【解決手段】本発明の一実施例によるスピンドルモーターは、ベース部材に固設されるスリーブと、上記スリーブの軸孔に回転可能に挿入配置されるシャフトと、上記シャフトの上端部に固設されるロータハブと、を含み、上記ロータハブの内径部側には、上記スリーブの外部面とともに軸受間隙を形成する対応傾斜面を有する突出部が備えられることができる。
前記対応傾斜面と前記他方側向き傾斜面は、互いに同一の角度を有するように傾斜して形成されるか、または互いに異なる角度を有するように傾斜して形成される、請求項1または2に記載のスピンドルモーター。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は、負圧発生を低減させることができるスピンドルモーターを提供することをその目的とする。
【0014】
また、本発明は、負圧発生を低減させるために、気液界面が配置されるシール部と軸受間隙の下端部とを容易に連結することができるスピンドルモーターを提供することをその目的とする。
【0015】
さらに、本発明は、外部衝撃による破損を抑制することができるスピンドルモーターを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の一実施例によるスピンドルモーターは、ベース部材に固設されるスリーブと、上記スリーブの軸孔に回転可能に挿入配置されるシャフトと、上記シャフトの上端部に固設されるロータハブと、を含み、上記ロータハブの内径部側には、上記スリーブの外部面とともに軸受間隙を形成する対応傾斜面を有する突出部が備えられることができる。
【0017】
上記スピンドルモーターは、上記スリーブの上端部に固設されるスラスト部材をさらに含むことができる。
【0018】
上記スリーブには、上記対応傾斜面に対向配置される下向き傾斜面が形成されることができる。
【0019】
上記対応傾斜面と下向き傾斜面は、互いに同一の角度を有するように傾斜して形成されるか、または互いに異なる角度を有するように傾斜して形成されることができる。
【0020】
上記スリーブには循環孔が形成されており、上記スラスト部材は、上記スリーブの設置溝に設けられ、上記設置溝に設けられる際に、上記循環孔と連結される連結部を形成し、上記連結部は、上記スリーブと上記ロータハブにより形成される気液界面が配置されるシール部と上記循環孔とを連結することができる。
【0021】
上記スラスト部材の内径部側の厚さと上記スラスト部材の外径部側の厚さが互いに異なることができる。
【0022】
上記スラスト部材の横断面は台形状を有することができる。
【0023】
上記スラスト部材には傾斜面が形成されており、上記スラスト部材が上記設置溝に設けられる際に、上記傾斜面に対向配置される上記設置溝の対向面と上記傾斜面は所定間隔で離隔配置されて上記連結部を形成することができる。
【0024】
上記スラスト部材には傾斜面が形成されており、上記傾斜面に対向配置される上記設置溝の対向面は上記傾斜面の勾配と異なる勾配を有し、上記傾斜面と上記設置溝の対向面により形成される間隙は半径方向外側に向かって広くなるように形成されて上記連結部を形成することができる。
【0025】
上記スラスト部材には傾斜面が形成されており、上記傾斜面に対向配置される上記設置溝の対向面は上記傾斜面に接合され、上記傾斜面と上記対向面のうち少なくとも一つには連結溝が形成されて、上記スラスト部材が上記スリーブに設けられる際に、上記連結溝によって上記連結部が形成されることができる。
【0026】
上記連結溝の幅は、一定に形成されるか、または上記スラスト部材の外径部側に向かってテーパ状に形成されることができる。
【0027】
上記スラスト部材は、少なくとも内周面と底面が上記スリーブの設置溝に接合されることができる。
【0028】
上記スラスト部材の上面には、スラスト流体動圧を発生させるためのスラスト動圧溝が形成されることができる。
【0029】
上記スリーブと上記スラスト部材は、互いに異なる材質からなるか、または互いに異なる材質で外部面がコーティングされることができる。
【0030】
上記スピンドルモーターは、上記スリーブの底面に固設されて潤滑流体の漏れを防止するカバー部材をさらに含むことができる。
【0031】
本発明の他の実施例によるスピンドルモーターは、ベース部材に固設されるスリーブと、上記スリーブの軸孔に回転可能に挿入配置されるシャフトと、上記シャフトの上端部に固設されるロータハブと、上記スリーブの上端部に固設されるスラスト部材と、上記スリーブの底面に固設されて潤滑流体の漏れを防止するカバー部材と、を含み、上記ロータハブの内径部側には、上記スリーブの外部面とともに軸受間隙を形成する対応傾斜面を有する突出部が備えられており、上記スリーブには上記対応傾斜面に対向配置される下向き傾斜面が形成され、上記対応傾斜面と下向き傾斜面は、互いに同一の角度を有するように傾斜して形成されるか、または互いに異なる角度を有するように傾斜して形成されることができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によると、スラスト部材の横断面が台形状を有することにより、外部衝撃時のスラスト部材の破損を低減させることができる。
【0033】
また、スラスト部材をスリーブに設けてスリーブの循環孔とシール部が互いに連通されるため、スリーブとカバー部材により形成される軸受間隙での負圧発生を低減させることができる。
【0034】
尚、軸受間隙に発生する気泡を軸受間隙の外部に円滑に排出させることができる。
【0035】
また、スリーブとカバー部材により形成される軸受間隙とシール部が連通されるように循環孔のみを形成する場合に比べ、負圧発生の低減のための構成を容易に形成することができる。
【0036】
即ち、スリーブとカバー部材により形成される軸受間隙とシール部が連通されるように循環孔を形成する場合に発生するスリーブの製造不良を低減させることができる。
【0037】
さらに、スラスト部材のロータハブに対向配置される部分が高い耐磨耗性の材質からなるか、または高い耐磨耗性の材質で外部面がコーティングされたスラスト部材が配置されるため、摩耗による異物発生を低減させることができる。
【0038】
さらに、高い耐磨耗性の材質からなるか、または高い耐磨耗性の材質で外部面がコーティングされたスラスト部材により、摩耗によってスラスト動圧溝から発生するスラスト流体動圧の低下を抑制することができる。
【0039】
また、ロータハブボディに形成される突出部によって、シャフトとロータハブボディの接触面積が増加されることができるため、シャフトとロータハブとの結合力がより増大されることができる。
【0040】
さらに、突出部が対応傾斜面を備えるため、外部衝撃が加えられる場合、ロータハブボディの内径部側でロータハブボディが破損されることをより抑制することができる。
【0041】
また、対応傾斜面により、外部衝撃時の突出部の破損による異物発生を低減させることができる。
【0042】
さらに、突出部の底面が傾斜して形成されない場合(例えば、突出部の横断面が四角形状を有する場合)に比べ、対応傾斜面によって潤滑流体がより容易に流動されることができ、圧力変化を低減させることができるため、気泡発生を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下では、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0045】
図1は本発明の一実施例によるスピンドルモーターを示す概略断面図であり、
図2は
図1のA部を示す拡大図であり、
図3は本発明の一実施例によるスピンドルモーターに備えられるスリーブ及びスラスト部材を示す部分切開分解斜視図であり、
図4は本発明の一実施例によるスラスト部材を示す斜視図であり、
図5は
図1のB部を示す拡大図であり、
図6は本発明の一実施例によるロータハブを示す部分切開斜視図である。
【0046】
図1から
図6を参照すると、本発明の一実施例によるスピンドルモーター100は、一例として、ベース部材110と、スリーブ120と、シャフト130と、ロータハブ140と、スラスト部材150と、カバー部材160と、を含んで構成されることができる。
【0047】
スピンドルモーター100は、記録ディスクを駆動させる記録ディスク駆動装置に採用されるモーターであることができる。
【0048】
ここで、まず方向に関する用語を定義すると、軸方向は
図1において、上、下方向、即ち、シャフト130の下部から上部に向かう方向またはシャフト130の上部から下部に向かう方向を意味し、半径方向は
図1において、左、右方向、即ち、ロータハブ140の外周面からシャフト130に向かう方向またはシャフト130からロータハブ140の外周面に向かう方向を意味する。
【0049】
また、周方向は、ロータハブ140またはシャフト130の外周面に沿って回転される方向を意味する。
【0050】
ベース部材110は固定部材であって、ステータ20を構成する。ここで、ステータ20とは、回転する部材を除いた全ての固定部材を意味するものであり、ベース部材110、スリーブ120などを含んで構成されることができる。
【0051】
また、ベース部材110は、スリーブ120が挿設される設置壁部112を備えることができる。設置壁部112は軸方向上部側に突出形成されており、設置壁部112には、スリーブ120が挿設されるための設置孔112aが形成されることができる。
【0052】
また、設置壁部112の外周面には、コイル102が巻線されたステータコア104が載置されるための支持面112bが形成されることができる。即ち、ステータコア104は、支持面112bに載置された状態で設置壁部112の外周面に接着剤により固設されることができる。
【0053】
但し、ステータコア104は、接着剤を用いることなく、設置壁部112の外周面に圧入されて設けられることもできる。即ち、ステータコア104の設置方式は接着剤による方式に限定されない。
【0054】
また、ベース部材110は、アルミニウム(Al)材質でダイキャスト(Die―Casting)することにより製造されることができる。また、鋼板を塑性加工(例えば、プレス加工)することによりベース部材110に成形することもできる。
【0055】
即ち、ベース部材110は様々な材質と様々な加工方法により製造されることができ、図面に図示されたベース部材110に限定されない。
【0056】
スリーブ120は、ベース部材110とともにステータ20を構成する固定部材であって、ベース部材110に固設され、循環孔121を備えることができる。
【0057】
即ち、スリーブ120は上記設置壁部112に挿入されて固設されることができる。換言すると、スリーブ120の外周面の下端部は、設置壁部112の内周面に接着剤、溶接、圧入のうち少なくとも一つの方式により接合されることができる。
【0058】
また、循環孔121は、スリーブ120の底面から軸方向に向かって延長形成されるとともに、傾斜して形成されることができる。但し、本実施例では、循環孔121が軸方向に向かうように形成されるとともに、傾斜して形成される場合を例として説明しているが、これに限定されない。
【0059】
即ち、循環孔121は、ベース部材110の上面に平行するように半径方向に形成されてもよく、軸方向にシャフト130と平行に形成されてもよい。また、循環孔は、二つの孔、即ち、軸方向に向かう孔と半径方向に向かう孔で構成されてもよい。
【0060】
一方、スリーブ120には、シャフト130が挿入配置される軸孔122が形成されることができる。シャフト130は軸孔122に挿入配置され、スリーブ120により回転可能に支持されることができる。
【0061】
また、スリーブ120の下端部には、潤滑流体の漏れを防止するためのカバー部材160が設けられる装着溝123が形成されることができる。また、カバー部材160が設けられる際に、カバー部材160の上面とスリーブ120の底面とによって潤滑流体が充填される軸受間隙が形成されることができる。
【0063】
軸受間隙とは、潤滑流体が充填される間隙を意味する。即ち、スリーブ120の内周面とシャフト130の外周面とにより形成される間隙、スリーブ120とロータハブ140とにより形成される間隙、カバー部材160とスリーブ120とにより形成される間隙、及びカバー部材160とシャフト130とにより形成される間隙を全て軸受間隙と定義する。
【0064】
また、本実施例によるスピンドルモーター100は、上記軸受間隙の全体に潤滑流体が充填される構造を採用しており、このような構造をフルフィル(Full―fill)構造ともいう。
【0065】
一方、スリーブ120の下端部には段差溝124が形成されることができ、段差溝124についての詳細な説明は後述する。
【0066】
また、スリーブ120の内周面には、シャフト130の回転駆動時に流体動圧を形成するための上、下部ラジアル動圧溝125、126が形成されることができる。また、上、下部ラジアル動圧溝125、126は、所定間隔で離隔されて配置されることができ、ヘリングボーン状またはスパイラル状を有することができる。
【0067】
但し、上記上、下部ラジアル動圧溝125、126は、スリーブ120の内周面に形成される場合に限定されず、シャフト130の外周面に形成されることもできる。
【0068】
また、スリーブ120の上端部には、上記スラスト部材150が設けられる設置溝127が形成されることができる。設置溝127は、スラスト部材150に対応する形状を有しており、設置溝127の底面に循環孔121の一側が開口されることができる。
【0069】
設置溝127については、スラスト部材150の説明時にさらに詳細に説明する。
【0070】
また、スリーブ120の上面には、軸孔122に向かって下向きに傾斜して形成される下向き傾斜面128が形成されることができる。下向き傾斜面128は、上記設置溝127の半径方向内側に配置され、ロータハブ140の内径部側の厚さが厚く形成されるようにする役割をする。
【0071】
シャフト130は回転部材であって、ロータ40を構成する。ここで、ロータ40とは、ステータ20により回転可能に支持されて回転される部材を意味する。
【0072】
一方、シャフト130は、スリーブ120により回転可能に支持されることができる。また、シャフト130の下端部には、上記段差溝124に挿入配置されるストッパ部132が形成されることができる。
【0073】
ストッパ部132は、シャフト130の下端部から半径方向外側に向かって延長形成されることができ、シャフト130がスリーブ120の上部側に離脱されることを防止するとともに、シャフト130の過浮上を防止する役割をする。
【0074】
即ち、ストッパ部132は、外部衝撃によってシャフト130がスリーブ120の上部側に離脱されてスリーブ120から分離されることを防止する。また、シャフト130の回転駆動時にシャフト130は所定高さに浮上されるが、この際、ストッパ部132はシャフト130が過度に浮上されることを防止する役割をする。
【0075】
また、シャフト130の上端部にはロータハブ140が結合されることができる。そのために、シャフト130がスリーブ120に設けられる際に、シャフト130の上端部はスリーブ120の上部に突出されるように配置されることができる。
【0076】
ロータハブ140は、シャフト130とともにロータ40を構成する回転部材であって、シャフト130の上端部に固設され、シャフト130と連動して回転される。
【0077】
一方、ロータハブ140は、シャフト130の上端部が挿入される装着孔142aが形成されたロータハブボディ142と、ロータハブボディ142の縁部から軸方向下側に向かって延長形成されるマグネット装着部144と、マグネット装着部144の端部から半径方向外側に向かって延長形成されるディスク載置部146と、を備えることができる。
【0078】
また、マグネット装着部144の内部面には駆動マグネット144aが設けられ、駆動マグネット144aはコイル102が巻線されたステータコア104の端部に対向配置される。
【0079】
一方、駆動マグネット144aは環状を有することができ、周方向に沿ってN極、S極が交互に着磁され、一定強さの磁気力を発生させる永久磁石であることができる。
【0080】
ここで、ロータハブ140の回転駆動について簡略に説明すると、ステータコア104に巻線されたコイル102に電源が供給されると、駆動マグネット144aとコイル102が巻線されたステータコア104との電磁気的相互作用により、ロータハブ140を回転させるための駆動力が発生する。
【0081】
これにより、ロータハブ140が回転される。また、ロータハブ140の回転により、ロータハブ140が固設されるシャフト130がロータハブ140と連動して回転されることができる。
【0082】
一方、ロータハブボディ142には、スリーブ120の外周面とともに、潤滑流体と空気との界面F1、即ち、気液界面F1が形成されるように、軸方向下側に延長形成される延長壁部142bが備えられることができる。
【0083】
延長壁部142bの内部面はスリーブ120の外周面に対向配置されており、スリーブ120の外周面と延長壁部142bの内部面のうち少なくとも一つは、気液界面F1を形成するように傾斜して形成されることができる。
【0084】
即ち、スリーブ120の外周面と延長壁部142bの内部面のうち少なくとも一つは、毛細管現象によって気液界面F1を形成するように傾斜して形成されることができる。
【0085】
また、スリーブ120の外周面と延長壁部142bの内部面は両方とも傾斜して形成されることもできる。この場合、二つの傾斜角が互いに異なるように形成されることができる。
【0086】
一方、延長壁部142bの内部面とスリーブ120の外周面により形成される空間をシール部106といい、気液界面F1は上記シール部106に配置されることができる。
【0087】
また、ロータハブボディ142の内径部側には、上記スリーブ120の下向き傾斜面128に対応するように傾斜して突出形成される突出部142cが備えられることができる。
【0088】
突出部142cはロータハブボディ142の内周面の面積を増加させる役割をし、これにより、ロータハブ140とシャフト130の接触面積が増加されることができる。
【0089】
ロータハブ140とシャフト130の接触面積が増加することにより、結局、ロータハブ140とシャフト130の結合力が増大されることができる。
【0090】
これについてより詳細に説明すると、ロータハブ140とシャフト130は接着剤または/及び圧入により結合される。この場合、ロータハブ140とシャフト130は、外部衝撃が加えられる場合にも分離されないように、一定の結合力で結合されなければならない。
【0091】
即ち、装着孔142aを形成するロータハブボディ142の内周面の軸方向長さは、シャフト130と接触結合されて一定の大きさ以上の結合力を発生させることができる長さを有しなければならない。
【0092】
そのためにロータハブボディ142に突出部142cが備えられ、突出部142cによってシャフト130とロータハブボディ142の接触面積が増加されることができる。これにより、シャフト130とロータハブ140の結合力がより増大されることができる。
【0093】
さらに、突出部142cは、スリーブ120の下向き傾斜面128に対応するように対応傾斜面142dを備えることができる。
【0094】
これにより、外部衝撃が加えられる場合、ロータハブボディ142の内径部側でロータハブボディ142が破損されることをより抑制することができる。
【0095】
即ち、突出部142cの底面が傾斜して形成されない場合(例えば、突出部の横断面が四角形状を有する場合)、外部衝撃が加えられる時に突出部の角側が外部衝撃によって破損されやすくなり、この場合、破損された異物が軸受間隙に流入されて、シャフト130の回転特性の低下をもたらす恐れがある。
【0096】
しかし、上記のように突出部142cの対応傾斜面142dとこれに対向配置されるスリーブ120の下向き傾斜面128が傾斜して形成されるため、外部衝撃時の破損が低減されることができ、さらにはシャフト130の回転特性の低下を防止することができる。
【0097】
また、突出部142cの底面が傾斜して形成されない場合(例えば、突出部の横断面が四角形状を有する場合)、傾斜して形成されていない突出部とスリーブ120とによって形成される軸受間隙が90度に折り曲げられるため、潤滑流体の流動を妨害するだけでなく、圧力変化を誘発させる。これにより、気泡が発生する恐れがある。
【0098】
しかし、上記のように突出部142cの対応傾斜面142dとスリーブ120の下向き傾斜面128が傾斜して形成されるため、潤滑流体がより容易に流動されることができ、さらには圧力変化を低減させることができる。
【0099】
また、外部衝撃時、傾斜して形成される突出部142cによって外力が水平方向の力と垂直方向の力に分散されるため、外部衝撃によるロータハブボディ142の破損をさらに低減させることができる。
【0100】
上記のように、薄型化を実現するためにロータハブボディ142の厚さを減少させる場合にも、突出部142cによってシャフト130とロータハブボディ142の内径部の接触面積の減少を抑制することにより、シャフト130とロータハブ140の結合力の低下を防止することができる。これにより、外部衝撃によってシャフト130とロータハブ140が分離されることを防止することができる。
【0101】
さらに、突出部142cの対応傾斜面142dが傾斜して形成されることにより、ロータハブボディ142の破損が低減され、潤滑流体がさらに容易に流動されるだけでなく、圧力変化が低減されることができる。
【0102】
一方、本実施例では、突出部142cの対応傾斜面142dとスリーブ120の下向き傾斜面128が互いに同一の角度で傾斜して形成されて、対応傾斜面142dと下向き傾斜面128が平行に配置される場合を例として説明しているが、これに限定されない。
【0103】
即ち、対応傾斜面142dと下向き傾斜面128は、互いに異なる勾配を有するように傾斜して形成されることもできる。
【0104】
スラスト部材150は、ベース部材110、スリーブ120とともにステータ20を構成する固定部材である。また、スラスト部材150はスリーブ120の設置溝127に設けられており、設置溝127に設けられる際に、循環孔121と連結される連結部170を形成することができる。
【0105】
連結部170は、スリーブ120とロータハブ140により形成されて気液界面F1が配置されるシール部106と循環孔121とを連結する役割をする。これについての詳細な説明は後述する。
【0106】
一方、スラスト部材150は、内径部側の厚さ(即ち、内径部側の軸方向長さ)と外径部側の厚さ(即ち、外径部側の軸方向長さ)が互いに異なるように形成されることができる。
【0107】
一例として、スラスト部材150の横断面は略台形状を有することができる。より詳細に説明すると、スラスト部材150の上端部の半径方向長さが下端部の半径方向長さより長く形成されることができる。また、スラスト部材150の内径は一定に形成されることができる。
【0108】
また、スラスト部材150の内周面は設置溝127の内壁面に接触され、スラスト部材150の底面は設置溝127の底面に接触されることができる。また、スラスト部材150には、底面から延長される傾斜面152が形成されることができる。
【0109】
上記のように、スラスト部材150の横断面が略台形状を有することにより、外部衝撃時のスラスト部材150の破損を低減させることができる。
【0110】
一方、スラスト部材150が設置溝127に設けられる際に、傾斜面152に対向配置される設置溝127の対向面127aと傾斜面152は所定間隔で離隔配置されて連結部170を形成することができる。
【0111】
上記のように、スラスト部材150がスリーブ120に設けられる際に、スラスト部材150とスリーブ120が連結部170を形成して、循環孔121とシール部106を連結することができる。
【0112】
結局、スラスト部材150をスリーブ120に設けるだけで、スリーブ120とカバー部材160により形成される軸受間隙とシール部106が互いに連通されるため、負圧発生を低減させることができる。
【0113】
換言すると、循環孔121と連結部170を介してスリーブ120とカバー部材160により形成される軸受間隙とシール部106が互いに連通されるため、スリーブ120とカバー部材160により形成される軸受間隙での負圧発生を低減させることができる。
【0114】
尚、軸受間隙に発生する気泡を軸受間隙の外部にさらに円滑に排出させることができる。
【0115】
また、スリーブ120とカバー部材160により形成される軸受間隙とシール部106が連通されるように循環孔のみを形成する場合に比べ、負圧発生の低減のための構成を容易に形成することができる。即ち、スリーブ120とカバー部材160により形成される軸受間隙とシール部106が連通されるように循環孔を形成する場合に発生するスリーブ120の製造不良を低減させることができる。
【0116】
一方、スラスト部材150は、スリーブ120の設置溝127に接着剤によって接合されることができる。また、設置溝127の内壁面と底面が接する角には接着剤が充填される溝が形成されて、スラスト部材150とスリーブ120の結合力を増大させることができる。
【0117】
また、スラスト部材150はスリーブ120と互いに異なる材質からなることができる。即ち、スラスト部材150は、耐磨耗性に優れた材質からなることができる。
【0118】
但し、これに限定されず、スラスト部材150とスリーブ120は同一の材質からなることもできる。この場合、スラスト部材150とスリーブ120は、互いに異なる材質で外部面がコーティングされることができる。即ち、スラスト部材150は、耐磨耗性を向上させるための材質で外部面がコーティングされることができる。
【0119】
一方、スラスト部材150の上面にはスラスト動圧溝154が形成されることができる。但し、スラスト動圧溝154は、スラスト部材150の上面に形成される場合に限定されず、ロータハブに形成されてもよい。
【0120】
カバー部材160は、ベース部材110、スリーブ120、スラスト部材150とともにステータ20を構成する固定部材であって、スリーブ120の底面に固設されて潤滑流体の漏れを防止する。
【0121】
即ち、カバー部材160は、スリーブ120の装着溝123に接着、溶接のうち少なくとも一つの方式により接合されることができる。
【0122】
上記のように、スラスト部材150の横断面が略台形状を有することにより、外部衝撃時のスラスト部材150の破損を低減させることができる。
【0123】
また、スラスト部材150をスリーブ120に設けることによりスリーブ120の循環孔121とシール部106が互いに連通されるため、スリーブ120とカバー部材160により形成される軸受間隙での負圧発生を低減させることができる。
【0124】
尚、軸受間隙に発生する気泡を軸受間隙の外部に円滑に排出させることができる。
【0125】
また、スリーブ120とカバー部材160により形成される軸受間隙とシール部106が連通されるように循環孔のみを形成する場合に比べ、負圧発生の低減のための構成を容易に形成することができる。
【0126】
即ち、スリーブ120とカバー部材160により形成される軸受間隙とシール部106が連通されるように循環孔を形成する場合に発生するスリーブ120の製造不良を低減させることができる。
【0127】
さらに、スラスト部材150のロータハブ140に対向配置される部分が高い耐磨耗性の材質からなるか、または高い耐磨耗性の材質で外部面がコーティングされたスラスト部材150が配置されるため、摩耗による異物発生を低減させることができる。
【0128】
さらに、高い耐磨耗性の材質からなるか、または高い耐磨耗性の材質で外部面がコーティングされたスラスト部材150により、摩耗によってスラスト動圧溝154から発生するスラスト流体動圧の低下を抑制することができる。
【0129】
また、ロータハブボディ142に形成される突出部142cによって、シャフト130とロータハブボディ142の接触面積が増加されることができるため、シャフト130とロータハブ140の結合力がより増大されることができる。
【0130】
さらに、突出部142cが対応傾斜面142dを備えるため、外部衝撃が加えられる場合、ロータハブボディ142の内径部側でロータハブボディ142が破損されることをより抑制することができる。
【0131】
また、対応傾斜面142dにより、外部衝撃時の突出部142cの破損による異物発生を低減させることができる。
【0132】
さらに、突出部142cの底面が傾斜して形成されない場合(例えば、突出部の横断面が四角形状を有する場合)に比べ、対応傾斜面142dによって潤滑流体がより容易に流動されることができ、圧力変化を低減させることができるため、気泡発生を抑制することができる。
【0133】
以下、図面を参照して本発明の他の実施例によるスピンドルモーターについて説明する。但し、上記で説明した本発明の一実施例によるスピンドルモーターに備えられる構成と同一の構成に対しては、図面の図示及び詳細な説明を省略する。
【0134】
図7は本発明の他の実施例によるスピンドルモーターの
図1のA部に対応する部分を示す拡大図である。
【0135】
図7を参照すると、スラスト部材250の横断面は略台形状を有することができる。
【0136】
また、スラスト部材250の内周面は設置溝227の内壁面に接触され、スラスト部材250の底面は設置溝227の底面に接触されることができる。また、スラスト部材250には、底面から延長される傾斜面252が形成されることができる。
【0137】
一方、スラスト部材250が設置溝227に設けられる際に、傾斜面252に対向配置される設置溝227の対向面227aと傾斜面は所定間隔で離隔配置されて連結部270を形成することができる。
【0138】
上記のように、スラスト部材250がスリーブ220に設けられる際に、スラスト部材250とスリーブ220が連結部270を形成して、循環孔221とシール部206を連結することができる。
【0139】
また、上記傾斜面252と、傾斜面252に対向配置される設置溝227の対向面227aは、互いに異なる勾配を有しており、傾斜面252と設置溝227の対向面227aとにより形成される間隙は、半径方向外側に向かって広くなるように形成されて連結部270を形成することができる。
【0140】
即ち、循環孔221に連結される連結部270の一端側からシール部206に連結される連結部270の他端側に向かってテーパ状に形成されることができる。
【0141】
これにより、連結部270での気泡発生を低減させることができる。
【0142】
以下、図面を参照して本発明のさらに他の実施例によるスピンドルモーターについて説明する。但し、上記で説明した本発明の一実施例によるスピンドルモーターに備えられる構成と同一の構成に対しては、図面の図示及び詳細な説明を省略する。
【0143】
図8は本発明の他の実施例によるスピンドルモーターに備えられるスリーブ及びスラスト部材を示す斜視図であり、
図9は
図8のX‐X´線に沿った断面図であり、
図10は
図8のY‐Y´線に沿った断面図である。
【0144】
図8から
図10を参照すると、スラスト部材350には傾斜面352が形成されることができる。また、スラスト部材350がスリーブ320に設けられる際に、スラスト部材350の傾斜面352が設置溝327の対向面327aに接合されることができる。
【0145】
一方、傾斜面352には連結溝352aが形成されることができ、スラスト部材350がスリーブ320に設けられる際に、連結溝352aによって連結部370が形成されることができる。
【0146】
上記のように、傾斜面352が設置溝327の対向面327aに接合されるため、スリーブ320とスラスト部材350の結合強度が増加されることができる。
【0147】
一方、連結溝352aの幅は一定に形成されることができる。
【0148】
但し、本実施例では、連結溝352aが傾斜面352に形成される場合を例として説明しているが、これに限定されず、連結溝352aは傾斜面352に対向配置される設置溝327の対向面327aに形成されてもよい。
【0149】
以下、図面を参照して本発明のさらに他の実施例によるスピンドルモーターについて説明する。但し、上記で説明した本発明の一実施例によるスピンドルモーターに備えられる構成と同一の構成に対しては、図面の図示及び詳細な説明を省略する。
【0150】
図11は本発明のさらに他の実施例によるスピンドルモーターに備えられるスラスト部材を示す斜視図である。
【0151】
図11を参照すると、スラスト部材450には傾斜面452が形成されることができる。一方、傾斜面452には連結溝452aが形成されることができ、スラスト部材450がスリーブ320(
図10参照)に設けられる際に、連結溝452aによって連結部370(
図10参照)が形成されることができる。
【0152】
一方、連結溝452aはテーパ状に形成されることができる。即ち、連結溝452aは、半径方向外側に向かって幅が広くなるように形成されることができる。これにより、気泡発生を抑制することができる。
【0153】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の権利範囲はこれに限定されず、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から外れない範囲内で多様な修正及び変形が可能であるということは、当技術分野の通常の知識を有する者には明らかである。
前記対応傾斜面と前記他方側向き傾斜面は、互いに同一の角度を有するように傾斜して形成されるか、または互いに異なる角度を有するように傾斜して形成される、請求項1または2に記載のスピンドルモーター。