【解決手段】表面に縦方向に平行な側壁及び底壁を有する複数のチャンネルを有し、前記側壁は粗面を含み、粗面は約4.5μin〜約19.0μinの範囲の粗さRaを有し、スルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアミド及びPVDFのいずれかの材質からなる膜、及び膜を使用したフィルターにより提供される。
流体から望ましくない物質を除去する方法であって、前記方法が、前記流体を微多孔膜の第1の表面から前記膜の第2の表面に通過させるステップを含み、前記第1の表面が微多孔性表面を含み、前記第2の表面が微多孔性表面を含み、前記膜は、前記第1の表面と前記第2の表面との間に微多孔性バルクを有し、前記膜は、縦方向及び横方向を有し、前記第1の表面は前記縦方向に平行な複数のチャンネルを有し、前記チャンネルは、側壁及び底壁を有し、前記側壁は粗面を含み、前記粗面は、約4.5μin〜約19.0μinの範囲のRaを有する方法。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】
図1Aは、未処理の非切削表面を有するポリエチレンテレフタレート(PET)基材から膜を取り外した後の、実施例3で調製した膜の基材接触表面を示す走査型電子顕微鏡(SEM)である。
【
図1B】
図1Bは、臨界濡れ表面張力(CWST)44ダイン/cmを提供するため、コロナ処理したポリイミド基材から膜を取り外した後の、実施例3で調製した膜の基材接触表面を示すSEMであり、ここで、基材表面は、非切削である。
【
図2】
図2は、表面(表面は、その他の方法で処理されていない)に切削痕を有する基材から膜を取り外した後の、本発明の一実施形態による実施例3で調製した膜の基材接触表面を示すSEMである。
【
図3A】
図3Aは、本発明の一実施形態による実施例3で調製した膜の表面のSEMであり、粗面を有した側壁を有するチャンネルを示し、横方向で撮影したSEMである。
【
図3B】
図3Bは、本発明の一実施形態による実施例3で調製した膜の表面のSEMであり、粗面を有した側壁を有するチャンネルを示し、断面方向で撮影したSEMである。
【
図4】
図4は、実施例1で調製した膜の第1の表面のSEMであり、チャンネル側壁とチャンネル底壁の細孔直径が確認された。
【
図5】
図5は、実施例2で調製した膜の第1の表面のSEMであり、チャンネル側壁とチャンネル底壁の細孔直径が確認された。
【0008】
[発明の詳細な説明]
[0012]本発明の一実施形態によれば、(a)微多孔性表面を含む第1の表面、(b)微多孔性表面を含む第2の表面、及び(c)第1の表面と第2の表面の間の微多孔性バルクを含む、微多孔性ポリマー膜であって、ここで、膜は、縦方向及び横方向を有し、第1の表面は、縦方向に平行な複数のチャンネルを有し、ここでチャンネルは、側壁及び底壁を有し、側壁は、粗面を含み、粗面は、約4.5〜約19.0μinの範囲にあるRaを有する。いくつかの実施形態では、側壁は、底壁より粗い表面を有する膜が提供される。
【0009】
[0013]一実施形態では、側壁は、約5μin〜約9μinの範囲のRaを有する粗面を有する。別の実施形態では、側壁は、約9.5μin〜約16.0μinの範囲のRaを有する粗面を有する。
【0010】
[0014]一実施形態では、第1の表面の少なくとも約25%は、縦方向に平行な複数のチャンネルを有し、好ましくは、第1の表面の少なくとも約30%は、縦方向に平行な複数のチャンネルを有し、いくつかの実施形態では、第1の表面の少なくとも約35%は、縦方向に平行な複数のチャンネルを有する。例えば、一実施形態では、膜は、縦方向に平行な複数のチャンネルを約30%〜約45%の範囲で有する第1の表面を有する。
【0011】
[0015]市販のウイルス除去膜と同等の又はより良いウイルス除去効率をもたらす一方で、より薄い、ウイルスを除去するための膜を製造することができることが有利である。その結果、より費用効果が良く膜を製造することができる。膜は、非複合膜とすることができるが、膜をひだ状にして十分に頑強とすることができる。
【0012】
[0016]或いは、又はさらに、チャンネルのない通常の膜に比べ、タンパク質をろ過する能力が高い膜を製造することができる。
【0013】
[0017]少なくとも1つの本発明の膜、好ましくは、少なくとも2つの本発明の膜を含むフィルター、並びに筐体及び少なくとも1つの本発明の膜を含むろ過装置、又は少なくとも1つの本発明の膜を含むフィルターも、本発明の実施形態により提供される。
【0014】
[0018]流体をろ過する方法も、本発明の別の実施形態により提供され、方法は、上述のように、流体を少なくとも1つの膜、又は少なくとも1つの膜を含むフィルターに通過させるステップを含む。一実施形態では、流体から望ましくない物質を除去するための方法は、流体を微多孔膜の第1の表面から膜の第2の表面に通過させるステップを含み、第1の表面は、微多孔性表面を含み、第2の表面は、微多孔性表面を含み、膜は、第1の表面と第2の表面の間に微多孔性バルクを有し、ここで、膜は、縦方向及び横方向を有し、第1の表面は、縦方向に平行な複数のチャンネルを有し、チャンネルはここで、側壁及び底壁を有し、側壁は、粗面を含み、粗面は、約4.5μin〜約19.0μinの範囲にあるRaを有する。本方法の好ましい実施形態では、方法は、タンパク質含有流体からウイルスを除去することを含む。本方法のいくつかの実施形態では、流体は、少なくとも2つの膜を通過する。
【0015】
[0019]例えば、一実施形態では、方法は、流体を第1の微多孔膜の第1の表面から第1の膜の第2の表面に通過させるステップであって、第1の表面は、微多孔性表面を含み、第2の表面は微多孔性表面を含み、第1の膜は、第1の表面と第2の表面の間に微多孔性バルクを有し、ここで、第1の膜は、縦方向及び横方向を有し、第1の表面は、縦方向に平行な複数のチャンネルを有し、チャンネルはここで、側壁及び底壁を有し、側壁は、粗面を含み、粗面は、約4.5μin〜約19.0μinの範囲にあるRaを有し、及び流体を第1の微多孔膜の第2の表面から第2の微多孔膜の第1の表面及び第2の膜の第2の表面に通過させ、第2の膜の第1の表面は、微多孔性表面を含み、第2の表面は、微多孔性表面を含み、第2の膜は、第1の表面と第2の表面の間に微多孔性バルクを有し、ここで、第2の膜は、縦方向及び横方向を有し、第1の表面は、縦方向に平行な複数のチャンネルを有し、チャンネルはここで、側壁及び底壁を有し、側壁は、粗面を含み、粗面は、約4.5μin〜約19.0μinの範囲にあるRaを有する。
【0016】
[0020]流体をろ過する方法の別の実施形態では、方法は、流体を第1の微多孔膜の第1の表面から第1の膜の第2の表面に通過させるステップであって、第1の表面は、微多孔性表面を含み、第2の表面は、微多孔性表面を含み、第1の膜は、第1の表面と第2の表面の間に微多孔性バルクを有し、ここで、第1の膜は、縦方向及び横方向を有し、第1の表面は、縦方向に平行な複数のチャンネルを有し、チャンネルはここで、側壁及び底壁を有し、側壁は、粗面を含み、粗面は、約4.5μin〜約19.0μinの範囲にあるRaを有し、及び流体を第1の微多孔膜の第2の表面から第2の微多孔膜の第2の表面及び第2の膜の第1の表面に通過させ、第2の表面は、微多孔性表面を含み、第1の表面は、微多孔性表面を含み、第2の膜は、第2の表面と第1の表面の間の微多孔性バルクを有し、ここで、第2の膜は、縦方向及び横方向を有し、第1の表面は、縦方向に平行な複数のチャンネルを有し、チャンネルはここで、側壁及び底壁を有し、側壁は、粗面を含み、粗面は、約4.5μin〜約19.0μinの範囲にあるRaを有する。
【0017】
[0021]流体をろ過する方法のさらに別の実施形態では、方法は、流体を第1の微多孔膜の第2の表面から第1の膜の第1の表面に通過させるステップであって、第2の表面は、微多孔性表面を含み、第1の表面は、微多孔性表面を含み、第1の膜は、第2の表面と第1の表面の間に微多孔性バルクを有し、ここで、第1の膜は、縦方向及び横方向を有し、第1の表面は、縦方向に平行な複数のチャンネルを有し、チャンネルはここで、側壁及び底壁を有し、側壁は、粗面を含み、粗面は、約4.5μin〜約19.0μinの範囲にあるRaを有し、及び流体を第1の微多孔膜の第2の表面から第2の微多孔膜の第2の表面及び第2の膜の第1の表面に通過させ、第2の表面は、微多孔性表面を含み、第1の表面は、微多孔性表面を含み、第2の膜は、第2の表面と第1の表面の間に微多孔性バルクを有し、ここで、第2の膜は、縦方向及び横方向を有し、第1の表面は、縦方向に平行な複数のチャンネルを有し、チャンネルはここで、側壁及び底壁を有し、側壁は、粗面を含み、粗面は、約4.5μin〜約19.0μinの範囲にあるRaを有する。
【0018】
[0022]流体をろ過する方法のさらに別の実施形態では、方法は、流体を第1の微多孔膜の第2の表面から第1の膜の第1の表面に通過させるステップであって、第2の表面は、微多孔性表面を含み、第1の表面は、微多孔性表面を含み、第1の膜は、第2の表面と第1の表面の間に微多孔性バルクを有し、ここで、第1の膜は、縦方向及び横方向を有し、第1の表面は、縦方向に平行な複数のチャンネルを有し、チャンネルはここで、側壁及び底壁を有し、側壁は、粗面を含み、粗面は、約4.5μin〜約19.0μinの範囲にあるRaを有し、及び流体を第1の微多孔膜の第2の表面から第2の微多孔膜の第1の表面及び第2の膜の第2の表面に通過させ、第2の膜の第1の表面は、微多孔性表面を含み、第2の表面は、微多孔性表面を含み、第2の膜は、第1の表面と第2の表面の間に微多孔性バルクを有し、ここで、第2の膜は、縦方向及び横方向を有し、第1の表面は、縦方向に平行な複数のチャンネルを有し、チャンネルはここで、側壁及び底壁を有し、側壁は、粗面を含み、粗面は、約4.5μin〜約19.0μinの範囲にあるRaを有する。
【0019】
[0023]本発明の一実施形態によれば、膜を調製する方法は、縦方向及び横方向を有する表面を含み、縦方向に平行な表面に切削痕を有する基材を得るステップ、表面上にポリマー溶液を流延するステップ、溶液の相分離をもたらし、微多孔膜を形成するステップ、及び、膜を基材から剥離するステップを含み、ここで、基材の表面の平行な切削痕に接触する膜の部分が、膜から引き離して、表面にチャンネルを伴う表面を有する膜を形成する。
【0020】
[0024]どんなメカニズムにも限定されることなく、膜を製造する一方で、転相浴は、基材に付着する膜の表面と相互作用することができない(又は相互作用を低減させる)と考えられる。したがって、スキニング工程は(skinning)(細孔チャンネルの有効性を減少させることとなる)により減少する。さらに、又は或いは、やはり、どんなメカニズムにも限定されることなく、基材は、物理的に膜と絡み合い、ポリマーを流延し、析出させた後、基材から膜を取り外す場合に、物理的に絡み合った基材(例えば、ポリエチレンテレフタレート)は、膜から引っ張られ、ろ過に利用できる表面細孔チャンネルは形成され、提供すると考えられる。さらに、やはり、どんなメカニズムにも限定されることなく、縦方向の剥離切削痕又は溝を有する基材を使用すると、流延溶液を基材に塗布する場合に、空気の排除が可能になり、したがって、得られる膜のピンホールなどの欠陥を減少させると考えられる。
【0021】
[0025]種々の基材は、基材が、縦方向(基材の長さに沿って)に平行な切削痕又は溝を有する限り、本発明の実施形態による膜を調製するのに適切である。基材が、非紙基材であることが好ましい。適切な基材には、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)(例えば、MYLARとして市販されている)などのポリエステル;ポリプロピレン;ポリエチレン(ポリエチレンナフタレート(PEN)を含め);ポリエチレンテレフタレートグリコール(PETG));ポリイミド;ポリフェニレンオキサイド;ナイロン;及びアクリルが含まれる。
【0022】
[0026]基材の切削痕/溝は、例えば、レーザー又は機械的切削により刻み目をつけることを含めて、種々の方法により形成することができる。研磨剤、例えばエッチング用に使用される研磨剤を用いて基材の表面に刻み目をつけることにより切削痕/溝を調製することが好ましい。
【0023】
[0027]通常、基材は、横(幅)方向にmm当たり約15〜約50の範囲の溝/切削痕、好ましくは、横(幅)方向にmm当たり約25〜約35の溝/切削痕を有する。
【0024】
[0028]通常、基材の溝の深さに対するRz値(各サンプリング長さの最高ピークと最低谷間の平均深さ)は、約50μin〜約175μinの範囲にあり、溝間の間隔は、通常、300μin〜約2400μinの範囲にある。
【0025】
[0029]場合によっては、及びあまり好ましくないが、切削痕/刻み目を有する基材は、基材上にポリマー溶液を流延する前に、例えば、コロナ処理、電子線処理、又はプラズマ処理など、さらに処理することができる。
【0026】
[0030]膜は、浸漬転相クエンチプロセスにより調製するのが好ましい。通常、転相プロセスは、切削痕/溝を有する基材上の薄膜へのポリマー溶液(複数可)の流延又は押出し、及び以下の1つ又は複数を通してポリマーを析出させることを含む。(a)溶媒及び非溶媒の蒸発、(b)曝露表面上に吸収する、非溶媒蒸気、例えば、水蒸気への曝露、(c)非溶媒液体(例えば、水を含む相浸漬浴、及び/又は別の非溶媒又は溶媒)中でのクエンチング、及び(d)ポリマーの溶解度が突然大きく減少するようにホットフィルムを熱的にクエンチすること。転相は、湿式法(浸漬析出)、蒸気誘発相分離(VIPS)、熱誘発相分離(TIPS)、クエンチング、乾式−湿式流延、及び溶媒蒸発(乾式流延)により誘発され得る。乾式転相は、浸漬凝固の欠如により湿式又は乾式−湿式手順とは異なる。これらの技法では、初めに均質なポリマー溶液は、異なる外部効果のため熱力学的に不安定になり、相分離を誘発してポリマー過少相及びポリマー過多相を生じる。ポリマー過多相は、膜のマトリックスを形成し、ポリマー過少相は、溶媒及び非溶媒のレベルを増加させて、細孔を形成する。
【0027】
[0031]膜は、当技術分野で知られている種々の適切な技法により、基材から分離(例えば、剥離)される。
【0028】
[0032]種々のポリマー溶液は、本発明の使用に適切であり、当技術分野で知られている。適切なポリマー溶液は、ポリマー、例えば、ポリ芳香族;スルホン(例えば、芳香族ポリスルホンを含めてポリスルホン、例えば、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルスルホン、ビスフェノールAポリスルホン、ポリアリールスルホン、及びポリフェニルスルホン)、ポリアミド、ポリイミド、ポリビニリデンハライド(ポリビニリデンフロリド(PVDF)を含む)、ポリオレフィン、例えば、ポリプロピレン及びポリメチルペンテン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル(ポリアルキルアクリロニトリルを含む)、セルロースポリマー(例えば、酢酸セルロース及びニトロセルロース)、フルオロポリマー、及びポリエーテルエーテルケトン(PEEK)を含み得る。ポリマー溶液は、ポリマー、例えば、疎水性ポリマー(例えば、スルホンポリマー)及び親水性ポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン)の混合物を含み得る。
【0029】
[0033]1つ又は複数のポリマーに加え、典型的なポリマー溶液は、少なくとも1つの溶媒を含み、少なくとも1つの非溶媒をさらに含み得る。適切な溶媒には、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF);N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc);N−メチルピロリドン(NMP);ジメチルスルホキシド(DMSO)、メチルスルホキシド、テトラメチル尿素;ジオキサン;コハク酸ジエチル;クロロホルム;及びテトラクロロエタン;並びにそれらの混合物が含まれる。適切な非溶媒には、例えば、水;種々のポリエチレングリコール(PEG;例えば、PEG−200、PEG−300、PEG−400、PEG−1000);種々のポリプロピレングリコール;種々のアルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール(IPA)、アミルアルコール、ヘキサノール、ヘプタノール、及びオクタノール;アルカン、例えば、ヘキサン、プロパン、ニトロプロパン、ヘプタン、及びオクタン;及びケトン、エーテル及びエステル、例えば、アセトン、ブチルエーテル、酢酸エチル、及び酢酸アミル;酸、例えば、酢酸、クエン酸、及び乳酸;並びに種々の塩、例えば、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、及び塩化リチウム;並びにそれらの混合物が含まれる。
【0030】
[0034]望まれれば、ポリマーを含む溶液は、例えば、1つ又は複数の重合開始剤(例えば、任意の1つ又は複数の過酸化物、過硫酸アンモニウム、脂肪族アゾ化合物(例えば、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド(V50))、及びそれらの組み合わせ)、並びに/又は界面活性剤及び/若しくは離型剤などの少量成分をさらに含み得る。
【0031】
[0035]溶液の適切な成分は、当技術分野で知られている。ポリマーを含む例示的溶液、並びに例示的溶媒及び非溶媒には、例えば、米国特許第4,340,579号、4,629,563号、4,900,449号、4,964,990号、5,444,097号、5,846,422号、5,906,742号、5,928,774号、6,045,899号、6,146,747号、及び7,208,200号に開示されたものが含まれる。
【0032】
[0036]種々のポリマー膜が、本発明により製造することができるが、好ましい実施形態では、膜は、スルホン膜(より好ましくは、ポリエーテルスルホン膜及び/又はポリアリールスルホン膜)、又は半結晶性膜(例えば、PVDF膜及び/又はポリアミド膜)である。
【0033】
[0037]膜は、手動で(例えば、基材上に手動で注ぐ、流延する、若しくは広げる)又は自動で(例えば、その上に基材を有する移動床上に注ぐ、若しくはその他の方法で流延する)流延することができる。
【0034】
[0038]種々の流延技法が、当技術分野で知られており、適切である。当技術分野で知られている種々の装置は、流延に使用することができる。適切な装置には、例えば、スプレッディングナイフ、ドクターブレード、又は噴霧/加圧装置を含む、ロールコーター(フォワード又はリバースロールコーター)又は機械式スプレッダーが含まれる。ロールコーターの一実施例は、リバースロールコーターであり、流延調合物(ポリマー含有溶液)が導入される樹脂ウェル(resin well)を含む。移動ドクターローラー及びコーティングギャップは、基材への流延調合物の分布を調節する。例示的に、ポリマー含有溶液は、例えば、約5〜約8milsの範囲のドクターローラーと基材間のギャップを有するリバースロールコーターを使用して流延することができる。
【0035】
[0039]種々の流延速度が、当技術分野で知られているように適切である。通常、流延速度は、少なくとも毎分約3フィート(fpm)、より典型的には約3〜約40fpmの範囲、いくつかの実施形態では、少なくとも約5fpmである。
【0036】
[0040]膜は、任意の適切な細孔構造、例えば、細孔径(例えば、例えば、米国特許第4,340,479号に記載されるように、泡立ち点、若しくはK
Lにより明示され、又はキャピラリーコンデンセーションフローポロメトリー(capillary condensation flow porometry)により明示される)、平均フロー細孔(MFP)径(例えば、ポロメーター、例えば、Porvairポロメーター(Porvair plc、Norfolk、UK)、又は商標POROLUX(Porometer.com;Belgium)として入手可能なポロメーターを使用して評価する場合)、細孔評価(pore rating)、細孔直径(例えば、例えば、米国特許第4,925,572号に記載される修正されたOSU F2試験を使用して評価する場合)、又はリムーバルレーティングメディア(removal rating media)を有し得る。使用される細孔構造は、利用されることになる粒子の大きさ、処理されることになる流体の組成物、及び処理流体の望ましい排水レベルに依存する。
【0037】
[0041]膜の多孔性表面は、任意の適切な平均細孔径を有し得、例えば、5,000倍又は20,000倍のSEMから平均表面細孔径を算出することにより決定する。通常、少なくとも第1の微多孔性スキン表面は、チャンネル壁に約100nm〜約450nmの範囲の、及び、チャンネル底に約50nm〜約300nmの範囲の細孔直径を有する。
【0038】
[0042]通常、本発明の実施形態による膜の厚さは、約1.5mils〜約6.5milsの範囲、好ましくは、約3mils〜約4milsの範囲にある。
【0039】
[0043]膜は、任意の所望の臨界濡れ表面張力(CWST、例えば、米国特許第4,925,572号で定義される)を有することができる。CWSTは、例えば、例えば、米国特許第5,152,905号、5,443,743号、5,472,621号、及び6,074,869号でさらに開示されるように、当技術分野で知られるように選択することができる。通常、膜は、約70ダイン/cm(約70x10
−5N/cm)より大きい、より典型的には約73ダイン/cm(約73×10
−5N/cm)より大きいCWSTを有し、約78ダイン/cm(約78×10
−5N/cm)以上のCWSTを有することができる。いくつかの実施形態では、膜は、約82ダイン/cm(約82×10
−5N/cm)以上のCWSTを有する。
【0040】
[0044]膜の表面特性を、ウェット若しくはドライ酸化により、表面上にポリマーを被覆若しくは沈着することにより、又はグラフト反応により改質(例えば、CWSTに影響を及ぼす、表面電荷、例えば、正又は負の電荷を含む、及び/又は表面の極性又は親水性を変える)することができる。改質には、例えば、照射、極性又は帯電モノマー、表面を帯電ポリマーで被覆及び/又は硬化すること、並びに表面上に官能基を結合するよう化学的改質を行うことが含まれる。グラフト反応は、ガスプラズマ、蒸気プラズマ、コロナ放電、熱、Van der Graff発電機、紫外線、電子線などのエネルギー源、若しくは多様な他の放射線形態への曝露により、又はプラズマ処理を使用する表面エッチング若しくは沈着により活性化することができる。
【0041】
[0045]種々の流体は、本発明の実施形態によれば、ろ過することができる。本発明の実施形態による膜は、例えば、除菌ろ過用途、医療用途での流体ろ過(家庭用及び/又は患者用用途、例えば、静脈注射の用途を含む)、エレクトロニクス産業用の流体ろ過、食品及び飲料産業用の流体ろ過、清澄、及び/又は細胞培養流体ろ過を含めて、種々の用途で使用することができる。本発明の実施形態による膜は、製薬業界用の流体をろ過し、抗体及び/又はタンパク質含有流体をろ過するのに使用し得ることが好ましい。
【0042】
[0046]種々の望ましくない物質は、本発明の実施形態による流体から除去することができる。好ましい実施形態では、望ましくない物質は、ウイルス、ファージ、バクテリアなどの汚染物質である。除去することができる例示的なウイルス及びファージには、例えば、phix174、PP7、PR772、MMV、及びPPVが含まれる。例えば、PP7及びPR772に関して、通常、PP7の対数除去(log removal)は、試験溶液が10
7pfu/mLの濃度の場合、約6以上であり、PR772の対数除去(log removal)は、試験溶液が10
6pfu/mLの濃度の場合、約6以上である。
【0043】
[0047]本発明の実施形態によれば、膜は、平面、ひだ状、及び/又は中空円筒を含めた多様な構成を有することができる。
【0044】
[0048]本発明の実施形態による膜は、通常、少なくとも1つの入口と少なくとも1つの出口を含み、入口と出口間の少なくとも1つの流体流路を画定する筐体に配置されており、ここで、少なくとも1つの本発明の膜、又は、少なくとも1つの本発明の膜を含むフィルターは、流体流路を横切っていて、ろ過装置又はフィルターモジュールを提供する。一実施形態では、入口及び第一の出口を含み、入口と第1の出口の間の第1の流体流路を画定する筐体、少なくとも1つの本発明の膜又は少なくとも1つの本発明の膜を含むフィルター、第1の流体流路を横切る筐体に配置される本発明の膜又は少なくとも1つの本発明の膜を含むフィルターを含むろ過装置が提供される。
【0045】
[0049]クロスフロー用途に対しては、少なくとも1つの本発明の膜又は少なくとも1つの本発明の膜を含むフィルターは、少なくとも1つの入口及び少なくとも2つの出口を含み、少なくとも、入口と第1の出口の間の第1の流体流路、及び入口と第2の出口の間の第2の流体流路を画定する筐体に配置しており、ここで、本発明の膜又は少なくとも1つの本発明の膜を含むフィルターは、第1の流体流路を横切って、ろ過装置又はフィルターモジュールを提供することが好ましい。例示的な実施形態では、ろ過装置は、クロスフローフィルターモジュールを含み、筐体は、入口を含み、第1の出口は、濃縮液出口を含み、第2の出口は、透過液出口を含み、入口と第1の出口の間の第1の流体流路、及び入口と第2の出口の間の第2の流体流路を画定し、ここで、少なくとも1つの本発明の膜又は少なくとも1つの本発明の膜を含むフィルターは、第1の流体流路を横切って配置されている。
【0046】
[0050]ろ過装置又はモジュールは、滅菌可能であってもよい。適切な形状で1つの入口及び1つ又は複数の出口を提供する任意の筐体を使用することができる。
【0047】
[0051]筐体は、処理される流体と適合性がある、任意の不浸透性熱可塑材料を含め、任意の適切な堅い不浸透性材料から製作することができる。例えば、筐体は、ステンレス鋼などの金属から、又はポリマー、例えば、アクリル、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート樹脂などの透明又は半透明ポリマーから製作することができる。
【0048】
[0052]以下の実施例は、本発明をさらに例示するが、もちろん、いかなる方法でもその範囲を限定するように解釈されるべきではない。
【0049】
実施例1
[0053]この実施例は、本発明の一実施形態による膜の調製を示す。
【0050】
[0054]厚さ3milのポリエチレンテレフタレート(PET)(Mylar A、DuPont Teijin)基材は、巻きを解かれ、10.75インチOD研磨ローラー(通常の間隔で配置された粒子で被覆した研磨ローラー、ANSI指定の粗さ320グリット)、基材より毎分約16フィート(fpm)速く並流回転する研磨ローラーを含め、一連のローラーに沿って通過され、基材は、約20fpmの範囲の速度で研磨ローラーに引かれ、切削痕を有する基材は、最終ローラーに巻き取られる。
【0051】
[0055]基材の溝は、約100μin〜約150μinの深さを有し、Pocket Surf III 1209 ML圧電粗度計(Mahr Metrology)を用いて決定される。溝は、幅約800μinで、約400μinの距離で分けられている(Olympus BH2−UMA光学顕微鏡を使用して測定される)。
【0052】
[0056]21.0%のポリエーテルスルホン(PES)E6020、mw46−55,000(BASF)、15.5%のポリエチレングリコール200(PEG200)(Dow Chemical)、12.7%の酢酸(AA)(JT Baker)、42.8%のN,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)(DuPont Chemical)、及び8.0%のポリ(1−ビニルピロリドン−co−酢酸ビニル)(Pasdone S630、ISP Technologies)からなる溶液を調製する。切削痕を有する基材は、5fpmの速度でリバースロールコーターを通して供給され(ドクターローラーと基材との間のギャップは5〜8milの範囲にあり、ここで、ドクターローラーの回転速度は、5〜15rpmの範囲にある)、ここで、切削痕を有する基材は、リバースロールコーターのラッカー穴に垂直であり、溶液は、縦方向に基材の切削痕に入り、流延時に基材から空気を追い出す。溶液を、21℃の液相(比45:55のDMAc/DI水)転相浴中で、滞留時間2.2分間クエンチする。膜を9分間の滞留時間にわたりDI水に通過させることにより膜から溶媒を洗い流す。
【0053】
[0057]膜を、10〜25fpmの範囲の速度での縦方向の剥離により基材から剥離し、ここで、剥離角度は、90〜180度に維持され、剥離された膜は、DI水で濡らしたインタリーフ材料(ポリフェニルスルフィド)に巻き取られ、インタリーフ材料からはがされ、10fpmの速度でオーブン中を通過させて乾燥し、交互配置/再巻き取りし、アルコールで浸出される。
【0054】
実施例2
[0058]この実施例は、本発明の別の実施形態による膜の調製を示す。
【0055】
[0059]切削痕を有する基材は、実施例1に記載したように調製する。21.0%のPES E6020、mw46−55,000(BASF)、16.5%のPEG200(Dow Chemical)、13.6%の酢酸AA(JT Baker)、45.5%のDMAc(DuPont Chemical)、及び3.5%の(Pasdone S630、ISP Technologies)からなる溶液を調製する。溶液を流延し、クエンチし、膜を基材から剥離し、交互配置し、乾燥し、再び巻き取る。
【0056】
実施例3
[0060]この実施例は、表面に切削痕を有さない基材から取り外した膜の基材と接触する表面と比較した、本発明の一実施形態による膜(基材の表面上の切削痕に接触し、取り外した膜表面)の刻み目をつけた表面を例示する。
【0057】
[0061]溶液は、実施例2に記載したように調製し、厚さ3milのPET(Mylar A、DuPont Teijin)基材上に流延し、ここで、基材の表面は、切削痕を有していなかった。膜を、基材から剥離し、交互配置し、乾燥し、再び巻き取る。基材に接触する表面のSEMを
図1Aに示す。
【0058】
[0062]溶液は、実施例2に記載したように調製し、44ダイン/cmのCWSTをもたらすようにコロナ処理したポリイミド基材DuPont Kapton HN 3 mil上に流延し、ここで、基材の表面は、切削痕を有していなかった。膜を、基材から剥離し、交互配置し、乾燥し、再び巻き取った。基材に接触する表面のSEMを、
図1Bに示す。
【0059】
[0063]膜は、実施例2に記載するように調製し、切削痕を有する表面から剥離する。基材に接触する表面、及びチャンネル(縦方向及び層面図)のSEMを
図2及び
図3にそれぞれ示す。
【0060】
[0064]
図1A及び
図1Bと対照的に、
図2に示す本発明による膜の実施形態の表面は、より多くの開孔を示し、チャンネルの側壁は、粗面を有する。
【0061】
実施例4
[0065]この実施例は、実施例1で調製した膜の構造及び二重層(連続2層)ろ過性能について記載する。
【0062】
[0066]膜は、ウイルスグレード(公称20nm)の非対称膜である。チャンネルの壁(側壁及び底壁)の粗さは、原子間力顕微鏡(AFM、Nanosurf Easyscan 2)及びSPMコントロールソフトウェア(3.1版)からの「ラインラフネス(line roughness)」ツールを使用して決定される。ラインラフネスツールは、AFMの一次元領域の選択を可能にし、微少量の表面テクスチャーにおけるばらつき用の統計的計測をレポートする。分析されるすべての点が稜線上の一定の高さで選択されることを確実にするため、線形選択は、チャンネルのグレーン(装置)方向でとる。選択される生のテクスチャーデータは、「ラインフィット(line fit)」フィルターの応用により高さの総線形ばらつきのために修正される。したがって、得られる粗さ統計値は、選択表面の高さばらつきにおけるいかなる線形傾向にも独立している。
【0063】
[0067]膜の側壁のRa値(粗さプロファイル縦座標の絶対値の算術平均、1Ra=1マイクロインチ(μin))は、5.4〜8.9μinの範囲にあり、底壁のRa値は、0.5〜1.7μinの範囲にある。
【0064】
[0068]膜の第1の表面の約30%〜約40%の表面積は、縦方向のチャンネルを有する。
【0065】
[0069]膜(非チャンネル化表面)の保持表面の膜細孔直径は、20,000倍のSEMから算出するSEM表面細孔分析により決定される。
【0066】
[0070]膜の保持表面は、約20nm〜約78nmの範囲の細孔直径を有する。
【0067】
[0071]チャンネル壁(側及び底)の膜細孔直径は、5,000倍のSEMから算出するSEM表面細孔分析により決定される。
【0068】
[0072]膜のチャンネル壁は、側壁で約100nm〜約400nmの範囲の細孔直径、底壁で約50nm〜約300nmの範囲の細孔直径を有する。
図4は、この膜の第1の表面のSEMを示し、チャンネル側壁で350nmの細孔、チャンネル底壁で100nmの細孔を示す。
【0069】
[0073]保持表面に関して以下に記載する断面の膜細孔直径は、10,000倍のSEMから算出するSEM表面細孔分析により決定する。
【0070】
[0074]下流側の保持表面から測定して、表面のすぐ上の細孔は、約100nm〜約400nmの範囲の細孔直径を有し、表面の上のバルク2μmの細孔は、約20nm〜約80nmの範囲の細孔直径を有する。表面の上のバルク4μmの細孔は、約20nm〜約120nmの範囲の細孔直径を有する。表面の上のバルク6.5μmの細孔は、約20nm〜約280nmの範囲の細孔直径を有する。
【0071】
[0075]第1の表面(刻み目をつけた表面又はろ過表面)に関して以下に記載する断面の膜細孔直径は、5,000倍のSEMから算出するSEM細孔分析により決定される。
【0072】
[0076]上流側のろ過表面から測定して、表面のすぐ下の細孔は、約100nm〜約400nmの範囲の、通常約280nmの細孔直径を有する。
【0073】
[0077]2つの膜(それぞれ約3mils〜約4milsの厚さを有する)は、共に積み重ねてフィルターを提供し、ここで、各膜の上流側の表面は、刻み目をつけた表面であり、すなわち、フィルターは、第1の膜の上流側の刻み目をつけた表面、続いて第1の膜の下流側の刻み目のない表面を有し、第2の膜の刻み目をつけた表面は、第1の膜の下流側の刻み目のない表面に接触している。
【0074】
[0078]膜は、0.1g/L SeraCare IgG(SeraCare Life Sciences、Milford、MA)の酢酸ナトリウム緩衝液で試験される。1時間にわたるIgGスループット(g/m
2)は、28.2である。
【0075】
[0079]膜は、1質量% MP Biomedicals BSA溶液(MP Biomedicals、Santa Ana、CA)で試験される。2時間にわたるBSAスループット(kg/m
2)は、8.0である。
【0076】
[0080]膜に対する透水量は、平方メートル・時間当たり400リットル(LMH)より大きい。
【0077】
実施例5
[0081]この実施例は、実施例2で調製した膜の構造及び二重層(連続2層)ろ過性能について記載する。
【0078】
[0082]膜は、ウイルスグレード(公称20nm)の非対称膜である。チャンネルの壁(側壁及び底壁)の粗さは、実施例4で記載したように、原子間力顕微鏡(AFM、Nanosurf Easyscan 2)及びSPMコントロールソフトウェア(3.1版)からの「ラインラフネス」ツールを使用して決定する。
【0079】
[0083]膜の側壁のRa値は、9.5〜15.6μinの範囲にあり、底壁のRa値は、0.5〜1.7μinの範囲にある。
【0080】
[0084]膜の第1の表面の約30%〜約40%の表面積は、縦方向のチャンネルを有する。
【0081】
[0085]膜(非チャンネル化表面)の保持表面の膜細孔直径は、20,000倍のSEM顕微鏡写真から算出するSEM表面細孔分析により決定される。
【0082】
[0086]膜の保持表面は、約20nm〜約84nmの範囲の細孔直径を有する。
【0083】
[0087]チャンネル壁(側及び底)の膜細孔直径は、SEM表面細孔分析により決定し、5,000倍のSEMから算出される。
【0084】
[0088]膜のチャンネル壁は、側壁で約100nm〜約450nmの範囲の細孔直径、底壁で約50nm〜約250nmの範囲の細孔直径を有する。
図5は、この膜の第1の表面のSEMを示し、チャンネル側壁で400nmの細孔、チャンネル底壁で150nmの細孔を示す。
【0085】
[0089]保持表面に関して以下に記載する断面の膜細孔直径は、10,000倍のSEMから算出するSEM細孔分析により決定される。
【0086】
[0090]下流側の保持表面から測定して、表面のすぐ上の細孔は、約100nm〜約450nmの範囲の細孔直径を有し、表面の上のバルク2μmの細孔は、約20nm〜約110nmの範囲の細孔直径を有する。表面の上のバルク4μmの細孔は、約20nm〜約280nmの範囲の細孔直径を有する。表面の上のバルク6.5μmの細孔は、約20nm〜約400nmの範囲の細孔直径を有する。
【0087】
[0091]第1の表面(刻み目をつけた表面又はろ過表面)に関して以下に記載する断面の膜細孔直径は、5,000倍のSEMから算出するSEM細孔分析により決定される。
【0088】
[0092]上流側のろ過表面から測定して、表面のすぐ下の細孔は、約100nm〜約450nmの範囲の、通常約400nmの細孔直径を有する。
【0089】
[0093]2つの膜(それぞれ約3mils〜約4milsの厚さを有する)は、共に積み重ねてフィルターを提供し、ここで、各膜の上流側の表面は、刻み目をつけた表面であり、すなわち、フィルターは、第1の膜の上流側の刻み目をつけた表面、続いて第1の膜の下流側の刻み目のない表面を有し、第2の膜の刻み目をつけた表面は、第1の膜の下流側の刻み目のない表面に接触している。
【0090】
[0094]膜は、0.1g/L SeraCare IgG(SeraCare Life Sciences、Milford、MA)の酢酸ナトリウム緩衝液で試験される。1時間にわたるIgGスループット(g/m
2)は、12である。
【0091】
[0095]実施例2により調製する膜は、1質量% MP Biomedicals BSA溶液(MP Biomedicals、Santa Ana、CA)で試験される。2時間にわたるBSAスループット(kg/m
2)は、3.8である。
【0092】
[0096]膜に対する流水量は、250LMHより大きい。
【0093】
実施例6
[0097]この実施例は、本発明の別の実施形態による膜の調製及び二重層(連続2層)ろ過性能を示す。
【0094】
[0098]切削痕を有する基材を実施例1に記載するように調製する。7.71%のKynar761(Arkema)、7.71%のKynar761A(Arkema)、2.72%のcombポリマー(Georez48、Geochem)、57.30%のDMAc(DuPont)及び24.56%のエチルアセトアセテート(EAA、Eastman)からなる溶液を調製する。実施例2に記載するように、溶液を流延し、クエンチし、ポリビニリデンフロリド(PVDF)膜を基材から剥離し、乾燥する。
【0095】
[0099]溶液は、厚さ3milのPET(Mylar A、DuPont Teijin)基材上の流延し、ここで、基材の表面は、切削痕を有していなかった。溶液をクエンチし、膜を、基材から剥離し、乾燥する。
【0096】
[0100]2つの膜は、共に積み重ねてフィルターを提供する。刻み目をつけた膜を含むフィルターに関して、各膜の上流側の表面は、刻み目をつけた表面であり、すなわち、フィルターは、第1の膜の上流側の刻み目をつけた表面、続いて第1の膜の下流側の刻み目のない表面を有し、第2の膜の刻み目をつけた表面は、第1の膜の下流側の刻み目のない表面に接触している。
【0097】
[0101]PVDF膜は、0.5g/L SeraCare IgG(SeraCare Life Sciences、Milford、MA)の酢酸ナトリウム緩衝液で試験される。
【0098】
[0102]1時間後、本発明の一実施形態による切削痕を有する基材から剥離したPVDF膜は、切削痕のない基材から剥離したPVDF膜に比べ、117.5%のIgGろ過能力の増加(平均で)を示す。
【0099】
実施例7
[0103]この実施例は、市販膜を二重層膜フィルターとしたものと比べ、本発明の実施形態による二重層膜フィルターのBSA及びIgG溶液をろ過する能力を示す。市販の膜フィルターの各層は、3層の複合ウイルスろ過膜として使用されているものである。
【0100】
[0104]膜は、実施例1に記載するように調製する。単一層膜は、厚さ約3mils〜約4milsを有する。2つの膜は、共に積み重ねてフィルターを提供し、ここで、各膜の上流側表面は刻み目をつけた表面であり、すなわち、フィルターは、第1の膜の上流側の刻み目をつけた表面、続いて第1の膜の下流側の刻み目のない表面を有し、第2の膜の刻み目をつけた表面は第1の膜の下流側の刻み目のない表面と接触している。
【0101】
[0105]市販可能な複合多層ウイルスろ過膜が、得られる。複合膜は、約5mils〜約6milsの厚さを有する。得られた膜は、2つの膜が重なり合っている。
【0102】
[0106]以下の試験では、試験を30psiの一定の差圧で実施し、流速は、試験の間観察し、試験は、流量が初期の流量の10%に減衰したときに終了する。ろ過した流体の一定分量を回収し、(試験に依存して)そのファージ、BSA、及びIgG含量を評価する。
【0103】
[0107]フィルターは、10
7pfu/ml PP7ファージ(25nm公称直径)及び10
6pfu/ml PR772ファージ(53nm公称直径)/リン酸緩衝液(PBS)を含有する1質量%MP Biomedicals BSA溶液(MP Biomedicals、Santa Ana、CA)で試験される。
【0104】
[0108]さらに、フィルターは、0.1g/L SeraCare IgG(SeraCare Life Sciences、Milford、MA)の酢酸ナトリウム緩衝液で試験される。
【0105】
[0109]BSAスループット(kg/m
2)を比較すると、2時間後、本発明によるフィルターは、市販のフィルターの約5.4kg/m
2と対照的に、約8.0kg/m
2を処理する。したがって、本発明の一実施形態によるフィルターは、市販のフィルターに比べ、BSA溶液をろ過する能力が約48%大きいことを示し、ここで、差は、2サンプルt−検定によれば統計的に有意である。
【0106】
[0110]本発明の一実施形態によるフィルターと市販のフィルターはどちらも、@90%流量減衰で>6のPR772 力価保持を提供する。
【0107】
[0111]本発明の一実施形態によるフィルターと市販のフィルターはどちらも、@90%流量減衰で>7のPP7 力価減少を提供する。
【0108】
[0112]IgGスループット(g/m
2)を比較すると、1.5時間後、本発明による2つの膜を有するフィルターは、2つの市販の膜を有するフィルターのものと同等の能力を示す(差は、2サンプルt−検定によれば統計的に有意でない)。
【0109】
[0113]本明細書で引用される、刊行物、特許出願、及び特許を含めたすべての参照は、これによって、各参照が個々に及び明確に参照により組み込まれると指示され、本明細書にその全体が説明されるのと同じ程度に参照により組み込まれる。
【0110】
[0114]「1つの(a)」及び「1つの(an)」及び「その(the)」及び「少なくとも1つの」並びに本発明を記載する文脈(特に以下の請求項の文脈で)での類似の指示物という用語の使用は、本明細書で別段の指示がない限り、又は明らかに文脈に矛盾しない限り、単数及び複数の両方を含むと解釈されるべきである。「少なくとも1つの」という用語、続いて1つ又は複数の項目の一覧(例えば、「AとBの少なくとも1つの」)の使用は、本明細書で別段の指示がない限り、又は明らかに文脈に矛盾しない限り、列挙した項目から選択される一項目(A又はB)又は2つ以上の列挙した項目の任意の組み合わせ(A及びB)を意味すると解釈されるべきである。「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」及び「含有する(containing)」という用語は、別段の留意がない限り、開放型用語と解釈されるべきである(すなわち、「これに限定されないが、含む(including, but not limited to,)」を意味する)。本明細書で値の範囲の列挙は、本明細書で別段の指示がない限り、範囲内に入る各々別の値を個々に指す簡潔な方法として役立つよう単に意図され、各々別の値は、本明細書に個々に列挙されるように本明細書に組み込まれる。本明細書に記載されるすべての方法は、本明細書で別段の指示がない限り、又はそうでない場合は明らかに文脈に矛盾しない限り、任意の適切な順番で実施することができる。本明細書で提供される、任意の及びすべての実施例、又は例示的な言語(例えば、「など(such as)」)の使用は、本発明を単により良く解明するよう意図され、別段の主張がない限り本発明の範囲を制限しない。本明細書の言語は、任意の非請求要素が本発明の実施に不可欠と指示するように解釈されるべきではない。
【0111】
[0115]この発明の好ましい実施形態は、本発明を実施するための本発明者に知られる最善の様式を含めて、本明細書に記載される。それらの好ましい実施形態の変形は、前述の説明を読めばすぐに当業者に明らかになり得る。本発明者らは、当業者がそのような変形を適切に使用することを期待し、本発明者らは、本発明が、本明細書に特に記載される以外の方法で実施されることを意図する。したがって、この発明は、準拠法により許可されるように、本明細書に添付の請求項に列挙する主題のすべての改変及び等価物を含む。さらに、そのすべての可能な変形の上述の要素の任意の組み合わせは、本明細書で別段の指示がない限り、又はそうでない場合は明らかに文脈に矛盾しない限り、本発明により含まれる。