(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-108624(P2015-108624A)
(43)【公開日】2015年6月11日
(54)【発明の名称】タイミング動作の傾向を表示する方法及び関連する計時器
(51)【国際特許分類】
G04C 3/00 20060101AFI20150515BHJP
G04F 8/02 20060101ALI20150515BHJP
【FI】
G04C3/00 B
G04F8/02 D
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-242777(P2014-242777)
(22)【出願日】2014年12月1日
(31)【優先権主張番号】13195537.9
(32)【優先日】2013年12月3日
(33)【優先権主張国】EP
(71)【出願人】
【識別番号】591048416
【氏名又は名称】ウーテーアー・エス・アー・マニファクチュール・オロロジェール・スイス
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ジャン−ベルナール・ペテルス
(72)【発明者】
【氏名】ステファーヌ・リシュン
【テーマコード(参考)】
2F085
2F101
【Fターム(参考)】
2F085BB01
2F085CC04
2F085DD07
2F101AB06
2F101AC01
2F101AC06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】よりユーザーフレンドリーで、時間間隔をユーザーが容易に視覚化し比較することを可能にする携行可能な計時デバイスのための表示方法及びデバイスを提供する。
【解決手段】ベゼル150と対向する中心車10を中心に回転する現在時刻表示用の時間針11及び分針12と、及びクロノグラフモジュールとを有する計時器であって、測定した時間間隔に関連する第1のアナログ傾向インジケーター14をさらに有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定時間を表示する手段と、少なくとも第1のアナログ傾向インジケーター(14)と、制御インタフェース(30)と、及び前記アナログ傾向インジケーター(14)を作動させる電子回路(40)とを有する携行可能な腕時計(1)において制御及び表示する方法であって、
第1の所定の時間間隔(T1)をプログラムする第1のステップ(E1)と、
第2の時間間隔(T2)を測定する第2のステップ(E2)と、
第2の時間間隔(T2)を表示する第3のステップ(E3)と、
前記第1のアナログ傾向インジケーター(14)の支援を受けて、前記第1の所定の時間間隔(T1)と前記第2の時間間隔(T2)の間の正又は負の差(D)を表示する第4のステップ(E4)と
を有することを特徴とする制御及び表示する方法。
【請求項2】
前記差(D)として表示される値は、前記第1の所定の時間間隔(T1)に比例する相対的な値である
ことを特徴とする請求項1に記載の制御及び表示する方法。
【請求項3】
前記第1のプログラムステップ(E1)はマニュアル的に行われ、前記第2の測定ステップ(E2)は、トランスポンダーモジュール(48)又はGPSモジュール(49)によって少なくとも部分的に自動で行われる
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の制御及び表示する方法。
【請求項4】
前記第1の時間間隔(T1)をプログラムする前記第1のマニュアル的ステップは、前記所定の地理的位置(L1)のマニュアル的プログラムと相互に関連している
ことを特徴とする請求項3に記載の制御及び表示する方法。
【請求項5】
別個の第1の所定の時間間隔(T1)の前記第1のステップ(E1)を1よりも大きい数(N)含む第1のプログラムシーケンス(S1)と、及び
別個の第2の時間間隔(T2)の第2の時間間隔計測ステップ(E2)を前記数(N)含む第2のシーケンス(S2)とを有し、
前記第2のシーケンス(S2)の終わりに、前記第1のシーケンス(S1)の前記第1の所定の時間間隔(T1)の合計と、アナログの形態の前記第2のシーケンス(S2)の前記第2の時間間隔(T2)の合計との間の全体の差(G)を表示する第5のステップ(E5)を有する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の制御及び表示する方法。
【請求項6】
前記差の表示を設定する補助的ステップ(E6)を有する
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の制御及び表示する方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の制御及び表示する方法を行うように実装された携行可能な計時器であって、
現在時刻表示用に、中心車(10)を中心に回転する時間針(11)及び分針(12)と、及びクロノグラフモジュールを有し、
このクロノグラフモジュールは、第1の所定の時間間隔(T1)と第2の測定時間間隔(T2)の間の正又は負の差(D)を表示するように構成する第1のアナログ傾向インジケーター(14)をさらに有する
ことを特徴とする携行可能な計時器。
【請求項8】
前記アナログ傾向インジケーター(14)は、中心車(10)を中心に回転自在に取り付けられ、かつ、ベゼル(150)に対して回転するように動く付加的な針であり、
前記ベゼル(150)は、前記第1の所定の時間間隔(T1)に対する遅れを表す第1の表示セグメント(151)と、及び前記第1の所定の時間間隔(T1)に対する進みを表す第2の表示セグメント(152)を少なくとも有し、
前記第1及び第2の表示セグメント(151、152)は、正午の位置の両方の側に位置する
ことを特徴とする請求項7に記載の携行可能な計時器。
【請求項9】
前記ベゼル(150)は、非常に制限された角セグメントにわたって延在し、かつ、前記第1の所定の時間間隔(T1)と前記第2の測定時間間隔(T2)の間の対応を表す第3の表示セグメント(153)を有し、
前記第3の表示セグメントが、前記第1のアナログ傾向インジケーター(14)と合致するように構成する
ことを特徴とする請求項8に記載の携行可能な計時器。
【請求項10】
前記第1の表示セグメント、前記第2の表示セグメント及び前記第3の表示セグメント(151、152、153)は、前記ベゼル(150)の角セクターにわたって延在する一連のブロック(154)で作られた読み取りスケールを有する
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の携行可能な計時器。
【請求項11】
当該計時器は、前記第1のアナログ傾向インジケーター(14)とは異なり、かつ、前記第1の所定の時間間隔(T1)の第1の合計と第2の測定時間間隔(T2)の第2の合計との間の差を示すように構成する第2のアナログ傾向インジケーター(18)を有する
ことを特徴とする請求項7〜10のいずれか一項に記載の携行可能な計時器。
【請求項12】
前記アナログ傾向インジケーター(14)及び前記第2のアナログ傾向インジケーター(18)は、前記中心車(10)を中心に同軸に取り付けられ、かつ、
前記第2のアナログ傾向インジケーター(18)が前記第1の時間間隔(T1)の合計にわたっての全体の差(G)を示す場合以外は常に、重なり合うように構成する
ことを特徴とする請求項11に記載の携行可能な計時器。
【請求項13】
前記制御インタフェース(30)は、3つの別個の押し片(P1、P2、P4)と、及び
少なくとも1つの位置が前記アナログ傾向インジケーター(14)の設定モードに対応するような少なくとも3つの別個の位置に軸方向に移動可能なステム(T)とを有する
ことを特徴とする請求項7〜11のいずれか一項に記載の携行可能な計時器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携行可能な計時デバイスのための制御及び表示の方法に関し、より詳細には、電気機械式クロノグラフのための制御及び表示の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
達成したパフォーマンスをスポーツ選手又はそのコーチに示すために、スポーツ活動においてデジタル表示機能を有する携行可能な電子クロノグラフ(ストップウォッチ)が非常に長い間使われてきた。しかし、表示がデジタルであるために、これらのクロノグラフは、特に差を視覚化することについて、記録された時間を非常に直観的に読み取ることができるようにはなっていない。なぜなら、例えば、針の場合のようには、運動の範囲についての概念がないからである。
【0003】
また、針を備えたクロノグラフは、一般に10分の1秒までの精度で時間間隔を測定する機械測時分野において広く知られている。円運動を行う秒針の動作が押しボタンによって開始し停止され、ベゼルで測定時間間隔の秒が読み取られ、そして他の時間単位(例えば、分、時間、秒の一部)が他のカウンターで読み取られる。この種のクロノグラフの課題は、連続的な時間間隔、あるいは全体の累積的な時間間隔しか測定することができないということである。したがって、複数の測定時間を同時に視覚化することができない。
【0004】
また、予めプログラムされた事象に関連する経過時間又は残存時間を表示する機能を備える腕時計が知られている。これは、例えば、宇宙飛行を行う宇宙飛行士のために考えられた欧州特許EP1807738に記載の腕時計である。これにおいて、所与の将来の事象までの残存時間が負の表示として示され、過去の事象からの経過時間が正の表示として示される。この多機能な腕時計は、所定の事象に対してのいくつかのカウントダウンを同時にプログラムすることができ視覚化することができる。しかし、標準的なクロノグラフのように、固定した時間間隔を測定したり比較したりするようには構成していない。また、時間値のデジタル表示は、時間間隔の大きさの直観的な表現を提供していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように、これらの既知の制限がないような測定時間を表示する方法及びデバイスの必要性がある。
【0006】
より詳細には、本発明は、よりユーザーフレンドリーで、時間間隔をユーザーが容易に視覚化し比較することを可能にする携行可能な装置のための表示方法及びデバイスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これらの目的は、主要な方法クレームの請求項1に記載の特性を有する携行可能なクロノグラフのための制御及び表示の方法、及び主要な装置クレームである請求項7に記載の特性を有する腕時計のような携行可能な計時器によって達成される。従属請求項において、好ましい実施形態が記載されている。
【0008】
本発明の利点は、測定時間間隔と目標時間間隔との間の差を明瞭な手法で表すことができることであり、したがって、このような差の実時間での読み取りを促進する。より詳細には、このような差の相対的な性質を非常に直観的な方法で表示することができる。
【0009】
本発明の別の利点によって、時間が計測されるトライアルのための新しい関連するパフォーマンス表示が提案される。これによって、スポーツ選手がレース用の「ダッシュボード」を補足し、用意された計画と比較してパフォーマンスをモニタリングする有効な方法を提供するような追加情報にアクセスすることを容易にする。
【0010】
本発明の実装例を、発明の詳細な説明において記載し、添付図面に示した。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本発明の第1の好ましい実施形態による傾向インジケーターを備えた携行可能な腕時計を示す。
【
図2】
図2は、本発明の好ましい実施形態による制御及び表示の方法の様々なステップの図を示す。
【
図3】
図3は、本発明の第2の好ましい実施形態に従う2つの傾向インジケーター及びデジタル表示デバイスを備えた携行可能な腕時計を示す。
【
図4】
図4は、
図2に示した本発明の好ましい実施形態による方法が実装される携行可能な腕時計のブロック図であり、これは、より詳細には、
図3に示す実施形態による携行可能な腕時計にも適用できる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1は、本発明の好ましい一実施形態によるアナログ傾向インジケーター14を備えた腕時計1を示す。この腕時計1は、ムーブメントの時間針11及び分針12の中心車10を中心に回転する付加的な針を有する。腕時計1は、表盤16を有し、この表盤16の上には、腕時計1の周囲全体にわたって一連の目盛り155を有するベゼル150を備えている。表盤16によって現在時刻の読み取りを促進することができ、表盤16には、4時の位置に、日付表示のために開口19が設けられている。また、ケースの中間の高さから外側に突き出ている3つの押し片P1、P2及びP4が、時間測定及び設定動作を行うために設けられている。これらは、
図2を参照して以下において説明するように、特に、測定のための基準時間間隔を設定するためのものである。現在時刻をセットし、異なる動作モードを決定するために、制御ステムTも設けられている。このステムTは、好ましくは、少なくとも3つの別個の軸方向の位置に動くことができ、これらの位置の1つは、アナログ傾向インジケーター14のための設定モードに対応し、別の1つは、現在時刻の設定に対応する。小さな3つの針が表盤16上に配置され、これに関連づけられた3つのカウンターと対向する。すなわち、6時の位置に、現在時刻の小さな秒針13がある。2時の位置に、クロノグラフモジュールの10分の1秒カウンター230の10分の1秒針23がある。そして、10時の位置に、クロノグラフモジュールの分カウンター220の分カウンター針22がある。クロノグラフモジュールの秒カウンター針21も、中央の時間車10を中心に回転するように従来の手法で配置されている。さらに、ここで提案する本構成によって、クロノグラフで通常使用される表示構造の改変を必要とせずに、従来の携行可能な腕時計にアナログ傾向インジケーター14を設けることが可能になる。
【0013】
環状のベゼル150上には、正午の両側に、少なくとも2つの別個の表示セグメント、すなわち、所定の時間間隔に対する遅れを表す第1の表示セグメント151と、同じ所定の時間間隔に対する進みを表す第2の表示セグメント152とが配置されている。この構成は、特に、瞬間的に読み取る際に直観的に読み取ることを可能にする。なぜなら、腕時計の正午の位置(
図1における目盛り「60」の位置)が、時間上の基準として一般に受けとめられており、クロノグラフの秒カウンター針21の静止位置に選ばれている。したがって、この位置を、第1のアナログ傾向インジケーター14として選択される付加的な針のための静止位置として選ぶことが好ましい。この第1のアナログ傾向インジケーター14によって、中立的な値の属性を与えられるこの通常の基準に対するいずれの遅れ及び進みをも腕時計のユーザーが直観的に視覚化することが可能になる。
【0014】
ベゼル150は、正午の位置近くに配置された第3の表示セグメント153をさらに有し、これは、所定の時間と、クロノグラフモジュールの支援を受けて測定される時間とが正確に対応していることを示す。この理由によって、この第3の角セグメントは、他のセグメントと比較して非常に狭いことが好ましい。他のセグメントは、
図1において、9時から正午まで、及び正午から3時まで、すなわち、約90度にわたって、それぞれが延在する。傾向表示の直観的な性質を強調するために、表示セグメントそれぞれに対して異なる色パターンを選ぶことができる。例えば、遅れに対しては赤で、進みに対しては緑というようにである。第3の表示セグメント153は、傾向(trend)針と正午の位置で合致するように構成することができる。これは、これらを、例えば、同じ色(青色、黄色)としたり、又は代替的もしくは付加的に、正午の位置で下を指す三角形を形成し、第1の傾向インジケーターの端において上を指す三角形のような対応するパターンを形成するようにしてもよい。
【0015】
図示した好ましい実施形態において、3つの表示セグメント151、152、153のそれぞれは、ベゼルの一連の目盛り155に重なり合ったブロック154で形成する読み取りスケールを有する。正午の位置の第3セグメント153は、好ましくは、1つのブロック154のみで形成される。これによって、正午の位置の目盛りが周りから目立つようになり、また、この例において180度超にわたって延在する傾向(trend)表示の角セクターではないベゼル150の他の目盛りの他のブロックのそれぞれについても同じことがいえる。この角度は、好ましくは最大の角度的範囲である。結果として、読み取りスケールは、完全に均質であり、腕時計のいくつかの既存の要素を再利用することができることを意味し、これは有利である。このように再利用できる既存の要素としては、例えば、現在時刻の読み取りを促進するために周囲全体にわたって一連の目盛りが設けられた従来のベゼル150がある。
【0016】
図1の好ましい実施形態によれば、第1のアナログ傾向(trend)インジケーター14として選ばれた付加的な針は、クロノグラフモジュールの秒カウンター針21よりも少し長くなっている。これによって、読み取りブロック154を直接指すことができ、2つの針を混同しないようになる。しかし、代替実施形態によれば、読み取りスケールを、表盤16のフランジ上又は周部分におけるアナログ傾向インジケーター14の端に対向するように配置することができる。これによって、腕時計が目盛り付きベゼル150を有する場合、計時動作における傾向に関連する情報の読み取りを、現在時刻に関連する情報から完全に分離することができる。
【0017】
図2は、各ステップのシーケンスのフロー図を示す。このシーケンスを使用して、一又は複数の目標時間間隔をプログラム(設定)して、次に、一又は複数の時間間隔を測定し、その後に、結果として得られた差を表示することができる。以下の説明では、
図1及び
図2の両方を参照して、腕時計の好ましい一実施形態について説明する。これは、アナログ傾向インジケーターを1つのみ有し、時間間隔の測定がまったくマニュアル的であり、すなわち、押し片のうちの1つを押すことによって開始し停止される。また、その後で
図2及び
図3の両方を参照して、別の好ましい実施形態について説明する。その腕時計は、2つの別個のアナログ傾向インジケーターを有し、1つの測定ステップにわたって、及び一連の測定ステップにわたって、絶対的又は相対的な差を示し、時間間隔の測定は、部分的に自動的である。すなわち、好ましくは、押し片を押すことによって開始するがユーザーによる更なるマニュアル的(非自動的)な介在を必要とせずに停止される。
【0018】
第1のステップE1は、所定の時間間隔T1のプログラムに関連するものであり、これを
図2の一番上に示した。
図1に示すような携行可能な腕時計を使用する場合、この第1のプログラムステップは、プログラムされる所定の時間間隔T1それぞれに対して以下のシーケンスを行うことを伴う。
(i)設定モードに入るように第3の押し片P4を押す。
(ii)セットされる時間パラメーターを選択するように第1の押し片P1を押す。この時間パラメーターは、所定の順序で決定することができる。例えば、まずすべての分、その後、秒、その後、10分の1秒という順序である。
(iii)選択された時間パラメーターを実際にセットするために第2の押し片P2を押す。
(iv)第2の押し片P2の支援を受けて選択される時間値を有効にするように第3の押し片P4を短く押す。
−第1の所定の時間間隔T1の時間パラメーターのそれぞれをセットし有効にするようにステップ(ii)〜(iv)を繰り返す。
−最後に、設定モードを抜けるように、第3の押し片P4に対して長い間、例えば、少なくとも数秒間、押圧する。
【0019】
この一連のステップは、1つの所定の時間間隔をプログラムすることしか必要とされていない場合には十分である。この所定の時間間隔は、例えば、各ラップのためにプログラムされる基準時間と比較される陸上競技のトラックでのトレーニング及びトラック走破時間を測定するための時間間隔である。しかし、レースの異なる部分に対応する複数の別個の所定の時間間隔をプログラムすることが望ましい場合もある。このレースの異なる部分とは、例えば、高度(平坦、登り、下り)における差及び/又は非常に異なる距離を有するレースプロファイルの時間に対しての一般的な走り又は自転車のレースの異なる部分である。このような複数の時間間隔のプログラムを達成するためには、第3の押し片P4を長く押すことによって設定モードを離れる代わりに、第1のアナログ傾向インジケーター14をベゼル150の目盛り155の1単位の分増分して、可能性のある時間パラメーターがすべてセットされてから、第2の所定の時間間隔T1の設定にその変更を示すことができる。そして、プログラムすることが必要とされる所定の時間間隔T1それぞれに対して、上記のステップ(ii)〜(iv)の同じシーケンスが繰り返される。
【0020】
したがって、
図2の左側に示すように、所定の時間間隔T1の第1のプログラムシーケンスS1が、プログラムされるステップ群の数、すなわち、別個の所定の時間間隔T1の数、に対応するN回の反復を伴うことができる。
【0021】
本発明の別の好ましい一実施形態においては、
図1に示す携行可能な腕時計1を使用せず、
図3に示す携行可能な腕時計を使用するものであり、これは、所定の地理的位置への移動を自動的に検出することができるGPSモジュール49(
図4のブロック図においてのみ示した)を有することが好ましい。このようなモジュールは、山岳レースに対して特に有利である。特に、気象条件によって手袋を着用することが必要となって押し片の操作が難しくなるような、スイスで開催されるのPatrouille des Glaciers山岳レースなどのスキーレースにおいて有利である。このような場合に、所定の時間間隔T1それぞれのプログラムは、対応する位置L1に関連づけられている必要がある。これは、所与の時間間隔T1の可能性のある時間パラメーターのうちの最後のものの最後の有効化ステップ(iv)に続いて、付加的なプログラムステップを行うことによって、遂行される必要がある。例えば、第3の押し片P4を短く押すのではなく第3の押し片P4を長く押すことによって、特定のGPSプログラムモードが既に始動されたと仮定すると、例えば、すべての可能性のあるGPS座標が入力され有効となるまで、上記ステップ(ii)〜(iv)のものと同様な設定ステップの以下のような付加的なシーケンスの支援を受けながら、所定の時間間隔T1のそれぞれをセットした後にGPS座標を調整する必要がある。すなわち、
−セットするGPSパラメーターを決定するために、第1の押し片P1を押し、その後、
−第2の押し片P2の支援を受けて、GPSパラメーターをセットし、そして最後に、
−第3の押し片P4の支援を受けて、このパラメーターを有効にする。
これが遂行されるとすぐに、以前のように、最後のGPSパラメーターが有効化すると、第3押し片P4を短く押すことによって、所定の時間間隔T1及び付加的な対応する地理的位置をプログラムし続けるか、あるいは第3の押し片P4を長く押すことによって設定モードを離れるかのいずれかを選択することができる。
【0022】
この第1のプログラムシーケンスS1が完了すると、随意的な設定ステップE6において、第1のアナログ傾向インジケーターを形成する針と対向するスケールの細かさを選択することによって、傾向表示をセットすることを選ぶことができる。実際に、本発明の範囲内において、絶対的な時間差、すなわち、実際の時間値に対応するものを表示することを想起することもできるが、相対的な傾向表示、すなわち、差が、プログラムされた所定の時間間隔T1の割合に対応するものの方が好ましい。
図1及び
図3に示す好ましい実施形態によると、進みと遅れに関連する表示セグメントのそれぞれが15単位を有することがわかる。このことは、相対的な差にリンクされる割合が高々15%であることを意味する。この設定ステップによって、これらの単位の値が複数の整数を有し、最大のパーセンテージを、例えば、30ないし45%まで上げることが可能になる。このことは、例えば、制御ステムTの軸方向の位置を1ノッチ外側に引いて変えることによって、設定モードに入ることで遂行される。この制御ステムTの軸方向の位置において、第3の押し片P4を押すことによって、例えば、第1の押し片P1又は第2の押し片P2を押し続けることによって、第1のアナログ傾向インジケーター14に対向するベゼル150の目盛り155で読まれる値を増分することができる。この増分の値は、押し片への連続的な押圧の1単位であり、倍数因子となる。したがって、第1の押圧が通常モードに対応する。すなわち、倍数因子が1である。第2の押圧は、倍数因子が2であることを意味する。第3の押圧は、倍数因子が3であることを意味する、と続く。このような倍数因子は、一般に、最大5に制限される。このことは、表示される相対差の範囲が、所定のプログラムされた時間間隔T1の−75と+75%の間に含まれるということを意味する。
【0023】
随意的な設定ステップE6が行われると、第2のシーケンスS2を行うことができる。これは、様々な所定の時間間隔T1のための第1のプログラムシーケンスS1の反復の数Nと等しい反復の数Nを有する。シーケンスS2は、以下の一連のステップを有する。すなわち、
−第1のプログラムされた所定の時間間隔T1に対応するように意図された第2の時間間隔T2の第2の計測ステップE2、その後、
−この第2の時間間隔T2を表示する第3のステップE3、その後、
−第1のアナログ傾向インジケーター14によって、第1の所定の時間間隔T1と第2の時間間隔T2の間の差Dを表示する第4のステップE4、
である。上記のように、表示される差Dは、絶対差であっても相対差であってもよい。
図1に示す本発明の好ましい実施形態によって、第1のアナログ傾向インジケーター14として使用される付加的な針は、クロノグラフの秒カウンターの針21と同軸であって同様な長さを有し、好ましくは、秒のみで絶対差を測る。したがって、第1の所定の時間間隔T1に対する割合として相対差Dを表示することが好ましい。すなわち、差Dを決定する関数f(T2−T1)が、(T2−T1)/T1と等しいことが好ましい。
【0024】
好ましい一実施形態によると、時間間隔の測定は、第1の押し片P1を押すことによって開始され、他方、第2の時間間隔ステップE2のそれぞれに対して、押し片P2が押される。これによって、開始時から経過した時間をカウントし続けながら、クロノグラフを止める。差Dを表示する第4のステップの後で、第1のアナログ傾向インジケーター14が後の各ステップにおいてゼロにリセットされる。他方、クロノグラフ表示は、好ましくは数秒の後に、測定開始時からの経過時間の表示値に戻る。
【0025】
クロノグラフを止めるために、すなわち、計測ステップを終了するためと一連の測定ステップの開始時からの経過時間を停止するための両方のために、第1の押し片P1を押すことが好ましい。本発明の好ましい一実施形態によると、第2のシーケンスS2の終わりに、すなわち、最後の測定ステップの差Dを表示する第4のステップE4の後に、第5の表示ステップE5が、測定ステップのすべてにわたっての全体の差G、すなわち、全経過時間を通しての差を表示する。したがって、全体の差Gは、測定反復の数Nにわたっての差(D)の合計に等しい。これを達成するために、
図1に示す腕時計のような単一の傾向インジケーターを備えた腕時計を使用する場合、最後の計測ステップの差Dを、第1のアナログ傾向インジケーター針14によってまず表示して、そして、好ましくは数秒の後に、全体の差Gの表示に同じ針が戻ることができる。
【0026】
図3は、本発明の別の好ましい一実施形態を示す。これは、測定ステップのそれぞれの計時がいくつかある場合にそれらにわたっての傾向を択一的ではなく同時に表示するために別個の専用インジケーターと、第5の表示ステップE5時の一連の測定ステップの終わりにおける全体的な傾向を使用する。択一的ではなく同時に、同じ傾向パラメーターに関連する2つの情報、すなわち、特定のステップに対応する差D及び全体の差Gを表示するために、第1のアナログ傾向インジケーター14に加えて、第2のアナログ傾向インジケーター18が使用される。この第2のアナログ傾向インジケーター18は、測定反復の数Nに対して、第1の所定の時間間隔T1の第1の合計と第2の測定時間間隔T2の第2の合計との間の全体的で、好ましくは相対的な差Gを示す。
図3に示す好ましい実施形態によると、第2のアナログ傾向インジケーター18は、ムーブメントの針の同じ中心車10を中心として第1のアナログ傾向インジケーター14に同軸に取り付けられ、これによって、第1のアナログ傾向インジケーター14によって使用される第1、第2及び第3の表示セグメント151、152及び153の同じ目盛りに対向する表示値を読み取ることができる。また、付加的なスペースがない付加的なモーターを1つのみベゼル上で必要となる。また、このような構成は、共通のスケールで同時に表示された2つの情報の間の比較の直観性を増進する。この第2のアナログ傾向インジケーターは、ムーブメントの時間針11の長さと実質的に等しい、より短い長さを有し、これは、全体的な、好ましくは、第1の時間間隔T1の合計にわたっての相対的な差Gを示す場合以外は常に、第1のアナログ傾向インジケーターに重なり合うように構成する。
【0027】
なお、第2のアナログ傾向インジケーター18の追加以外において、
図3に示す好ましい実施形態と
図1の実施形態の間の他の唯一の差は、表盤16上の6時の位置における小さな秒針13がないことと、これが、LCD型ディスプレーのようなデジタル表示モジュール17に置換されていることである。このデジタル表示モジュール17は、具体的には、
図2を参照して上で説明したように、第1の所定の時間間隔T1にそれぞれ関連づけられた所定の位置L1に対応するGPS座標を入力するために使用される。また、このデジタル表示モジュール17は、現在のプログラムステップの数を示す針の位置合わせをするために、付加的又は代替的に、現在のプログラムステップの数に関連する付加的な情報を提供することができる。これは、第1のプログラムシーケンスS1における第1の所定の時間間隔T1のセットからその後の時間間隔への変化に対して上記の1単位分の第1のアナログ傾向インジケーター14の増分のにようにである。
【0028】
これらの差を除いては、
図3についての説明事項はすべて
図1のものと同一であり、従って同一の参照番号を付し再び記載しない。
【0029】
図4は、計時動作にわたっての傾向を表示するために以下の3つのブロックに細分された本発明の好ましい実施形態に係る携行可能な電子腕時計のブロック図を示す。すなわち、
−第1の押し片P1、第2の押し片P2、第3の押し片P4及びステムTによって形成される制御インタフェース30
−両方のアナログインジケーター、すなわち、第1のアナログ傾向インジケーター14及び第2のアナログ傾向インジケーター18、及びプログラムシーケンス時に使用されるデジタルモジュール17を有する表示モジュール50
−電子制御回路40
のブロックである。
【0030】
電子回路40は、好ましくは、様々な押し片に対する押圧を検出しカウントするセンサーユニット41と、及びコントローラ回路42とを有する。センサーユニット41に対しては、カウンターモジュールをスレーブモジュールとして使用することができる。コントローラ回路42は、例えば、一方では時間ベース45を提供するために共振器に接続された時間分割回路に、また、他方では、アナログ表示メンバーに対する第1のモータ制御回路46に、リンクされたマイクロコントローラと、及びデジタル表示モジュール17の液晶ディスプレー画面のための第2の制御回路47とを有する。コントローラ回路42は、複数のメニューにおけるナビゲーション及び設定を行うために、センサーユニット41からの信号を受ける。また、コントローラ回路42は、時間間隔測定シーケンス時に相対的又は絶対的な差の計算を行うことを可能にする第1のフラッシュ又はSSDメモリー領域43に、及び時間及び可能性としては位置パラメーター(すなわち、所定の時間間隔T1の値及び対応する位置L1の座標)を格納するために設けられた第2の記憶領域44に接続される。
【0031】
最後に、電子回路40は、好ましくは、計時の自動検出のために設けられるコントローラ回路42に接続される2つのモジュール、すなわち、例えば、RFIDの種類の、トランスポンダーモジュール48及びGPSモジュール49を有する。これらのモジュール、特にGPSモジュール49のそれぞれが大きなエネルギーを消費するために、これらのモジュールを腕時計ケース内で取り外し可能な手法で構成することができる。また、オンデマンドで作動することもできる。なお、時間間隔測定のために、これらの2つのモジュールのうちの1つのみを作動できるようにして、両方作動させずに択一的に作動することが好ましい。あるいは、それらを中間的な回数のために押し片を用いるようなマニュアル的な測定法と組み合わせることができる。これらの2つのモジュールの利点は、クロノグラフを止めるために押圧が必要でないということである。相当に少ないエネルギーしか使用しないGPSモジュールと比較して、トランスポンダーモジュール48は相対的な長所を有するが、このモジュールは、先験的に、中間的な回数のためにトランスポンダー検出装置が既に設けられているレースにおいてのみ使用することができる。したがって、例えば、偵察旅行を行ったり講習会を計画したりするためには、トランスポンダーモジュール48を使用することができず、レースのパフォーマンスを実時間で表示するためにのみ用いることができる。
【0032】
好ましくは、一連の時間間隔測定は約20の測定までを含むことができ、そして、各測定の後に、第1の押し片P1の押圧によって開始し、第2の押し片P2の第2の押圧によって停止される。あるいは、トランスポンダーモジュール48による終わりの検出又はGPSモジュール49による地理的座標の合致によって停止される。コントローラ回路42は、モータ制御回路46に作動信号を送って、
図3において可視の表盤16上の正午の位置における静止位置から離れて計算値に対向する位置となるように第1のアナログ傾向インジケーター14を移動する。最後の測定であるかどうかは、好ましくは、中間的時間の測定のために選ばれる検出モードにかかわらず、すなわち、マニュアル的又は自動的であるかにかかわらず、押し片P1の押圧によって決定される。この最後の測定までは、第2のアナログ傾向インジケーター18も第1のアナログ傾向インジケーター14と同じ値にモータ制御回路46によって位置合わせされる。これによって、複数の様々な針の種々の角度の位置によって表盤を混雑させることによってユーザーにとっての読み取りの容易さを害さないようにされる。このようにして、これらの2つの第1、第2のアナログ傾向インジケーター14、18が、最後の測定の後にのみ離されるようにすることができる。
【0033】
当業者であれば、上で説明した様々な好ましい実施形態が例示的にのみ与えられたものであって、これらに限定されるように意図されたものではないことを理解できるであろう。したがって、カーソル又は可能性としては線形のもののような、他の種類のアナログインジケーターも、本発明の範囲から逸脱せずに想起することができる。
【0034】
また、広く
図1〜4を参照して説明した特性のすべて又は一部を組み合わせることができる。特に、
図1に示す実施形態に係る携行可能な腕時計1であって、GPSモジュール49ではなくRFIDモジュール48を使用するもの、又は全体的な傾向であるかどうかにかかわらず傾向の表示のために1つの針のみを使用するようなRFIDモジュール48及びGPSモジュール49を備える腕時計を使用することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 携行可能な腕時計
10 中心車
11 時間針
12 分針
14 第1のアナログ傾向インジケーター
18 第2のアナログ傾向インジケーター
30 制御インタフェース
40 電子回路
48 トランスポンダーモジュール
49 GPSモジュール
150 ベゼル
151 第1の表示セグメント
152 第2の表示セグメント
153 第3の表示セグメント