【実施例】
【0028】
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、これらの実施例に限定されるものではない。なお実施例中、割合を示す部および%は特に断りのない限り重量基準によるものである。また実施例における諸物性の評価は次の方法に拠った。その評価結果は、表−1から表−3に示した。
【0029】
ガラス転移温度
合成ゴムラテックスを、ガラス板に0.5g程度塗り、70℃で4時間乾燥してフィルムを作成した。乾燥後のフィルムをDSC試験用のアルミニウムパンにセットし、再度加熱によりサンプルを均一化し、その後、測定温度を−100〜150℃まで速度10℃/分で昇温して、相変化の吸熱の開始点を読み取って合成ゴムラテックスのガラス転移温度(℃)とした。
【0030】
合成ゴムラテックスA、Bの作製
耐圧性の重合反応機に、純水100部、過硫酸カリウム0.6部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1部、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム0.5部を仕込み、十分攪拌した後、表―1に示す各単量体とt−ドデシルメルカプタン0.2部、シクロヘキセン2部を加えて70℃にて重合を開始し、最終重合転化率が95%を越えた時点で重合を終了した。
次いで、得られた合成ゴムラテックスをアンモニアでpH7.5〜8.5に調整し、水蒸気蒸留により未反応単量体および他の低沸点化合物を除去し、合成ゴムラテックスA、Bを得た。
【0031】
合成ゴムラテックスCの作製
耐圧性の重合反応機に、純水80部、過硫酸カリウム1.2部、アルキルスルホン酸ナトリウム1.5部、表−1に示す各単量体の混合物100重量部のうち8重量部と、t−ドデシルメルカプタン0.25部を加えて、70℃にて重合を開始した。残りの単量体混合物92重量部について、15時間かけて連続添加し、最終重合転化率が95%を越えた時点で重合を終了した。
次いで、得られた合成ゴムラテックスを水酸化ナトリウムでpH7.5〜8.5に調整し、水蒸気蒸留により未反応単量体および他の低沸点化合物を除去し、その後100メッシュのステンレス製金網にて凝集物等を除去し、合成ゴムラテックスCを得た。
【0032】
合成ゴムラテックスDの作製
耐圧性の重合反応機に、純水100部、過硫酸カリウム0.2部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム2.0部を仕込み、十分攪拌した後、表―1に示す各単量体の混合物100重量部の混合物のうち5重量部とt−ドデシルメルカプタン0.1部を加えて70℃にて重合を開始した。重合開始1時間後から、残りの単量体混合物とt−ドデシルメルカプタン0.7部を、9時間かけて連続添加した。最終重合転化率が95%を越えた時点で重合を終了した。
次いで、得られた合成ゴムラテックスを水酸化ナトリウムでpH7.5〜8.5に調整し、水蒸気蒸留により未反応単量体および他の低沸点化合物を除去し、その後100メッシュのステンレス製金網にて凝集物等を除去し、合成ゴムラテックスDを得た。
【0033】
合成ゴムラテックスEの作製
耐圧性の重合反応機に、純水90部、過硫酸カリウム1.0部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.8部を仕込み、十分攪拌した後、表―1に示す各単量体とt−ドデシルメルカプタン1.0部、シクロヘキセン4部を加えて70℃にて重合を開始し、最終重合転化率が95%を越えた時点で重合を終了した。
次いで、得られた合成ゴムラテックスを水酸化ナトリウムでpH7.5〜8.5に調整し、水蒸気蒸留により未反応単量体および他の低沸点化合物を除去し、その後100メッシュのステンレス製金網にて凝集物等を除去し、合成ゴムラテックスEを得た。
なお、合成ゴムラテックスFは、上記で得られた合成ゴムラテックスDと合成ゴムラテックスEを、固形分比で55/45にて混合したものを用いた。
【0034】
【表-1】
【0035】
ポリエチレンパウダー
P1:中心粒子径 200μm、メタロセン中・高密度ポリエチレン、融点123℃
P2:中心粒子径 200μm、メタロセン中・高密度ポリエチレン、融点124℃
P3:中心粒子径 300μm、低密度ポリエチレン、融点107℃
P4:中心粒子径 20μm、低密度ポリエチレン、融点106℃
【0036】
接着剤組成物の作製
表−2及び表−3に示した配合処方に従って、各成分を配合し、増粘剤及び水を用いて、固形分50重量%、粘度5000±1000mPa・sに調整し、本発明の組成物1〜17を作製した。
【0037】
接着剤組成物の配合性の評価
上述の方法にて接着剤組成物を配合した際に、配合物の分散状態を目視にて観察し、配合性について下記の通り評価した。
◎:分散していて、配合物の表面もなめらかであった。
○:分散しているが、配合物の表面に、少し粒粒感があった。
△:配合物の表面に粒粒感があるが、後の塗布工程において問題なく塗布できた。
×:継粉が発生し、分散していない。
【0038】
積層体の作製
得られた組成物1〜17を、ポリエステル製不織布(350g/m
2)の裏面に、発泡ダイレクト塗工(5倍発泡)により、200g/m
2(固形分)の塗布量になるよう塗布した後、180℃の熱風で15分乾燥させた。該不織布の接着剤塗布面と、未塗布の不織布とを重ね合わせて、180℃に予備加熱しておいた金属板に挟み、180℃、2kg/m
2にて10分間、加圧加熱接着を行った。得られた各積層体を1インチ幅に切り出し、剥離試験に供した。なお、組成物15については、分散性が悪く、うまく塗布できなかったため、積層体の作製は断念した。
【0039】
剥離強度の評価
得られた積層体1〜17の剥離強度について、サンプル幅を1インチにした他は、JIS L 1021−9のB法に準じて測定した。
【0040】
【表-2】
【0041】
【表-3】
【0042】
表−2に示すとおり、本願発明である実施例1〜11に示す接着剤組成物は、いずれも接着剤組成物の配合性及び積層体の剥離強度のバランスに優れていた。
【0043】
表−3に示すとおり、比較例12、13、16はいずれもポリオレフィン系パウダーを使用しておらず、比較例14は合成ゴムラテックスの配合量が多く、本発明範囲外であることから、配合性は良好であるものの、積層体の剥離強度が大きく劣っていた。また、比較例15は合成ゴムラテックスを配合しておらず、本発明範囲外であることから、組成物の配合性が大きく劣り、塗布できず積層体を得ることができなかった。比較例17は、ポリオレフィン系パウダーの中心粒子径が本発明範囲外であり、配合性は良好であるものの、積層体の剥離強度が大きく劣っていた。