(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-110504(P2015-110504A)
(43)【公開日】2015年6月18日
(54)【発明の名称】圧電セラミックス、その製造方法、及び、それを有する圧電セラミックスピーカ
(51)【国際特許分類】
C04B 35/493 20060101AFI20150522BHJP
H01L 41/187 20060101ALI20150522BHJP
H01L 41/39 20130101ALI20150522BHJP
H01L 41/09 20060101ALI20150522BHJP
H04R 17/00 20060101ALI20150522BHJP
H04R 31/00 20060101ALI20150522BHJP
【FI】
C04B35/49 S
C04B35/49 T
H01L41/187
H01L41/39
H01L41/09
H04R17/00
H04R31/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2014-119824(P2014-119824)
(22)【出願日】2014年6月10日
(31)【優先権主張番号】特願2013-232588(P2013-232588)
(32)【優先日】2013年11月8日
(33)【優先権主張国】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119378
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 弘幸
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 剛基
(72)【発明者】
【氏名】後藤 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】波多野 桂一
(72)【発明者】
【氏名】岸本 純明
(72)【発明者】
【氏名】土信田 豊
【テーマコード(参考)】
4G031
5D004
【Fターム(参考)】
4G031AA11
4G031AA12
4G031AA14
4G031AA23
4G031AA26
4G031AA32
4G031BA10
4G031CA01
4G031CA04
4G031GA09
4G031GA11
5D004AA01
5D004BB01
5D004CC03
5D004CD07
5D004CD09
5D004DD01
5D004GG00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】高kr、高比誘電率を呈する低温焼成可能な特性が高く、かつ特性バラツキが小さい圧電セラミックスの提供。
【解決手段】Pb、Nb、Zn、Ti、Zrを含むペロブスカイト型結晶構造を有するセラミックス粒子からなる主相と、主相中に散在するZnO粒子からなる副相と、を有する圧電セラミックス。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
Pb、Nb、Zn、Ti、Zrを含むペロブスカイト型結晶構造を有するセラミックス粒子からなる主相と、
ZnO粒子からなる副相と、
を有する圧電セラミックス。
【請求項2】
前記ZnO粒子の平均粒径が0.4〜1.6μmである請求項1記載の圧電セラミックス。
【請求項3】
前記主相が、
組成式Pb{(Zr(1-a)Tia)x・(Ni1/3Nb2/3)y・(Zn1/3Nb2/3)z}O3
(但し、0<x≦0.85、0≦y<1、0<z<1、x+y+z=1、0.45≦a≦0.60である。)
で表されるセラミックス粒子からなる請求項1又は2記載の圧電セラミックス。
【請求項4】
前記x及びyについて、0<x<0.75、かつ、0<y<1である請求項3記載の圧電セラミックス。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項記載の圧電セラミックスを有する音響素子を備える圧電セラミックスピーカ。
【請求項6】
Pb{(Zr(1-a)Tia)x・(Ni1/3Nb2/3)y・(Zn1/3Nb2/3)z}O3
(但し、0<x≦0.85、0≦y<1、0<z<1、x+y+z=1、0.45≦a≦0.60である。)なる組成のペロブスカイト型結晶構造を有するセラミックス粒子からなる組成物を得るステップと、
得られた組成物とZnO粒子とを混合し、成形し、焼成するステップと、
を有する圧電セラミックスの製造方法。
【請求項7】
前記x及びyについて、0<x<0.75、かつ、0<y<1である請求項6記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は圧電セラミックス、圧電セラミックスの製造方法、及び、圧電セラミックスを有する圧電セラミックスピーカに関する。
【背景技術】
【0002】
電気エネルギーを機械エネルギーへ、もしくは機械エネルギーを電気エネルギーへ変換する機能(圧電効果)をもつ圧電セラミックスについては、多くの電子デバイスへの応用がなされている。
【0003】
チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Ti,Zr)O
3、以下「PZT」という)を主成分とした圧電磁器組成物はモルフォトロピック相境界(MPB)付近で優れた圧電性を有する。このため、PZTは、音響素子、圧電アクチュエータ等の圧電デバイスの材料として広く用いられている。
【0004】
圧電デバイスに使用される圧電磁器組成物の特性としては、その製品としての用途によって、高kr、低ヤング率、ある程度の電気抵抗、高キュリー温度などが必要になる。そして、このような特性を満足する圧電磁器組成物として種々のものが提案されている。
【0005】
PZT系の圧電磁器組成物の特性を改善するため、PZTに対してPb(Ni
1/3Nb
2/3)O
3(以下「PNN」という)やPb(Zn
1/3Nb
2/3)O
3(以下「PZN」という)などを固溶させることにより、Bサイト成分であるTiおよびZrを他の原子に置換することが特許文献1および特許文献2に記載されている。例えば、特許文献1には、PNN−PZN−PZ−PTの4成分系複合酸化物においてAサイト成分であるPbをCa、Sr、Baなどの他の元素に置換することに加え、TiやZrよりも価数の小さなアクセプタ元素(Ni,Zn)を化学量論組成よりも所定モル量だけ過剰に添加してBサイト組成をアクセプタ過剰とし、かつその他の各成分の含有モル比を所定範囲とすることにより、低温焼成を可能とすることが記載されている。特許文献2には、ペロブスカイト組成物と該ペロブスカイト組成物中に含まれるAg
2Oとからなる特定組成の圧電磁器組成物が開示されており、この圧電磁器組成物は、900℃以下の低い温度で焼結させることができ、しかもセラミック粒子の粒径が小さく、機械的強度が高いとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開WO/2006/075449号公報
【特許文献2】特開2003−238248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、高kr、高比誘電率で低温焼成可能な特性が高くかつ特性バラツキが小さい圧電セラミックスの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の圧電セラミックスは、Pb、Nb、Zn、Ti、Zrを含むペロブスカイト型結晶構造を有するセラミックス粒子からなる主相と、主相中に散在するZnO粒子からなる副相と、を有する。
好ましくは、主相は、Pb{(Zr
(1-a)Ti
a)
x・(Ni
1/3Nb
2/3)
y・(Zn
1/3Nb
2/3)
z}O
3(但し、0<x≦0.85、0≦y<1、0<z<1、x+y+z=1、0.45≦a≦0.60である。)なる組成のセラミックス粒子からなり、より好ましくは、前記x及びyについて、0<x<0.75、0<y<1である。また、好ましくは、副相としてのZnO粒子の大きさが0.4〜1.6μmである。
本発明の圧電セラミックスの好適な製造方法として、Pb{(Zr
(1-a)Ti
a)
x・(Ni
1/3Nb
2/3)
y・(Zn
1/3Nb
2/3)
z}O
3(但し、0<x≦0.75、0≦y<1、0<z<1、x+y+z=1、0.45≦a≦0.60である。)なる組成のペロブスカイト型結晶構造を有するセラミックス粒子からなる組成物を得るステップと、得られた組成物とZnO粒子とを混合し、成形し、焼成するステップと、を有する製造方法が提供される。前記製造方法において、好ましくは、0<x<0.75、0<y<1である。
本発明によれば、上記圧電セラミックスを有する音響素子を備える圧電セラミックスピーカも提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、900℃以下で焼成可能であって、高krと高比誘電率と低い特性バラツキとが一挙に達成し得る圧電セラミックスが提供される。この圧電セラミックスの使用により、高性能のスピーカの実現が期待される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】圧電セラミックススピーカの製造の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の圧電セラミックスは、主相と副相とを有する。
主相のセラミックス粒子は、Pb、Nb、Zn、Ti、Zrをすべて含み、好ましくはNiをさらに含むペロブスカイト型結晶構造を有する。本発明の圧電セラミックスは主として主相が占めていて、主相の中に副相が散在している。副相はZnO粒子からなる。
【0012】
主相は、好ましくは、Pb{(Zr
(1-a)Ti
a)
x・(Ni
1/3Nb
2/3)
y・(Zn
1/3Nb
2/3)
z}O
3なる組成のセラミックス粒子からなる。ここで、0<x≦0.85、0≦y<1、0<z<1、x+y+z=1、0.45≦a≦0.60である。x及びyについては、より好ましくは、0<x<0.75、0<y<1である。xが0.85以下、より好ましくは0.75未満であることにより焼成温度の低下が実現される。yおよびzが上記範囲内にあることで、圧電特性及びキュリー温度をa値の選択によって容易に調整できるようになる。a値が上記範囲内にあることで、圧電定数を大きくすることができる。
【0013】
主相のセラミック粒子の化学組成は、エネルギー分散型X線分析の手法を用いて測定することができる。なお、本発明のセラミックス系においては、原材料の調整により、セラミックス粒子の組成を調節することができる。
【0014】
副相は、主相のなかに散在している。副相はZnO粒子からなる。副相の存在により、エネルギー的に非常に低く安定した構造となる。即ち、通常よりも低い熱エネルギーの印加でも安定した構造をとる。換言すると、副相の存在は、焼結を促す効果を持つ。また、粒界が強固に結合することで、バルク焼結体の強度も大きくなることが期待される。これらの効果に起因して、より安定して良好な嵩密度のセラミックスを得ることや低温での焼成が可能となる。
【0015】
副相としてのZnO粒子の大きさは、好ましくは0.4〜1.6μmである。ZnO粒子の大きさは、圧電セラミックスの断面のSEM観察像に見いだされる例えば100個以上のZnO粒子の直径を画像解析によって求め、それらの平均値(平均粒径)として算出される。
【0016】
本発明の圧電セラミックスは、従来公知の圧電セラミックスの製法を適宜用いて製造することができる。非限定的な製法の一例として、Pb{(Zr
(1-a)Ti
a)
x・(Ni
1/3Nb
2/3)
y・(Zn
1/3Nb
2/3)
z}O
3なる組成のペロブスカイト型結晶構造を有するセラミックス粒子からなる組成物を得るステップと、得られた組成物とZnO粒子とを混合し、成形し、焼成するステップと、を有する製造が挙げられる。ここで、上述したように、ここで、0<x≦0.85、0≦y<1、0<z<1、x+y+z=1、0.45≦a≦0.60であり、x及びyについては、より好ましくは、0<x<0.75、0<y<1である。
【0017】
ペロブスカイト型結晶構造を有するセラミックス粒子からなる組成物を得るステップについては、従来公知のセラミックス粒子の製法を適宜参照することができる。例えば、各金属の原料、例えば、PbO,ZrO
2 ,TiO
2,NiO,ZnO,Nb
2O
5等の粉末を湿式混合し、得られた懸濁液を乾燥させ、乾燥によって得られた混合物を、例えば大気雰囲気下において電気炉を用いて好ましくは900℃以下で焼成することなどが挙げられる。この処理によって、混合物内の各金属酸化物が固相反応し、ペロブスカイト化合物が形成される。各処理の具体例は後述の実施例において示される。
【0018】
得られたペロブスカイト化合物と、副相の原料であるZnO粒子と、を例えば湿式解砕により混合し、乾燥させることにより、完成粉体(焼成前の粉体)を得ることができる。この完成粉体に必要に応じて有機バインダーを混合してから圧縮成型などにより所定の形状へと成型し、焼成することにより、圧電セラミックスを得ることができる。焼成雰囲気は特に限定はなく、好ましくは大気雰囲気下で行われる。焼成温度は好ましくは850〜900℃である。焼成後の圧電セラミックスにAgなどを含む導電ペーストを印刷することができる。
【0019】
本発明では、上述の圧電セラミックスを用いた圧電セラミックスピーカも提供される。圧電セラミックスは、好適には、音響素子の構成要素として用いられる。例えば、圧電セラミックスからなる積層体の両面に電極端子を接続して直流電圧を印加することで分極処理を行って圧電駆動板を得て、この圧電駆動板を振動板に接着することができる。前記振動板には振動抑制材が形成されていてもよい。このようにして音響素子を得ることができ、この音響素子から製品としてのスピーカを得るためには従来公知の手法を適宜参照することができる。また、具体的な製造例は後述の実施例において記載される。
【実施例】
【0020】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に記載された態様に限定されるわけではない。
【0021】
〔実施例1・2、比較例1〕
まず、PbO,ZrO
2,TiO
2,NiO,ZnO,Nb
2O
5からなる原料粉末を各々準備し、これらを秤量し、ポットミル内にジルコニアビーズ、イオン交換水と共に入れ、16時間湿式混合し、得られたスラリーをバットに移し、乾燥器内に入れ、150℃で乾燥させた。原料の投入量は、Pb{(Zr
(1-a)Ti
a)
x・(Ni
1/3Nb
2/3)
y・(Zn
1/3Nb
2/3)
z}O
3なる組成のセラミックス粒子における各金属の存在量比を反映させた。ここで、a=0.548、x=0.636、y=0.14、z=0.224とした。
【0022】
次に、乾燥によって得られた混合物を、大気雰囲気下において電気炉を用いて830℃で3時間焼成した。混合物内の各金属酸化物はこの焼成によって相互に固相反応し、ペロブスカイト化合物が形成された。これが主相に相当するものである。
【0023】
次に、このペロブスカイト化合物と、実施例1、2においては副相に相当する所定の粒子サイズを有するZnO粒子と、をポットミル内にジルコニアビーズ、イオン交換水と共に入れ、16時間湿式解砕し、得られた懸濁液をバットに移し、乾燥器内に入れ、150℃で乾燥させ、完成粉体を得た。副相の原料であるZnOの量は、ペロブスカイト化合物の100重量部に対して0.2〜0.25重量部にした。比較例1では、ZnO粒子を添加せずに上記操作を行った。次に、この完成粉体に有機バインダーを少量混合し、加圧プレス機を用い、圧力1.5MPaで圧縮成型し、直径8mm、厚さ0.5mmの円板形の試料を得た。次に、この試料を電気炉内に入れ、大気雰囲気下において900℃で2時間焼成し、その後この試料を電気炉から取り出し、試料の両面にフリットレスAgペーストを印刷し、大気雰囲気下において870℃で焼き付け、これを外部電極とした。
【0024】
次に、この外部電極付きの試料に、150℃の下で、2.0kV/mmの電圧を15分間印加し、試料を分極させた。次に、この分極させた試料の比誘電率を測定し、電子情報技術産業界規格(JEITA EM−4501)に則りインピーダンス測定を行い、圧電特性krを算出した。
【0025】
〔実施例3、比較例2〕
主相のペロブスカイト化合物の組成をPb{(Zr
(1-a)Ti
a)
x・(Ni
1/3Nb
2/3)
y・(Zn
1/3Nb
2/3)
z}O
3なる組成(但し、a=0.49、x=0.8、y=0、z=0.2)としたことのほかは上記と同様にして(それ故、NiOを用いなかった。)、副相としてのZnO粒子を添加してなる実施例3とそのような添加が無い比較例2の試料を製造して、上述のように分極処理、圧電特性の算出を行った。
【0026】
試料を断面観察し、その結果、実施例1、2、3では主相と副相とが見いだされ、比較例1、2では副相に相当するものは見いだされなかった。主相および副相の化学分析も行い、原料粉末の添加比率がセラミックス組成にそのまま反映されていることが確認された。
実施例1、2、3では、副相部分を100個見つけだし、それらの直径を画像から測定して平均することにより、ZnO粒子の大きさを算出した。
【0027】
上述の測定・評価結果は以下のとおりである。
ZnOの大きさ(μm) kr(%) 比誘電率(ε33t/ε0)
比較例1 0 66.7 3114
比較例2 0 68. 0 1831
実施例1 0.4 68.0 3283
実施例2 1.6 67.8 3271
実施例3 0.9 69.1 1992
音圧は、krと比誘電率との関係によって決まる。
すなわち、krが69以上で、比誘電率が1900以上あれば、所定の音圧を確保できる。またはkrが67以上で、比誘電率が3000以上あれば、所定の音圧を確保できる。
本実施例ではNiが含まれると、比誘電率が高くなり、本実施例ではNiが含まれないとKrが高くなることが判明した。
【0028】
上記の実施例2、3及び比較例1、2のものと同じ圧電セラミックスを用いて、圧電セラミックスピーカをそれぞれ5個ずつ製造して評価した。
図1は圧電セラミックススピーカの製造の説明図である。まず、駆動板14となる積層体から説明すると、上述の完成粉体にバインダーを添加したスラリーを作成し、これからドクターブレード等の方法でグリーンシートを得た。このようにして得られたグリーンシートを裁断するとともに、Agペーストをスクリーン印刷で印刷し(電極32、34)、
図1(A)に示す積層シート14A〜14Cを形成した。なお、該当個所には、スルーホール14D〜14Fをそれぞれ形成した。その後、同図(B)に示すように、各積層シート14A〜14Cを積層するとともに圧着した。そして、同図(C)に示すように、スルーホール内部にAgペーストを充填した(スルーホール導体36)。その後、所定形状に切断するとともに、900℃の温度で焼成し、外径15mm、厚さ60μm(20μm×3層)の積層体を得た。
【0029】
この積層体の両面に電極端子を接続して直流電圧を印加することで分極処理を行い、圧電駆動板を得た。得られた駆動板14を、
図1(C)に示すように、振動抑制材16が形成された振動板12に接着した。振動板12と駆動板14との接着は、振動板12の主面にスクリーン印刷で均一に接着剤12Aを印刷し、これに駆動板14を貼り付けることで行った。このとき、接着剤12Aとして導電性接着剤を用いた。このようにして音響素子10を得て、これを筐体20に組み込むことにより圧電セラミックスピーカを得た。
【0030】
得られた圧電セラミックススピーカについて、電気機械結合定数k31(%)、圧電歪定数d31(%)、800,1000,1500,2000Hzの平均音圧(dB)を評価した。平均音圧の5サンプルの平均値は圧電セラミックススピーカの特性の大きさを反映し、平均音圧の5サンプルの偏差は特性のバラツキの大きさを反映する。
【0031】
上記の評価結果を以下の表にまとめる(それぞれ、5サンプル)。表1は実施例2の結果を示す。
【表1】
【0032】
表2は比較例1の結果を示す。
【表2】
【0033】
表3は実施例3の結果を示す。
【表3】
【0034】
表4は比較例2の結果を示す。
【表4】
【0035】
比較例1に比べて、実施例2では、k31、d31が全般的に大きく、平均音圧も大きく、かつ、平均音圧の偏差(特性バラツキに相当する)が小さかった。比較例2と対比したときの実施例3についても同様である。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明によれば、圧電スピーカの特性向上とバラツキ減少が図られ、音響製品等のさらなる品質向上が期待される。
【符号の説明】
【0037】
10…圧電発音素子 12…振動板
12A…接着剤 14…駆動板
14A〜14C…積層シート 14D〜14F…スルーホール
16…振動抑制材 20…筐体
32,34…電極 36…スルーホール導体