【課題】 300nm以下と、目視することができないほど超微小(超微細)のナノミストを発生させることができ、周囲を濡らさずに、しかも少ない液量であっても部屋全体にわたって有効に加湿することのできる加湿器を提供すること。
【解決手段】 液体(L)からミスト(M)を発生させる霧発生装置10が設けられた加湿器本体1と;加湿器本体1に液体を供給する液体供給装置2と;を有する加湿器において、加湿器本体1が、上方へ先端が延びるように設けられて高電圧が印加される針電極20と;針電極20の上方に円筒形状に設けられ、接地されて針電極20と円筒形状の内周面31との間でコロナ放電がなされて上昇流のイオン風を生じさせると共にミストを微細化させてナノミストを発生させる円筒電極30と;を具備することを特徴とする。
前記霧発生装置が、液体に接するように配される超音波振動子と、前記超音波振動子に振動を付与する超音波発振装置と、を構成要素として備えることを特徴とする請求項1記載の加湿器。
前記円筒電極に凝集して生じた液滴が流れやすいように、前記円筒電極の下端縁内周に切り欠かれて形成された切り欠き溝を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の加湿器。
前記針電極を内包して前記円筒電極を支持するように設けられた加湿器本体であって、前記円筒電極の直下の部位の下方へ向って徐々に拡径する円錐筒体状に形成された拡径部において、前記拡径部の内周面が多孔質状に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の加湿器。
前記針電極に凝集して生じた液滴が流れやすいように、前記針電極の先端部から後端側の支持される部位に至る屈曲部に下方へ尖って形成された下向き尖部を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の加湿器。
前記ミストが前記円筒電極を通過することで微細化されて生じるナノミストを、送り出すように送風するナノミスト送風用ファンを備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の加湿器。
前記ミストが発生される部位と前記針電極との間の前記加湿器本体内へ、前記ミストを送り出すように送風するミスト送風用ファンを備えることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の加湿器。
前記針電極が前記加湿器本体の側周部に設けられた開口から挿入された状態に配され、該針電極にミストが凝集することを可及的に防止するように、前記開口が前記ナノミスト送風用ファンからの送風を導入する部位になっていることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の加湿器。
前記液体に溶解されていた物質が析出されて生じる極小微粒子を付着させて取り出すように、前記円筒電極の上方に配され、微粒子が付着するように接地されている被付着面を備える集塵部を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の加湿器。
【背景技術】
【0002】
加湿器としては、大きく分けて4つのタイプが知られている。即ち、スチーム式(加熱式)、ヒートレスファン式(気化式)、ハイブリッド式(加熱気化式)、超音波式の4つのタイプの加湿器が知られており、それぞれに特徴があり、適材適所で使い分けられている。
【0003】
しかしながら、いずれのタイプの加湿器であっても、発生するミストは、目視することができる程度の粒径(例えば、3μm以上、特に10μm前後)を有するものであった(特許文献1参照)。
この程度の粒径を有するものであると、発生するミストは、部屋全体に拡散することなく、近くへ落ちてしまい、しかも周囲を濡らすという問題があった。
ガス化(蒸発)したように、目視できない状態にさせて始めて加湿(湿度を上げる)ということができるのであるが、従来は、目視することができる程度の粒径(例えば、3μm以上、特に10μm前後)を有するミストを発生させるものに過ぎず、周囲を濡らすばかりであって、加湿とは言えないようなものであった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来の問題点を解消し、300nm(0.3μm)以下と、目視することができないほど超微小(超微細)なナノミストを発生させることができ、周囲を濡らさずに、しかも少ない液量であっても部屋全体にわたって有効に加湿することのできる加湿器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記従来の問題点を解消するため、鋭意研究を重ねた。
その結果、霧発生装置によって発生されたミストが導かれる部位に針電極を設け、この針電極の上方に円筒電極を設けることにより、針電極と円筒形状の内周面との間でコロナ放電がなされて上昇流のイオン風を生じさせると共にミストをさらに微小化させて、超微小(超微細)なナノミストを発生させることができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明に係る加湿器の一形態によれば、
液体からミストを発生させる霧発生装置が設けられた加湿器本体と;
前記加湿器本体に液体を供給する液体供給装置と;
を有する加湿器において、
前記加湿器本体が、前記霧発生装置によって発生されたミストが導かれる部位に配され、上方へ先端が延びるように設けられて高電圧が印加される針電極と;
前記針電極の上方に円筒形状に設けられ、前記針電極の先端から最も近い部位となる円形の下端縁内周の全周について等距離となるように、前記針電極の少なくとも先端部と同心の上下方向に立てられた状態に配され、接地されて前記針電極と円筒形状の内周面との間でコロナ放電がなされて上昇流のイオン風を生じさせると共に前記ミストを微細化させてナノミストを発生させる円筒電極と;
を具備する。
【0008】
また、本発明に係る加湿器の一形態によれば、前記霧発生装置が、液体に接するように配される超音波振動子と、前記超音波振動子に振動を付与する超音波発振装置と、を構成要素として備えることを特徴とすることができる。
【0009】
次に、本発明に係る加湿器の一形態によれば、前記円筒電極に凝集して生じた液滴が流れやすいように、前記円筒電極の下端縁内周に切り欠かれて形成された切り欠き溝を備えることを特徴とすることができる。
【0010】
さらに、本発明に係る加湿器の一形態によれば、前記針電極を内包して前記円筒電極を支持するように設けられた加湿器本体であって、前記円筒電極の直下の部位の下方へ向って徐々に拡径する円錐筒体状に形成された拡径部において、前記拡径部の内周面が多孔質状に設けられていることを特徴とすることができる。
【0011】
また、本発明に係る加湿器の一形態によれば、前記針電極に凝集して生じた液滴が流れやすいように、前記針電極の先端部から後端側の支持される部位に至る屈曲部に下方へ尖って形成された下向き尖部を備えることを特徴とすることができる。
【0012】
次に、本発明に係る加湿器の一形態によれば、前記ミストが前記円筒電極を通過することで微細化されて生じるナノミストを、送り出すように送風するナノミスト送風用ファンを備えることを特徴とすることができる。
【0013】
さらに、本発明に係る加湿器の一形態によれば、前記ミストが発生される部位と前記針電極との間の前記加湿器本体内へ、前記ミストを送り出すように送風するミスト送風用ファンを備えることを特徴とすることができる。
【0014】
また、本発明に係る加湿器の一形態によれば、前記針電極が前記加湿器本体の側周部に設けられた開口から挿入された状態に配され、該針電極にミストが凝集することを可及的に防止するように、前記開口が前記ナノミスト送風用ファンからの送風を導入する部位になっていることを特徴とすることができる。
【0015】
次に、本発明に係る加湿器の一形態によれば、前記液体に溶解されていた物質が析出されて生じる極小微粒子を付着させて取り出すように、前記円筒電極の上方に配され、微粒子が付着するように接地されている被付着面を備える集塵部を備えることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る加湿器によれば、300nm(0.3μm)以下と、目視することができないほど超微小(超微細)なガス化したナノミストを発生させることができる。そのため従来の加湿器から放たれるミスト(3μm以上、特に10μm前後という、目視することができる程度の大きな粒径を有するミスト)のように周囲を濡らすことなく(結露させることなく)、有効に加湿することができる。
【0017】
また、本発明に係る加湿器によれば、目視することができないほど超微小のナノミストを発生させるばかりか、上昇流のイオン風を生じさせており、少ない液量であっても、部屋全体にわたって加湿することができる。部屋全体にわたって加湿することができるという効果は、ナノミストを、送り出すように送風するナノミスト送風用ファン等を備えたものとすることにより、より一層強化されたものとなる。
少ない液量(水量)で有効に加湿することができることから、液体供給装置をより小型化することができ、加湿器全体をコンパクトにすることができるというメリットがある。
また、ナノミストが、上昇流のイオン風により、天井近くまで拡散することから、部屋全体にわたって有効に加湿することができる。
【0018】
さらに、本発明に係る加湿器によれば、300nm(0.3μm)以下と、目視することができないほど超微小の水滴(ナノミスト)を発生させることから、水中に含まれる溶解物質等を伴うことが少なく、さらに円筒電極の上方に集塵部を配したものとすることにより、水中に含まれる溶解物質を有効に分離・除去しつつ加湿することができる。
即ち、本発明に係る加湿器によれば、水道水などに溶け込んでいるミネラル成分(例えば、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、カリウムやシリカ等)を有効に分離・除去することができ、例えばカルシウム等の成分を床に落下させて白い被覆を形成するようなことがない。
さらに、この場合、水道水などの水中に含まれる(溶け込んでいる)有害物質(例えば、金属や金属化合物など)も有効に分離・除去することができる。従って、仮に水道水などの水中に放射性物質等が含まれているような場合であっても、これを有効に分離・除去しつつ加湿することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は加湿器に関し、
液体からミストを発生させる霧発生装置が設けられた加湿器本体と;
前記加湿器本体に液体を供給する液体供給装置と;
を有する加湿器において、
前記加湿器本体が、前記霧発生装置によって発生されたミストが導かれる部位に配され、上方へ先端が延びるように設けられて高電圧が印加される針電極と;
前記針電極の上方に円筒形状に設けられ、前記針電極の先端から最も近い部位となる円形の下端縁内周の全周について等距離となるように、前記針電極の少なくとも先端部と同心の上下方向に立てられた状態に配され、接地されて前記針電極と円筒形状の内周面との間でコロナ放電がなされて上昇流のイオン風を生じさせると共に前記ミストを微細化させてナノミストを発生させる円筒電極と;
を具備することを特徴とするものである。
【0021】
以下、本発明に係る加湿器の形態例を図面に基づいて詳細に説明する。
図中、符号Aは加湿器であり、加湿器本体1と;液体供給装置2と;を有するものである。
加湿器本体1には、液体(L)からミスト(M)を発生させる霧発生装置10が設けられている。
霧発生装置10は、液体(L)からミスト(M)を発生させる構成を備えていればよく、図に示す超音波式のものに限られず、例えば噴射ノズルによって液体(L)を噴霧することで霧を発生させるものなどであってもよい。
【0022】
図に示す形態例の霧発生装置10は、超音波式のものであって、液体(L)に接するように配される超音波振動子11を構成要素として備えるものになっている。
図中、符号12は超音波発振装置であり、超音波振動子11に接続されている。
本形態例では、超音波振動子11が液体中に浸漬された状態に配されている。
【0023】
液体供給装置2として、図では、給水タンク方式のものを示しており、加湿器本体1の液槽に、所要量の液体が貯留された状態を維持できるように、加湿器本体1と着脱自在に接続されている。液体としては、通常、水道水が用いられるが、井戸水など他の液体であってもよい。なお、液体供給装置2としては、通常、図示したような給水タンク方式のものが多く用いられるが、例えば水道やパイプラインに直接配管して液体を供給しうる構造のものであってもよい。
【0024】
本発明に係る加湿器は、上記のような霧発生装置10の設けられた加湿器本体1が、針電極20と;円筒電極30と;を具備することを特徴とする。この特徴部分以外は、本発明の特徴を損なわない限り、必要に応じて、既知の加湿器の構成を適宜採用することができる。また、図面は、いずれも本発明に係る加湿器を示す概略図である。従って、加湿器としての製品化に際しては、必要に応じて、適宜より実用的な設計をなすことができる。
【0025】
本形態例では、霧発生装置10の上部で、超音波振動子11の真上には、邪魔板13が配されており、大きな粒のミスト又は水滴などの液滴が、上方のコロナ放電がなされるスペースに到達しないように遮られてトラップされるように設けられている。ミスト(M)は、
図1の矢印のように、邪魔板13の脇をすり抜けて上方へ移動する。
【0026】
針電極20は、霧発生装置10によって発生されたミスト(M)が導かれる部位に配され、上方へ先端が延びるように設けられて高電圧が印加されることで、尖った先端からコロナ放電を生じさせることができる。
なお、符号25は高圧電源装置であり、針電極20に接続されている。本形態例では、霧発生装置10の上方の真上に相当する部位に、針電極20の先端が位置するように設けられているが、必ずしも同一直線上に配置する必要はない。
なお、高圧電源装置25からは、4,000〜15,000Vという高電圧の直流電流が印加される。
針電極20には、正電圧又は負電圧のいずれかを印加して、正放電又は負放電のいずれかとすることができる。なお、正放電よりも負放電のほうが高い流速のイオン風を得やすい。
通常、正電圧(4,000〜15,000V)を印加する場合、針電極20側をマイナス側(陰極)に、円筒電極30側をプラス側(陽極)とされる。また、負電圧(−4,000〜−15,000V)を印加する場合、針電極20側をプラス側(陽極)に、円筒電極30側をマイナス側(陰極)とされる。
このようにして針電極20と円筒電極30との間に高電圧の直流電流を印加することにより、針電極20と円筒電極30との間でコロナ放電を行い、針電極20側から円筒電極30側へ向かって上昇流のイオン風が流れるようにしている。
【0027】
円筒電極30は、針電極20の上方に円筒形状に設けられ、その針電極20の先端から最も近い部位となる円形の下端縁内周32の全周について等距離となるように、針電極20の少なくとも先端部と同心で上下方向に立てられた状態に配され、接地されて針電極20と円筒形状の内周面31との間でコロナ放電がなされて上昇流のイオン風を生じさせると共にミスト(M)を微小化させてナノミスト(NM)を発生させることができる。
換言すると、針電極20は、円筒電極30の下端縁内周32の略中心に位置付けられており、これら二つの電極間でコロナ放電がなされる。
なお、コロナ放電は、火花が散るような放電ではなく、また、運転中、万一電極に触れたとしても、静電気程度のものであり、安全性についての心配はない。必要に応じて、適宜、既知の安全回路を組み込むことができる。
【0028】
このように、ミスト(M)が、上昇流のイオン風が生じている部位に導入されて、その部位(スペース)を通過すると、コロナ放電の作用によって効率良く細分化される。これによれば、粒径が300nm(0.3μm)以下、特に10〜100nm(0.01〜0.1μm)程度という超微小(超微細)のミスト粒子であるナノミスト(NM)を、効率良く発生させることができる。また、コロナ放電によって、ナノミスト(NM)に電荷を与えることができる。
【0029】
以上の構成によって効率よく生じるナノミスト(NM)が、水のミスト(M)から発生される場合、加湿効果の他に、殺菌効果、消臭効果、集塵効果などの高い空気清浄・浄化効果を奏する。
すなわち、以上の構成によれば、空気清浄・浄化機能をもった加湿器として好適に利用することができる。
さらに、本発明の加湿器を、送風手段・送風装置などと組み合わせることによって、周囲を濡らしたりすることなく、より広範囲にナノミストを散布することが可能となり、この場合には、冷却効果を得ることができる。
【0030】
図中、符号33は切り欠き溝であり、円筒電極30に凝集して生じた水滴等の液滴が流れやすいように、円筒電極30の下端縁内周32に切り欠かれて形成されている(
図2参照)。
この切り欠き溝33は、例えば下端縁内周32の内側角部の少なくとも一箇所にV字状に切り欠かれて形成されていればよい。
この切り欠き溝33によれば、円筒電極30の下端縁内周32の下方に水等の液体が表面張力によってリング状に溜まって流れない状態になることを防止できる。
即ち、液滴をスムーズに流すことができ、液滴が円筒電極30の下端縁内周32よりも針電極20に近づくことを防止できるため、火花放電などを生じて電気が短絡してコロナ放電が中断することを防止できる。これは切り欠き溝33によって液滴を大きくするような表面張力が生じることを防止することができるためで、コロナ放電を好適に維持させることができる。
【0031】
なお、コロナ放電によってイオン風を発生させるには、本発明のような円筒電極30に限定されず、例えば板状の電極を利用できるが、円筒電極30の方が強いイオン風を発生できる利点がある。また、円筒電極30では、凝集によって生じる水滴などの液滴を、本形態例のように適切且つ容易に処理できる。
【0032】
また、本形態例では、針電極20を内包して円筒電極30を支持するように設けられた加湿器本体1であって、円筒電極30の直下の部位の下方へ向って徐々に拡径する円錐筒体状に形成された拡径部41において、その拡径部の内周面41aが多孔質状に設けられている。拡径部41の全体に多孔質状に形成されていてもよいし、その内周面41aの表面部のみが、例えば吸水性スポンジによって多孔質状に形成されていてもよい。これによれば、ミスト(M)が凝集して生じる液滴を好適に流すことができ、コロナ放電を好適に維持させることができる。
【0033】
図中、符号22は下向き尖部であり、針電極20に凝集して生じた水滴等の液滴が流れやすいように、針電極20の先端部から後端側の支持される部位に至る屈曲部に下方へ尖って形成されている。これによっても、ミスト(M)が凝集して生じる液滴を好適に流すように積極的に滴下させることができ、コロナ放電を適切に維持させることができる。なお、符号21は針電極20を保護する絶縁体である。
【0034】
本形態例では、以下に述べるようにナノミスト送風用ファン70やミスト送風用ファン60を備えたものを示しているが、本発明においては、上昇流であるイオン風を生じさせていることから、これがファン代わりとなり、必要に応じて、これら送風ファンを不要とすることができる。
【0035】
図中、符号70はナノミスト送風用ファンであり、ミスト(M)が円筒電極30を通過することで微細化されて生じるナノミスト(NM)を、送り出すように送風する送風機である。
このナノミスト送風用ファン70によれば、加湿器本体1は上方が開放されているため、上昇流であるイオン風と合体するように外部空気が導かれ、ナノミスト(NM)を混合して上方へ送風される。
また、本形態例のナノミスト送風用ファン70によれば、加湿器本体1の外周壁45の内側接線方向へ空気を導くように送風路が形成されていることで、渦流を生じさせて、効率良く送風できるように構成されている。
なお、本形態例の加湿器本体1では、側周部42と外周壁45とが同心円状に設けられており、ナノミスト送風用ファン70はその側周部42と外周壁45との間の筒状の空間ヘ送風するように空気の吐出ロが接続されている。また、加湿器本体1の少なくとも円筒電極30を支持する部位は、樹脂製など絶縁体によって構成されている。
【0036】
図中、符号60はミスト送風用ファンであり、ミスト(M)が発生される部位と針電極20との間の加湿器本体1内へ、ミスト(M)を送り出すように送風する送風機である。
このミスト送風用ファン60によれば、ミスト(M)と混合されるように外部空気が加湿器本体1内に導かれ、針電極20の上方が中空の円筒電極30に連通されて開放されているため、ミスト(M)が混合された空気が上方へ送風される。
また、このミスト送風用ファン60によれば、加湿器本体1の内側接線方向へ空気を導くように送風路が形成されていることで、渦流を生じさせて、効率良く送風できるように構成されている。なお、このミスト送風用ファン60は、ナノミスト送風用ファン70よりも風量の小さい送風機になっている。
【0037】
また、本形態例では、針電極20が加湿器本体1の側周部42に設けられた開口43から挿入された状態に配され、その針電極20にミスト(M)が凝集することを可及的に防止するように、開口43がナノミスト送風用ファン70からの送風を導入する部位になっている。これによれば、ミスト(M)が凝集して液滴が生じることを可及的に防止でき、コロナ放電を好適に維持させることができる。
【0038】
図中、符号50は集塵部であり、液体(L)に溶解されていた物質が析出されて生じる極小微粒子を付着させて取り出すように、円筒電極30の上方に配され、微粒子が付着するように接地(アース)されている被付着面51を備える。
本形態例では、集塵部50は、板状に形成された集塵板によって構成されており、その下面が被付着面51として設けられている。この被付着面51は、微粒子が付着しやすいようにイオン風及び送風機による上昇流の気流が適切に当たると共に、その気流が方向性を持ってスムーズに通過できるように案内する斜面となっているが、斜面とすることなく、垂直な面としてもよい。被付着面51を垂直な面で構成する場合、集塵部50は、円筒状(煙突状)などの筒状体とすることができる。
本形態例では、
図1や
図3に示すように、前記集塵板が傾斜されることで、被付着面51が斜面になっている。
【0039】
上記集塵部50を備える加湿器によれば、液体がナノミスト(NM)になって微小な粒子となることで、乾燥し易く、水中に溶解している物質の濃度が急激に濃縮されて効率良く析出され、これによって、水中に溶解している物質が、析出・乾燥された状態で被付着面51に付着されやすくなる。そして、コロナ放電によって、水などの液体として存在する微粒子はマイナスに帯電しやすく、析出した微粒子である固体粒子はプラスに帯電しやすい。そのプラスに帯電された固体粒子は、アースされた被付着面51に吸引されて、その被付着面51において効率よく付着される。これによれば、他の方法と比較して、水中に溶解している物質を効率良く乾燥・析出でき、効率良く分離・除去できるという特有の効果を奏する。
【0040】
以上の構成による本発明に係る加湿器によれば、液体(L)から霧発生装置10によってミスト(M)を発生させる工程と;ミスト(M)を、高電圧が印加されてコロナ放電がなされている空間へ導いてそのコロナ放電によってミスト(M)を微細化させてナノミスト(NM)を発生させる工程と;さらに必要に応じて、微粒子が付着するように接地されている被付着面51を備える集塵部50へナノミスト(NM)を導いて、液体(L)に溶解されていた物質が析出されて生じる極小微粒子を付着させて取り出す工程;とを有する加湿方法を、好適に実施することができる。
【0041】
なお、本発明に係る加湿器においては、必要に応じて、加熱手段を設けたり、或いは抗菌作用を持たせたりして、これにより雑菌の繁殖を有効に抑制することができる。
【0042】
以上、本発明につき好適な形態例を挙げて種々説明してきたが、本発明はこの形態例に限定されるものではなく、本発明の精神を逸脱しない範囲内で多くの改変を施し得るのは勿諭のことである。