第2の累積誤差値を有する、ことと、
前記第1及び第2のセットの前記マッピングポイントのうち、それぞれの第2のポイント誤差値が前記ポイント誤差の閾値より小さいマッピングポイントを含むアップデートされた3D解剖学的マップを生成することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記3D解剖学的マップと前記アップデートされた3D解剖学的マップとをディスプレイ上へ表示することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記体腔が心臓を含み、前記プローブが心臓カテーテルを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記3D解剖学的マップが、電気解剖学的マップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の位置合わせが、前記第1の位置合わせから特定の時間が経過すると実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の位置合わせが、前記第2のセットが特定の数のマッピングポイントを持つと実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の位置合わせの実行の前に、前記ポイント誤差の閾値を特定することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
所与のマッピングポイントの前記第1のポイント誤差値が、前記第1の位置合わせに対する前記所与のマッピングポイントの第1の質を示し、前記所与のマッピングポイントの前記第2のポイント誤差値が、前記第2の位置合わせに対する前記所与のマッピングポイントの第2の質を示す、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第2の位置合わせに先行して、前記第2のセットのそれぞれの前記マッピングポイントのそれぞれの第1のポイント誤差値を計算することと、前記第2のセットの前記マッピングポイントのうち、それぞれの第1のポイント誤差値が前記ポイント誤差の閾値より小さいマッピングポイントを前記第1のマップへ組み入れることと、を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
装置であって、
患者の体腔内への挿入のために構成されたプローブであって、前記体腔内の前記プローブの遠位端のポジションを測定するための位置センサを備える、プローブと、
プロセッサと、を含み、前記プロセッサが、
画像システムから前記体腔の画像を取得すること、
前記体腔内に挿入された前記プローブからマッピングポイントの第1及び第2のセットを受信すること、
前記第1のセットの前記マッピングポイントと、前記画像との間の第1の位置合わせを実行することであって、前記第1のセットのそれぞれの前記マッピングポイントがそれぞれの第1のポイント誤差値を有し、前記第1の位置合わせが前記第1の位置合わせの質を示す第1の累積誤差値を有する、こと、
前記第1の位置合わせを使用し、前記第1のセットの前記マッピングポイントのうち、それぞれの第1のポイント誤差値がポイント誤差の閾値より小さいマッピングポイントを含む三次元(3D)解剖学的マップを生成すること、
前記第1及び前記第2のセットの前記マッピングポイントと、前記画像との間の第2の位置合わせを実行することであって、前記第1及び前記第2のセットのそれぞれの前記マッピングポイントがそれぞれの第2のポイント誤差値を有し、前記第2の位置合わせが前記第1の累積誤差値より小さい第2の累積誤差値を有する、こと、並びに、
前記第1及び第2のセットの前記マッピングポイントのうち、それぞれの第2のポイント誤差値が前記ポイント誤差の閾値より小さいマッピングポイントを含むアップデートされた3D解剖学的マップを生成すること、を行うように、構成される、装置。
【請求項11】
ディスプレイを備え、前記プロセッサが前記3D解剖学的マップと前記アップデートされた3D解剖学的マップをディスプレイ上に表示するように構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記体腔が心臓を含み、前記プローブが心臓カテーテルを含む、請求項10に記載の装置。
【請求項13】
前記3D解剖学的マップが、電気解剖学的マップを含む、請求項10に記載の装置。
【請求項14】
前記プロセッサが、前記第1の位置合わせから特定の時間が経過すると前記第2の位置合わせを実行するように構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項15】
前記プロセッサが、前記第2のセットが特定の数のマッピングポイントを持つと前記第2の位置合わせを実行するように構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項16】
前記プロセッサが、前記第1の位置合わせの実行の前に、前記ポイント誤差の閾値を特定するように構成される、請求項10に記載の装置。
【請求項17】
所与のマッピングポイントの前記第1のポイント誤差値が、前記第1の位置合わせに対する前記所与のマッピングポイントの第1の質を示し、前記所与のマッピングポイントの前記第2のポイント誤差値が、前記第2の位置合わせに対する前記所与のマッピングポイントの第2の質を示す、請求項10に記載の装置。
【請求項18】
前記プロセッサが、前記第2の位置合わせに先行して、前記第2のセットのそれぞれの前記マッピングポイントのそれぞれの第1のポイント誤差値を計算するように、かつ、前記第2のセットの前記マッピングポイントのうち、それぞれの第1のポイント誤差値が前記ポイント誤差の閾値より小さいマッピングポイントを前記第1のマップへ組み入れるように、構成されている、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
コンピュータソフトウェア製品であって、プローブと共に動作し、前記プローブが、患者の体腔内への挿入のために構成され、前記体腔内の前記プローブの遠位端の位置を測定するための位置センサを含み、前記製品は、プログラム命令が格納されている非一時的なコンピュータ可読媒体を備え、前記命令がコンピュータによって読み取られると、前記コンピュータは、
画像システムから前記体腔の画像を取得することと、
前記体腔内に挿入されたプローブからマッピングポイントの第1及び第2のセットを受信することと、
前記第1のセットの前記マッピングポイントと、前記画像との間の第1の位置合わせを実行することであって、前記第1のセットのそれぞれの前記マッピングポイントがそれぞれの第1のポイント誤差値を有し、前記第1の位置合わせが前記第1の位置合わせの質を示す第1の累積誤差値を有する、ことと、
前記第1の位置合わせを使って、前記第1のセットの前記マッピングポイントのうち、それぞれの第1のポイント誤差値がポイント誤差の閾値より小さいマッピングポイントを含む三次元(3D)解剖学的マップを生成することと、
前記第1及び前記第2のセットの前記マッピングポイントと、前記画像との間の第2の位置合わせを実行することであって、前記第1及び前記第2のセットのそれぞれの前記マッピングポイントがそれぞれの第2のポイント誤差値を有し、前記第2の位置合わせが前記第1の累積誤差値より小さい第2の累積誤差値を有する、ことと、
前記第1及び第2のセットの前記マッピングポイントのうち、それぞれの第2のポイント誤差値が前記ポイント誤差の閾値より小さいマッピングポイントを含むアップデートされた3D解剖学的マップを生成することと、をもたらす、コンピュータソフトウェア製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して医療画像に関し、具体的には医療プローブから受信されたマッピングポイントの、体腔の取得済三次元画像への位置合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
広範な医療処置は、身体内に、センサ、チューブ、カテーテル、分配装置、及び移植片のような対象を定置することを伴う。これらの医療処置において、医師が物体及びその周囲を可視化することを支援するためにリアルタイムイメージがしばしば用いられる。しかしながら、多くの場合、リアルタイム三次元イメージングは可能でなく、望ましくもない。代わりに、内部物体の空間座標をリアルタイムで得るためのシステムがしばしば利用される。
【0003】
その内容が参照によって本明細書に組み込まれる、Govariらに付与された米国特許出願第2007/0016007号には、磁気式及びインピーダンス式の複合型のポジション検知システムが記載されている。このシステムは、被験者の体腔の中に導入されるように適合されたプローブを含む。
【0004】
その開示内容が参照によって本明細書に組み込まれる、Gilboaに付与された米国特許第6,574,498号には、不透明体の空洞内にあるワークピースのポジションを決定するためのシステムが記載されている。このシステムは、一次場と相互作用する1つのトランスデューサと、二次場と相互作用する複数のトランスデューサと、を使用することを主張するものである。
【0005】
その開示内容が参照によって本明細書に組み込まれる、Pfeifferらに付与された米国特許第5,899,860号には、患者の体の内部にあるカテーテルのポジションを決定するためのシステムが記載されている。受信した位置信号から導出した較正ポジションと既知の真の較正ポジションとの間の差から補正関数が決定されると、受信したポジション信号から導出したカテーテルポジションは、補正関数に従って後の測定段階で修正される。
【0006】
参照によって本願に援用する文書は、それらの援用した文書中に、本願明細書中に明示的又は非明示的に与えられた定義と相反する形で何らかの用語が定義されている場合に本願明細書の定義のみが考慮されるべきである点を除き、本願の一部をなすものとみなされるべきである。
【0007】
上記説明は、当該分野における関連技術の一般的概論として記載したものであって、この説明に含まれる何らの情報が本特許出願に対する先行技術を構成することを容認するものと解釈するべきではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態に基づく方法であって、画像システムから体腔の画像を取得することと、位置センサを有し、体腔内に挿入されたプローブからマッピングポイントの第1及び第2のセットを受信することと、第1のセットのマッピングポイントと、画像との間の第1の位置合わせをプロセッサによって実行することであって、第1のセットのそれぞれのマッピングポイントがそれぞれの第1のポイント誤差値を有し、第1の位置合わせが、第1の位置合わせの質を示す第1の累積誤差値を有する、ことと、第1の位置合わせを使って、第1のセットのマッピングポイントのうち、それぞれの第1のポイント誤差値がポイント誤差の閾値より小さいマッピングポイントを含む三次元(3D)解剖学的マップを生成することと、第1及び第2のセットのマッピングポイントと、画像との間の第2の位置合わせを実行することであって、第1及び第2のセットのそれぞれのマッピングポイントがそれぞれの第2のポイント誤差値を有し、第2の位置合わせが第1の累積誤差値より小さい第2の累積誤差値を有する、ことと、第1及び第2のセットのマッピングポイントのうち、それぞれの第2のポイント誤差値がポイント誤差の閾値より小さいマッピングポイントを含むアップデートされた3D解剖学的マップを生成することと、を含む方法。
【0009】
いくつかの実施形態では、3D解剖学的マップとアップデートされた3D解剖学的マップとを、ディスプレイ上へ表示することができる。追加実施形態では、体腔が心臓を含んでもよく、プローブが心臓カテーテルを含んでもよい。更なる実施形態では、3D解剖学的マップが電気解剖学的マップを含んでもよい。
【0010】
捕捉の実施形態では、第2の位置合わせが、第1の位置合わせから特定の時間が経過すると実行される。追加実施形態では、第2の位置合わせが、第2のセットが特定の数のマッピングポイントを持つと実行される。更なる実施形態では、第1の位置合わせの実行の前に、ポイント誤差の閾値を特定することができて、第2のセットのそれぞれのマッピングポイントの初回ポイント誤差値を計算することができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、所与のマッピングポイントの第1のポイント誤差値が、第1の位置合わせに対する所与のマッピングポイントの第1の質を示し、所与のマッピングポイントの第2のポイント誤差値が、第2の位置合わせに対する所与のマッピングポイントの第2の質を示す。追加実施形態では、第2の位置合わせに先行して、第2のセットのそれぞれのマッピングポイントのそれぞれの第1のポイント誤差値が計算され、第2のセットのマッピングポイントのうち、それぞれの第1のポイント誤差値がポイント誤差の閾値より小さいマッピングポイントが、第1のマップへ組み入れられる。
【0012】
本発明の実施形態によれば、装置であって、患者の体腔内への挿入のために構成されるプローブであって、体腔内のプローブの遠位端のポジションを測定するための位置センサを備える、プローブと、プロセッサと、を含み、プロセッサが、画像システムから体腔の画像を取得すること、体腔内に挿入されたプローブからマッピングポイントの第1及び第2のセットを受信すること、第1のセットのマッピングポイントと、画像との間の第1の位置合わせを実行することであって、第1のセットのそれぞれのマッピングポイントがそれぞれの第1のポイント誤差値を有し、第1の位置合わせが第1の位置合わせの質を示す第1の累積誤差値を有する、こと、第1の位置合わせを使用し、第1のセットのマッピングポイントのうち、それぞれの第1のポイント誤差値がポイント誤差の閾値より小さいマッピングポイントを含む三次元(3D)解剖学的マップを生成すること、第1及び第2のセットのマッピングポイントと、画像との間の第2の位置合わせを実行することであって、第1及び前記第2のセットのそれぞれのマッピングポイントがそれぞれの第2のポイント誤差値を有し、第2の位置合わせが第1の累積誤差値より小さい第2の累積誤差値を有する、こと、並びに、第1及び第2のセットのマッピングポイントのうち、それぞれの第2のポイント誤差値がポイント誤差の閾値より小さいマッピングポイントを含むアップデートされた3D解剖学的マップを生成すること、を行うように、構成される、装置、もまた提供される。
【0013】
本発明の実施形態によれば、コンピュータソフトウェア製品であって、プローブと共に動作し、前記プローブが、患者の体腔内への挿入のために構成され、体腔内のプローブの遠位端の位置を測定するための位置センサを含み、製品は、プログラム命令が格納されている非一時的なコンピュータ可読媒体を備え、命令がコンピュータによって読み取られると、コンピュータは、画像システムから体腔の画像を取得することと、体腔内に挿入されたプローブからマッピングポイントの第1及び第2のセットを受信することと、第1のセットのマッピングポイントと、画像との間の第1の位置合わせを実行することであって、第1のセットのそれぞれのマッピングポイントがそれぞれの第1のポイント誤差値を有し、第1の位置合わせが第1の位置合わせの質を示す第1の累積誤差値を有する、ことと、第1の位置合わせを使って、第1のセットのマッピングポイントのうち、それぞれの第1のポイント誤差値がポイント誤差の閾値より小さいマッピングポイントを含む三次元(3D)解剖学的マップを生成することと、第1及び第2のセットのマッピングポイントと、画像との間の第2の位置合わせを実行することであって、第1及び第2のセットのそれぞれのマッピングポイントがそれぞれの第2のポイント誤差値を有し、第2の位置合わせが第1の累積誤差値より小さい第2の累積誤差値を有する、ことと、第1及び第2のセットのマッピングポイントのうち、それぞれの第2のポイント誤差値がポイント誤差の閾値より小さいマッピングポイントを含むアップデートされた3D解剖学的マップを生成することと、をもたらす、コンピュータソフトウェア製品、も更に提供される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
ここで、本願開示の発明をあくまで一例として添付図面を参照しつつ説明する。
図1】本発明の実施形態に基づく心室のマッピングのための医療システムの説明図である。
図2】本発明の実施形態に基づく心室のマップを初期化する方法の概要を説明するフローチャートである。
図3】本発明の実施形態に基づく心室の心内膜組織に接触するカテーテルの遠位先端の詳細を示す図である。
図4】心内膜組織と接触する遠位先端から受信したマッピングポイントの概略説明図である。
図5A】心室のマップを作り出す段階を示す概略説明図である。
図5B】心室のマップを作り出す段階を示す概略説明図である。
図6】本発明の実施形態に基づいて、遠位先端から追加のマッピングポイントを受信して心室のマップを構成する方法の概略を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
概論
生理学的又は解剖学的なマッピング工程は、典型的には、電気解剖マッピングシステムから収集されたマップポイント(本明細書ではマッピングポイントとも呼ぶ)を含むマップを作り出す。それぞれのマップポイントは、体腔内におけるそれぞれの座標を、おそらくは、それぞれの座標にて医療用プローブから収集された生理学的特性を、含む。心室のような体腔のマッピングでは、体腔の取得済画像にマッピングポイントが位置合わせされることが可能で、これによって体腔内で計測される生理学的特性の実用的な可視化を提供する。
【0016】
マッピングポイントの体腔からの収集では、本発明の実施形態は、取得済画像に基づく三次元(3D)解剖学的マップからの、いくつかのマッピングポイントのダイナミックフィルタリングのための方法及びシステムを提供する。いくつかの実施形態では、体腔からの第1のマッピングポイントのセットを受信すると、第1のセットのマッピングポイントと取得済画像との間で初回の位置合わせが実行され、第1の位置合わせの質を示す初回の累積誤差値が計算されて、第1のセットのマッピングポイントを含む三次元(3D)解剖学的マップが作り出される。
【0017】
マッピングポイントの第1のセットの受信の後に、体腔から第2のマッピングポイントのセットを収集することができ、マッピングポイントの第1と第2のセットのマッピングポイントと、取得済画像との間の第2の位置合わせが実行される。更に、第1及び第2のセットのそれぞれのマッピングポイントのポイント誤差値を計算することができ、また第2の累積誤差値を計算することができる。第2の累積誤差値が、第1の累積誤差値より小さいことが検知されたら、第1及び第2のセットのマッピングポイントのうち、それぞれのポイント誤差値がポイント誤差の閾値より小さいマッピングポイントを含むアップデートされた3D解剖学的マップを生成することができる。
【0018】
いくつかの実施形態では、体腔の異なる生理学的特性値に対して、異なる色を割り当てる3D着色アルゴリズムを使用することができ、本発明の実施形態を実装するシステムは、3D解剖学的マップに含むべき受信されたマッピングポイントと、マップから除外されるべき受信されたマッピングポイントを周期的に選別することによって、マッピングポイントの、取得済画像とのできる限り最良の配列を表示することができる。
【0019】
システムの説明
図1は、本発明の実施形態による心臓内マッピングシステム20の概略説明図である。システム20は、心臓内カテーテルなどの医療用プローブ22、及び制御コンソール24を含む。以下に記載する実施形態において、プローブ22は、患者28の心臓26における電位マッピングのような、診断又は治療処置に使用するものと仮定する。あるいは、プローブ22は、必要な変更を加えて、心臓又は他の体内の臓器において他の治療及び/又は診断目的で使用することもできる。
【0020】
操作者30が、プローブ22の遠位端部32が心臓26の心腔に進入するように、患者28の脈管系を通じてプローブ22を挿入する。コンソール24は、典型的には、磁気ポジション検知を使用して、心臓26の内側の遠位端32のポジション座標を決定する。ポジション座標を決定するために、コンソール24内の駆動回路34が、磁場発生装置36を駆動して、患者28の身体内で磁場を生成する。通常、磁場発生器36はコイルを備え、コイルは患者胴体下方の、患者28の体外の既知の位置に設置される。これらのコイルは、心臓26を包含する既定の作業ボリューム内に磁場を生成する。プローブ22の遠位端32内の磁場センサ38(本明細書で位置センサ38と呼ばれる)が、これらの磁場に反応して電気信号を生成する。信号プロセッサ40は、通常距離及び方位座標の両方を含む遠位端32の位置座標を決定するために、これらの信号を処理する。上述した位置検知方法は、CA州、Diamond BarのBiosense Webster Inc.の製作になるCARTO(商標)マッピングシステムに実装され、その詳細は本明細書で引用する特許と特許の応用に記述されている。
【0021】
位置センサ38は、遠位先端部32の位置座標を示す信号をコンソール24に送信する。位置センサ38は、1つ又は2つ以上の小型コイルを含み得、典型的には、異なる軸に沿って配向される複数のコイルを含む。あるいは、位置センサ38は、別のタイプの磁気センサ、又はインピーダンスに基づく若しくは超音波の位置センサのような他のタイプのポジショントランスデューサ、のいずれかを含んでもよい。図1は単一の位置センサを有するプローブを示しているが、本発明の実施形態は、複数の位置センサを有するプローブを利用してもよい。
【0022】
代替的な実施形態では、位置センサ38及び磁場発生器36の役割を逆転させることができる。換言すれば、駆動回路34が、遠位端部32内の磁場発生器を駆動して、1つ又は2つ以上の磁場を発生させてもよい。発生器36内のコイルは、磁場を検知し、それらの磁場の成分の振幅を示す信号を発生させるように構成されてもよい。心臓26内の遠位端32のポジション座標を決定するために、プロセッサ40はこれらの信号を受信し、処理する。
【0023】
図示例のシステム20は、磁気型センサを用いて遠位端32の位置を測定するが、他の位置追跡技術を用ることも可能である(例えばインピーダンス型センサ)。磁気位置追跡技術は、例えば、米国特許第5,391,199号、同5,443,489号、第6,788,967号、同第6,690,963号、同第5,558,091号、同第6,172,499号、同第6,177,792号に、記載されており、それらの開示内容を参照により本願に援用する。インピーダンス型位置追跡技術は、例えば、米国特許第5,983,126号、同第6,456,864号、及び同第5,944,022号に記載されており、それらの開示内容を参照によって本願に援用する。
【0024】
プロセッサ40は、典型的には、プローブ22からの信号を受信し、コンソール24のその他の構成要素を制御するのに適したフロントエンド回路及びインターフェース回路を有する、汎用コンピュータを含む。プロセッサ40は、本願に記載する機能を実行するようソフトウェアでプログラムすることが可能である。このソフトウェアは、例えば、ネットワークを介して電子的形態でコンソール24にダウンロードするか、又は光学的、磁気的又は電子的記録媒体などの、非一過性の実体のある媒体上に提供されてもよい。あるいは、プロセッサ40の機能のうちの一部又は全部を専用か又はプログラム可能なハードウェア構成要素によって実行することも可能である。
【0025】
入出力インターフェース42は、コンソール24とプローブ22との相互作用を可能とする。プローブ22から(インターフェース42、及びシステム20の他の構成要素を介して)受信した信号に基づいて、プロセッサ40がディスプレイ44を駆動し、操作者30に、患者の身体内の遠位端32のポジションを示す画像46、並びに進行中の処置に関するステータス情報及びガイダンスを表示する。
【0026】
プローブ22はまた、遠位端部32内に包含された力センサ50も含む。力センサ50は、遠位先端が、心内膜組織に及ぼした力を示す信号をコンソールに向けて発生させることによって、プローブ22の遠位先端50が心臓26の心内膜組織に加えた力を測定する。一実施形態においては、力センサは、遠位端32にばねによって接続された磁場送受信器を備えて、ばねのたわみ測定に基づく力の指示を得ることが可能である。この種のプローブ及び力センサの更なる詳細は、米国特許出願公報第2009/0093806号及び同第2009/0138007号に記載されており、これらの開示内容を参照により本明細書に援用する。あるいは、遠位端32は別の種類の力センサを含むこともできる。
【0027】
代わりに又はこれに加えて、システム20は、プローブ22を患者28の体内で操作し動作するための自動機構(図示せず)を含んでいてもよい。そのような機構は、典型的には、プローブ22の長手方向の動き(前進/後退)及びプローブの遠位端32の横方向の動き(偏向/操舵)の双方を制御することが可能である。そのような実施形態では、プロセッサ40は、プローブ内の磁場センサによって提供される信号に基づいて、プローブ22の動きを制御するための制御入力を生成する。
【0028】
本明細書で説明する実施形態では、プロセッサ40は、磁気共鳴画像(MRI)システム、又はコンピュータ断層撮影(CT)システム、又はCARTO(商標)マッピングシステムなどのプローブマッピングシステムのような医療画像システム(図示しない)から画像データを収集するように構成されている。以下に説明するように、プロセッサ40は、問題の心室がシミュレートされた表面を構成するために、画像データを使用する。問題の心室をマッピングするために、操作者30は、遠位先端52が複数の位置で心内膜組織と係合するように、プローブ22を進め、プロセッサ40は、画像データから生成されたシミュレートされた表面上に複数の位置を「位置合わせ」する。したがって、システムは、複数のマップポイントを収集し、それぞれのマップポイントは、内部の心室表面上の座標を備えている。本発明の実施形態では、プロセッサ40は、遠位先端52の心内膜組織への接触を検知するために、力センサ50からの信号を処理することができる。
【0029】
代替実施形態では、プローブ22は、遠位端に連結された、インピーダンスに基づくポジショントランスデューサとして機能するように構成された電極56を含むことができる。加えて又は代替手段として、電極56は、複数の位置のそれぞれで特定の生理学的特性(例えば、局所表面の電位)を測定するように構成され得る。いくつかの実施形態では、システム20は、ポジション測定値と電位測定値を相関させ得る。換言すると、システム20は、複数のマップポイントを収集することができ、それぞれのマップポイントは、内部の心室表面上の座標と、この座標におけるそれぞれの生理学的特性と、を備える。
【0030】
診断処置の間に、プロセッサ40は、シミュレートされた表面の画像46を、その表面に置かれた位置合わせ済の位置測定値とともに表示する。本実施形態において、シミュレートされた表面と、位置測定値との合成物を、本明細書では3D解剖学的マップ48と呼ぶ(又は単にマップ48と呼ぶ)。稼動にあっては、画像データと位置測定値を収集後、プロセッサ40は、マップ48を構成することができ、画像を表示するデータと3D解剖学的マップとをメモリ54内への格納することができ、及びオペレータ30に向けてディスプレイ44上へマップ48を表示することができる。マップ48を構成するために、プロセッサ40は、高速解剖マッピング(FAM)アルゴリズムのようなアルゴリズムを実行することができ、このアルゴリズムは米国特許出願公報第2011/0152684号に記載されており、この開示内容を参照により本明細書に援用する。
【0031】
メモリ54は、ランダムアクセスメモリ又はハードディスクドライブなど、任意の好適な揮発性及び/又は不揮発性メモリを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、操作者30は1つ又は複数の入力装置58を使ってマップ48を操作することができる。
【0032】
図1は特定のシステム構成を示しているが、他のシステム構成もまた本発明の実施形態を実現するために使用され得るものであり、したがって本発明の趣旨及び範囲内に含まれると見なされる。例えば、本明細書にて以下で説明する方法は、インピーダンス式の位置センサ又は超音波位置センサなど、上述した磁場センサ以外のタイプのポジショントランスデューサを使用して適用されてもよい。本明細書で用いられる「ポジショントランスデューサ」という用語は、遠位端部の座標を示す信号をコンソール24に受信させる、プローブ22上に装着された要素を指す。したがって、ポジショントランスデューサは、プローブ上に、トランスデューサが受信したエネルギーに基づいて制御装置に対しポジション信号を発生する受信器を含むことができ、又はプローブ外部の受信器で検知されるエネルギーを発する送信機を含むことができる。更に、本明細書にて以下で説明する方法は、心臓内で、また他の体組織及び領域内で、カテーテルだけでなく他のタイプのプローブも使用する治療及び診断の用途で同様に適用されてもよい。
【0033】
シミュレートされた表面の可視化
図2は、マップ48を初期化する方法の概要を説明するフローチャートであり、図3は、心臓26の心内膜組織80に接触した遠位先端52を示す詳細斜視図であり、及び図4は、プローブ22によって収集され、取得済画像92(本明細書では画像92とも呼ぶ)にマッピングされたマッピングポイント90の詳細図であり、以上いずれも本発明の実施例に基づくものである。マッピングポイント90は、識別数字に文字を付加することによって区別され、従ってマッピングポイントはマッピングポイント90Aと90Bを含む。
【0034】
取得ステップ60において、プロセッサ40は心臓26の画像92を取得する。取得済画像の例としては、またその例に限定されずに、磁気共鳴(MRI)画像、磁気共鳴断層撮影(MRT)画像、及びコンピュータ断層撮影(CT)画像のような三次元画像がある。説明の目的のために、図4に示される画像92は、ステップ60で取得された三次元取得済画像の二次元「切断図」を含む。
【0035】
挿入工程62で、図3に示すように、操作者30は、プローブ22を心臓26の心室(chamber)(本明細書で心室(cardiac chamber)とも呼ばれる)に挿入し、遠位先端52が心内膜組織80と係合するようにプローブを進め、心内膜組織に力Fを及ぼす。遠位先端52と心内膜組織との間の接触を確認するために、プロセッサ40は、力Fを示す力の測定値を力センサ50から受信する。
【0036】
収集ステップ64では、プロセッサ40がプローブ22から初回マッピングポイント90Aを収集する。マッピングポイント90Aに加えて、図4は、以下の図6に関しての説明に記述するように、プロセッサ40が続いて収集する追加のマッピングポイント90Bを示している。本明細書の実施形態においては、全てのマッピングポイント90Aは第1のマッピングポイント90と呼んでもよく、又すべてのマッピングポイント90Bは第2のマッピングポイント90と呼んでもよい。
【0037】
それぞれのマッピングポイント90を収集するために、操作者30は、遠位先端52が心内膜組織80の所与のポイントを押圧するようにプローブ22を操作し、遠位先端52が心内膜組織を押圧していることを示す力センサ50からの信号を受信すると、プロセッサ40は、遠位端部32の現在位置を示す位置センサ38からの位置測定値を自動的に取得する。図4に示す例では、プローブ22の遠位端部が、心臓26の左心室94からマッピングポイント90を収集している。いくつかの実施形態では、マッピングポイントが局所アクティベーションタイムのような電気解剖データを含むこともできる。
【0038】
プロセッサ40が磁場センサ38から位置測定値を受信する実施形態において、プロセッサは、シミュレートされた表面上の対応する位置に、受信した磁場測定値をマッピングし得る。プロセッサ40が、電極56からの位置測定値、電極を通じて伝送される電流へのインピーダンスを備える位置測定値を受信する実施形態では、プロセッサは、シミュレートされた表面上の対応する位置に、受信したインピーダンス測定値をマッピングし得る。
【0039】
位置合わせステップ66では、プロセッサ40が、マッピングポイント90Aと画像92を位置合わせすることによって、初回の位置合わせを実行する。いくつかの実施形態では、プロセッサ40が、収集されたマッピングポイントの取得済画像への表面配列を実行することで、マッピングポイント90Aを画像92と位置合わせすることができる。
【0040】
計算ステップ68では、プロセッサ40が、それぞれのマッピングポイント90Aの初回ポイント誤差値を計算し、ステップ66で実行された位置合わせの累積誤差値を計算する。それぞれの初回ポイント誤差値は、ステップ66で実行された位置合わせに対するそれぞれのマッピングポイントの質を示し、累積ポイント誤差値は、位置合わせの総体的な質を表す。所与のマッピングポイント90の質を評価する初回ポイント誤差値を計算するために、プロセッサ40は、画像92から所与のマッピングポイントまでの距離を計算することができ、表面104から所与のマッピングポイントまでの距離を計算でき、又はその両方の平均(おそらく重み付けした)を計算することができる。
【0041】
位置合わせの累積誤差を計算するために、プロセッサ40は、一群の関数AF1...AFnを計算することができ、ここでそれぞれの関数がそれぞれの重みK1...Knを持ち、従ってそれぞれの重みの総和は1であり、累積誤差は、
AF1K1+AF2K2...+AFnKn (1)
【0042】
プロセッサ40が累積誤差値を計算するために使用できる重み関数の例は、
・ポイント誤差値の平均値
・ポイント誤差値の標準偏差
・心臓26を表すために使われるモデルのただ1つが占める体積の総和、を含むが、これに限定されるものではない。例えば、プロセッサ40は、取得済画像92に存在するが、3D解剖学的マップ48には存在しない3D画像領域を識別でき、また識別された3D画像領域の体積を加算することができる。あるいは、プロセッサ40は、3D解剖学的マップ48には存在し、取得済画像92には存在しない3Dマップ領域を識別でき、識別された3Dマップ領域の体積を加算することが可能である。
【0043】
稼動においては、ステップ60で取得された画像92のタイプ(例えば上述したMRI画像、MRT画像又はCT画像)に基づき、関数と、関数のそれぞれの重みが変化してもよい。代わりに又はこれに加えて、関数と、関数のそれぞれの重みは、事前構成済、自動、ユーザコントロール、又はこれらの選択肢の組合せのいずれかであってもよい。
【0044】
特定ステップ70では、プロセッサ40がポイント誤差の閾値を特定して、この方法は終了する。以下に説明するように、プロセッサ40は、ポイント誤差の閾値を、所与のマッピングポイント90を3D解剖学的マップ48に含めるか否かの判断に使用する。ポイント誤差の閾値は、ハードコードされたものでもよく、ステップ68で計算された累積誤差値のあるパーセンテージ、又は初回ポイント誤差値の中央値より小さい最小の初回ポイント誤差値のような計算によってもよい。もしくは、ポイント誤差の閾値は、操作者によって構成できるものでもよい。
【0045】
構成ステップ72では、ステップ64で収集されたマッピングポイントのうち、個々のポイント誤差値がポイント誤差の閾値より小さいマッピングポイントを使って、プロセッサ40がマップ48を構成し、表示ステップ74でそのマップをディスプレイ44上に表示する。
【0046】
図5A及び5Bは、本発明の実施形態に基づき、マッピングポイント90(すなわち、マッピングポイント90A又はマッピングポイント90Aと90Bの両方)を使ってマップ48を構成するステージを説明する図表である。第1段階では、図5Aに示すように、プロセッサ40がマッピングポイント90を結び、線分102のメッシュ100を定める。メッシュ100は、必ずしもその必要はないが、典型的には三角形メッシュである。いくつかの実施形態では、プロセッサ40は、メッシュ100を作り出すのにボールピボットアルゴリズム(BPA)を使用する。代替えの実施形態では、プロセッサ40は、マッピングポイント90に対応する頂点を有する多数の三角形を含むドロネー三角形分割としてメッシュ100を生成することができる。三角形分割の三角形は、マッピングポイントの周囲に形成されたボロノイ図に基づいてもよい。上述したBPA又はドロネー三角形分割を使わずに、又はそれに加えて、プロセッサ40は、当技術分野で既知の任意の使いやすい方法をメッシュ100の形成のために使ってもよい。
【0047】
第2段階では、図5Bに示すように、プロセッサ40は、マッピングポイント90と線分102を結んで概して滑らかな表面104を生成する。表面104を生成するために、プロセッサ40は、典型的には内挿法及び/又は外挿法を使用する。もしくは、表面104が概して平坦であることを確実にするために、プロセッサ40は、表面を、いくつかのマッピングポイント90と線分102に近づけるように、しかし必ずしもそれらを含む必要無く、調整することができる。
【0048】
図5Bに示した例では、表面104は、輪郭線106、108及び110を有する。本発明の実施形態では、マップ48は、心臓26の多様な領域の局所アクティベーションタイムのような電気解剖データを示す電気解剖学的マップを含むことができる。追加の実施形態では、プロセッサ40は、多様な色彩の色合いとしてアクティベーションタイムを表すために、着色アルゴリズムを使うことができ、そこでは所与の色彩の色合いが、ある単一のアクティベーションタイム又はアクティベーションタイムの範囲に対応する。図5Bに示す例では、色彩の色合いは塗りつぶしパターン112、114及び116で表されている。
【0049】
最後に初期化ステップ76で、プロセッサ40がカウンタを初期化する。以下に説明するように、図6に示したフローチャートにおいて、カウンタは、マッピングポイント90の画像92への最後の位置合わせ以降に受信されたマッピングポイント90の数の監視のため、又は最後の位置合わせ以降に経過した時間の監視のために使われ得る。
【0050】
図6は、本発明の実施形態に基づいて、追加のマッピングポイント90Bの受信によるマップ48のアップデートの方法を概略的に説明するフローチャートである。図6に示したフローチャートのステップを実行する前には、既に図2を参照する記述で説明したように、カウンタ、累積誤差値及び位置合わせは初期値を有する。追加として、図2と6に示したフローチャートは、電気解剖データのマッピングを記述しているが、他のタイプのデータのマッピングも本発明の趣旨と範囲に含まれるものと考えられる。
【0051】
受信ステップ120では、プロセッサ40がプローブ22から、心臓26内の位置と、その位置の電気解剖データを含む所与のマッピングポイント90Bを受信する。インクレメントステップ122では、プロセッサ40がカウンタを進め、上述した実施形態を使用して、プロセッサが、第1の計算ステップ124で、マッピングポイントのポイント誤差値を計算する。いくつかの実施形態では、プロセッサ40は、受信したそれぞれのマッピングポイント90Bのためにカウンタを1つ進めることができる。代替実施形態では、所与のマッピングポイント90Bを受信すると、プロセッサ40は、最後の位置合わせの実行以降に経過した時間を示す値を格納することでカウンタを進めることができる。
【0052】
第1の比較ステップ126では、受信されたマッピングポイントについて計算されたポイント誤差値が、特定されたポイント誤差の閾値より小さければ、プロセッサ40は組み入れステップ128で所与のマッピングポイントをマップ48に組み入れる。一方、受信されたマッピングポイントについて計算されたポイント誤差値が、ポイント誤差の閾値より大きいか等しければ、プロセッサ40は除外ステップ130で所与のマッピングポイントをマップ48から除外する。
【0053】
第2の比較ステップ132では、カウンタに格納されている値が、特定のカウンタ閾値(すなわち、マッピングポイントの特定の数又は前回の位置合わせ以降に経過した特定の時間)より大きいか等しければ、プロセッサ40はリセットステップ134でカウンタをリセットし、そして位置合わせステップ136で、マッピングポイント90で受信された全てのマッピングポイントと、画像92との間の暫定位置合わせを実行する。第2の計算ステップ138では、プロセッサ40は、それぞれのマッピングポイント90Aと90Bのそれぞれの暫定誤差値を計算するために、暫定の位置合わせを使用し、受信した全てのマッピングポイントの暫定累積誤差値を計算する。それぞれの暫定ポイントマッピング値は、暫定位置合わせに対するそれぞれのマッピングポイントの質を示し、暫定累積ポイント誤差値は、暫定位置合わせの総体的な質を示す。
【0054】
第3の比較ステップ140では、暫定累積誤差値が、(現在の)累積誤差値より小さければ、受容ステップ142でプロセッサ40が、暫定位置合わせ、暫定ポイント値及び暫定累積誤差値を受容する。暫定位置合わせを受容するために、プロセッサ40は、現在の位置合わせを暫定位置合わせに置き換え、暫定ポイント値を受容するために、プロセッサは、現在のポイント誤差値を対応する暫定ポイント誤差値に置き換え、及び暫定累積誤差値を受容するために、プロセッサは、現在の累積誤差値を暫定累積誤差値に置き換える。
【0055】
最後に再マッピングステップ144にて、プロセッサ40が、マップ48を、アップデートされた誤差値がアップデートされた累積誤差値より小さいマッピングポイントの電気解剖データを含む新たなマップに置き換え、本方法はステップ120から続けられる。ステップ140に戻り、ここで暫定累積誤差値がポイント誤差の閾値より大きければ、本方法はステップ120から続けられる。ステップ132に戻り、ここでカウンタ内の値が特定されたカウンタ閾値より小さければ、本方法はステップ120から続けられる。
【0056】
本明細書の実施形態では、ステップ64の初回マッピングポイントを、本明細書ではマッピングポイント90の第1のセットとしてもよく、ステップ66で実行される初回の位置合わせも第1の位置合わせとしてもよく、ステップ68と124で計算されるポイント誤差値とステップ68で計算される累積誤差値も、本明細書ではそれぞれの第1のポイント誤差値と第1の累積誤差値としてもよい。同様に、ステップ120で収集されるマッピングポイントも(すなわち、ステップ132の条件に合致するまで)、本明細書では第2のマッピングポイント90としてもよく、ステップ136で実行される暫定位置合わせも、本明細書では第2の位置合わせとしてもよく、ステップ138で計算される暫定ポイント誤差と暫定累積誤差値も、本明細書ではそれぞれの第2のポイント誤差値と第2の累積誤差値としてもよい。
【0057】
以上説明した実施形態は、例示のために記載したものであり、本発明が、上に具体的に示し、説明した内容に限定されるものではないということは正当に理解されよう。むしろ、本発明の範囲には、上で説明した様々な特徴の組合わせ及び部分的組合わせが併せて含まれるとともに、それらの変形形態及び修正形態が含まれ、これらは、上記説明を読むことにより当業者が想到するものであり、従来技術には開示されていないものである。
【0058】
〔実施の態様〕
(1) 方法であって、
画像システムから体腔の画像を取得することと、
位置センサを有し、前記体腔内に挿入されたプローブからマッピングポイントの第1及び第2のセットを受信することと、
前記第1のセットの前記マッピングポイントと前記画像との間の第1の位置合わせをプロセッサによって実行することであって、前記第1のセットのそれぞれの前記マッピングポイントがそれぞれの第1のポイント誤差値を有し、前記第1の位置合わせが、前記第1の位置合わせの質を示す第1の累積誤差値を有する、ことと、
前記第1の位置合わせを使って、前記第1のセットの前記マッピングポイントのうち、それぞれの第1のポイント誤差値がポイント誤差の閾値より小さいマッピングポイントを含む三次元(3D)解剖学的マップを生成することと、
前記第1及び前記第2のセットの前記マッピングポイントと、前記画像との間の第2の位置合わせを実行することであって、前記第1及び前記第2のセットのそれぞれの前記マッピングポイントがそれぞれの第2のポイント誤差値を有し、前記第2の位置合わせが前記第1の累積誤差値より小さい第2の累積誤差値を有する、ことと、
前記第1及び第2のセットの前記マッピングポイントのうち、それぞれの第2のポイント誤差値が前記ポイント誤差の閾値より小さいマッピングポイントを含むアップデートされた3D解剖学的マップを生成することと、を含む、方法。
(2) 前記3D解剖学的マップと前記アップデートされた3D解剖学的マップとをディスプレイ上へ表示することを含む、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記体腔が心臓を含み、前記プローブが心臓カテーテルを含む、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記3D解剖学的マップが、電気解剖学的マップを含む、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記第2の位置合わせが、前記第1の位置合わせから特定の時間が経過すると実行される、実施態様1に記載の方法。
【0059】
(6) 前記第2の位置合わせが、前記第2のセットが特定の数のマッピングポイントを持つと実行される、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記第1の位置合わせの実行の前に、前記ポイント誤差の閾値を特定することを含む、実施態様1に記載の方法。
(8) 所与のマッピングポイントの前記第1のポイント誤差値が、前記第1の位置合わせに対する前記所与のマッピングポイントの第1の質を示し、前記所与のマッピングポイントの前記第2のポイント誤差値が、前記第2の位置合わせに対する前記所与のマッピングポイントの第2の質を示す、実施態様1に記載の方法。
(9) 前記第2の位置合わせに先行して、前記第2のセットのそれぞれの前記マッピングポイントのそれぞれの第1のポイント誤差値を計算することと、前記第2のセットの前記マッピングポイントのうち、それぞれの第1のポイント誤差値が前記ポイント誤差の閾値より小さいマッピングポイントを前記第1のマップへ組み入れることと、を含む、実施態様8に記載の方法。
(10) 装置であって、
患者の体腔内への挿入のために構成されたプローブであって、前記体腔内の前記プローブの遠位端のポジションを測定するための位置センサを備える、プローブと、
プロセッサと、を含み、前記プロセッサが、
画像システムから前記体腔の画像を取得すること、
前記体腔内に挿入された前記プローブからマッピングポイントの第1及び第2のセットを受信すること、
前記第1のセットの前記マッピングポイントと、前記画像との間の第1の位置合わせを実行することであって、前記第1のセットのそれぞれの前記マッピングポイントがそれぞれの第1のポイント誤差値を有し、前記第1の位置合わせが前記第1の位置合わせの質を示す第1の累積誤差値を有する、こと、
前記第1の位置合わせを使用し、前記第1のセットの前記マッピングポイントのうち、それぞれの第1のポイント誤差値がポイント誤差の閾値より小さいマッピングポイントを含む三次元(3D)解剖学的マップを生成すること、
前記第1及び前記第2のセットの前記マッピングポイントと、前記画像との間の第2の位置合わせを実行することであって、前記第1及び前記第2のセットのそれぞれの前記マッピングポイントがそれぞれの第2のポイント誤差値を有し、前記第2の位置合わせが前記第1の累積誤差値より小さい第2の累積誤差値を有する、こと、並びに、
前記第1及び第2のセットの前記マッピングポイントのうち、それぞれの第2のポイント誤差値が前記ポイント誤差の閾値より小さいマッピングポイントを含むアップデートされた3D解剖学的マップを生成すること、を行うように、構成される、装置。
【0060】
(11) ディスプレイを備え、前記プロセッサが前記3D解剖学的マップと前記アップデートされた3D解剖学的マップをディスプレイ上に表示するように構成される、実施態様10に記載の装置。
(12) 前記体腔が心臓を含み、前記プローブが心臓カテーテルを含む、実施態様10に記載の装置。
(13) 前記3D解剖学的マップが、電気解剖学的マップを含む、実施態様10に記載の装置。
(14) 前記プロセッサが、前記第1の位置合わせから特定の時間が経過すると前記第2の位置合わせを実行するように構成される、実施態様10に記載の装置。
(15) 前記プロセッサが、前記第2のセットが特定の数のマッピングポイントを持つと前記第2の位置合わせを実行するように構成される、実施態様10に記載の装置。
【0061】
(16) 前記プロセッサが、前記第1の位置合わせの実行の前に、前記ポイント誤差の閾値を特定するように構成される、実施態様10に記載の装置。
(17) 所与のマッピングポイントの前記第1のポイント誤差値が、前記第1の位置合わせに対する前記所与のマッピングポイントの第1の質を示し、前記所与のマッピングポイントの前記第2のポイント誤差値が、前記第2の位置合わせに対する前記所与のマッピングポイントの第2の質を示す、実施態様10に記載の装置。
(18) 前記プロセッサが、前記第2の位置合わせに先行して、前記第2のセットのそれぞれの前記マッピングポイントのそれぞれの第1のポイント誤差値を計算するように、かつ、前記第2のセットの前記マッピングポイントのうち、それぞれの第1のポイント誤差値が前記ポイント誤差の閾値より小さいマッピングポイントを前記第1のマップへ組み入れるように、構成されている、実施態様17に記載の装置。
(19) コンピュータソフトウェア製品であって、プローブと共に動作し、前記プローブが、患者の体腔内への挿入のために構成され、前記体腔内の前記プローブの遠位端の位置を測定するための位置センサを含み、前記製品は、プログラム命令が格納されている非一時的なコンピュータ可読媒体を備え、前記命令がコンピュータによって読み取られると、前記コンピュータは、
画像システムから前記体腔の画像を取得することと、
前記体腔内に挿入されたプローブからマッピングポイントの第1及び第2のセットを受信することと、
前記第1のセットの前記マッピングポイントと、前記画像との間の第1の位置合わせを実行することであって、前記第1のセットのそれぞれの前記マッピングポイントがそれぞれの第1のポイント誤差値を有し、前記第1の位置合わせが前記第1の位置合わせの質を示す第1の累積誤差値を有する、ことと、
前記第1の位置合わせを使って、前記第1のセットの前記マッピングポイントのうち、それぞれの第1のポイント誤差値がポイント誤差の閾値より小さいマッピングポイントを含む三次元(3D)解剖学的マップを生成することと、
前記第1及び前記第2のセットの前記マッピングポイントと、前記画像との間の第2の位置合わせを実行することであって、前記第1及び前記第2のセットのそれぞれの前記マッピングポイントがそれぞれの第2のポイント誤差値を有し、前記第2の位置合わせが前記第1の累積誤差値より小さい第2の累積誤差値を有する、ことと、
前記第1及び第2のセットの前記マッピングポイントのうち、それぞれの第2のポイント誤差値が前記ポイント誤差の閾値より小さいマッピングポイントを含むアップデートされた3D解剖学的マップを生成することと、をもたらす、コンピュータソフトウェア製品。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
【外国語明細書】
2015107330000001.pdf