特開2015-1107(P2015-1107A)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】特開2015-1107(P2015-1107A)
(43)【公開日】2015年1月5日
(54)【発明の名称】建設車両の盗難防止装置
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/24 20060101AFI20141202BHJP
   B62D 55/10 20060101ALI20141202BHJP
【FI】
   E02F9/24 A
   B62D55/10 B
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-126214(P2013-126214)
(22)【出願日】2013年6月17日
(11)【特許番号】特許第5508579号(P5508579)
(45)【特許公報発行日】2014年6月4日
(71)【出願人】
【識別番号】513128280
【氏名又は名称】坂本産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160657
【弁理士】
【氏名又は名称】上吉原 宏
(72)【発明者】
【氏名】坂本 邦男
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015GA01
2D015GB00
(57)【要約】
【課題】簡単な構造で、建設車両自体及び建設車両の主要部分の盗難を回避する。
【解決手段】上部旋回部を持つクローラ式建築車両の盗難を防止するために、上部旋回部に内蔵されたエンジン、油圧ポンプの少なくとも一部がクローラベルトの直上にあるように、上部旋回部を回転させた状態で固定する固定部を有し、該固定部は、トラックフレームに設置された中空で円筒の下部固定部と、前記上部旋回部の下部に設置された板状の上部固定部と、前記下部固定部と上部固定部とを固定する第一の固定ピンと、前記第一の固定ピンの脱落を防ぐ第二の固定ピンと、第二の固定ピンの脱落を防ぐ施錠部からなり、
前記上部固定部の中央には前記第一の固定ピンを挿入するための穴を持ち、前記下部固定部と前記第一の固定ピンの側面には、第二の固定ピンを挿入するための穴を持ち、前記第二の固定ピンの先端には、施錠用の穴がある手段を採用した。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部旋回部を持つクローラ式建築車両において、
前記上部旋回部に内蔵されたエンジン、油圧ポンプの少なくとも一部がクローラベルトの直上に位置するように、前記上部旋回部を回転させた状態で固定する固定部を有し、
該固定部は、トラックフレームに設置された中空で円筒の下部固定部と、
前記上部旋回部の下部に設置された板状の上部固定部と、
前記下部固定部と上部固定部とを固定する第一の固定ピンと、
前記第一の固定ピンの脱落を防ぐ第二の固定ピンと、
第二の固定ピンの脱落を防ぐ施錠部からなり、
前記上部固定部の中央には前記第一の固定ピンを挿入するための穴を持ち、
前記下部固定部と前記第一の固定ピンの側面には、第二の固定ピンを挿入するための
穴を持ち、
前記第二の固定ピンの先端には、施錠用の穴があることを特徴とする建設車両盗難防止装置。
【請求項2】
前記下部固定部は、旋回サークルに近接する位置であり、センタージョイントに対して斜め前方に設置され、前記第二の固定ピンを挿入するための穴は、前記センタージョイントと前記下部固定部を結ぶ線分方向に貫通していることを特徴とする請求項1に記載の建設車両盗難防止装置。
【請求項3】
前記下部固定部は、板状の補強部を持ち、前記補強部は、前記センタージョイントを軸とする円周方向に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の建設車両盗難防止装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クローラ式で上部に旋回構造を持つ建設車両(上部旋回式のクローラクレーンや油圧ショベル等)の盗難防止技術に関し、より詳しくは、これらの建設車両の保管時等において、旋回式の上部を所定の角度でロックする機能を備え、当該車両をトラック等の荷台に乗せると、上部構造体が路肩又は反対車道へ突き出ることにより、運搬不可能とする構造であると共に、主要部分であるエンジンや油圧ポンプをクローラの上部位置で停止させていることで、下方へ取り外すことを不可能とする盗難防止装置の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、急速に建設車両の盗難事件が増加している。建設車両は、夜間、工事現場に置かれることが多い為、窃盗集団が大型トラック等を用いて、大規模且つ大胆に窃盗を行っても、一般の人から見ると工事を行っているようあることnisikamienai s 、分解しているのは整備車両sているのだろうtpしまおも和図為、窃盗していることに気づきにくく、横行している。盗難の方法として、建設車両全体を大型トラック等に積み込んで盗み出す方法と、建設車両の主要部分であるエンジンや油圧ポンプ等を、建設車両から外して盗み出す方法がある。建設車両は、機械の中でも高額であることから、いずれの場合も被害は甚大である。係る、盗難防止方法として、警報装置や、エンジンキーの自動停止等が考案されている。しかし、警報を発しても、工事現場が遠方にあると到着までに盗難が完了していることもあり、盗難対策が大規模となると費用負担も大きくなる。エンジンキーへの対策については、配線を直接いじることで回避されることも多い。そのため、簡単な構造で、建設車両自体及び建設車両の主要部分の盗難を回避する発明が求められていた。
【0003】
この様な問題に鑑みて、従来からも種々の技術が提案され、例えば、建機の走行駆動主要部にロック機構を取付け、走行駆動主要部のロック・ロック解除の操作を容易にし、組み付けおよびメンテナンスを簡単にする建機の盗難防止用遠隔装置(特許文献1参照)が提案され、公知技術となっている。より具体的には、建機の各種走行駆動主要部の1つまたは複数個に、携帯型通信機からの暗証番号を受信する通信機、制御回路およびリレーを1つのケースに収容してなる制御ユニットを装着し、制御ユニットは携帯型通信機からの信号により走行駆動主要部をロック解除状態にされ、建機を運転するには、携帯型通信機からの暗証番号をそれぞれの制御ユニットに送信して、暗証番号の一致により各制御ユニットを作動させ走行駆動主要部のロック状態を解除するものである。
【0004】
しかしながら、この方法では、主要部全部に通信装置をつけ、ロック装置をつけなければならないことから、非常に面倒であるし、費用負担も大きい。また、建設車両自体を盗まれる場合については対処できないため、前記問題の解決には至っていない。
【0005】
また、建設車両の盗難防止装置として、高額な投資、複雑なための故障の原因、また容易に装置を解除されてしまう等の問題を解決する手段(特許文献2参照)が提案され、公知技術となっている。より具体的には、電気的組合せ暗証番号を設定しエンジン始動回路または油圧回路を遮断しセキュリティの突破不能化と発報動作により、信頼性が高くまた高強度な装置としている。
【0006】
しかしながら、この方法では、建設車両の運転動作を阻止するのみであるので、建設車両自体を盗まれる場合、建設車両の主要部分をはずして盗まれる場合のいずれにも対処できないため、前記問題の解決には至っていない。
【0007】
そこで、本発明者は、それらの問題を解決しようと、建設車両の盗難手段に対応する方法として、上部旋回構造を有する建設車両の動作に着目し、窃盗集団からの盗難事件を減少させる技術を開発し、本願の「建設車両の盗難防止装置」の提案に至ったものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−206131
【特許文献2】特開2011−46319
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記問題点に鑑み、簡単な構造で、建設車両自体及び建設車両の主要部分の盗難を回避する発明の提供を図る。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る建設車両の盗難防止装置は、上部旋回部を持つクローラ式建築車両の盗難を防止する盗難防止装置であって、前記上部旋回部に内蔵されたエンジン、油圧ポンプの少なくとも一部がクローラベルトの直上に位置するように前記上部旋回部を回転させた状態で固定する固定部を有し、該固定部は、トラックフレームに設置された中空で円筒の下部固定部と、前記上部旋回部の下部に設置された板状の上部固定部と、前記下部固定部と上部固定部とを固定する第一の固定ピンと、前記第一の固定ピンの脱落を防ぐ第二の固定ピンと、第二の固定ピンの脱落を防ぐ施錠部からなり、前記上部固定部の中央には前記第一の固定ピンを挿入するための穴を持ち、前記下部固定部と前記第一の固定ピンの側面には、第二の固定ピンを挿入するための穴を持ち、前記第二の固定ピンの先端には、施錠用の穴があることを手段とする。
【0011】
また、本発明は、前記下部固定部は、旋回サークルに近接する位置であり、センタージョイントに対して斜め前方に設置され、前記第二の固定ピンを挿入するための穴は、前記センタージョイントと前記下部固定部を結ぶ線分方向に貫通していることを手段とする。
【0012】
また、本発明は、前記下部固定部は、板状の補強部を持ち、前記補強部は、前記センタージョイントを軸とする円周方向に配置されていることを手段とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る建設車両の盗難防止装置によれば、簡単な構造を付加することによって、建設車両自体又は建設車両の重要部品の盗難を回避可能であり、使用者の利益に供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明に係る建設車両盗難防止装置の全体斜視図である。
図2】本発明に係る建設車両盗難防止装置の分解図である。
図3】本発明に係る建設車両盗難防止装置の部分斜視図である。
図4】本発明に係る建設車両盗難防止装置の実施例説明図である。
図5】本発明に係る建設車両盗難防止装置の実施例説明図である。
図6】本発明に係る建設車両盗難防止装置の他の実施例説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明である建設車両の盗難防止装置は、簡単な構造を付加することによって、建設車両自体又は建設車両の重要部品の盗難を回避するできることを最大の特徴とする。以下、実施例を図面に基づいて説明する。
なお、本実施例で示される建設車両の盗難防止装置の全体形状及び各部の形状は、下記に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、即ち、同一の作用効果を発揮できる形状及び寸法の範囲内で変更することができるものである。
【実施例1】
【0016】
図1から図3にしたがって、本発明を説明する。
図1は、本発明の全体斜視図を示す。図2は、本発明の上部旋回部11に設置された上部固定部2とトラックフレーム9に設置された下部固定部3を示す斜視図である。図3は建設車両盗難防止装置1の詳細を示すもので、図3(a)は分解図、図3(b)は組込み後の斜視図、図3(c)は、断面図を示す。
【0017】
建設車両盗難防止装置1は、建設車両の上部旋回部11を下部走行部14に対して、斜め方向に回転させ、建設車両を動かすための主要部分クローラベルト10上にある状態で固定するためのものである。
まず、旋回構造を持つクローラ式建設車両の概要を説明する。建設車両は、上部旋回部11と下部走行部14からなり、上部旋回部11は、機械部1101、運転室1102、上部旋回部台部1103、アーム部1104、エンジン・油圧ポンプ12から成る。機械部1101は、建設車両を動かすための主要部分が納められている。主に、エンジン・油圧ポンプ12である。エンジンによって、大トルクの回転運動を発生させ、それを用いて油圧ポンプで、高圧の油圧を発生させ、油圧シリンダーを介して、アーム部1104の動作、油圧モータを介して、建設車両の走行を行う。そのため、エンジン・油圧ポンプ12は、建設車両の主要部分であり、金額的にも、他の部分よりも高価である。
運転室1102は、作業者が乗り込み、建設車両を操縦する部分である。アーム部1104は、建設作業を行う部分であり、先端はショベル構造等になっている。上部旋回部台部1103は、上部旋回部11全体を支える部分であり、下部走行部14の旋回サークル8、センタージョイント7を軸に上部旋回部11全体を旋回させる。
【0018】
下部走行部14は、建設車両を走行させる部分であり、全体はトラックフレーム9と呼ばれるフレーム構造を中心に構成されている。トラックフレーム9上部には、旋回サークル8、センタージョイント7が配置されている。旋回サークル8は、上部旋回部11を支え、スムーズに、一定量回転させるための基部である。センタージョイント7は上部旋回部11と回転可能に接続される軸部分である。下部走行部14は、トラックフレーム9の両側にクローラ部分を配置している。クローラは、油圧モーター、クローラベルト10、クローラベルト10保持用のローラー、スプロケット等から成る。
機械部1101内の主要部であるエンジン、油圧ポンプは、大きく重量がある。そのため、この主要部のみを盗もうとした場合、機械部1101の底に穴を開け、エンジン、油圧ポンプ等の固定部を切断し、建設車両から脱落させて、回収することが多い。
【0019】
次に、建設車両盗難防止装置1について説明する。 建設車両盗難防止装置1は、上部固定部2、下部固定部3、第1の挿入ピン4、第2の挿入ピン5、錠6からなる。
上部固定部2は、上部旋回部11の台部分である上部旋回部台部1103の端部で、上部旋回部11を斜め方向に旋回した際に、下部固定部3と会合する位置に設置されている。板状であり、板面は地面に対して水平であり、板面の中央付近に貫通穴を設けてある。上部固定部2は上部旋回部台部1103に対して、溶接等によって強固に固定されており、通常の作業には支障をきたさない大きさとなっている。形状は、上方から見て、四角形又は、半円形等であり、外部から強制的に旋回動作を行った場合に抗じられる程度の強度、バーナー、のこぎり等で短時間で切除できない程度の強度を持つ。一般的な旋回機能を持つ建設車両では、上部固定部2の上部から第1の挿入ピン4を挿入するためには、建設車両の前面部が適切であるが、建設車両の形状によっては、旋回サークル8の近辺に建設車両盗難防止装置1を設置可能であれは、いずれの位置もで構わない。
【0020】
下部固定部3は、建設車両の下部のトラックフレーム9の上部で、旋回サークル8に近接した位置に設置される。建設車両盗難防止装置1は、上部旋回部11を下部走行部14に対して斜め方向に回転させた状態で固定することを目的としているので、上部旋回部11を斜めに回転させた状態で、上部旋回部台部1103の端部が、旋回サークル8近辺にあると好適である。そのため、一般的な建設車両では、センタージョイント7から見て斜め前方の旋回サークル8の近傍が適している(図4(b))。下部固定部3は、円筒状であり、側面に貫通穴を持つ。円筒の内径は、上部固定部2の穴径とほぼ同一である。下部固定部3は、溶接等でトラックフレーム9に固定され、外部から強制的に旋回動作を行った場合に抗じられる程度の強度、バーナー、のこぎり等で短時間で切除できない程度の強度を持つ。
【0021】
第1の挿入ピン4は、上部固定部2、下部固定部3に対して、上部から挿入し、上部旋回部11の旋回動作を規制するものである。第1の挿入ピン4は円筒部とツバ部分を持つ。円筒部の側面には、貫通している穴401が設けられ、上部固定部2、下部固定部3に挿入後、第2の挿入ピン5を側面から挿入することで、抜けなくしている。上部固定部2、下部固定部3同様、外部から強制的に旋回動作を行った場合に抗じられる程度の強度を持つ。
第2の挿入ピン5は、ピン状の形態であり、先端に貫通した穴501を持つ。目的は上部固定部2、下部固定部3に挿入された第1の挿入ピン4を容易に抜けなくするものであり、下部固定部側面穴302から、挿入し、第1の挿入ピン4の穴401を通して、下部固定部3の反対側の穴から、第2の挿入ピン5の先端を突出させ、先端の穴501に錠6を通して施錠する。この構造によって、解錠しない限り、第1の挿入ピン4は抜けず、上部旋回部11を旋回させることはできない。
【0022】
また、下部固定部3は旋回サークル8に近接する位置であり、センタージョイント7に対して斜め前方に設置され、第2の挿入ピン5を挿入するための穴は、センタージョイント7と下部固定部3を結ぶ線分方向に設ける。この構造とすることによって、第2の挿入ピン5の先端に配置する錠6は、旋回サークル8に最も接近した位置になる。そうすると、錠6付近は、下部固定部3、上部固定部2、トラックフレーム9、旋回サークル8に囲まれた狭い空間となり、錠6をバールやバーナー等で破壊、切断しようとしても、機材が錠6に届かず、破壊、切断を回避することができる。
【0023】
次に図4、5に沿って、実施の内容及び効果を説明する。図4は、建設車両盗難防止装置1の詳細の位置の説明の図である。アーム部は、上部固定部2、下部固定部3の位置を明確にするため省略している。図5は、建設車両盗難防止装置1による効果の説明である。
建設車両盗難防止装置1の上部固定部2は、上部旋回部11の概ね正面部分に取り付けられている。この位置は、上部旋回部11の端部とトラックフレーム9、旋回サークル8のレイアウトによって若干変化する。また、効果を最適にするために、クローラベルト10の上部に、エンジン・油圧ポンプ12の多くの領域が掛かる位置で固定できる位置とすることが望ましい。
図4(a)は、通常の旋回停止位置である。作業終了後は、通常この位置で停止する。本発明では、作業終了後、上部旋回部11を斜め前方で、上部固定部2、下部固定部3が重なる位置に、回転させた状態で停止し、第1の挿入ピン4、第2の挿入ピン5、錠6を用いて、上部固定部2、下部固定部3を固定する。上述のように、上部固定部2、下部固定部3の固定を解除することは困難である。この仕組みによって以下の2つの効果が発生する。
【0024】
まず、建設車両自体を盗む場合であるが、通常の配置(図5(a))であると、建設車両自体の動作ができなくても、台車等によって大型トラック等に積み込んで盗むことができる。それに対して、建設車両盗難防止装置1によって、斜めに固定された状態では、台車等で大型トラック等に積み込んでも、アーム部1104がトラックの側面から大きく突出してしまい、一般道での走行が出来ない(図5(b))。そのため、盗難が断念される。
【0025】
次に、建設車両から主要部分を盗む場合であるが、通常の配置(図5(a))であると、建設車両の上部旋回部11部分の底に穴を開け、エンジン・油圧ポンプ12を地面に脱落させ、回収する手口が多い。それに対して、建設車両盗難防止装置1によって、斜めに固定された状態では、エンジン・油圧ポンプ12はクローラベルト10の上部にあるため、上部旋回部11の底に穴を開けても、エンジン・油圧ポンプ12は、クローラベルト10が邪魔をして、地面に脱落させることができない(図5(b))。そのため、盗難が断念される。
【0026】
このように、上部旋回部11、トラックフレーム9への固定部の配置によって、容易に建設車両自体及び建設車両の主要部の盗難を防ぐことができる。建設車両への対応は、小さいな固定部材の取り付けのみであるので、通常の作業性が損なわれることも無いし、費用的にも安価である。また、システム的な変更が伴わないことから、比較的古い建設車両や特殊な建設車両にも容易に対応できる。
【実施例2】
【0027】
他の実施例について図6を用いて説明する。実施例1と同様の部分は省略する。
図6(a)は四角の補強板を配置した例である。図6(b)は三角の補強板を配置した例である。図6(c)は補強板を上部から見た図である。
実施例1にて、建設車両盗難防止装置1が錠6を容易に解錠できない構造であることを説明したが、さらに、解錠を困難にする実施例を説明する。
実施例1において、錠6付近は、下部固定部3、上部固定部2、トラックフレーム9、旋回サークル8に囲まれた狭い空間となり、錠6をバールやバーナー等で破壊しようとしても、機材が錠6に届かず、破壊を回避することができる、と説明したが、きわめて特殊な機材を使うと破壊、切断の可能性もある。
【0028】
そこで、実施例1に比べて、さらに解錠困難な構造を説明する。
下部固定部3の側面にセンタージョイント7を軸とする円周方向に配置される補強板13を配置する(図6(a))。補強板13は、下部固定部3の強度を増す補強板としての機能と錠6を覆う構造の2つの面を有する。補強板としては、下部固定部3の側面とトラックフレーム9の間の鉄板を溶接することによって、下部固定部3の横方向の強度を向上させる。また、センタージョイント7の円周に沿って補強板13を配置するので、錠6を外部から隠す構造となるので、錠6の解錠がより困難になる(図6)c))。
また、補強板13の形状は、四角でもいいし、三角でもよい(図6(b))。
このように、本発明によれば、建設車両の盗難を容易に防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明に係る建設車両の盗難防止装置は、旋回構造を持つクローラ式建設車両の盗難防止に関する産業上の利用可能性は大きいと解する。
【符号の説明】
【0030】
1 建設車両盗難防止装置
2 上部固定部
3 下部固定部
4 第1の挿入ピン
5 第2の挿入ピン
6 錠
7 センタージョイント
8 旋回サークル
9 トラックフレーム
10 クローラベルト
11 上部旋回部
12 エンジン・油圧ポンプ
13 補強板
14 下部走行部
201 上部固定部穴
301 下部固定部穴
302 下部固定部側面穴
401 穴
501 穴
1101 機械部
1102 運転室
1103 上部旋回部台部
1104 アーム部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2013年12月21日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0002
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0002】
近年、急速に建設車両の盗難事件が増加している。建設車両は、夜間、工事現場に置かれることが多い為、窃盗集団が大型トラック等を用いて、大規模且つ大胆に窃盗を行っても、一般の人から見ると工事を行っているようにしかみえず、分解しているのは車両の整備をしているのだろうと思われるため、窃盗していることに気づきにくく、横行している。盗難の方法として、建設車両全体を大型トラック等に積み込んで盗み出す方法と、建設車両の主要部分であるエンジンや油圧ポンプ等を、建設車両から外して盗み出す方法がある。建設車両は、機械の中でも高額であることから、いずれの場合も被害は甚大である。係る、盗難防止方法として、警報装置や、エンジンキーの自動停止等が考案されている。しかし、警報を発しても、工事現場が遠方にあると到着までに盗難が完了していることもあり、盗難対策が大規模となると費用負担も大きくなる。エンジンキーへの対策については、配線を直接いじることで回避されることも多い。そのため、簡単な構造で、建設車両自体及び建設車両の主要部分の盗難を回避する発明が求められていた。
【手続補正書】
【提出日】2014年2月6日
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部旋回部を持つクローラ式建築車両において、
前記上部旋回部に内蔵されたエンジン又は油圧ポンプの少なくとも一部がクローラベルトの直上に位置するように、前記上部旋回部を回転させた状態で固定する固定部を有し、
該固定部は、トラックフレームに設置された中空で円筒の下部固定部と、
前記上部旋回部の下部に設置された板状の上部固定部と、
前記下部固定部と上部固定部とを固定する第一の固定ピンと、
前記第一の固定ピンの脱落を防ぐ第二の固定ピンと、
第二の固定ピンの脱落を防ぐ施錠部からなり、
前記上部固定部の中央には前記第一の固定ピンを挿入するための穴を持ち、
前記下部固定部と前記第一の固定ピンの側面には、第二の固定ピンを挿入するための
穴を持ち、
前記第二の固定ピンの先端には、施錠用の穴があることを特徴とする建設車両盗難防止装置。
【請求項2】
前記下部固定部は、旋回サークルに近接する位置であり、センタージョイントに対して斜め前方に設置され、前記第二の固定ピンを挿入するための穴は、前記センタージョイントと前記下部固定部を結ぶ線分方向に貫通していることを特徴とする請求項1に記載の建設車両盗難防止装置。
【請求項3】
前記下部固定部は、板状の補強部を持ち、前記補強部は、前記センタージョイントを軸とする円周方向に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の建設車両盗難防止装置。