(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-108965(P2015-108965A)
(43)【公開日】2015年6月11日
(54)【発明の名称】電圧調整回路及び電圧検知装置
(51)【国際特許分類】
G05F 1/613 20060101AFI20150515BHJP
【FI】
G05F1/613
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-251437(P2013-251437)
(22)【出願日】2013年12月4日
(71)【出願人】
【識別番号】000002059
【氏名又は名称】シンフォニアテクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100134980
【弁理士】
【氏名又は名称】千原 清誠
(74)【代理人】
【識別番号】100187986
【弁理士】
【氏名又は名称】淡路 俊作
(74)【代理人】
【識別番号】100093469
【弁理士】
【氏名又は名称】杉岡 幹二
(72)【発明者】
【氏名】高山 明大
【テーマコード(参考)】
5H420
【Fターム(参考)】
5H420BB03
5H420BB12
5H420CC02
5H420DD02
5H420EA20
5H420EA21
5H420EA25
5H420EA42
5H420FF03
5H420FF22
5H420GG01
5H420GG06
5H420HJ01
(57)【要約】
【課題】電源電圧を降下させて出力電圧を得る電圧調整回路において、出力電圧の変動を抑制できる簡単な構成を得る。
【解決手段】電圧調整回路は、降圧部(11)、基準電位設定部(12)及び出力部13(13)を備える。降圧部(11)及び基準電位設定部(12)は直列に接続される。降圧部(11)は、電源(2)に接続される抵抗(14)と、抵抗(14)及び基準電位設定部(12)に対して直列に接続される調整部(15)とを含む。調整部(15)は、互いに並列に接続された一定電位差生成部(15a)及び可変抵抗(15b)を含む。出力部(13)は、可変抵抗(15b)から出力される電圧(Va)に基づいて出力電圧(Vout)を出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源から供給される電源電圧を降下させて出力電圧を得る電圧調整回路であって、
前記電源電圧よりも低い基準電位を設定する基準電位設定部と、
前記電源電圧を前記基準電位まで電圧降下させる降圧部と、
前記降圧部の電圧に基づいて前記出力電圧を出力する出力部とを備え、
前記降圧部は、前記電源に接続される抵抗と、前記抵抗及び前記基準電位設定部に対して直列に接続され且つ電圧降下量を調整する調整部とを含み、
前記調整部は、一定の電圧降下を生じさせる一定電位差生成部と、前記一定電位差生成部に対して並列に接続される可変抵抗とを含み、
前記出力部は、前記可変抵抗から出力される電圧に基づいて前記出力電圧を出力する、電圧調整回路。
【請求項2】
請求項1に記載の電圧調整回路において、
前記基準電位設定部における電圧降下量が前記一定電位差生成部における電圧降下量よりも大きい、電圧調整回路。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電圧調整回路において、
前記一定電位差生成部はダイオードを含み、
前記ダイオードは、アノード側が前記抵抗に接続され、カソード側が前記基準電位設定部に接続される、電圧調整回路。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一つに記載の電圧調整回路において、
前記基準電位設定部は、ツェナーダイオードを含み、
前記ツェナーダイオードは、カソード側が前記調整部に接続される、電圧調整回路。
【請求項5】
請求項1から4までのいずれか一つに記載の電圧調整回路と、
前記電圧調整回路の前記出力電圧と監視対象から与えられる監視電圧とを比較し、その比較結果を信号として出力する比較回路とを備える、電圧検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧調整回路及びそれを備える電圧検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電源電圧を分圧して一定の出力電圧を得ることができる分圧回路が知られている。例えば、特許文献1に記載されている可変分圧回路は、第1電圧制御可変分圧手段及び第2電圧制御可変分圧手段を有する。第1電圧制御可変分圧手段は、直列に接続された一対の抵抗器に対してFET(電解効果トランジスタ)が直列に接続された構成を有している。このような構成により、第1電圧制御可変分圧手段は、電源電圧を分圧する分圧回路として機能する。この可変分圧回路では、第1電圧制御可変分圧手段の一対の抵抗の中点から出力電圧を得ることができる。
【0003】
上記の可変分圧回路では、第2電圧制御可変分圧手段から第1電圧制御可変分圧手段のFETに制御電圧が与えられる。この制御電圧を調整することによって、FETのドレイン・ソース間の抵抗値が調整される。これにより、第1電圧制御可変分圧手段の出力電圧を調整できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−16276号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の可変分圧回路では、上述のように、出力電圧を調整するためには、前記FETに供給される制御電圧を調整しなければならない。このため、特許文献1の可変分圧回路では、前記制御電圧を調整するための構成(第2電圧制御可変分圧手段)が必要になり、可変分圧回路の製造コストが上昇する。
【0006】
本発明は、電源電圧を降下させて出力電圧を得る電圧調整回路において、出力電圧の変動を抑制できる簡単な構成を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る電圧調整回路は、電源から供給される電源電圧を降下させて出力電圧を得る電圧調整回路である。この電圧調整回路は、前記電源電圧よりも低い基準電位を設定する基準電位設定部と、前記電源電圧を前記基準電位まで電圧降下させる降圧部と、前記降圧部の電圧に基づいて前記出力電圧を出力する出力部とを備える。前記降圧部は、前記電源に接続される抵抗と、前記抵抗及び前記基準電位設定部に対して直列に接続され且つ電圧降下量を調整する調整部とを含み、前記調整部は、一定の電圧降下を生じさせる一定電位差生成部と、前記一定電位差生成部に対して並列に接続される可変抵抗とを含む。前記出力部は、前記可変抵抗から出力される電圧に基づいて前記出力電圧を出力する(第1の構成)。
【0008】
以上の構成では、基準電位設定部によって基準電位が設定され、降圧部によって電源電圧が基準電位まで降下する。降圧部では、一定電位差生成部によって一定の電圧降下を生じさせる。可変抵抗は一定電位差生成部に対して並列に接続されるので、可変抵抗から出力される電圧は、一定電位差生成部によって生成された一定の電位差の範囲内において調整される。すなわち、前記第1の構成では、可変抵抗から出力部に出力される電圧の調整範囲が一定電位差生成部によって決定され、その調整範囲内において、前記可変抵抗によって前記出力部に出力される電圧を調整できる。
【0009】
したがって、前記第1の構成では、例えば、基準電位設定部によって、所望の出力電圧(理想値)に近い値の基準電位を設定する。そして、前記出力電圧の実測値と理想値との間に電位差がある場合には、可変抵抗を調整することによって前記電位差を小さくすることができる。例えば、前記実測値が前記理想値よりも大きい場合には、可変抵抗を調整して、可変抵抗から出力部へ出力する電圧を低くする。これにより、前記実測値を前記理想値に近づけることができる。このように、前記第1の構成では、回路素子の経時劣化又は温度変化等によって、出力電圧の実測値と理想値との間に電位差が生じていたとしても、可変抵抗を調整することによって前記実測値を理想値に近づけることができる。これにより、出力電圧の変動を抑制できる。
【0010】
また、前記第1の構成では、一定電位差生成部は一定の電圧降下を生じさせる。前記可変抵抗は、前記一定電位差生成部に対して並列に接続されているので、前記可変抵抗の両端には、一定の電位差が生じる。これにより、電源電圧が変動した場合でも、前記可変抵抗の両端の電位を一定に維持できる。その結果、電源電圧が変動した場合でも、前記可変抵抗から出力部に出力される電圧の変動を小さくすることができる。
【0011】
以上により、前記第1の構成によれば、複雑な構成を用いなくても、可変抵抗を調整することによって、出力電圧の変動を抑制できる。なお、前記第1の構成における「一定の電圧降下」とは、ダイオードの順方向電圧降下と同程度の電圧降下も含む。
【0012】
前記第1の構成において、前記基準電位設定部における電圧降下量が前記一定電位差生成部における電圧降下量よりも大きい(第2の構成)。この場合、基準電位を高くできるので、電源電圧の電位と基準電位との電位差を小さくできる。これにより、一定電位差生成部における電圧降下量を小さくできるので、可変抵抗から出力される電圧の変動範囲をより小さくできる。その結果、電圧調整回路の出力電圧をより高精度に調整できる。
【0013】
前記第1または第2の構成において、前記一定電位差生成部はダイオードを含み、前記ダイオードは、アノード側が前記抵抗に接続され、カソード側が前記基準電位設定部に接続される(第3の構成)。ダイオードは順方向に一定の電圧降下を生じるので、電源電圧の変動にかかわらず、一定電位差生成部における電圧降下量を一定にできる。これにより、前記可変抵抗の両端の電位差の変動を十分に抑制できるので、可変抵抗から出力される電圧の変動を十分に抑制できる。その結果、出力電圧をさらに高精度に調整できる。
【0014】
また、一般に、ダイオードの電圧降下量の誤差(設計値に対する誤差)は十分に小さい。このため、一定電位差生成部としてダイオードを用いることによって、一定電位差生成部における電圧降下量の誤差を小さくできる。その結果、可変抵抗から出力部に出力される電圧の誤差を小さくできるので、出力電圧をより高精度に調整できる。。
【0015】
前記第1から第3までのいずれか一つの構成において、前記基準電位設定部は、ツェナーダイオードを含み、前記ツェナーダイオードは、カソード側が前記調整部に接続される(第4の構成)。ツェナーダイオードの降伏電圧は一定であるため、基準電位設定部における電圧降下量を一定にすることができる。これにより、電源電圧が変動した場合でも、基準電位を一定に維持することができる。その結果、可変抵抗から出力される電圧の変動を十分に抑制できるので、出力電圧の変動を十分に抑制できる。
【0016】
本発明の一実施形態に係る電圧検知装置は、前記第1から第4までのいずれか一つの電圧調整回路と、前記電圧調整回路の前記出力電圧と監視対象から与えられる監視電圧とを比較し、その比較結果を信号として出力する比較回路とを備える(第5の構成)。
【0017】
監視対象の電圧(監視電圧)を監視する電圧検知装置では、基準値(閾値)となる電圧を安定させることが重要である。前記第5の構成では、第1から第4の電圧調整回路によって得られる出力電圧を基準値として用いることができるので、監視対象の電圧異常を正確に検知できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の一実施形態に係る電圧調整回路によれば、電源電圧が変動した場合でも、調整部の可変抵抗を調整することによって、複雑な構成を用いることなく出力電圧の変動を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る電圧検知装置の回路構成を示す図である。
【
図2】従来の一般的な分圧回路の構成を示す図である。
【
図3】
図2に示した分圧回路による分圧効果を説明するための図である。
【
図4】本発明の電圧調整回路による分圧効果を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0021】
(全体構成)
図1は、本発明の実施形態に係る電圧検知装置1の概略構成を示す図である。
図1に示すように、電圧検知装置1は、本発明の実施形態に係る電圧調整回路10と、比較回路(コンパレータ)20とを備える。電圧調整回路10は、電源2から供給される電源電圧Vccを分圧し、分圧によって得られた出力電圧Voutを比較回路20へ出力する。比較回路20は、監視対象から与えられる電圧Vm(監視電圧)と前記出力電圧Voutとを比較し、その比較結果を信号SGとして出力する。具体的には、比較回路20は、監視電圧Vmが閾値である出力電圧Vout以上であるか否かを判定し、その判定結果を信号SGとして出力する。以下、電圧調整回路10及び比較回路20について、より具体的に説明する。
【0022】
(電圧調整回路の構成)
電圧調整回路10は、降圧部11、基準電位設定部12及び出力部13を備える。降圧部11と基準電位設定部12とは、直列に接続される。基準電位設定部12は接地されている。出力部13は、降圧部11から出力電圧Voutを出力する。
【0023】
降圧部11は、抵抗14及び調整部15を有する。抵抗14と調整部15とは、直列に接続される。
【0024】
抵抗14は、電源2に接続される。抵抗14は、電源電圧Vccを電位Vrまで降下させる。なお、電位Vrは、抵抗14と調整部15との中点における電位である。
【0025】
調整部15は、互いに並列に接続された一定電位差生成部15a及び可変抵抗15bを有する。調整部15は、後述の基準電位Vbまで電圧を降下させる。本実施形態では、一定電位差生成部15aとしてダイオードを用いる。ダイオード(一定電位差生成部15a)は、アノード側が抵抗14に接続され、カソード側が基準電位設定部12に接続される。
【0026】
基準電位設定部12は、電源電圧Vccよりも低い基準電位Vbを設定するために設けられる。本実施形態では、基準電位設定部12における電圧降下量が一定電位差生成部15aにおける電圧降下量よりも大きくなるように、基準電位設定部12を構成する。具体的には、基準電位設定部12として、ツェナーダイオードを用いる。ツェナーダイオード(基準電位設定部12)は、カソード側が調整部15に接続され、アノード側が接地される。なお、基準電位Vbとは、調整部15と基準電位設定部12との中点における電位である。
【0027】
出力部13は、調整部15の可変抵抗15bに接続される。本実施形態では、出力部13は、互いに直列に接続された抵抗13a及び出力端子13bを含む。抵抗13aは、可変抵抗15bに接続される。出力部13は、出力端子13bに出力電圧Voutを印加する。
【0028】
本実施形態では、出力電圧Voutが監視電圧Vmの閾値として適切な値になるように、降圧部11、基準電位設定部12及び出力部13における抵抗値をそれぞれ設定する。
【0029】
(比較回路の構成)
比較回路20は2つの入力端子を有する。比較回路20の入力端子の一方には、出力部13の出力端子13bが接続される。比較回路20の入力端子の他方には、監視対象30の図示しない出力端子が接続される。すなわち、比較回路20には、出力端子13bから出力電圧Voutが与えられるとともに、監視対象30から監視電圧Vmが与えられる。監視対象30は、例えば、インバータ制御を行うためのプリント回路基板に電力を供給する電源装置である。比較回路20は、出力電圧Voutと監視電圧Vmとを比較し、その比較結果を信号SGとして出力する。
【0030】
比較回路20から出力された信号SGは、例えば、図示しない制御装置に与えられる。制御装置は、比較回路20から与えられた信号SGに基づいて、監視対象30を制御する。例えば、監視電圧Vmが出力電圧Vout未満であることを示す信号SGが制御装置に与えられた場合には、制御装置は、前記プリント回路基板に適切な電力が供給されていないと判断し、監視対象30の動作を停止する。これにより、監視対象30から前記プリント回路基板への電力供給が停止される。
【0031】
(分圧効果)
以下、電圧調整回路10による分圧効果を、従来の分圧回路と比較して説明する。
図2は、一般に従来から知られている基本的な構成を有する分圧回路40を示す図である。
図2に示す分圧回路40は、直列に接続された抵抗41及び抵抗42によって電源電圧Vccを分圧し、出力電圧Voutを得る。なお、抵抗41,42は、それぞれ抵抗値が固定された固定抵抗である。
【0032】
図3は、分圧回路40による分圧効果を説明するための図であり、
図4は、本発明の電圧調整回路10による分圧効果を説明するための図である。
【0033】
分圧回路40では、電源電圧Vccが変動した場合、抵抗41にかかる電圧及び抵抗42にかかる電圧が変動する。例えば、電源電圧Vccが低下した場合には、抵抗41,42にかかる電圧がそれぞれ低下する。このため、
図3に示すように、抵抗41と抵抗42との中点における電位Vrは、電源電圧Vccの変動にともなって変動する。その結果、出力電圧Voutが変動する。また、分圧回路40では、抵抗41,42の抵抗値に誤差がある場合には、電源電圧Vccの変動がなくても、出力電圧Voutを所望の値に設定することは難しい。
【0034】
一方、本実施形態の電圧調整回路10では、出力部13は、可変抵抗15bから出力された電圧Vaに基づいて出力電圧Voutを出力する。可変抵抗15bから出力部13に出力される電圧Vaは、可変抵抗15bを調整することによって、基準電位Vbと電位Vrとの間で調整できる。すなわち、
図4に示すように、基準電位Vbと電位Vrとによって、電圧Vaの調整範囲Xが規定される。
【0035】
ここで、本実施形態の電圧調整回路10では、基準電位設定部12としてツェナーダイオードを用いている。このため、基準電位Vbは、前記ツェナーダイオードの降伏電圧に略等しくなる。ツェナーダイオードの降伏電圧は一定であるので、
図4に示すように、基準電位Vbは、電源電圧Vccが変動してもほとんど変動しない。また、本発明の電圧調整回路10では、一定電位差生成部15aとしてダイオードを用いている。ダイオードは順方向に一定の電圧降下を生じさせるので、
図4に示すように、電位Vrは、電源電圧Vccが変動してもほとんど変動しない。このように、本実施形態の電圧調整回路10では、基準電位Vb及び電位Vrがともに一定に維持される。すなわち、可変抵抗15bの両端の電位が一定に維持される。これにより、可変抵抗15bから出力部13に出力される電圧Vaの変動が抑制され、出力電圧Voutの変動が抑制される。
【0036】
また、本実施形態では、ツェナーダイオードの降伏電圧に誤差があったとしても(すなわち、基準電位Vbに誤差があったとしても)、可変抵抗15bを調整することによって、その誤差を相殺できる。これにより、出力電圧Voutを所望の値に容易に設定することができる。
【0037】
(実施形態の効果)
本実施形態に係る電圧調整回路10では、基準電位設定部12によって基準電位Vbが設定され、降圧部11によって電源電圧Vccが基準電位Vbまで降下する。降圧部11では、一定電位差生成部15aによって一定の電圧降下を生じさせる。可変抵抗15bは一定電位差生成部15aに対して並列に接続されるので、可変抵抗15bから出力される電圧Vaは、一定電位差生成部15aによって生成された一定の電位差の範囲内(電位Vrと基準電位Vbとの間)において調整される。すなわち、電圧調整回路10では、可変抵抗15bから出力部13に出力される電圧Vaの調整範囲X(
図4参照)が一定電位差生成部15aによって決定され、その調整範囲X内において、可変抵抗15bによって出力部13に出力される電圧Vaを調整できる。これにより、出力部13から出力される出力電圧Voutを調整することができる。
【0038】
したがって、本実施形態に係る電圧調整回路10では、例えば、基準電位設定部12によって、所望の出力電圧Vout(理想値)に近い値の基準電位Vbを設定する。そして、出力電圧Voutの実測値と理想値との間に電位差がある場合には、可変抵抗15bを調整することによって前記電位差を小さくすることができる。例えば、前記実測値が前記理想値よりも大きい場合には、可変抵抗15bを調整して、可変抵抗15bから出力部13へ出力する電圧Vaを低くする。これにより、前記実測値を前記理想値に近づけることができる。このように、本実施形態の電圧調整回路10では、経時劣化又は温度変化等によって、出力電圧Voutの実測値と理想値との間に電位差が生じていたとしても、可変抵抗15bを調整することによって前記実測値を理想値に近づけることができる。これにより、出力電圧Voutの変動を抑制できる。
【0039】
また、本実施形態に係る電圧調整回路10では、一定電位差生成部15aは一定の電圧降下を生じさせる。可変抵抗15bは、一定電位差生成部15aに対して並列に接続されているので、可変抵抗15bの両端には、一定の電位差が生じる。これにより、電源電圧Vccが変動した場合でも、可変抵抗15bの両端の電位(電位Vrおよび基準電位Vb)を一定に維持できる。その結果、電源電圧Vccが変動した場合でも、可変抵抗15bから出力部13に出力される電圧Vaの変動を小さくすることができ、出力部13から出力される出力電圧Voutの変動を抑制できる。
【0040】
以上により、本実施形態に係る電圧調整回路10によれば、複雑な構成を用いなくても、可変抵抗15bを調整することによって、出力電圧Voutの変動を抑制できる。
【0041】
また、本実施形態に係る電圧調整回路10では、一定電位差生成部15aとしてダイオードを用いている。ダイオードは順方向に一定の電圧降下を生じるので、電源電圧Vccの変動にかかわらず、一定電位差生成部15aにおける電圧降下量を一定にできる。これにより、可変抵抗15bの両端の電位差の変動を十分に抑制できるので、可変抵抗15bから出力される電圧Vaの変動を十分に抑制できる。その結果、出力電圧Voutをさらに高精度に調整できる。
【0042】
また、一般に、ダイオードの電圧降下量の誤差(設計値に対する誤差)は十分に小さい。このため、一定電位差生成部15aとしてダイオードを用いることによって、一定電位差生成部15aにおける電圧降下量の誤差を小さくできる。その結果、可変抵抗15bから出力部13に出力される電圧Vaの誤差を小さくできるので、出力電圧Voutをより高精度に調整できる。
【0043】
また、本実施形態に係る電圧調整回路10では、基準電位設定部12として、ツェナーダイオードを用いている。ツェナーダイオードの降伏電圧は一定であるため、基準電位設定部12における電圧降下量を一定にすることができる。これにより、電源電圧Vccが変動した場合でも、基準電位Vbを一定に維持することができる。その結果、可変抵抗15bから出力される電圧Vaの変動を十分に抑制できるので、出力電圧Voutの変動を十分に抑制できる。
【0044】
また、本実施形態に係る電圧検知装置1では、電圧調整回路10から得られる変動が抑制された出力電圧Voutを閾値として用いている。これにより、監視対象30の監視電圧Vmの異常(例えば、監視電圧Vmが出力電圧Vout未満になること)をより正確に検知することができる。
【0045】
(その他の実施形態)
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。よって、上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変形して実施することが可能である。
【0046】
前記実施形態では、一定電位差生成部15aの一例としてダイオードを挙げたが、一定電位差生成部15aが、ダイオードと、ダイオード以外の素子とを有していてもよい。電源電圧Vccの変動に影響されることなく電圧降下量を一定に維持できる回路によって一定電位差生成部15aを構成できる場合には、ダイオードを用いなくてもよい。電源電圧Vccの変動に影響されることなく電圧降下量が一定となる他の素子を、一定電位差生成部15aとして用いてもよい。
【0047】
前記実施形態では、基準電位設定部12の一例としてツェナーダイオードを挙げたが、基準電位設定部12が、ツェナーダイオードと、ツェナーダイオード以外の素子とを有していてもよい。また、電源電圧Vccの変動に影響されることなく電圧降下量を一定に維持できる回路によって基準電位設定部12を構成できる場合には、ツェナーダイオードを用いなくてもよい。
【0048】
前記実施形態では、閾値としての出力電圧Voutを得るために、電圧検知装置1の構成要素として電圧調整回路10を用いているが、電圧調整回路10の用途は上記の例に限定されない。例えば、駆動対象(例えば、制御回路)に電源を供給する電源装置の構成要素として電圧調整回路10を用いてもよい。具体的には、電源装置から駆動対象に供給される電源電圧を調整するために電圧調整回路10を用いてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、電源電圧から一定の出力電圧を得る電圧調整回路及びそれを備えた電圧検知装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 電圧検知装置
2 電源
10 電圧調整回路
11 降圧部
12 基準電位設定部
13 出力部
14 抵抗
15 調整部
15a 一定電位差生成部
15b 可変抵抗
20 比較回路
30 監視対象
SG 信号
Va 電圧
Vcc 電源電圧
Vm 監視電圧
Vout 出力電圧